以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図7を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
(実施形態)
図1は本発明の実施形態に係る浴室ユニット100の外観を示す斜視図、図2は浴室ユニット100の正面図、図3は図2に示すA−A線による浴室ユニット100の断面図である。浴室ユニット100は、浴槽1、扉2、枠部4、壁部61および排水部7等を備える。浴槽1は、平面視矩形状をなし、湯を溜めることができる深皿状であり、底部11に排水口12を有する。浴槽1の下方には、排水口12に接続される排水部7が設けられている。浴槽1は、周縁部10に配設された壁部61および扉2によって周囲が覆われて囲繞されており、上方を天井62によって覆われている。
浴槽1は、直方体状のフレーム構造体である架台80の上部に周縁部10が支持されており、該架台80の内側に収容される。架台80は、下部の四隅等に脚部80aを有し、脚部80aによって室内の床111に載置されている。尚、浴室ユニット100は、浴槽1の上方の壁部61に配設されるシャワー装置および吐水装置等を備えるが、これらの装置については図示を省略する。
壁部61は、浴槽1の長手方向に沿う一側に配設された壁体61a、浴槽1の長手方向の両端部であって壁体61aの両側に配設される壁体61bおよび61cで構成されている。扉2は、浴槽1の長手方向に沿う他側に配設されており、壁体61aに対向する。扉2は、引き違い戸であり、内障子2aおよび外障子2bともスライドさせることにより開閉することができる。扉2は、浴槽1の周縁部10および天井62の間に設けられており、枠部4内に嵌め込まれている。
内障子2aは、長方形状に組み立てられた戸先框21、戸尻框22、下框23および上框24の内側にガラス製または樹脂製等の板20を嵌め込んで構成されている。また、外障子2bは、長方形状に組み立てられた戸先框31、戸尻框32、下框33および上框34の内側にガラス製または樹脂製等の板30を嵌め込んで構成されている。
枠部4は、左縦枠4a、右縦枠4b、下枠4c、上枠4dおよび下端枠4eを備え、浴槽1の長手方向に沿う他側に配設されている。左縦枠4aおよび右縦枠4bは、浴槽1の隅部に配設されており、浴槽1の周縁部10の下方から上方に亘って直線状に延びている。左縦枠4aおよび右縦枠4bの下端部は、浴室ユニット100を載置する床111に接触または若干の隙間が空く程度に床111に近接している。左縦枠4aおよび右縦枠4bは、上端側が、ほぼ天井62の高さ位置まで延びている。下枠4cは、浴槽1の周縁部10上に添うように、左縦枠4aおよび右縦枠4b間に設けられている。上枠4dは、左縦枠4aおよび右縦枠4bの上端部に連結されている。また、下端枠4eは、左縦枠4aおよび右縦枠4bの下端部に連結されている。
左縦枠4a、右縦枠4b、下枠4cおよび下端枠4eで囲まれる領域には、着脱可能にエプロン部63が嵌め込まれており、扉2側の浴槽1の側部を遮蔽する。エプロン部63を取り外すことで、浴槽1の側方から浴槽1裏の排水部7の点検および修理等を行うことができる。尚、浴室ユニット100は、浴槽1の側方に洗い場床が設けられておらず、浴槽1内で入浴が行われるものである。
排水部7は、トラップ部71、オーバーフロー配管72および排水管接続部73を備え、床111と浴槽1との間に設けられる。トラップ部71は、浴槽1の排水口12に連結される受け口71aを有し、浴槽1からの排水を排水管接続部73へ流す。トラップ部71は、内部に水が溜まった状態を保ち、排水経路を排水で封じる。オーバーフロー配管72は、一端部がトラップ部71に連結され、他端部が浴槽1に設けられたオーバーフロー栓(図示略)に連結される。
排水管接続部73は、一端部がトラップ部71に連結され、他端部に排水配管が接続され、該排水配管は建築側の排水口に接続される。排水管接続部73は、トラップ部71からの排水を建築側の排水口へ流す。排水管接続部73は、十分な排水量を確保するために、より内径寸法が大きい排水配管が接続できるものとする必要があり、例えばA50(外径約60mm)サイズの排水配管が接続できるものとする。排水管接続部73は、トラップ部71側から建築側の排水口へ向けて下降する勾配をつけてある。排水管接続部73は、例えば1/50の勾配をつけてあり、浴槽1の下方で1mの距離に亘って配管接続したときにトラップ部71側と建築側の排水口側との高低差が20mmとなる。
図4は扉2の中央部における縦断面図であり、図5は車輪部35の外観を示す斜視図である。図4において、紙面の左右方向は見込み方向であり、紙面に垂直な方向は見付け方向である。内障子2aは、戸先框21および戸尻框22の上部に取り付けられた車輪部25を有している。車輪部25は、戸先框21および戸尻框22の上部に固定された本体部25aと、本体部25aに見込み方向の軸回りに回転可能に支持される車輪25bとを有する。車輪25bは、上枠4dに設けたレール部51に載せられている。レール部51は、細長い板状をなし、見込み方向に車輪25bが載せられる程度の幅寸法を有し、上枠4dの全長に亘って延びる。内障子2aは、レール部51によって支持されており、車輪25bが回転しながらレール部51を走行することによって開閉する。
同様に、外障子2bは、戸先框31および戸尻框32の上部に取り付けられた車輪部35を有している。車輪部35は、戸先框31および戸尻框32の上部に固定された本体部35aと、本体部35aに見込み方向の軸回りに回転可能に支持される車輪35bとを有する。車輪35bは、上枠4dに設けたレール部52に載せられている。レール部52は、細長い板状をなし、見込み方向に車輪35bが載せられる程度の幅寸法を有し、上枠4dの全長に亘って延びる。外障子2bは、レール部51によって支持されており、車輪35bが回転しながらレール部51を走行することによって開閉する。
内障子2aの下框23は、下枠4cに案内される被案内板26を有する。被案内板26は、見付け方向に垂直な断面が逆さL字状をなし、下框23の全長に亘って細長く延びる。被案内板26は、L字状の水平な一辺側が下框23の底部に取り付けられており、鉛直に配設される他辺側が後述する下枠4cの案内溝54cに嵌め込まれる。外障子2bの下框33は、下枠4cに案内される被案内板36を有する。被案内板36は、見付け方向に垂直な断面が逆さL字状をなし、下框33の全長に亘って細長く延びる。被案内板36は、L字状の水平な一辺側が下框33の底部に取り付けられており、鉛直に配設される他辺側が後述する下枠4cの案内溝54dに嵌め込まれる。
下枠4cは、基台部53、並びに、内障子2aおよび外障子2bを案内するガイド部54を有する。浴槽1の扉2側の周縁部10下方には、周縁部に沿って延びるフレーム体80bが設けられており、フレーム体80bにアングル部材82が固定されている。アングル部材82は、見付け方向の断面が横L字状をなし、左縦枠4aから右縦枠4bに亘って延びる。基台部53は、アングル部材82に固定され、アングル部材82と扉2側の浴槽1の周縁部10とを跨ぐように設けられており、左縦枠4aから右縦枠4bに亘って延びる。
基台部53は、見込み方向における浴槽1の周縁部10側に形成される座部53a、見込み方向における周縁部10側の反対側に形成される外縁部53b、およびガイド部54を把持する把持部53cを有する。座部53aの上面は、平坦状であり、浴槽1側に向うにつれて下降する緩い勾配をもつ。この勾配によって、座部53aの上面に降りかかった水は、浴槽1の周縁部10へ流れ落ちる。外縁部53bは、座部53aよりも一段高く形成されており、水が外部に流れ出ないように堰き止める。把持部53cは、座部53aと外縁部53bの間に形成されており、上方に開口する凹所をなす。
ガイド部54は、脚部54a、対向面部54b、案内溝54cおよび案内溝54dを有する。脚部54aは、基台部53の把持部53cに上方から差し込まれ、把持部53cによって把持されている。ガイド部54は、脚部54aを把持部53cに差し込むことで基台部53に取り付けられ、脚部54aを把持部53cから引き抜くようにして取り外すことができる。
対向面部54bは、内障子2aの下框23および外障子2bの下框33の底部に対向するガイド部54の上面として形成されている。対向面部54bによって形成されるガイド部54の上面は、平坦状であり、浴槽1側に向うにつれて下降する緩い勾配をもつ。この勾配によって、ガイド部54の上面に降りかかった水は、浴槽1の周縁部10へ流れ落ちる。案内溝54cは、内障子2aの下框23に設けた被案内板26に対応する位置において、対向面部54bを穿つようにして左縦枠4aから右縦枠4bに亘って設けられている。案内溝54dは、外障子2bの下框33に設けた被案内板36に対応する位置において、対向面部54bを穿つようにして左縦枠4aから右縦枠4bに亘って設けられている。案内溝54cおよび54dの側面部には、水抜き孔(図示略)が設けられている。
案内溝54cの開口部の縁にはパッキン55が、案内溝54dの開口部の縁にはパッキン56が設けられている。パッキン55は、内障子2aの下框23に設けた被案内板26に接触する。パッキン56は、外障子2bの下框33に設けた被案内板36に接触する。パッキン55およびパッキン56は、案内溝54cおよび案内溝54dにおける隙間を塞ぐことで、浴室ユニット100内から扉2を通して外部へ水が流出することを防ぐ。パッキン55およびパッキン56は、見込み方向に突起して、案内溝54cおよび案内溝54dを部分的に覆うように配設されている。
対向面部54bは、2つの案内溝54cによって3つの部分に隔てられるが、各部分によって形成されるガイド部54の上面の面積は、案内溝54cの開口面積よりも広い。また、パッキン55およびパッキン56が、案内溝54cおよび案内溝54dの開口部の縁から見込み方向に突起するため、案内溝54cの開口面積はより小さくなる。
次に浴槽1の周縁部10を跨ぐ高さについて説明する。ユーザは、浴槽1の周縁部10、より詳細には浴槽1の周縁部10に配設された下枠4cを跨いで、浴室内外へ移動する。図3を参照し、浴室ユニット100を設置する床111から下枠4cの上面までの跨ぎ高さHは、排水部7を含む床111から浴槽1の底部11までの高さH1、浴槽1の周縁部10から底部11までの深さH2、および浴槽1の周縁部10から下枠2cの上面までの高さH3を加算した値となる。
高さH1は、排水部7の大きさによって変わるが、上述のように十分な排水量を確保するためには、排水管接続部73にA50(外径約60mm)サイズの配管が接続できる必要がある。高さH1は、排水管接続部73の配管長さおよび勾配(1/50程度)等も考慮して試算すると130mm程度が典型的な寸法となる。また、高さH3は、下枠4cの強度に必要な各部品の肉厚、および剛性確保のための部品寸法を考慮して試算すると20mm程度が典型的な寸法となる。高さH1および高さH2の合計寸法は、典型的に150mm程度となる。
浴槽1の周縁部10から底部11までの深さH2は、寸法が大きいほど湯を深く溜めることができるが、跨ぎ高さHが大きくなって、ユーザが浴室内外へ移動する際に浴槽1の周縁部10が跨ぎ難くなり利便性が低下する。一方、跨ぎ高さHを小さくすれば、ユーザが浴室内外へ移動する際に浴槽1の周縁部10が跨ぎ易くなるが、浴槽1に溜めることができる湯が浅くなる。
浴槽1は、いわゆる半身浴に適する浅型のものとする。半身浴は、浴槽1の底部11に着座したユーザが心臓の位置まで湯を溜めずに入浴することで心臓への負担を減らして身体を温められることが大きな利点となっている。本発明に係る浴槽1は、浴槽1の周縁部10から底部11までの深さH2を、浴槽1に溜めることができる湯の最大深さとし、半身浴に適するように250mm以上、350mm以下としたものである。
人体の寸法については、書籍「日本人の人体寸法データブック2004―2006」、一般社団法人人間工学研究センターを参照する。同書籍のP.122記載によれば立位時の床面から乳頭点までの鉛直距離である乳頭高の平均値は、男性20−29歳で1231.9mmである。また、同書籍のP.126記載によれば立位時の床面からウエスト基点までの鉛直距離であるウエスト基点高の平均値は、男性20−29歳で1039.0mmである。また、同書籍のP.146記載によれば立位時の床面から臀溝点までの鉛直距離である臀溝高の平均値は、男性20−29歳で751.5mmである。
浴槽1に着座した時の底部11から乳頭点までの鉛直距離である着座乳頭高の平均値は、上述の乳頭高から臀溝高を減算した値であるとして試算すると、480.4mmとなる。また、浴槽1に着座した時の底部11からウエスト基点までの鉛直距離である着座ウエスト基点高の平均値は、上述のウエスト基点高から臀溝高を減算した値であるとして試算すると、287.5mmとなる。
同様にして、男性50−59歳、女性20−29歳、および女性50−59歳を対象として試算する。図6は着座乳頭高および着座ウエスト基点高の試算値を示す図表である。男性の20−29歳および50−59歳について見ると、着座乳頭高および着座ウエスト基点高は同等である。また、女性の20−29歳および50−59歳について見ると、50−59歳で着座乳頭高がやや低いものの、着座ウエスト基点高は同等である。また、男性と女性で比較すると、着座乳頭高が女性で低く、着座ウエスト基点高が女性でやや低い。したがって、有意な差は、男性と女性に見られる着座乳頭高の違いであるため、以下の検討では、男性と女性の2ケースに分けることとする。
次に半身浴をするための浴槽1における湯を溜める深さについて検討する。図7は半身浴における湯の深さに関する評価内容を示す図表である。評価に当たり、湯の深さをパラメータとし、200mmから500mmまでを50mm刻みで区分し、評価項目として半身浴適合性、湯量適正を挙げ、それぞれ男性と女性について評価した。
まず図7に基づき、男性における湯の深さの評価内容を説明する。半身浴適合性は、心臓への負担が少ないことを目的とした入浴スタイルとして適切かどうかを尺度としている。一般に、胸のみぞおち付近より下に湯を溜めることで半身浴が行われることが多い。半身浴として「不可」である場合に評価点を1点、「可」である場合に2点、「適切」である場合に3点を付けている。図7に示すように、湯の深さが400mm以下では、男性の平均的な着座乳頭高480.4mm(20−29歳)および472.3mm(50−59歳)よりも湯面が約70ないし80mm程度低く、みぞおち付近またはそれより下に湯が溜められ「適切(3点)」である。湯の深さが400―450mmでは、450mm付近まで湯を溜めると、男性の平均的な着座乳頭高に湯面近づき、「可(2点)」程度であると評価される。450mm以上となると、湯面が着座乳頭高付近から上となり「不可(1点)」と評価される。
湯量適正は、湯の量が少なすぎると十分な半身浴が出来なくなることから、湯の深さが足りているか否かを尺度とし、「不足」である場合に評価点を1点、「やや不足」である場合に評価点を2点、「十分」である場合に3点を付けている。図7に示すように、湯の深さが250mm以下では、男性の平均的な着座ウエスト基点高287.5mm(20−29歳)および287.3mm(50−59歳)に満たず、湯量として「不足(1点)」であると評価される。湯の深さが250−300mmでは、男性の平均的な着座ウエスト基点高付近に湯を溜めることができるが「やや不足(2点)」であると評価される。湯の深さが300mm以上では、男性の平均的な着座ウエスト基点高よりも上まで湯が溜められるので、「十分(3点)」と評価される。
次に女性における湯の深さの評価内容を説明する。半身浴適合性について、湯の深さが350−400mmの場合、400mm付近まで湯を溜めると、女性の平均的な着座乳頭高446.0mm(20−29歳)および425.3mm(50−59歳)に近づき、「可(2点)」程度であると評価される。湯の深さが400―450mmでは、女性の平均的な着座乳頭高を超える湯面となる可能性があるため、「不可(1点)」程度であると評価される。
女性に関する湯量適正は、着座ウエスト基点高の男性との差が最も大きいところでも12.4mm程度(20−29歳で比較)と僅かであるから、男性に関する湯量適正の評価と同じになる。
湯の深さの区分毎に評価点を合計して総合点を付けると、湯の深さが300−350mmが最も高い12点(評価「特によい」)となり、次いで350−400mmが11点(「良い」)との結果が得られた。湯の深さが250mm以下、450mm以上では、評価点は低く、湯の深さとして「悪い」との評価となった。湯の深さが250−300mmでは湯の深さが「やや不足」しており、400−450mmでは着座乳頭高を超える可能性もあるため、評価点が9点または10点とやや低く、評価は「良悪なし」となった。
湯の高さに加えて、跨ぎ高さHを検討する。跨ぎ高さHは、上述の高さH1と高さH3の典型的な値を130mmおよび20mmを、湯の深さに加算したものとする。湯の深さが300−350mmの場合、跨ぎ高さHは450−500mmとなり、半身浴にも最も適し、浴槽1の周縁部10も跨ぎ易くなるので、評価は良好となると考えられる。湯の深さが350−400mm、および400−450mmの場合、跨ぎ高さHは500mmを超え、跨ぎ難くさが顕著になるので、評価は下がると考えられる。湯の深さが250−300mmでは湯の深さが「やや不足」しているとの結果であったが、跨ぎ高さHが400−450mmとなって跨ぎ易くなるので、評価は上がると考えられる。
したがって、浴槽1の深さH2を下限250mmとし、上限350mmとすることで、半身浴が男性にとっても女性にとっても「適切」に行うことができ、浴槽1の周縁部10を跨ぎ易い浴槽1が得られる。また、評価区分である250−300mmにおける平均値275mm、および、評価区分である300−350mmにおける平均値325mmをノミナル値と考えて、深さH2を下限275mmとし、上限325mmとしてもよい。この場合、深さH2が上限325mmのときに、跨ぎ高さHは475mmとなり、跨ぎ易さがさらに良好となる。
例えば、浴槽1の深さH2を310mmとし、床111から浴槽1の底部11までの高さH1を132.5mm、下枠4c部分の高さH3を18.5mmとすれば、跨ぎ高さHは、461mmとなり、半身浴に適し、浴室内外の移動が容易な浴室ユニット100が得られる。尚、浴槽1にオーバーフロー栓が設けられており、該オーバーフロー栓を開状態として湯水を排出するようにして使用する場合には、実際に浴槽1に溜めることができる湯の深さは、周縁部10よりも下の位置にあるオーバーフロー栓で規制されることになる。
次に浴室ユニット100の作用について説明する。ユーザは扉2を開閉して浴室内外への移動を行う。内障子2aまたは外障子2bを開状態としたときに、扉2側における浴槽1の周縁部10には、下枠4cのガイド部54が現れる。ガイド部54は、上述のように対向面部54bによってガイド部54の上面が形成されており、ユーザが手を着き易く、足を載せ易いので、浴室内外への移動が容易となる。また、ユーザは、下枠4c部分にガイド部54の上面が形成されていることを目視により認識することができ、跨ぎ易いという印象を受け得る。
下枠4cにおける基台部53の外縁部53bは、ガイド部54の上面とほぼ同じ高さの上面を有することで、ユーザがさらに手を着き易く、足を載せ易くなるので、浴室内外への移動がさらに容易となる。また、ユーザは、下枠4cにおいて広範囲な面が形成されていることを認識することができ、跨ぎ易いという印象をより受け易くなる。
下枠4cにおいて、パッキン55およびパッキン56は、見込み方向に突起し、案内溝54cおよび案内溝54dを部分的に覆うように配設されている。このため、案内溝54cおよび案内溝54dがパッキン55およびパッキン56によって部分的に塞がってガイド部54の上面が広くなり、ユーザがさらに手を着き易く、足を載せ易くなるので、浴室内外への移動がさらに容易となる。また、ユーザは、下枠4cにおいてさらに広範囲な面が形成されていることを認識することができ、跨ぎ易いという印象をより受け易くなる。
また、上述のように、浴槽1の深さH2は、250mm以上、350mm以下とする。このとき、跨ぎ高さHは、浴槽1の深さH2に、床111から浴槽1の底部11までの高さH1の典型的な値130mm、および下枠4c部分の高さH3の典型的な値20mmを加算した、400mm以上、500mm以下となる。これにより、浴室ユニット100は、浴槽1での半身浴が男性にとっても女性にとっても「適切」に行うことができ、浴槽1の周縁部10が跨ぎ易く、浴室内外の移動が容易となる。浴槽1が得られる。
また、評価区分である250−300mmにおける平均値275mm、および、評価区分である300−350mmにおける平均値325mmをノミナル値と考えて、深さH2を下限275mmとし、上限325mmとしてもよい。この場合、深さH2が上限325mmのときに、跨ぎ高さHは475mmとなり、跨ぎ易さがさらに良好となる。
次に、実施形態の浴室ユニット100の特徴を説明する。
本発明の実施形態に係る浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽1と、浴槽1の下方に配設されたトラップ部71と、浴槽1を囲繞するように浴槽1の周縁部10に配設された壁体61a、61bおよび61c、並びに扉2と、扉2を嵌める枠部4とを備える。枠部4は周縁部10に配設された下枠4cを有する。浴室ユニット100は、周縁部10から浴槽1の底部11までの深さH2が350mm以下であり、設置する床111から下枠4cの上端部までの高さ、即ち跨ぎ高さHが500mm以下である。これによって、浴室ユニット100は、浴槽1が半身浴に適し、浴室内外への移動が容易である。
また、浴室ユニット100は、周縁部10から浴槽1の底部11までの深さH2が325mm以下であり、設置する床111から下枠4cの上端部までの高さ、即ち跨ぎ高さHが475mm以下である。これにより、浴室ユニット100は、浴室内外への移動がさらに容易となる。
また、浴室ユニット100は、周縁部10から浴槽1の底部11までの深さH2が275mm以上であり、設置する床111から下枠4cの上端部までの高さ、即ち跨ぎ高さHが425mm以上である。これにより、浴室ユニット100は、浴槽1が半身浴に適する。
また、浴室ユニット100は、湯を溜める浴槽1と、浴槽1の下方に配設されたトラップ部71と、浴槽1を囲繞するように浴槽1の周縁部10に配設された壁体61a、61bおよび61c、並びに扉2と、扉2を嵌める枠部4とを備える。枠部4は周縁部10に配設された下枠4cに、扉2の底部、即ち下框23および下框33の底部に対向する対向面部54bが形成されている。これにより、下枠4c部分にユーザが手を着き易く、足を載せ易いので、浴室内外への移動が容易となる。
また対向面部54bは、下枠4cにおける最も高い位置に形成されている。これにより、これにより、下枠4cのうち、最も高い位置にある対向面部54bにユーザが最初に手足で触れることができる。
上述の実施形態においては、扉2として引き違い戸の例を示したが、扉2は引き戸、折れ戸等であってもよい。
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。