JP2018188333A - 無機層状材料分散体、無機層状材料積層体の製造方法、及び無機層状材料積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を1質量部以上含有する、無機層状材料分散体を提供する。
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下含有し、JIS−K7127(1999)に準拠した引張試験において、弾性率が3GPa以上である、無機層状材料積層体を提供する。
本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示の1実施形態の無機層状材料分散体は、膨潤性粘土鉱物を除く無機層状物質の片であり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内であって、平均厚みが100nm以下である、無機層状材料1質量部に対して、
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を1質量部以上含有するものである。
無機層状物質のうち、単体としては例えば、リン(特に黒リン)等が挙げられ、無機層状化合物としては、例えば、グラファイトの類似化合物である六方晶窒化ホウ素(h−BN)、菱面体晶窒化ホウ素(r−BN)、乱層構造窒化ホウ素(t−BN)等の層状構造を含む窒化ホウ素;六方晶炭窒化ホウ素(h−BCN);遷移金属ダイカルコゲナイド(MCh2、ここで、M=Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W等の遷移金属、Ch=S,Se,Teから選ばれる少なくとも1種);13族カルコゲナイド(GaS,GaSe,GaTe,InSe等);14族カルコゲナイド(GeS,SnS2,SnSe2,PbO等);ビスマスカルコゲナイド(Bi2Se3,Bi2Te3)、天然物又は合成物の雲母、タルク、カオリン、パイロフィライト等の非膨潤性粘土鉱物等が挙げられる。
本開示に用いられる無機層状物質としては、中でも、グラフェンとよく似た結晶構造を有する、六方晶窒化ホウ素、六方晶炭窒化ホウ素(h−BCN)、及び遷移金属ダイカルコゲナイドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本開示の1実施形態の無機層状材料分散体において含まれる無機層状材料は、単層のナノシート又は前記平均面間隔が無機層状物質と同様の範囲内で複層化した片であって平均厚みが100nm以下であることから、2次元構造に起因する特殊な物性や、高い比表面積に対する応用を期待できるものである。
本開示の1実施形態の無機層状材料分散体は、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤によって、無機層状物質の薄片間の剥離が促進されて分散されてなるものであり、前記界面活性剤は、前記無機層状材料の再凝集を防止し分散性を安定的に保持するものである。一方で、前記界面活性剤は、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であることから、前記無機層状材料に対して強固に吸着しないものである。そのため、当該無機層状材料分散体は、無機層状物質の片が積層した自立膜を形成し易く、無機層状物質の2次元構造に起因する特殊な物性を損なわないような無機層状物質の薄片同士が直に隣接する積層体を形成することができる。
2次元構造に起因する特性としては、原料として用いられる無機層状物質の構成原子や原子配列等によるが、例えば、熱伝導性、高絶縁性、導電性、半導体性、磁性、強誘電性、焦電性、光磁気性、機械的特性、電磁波吸収性、電磁波反射性、非線形光学性、光吸収性、発光性等が挙げられる。
本開示によれば、前記無機層状材料が凝集し難く且つ加工し易い薄片のまま積層し、集積膜等の積層体を任意に形成することができるため、各種物性に優れた無機層状材料積層体を得ることができる。
本開示の無機層状材料は、無機層状物質の片であり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である。
本開示の無機層状材料は、X線回折法による平均面間隔や結晶構造の測定と、蛍光X線測定による含有元素の特定や赤外分光測定による層間挿入した有機物の特定等を組み合わせることにより、無機層状物質を同定することができる。
本開示の無機層状材料は、原料の無機層状物質の薄片間の剥離が促進されてなるものであるが、原料の無機層状物質と同様の平均面間隔を有するものであり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である。
例えば、通常、六方晶窒化ホウ素の(002)面の平均面間隔(d002)は0.335nmであるので、本開示の無機層状材料が六方晶窒化ホウ素の片である場合、平均面間隔(d002)は0.325nm以上0.345nm以下の範囲内にある。また、通常、二硫化モリブデンの(002)面の平均面間隔(d002)は0.616nmであるので、本開示の無機層状材料が二硫化モリブデンの片である場合、平均面間隔(d002)は0.606nm以上0.626nm以下の範囲内にある。
無機層状材料に対して、X線回折装置(粉末X線回折 例えば、株式会社リガク製、型名:Miniflex II)を用いて、CuKα線(λ=0.15418nm)による回折パターンから、ピーク位置の2θを特定し、Braggの回折式:λ=2d・sinθより、平均面間隔:dを算出することができる。
なお、本開示の無機層状材料の厚みは、無機層状材料の面積が最大になる方向から見た時の無機層状材料の表面に対して直交する方向の無機層状材料の最大寸法をいう。
本開示の無機層状材料の厚みは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。
本開示の無機層状材料の平均厚みは、基板上に無機層状材料を独立分散させた状態で厚みをAFMで測定し、200個の無機層状材料の厚みの測定値の平均値を算出することで求めることができる。
無機層状材料分散体をサンプリングし、溶媒で20〜2000倍に希釈して薄片を凝集させずに分散させた後に、孔径0.02μm以下のメンブレンフィルター上に塗布することで溶媒を濾別しメンブレンフィルター上に無機層状材料を凝集させずに独立した状態で配置させる。界面活性剤の溶解度が5(g/100g溶媒)以上の溶媒で無機層状材料を洗浄することにより界面活性剤を除去する。メンブレンフィルター上に凝集させずに独立した状態で配置された無機層状材料に、洗浄済みのシリコンウエハーを押し付け、剥がすことでシリコンウエハー上に無機層状材料を転写する。このシリコンウエハー上に独立分散した状態で付着している無機層状材料をAFMで測定し、薄片の厚みを測定する。AFM測定は、島津製作所製ナノサーチ顕微鏡SFT−3500における走査型プローブ顕微鏡(SPM)の機能を用い、コンタクトモード、即ちAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で走査範囲を10μm×10μmにして測定を行うことができる。シリコンウエハーに付着している無機層状材料におけるシリコンウエハーと無機層状材料の高さの差を無機層状材料の厚みとする。面方向サイズの最大径が10μmより大きい場合は、走査範囲を30μm×30μmにして測定することが出来る。更に面方向サイズの最大径が30μmより大きい場合は、島津製作所製ナノサーチ顕微鏡SFT−3500におけるレーザー顕微鏡(SLM)の機能を用い、走査範囲を例えば640×480μmにして、共焦点光学系の機能を用いて無機層状材料の厚みの測定を行うことができる。
無機層状材料の平均厚みは、AFM及び又はSLMにより、無機層状材料を合計200個観測できるまで上記操作を繰り返し、AFM及び又はSLMで観測された200個分の無機層状材料の厚みの測定値の平均値を算出することで求めることができる。
前記個数%は、無機層状材料の全個数に対する、該当する厚みの無機層状材料の個数の割合を表す。
本開示の無機層状材料分散体中の無機層状材料のレーザー回折式粒子径分布測定装置による粒度分布は、1μm未満が50個数%以下、1μm以上10μm以下が5個数%以上90個数%以下、10μm超過が10個数%以上90個数%以下であることが好ましく、1μm未満が30個数%以下、1μm以上10μm以下が10個数%以上70個数%以下、10μm超過が20個数%以上80個数%以下であることが更に好ましい。
また、本開示の無機層状材料分散体中の無機層状材料のレーザー回折式粒子径分布測定装置による個数分布平均値として求められる平均粒子径(D50 メディアン(中央値))は、無機層状物質の片が積層した自立膜を形成し易い点から、0.1μm以上500μm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
レーザー回折式粒子径分布測定装置による粒度分布の測定としては、無機層状材料分散体に含まれる界面活性剤の溶解度が5(g/100g溶媒)以上の溶媒で、無機層状材料分散体をレーザー回折式粒子径分布測定装置で測定可能な濃度に適宜希釈し、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば、島津製作所製、レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD−2300)を用いて25℃にて測定することができる。希釈の程度は、例えば、光路長6mmの粒度分布測定用セルにおいて吸光度が0.09を示す様に希釈することを目安にすることができる。また、粒度分布測定に必要なパラメータである分散体の屈折率は、分散体中の無機層状材料の屈折率を用いることができる。
本開示の無機層状材料分散体に用いられる界面活性剤は、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤である。
このような界面活性剤を選択して用いることにより、前記無機層状材料の再凝集を抑制しつつ、前記無機層状材料に強固に吸着しないため、前記無機層状材料の積層体を製造する際に、自立膜を形成し易く、無機層状物質の2次元構造に起因する特殊な物性を損なわないような無機層状材料の薄片同士が直に隣接する積層体を形成することができると推定される。
本開示の無機層状材料分散体に用いられる界面活性剤は、中でも25℃での粘度が、10mPa・s以上10,000mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以上1,000mPa・s以下であることが更に好ましい。
なお、本開示において25℃における粘度は、ASTMD4440に準じて測定するものをいう。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤としては、塩を形成していない、脂肪酸やスルホン酸、硫酸、リン酸等の陰イオン界面活性剤が挙げられ、例えば、ドデカン酸のような脂肪酸、ラウリル硫酸のようなモノアルキル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸のようなアルキルベンゼンスルホン酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、モノアルキルリン酸等が挙げられる。
本開示において界面活性剤の含有割合は、前記無機層状材料1質量部に対して、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を1質量部以上含有するものであるが、中でも、2質量部以上含有するものであることが好ましく、更に4質量部以上含有するものであることが、無機層状材料分散体の製造時に無機層状物質の薄片間の剥離が容易に進行し易い点から好ましい。一方、界面活性剤の使用効率の点からは、界面活性剤の含有割合は、前記無機層状材料1質量部に対して、500質量部以下含有するものであることが好ましく、更に100質量部以下含有するものであることが好ましい。
本開示の無機層状材料分散体においては、前記無機層状材料と、前記界面活性剤の他に、本開示の無機層状材料分散体の効果を損なわない範囲で、その他の成分を更に含有していても良い。その他の成分としては、溶媒、樹脂、各種添加剤等が挙げられる。
無機層状材料分散体に用いられる添加剤としては、例えば、可塑剤、消泡剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
本開示の無機層状材料分散体において、更に溶媒を含有する場合の、含有量としては、目的に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されない。中でも、無機層状材料分散体の製造時に無機層状物質の薄片間の剥離が容易に進行して無機層状材料が収率良く生成され、且つ、無機層状材料が再凝集し難く、分散安定性が良好になる点からは、溶媒の含有割合は、前記界面活性剤1質量部に対して、10質量部以下含有するものであることが好ましく、更に1質量部以下含有するものであることが好ましい。
本開示において前記溶媒は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本開示の無機層状材料分散体の粘度は、目的に応じて適宜選択されれば良く、特に限定されない。中でも、無機層状材料分散体の製造時に無機層状物質の薄片間の剥離が容易に進行して無機層状材料が収率良く生成され、且つ、無機層状材料が再凝集し難く、分散安定性が良好になる点から、本開示の無機層状材料分散体の25℃における粘度は、
300mPa・s以上であることが好ましく、3000mPa・s以上であることが更に好ましく、1万mPa・s以上であることがより更に好ましい。一方、取扱い易さの点からは、本開示の無機層状材料分散体の25℃における粘度は、10万mPa・s以下であることが好ましく、8万mPa・s以下であることが更に好ましい。
本開示の無機層状材料分散体は、所謂、ペースト状であることがより好ましい。
[無機層状材料分散体の製造方法]
本開示の1実施形態の無機層状材料分散体の製造方法は、膨潤性粘土鉱物を除く無機層状物質1質量部に対して、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤1質量部以上を加えて、混練する工程を有する。
本開示において原料として用いられる無機層状物質は、例えば、天然無機層状材料、人造無機層状材料等を適宜選択することができる。
本開示において原料として用いられる無機層状物質は、無機層状物質の純度が高い方が好ましく、純度が80%以上であるものを用いることが好ましい。
原料として用いられる無機層状物質の大きさは、特に限定されず、最終的に得ようとする無機層状材料の大きさに応じて選択される。
当該無機層状物質の分散処理前における粒径は、分散処理が可能な大きさであれば特に限定されないが、通常、最大径が100μm以下のものが好ましく用いられる。
また、本開示において用いられる前記界面活性剤の配合量としては、前述した界面活性剤の前記無機層状物質に対する含有割合と同様であって良いのでここでの説明は省略する。
混練するために用いられる装置としては、例えば、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ビーズミル、ジェットミル、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、一軸混練機、二軸混練機等が挙げられる。
なお、混練するために用いられる装置に供する前に、混合装置を用いて予め混合しても良い。このような混合装置としては、例えば、高粘度用ミキサー(プラネタリーミキサー、自転公転式ミキサー、ロッキングミキサー等)、撹拌羽根付き回転式攪拌機、ラボプラストミル等が挙げられる。
ロールミルの回転速度比は、混練時の粘度に合わせて適宜調整されれば良く、特に限定されないが、例えば、3本ロールミルの場合、第1ロール:第2ロール:第3ロールの回転速度比は、1:1.5〜30:2〜100であることが好ましく、更に、1:2〜20:3〜30であることが好ましい。
前述のように、無機層状材料分散体の製造時に無機層状物質の薄片間の剥離が容易に進行して無機層状材料が収率良く生成され、且つ、無機層状材料が再凝集し難く、分散安定性が良好になる点から、溶媒の含有割合は、前記界面活性剤1質量部に対して、
10質量部以下含有するものであることが好ましく、更に1質量部以下含有するものであることが好ましい。
前記無機層状材料分散体の製造方法を用いると、単層の無機層状材料、及び、100nm以下の範囲で複層化した無機層状材料の割合が20質量%以上の収率で、より好ましくは50質量%以上の収率で、より好ましくは70質量%以上の収率で、より更に好ましくは80質量%以上の収率で、無機層状材料を得ることが可能であり、90質量%以上の収率で無機層状材料を得ることも可能である。更には、前記無機層状材料分散体の製造方法を用いると、単層の無機層状材料、及び、50nm以下の範囲で複層化した無機層状材料の割合が20質量%以上の収率で、より好ましくは50質量%以上の収率で、より好ましくは70質量%以上の収率で、より更に好ましくは80質量%以上の収率で、無機層状材料を得ることが可能であり、90質量%以上の収率で無機層状材料を得ることも可能である。
無機層状物質は、二次元構造を有するナノシートが多層に積層した構造を有している。当該無機層状物質において、各層間にはファンデルワールス力が生じており、比較的弱い力で結合しているものと推定される。
一方で、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤は、無機層状物質に対して高粘度の分散媒となり得るものであるが、無機層状物質に対して比較的弱い力で結合するものである。
そのため、前記液状の界面活性剤に高粘度の状態で混合している無機層状物質に、混練することによって高いせん断力をかけることにより、無機層状物質の薄片間の剥離が容易に進行して無機層状材料が生成されて、且つ、剥離された無機層状材料が直ちに前記界面活性剤に弱い力で結合して囲まれて分散されやすいため、剥離された無機層状材料同士が直ちに凝集することが抑制される。当該剥離された無機層状材料は、混練を続けることによって更に薄片間の剥離が容易に進行されることから、比較的厚みが薄い無機層状材料を高収率で得ることができる。
このような工程としては、例えば、更に、充分に薄片化されなかった無機層状材料を除去するための分級工程を含んでいても良い。
上記分級工程は、従来公知の分級方法の中から適宜選択して用いることができる。一方、前記製造方法により得られる無機層状材料は、充分に薄片化されていない無機層状材料がほとんど残留しないため、当該分級工程を行うことなく、2次元構造に起因する特性に優れた本開示の無機層状材料を得ることができる。
また、前記無機層状材料分散体を調製後、優れた2次元構造に起因する特性を有する無機層状材料積層体を製造するために、粘度を調整すべく、更に溶媒を添加する工程を有していても良い。
また、他の工程としては、例えば、樹脂や、各種添加剤を添加する工程を有していても良い。無機層状材料分散体に用いられる添加剤としては、上述と同様であって良い。
本開示の1実施形態の無機層状材料分散体に含まれる無機層状材料は2次元構造に起因する特性に優れるため、本開示に係る無機層状材料分散体は、優れた2次元構造に起因する特性を有する無機層状材料積層体を製造するための予備調製物として優れている。
また、無機層状材料分散体に樹脂等を添加して、樹脂組成物として用いても良い。
本開示の1実施形態の無機層状材料積層体の製造方法は、前記本開示の1実施形態の無機層状材料分散体を成膜又は成形する工程を有する、
無機層状物質の片である無機層状材料が積層されてなる、無機層状材料積層体の製造方法である。
無機層状材料積層体の好適な成膜方法としては、濾紙、メンブレンフィルター等の多孔質基材上に前記無機層状材料分散体を滴下し、濾過することにより液状成分を除去して成膜する方法が挙げられる。また、無機層状材料積層体の好適な成形方法としては、例えば、多孔質の型に前記無機層状材料分散体を入れ、液状成分を除去して成形する、鋳込み成形のような方法が挙げられる。液状成分を除去する際には、適宜加熱や減圧処理することにより液状成分を除去してもよい。
液状成分としては、前記本開示の1実施形態の無機層状材料分散体に含まれる、25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、必要に応じて含まれる溶媒等が挙げられる。
この方法によれば界面活性剤を溶媒と共に適切に除去することが可能であることから、2次元構造に起因する特性に優れた無機層状材料積層体とするのに適している。
なお、液状成分を除去する前に溶媒を添加して混合し、十分に粘度を低くしてから放置すると、無機層状材料の分散安定性が悪化する可能性がある。そのため、成膜又は成形する前に溶媒を添加して混合してから、成膜又は成形するまでの時間は、24時間以内であることが好ましく、6時間以内であることが好ましい。
加圧工程における圧力としては、適宜調整されればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ロールプレスの場合、線圧は50N/mm以上であることが好ましく、更に100N/mm以上であることが好ましい。また、面プレスの場合、圧力は10MPa以上であることが好ましく、更に40MPa以上であることが好ましい。
当該洗浄する工程は、中でも、前記圧縮処理工程前よりも、前記圧縮処理工程後に行うことが、機械強度が高い自立膜を得る点から好ましい。
本開示の1実施形態の無機層状材料積層体は、膨潤性粘土鉱物を除く無機層状物質の片であり、平均厚みが100nm以下である無機層状材料が積層されてなり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である、無機層状材料積層体であって、
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下含有し、JIS−K7127(1999)に準拠した引張試験において、弾性率が3GPa以上である、無機層状材料積層体である。
前述のように、本開示に係る無機層状材料は平均厚みが100nm以下であって2次元構造に起因する特性に優れる。また、無機層状材料に強固に吸着しない前記界面活性剤を特定量で含有することにより、完全に除去する場合に比べて無機層状材料の凝集が抑制され、無機層状材料が部分的に凝集した粒状物の集合体となることが抑制されて、無機層状材料の積層体の自立性を向上させ、フレキシブルな集積膜が作製され、機械強度を向上させつつ、無機層状材料の物性に悪影響を与えない。また、当該無機層状材料積層体のX線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である。これらのことから、前記本開示の1実施形態の無機層状材料積層体は、機械強度に優れたものとなり、無機層状物質の2次元構造に起因する優れた特性を有する。
なお、本開示の1実施形態の無機層状材料積層体に含まれる無機層状材料としては、前述の無機層状材料分散体に含まれる無機層状材料と同様であって良いので、ここでの説明を省略する。
また、本開示に係る無機層状材料積層体は、前記本開示の無機層状材料の各々の少なくとも一部が互いに接触しているものであっても良い。本開示に係る無機層状材料積層体は、前記本開示の無機層状材料の各々が、厚み方向の側面同士で接触しているものであっても良い。
本開示に係る無機層状材料積層体が膜乃至シート状である場合、厚みは特に限定されるものではない。可撓性を有するようにする点から、本開示に係る無機層状材料積層体が膜乃至シート状である場合の厚みは1mm以下であることが好ましく、更に200μm以下であることが好ましい。
また、本開示に係る無機層状材料積層体は、前記本開示に係る無機層状材料が積層されてなるものであることから、曲面や凹凸の多い被着体に対しても追従させることができる。
本開示に係る無機層状材料積層体においても、前記本開示の無機層状材料と同様に、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である。
なお、当該界面活性剤の含有割合は、後述の無機層状材料の含有割合と同様に、例えば、無機層状材料積層体を80℃での真空乾燥により残留溶媒等の揮発分を除去した後、熱重量分析装置を用いて、窒素雰囲気下、室温から100℃まで昇温し、100℃で30分保持した後、昇温速度10℃/分で100℃から800℃まで加熱して熱重量分析を行い、無機層状材料に由来しないものの質量減少を確認することにより、算出することができる。また、含まれる界面活性剤の構造の確認や、界面活性剤とバインダー成分とを含む無機層状材料積層体における界面活性剤の含有割合は、更に、無機層状材料積層体のTOF−SIMS分析を行ったり、無機層状材料積層体から有機成分を溶媒抽出後に、NMR、IR、LC−MS、GC−MS等の分析を適宜組み合わせて行うことにより、決定することが出来る。
本開示に係る無機層状材料積層体のJIS−K7127(1999)に準拠した引張弾性率は、引張り試験機(例えば島津製作所製:オートグラフAG−X 1N、ロードセル:SBL−1KN)を用い、幅5mm×長さ30mmの試験片を切り出して、25℃で、引張り速度0.05mm/min、チャック間距離は20mmとして測定することができる。前記引張弾性率を求める際の無機層状材料積層体は、膜乃至シート状であり、厚みが10μm以上2mm以下であることが好ましく、更に1mm以下であることが好ましく、より更に200μm以下であることが好ましく、面方向は5mm×30mm以上であることが好ましい。
無機層状材料積層体の空隙率としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下が更に好ましく、10%以下がより更に好ましい。
ここで空隙率は、各無機層状材料固有の真密度(ρT)と無機層状材料積層体の密度(ρ1)から、下記式より算出することができる。
空隙率=(ρT−ρ1)/ρT × 100 [%]
本開示に係る無機層状材料積層体の熱拡散率に異方性がある場合には、当該熱拡散率は、本開示に係る無機層状材料積層体の最大値をいうこととする。
無機層状物質の熱伝導率に異方性がある場合、本開示に係る無機層状材料積層体の熱拡散率にも異方性が生じる。このような場合、通常、無機層状物質の単位層方向である面方向の熱伝導率が大きくなることから、無機層状材料積層体も面方向の熱拡散率をいう場合が多い。
本開示に係る無機層状材料積層体の熱拡散率は、熱物性測定装置(例えば、株式会社べテル製、サーモウエイブアナライザTA3)によって周期加熱放射測温法により測定することができる。
当該含有割合は、例えば、無機層状材料積層体を80℃での真空乾燥により残留溶媒等の揮発分を除去した後、熱重量分析装置を用いて、窒素雰囲気下、室温から100℃まで昇温し、100℃で30分保持した後、昇温速度10℃/分で100℃から800℃まで加熱して熱重量分析を行い、無機層状材料に由来しないものの質量減少を確認することにより、無機層状材料の含有割合を求めることができる。
なお、本開示に係る無機層状材料積層体において、無機層状材料以外に、無機バインダー等の無機成分が更に含まれるかどうかについては、TOF−SIMS分析により確認することができる。他の無機成分が更に含まれる場合には、無機層状材料積層体中における、他の無機成分の含有割合は、TOF−SIMS分析により、無機層状材料に相当する複数の成分のカウント数を求め、無機層状材料の合計値の総カウント数に対する割合から求めることができる。
無機層状材料積層体を液体窒素に浸漬後、二つに割る。割れた断面を走査型電子顕微鏡により観察する。走査型電子顕微鏡としては、例えば、(株)日立ハイテクノロジーズ製 SU8020を用い、表示サイズを345mm×259mmとした場合、倍率を1万倍〜20万倍にして電子顕微鏡写真を撮影する。無機層状材料積層体を構成する無機層状材料の厚みを合計200個観測できるまで、断面の撮影を繰り返し、顕微鏡写真に写された200個それぞれの厚みの長さを計測し、平均値を算出することで無機層状材料積層体を構成する無機層状材料の平均厚みを求めることができる。
[評価方法]
粘度は、ASTMD4440に準じて、温度コントローラー付属のサーモハーケ社製、粘度粘弾性測定装置:MARS3を使用し、せん断速度1(1/秒)での値を測定した。
無機層状材料または無機層状材料積層体に対して、XRD(粉末X線回折 株式会社リガク製、型名:Miniflex II)を用いて、CuKα線(λ=0.15418nm)による回折パターンから、ピーク位置の2θを特定し、Braggの回折式:λ=2d・sinθより、平均面間隔:dを算出した。
以下の例のうち、六方晶窒化ホウ素においては平均面間隔(d002)を測定した。通常、六方晶窒化ホウ素の平均面間隔(d002)は0.335nmである。
無機層状材料分散体、当該無機層状材料分散体を含む混合液をサンプリングし、使用した界面活性剤の溶解度が5(g/100g溶媒)以上の溶媒で20倍〜2000倍に希釈した後に孔径0.02μmのメンブレンフィルター上に塗布することで溶媒を濾別しメンブレンフィルター上に薄片を凝集させずに独立した状態で配置させた。更に分散剤の溶解度が5(g/100g溶媒)以上の溶媒で洗浄することにより分散剤を除去した。無機層状材料を載せた状態でメンブレンフィルターの上に洗浄済みのシリコンウエハーを押し付け、剥がすことでシリコンウエハー上に無機層状材料を転写した。このシリコンウエハー上に独立分散した状態で付着している無機層状材料をAFMで測定した。尚、AFM測定は、島津製作所製ナノサーチ顕微鏡SFT−3500における走査型プローブ顕微鏡(SPM)の機能を用い、コンタクトモード、即ちAFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)で走査範囲を10μm×10μm、面方向サイズの最大径が10μmより大きい場合は、走査範囲を30μm×30μmにして、シリコンウエハー上に付着している無機層状材料におけるシリコンウエハーと無機層状材料の高さの差を各無機層状材料の厚みとして各薄片の厚みを測定した。更に面方向サイズの最大径が30μmより大きい場合は、島津製作所製ナノサーチ顕微鏡SFT−3500におけるレーザー顕微鏡(SLM)の機能を用い、走査範囲を640×480μmにして、共焦点光学系の機能を用いて無機層状材料の厚みの測定を行った。
無機層状材料の平均厚みは、AFM及びSLMにより、無機層状材料を合計200個観測できるまで上記操作を繰り返し、AFM及びSLMで観測された200個分の無機層状材料の厚みの測定値の平均値を算出することで求めることができる。
得られた無機層状材料分散体を、光路長6mmの粒度分布測定用セルにおいて吸光度が0.09を示す様に界面活性剤の溶解度が5(g/100g溶媒)以上の溶媒で希釈し、レーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所製、レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD−2300)を用いて25℃にて、無機層状材料分散体の粒度分布を測定した。なお、粒度分布測定に必要なパラメータである分散体の屈折率は、窒化ホウ素の2.3+0.02i(0.02iは虚数部)を用いて測定した。
無機層状材料積層体を液体窒素に浸漬後、二つに割る。割れた断面を走査型電子顕微鏡により観察した。走査型電子顕微鏡としては、 (株)日立ハイテクノロジーズ製 SU8020を用い、表示サイズを345mm×259mmとした場合、倍率を1万倍〜20万倍にして電子顕微鏡写真を撮影した。無機層状材料積層体を構成する無機層状材料の厚みを合計200個観測できるまで、断面の撮影を繰り返し、顕微鏡写真に写された200個それぞれの厚みの長さを計測し、平均値を算出することで無機層状材料積層体を構成する無機層状材料の平均厚みを求めた。
得られた無機層状材料積層体の密度(ρ1)は、無機層状積層体を長方形にカットし、直方体に見立てて、縦と横の長さは定規で測定し、厚みは高精度デジタル測長機((株)ミツトヨ製ライトマチックVL−50S−B)で測定して、体積を算出し、重量を精密天秤で測定し、重量÷体積により求めた。
無機層状材料固有の真密度(ρT)は、X線回折法による平均面間隔の測定により同定される無機層状材料の理論密度をいい、国立研究開発法人である物質・材料研究機構の提供する無機材料データベース「Atom Work」、もしくは一般社団法人化学情報協会の提供するデータベースである「SciFinder」を参照することにより求めることができる。
空隙率は、各無機層状材料固有の真密度(ρT)と無機層状材料積層体の密度(ρ1)から、下記式より算出することができる。
空隙率=(ρT−ρ1)/ρT × 100 [%]
無機層状材料積層体のJIS−K7127(1999)に準拠した引張弾性率は、引張り試験機(例えば島津製作所製:オートグラフAG−X 1N、ロードセル:SBL−1KN)を用い、幅5mm×長さ30mmの試験片を切り出して、25℃で、引張り速度0.05mm/min、チャック間距離は20mmとして測定した。
株式会社べテルのサーモウエイブアナライザTA3(周期加熱放射測温法)を用いて熱拡散率を測定した。
具体的には、装置の試料台に測定対象の無機層状材料積層体を設置し、予め測定した厚みを入力し、装置を稼働して熱拡散率を測定した。
無機層状材料積層体を80℃での真空乾燥により残留溶媒等の揮発分を除去した後、熱重量分析装置を用いて、窒素雰囲気下、室温から100℃まで昇温し、100℃で30分保持した後、昇温速度10℃/分で100℃から800℃まで加熱して熱重量分析を行い、無機層状材料に由来しないものの質量減少を確認することにより、得られた無機層状材料積層体に含まれる無機層状材料と界面活性剤の含有割合を求めた。
(1)無機層状材料と無機層状材料分散体の製造
六方晶窒化ホウ素(デンカ社製、商品名:デンカボロンナイトライド粉XGP)0.5gと非イオン性界面活性剤(和光純薬工業社製Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート);水への溶解度 >5(g/100g溶媒)、25℃における粘度 200mPa・s)2.0gを混合し、ロールミル(アイメックス(株)社製、型番:BR−100V、ロール材質:ジルコニア、三本のロール回転比「1:2.4:6」)にて、最も速く回転するロールの速度が300rpmの状態で60分処理することにより、無機層状材料1が分散した無機層状材料分散体1を得た。無機層状材料分散体1の25℃における粘度は、27000mPa・sであった。
図1に、無機層状材料分散体1を構成する無機層状材料1のAFM写真の1つを示す。
(1)で得られた無機層状材料分散体1を水で20倍に希釈後、メンブレンフィルター(孔径:約0.1μm)を用いて濾過することにより、直径36mm、厚み約30μmの円形の無機層状材料積層体1を得た。
また、無機層状材料積層体1は、JIS−K7127(1999)に準拠したシート形状の引張試験において、弾性率が0.3GPaであった。
圧縮処理後の無機層状材料積層体1’の空隙率は10%であった。
また、圧縮処理後の無機層状材料積層体1’は、JIS−K7127(1999)に準拠したシート形状の引張試験において、弾性率が4.1GPaであった。
また、圧縮処理後の無機層状材料積層体1’の熱拡散率は3.3×10−5m2/sであった(ステンレス:SUS304の熱拡散率は4.1×10−6m2/s)。
また、図3に、無機層状材料積層体1’のSEM写真(1000倍)、図4に、無機層状材料積層体1’のSEM写真(5000倍)を示す。
圧縮処理後の無機層状材料積層体1’の断面の走査顕微鏡観察により、構成する無機層状材料の平均厚みは53nmと観測された。図5に、圧縮処理後の無機層状材料積層体1’の断面SEM写真(40000倍)を示す。
また、無機層状材料積層体1’には前記非イオン性界面活性剤が21質量%含まれていた。
(1)無機層状材料と無機層状材料分散体の製造
六方晶窒化ホウ素(デンカ社製、商品名:デンカボロンナイトライド粉XGP)0.5gとアニオン性界面活性剤(東京化成工業社製ドデシルベンゼンスルホン酸;水への溶解度 25(g/100g溶媒)、25℃における粘度 1200mPa・s)1.3gと1−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製、特級)0.7gを混合し、ロールミル(アイメックス(株)社製、型番:BR−100V、ロール材質:ジルコニア、三本のロール回転比「1:2.4:6」)にて、最も速く回転するロールの速度が300rpmの状態で60分処理することにより、無機層状材料2が分散した無機層状材料分散体2を得た。無機層状材料分散体2の25℃における粘度は、42000mPa・sであった。
(1)で得られた無機層状材料分散体2を水で20倍に希釈後、メンブレンフィルター(孔径:約0.1μm)を用いて濾過することにより、直径36mm、厚み約30μmの円形の無機層状材料積層体2を得た。
また、無機層状材料積層体2は、JIS−K7127(1999)に準拠したシート形状の引張試験において、弾性率が0.4GPaであった。
また、圧縮処理後の無機層状材料積層体2’の空隙率は12%であった。
また、圧縮処理後の無機層状材料積層体2’は、JIS−K7127(1999)に準拠したシート形状の引張試験において、弾性率が4.2GPaであった。
また、圧縮処理後の無機層状材料積層体2’の熱拡散率は2.4×10−5m2/sであった。
無機層状材料積層体2’についてX線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)を測定した。無機層状材料積層体2のピークは2θ=26.64°に位置し、平均面間隔(d002)は0.335nmと算出され、原料窒化ホウ素のデンカボロンナイトライド粉XGPと同様であった。
圧縮処理後の無機層状材料積層体2’の断面の走査顕微鏡観察により、構成する無機層状材料の平均厚みは30nmと観測された。
また、無機層状材料積層体2’には前記アニオン性界面活性剤が17質量%含まれていた。
Claims (5)
- 膨潤性粘土鉱物を除く無機層状物質の片であり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内であって、平均厚みが100nm以下である、無機層状材料1質量部に対して、
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を1質量部以上含有する、無機層状材料分散体。 - 前記界面活性剤1質量部に対して、溶剤を10質量部以下含有し、25℃における粘度が300mPa・s以上である、請求項1に記載の無機層状材料分散体。
- 前記無機層状材料と前記界面活性剤との合計含有量が、前記界面活性剤を溶解する溶媒を除く固形分中に、90質量%以上である、請求項1又は2に記載の無機層状材料分散体。
- 前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無機層状材料分散体を成膜又は成形する工程を有する、
無機層状物質の片である無機層状材料が積層されてなる、無機層状材料積層体の製造方法。 - 膨潤性粘土鉱物を除く無機層状物質の片であり、平均厚みが100nm以下である無機層状材料が積層されてなり、X線回折法による平均面間隔が前記無機層状物質の平均面間隔±0.01nmの範囲内である、無機層状材料積層体であって、
25℃で液状の非イオン界面活性剤、及び有機カチオンを含まない25℃で液状の陰イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.1質量%以上30質量%以下含有し、JIS−K7127(1999)に準拠した引張試験において、弾性率が3GPa以上である、無機層状材料積層体。
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