JP2018188644A - エレクトロニクス用構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟であり、伸張後の復元性と応力緩和性に優れた材料を用いたエレクトロニクス用構造体を提供すること。
【解決手段】エレクトロニクス用部材に用いられる構造体であって、構成成分として、樹脂組成物および電子素子を含み、前記樹脂組成物が少なくとも(A)ポリロタキサン、(B)エポキシ樹脂及び(C)硬化剤を含み、(B)エポキシ樹脂の割合が、(A)ポリロタキサン、(B)エポキシ樹脂及び(C)硬化剤の合計を100質量部として、30から50質量部であることを特徴とするエレクトロニクス用構造体。
【選択図】図1

Description

本発明は、引張応力緩和性が高く、伸張後の復元性に優れた樹脂組成物を用いたエレクトロニクス用構造体に関する。
熱硬化性樹脂は、その優れた耐熱性、耐薬品性、成形性、絶縁信頼性等により電子材料用途や光学材料など幅広い分野で使用されている。特に、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が様々な用途に使用されることが多いが、エポキシ樹脂は上記の特性に優れている反面、一般的には硬くて柔軟性に乏しいことも知られている。そのため、外部からの応力や熱ストレスにより、変形したり破壊されたりすることがある。
より柔軟性に優れた材料としては、シリコーン樹脂やウレタン樹脂のほか、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂あるいは様々なゴム材料が挙げられる。なお、樹脂材料の柔軟性については、弾性率が低く引張伸びが大きいだけでなく、伸張後の復元性が高いことも、様々な部材で使用するにあたっては必要となる。
例えば、このような柔軟性に優れた材料を利用して、電子ペーパー等のフレキシブルな表示装置の開発が進められている。一般的に電子ペーパーは、電気泳動方式、ツイストボール方式など方式は多数あるものの、いずれも表示を実現するための表示層と電圧印加する導電層の積層体で構成されている。電気泳動方式のフレキシブル表示装置には、主としてウレタン樹脂が用いられている(特許文献1)。
一方、ツイストボール方式では、シリコーン樹脂が用いられている(特許文献2)。
また、電子デバイスを自由自在に変形させるためには、電子回路基板に伸縮性が必要なだけでなく、実装される電子部品にかかる変形応力に対しても耐性が必要である。そこで、これまでにも半導体自身に伸縮性を持たせる検討がなされている(特許文献3)。
特開2012−63437号公報 特開2012−27488号公報 特開2014−17495公報
一方で、柔軟性と共に最近の樹脂材料に求められている特性としては、応力緩和性がある。応力を加えられ変形した際に残留応力が大きいということは、元の形に戻ろうとする力が大きいことを意味しており、それ故に、残留応力が大きいと部材間の剥離や破壊が起こってしまう。そのため、残留応力が小さくなるように、加えられた応力を低減する、つまり、応力緩和性に優れることもまた必要な特性とされている。
しかし、上記特許文献1または2に記載されているようなウレタン樹脂やシリコーン樹脂は、引張伸びが大きく復元性に優れるが、応力緩和性が低いことが知られている。ウレタン樹脂においては原材料のポリオールやイソシアネートの種類や組合せを変えたり、架橋密度を下げることにより応力緩和性を高めることが可能であるが、その場合は復元性が低下してしまう。また、ウレタン樹脂においては、使用可能温度領域が狭く、耐熱性が低いため使用範囲が限定されてしまうという難点もある。
よって、これらの樹脂を用いて作製された表示装置は自由曲面への追従や大きな変形を伴うと残留応力により剥離や破壊を引き起こしやすくなってしまうという問題があった。したがって、フレキシブル表示装置としては、多少の屈曲性を有する程度に留まっているのが現状である。
このような問題は、他のゴム材料でも同様であり、復元性が高いものの応力緩和性は低い。また、ポリエチレンや他の熱可塑性材料においては、柔軟で引張伸びが大きい特性を活かして様々な分野で使用されているが、引張伸びの弾性領域は数%〜十数%程度までであり、降伏点を超えるそれ以上の領域では塑性変形を伴う伸びとなってしまう。それ故に、応力緩和性に優れるものの、伸張後に元の形には戻らない(残留歪みが多い)という問題が生じる。
また、上記特許文献3に記載されているようなシワ加工は1軸方向の伸縮性に優れるが、多軸方向では伸縮できない。また伸縮の可能な領域においてはシワ形状に依存し、その伸縮可能領域を超える伸張をすると破壊されてしまうという難点がある。よって、これらのシワ形状を用いて作製された素子は想定外の変形を伴うと剥離や破壊を引き起こしやすくなってしまうという問題があった。したがって、フレキシブル表示装置としては、多少の屈曲性を有する程度に留まっているのが現状である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、柔軟であり、伸張後の復元性と応力緩和性に優れた材料を用いたエレクトロニクス用構造体を提供することを課題とする。
これまで、樹脂材料について、低弾性や高伸びという柔らかさ、あるいは復元性については、様々な研究がなされているものの、それらの特性と比較すると応力緩和性を大きくできたという報告例はほとんどない。これは、応力緩和は、クリープ現象による塑性変形によるものであり、塑性変形が起こると復元しなくなるからだと考えられる。
また、エレクトロニクスにおける構造体について、フレキシブル性を高めるための、様々な研究がなされているものの、構造体そのものに伸縮性を持たせたという報告例はほとんどない。これは、用いる材料そのものに伸縮性がないだけでなく素子や部品を実装する基板そのものの伸縮性がないためであり、伸縮性があるような材料を基板にした場合には伸縮時の内部応力蓄積による長期信頼性に問題があるためと考えられる。
そこで、本発明者等は、鋭意検討した結果、引張時の応力緩和性が高い、かつ、伸張後の復元性に優れるという相反する特性を両立させることにより、柔軟で変形させても復元でき、かつ残留応力による部材の剥離や破壊を極小化できると考え、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
すなわち、本発明の一つの局面は、弾性変形可能で残留歪みが少なく、かつ応力緩和性を有することを特徴とする樹脂組成物を用いたエレクトロニクス用構造体である。
前記構造体に使用する前記樹脂組成物において、後述する伸張−復元試験により測定される応力緩和率Rおよび残留歪αが、以下の式を満たすこと好ましい。
20%≦R≦95%かつ
0%≦α≦3%
さらに、前記樹脂組成物において、前記伸張−復元試験で15〜20%の範囲で伸張させた場合、復元時と伸張時のそれぞれ歪み量に対する引張力の変化の傾きが:復元時の傾き/伸張時の傾き≦0.95となることが好ましい。
また前記樹脂組成物において、前記伸張−復元試験で、最大伸張時(25%伸張時)に測定される応力値が最大応力値となること、並びに、
後述する応力緩和性試験において、伸張行程終了と同時に測定を開始した場合に、伸張行程終了直後の引張力FB0と伸張行程終了後30分経過した時の引張力F(t30)とが、以下の式を満たすことが好ましい。
0.1≦F(t30))/FB0≦0.7
さらに、前記樹脂組成物を用いて前記試験を2回以上繰り返し実施した場合においても、上述したような式を満たすような挙動を示すことが好ましい。
さらに、前記樹脂組成物において、少なくとも熱硬化性樹脂およびその硬化剤を含んでいることが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。
前記構造体において、前記樹脂組成物がフィルムの形態であることが好ましい。
さらに、前記構造体が、前記電子素子と前記樹脂組成物とを接続する導電部を有することが好ましい。
また、前記構造体が、外部から構造体へ電気的に接続する導電部を有することが好ましい。
さらに、前記構造体において、前記電子素子の一部が前記樹脂組成物に密着していることが好ましい。
また、前記構造体において、前記電子素子の全体が前記樹脂組成物に覆われていることが好ましい。
本発明によれば、引張時の応力緩和性が高く、かつ、伸張後の復元性に優れるという特性を両立させることによって、柔軟かつ応力緩和性に優れた材料を用いたエレクトロニクス用構造体を提供することができると考えられる。また、該構造体を用いることによって、自由曲面への追従や大きな変形に対応可能なフレキシブル表示装置等を提供することができる。
また、高い応力緩和性と復元性を両立するという特徴を有することから、フレキシブル表示装置以外にも、光学分野、電子分野、接着分野、医療分野など様々な技術分野にも適用できるため、産業利用上非常に有利である。
本発明の実施形態に係る樹脂組成物と比較のために用いた樹脂組成物の伸張−復元試験における挙動を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る樹脂組成物と比較のために用いた樹脂組成物の応力緩和性試験における挙動を示すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る構造体は、構成成分として、電子素子と弾性変形可能で残留歪みが少なく、かつ応力緩和性を有することを特徴とする樹脂組成物とを含む構造体である。このように引張時の応力緩和性が高く、かつ、伸張後の復元性に優れるという特性を両立させた樹脂組成物を構成成分として含むことによって、伸縮時においても破壊されにくい優れた信頼性を有する構造体を提供することができると考えられる。
本実施形態において、弾性変形可能で残留歪みが少ないとは、より具体的には、塑性変形がなく、好ましくは残留歪みが3%以下であることをさす。また、応力緩和性を有するとは、力(例えば、引張力など)を加えられた時に、残留応力が小さくなるように加えられた応力を低減する性質を有するということである。
なお、本実施形態では、便宜上、樹脂組成物の残留歪みおよび応力緩和性を、後述する伸張−復元試験により測定される応力緩和率Rおよび残留歪率αによって規定する。
好ましくは、本実施形態の樹脂組成物は、前記応力緩和率Rが20〜95%、かつ前記残留歪率αが0〜3%となる樹脂組成物である。より好ましくは、前記応力緩和率Rが30〜60%、かつ前記残留歪αが0〜1.5%となる樹脂組成物である。
このような範囲の応力緩和率および残留歪率を示す樹脂組成物を用いた構造体であれば、引張時の応力緩和性が高く、かつ、伸張後の復元性に優れるという特性を併せ持ち、破壊されにくい信頼性に優れた構造体を得ることができると考えられる。
〔伸張−復元試験〕
本実施形態で用いられる伸張−復元試験では、樹脂組成物片(厚み:50μm、サンプル形状:ダンベル6号(測定部位幅:4mm、平行部分長さ:25mm))を用いて、ISO3384に準拠した引張−圧縮試験機(例えば、島津製作所製のオートグラフ(型式:AGS-X))を用いて、下記条件で伸張行程を行った後に復元行程を行い、下記算出
方法によって応力緩和率R及び残留歪み率αを計算する。
(伸張行程条件)
試験片をつかみ具に取り付けたときに発生するたわみを除去するために、たわみ補正を0.05N以下の力で行う。
試験速度:25mm/min、0〜25%伸張まで
温度条件:23℃
伸張・保持条件:25%伸張で、保持時間5分
(復元行程条件)
試験速度:0.1mm/min、引張力が0±0.05Nになるまで
温度条件:23℃
応力緩和率算出方法:伸張行程終了時の引張力の測定を行い、これを初期引張力FA0とする。その後、上述の伸張・保持条件で歪量を保持し5分後に引張力を測定する。これをF(t)とする。応力緩和率Rは下記式によって計算する。
Figure 2018188644
残留歪率算出方法:前記復元行程において、引張力が0±0.05Nとなった時点において、歪量の測定を行い、これを残留歪みαとする。
すなわち、前記伸張−復元試験を行った場合、本実施形態に係る樹脂組成物は、引張力(試験力)に対し、例えば、図1に示すグラフの曲線(略直線)のような伸張(歪み)復元挙動を示す。なお、図1では、縦軸に引張力(N/mm)、横軸に伸張(歪み)(%)を表している。ここで示す伸張量とは、本明細書中においては樹脂組成物の実質的な歪量をさす。
また、図1では、比較のために、従来用いられてきたシリコーンフィルム及びポリエチレンフィルムを使用して前記伸張−復元試験を行った場合の該樹脂の挙動も示しているが、いずれの場合も、上部の曲線(本実施形態の樹脂組成物では略直線)は伸張行程時の伸張を、下部の曲線(略直線)は復元行程での復元(伸張の戻り)を示している。
図1に示すように、本実施形態の樹脂組成物は、まず前記伸張行程では、引張力に応じて25%まで伸張されそこで5分間保持され、保持されながら応力を緩和し、その後、前記復元行程では引張力が0±0.05Nになるまで復元される。
このような伸張−復元試験を経ても、本実施形態の樹脂組成物の残留歪みはほぼ1%程度にまで復元される(すなわち、残留歪率が非常に小さい)。一方、塑性変形樹脂では前記伸張−復元試験後、残留歪みは8.4%程度にまでにしか復元しない(残留歪率が大きい)。
また、前記伸張行程後において5分間の保持を行った際、従来の塑性変形樹脂の場合は25〜30%程度しか応力が緩和しないのに対し、本実施形態の樹脂組成物では伸張された状態のまま約20〜60%も緩和する。
すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、残留歪みと応力緩和性の両方において優れているという従来になり特殊かつ有利な性質を有する。
また、前記伸張行程後において5分間の保持を行った際、従来のシリコーンフィルムの場合は、伸張された状態ではほとんど応力が緩和しない。
このように図1に示されるような本実施形態の樹脂組成物が示す挙動をみても、本実施形態の樹脂組成物が、柔軟性に優れ、応力を緩和しながらも伸張後の復元性に非常に優れた樹脂組成物であることがわかる。このような特性は従来の弾性変形樹脂や塑性変形樹脂等には見られなかったものであり、本実施形態の樹脂組成物を用いた構造体は、たとえば、フレキシブル表示装置などにおいてその特性を発揮し得る優れた構造体である。
さらに好ましい実施形態として、前記伸張−復元試験において、15〜20%の範囲で伸張させた場合に、復元時と伸張時のそれぞれ歪み量に対する引張力の変化の傾きが、復元時の傾き/伸張時の傾き≦0.95となる樹脂組成物であることが望ましい。より好ましくは、前記復元時の傾き/伸張時の傾き≦0.90となる樹脂組成物である。
すなわち、図1で示される本実施形態の樹脂組成物の伸張行程を示す曲線(略直線)の傾き(矢印)、すなわち、伸張時の弾性率が、復元行程を示す曲線(略直線)の傾き(矢印)、すなわち、復元時の弾性率よりも大きいことが好ましい。
これにより、より応力緩和性に優れた樹脂組成物となると考えられる。
さらに好ましい実施形態としては、前記伸張−復元試験において、最大伸張時(25%伸張時)に測定される応力値が最大応力値となる樹脂組成物であることが望ましい。それによって、材料の降伏現象が起こらず、より高い復元性を発現させることが可能となる。
また、本実施形態の樹脂組成物は、前記伸張−復元試験において、伸張行程と復元行程とを、2回以上繰り返しても、上記各関係を満たす樹脂組成物であることが好ましい。それにより、より復元性に優れ、複数回の伸張によっても復元力を失わない樹脂組成物を得ることができる。そのような樹脂組成物であれば、例えば、フレキシブル表示装置などにおいて、屈曲耐性等にさらに優れると考えられる。
さらに、本実施形態の樹脂組成物は、さらに、以下の応力緩和性試験において、伸張行程終了と同時に測定を開始した場合に、伸張行程終了直後の引張力FB0と伸張行程終了後30分経過した時の引張力F(t30)とが、以下の式:
0.1≦(F(t30)/FB0)≦0.7
を満たす樹脂組成物であることが望ましい。
このような特性を備える樹脂組成物であれば、より応力緩和性に優れた樹脂組成物となり非常に有用である。
〔応力緩和性試験〕
樹脂組成物片(厚み:50μm、サンプル形状:ダンベル6号(測定部位幅:4mm、平行部分長さ:25mm))を用いて、ISO3384に準拠した引張−圧縮試験機で、下記条件で伸張行程を行い、伸張終了時の引張力の測定を行い、これを初期引張力FB0とする。その後、30分後に引張力F(t30)を測定する。
(伸張行程条件)
試験片をつかみ具に取り付けたときに発生するたわみを除去するために、たわみ補正を行う。たわみ補正は、0.05N以下の力で行う。
試験速度:25mm/min、50%伸張まで
温度条件:23℃
伸張・保持条件:50%伸張で、保持時間30分
なお、本実施形態の樹脂組成物は、前記応力緩和性試験においても、伸張と保持とを、2回以上繰り返しても(すなわち、1回目試験終了後、任意の条件で元に復元させたサンプルで繰返し測定しても)上記各関係を満たすものであることが好ましい。
前記応力緩和性試験を行った場合の本実施形態に係る樹脂組成物の応力緩和性を図2のグラフに示す。なお、図2では、縦軸に(F(t30)/FB0)、横軸に時間(秒)を表している。
図2に示すように、本実施形態の樹脂組成物であれば、高い復元性を示す材料でありながら、50%伸張に要する応力(FB0)に対して、50%伸張状態を維持した場合において、保持するために必要な応力が30分後には(F(t30))に低減される、つまり、62%程度の応力を緩和することができる。
これに対し、従来の樹脂であるシリコーンフィルムは、高い復元性を示すが上記と同様の条件において応力緩和が8%であり、ポリエチレンフィルムは、復元性も高くなく、応力緩和も25%程度である。つまりそれだけ大きな残留応力を持つことになる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記特性を満たすような樹脂組成物であれば、その組成については特に限定はない。好ましくは、本実施形態の樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂およびその硬化剤を含む。さらに、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく例示される。
より具体的な実施形態の一つとして、例えば、(A)ポリロタキサン、(B)熱硬化性樹脂及び(C)硬化剤を含む樹脂組成物が挙げられる。以下に、各成分についてより具体的に説明する。
前記(A)成分のポリロタキサンは、環状分子を直鎖状の軸分子が貫通し、環状分子が抜けないように末端を封鎖した構造を持つ分子である。具体的には、例えば、特許第4482633号に記載されているようなポリロタキサンが挙げられる。
本実施形態において使用できるポリロタキサン(A)としては、環状分子に軸分子となる末端官能基を有する分子が串刺し状に包接されており、この末端官能基が、環状分子が脱離できなくするのに充分嵩高い封鎖基で化学修飾されている化合物が挙げられる。このような構造を有するものであれば、それぞれを構成する分子の構造、種類、環状分子の包接率、製造方法等は限定されない。
例えば、ポリロタキサンが含み得る軸分子の例としては、分子量が1万以上で末端を封鎖基で化学修飾できるものであれば特に制限はないが、例えば、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポリ(メタ)アクリル酸セルロース系樹脂,ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、デンプン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等共重合体、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアミド、ポリイミド、ポリジエン、ポリシロキサン、ポリ尿素、ポリスルフィド、ポリフォスファゼン、ポリケトン、ポリフェニレン、ポリハロオレフィンとその誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレングリコールが好適に用いられる。
また、ポリロタキサンが含み得る環状分子としては、ポリマー分子を通すことが可能な輪状の分子であって、架橋剤と反応できるように、少なくとも一つの反応基を有する環状分子であれば特に限定はされない。具体的には、例えば、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、大環状アミン類、カリックスアレーン類、シクロファン類が挙げられる。これらの中でも、シクロデキストリンや置換されたシクロデキストリン、更に好適には、置換された構造にさらに反応基(官能基)を導入したものが用いられる。
ポリロタキサンの環状分子に導入する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、ビニル基等が好ましく挙げられる。
このように環状分子に導入された官能基によって、架橋剤を介して環状分子同士またはポリロタキサンと樹脂とを架橋させることができる。そして、このようにポリロタキサンと繋がった樹脂は、柔軟性を獲得することができる。
本実施形態のポリロタキサンにおける末端を封鎖する構造(末端封鎖基)としては、環状分子が抜けない程度の嵩高さを有する構造であれば特に限定はされない。具体的には、例えば、シクロデキストリン基、アダマンタン基、ジニトロフェニル基、トリチル基等、アダマンタン基等が好ましく用いられる。
上記の環状分子として用いられるものとしては、その環の中に鎖状ポリマー分子を包接できるものであれば特に制限はない。好適に用いられる環状分子としてシクロデキストリンが挙げられる。また、この環状分子が官能基を持つことが好ましい。さらには前記官能基が−OH基もしくはアクリル基、メタクリル基であることが好ましい。
本実施形態で用いられ得るポリロタキサンは、公知の方法(例えば、国際公開WO01/83566号パンフレット、特開2005−154675号公報、特許4482633号等に記載の方法)によって合成することもできるが、市販のものを使用してもよく、具体的には、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製のセルムスーパーポリマーA1000等を使用することができる。
次に、(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が特に制限なく挙げられるが、なかでもエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
前記エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アラルキルエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、状況に応じて、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記エポキシ樹脂として、より好ましくは、例えば、1つの分子中に2つ以上のエポキシ基と3つのメチル基とを含み、かつ分子量が500以上であるエポキシ樹脂が好適に例示される。このようなエポキシ樹脂としては、市販のものを使用してもよく、例えば、JER1003(三菱化学製、メチル基が7〜8個、2官能、分子量1300)、EXA−4816(DIC製、分子量824、メチル基多数、2官能)、YP50(新日鉄住友金属化学製、分子量60000〜80000、メチル基多数、2官能)等が挙げられる。
また、上述するようなエポキシ樹脂は1種類を単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。
前記(C)硬化剤としては、(B)成分の熱硬化性樹脂の硬化剤として働くものであれば、特に制限はない。特に、エポキシ樹脂の硬化剤として好ましく使用できるとしては、フェノール樹脂、アミン系化合物、酸無水物、イミダゾール系化合物、スルフィド樹脂、ジシアンジアミドなどが例として挙げられる。また、光・紫外線硬化剤、熱カチオン硬化剤なども使用できる。これらは、状況に応じて、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本実施形態のポリロタキサンを含む樹脂組成物には、さらに架橋剤を添加してもよく、そのような架橋剤としては、前記ポリロタキサンの環状分子の少なくとも一部(ポリロタキサンの環状分子が有する少なくとも一つの反応基)と架橋する構造を作ることができるものであれば特に限定なく用いることができる。
具体的には、例えば、イソシアネート、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1−カルボニルジイミダゾール、アルコキシシラン等が挙げられる。
本実施形態において、前記架橋剤が有する官能基の数は限定しないが、ポリロタキサンの環状分子同士または環状分子と後述するような樹脂を架橋させるためには、架橋剤の一分子中に2個以上の官能基を有することが望ましい。また、架橋剤が複数の官能基を有する場合、それらの官能基は同一であっても異なっていてもよい。
さらにポリロタキサンと相溶する架橋剤がより好ましく、前記(A)成分のポリロタキサンとして水酸基を有する環状分子を含むものを用いた場合は、架橋剤として、イソシアネート類やその誘導体等が好適に用いられる。このイソシアネート樹脂としては、特に制限はない。またイソシアネート基をブロック化したブロック化イソシアネート樹脂も用いることができる。
一方、前記(A)成分のポリロタキサンとして、アクリル基もしくはメタクリル基を有する環状分子を含むものを用いた場合は、反応性樹脂としてアクリル樹脂を添加することができる。このアクリル樹脂についても特に制限はない。
前記樹脂組成物中の各成分の割合は、本発明の効果を発揮し得る限り特に制限はないが、前記(A)〜(C)成分の合計を100質量部として、(A)ポリロタキサンは10〜80質量部、より好ましくは30〜50質量部程度;(B)熱硬化性樹脂は10〜89.9質量部、より好ましくは30〜50質量部;(C)硬化剤は0.1〜30質量部、より好ましくは0.1〜20質量部程度である。なお、本実施形態の樹脂組成物が架橋剤としてイソシアネート樹脂を含む場合、イソシアネート樹脂は(A)ポリロタキサン成分に対して、0〜50質量部を添加することができ、さらには、10〜40質量部添加することが好ましい。
さらに、本実施形態に係る前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、硬化触媒(硬化促進剤)、難燃剤、難燃助剤、レベリング剤、着色剤等を必要に応じて含有してもよい。
本実施形態のポリロタキサンを含む樹脂組成物の調製方法については、特に限定はなく、例えば、まずポリロタキサン、硬化剤、架橋剤、熱硬化性樹脂及び溶媒を均一になるように混合させて本実施形態の樹脂組成物を得ることができる。使用する溶媒に特に限定はなく、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を使用することができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、粘度を調整するための有機溶剤や、各種添加剤を配合してもよい。
上述のようにして得られた樹脂組成物を加熱乾燥することによって、溶媒を蒸発させながら、硬化させ、フィルムを得ることができる。
樹脂組成物を加熱乾燥するための方法、装置、それらの条件については、従来と同様の各種手段、あるいはその改良された手段であってよい。具体的な加熱温度と時間は、使用する架橋剤や溶媒等によって適宜設定することができるが、例えば、50〜200℃で60〜120分間程度加熱乾燥することによって、前記樹脂組成物を硬化させることができる。
次に、本実施形態の樹脂組成物の具体的な実施形態のその他の例示として、例えば、(D)炭素数が2〜3のアルキレンオキサイド変性された変性基を有し且つその変性基がエポキシ1mol分子中に4mol以上含まれること、2mol以上のエポキシ基を有すること、及びエポキシ当量が450eq/mol以上であることを特徴とするエポキシ樹脂と、(E)硬化剤とを含む樹脂組成物が挙げられる。
前記(D)エポキシ樹脂としては、具体的には、プロピレンオキサイド付加型ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ADEKA製 EP4003S)、エチレンオキサイド付加型ヒドロキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル製 EG−280)等が挙げられる。
また、本実施形態の前記エポキシ樹脂を含む樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、上述したような(D)エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ビスフェノールS型エポキシ、アラルキルエポキシ、脂肪族エポキシ、脂環式エポキシ等がさらに含まれていてもよい。
その場合、全エポキシ樹脂成分中の(D)エポキシ樹脂の配合割合は、60〜99質量%程度、好ましくは、80〜95質量%程度である。
前記(E)硬化剤としては、エポキシ樹脂用の硬化促進剤として一般的に公知のものが使用できる。具体的には、フェノール樹脂、酸無水物、スルホニウム塩から選ばれるものが硬化性の点から好ましく、必要に応じて硬化促進剤たとえばイミダゾール系化合物やこれらの硬化剤を2種類以上組み合わせてもよい。
フェノール硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物硬化剤の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
スルホニウム塩の硬化剤の例としては、アルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩等を挙げることができる。これらの具体例としては、アルキルスルホニウム塩として、例えば4−アセトフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等を;ベンジルスルホニウム塩として、例えばベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を;ジベンジルスルホニウム塩として、例えばジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を;置換ベンジルスルホニウム塩として、例えばp−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等を、それぞれ挙げることができる。
前記樹脂組成物中の各成分の割合は、本発明の効果を発揮し得る限り特に制限はないが、樹脂組成物全量を100質量部として、(D)エポキシ樹脂は50〜99質量部、より好ましくは60〜80質量部程度;(E)硬化剤は1〜50質量部、より好ましくは1〜40質量部程度である。
さらに、本実施形態に係る前記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、硬化触媒(硬化促進剤)、難燃剤、難燃助剤、レベリング剤、着色剤等を必要に応じて含有してもよい。
本実施形態の前記エポキシ樹脂を含む樹脂組成物の調製方法については、特に限定はなく、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤及び溶媒を均一になるように混合する。使用する溶媒に特に限定はなく、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を使用することができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらにここで、必要に応じて、粘度を調整するための有機溶剤や、各種添加剤を配合してもよい。
なお、樹脂組成物を加熱乾燥するための方法、装置、それらの条件については、従来と同様の各種手段、あるいはその改良された手段であってよい。具体的な加熱温度と時間は、使用する架橋剤や溶媒等によって適宜設定することができるが、例えば、130〜200℃で60〜180分間程度加熱乾燥することによって、前記樹脂組成物を硬化させることができる。
次に、本実施形態の構造体において使用される電子素子としては特に限定はなく、例えば、トランジスタ、信号発信素子、発光素子、太陽発電素子、ダイオード、スイッチング素子、コンデンサー、コイル、液晶、電気泳動液などが挙げられる。
また、本実施形態の構造体において使用される電子素子は、酸素遮蔽、水分遮蔽、光遮蔽、保護、などの目的のため樹脂組成物で封止されていることが好ましい。封止する方法については特に限定はなく、例えば、液状の樹脂組成物を電子素子へ塗布する方法、電子素子を加圧により樹脂組成物へ埋め込む方法、エンボス加工した樹脂組成物の凹部へ電子素子を配置し、さらに平坦な樹脂組成物のシートで張り合わせる方法等を用いることができる。なお、封止に使用する樹脂としては、上述したような本実施形態の樹脂組成物を使用してもよいし、また発明の効果を大きく損なわない範囲で電子デバイスの分野で通常の封止目的で使用されている一般的な樹脂組成物を使用することも可能である。
本実施形態の構造体は、例えば、上述のようにして得られた樹脂組成物を上記したような電子素子に直接塗布するか、あるいは前記樹脂組成物を加熱乾燥することによって、溶媒を蒸発させ半硬化状態にした後、電子素子を配置するか、あるいは樹脂組成物の半硬化物を転写によって電子素子に密着させることで、得ることが出来る。
さらに、構造体の伸縮耐性を損なわない範囲で前記樹脂組成物に充填材を添加してもよい。充填材の種類は特に限定はされないが、例えば、熱伝導、低熱膨張、帯電防止、導電性、破壊強度などを向上させる目的で選択される無機物やエラストマーが挙げられる。
さらに、本実施形態の構造体は、上述したような電子素子と上述したような樹脂組成物とを、あるいは、構造体と外部の電子部材や通信対象物とを、電気的接続または信号通信する目的で、配線や電極等の導電部をさらに有していてもよい。配線を形成する方法は、特に限定はされないが、導電性のペーストやインクを、例えば、インクジェット印刷やスクリーン印刷、孔版印刷、凹版印刷、凸版印刷又は平版印刷等、公知の方法を用いることができる。また、電極を形成する方法は、特に限定はされないがカーボンナノチューブや金属ナノワイヤーや導電性高分子などの液状分散体を塗布または印刷により形成する方法、金属や金属酸化物の蒸着による方法、導電層を選択的に転写する方法などが挙げられる。
また、本実施形態の構造体の形状としては特に問わないが、例えば、本実施形態の樹脂組成物を樹脂シートとして、電子素子を内包あるいは搭載させたようなシート状の構成であってもよい。
さらには、上述したような樹脂組成物をフィルムとして形成した後、そこへ電子素子を配置あるいは転写によって密着させて得られる構造体であることが好ましい。そのような形態であれば、簡便に実装できかつ破壊耐性に優れる電子部材やデバイス等を実現することができると考えられる。前記フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、スピンコート、バーコータ、コンマコータなど汎用に使用する塗工機等を用いて、本実施形態の樹脂組成物をフィルムの形状にすることができる。
このようにして得られた本実施形態の構造体は、様々な用途においてエレクトロニクス用部材として用いることができる。特に、本実施形態の構造体を構成する樹脂組成物は柔軟かつ応力緩和性および復元性に優れ、伸縮性・屈曲性を兼ね備えているため、例えば、折り曲げ可能な電子ペーパー、有機ELディスプレイ、太陽電池、RFID、圧力センサ等に用いる構造体として非常に好適である。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一つの局面は、弾性変形可能で残留歪みが少なく、かつ応力緩和性を有することを特徴とする樹脂組成物と電子素子からなるエレクトロニクス用の構造体である。このように引張時の応力緩和性が高く、かつ、伸張後の復元性に優れるという特性を両立させることによって、柔軟かつ応力緩和性に優れた材料により、従来の電子部材で生じていた部材間剥離や破壊を抑制できる。さらに、本発明に係る構造体は変形等からの解放時には元の形状に戻ることができる。
ひいては、このような優れた材料を構造の一部または全部に用いることで、自由曲面への追従や大きな変形に対応可能な電子デバイス等を実現することができる。また、高い応力緩和性と復元性を両立するという特徴を有することから、光学分野、情報分野、接着分野、医療分野など様々な技術分野にも適用できる。
また、前記構造体に使用する前記樹脂組成物において、上述の伸張−復元試験により測定される応力緩和率Rおよび残留歪αが、以下の式を満たすことが好ましい。
20%≦R≦95%かつ
0%≦α≦3%
このような構成により、引張時の応力緩和性が高く、かつ、伸張後の復元性に非常に優れるという特性を合わせ持つ材料をより確実に得ることができる。
さらに、前記樹脂組成物において、前記伸張−復元試験で15〜20%の範囲で伸張させた場合、復元時と伸張時のそれぞれ歪み量に対する引張力の変化の傾きが:復元時の傾き/伸張時の傾き≦0.95となることが好ましい。
このような構成により、より優れた応力緩和性を有する材料を得ることができると考えられる。
また前記樹脂組成物において、前記伸張−復元試験で、最大伸張時(25%伸張時)に測定される応力値が最大応力値となること、並びに、
上述の応力緩和性試験において、伸張行程終了と同時に測定を開始した場合に、伸張行程終了直後の引張力FB0と伸張行程終了後30分経過した時の引張力F(t30)とが、以下の式を満たすことが好ましい。
0.1≦F(t30))/FB0≦0.7
このような構成により、応力緩和性および伸張後の復元性に非常に優れた材料をより確実に得ることができる。
さらに、前記樹脂組成物を用いて前記試験を2回以上繰り返し実施した場合においても、上述したような式を満たすような挙動を示すことが好ましい。これにより、より復元性に優れた材料を得ることができる。
さらに、前記樹脂組成物において、少なくとも熱硬化性樹脂およびその硬化剤を含んでいることが好ましい。それにより、応力緩和性および伸張後の復元性に非常に優れた材料をより確実に得ることができる。
また、前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂であることが好ましい。それにより、より高い応力緩和性とより高い復元性を両立させることができ、さらに耐熱性や強靭性を付加させることができる。
前記構造体において、前記樹脂組成物がフィルムの形態であることが好ましい。このようなフィルムを構造体用に用いれば、転写、成形といった広く使われている方法で簡単に電子素子と樹脂組成物で構造体を作成することが出来る。
さらに、前記構造体が、前記電子素子と前記樹脂組成物とを接続する導電部を有することが好ましい。それにより、素子同士で電気的に通信することやアンテナなどの送受信用配線形成が可能となるだけでなく、配線部を樹脂により補強することができる。
また、前記構造体が、外部から構造体へ電気的に接続する導電部を有することが好ましい。それにより、電子素子へ外部から電源を供給したり、他のパッケージ部品と実装基板の間に配置されることで層間の接続を兼ねることができる。
さらに、前記構造体において、前記電子素子の一部が前記樹脂組成物に密着していることが好ましい。それにより、実装された電子素子に対する外部からの応力を効率的に緩和し信頼性を高めることができる。
また、前記構造体において、前記電子素子の全体が前記樹脂組成物に覆われていることが好ましい。それにより、さらに電子素子に対する保護性能が向上し、例えば耐湿性、耐熱性、耐候性、耐酸化性、耐衝撃性等を向上させることができる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
まず、本実施例で用いた各種材料は次の通りである。
(ポリロタキサン)
・ポリロタキサン:(アドバンス・ソフトマテリアルズ社製「A1000」、PEGを軸分子、α−シクロデキストリンを環状分子とし、反応基としてOH基を有する)
(熱硬化性樹脂)
・エポキシ樹脂(三菱化学製「JER1003」、メチル基が7〜8個、2官能、分子量1300)
・エポキシ樹脂(DIC製「EXA−4816」、分子量824、メチル基多数、2官能)
・エポキシ樹脂(新日鉄住友金属化学製「YP50」、分子量60000〜80000、メチル基多数、2官能)
・プロピレンオキサイド付加型ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ADEKA製「EP4003S」)
・エチレンオキサイド付加型ヒドロキシフェニルフルオレン型エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル製「EG−280」)
(硬化剤)
・カチオン硬化剤(三新化学製「SI−150」、六フッ化アンチモンスルホニウム塩)
・多官能フェノール系硬化剤(日本化薬(株)製「GPH−103」、ビフェニルアラルキル型フェノール)
・エポキシ樹脂硬化剤(三菱化学製「YH−306」、酸無水物系硬化剤)
・イミダゾール系硬化促進剤(四国化成製「2E4MZ」、2エチル4メチルイミダゾール)
(その他添加成分)
・架橋剤:(イソシアネート、DIC製「DN950」)
〔樹脂組成物1〜5の調整及び評価サンプルの作成〕
下記表1に示す配合組成(質量部)で、固形分濃度が40質量%となるように、溶剤(メチルエチルケトン)に添加して、各成分を均一に混合し(300rpm、30分間)、樹脂組成物1〜5を調製した。
次に得られた樹脂組成物を、75μmのPETフィルム(支持体)上にバーコータで塗布し、100℃にて10分乾燥し、溶媒を除去した後、170℃で、60分間加熱硬化させた。
得られた硬化物を、厚み50μmのダンベル6号形状(測定部位幅4mm、平行部長さ25mm)のフィルムとし、以下の評価におけるサンプルとして用いた。
〔伸張−復元試験〕
本実施形態で用いられる伸張−復元試験では、上記実施例および比較例のサンプルを用いて、下記条件で伸張行程を行った後に復元行程を行い、下記算出方法によって応力緩和率R及び残留歪み率αを計算した。
(伸張行程条件)
試験片をつかみ具に取り付けたときに発生するたわみを除去するために、たわみ補正を0.05N以下の力で行った。
試験速度:25mm/min、0〜25%伸張まで
温度条件:23℃
伸張・保持条件:25%伸張で、保持時間5分
(復元行程条件)
試験速度:0.1mm/min、引張力が0±0.05Nになるまで
温度条件:23℃
応力緩和率算出方法:伸張行程終了時の引張力の測定を行い、これを初期引張力FA0とした。その後、上述の伸張・保持条件で歪量を保持し5分後に引張力を測定した。これをF(t10)とする。応力緩和率Rは下記式によって計算した。
Figure 2018188644
残留歪率算出方法:前記復元行程において、引張力が0±0.05Nとなった時点において、歪量の測定を行い、これを残留歪みαとした。
上記で得られた応力緩和率R及び残留歪み率αを表1に示す。
さらに、前記伸張−復元試験において、15〜20%の範囲で伸張させた場合の、復元時と伸張時のそれぞれ歪み量に対する引張力の変化の傾き(復元時の傾き/伸張時の傾き)を求めた。その結果も表1に示す。
〔応力緩和性試験〕
上記実施例および比較例のサンプルを用いて、ISO3384に準拠した引張−圧縮試験機で、下記条件で伸張行程を行い、伸張終了時の引張力の測定を行って、これを初期引張力FB0とした。その後、30分後に引張力F(t30)を測定した。
(伸張行程条件)
試験片をつかみ具に取り付けたときに発生するたわみを除去するために、たわみ補正を行う。たわみ補正は、0.05N以下の力で行った。
試験速度: 25mm/min、50%伸張まで
温度条件:23℃
伸張・保持条件:50%伸張で、保持時間30分
そして、F(t30)/FB0の計算値を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2018188644
〔樹脂組成物6〜8の調整と評価サンプルの作成〕
下記表1に示す配合組成(質量部)で、8については、固形分濃度が40質量%となるように、溶剤(メチルエチルケトン)に添加して、各成分を均一に混合し(300rpm、30分間)、樹脂組成物を調製した。
次に得られた樹脂組成物を、75μmのPETフィルム(支持体)上にバーコータで塗布し、100℃にて10分乾燥し、溶媒を除去した後、170℃で、60分間加熱硬化させた。
また、樹脂組成物6、7については、固形分濃度100%で各成分を均一に混合し(300rpm、30分間)、樹脂組成物を調整した。
次に得られた樹脂組成物を、75μmのPETフィルム(支持体)上にバーコータで塗布し、密閉状態としたうえで、170℃120分間加熱硬化させた。
得られた硬化物を、厚み50μmのダンベル6号形状(測定部位幅4mm、平行部長さ25mm)とし、以下の評価におけるサンプルとして用い、実施例1と同様に上述した伸張−復元試験および応力緩和性試験を行った。
その結果を表2に示す。
Figure 2018188644
〔構造体の作成〕
〔実施例1〕シリコンチップを搭載した構造体
実施例1−1
上記で調製した樹脂組成物1をPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱し、半硬化状態のシートを作成した。さらにその上にシリコンチップを100℃のホットプレート上で貼り合せ、さらに170℃1時間加熱硬化させてシート上にシリコンチップの乗ったシート状構造体を得た。
実施例1−2
上記で調製した樹脂組成物2をPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱をし半硬化状態のシートを作成した。さらにその上にシリコンチップを100℃のホットプレート上で貼り合せ、さらに170℃1時間加熱硬化させてシート上にシリコンチップの乗ったシート状構造体を得た。
比較例1
上記で調製した樹脂組成物4をPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱をし半硬化状態のシートを作成した。さらにその上にシリコンチップを100℃のホットプレート上で貼り合せ、さらに170℃1時間加熱硬化させてシート上にシリコンチップの乗ったシート状構造体を得た。
〔実施例2〕シリコンチップを埋設した構造体
実施例2−1
剥離処理されたペットにシリコンチップを配置し、上記で調製した樹脂組成物2をPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱し半硬化状態のシートを作成した。半硬化した樹脂面をシリコンチップ側にして設置し150℃で加熱加圧によりシリコンチップを樹脂層に埋没させた後、取り出し乾燥機で後加熱し樹脂を硬化させシリコンチップが樹脂組成物に埋没した形態のシート状構造体を得た。
実施例2−2
剥離処理されたペットにシリコンチップを配置し、上記で調製した樹脂組成物3をPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱し半硬化状態のシートを作成した。半硬化した樹脂面をシリコンチップ側にして設置し150℃で加熱加圧によりシリコンチップを樹脂層に埋没させた後、取り出し乾燥機で後加熱し樹脂を硬化させシリコンチップが樹脂組成物に埋没した形態のシート状構造体を得た。
比較例2
剥離処理されたペットにシリコンチップを配置し、上記で調製した樹脂組成物5ををPETフィルムに塗布して100℃10分間加熱し半硬化状態のシートを作成した。半硬化した樹脂面をシリコンチップ側にして設置し150℃で加熱加圧によりシリコンチップを樹脂層に埋没させた後、取り出し乾燥機で後加熱し樹脂を硬化させシリコンチップが樹脂組成物に埋没した形態のシート状構造体を得た。
〔評価および結果〕
上記実施例1〜2及び比較例1〜2で作製したそれぞれのシート状構造体について、その構造体の両端を掴み、10%及び30%伸張させて、その後伸張応力を解放して復元させた際における構造体の状態を確認した。結果を表3に示す。なお、評価は以下の基準で行った。
○ 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れることなく、元の状態に復元した
× 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れることないが、元の状態に復元しなかった
破壊NG 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れた。
Figure 2018188644
〔実施例3〕導電部を有する構造体
実施例3−1
PETフィルム上にLEDを設置し、その上から上記で調製した樹脂組成物3をバーコーターで塗布し80℃で溶剤を乾燥させた後、120℃で硬化させ片面封止したLEDを含むシート状構造体を得た。さらに構造体をPETフィルムから剥し取り、LEDの電極から電源と接続するためのリードとなる配線を金蒸着によって形成した。
実施例3−2
PETフィルム上にLEDを設置し、その上から上記で調製した樹脂組成物6をバーコーターで塗布し80℃で溶剤を乾燥させた後、150℃で硬化させ片面封止したLEDを含むシート状構造体を得た。さらに構造体をPETフィルムから剥し取り、LEDの電極から電源と接続するためのリードとなる配線を金蒸着によって形成した。
比較例3
PETフィルム上にLEDを設置し、その上から上記で調製した樹脂組成物8をバーコーターで塗布し80℃で溶剤を乾燥させた後、150℃で硬化させ片面封止したLEDを含むシート状構造体を得た。さらに構造体をPETフィルムから剥し取り、LEDの電極から電源と接続するためのリードとなる配線を金蒸着によって形成した。
〔評価:伸縮性の確認〕
上記実施例3及び比較例3で作製したそれぞれのシート状構造体について、その構造体の両端を掴み、また裏面のリード部と電源を接続しLEDを点灯させた状態で10%及び30%伸張させて、LEDの点灯状況の変化及びその後伸張応力を解放して復元させた際における構造体の状態を確認した。結果を表4に示す。なお、評価は以下の基準で行った。
○ 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れることなく、元の状態に復元した
× 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れることないが、元の状態に復元しなかった
破壊NG 伸張時に構造体の一部もしくは全部が壊れた。
Figure 2018188644
〔実施例4〕電気泳動溶液を用いた伸縮性表示用の構造体
実施例4
エンボス加工した金属プレートに、上記で調製した樹脂組成物1をバーコータで塗布し硬化させエンボス加工フィルムを得た。また、PETフィルムにバーコータで樹脂を塗布し半硬化状態のフィルムを得た。エンボス加工したフィルムを半硬化状態のフィルムに貼り合せ空間を持つ構造体を得た。
次に、カーボンナノチューブSWCNT「IsoNanotubes−M」(NanoIntegris社製)を0.1g秤量し、5重量%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液500gに入れ、超音波で24時間分散させて濃度0.02重量%のCNT分散水溶液を作製した。
さらに、上記実施例4で作製した空間を有する構造体の両側表面にこのCNT分散水溶液を塗布し、120℃で30分乾燥し溶媒を除去することにより構造体両側表面に導電層(導電部)を形成した。
次に黒色の正帯電粒子(カーボンブラック、三菱化学社製)及び白色の負帯電粒子(酸化チタン、テイカ社製)と分散剤(Solsperse17000、ルーブリゾール社製)、電荷調整剤(SPAN−85、試薬)を高沸点溶媒(Isoper−M、丸善石油化学社製)に投入して超音波分散させることにより電気泳動溶液を作製した。この電気泳動溶液を導電層付き構造体の中空部分にシリンジを用いて注入した。
注入口の再封止にはUV接着剤を用いて、表示素子部材を作製した。
比較例4
エンボス加工した金属プレートに上記で調製した樹脂組成物5をバーコータで塗布し硬化させエンボス加工フィルムを得た。また、PETフィルムにバーコータで樹脂を塗布し半硬化状態のフィルムを得た。エンボス加工したフィルムを半硬化状態のフィルムに貼り合せ空間を持つ構造体を得た。
この構造体を用いて実施例4と同様に表示素子部材を作成した。
〔評価:表示性の確認〕
実施例4で作製した表示素子部材の導電層に電圧印加することにより、プラス側が白色、マイナス側が黒色表示することを確認した。また10%及び30%伸張させた際にも同様の表示を確認し、さらに、電圧印加後においても伸張状態から復元し、同様の表示を確認した。しかし、比較例4で作成した表示素子部材においては表示は出来たが、伸張状態から復元せず、弛みが発生し元には戻らなかった。
〔考察〕
以上の結果より、本発明の構造体は、様々なエレクトロニクス用部材として非常に有用であることがわかった。

Claims (11)

  1. エレクトロニクス用部材に用いられる構造体であって、構成成分として、樹脂組成物および電子素子を含み、
    前記樹脂組成物が少なくとも(A)ポリロタキサン、(B)エポキシ樹脂及び(C)硬化剤を含み、
    (B)エポキシ樹脂の割合が、(A)ポリロタキサン、(B)エポキシ樹脂及び(C)硬化剤の合計を100質量部として、30から50質量部であることを特徴とするエレクトロニクス用構造体。
  2. (B)エポキシ樹脂が、分子量が500以上であり、かつ一分子中に2個以上のエポキシ基と3個以上のメチル基を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
  3. エレクトロニクス用部材に用いられる構造体であって、構成成分として、樹脂組成物および電子素子を含み、
    前記樹脂組成物が少なくとも
    (A)ポリロタキサン、
    (B)分子量が500以上であり、かつ一分子中に2個以上のエポキシ基と3個のメチル基を含むエポキシ樹脂、及び
    (C)硬化剤を含むことを特徴とするエレクトロニクス用構造体。
  4. (C)硬化剤の割合が、(A)ポリロタキサン、(B)エポキシ樹脂及び(C)硬化剤の合計を100質量部として、0.1から30質量部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の構造体。
  5. (A)ポリロタキサンが構造中に反応性の水酸基を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の構造体。
  6. エレクトロニクス用部材に用いられる構造体であって、構成成分として、樹脂組成物および電子素子を含み、
    前記樹脂組成物が(D)炭素数が2〜3のアルキレンオキサイド変性された変性基を有し且つその変性基がエポキシ1mol分子中に4mol以上含まれ、2mol以上のエポキシ基を有するとともにエポキシ当量が450eq/mol以上であるエポキシ樹脂、及び(E)硬化剤を含むことを特徴とするエレクトロニクス用構造体。
  7. 前記樹脂組成物がフィルムの形態であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の構造体。
  8. 前記電子素子と前記樹脂組成物とを接続する導電部を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の構造体。
  9. 外部から構造体へ電気的に接続する導電部を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の構造体。
  10. 前記電子素子の一部が前記樹脂組成物に密着していることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の構造体。
  11. 前記電子素子の全体が前記樹脂組成物に覆われていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の構造体。
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