JP2018186671A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流電圧のレベルを調整変換するコンバータにおける電流連続モードと電流不連続モードとを区別しない単一の制御構成により処理し、電流連続性の有無に拘わらず一定の制御応答特性が得られる電力変換装置を得る。
【解決手段】電流連続性の有無に拘わらず制御対象値Vinが指令値Vin*に一致するよう第一通流率指令値D1*を出力する第一制御器31、電流連続性の有無に拘わらず一定の制御特性が得られるよう電流非通流率検出値Dndetに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する第二制御器32、および第二通流率指令値D2*に基づきスイッチング素子Sa、Sbをオンオフ駆動するPWM信号を生成するPWM変調部33を備えた。
【選択図】図2

Description

この発明は、リアクトルとスイッチング素子とを有しスイッチング素子のオンオフに伴うリアクトルの蓄勢放勢動作を利用して入出力端間で電圧の変換を行うコンバータ、およびスイッチング素子をオンオフ制御する制御手段を備えた電力変換装置に関するものである。
例えば、太陽光発電装置のパワーコンディショナー(以下、PV−PCSと表記)は、太陽電池の直流電圧のレベルを調整変換するコンバータと、レベル変換した直流電圧を交流電圧に変換するインバータを持つ。PV−PCSのコンバータは、太陽光が日射急変などで変化する条件下であっても、常に最大電力が発電できるよう最適な電圧動作点への高速な追従機能と、系統電圧の瞬時電圧低下や位相跳躍など系統擾乱時の運転継続を可能とするため太陽電池の発電電力を急峻に調整する機能とを実現するため、太陽電池電圧の高速な制御を必要とする。
これに対して、コンバータの入力電圧と出力電圧と通流率との関係より、入力電圧もしくは出力電圧が変動した際にフィードフォワード制御(以下、FF制御と表記)で制御応答性を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、コンバータのリアクトル電流の連続性、即ち、スイッチング素子をオンオフするスイッチング周期において、リアクトルに常に蓄勢または放勢のいずれかの電流が流れる電流連続モードとリアクトルに電流が流れない非通流期間が存在する電流不連続モードとを判別し、電流連続モードと電流不連続モードとで制御を可変することで電流不連続モードにおける制御応答性を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平11−187647号公報 特開2010−252591号公報 特開2015−162989号公報
コンバータに関係する各回路条件の変動幅が比較的大きく、機器の設計において電流連続モードだけでなく電流不連続モードの発生も考慮する必要がある場合を想定すると、特許文献1、2の発明は、電流連続モードのみを扱っており、電流連続モードと電流不連続モードとのモード変化における応答性変化を改善する方策をこれらの開示内容から期待することは出来ない。
また、特許文献3では、電流連続モードと電流不連続モードとの制御モデルそれぞれに対して個別に異なる制御系を設計する必要があるという課題に加え、電流不連続モードの制御モデルは電流連続モードの制御モデルに比べて複雑な数式で成り立ち高速な制御応答設計が困難であるという課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、直流電圧のレベルを調整変換するコンバータにおける電流連続モードと電流不連続モードとを区別しない単一の制御構成により処理し、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られる電力変換装置を実現することを目的とする。
更に、電流不連続モードにおけるスイッチング素子の同期整流を実現してその損失低減を図ることを目的とする。
第1の発明になる電力変換装置は、リアクトルとスイッチング素子とを有しスイッチング素子のオンオフに伴うリアクトルの蓄勢放勢動作を利用して入出力端間で電圧の変換を行うコンバータ、およびスイッチング素子をオンオフ制御する制御手段を備えた電力変換装置であって、スイッチング素子をオンオフするスイッチング周期において、リアクトルに常に蓄勢または放勢のいずれかの電流が流れるモードを電流連続モード、リアクトルに電流が流れない非通流期間が存在するモードを電流不連続モードと称する場合、
制御手段は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず単一の制御構成で制御対象値が制御指令値に一致するよう通流率を演算し第一通流率指令値D1*として出力する第一制御器、非通流期間のスイッチング周期に対する比率を電流非通流率Dn(1>Dn≧0)としたとき、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう電流非通流率Dnに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する第二制御器、および第二通流率指令値D2*に基づきスイッチング素子をオンオフ駆動する駆動信号を生成する駆動回路を備えたものである。
第2の発明になる電力変換装置は、リアクトルとこのリアクトルの一端で互いに直列に接続された第一スイッチング素子および第二スイッチング素子とを有しこれらスイッチング素子のオンオフに伴うリアクトルの蓄勢放勢動作を利用して入出力端間で電圧の変換を行うコンバータ、およびスイッチング素子をオンオフ制御する制御手段を備えた電力変換装置であって、
スイッチング素子をオンオフするスイッチング周期において、リアクトルに常に蓄勢または放勢のいずれかの電流が流れる電流連続モードまたはリアクトルに電流が流れない非通流期間が存在する電流不連続モードで制御する場合、
制御手段は、制御対象値が制御指令値に一致するよう通流率指令値を生成するとともに非通流期間のスイッチング周期に対する比率である電流非通流率を生成する制御器、対称三角波と通流率指令値とによるパルス幅変調で第一スイッチング素子をオンオフ駆動する第一PWM信号を生成する第一三角波比較器、および第一PWM信号に同期するのこぎり波と電流非通流率とによるパルス幅変調で非通流期間に対応する非通流期間パルスを生成するとともに、第一PWM信号と非通流期間パルスとの合成パルスを反転することで第二スイッチング素子をオンオフ駆動する第二PWM信号を生成する第二三角波比較器を備えたものである。
以上のように、第1の発明になる電力変換装置は、電流連続モードか電流不連続モードかという定性的な判別ではなく、電流が流れない非通流期間を定量的に扱う電流非通流率Dnという要素を新たに導入するとともに、第一制御器においてこの電流非通流率Dnに関係なく単に制御対象値を制御指令値に一致させるという条件下で求められた第一通流率指令値D1*を、電流非通流率Dnの影響を抑制すべく電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるようこの電流非通流率Dnに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する第二制御器を備えたので、電流不連続モードにおける制御応答を電流連続モードにおける制御応答と同等のレベルまで改善することが出来る。
また、第2の発明になる電力変換装置は、電流非通流率を生成するとともに、第一三角波比較器で生成された第一スイッチング素子をオンオフ駆動する第一PWM信号に対し、この第一PWM信号に同期するのこぎり波と電流非通流率とによるパルス幅変調で非通流期間に対応する非通流期間パルスを生成するとともに、第一PWM信号と非通流期間パルスとの合成パルスを反転することで第二スイッチング素子をオンオフ駆動する第二PWM信号を生成する第二三角波比較器を備えたので、第一スイッチング素子と第二スイッチング素子とによるいわゆる同期整流動作が実現し、電流連続性の有無に拘わらず、スイッチング素子の損失低減効果が得られる。
本願発明を適用する電力変換装置の基本的な構成を示す図である。 本願発明の実施の形態1としての電力変換装置であって、コンバータ2の入力端電圧Vinを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率検出値Dndetを使用する場合の全体構成を示す図である。 PWM変調部33の動作の一例を示す図である。 コンバータ2の入力端電圧Vinを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合の全体構成を示す図である。 図2に対応する制御系のブロック線図である。 図5を、外乱Dnを典型的な形で表したブロック線図である。 第二制御器32の内部構成を示す図である。 コンバータ2の出力端電圧Voutを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率検出値Dndetを使用する場合の全体構成を示す図である。 コンバータ2の出力端電圧Voutを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合の全体構成を示す図である。 リアクトルL1に流れる電流ILを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率検出値Dndetを使用する場合の全体構成を示す図である。 リアクトルL1に流れる電流ILを制御対象値とし、かつ電流非通流率Dnとして電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合の全体構成を示す図である。 図8に対応する制御系のブロック線図である。 図10に対応する制御系のブロック線図である。 本願発明の実施の形態2としての電力変換装置の構成を示す図である。 図14に対応する制御系のブロック線図である。 図15の第二制御器32の内部構成を示す図である。 (3)式と(41)式に対応する開ループ伝達関数GHの(1)ゲイン特性および(2)位相特性を示す図である。 (4)式と(42)式に対応するDn外乱伝達関数(Vin/Dn)の(1)ゲイン特性および(2)位相特性を示す図である。 本願発明を適用しない(G=1)場合のシミュレーション結果を示す図である。 本願発明(実施の形態2)を適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。 本願発明(実施の形態2)を適用した場合のシミュレーション結果を示す図である。 本願発明の実施の形態3としての電力変換装置の構成を示す図である。 図22の低損失PWM変調部34の内部構成を示す図である。 低損失PWM変調部34の動作を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、本願発明を適用する電力変換装置の基本的な構成を示す図で、ここでは、主として、そのコンバータ部分を中心とした構成について説明する。
電力変換装置100は、直流電源1と負荷101、直流電源102、電力変換装置103のいずれかとの間で電力変換の動作を行う。そして、電力変換装置100は、リアクトルL1と、このリアクトルL1の一端で互いに直列に接続された第一スイッチング素子Saおよび第二スイッチング素子Sbとを有しこれらスイッチング素子Sa、Sbのオンオフ動作に伴うリアクトルL1の蓄勢放勢動作を利用して入力端電圧Vinと出力端電圧Voutとの間で電圧電力の変換を行うコンバータ2と、スイッチング素子Sa、Sbをオンオフ制御する制御手段としての制御装置3とを備えている。
なお、スイッチング素子Sa、Sbとしては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)などに代表される自己消弧形の半導体スイッチング素子が使用され、それぞれ逆並列にフリーホイールダイオードが接続されている。MOSFETの場合は寄生ダイオードを利用してもよい。また、直流電源1が放電動作に限定される場合はスイッチング素子Sbをダイオードに置き換えてよく、同様に直流電源1が充電動作に限定される場合はスイッチング素子Saをダイオードに置き換えてよい。
コンバータ2の入力側にはコンデンサC1、出力側にはコンデンサC2が接続されている。また、入力端電圧Vinを検出する電圧検出器としての第一電圧検出器4および出力端電圧Voutを検出する電圧検出器としての第二電圧検出器5、更に、リアクトルL1の電流ILを検出する電流検出器としての第一電流検出器6を備えている。
図1に示すコンバータ2は、その汎用性を考慮して2個のスイッチング素子Sa、Sbを有するとともに、特にスイッチング素子Sbに供給する駆動信号の回路に切替スイッチSWを挿入し、スイッチング素子Saへの駆動信号の反転信号を供給する場合と供給しない(OFF)場合とを切替可能な構成としている。
先ず、これら各ケースにおけるコンバータ2の動作の概略を説明する。
スイッチング素子Sbにスイッチング素子Saへの駆動信号の反転信号を供給する場合、コンバータ2の放電動作(直流電源1から負荷101へ放電)においては、スイッチング素子Saがオンのとき、直流電源1からスイッチング素子Saに電流が流入しリアクトルL1にエネルギーを蓄える(蓄勢)。次いで、スイッチング素子Saがオフすると、リアクトルL1に蓄えられたエネルギーは負荷101に供給される(放勢)。
コンバータ2の充電動作(負荷101から直流電源1に充電)においては、スイッチング素子Sbがオンのとき、負荷101からリアクトルL1にエネルギーを蓄える(蓄勢)。スイッチング素子Sbがオフのとき、リアクトルL1に蓄えられたエネルギーは直流電源1に供給される(放勢)。
これに対し、スイッチング素子Sbに駆動信号を供給しない(OFF)場合、従って、この場合は、直流電源1から負荷101への放電動作のみの動作となるが、スイッチング素子Sbをダイオードで構成できその分装置が簡便安価なものとし得る。しかし、この場合、特に次の点で、上述した、スイッチング素子Saへの駆動信号の反転信号で駆動されるスイッチング素子Sbを備えた場合の動作と異なる。
即ち、コンバータ2に関係する各回路条件、例えば、直流電源1の電圧電流、負荷101の電圧電流の変動幅が比較的大きく、リアクトルL1がその放勢動作の課程でその電流が零まで低下すると、以降、スイッチング素子Saがオンとなるまでの期間では電流零の状態が継続する(非通流期間)。ちなみに、スイッチング素子Saへの駆動信号の反転信号で駆動されるスイッチング素子Sbを設けている場合は、リアクトルL1の電流が一旦零になった後は、スイッチング素子Sbを経て負荷101からリアクトルL1に反転した電流が流入し非通流期間は生じない。
以下、本願では、スイッチング素子Sa、Sbをオンオフするスイッチング周期において、リアクトルL1に常に蓄勢または放勢のいずれかの電流が流れるモードを電流連続モード、リアクトルL1に電流が流れない非通流期間が存在するモードを電流不連続モードと称することとする。
以上のように、電流連続モードのみでなく電流不連続モードでの動作が避けられない電力変換装置においては、この電流不連続モードでの非通流期間の存在が電圧制御系の外乱となり、先の発明が解決しようとする課題の欄で既述した通り、電流連続モードと電流不連続モードとの制御モデルそれぞれに対して個別に異なる制御系を設計する必要があるという課題に加え、電流不連続モードの制御モデルは電流連続モードの制御モデルに比べて複雑な数式で成り立ち高速な制御応答設計が困難であるという課題等がある。
本願第1の発明は、以上の課題を解決すべく、電流連続モードと電流不連続モードとを区別しない単一の制御構成により処理し、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られる電力変換装置を実現することを目的とするものである。
なお、上述した通り、本願の各図では、コンバータの汎用性を考慮した、切替スイッチSWとともにスイッチング素子Sbを備えた構成としているが、本願発明は、電流不連続モードの運転をも対象とするものである。従って、以下では特に触れないが、切替スイッチSWは常にOFFとした状態、または、スイッチング素子Sbをダイオードで置換した場合との前提で、制御装置3を中心とした構成および動作について詳細に説明する。
ここでは、下記のケースについて説明する。即ち、先ず制御装置3の制御対象値として、(1)コンバータ2の入力端電圧Vinとする場合、(2)コンバータ2の出力端電圧Voutとする場合、更に、(3)リアクトルL1に流れる電流ILとする場合を取り上げる。
また、非通流期間のスイッチング周期に対する比率で定義される、本願発明で要部を成す電流非通流率Dnを得る方法として、リアクトルL1の電流検出値に基づき算出した電流非通流率検出値Dndetを使用する場合と演算により求める電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合とを取り上げる。
以下、本願発明の実施の形態1として、(1)制御装置3の制御対象値をコンバータ2の入力端電圧Vinとし、かつ、電流非通流率検出値Dndetを使用する場合を代表例としてこれを中心に詳細に説明し、電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合は、主として、後段の実施の形態2で詳細に説明するものとする。
図2は、本願発明の実施の形態1としての電力変換装置100の構成を示す図で、コンバータ2の入力側には、図1の直流電源として電圧調整可能な太陽電池201が接続され、出力側には、図1の電力変換装置103が接続されている。なお、この電力変換装置103は、詳細は省略するが、内部に備えた電圧センサとDCバス電圧制御器とにより、コンバータ2の出力端電圧Vout、即ち、コンデンサC2の電圧を予め設定された一定の電圧に維持する機能を有している。
図2の制御装置3は、コンバータ2の出力端電圧Voutを一定とする条件下、制御対象値として第一電圧検出器4からのコンバータ2の入力端電圧の検出値Vinとし、制御指令値として、コンバータ2の入力端電圧の指令値Vin*とする制御を実行する。
第一制御器31は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらずコンバータ2の入力端電圧の検出値Vinが入力端電圧の指令値Vin*に一致するようスイッチング素子の通流率を演算し第一通流率指令値D1*を出力する。
第二制御器32は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値ILに基づき内部で算出した電流非通流率検出値Dndetに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
駆動回路としてのPWM変調部33は、第二制御器32からの第二通流率指令値D2*と対称三角波Cとの比較演算を行い、いわゆるパルス幅変調(PWM)によりスイッチング素子Saをオンオフ駆動する駆動信号を出力する。
図3は、PWM変調部33の動作の一例を示すもので、第二スイッチング素子Sbに駆動信号を供給せず(SW:OFF)電流不連続モードが発生した場合の第一スイッチング素子Saに供給される駆動信号およびリアクトルL1の電流ILを示す。非通流期間が存在し電流非通流率Dn>0が発生していることが分かる。
図4は、電流非通流率として電流非通流率推定値Dnhatを使用する点のみが異なり、その他の構成は図2と同様とした場合の電力変換装置100の構成を示す図である。
この場合、第二制御器32は、第一電圧検出器4からのコンバータ2の入力端電圧の検出値Vinと第二電圧検出器5からのコンバータ2の出力端電圧の検出値Voutとから内部で電流非通流率推定値Dnhatを演算により求め、この電流非通流率推定値Dnhatに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
但し、上述した通り、本願では、電流非通流率として電流非通流率推定値Dnhatを使用する場合は、主として後段の実施の形態2で説明するとしているので、以下、先の図2に示す電力変換装置の動作特性について説明する。
ここで、図2で上述した第一制御器31および第二制御器32の担うべき機能について確認する。
第一制御器31は、上述の通り、コンバータ2の入力端電圧の検出値Vinが入力端電圧の指令値Vin*に一致するようスイッチング素子の通流率を演算し第一通流率指令値D1*を出力する。即ち、いわゆるフィードバック制御により、電流連続モードか電流不連続モードかに拘わらず、従って、例えば、電流非通流率Dn=0の電流連続モードからDn>0の電流不連続モードに移行しても、第一制御器31は、このDnの変化に関係なく、もっぱら制御対象値の検出値Vinを指令値Vin*に追従させる制御を継続する。
従って、定常状態での検出値Vinを指令値Vin*に一致させるという目標は、第一制御器31のみにより実現できる。
しかし、既述したように、例えば、日射急変や系統騒乱等の外乱に対処するため高い制御応答性が要求されるなか、電流非通流率Dnの変化が更なる外乱として加わり、制御特性に悪影響を及ぼし得ることが懸念される。
第二制御器32は、この制御応答特性における電流非通流率Dnの影響を抑制する機能を担うものである。このため、制御装置3を含むコンバータ2における制御系入出力間のブロック線図およびそれに基づく伝達関数の検討が必要となる。以下、この方向に沿って説明を続ける。
図5は、図2に対応する制御系のブロック線図である。図5において、左半分は、制御装置3に相当する部分、その右は、制御装置3からの駆動信号に基づき動作するコンバータ2に相当する部分、更にその右は、太陽電池201およびコンデンサC1を模擬する部分を示す。
制御装置3内の第一制御器31に相当する部分は、一般的なPI制御系で示し、第二制御器32は演算Gを実行する演算系、PWM変調部33は、むだ時間要素を統合してe−sτと表現している。
コンバータ2に相当する部分で、電流非通流率Dn(1>Dn≧0)は、(1)式に示す通り、リアクトルL1に電流が流れない非通流期間Tnをスイッチング周期Tcで規格化した値である。
Figure 2018186671
電圧Vin0とインピーダンスZは、太陽電池201の発電特性に依存する値である。太陽電池201は、開放電圧近傍で電源インピーダンス零の電圧源のように振る舞い、短絡電流近傍で電源インピーダンス無限大の電流源のように振る舞う。つまり、太陽電池201は、その動作点の変化により電源インピーダンスZが変化する特性を持ち、この電源インピーダンスZが制御系に影響を与えることになる。
コンバータ2に相当する部分のブロック線図は以下に示す根拠で求まる。即ち、スイッチング周期において、リアクトルL1の入力側の端子は、常に電圧Vinとなり、一方出力側の端子の電圧は、通流率をD(D2*)とすると、Dの期間(スイッチング素子Saがオン)では0、(1−D−Dn)の期間(Saがオフ)ではVout、Dnの期間(非通流期間)ではVinとなる。このことから、リアクトルL1の両端に係る平均電圧VLaは、(2)式で表される。
VLa=(1−Dn)・Vin−(1−D−Dn)・Vout ・・・(2)
この電圧VLaをリアクトルL1のリアクタンスsL1で除すことでリアクトルL1に流れる電流が求まる。そして、太陽電池201からの電流からリアクトルL1の電流を差し引いたコンデンサC1の電流にコンデンサC1のリアクタンス(1/sC1)を掛けることで電圧Vinが得られる。
(3)、(4)式は、図5のブロック線図に基づき得られる伝達関数で、(3)式は、第一電圧検出器4からの検出値Vinに対する制御系の開ループ伝達関数GHを示す。ここでは、第二制御器32で実行する演算Gは1、従って、この発明に係る補正処理を行わないという条件で表現している。
(4)式は、Dn外乱伝達関数(Vin/Dn)である。なお、表示を簡単にするため、検出値Vinに対する制御系の閉ループ伝達関数は、指令値Vin*を用いてVin/Vin*で表している。
Figure 2018186671
次に、以上の伝達関数の導出根拠について解説する。
図6は、図5のブロック線図を、外乱Dnを典型的な形で表したブロック線図である。(3)式の開ループ伝達関数GHは、図6に示す閉ループ制御系における一巡伝達関数A・B・Cに相当し、(5)式で表現される。
Figure 2018186671
ここで、Kp、Kiは、制御装置3の第一制御器31におけるPI制御系のそれぞれ比例ゲインおよび積分ゲイン、Gは、制御装置3の第二制御器32が実行する演算の内容、Dは、制御装置3の出力、Cは、−1に対応する。sは、ラプラス演算子を示す。
(6)式は、(5)式のVin/Dを導出するため、図5の制御装置3を除く部分の関係式である。ここでは、個々の伝達関数であるブロックAとブロックBとの間で発生する外乱Dnは無視している。
Figure 2018186671
(7)式は、(6)式の電圧関数を左辺にまとめたものである。
Figure 2018186671
(8)式は、Vin/Dの開ループ伝達関数に関係しない図5の外部入力「1」、「Vin0」の関数を(7)式から除外した関数である。
Figure 2018186671
更に、(9)式は、(8)式を整理した関数である。
Figure 2018186671
(10)式は、(9)式を(5)式に代入した結果である。(10)式においてG=1と置いたのが、先の(3)式に該当するわけである。
なお、以上ではDnの影響を(3)式で表される開ループ伝達関数GHで評価しているが、これは、閉ループ伝達関数に比べDnの影響がより顕著に現れるからである。
Figure 2018186671
(11)式は、図6と(10)式をもとに導出したVin/Vin*の伝達関数である。ここでは、数式を簡単にするためe−sτを1と置いている。また、ブロックCとブロックAとの間で発生する指令値Vin*は除いている。
Figure 2018186671
同様にして、Vin/Dnの伝達関数は(12)式で求められる。
Figure 2018186671
(11)式と(12)式を用いて、Vinは(13)式で表される。
Figure 2018186671
以上の各伝達関数を基に、本願発明の要部である第二制御器32の機能、即ち、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう電流非通流率Dnに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する機能について詳述する。
以下、(13)式を参照して図7に示す第二制御器32の内部構成図により説明する。図7において、第一非通流率補償部321は、電流非通流率検出値Dndetに基づき、コンバータ2の制御対象値であるVinと制御指令値であるVin*とを関係づける伝達関数、即ち、(13)式の左辺と右辺第1項との関係、従って(11)式に示す伝達関数Vin/Vin*=−AB/(1+ABC)に対する電流非通流率Dnの影響を抑制する線形補正の演算G1を担う。
第二非通流率補償部322は、電流非通流率検出値Dndetに基づき、コンバータ2の制御対象値であるVinと電流非通流率Dnとを関係づける伝達関数、即ち、(13)式の左辺と右辺第2項との関係、従って(12)式に示す伝達関数Vin/Dn=−B/(1+ABC)に対する電流非通流率Dnの影響を相殺する外乱補正の演算G2を担う。
先ず、第一非通流率補償部321について説明する。(11)式の中で、Dnに依存する関数は、
Figure 2018186671
である。この内、前者の関数は、Dnの増加に伴い全周波数領域のゲインを増加させる関数で、制御特性への影響が大きい。一方、後者の関数は、2次標準形の関数
Figure 2018186671
に対応し、Dnの増加に伴い固有角周波数が低下する関数で、制御特性への影響は前者の関数に比べて小さい。
そこで、上述の前者の関数のみを考慮して、演算G1として、D1*に(1−Dndet)を乗算する演算を行う。これにより、(3)式の開ループ伝達関数GHは、(14)式となる。
Figure 2018186671
閉ループ伝達関数Vin/Vin*で、電流連続モードの場合と電流不連続モードの場合とを比較すると、それぞれ(15)式および(16)式となる。
Figure 2018186671
ここで、
Figure 2018186671
は、固有角周波数として十分高い値であることを考えると、両者の閉ループ伝達関数Vin/Vin*は、ほぼ同一とみなすことが出来る。
即ち、第一非通流率補償部321において、演算G1として、(1−Dndet)×D1*を実行することにより、閉ループ伝達関数Vin/Vin*に及ぼす電流非通流率の影響を取り除くことが出来る。
次に、第二非通流率補償部322について説明する。先ず、この第二非通流率補償部322が存在しない場合を想定し、簡単のため、(12)式のVinとVin*とが定常時に一致するとしてVin/Vin*=1と置くと、(12)式は(17)式で表される。
Figure 2018186671
仮に、PI制御系の積分ゲインKiが0の場合、(17)式は(18)式に収束する。
Figure 2018186671
また、PI制御系の積分ゲインKiが0でない場合、最終値の定理により、(17)式は(19)式に収束する。
Figure 2018186671
以上の通り、PI制御系の積分ゲインKiが0の場合、(13)式、(18)式から電流非通流率Dnによる定常偏差が発生することが分かる。
そこで、第二非通流率補償部322において、演算G2として、第一通流率指令値D1*から電流非通流率検出値Dndetを差し引くと、(17)式は(20)式に改善出来る。
Figure 2018186671
また、(20)式は、(21)式の形でも表現できる。ここで、(12)式から(17)式の導出過程で省略したVin/Vin*を再度記載する。
Figure 2018186671
ここで、ΔDn=Dn−Dndetである。
従って、実機の電流非通流率Dnと電流非通流率検出値Dndetとが一致すると、たとえ、積分ゲインKiが0であっても、電流非通流率Dnの発生に伴う電圧Vinの変化を相殺することが出来る。
第二制御器32の全体の機能、即ち、演算Gの内容を、先の(13)式に対応して示すと(22)式となる。
Figure 2018186671
この(22)式のDnに、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値ILに基づき算出した電流非通流率検出値Dndetを代入することにより、コンバータ2の制御対象値であるVinと制御指令値であるVin*とを関係づける伝達関数に対する電流非通流率Dnの影響を抑制する線形補正およびコンバータ2の制御対象値であるVinと電流非通流率Dnとを関係づける伝達関数に対する電流非通流率Dnの影響を相殺する外乱補正の両者の補正を実効あらしめることができ、電流不連続モードにおける制御応答を電流連続モードにおける制御応答と同等のレベルまで改善することが出来る。
以下は、電流非通流率検出値Dndetを使用して第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を得るという点では以上で説明した事例と同様であるが、制御装置3の制御対象値が異なる場合である。但し、本願発明の要旨としては、先に詳述した内容と変わるところがないので、回路構成の先の事例と異なる部分およびそれに伴うブロック線図、更には各伝達関数について説明するに留め、詳細な説明は省略するものとする。
図8は、制御装置3の制御対象値を、(2)コンバータ2の出力端電圧Voutとする場合の代表的な構成を示す。コンバータ2の入力側には太陽電池201が接続されており、入力端電圧Vinは、別途一定に保持されており、コンバータ2の出力側には、負荷101が接続されている。
図8の制御装置3は、コンバータ2の入力端電圧Vinを一定とする条件下、制御対象値として第二電圧検出器5からのコンバータ2の出力端電圧の検出値Voutとし、制御指令値として、コンバータ2の出力端電圧の指令値Vout*とする制御を実行する。
第一制御器31は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらずコンバータ2の出力端電圧の検出値Voutが出力端電圧の指令値Vout*に一致するようスイッチング素子の通流率を演算し第一通流率指令値D1*を出力する。
第二制御器32は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値ILに基づき内部で算出した電流非通流率検出値Dndetに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
図9は、参考までに示すもので、電流非通流率として電流非通流率推定値Dnhatを使用する点のみが異なり、その他の構成は図8と同様とした場合の電力変換装置100の構成を示す図である。
この場合、第二制御器32は、第1電圧検出器4からのコンバータ2の入力端電圧の検出値Vinと第二電圧検出器5からのコンバータ2の出力端電圧の検出値Voutとから内部で電流非通流率推定値Dnhatを演算により求め、この電流非通流率推定値Dnhatに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
図10は、制御装置3の制御対象値を、(3)リアクトルL1に流れる電流ILとする場合の代表的な構成を示す。コンバータ2の入力側には太陽電池201が接続され、コンバータ2の出力側には、電力変換装置103が接続され、出力端電圧Voutは、この電力変換装置103により一定に保持されている。
図10の制御装置3は、コンバータ2の出力端電圧Voutを一定とする条件下、制御対象値として第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流の検出値ILとし、制御指令値として、リアクトルL1の電流の指令値IL*とする制御を実行する。
第一制御器31は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらずリアクトルL1の電流の検出値ILが電流の指令値IL*に一致するようスイッチング素子の通流率を演算し第一通流率指令値D1*を出力する。
第二制御器32は、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値ILに基づき内部で算出した電流非通流率検出値Dndetに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
図11は、参考までに示すもので、電流非通流率として電流非通流率推定値Dnhatを使用する点のみが異なり、その他の構成は図10と同様とした場合の電力変換装置100の構成を示す図である。
この場合、第二制御器32は、第1電圧検出器4からのコンバータ2の入力端電圧の検出値Vinと第二電圧検出器5からのコンバータ2の出力端電圧の検出値Voutとから内部で電流非通流率推定値Dnhatを演算により求め、この電流非通流率推定値Dnhatに基づき第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*を出力する。
図12は、図8に対応する制御系のブロック線図である。
図13は、図10に対応する制御系のブロック線図である。
(23)、(24)式は、図12のブロック線図に基づき得られる伝達関数で、先の事例の(3)、(4)式に対応するものである。
Figure 2018186671
(23)式は、指令値Vout*の検出値Voutに対する制御系の開ループ伝達関数GHを示す。ここでは、第二制御器32で実行する演算Gは1、従って、この発明に係る補正処理を行わないという条件で表現している。
(24)式は、Dn外乱伝達関数(Vout/Dn)である。なお、表示を簡単にするため、検出値Voutに対する制御系の閉ループ伝達関数は、指令値Vout*を用いてVout/Vout*で表している。
(25)、(26)式は、図13のブロック線図に基づき得られる伝達関数で、先の事例の(3)、(4)式に対応するものである。
Figure 2018186671
(25)式は、指令値IL*の検出値ILに対する制御系の開ループ伝達関数GHを示す。ここでは、第二制御器32で実行する演算Gは1、従って、この発明に係る補正処理を行わないという条件で表現している。
(26)式は、Dn外乱伝達関数(IL/Dn)である。なお、表示を簡単にするため、検出値ILに対する制御系の閉ループ伝達関数は、指令値IL*を用いてIL/IL*で表している。
先の事例で説明したと同様の要領により、(23)、(24)式に示す伝達関数を基に、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう電流非通流率Dnに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する第二制御器32の機能である演算Gを求めた結果を(27)式に示す。先の事例の(22)式に対応するものである。
なお、(27)式における右辺のD2*には、過去の演算結果、例えば、スイッチング周期などの時間に同期したN回目の演算時に、(N−1)回目の値を用いることで制御の安定化を図るようにする。
Figure 2018186671
第二制御器32により、(27)式による演算Gを機能させることにより、(23)式の伝達関数は(28)式の伝達関数に、(24)式の伝達関数は(29)式の伝達関数に改善される。
Figure 2018186671
同様に、(25)、(26)式に示す伝達関数を基に、電流連続モードと電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう電流非通流率Dnに基づき第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する第二制御器32の機能である演算Gを求めた結果を(30)式に示す。先の事例の(22)式に対応するものである。
Figure 2018186671
第二制御器32により、(30)式による演算Gを機能させることにより、(25)式の伝達関数は(31)式の伝達関数に、(26)式の伝達関数は(32)式の伝達関数に改善される。
Figure 2018186671
以上のように、詳細な説明は省略したが、制御装置3の制御対象値を、コンバータ2の出力端電圧Voutとする場合、また、リアクトルL1に流れる電流ILとする場合も、コンバータ2の入力端電圧Vinとする先の事例の場合と同様、電流不連続モードにおける制御応答を電流連続モードにおける制御応答と同等のレベルまで改善することが出来る。
なお、以上の第二制御器32では、第一非通流率補償部321と第二非通流率補償部322との両者を設けたものとしたが、これに限らず、いずれか一方のみを備えたものとしても良い。
この場合、電流非通流率Dndetを利用した、上述した線形補正または外乱補正による効果が得られ、リアクトルL1の電流連続性が損なわれても制御応答性の変化を抑制することができる。
以上のように、この発明の実施の形態1による電力変換装置は、その第二制御器32において、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値ILに基づき電流非通流率検出値Dndetを算出し、制御対象値と制御指令値とを関係づける伝達関数に対する電流非通流率Dnの影響を抑制する線形補正の演算G1を担う第一非通流率補償部321および制御対象値と電流非通流率Dnとを関係づける伝達関数に対する電流非通流率Dnの影響を相殺する外乱補正の演算G2を担う第二非通流率補償部322のいずれかまたは双方を備えたので、リアクトルL1の電流連続性が損なわれても制御応答性の変化を抑制することができる。
実施の形態2.
図14は、本願発明の実施の形態2としての電力変換装置100の構成を示す図である。
図14は、太陽光発電装置として、先の図2の構成を更に具体化したもので、電力変換装置100および電力変換装置103を含むパワーコンディショナー200として図示している。ここでは、第一制御器31に出力する、コンバータ2の入力端電圧の指令値Vin*を生成するMPPT演算部30を備えている。
MPPT演算部30は、電力検出器7からの、パワーコンディショナー200への入力電力Vin×Iinが最大となるよう電圧目標値である、コンバータ2の入力端電圧の指令値Vin*を生成する。ここで、パワーコンディショナー200の出力電力を検出可能として、この出力電力Vout×Iloadが最大となるよう電圧目標値である、コンバータ2の入力端電圧の指令値Vin*を生成するようにしてもよい。
なお、太陽光発電装置において、日射量が変化する中、常にその電力を最大にするよう目標電圧を追従させる制御機構自体については、種々の方式が公知であるので、ここでは説明を省略する。
また、この図14のMPPT演算部30は、第二電圧検出器5からの検出出力Voutを取り込み、上記の機能に加え、電力変換装置100と電力変換装置103との接続点の電圧が、系統等の何らかの原因で予め定められた値を超えたとき、上記した最大電力制御に優先して、太陽電池201から発電する電力を抑制する機能を備えている。
図において、第一制御器31は、先の実施の形態1の図2と同様、コンバータ2の入力端電圧の検出値Vinが入力端電圧の指令値Vin*に一致するようスイッチング素子の通流率を演算し第一通流率指令値D1*を出力する。
第二制御器32は、第一制御器31からの第一通流率指令値D1*補正して第二通流率指令値D2*を生成するが、既述したように、先の実施の形態1の第二制御器32では、電流非通流率Dnとして、第一電流検出器6からのリアクトルL1の電流検出値を基に算出した電流非通流率検出値Dndetを使用して第二通流率指令値D2*を演算していたのに対し、この実施の形態2では、リアクトルL1の電流検出値を用いることなく、第二制御器32の内部で演算により求めた電流非通流率推定値Dnhatを使用して第二通流率指令値D2*を求める。
従って、以下では、この実施の形態1と異なる点を中心に詳細に説明し、その他実施の形態1と共通する部分は、簡略化して説明するものとする。
以上、太陽光発電装置をより具体化して示す図14から理解されるように、コンバータ2の入力端電圧の指令値Vin*は、太陽光による日射量の変化や系統運転状態の変化等によりその値が時間の経過で変動する。この結果、電流連続モードに限らず電流不連続モードでの運転も含めた設計が必要となり、しかも、指令値Vin*の変化への高速応答が要求され、電流不連続モードにおける制御応答を電流連続モードにおける制御応答と同等のレベルまで改善することが出来る本願発明の要請が高まるわけである。
図15は、図14に対応する制御系のブロック線図である。以下、先の図5で示す実施の形態1の場合と異なる第二制御器32を中心に以下詳細に説明する。
即ち、ここでは、リアクトルL1の電流検出値を用いることなく、第二制御器32の内部で演算により求めた電流非通流率推定値Dnhatを使用して第二通流率指令値D2*を求める。
そのため、実施の形態2の第二制御器32では、後段で詳述するように、リアクトルL1の電流連続性の有無によって変化する通流率と昇圧比(Vout/Vin)との関係に着目することで電流非通流率Dnを演算により推定する電流非通流率推定手段323を備える。
リアクトルL1の電流連続性が存在する定常状態のとき、通流率Dccmは、第一電圧検出器4からの入力端電圧の検出値Vinと第二電圧検出器5からの出力端電圧の検出値Voutとを用いて(33)式で表すことができる。
Figure 2018186671
リアクトルL1の電流連続性が存在しない定常状態のとき、通流率Ddcmは、第一電圧検出器4からの検出値Vinと第二電圧検出器5からの検出値Voutと、電流非通流率Dnを用いて(34)式で表すことができる。
Figure 2018186671
(33)式と(34)式のVinとVoutとが同じとき、リアクトルL1の電流連続性が損なわれた条件にて発生する電流非通流率Dnは(35)式で表すことができる。
Figure 2018186671
そこで、電流非通流率推定手段323を設け、(35)式に基づき、リアクトルL1の電流連続性の有無に関係なく、電流非通流率Dnを推定演算するため、(35)式のDccmに、そのときの第一電圧検出器4からの入力端電圧の検出値Vinと第二電圧検出器5からの出力端電圧の検出値Voutとを使って、(33)式右辺により演算される通流率推定値Dccmhat(電流連続性が存在するときDccmhat=Dccmが成立する)を代入し、(35)式のDdcmに、第二制御器32の出力である第二通流率指令値D2*を代入する。
以上の推定演算により得られる電流非通流率推定値Dnhatを(36)式に示す。
Figure 2018186671
図16は、図15の第二制御器32の内部構成を示すブロック線図である。
既述したように、図15のブロック線図は、第二制御器32の演算Gの内容を除けば、実施の形態1の図5と同様であるので、各伝達関数を基に電流非通流率Dnの影響を抑制すべく実施の形態1の(22)式で求められた演算Gの内容を踏襲したものを図16(1)に示す。
但し、図16(1)では、制御の安定化を確保する目的で、(36)式の演算結果Dnhatに対して時定数Tの低域通過フィルタの処理を施した値である、
(1/(1+sT))・Dnhat
を(22)式に適用した(37)式による演算構成を示す。
Figure 2018186671
なお、同じ制御の安定化を図るため、上述の低域通過フィルタ処理に替わり、(36)式の演算結果Dnhatに対して離散系の処理により発生するむだ時間要素に相当する時間だけ遅らせた値を使用するようにしてもよい。
(37)式に(36)式を代入することで(38)式が得られる。
Figure 2018186671
(38)式の右辺第1項と第2項で共通である分母の関数は、「D1*」と「Dccmhat」が「0」以上「1」以下の値を取ることから、s関数0次項の「1+D1*−Dccmhat」が、「0」以上「2」以下の値を取るため、常に負の時定数をもつ1次形のラプラス関数を意味する。負の時定数とは、即ち、発散を意味するので、第二制御器32の補正演算に(37)式、(38)式を利用することは制御安定性の面から適切ではない。
(38)式の共通の分母にある、「D1*+1」の項が「Dccmhat」の項より常に小さい値であれば正の時定数を持つラプラス関数を意味するため制御不安定の問題が解決するが、この条件は一般に成立しない。
図16(2)に示す第二制御器32は、この制御安定性を確保するため検討されたものである。図16(1)の構成は、上述した通り、先の実施の形態1の(22)式に準じたもので、先の図7で説明した、第一非通流率補償部321および第二非通流率補償部322の両者を備えたものである。即ち、線形補正の演算G1と外乱補正の演算G2との両演算を実行するものであるが、これに対し、図16(2)の構成は、第二非通流率補償部322、従って、演算G2を不採とし、第一非通流率補償部321、従って、線形補正の演算G1のみを実行するものである。
図16(2)に示す第二制御器32の演算内容G(G1)を(39)式に、(36)式をこの(39)式に代入したものを(40)式に示す。
Figure 2018186671
(40)式は、「D1*」が「Dccmhat」より大きいとき分母のs関数0次項が負の時定数を取り制御不安定になる得ることを意味している。つまり、(36)式に示した通流率推定値Dccmhatの演算値が、第一制御器31の出力である第一通流率指令値D1*以上の値を取るように制限することで制御発散を抑制でき、図16(2)に示す第二制御器32の適用が可能となる。
この制御発振を確実に抑制するためには、例えば、常に、「D1*」と「Dccmhat」とを比較し、前者が後者より大きくなったときは、両者を等しいと置く回路を設ければ良い。
この場合の第一電圧検出器4からの検出値Vinに対する制御系の開ループ伝達関数GHと、Dn外乱伝達関数(Vin/Dn)を、それぞれ(41)式および(42)式に示す。
Figure 2018186671
なお、(41)式の開ループ伝達関数GHの右辺第2項は、(40)式に示した演算G(G1)に相当する、図16(2)のD2*/D1*の閉ループ伝達関数であり、Dn外乱伝達関数(Vin/Dn)は、開ループ伝達関数GHの右辺第2項の逆数に相当する。 また、(36)式の演算結果が零のとき、(41)式の開ループ伝達関数GHと、(42)式のDn外乱伝達関数(Vin/Dn)は、それぞれ先の(3)式、(4)式と同一の形で表すことができる。
次に、図17および図18を参照して、図16(2)の第二制御器32を採用した場合の制御特性を評価する。
図17は、(3)式と(41)式に対応する開ループ伝達関数GHの(1)ゲイン特性
および(2)位相特性を示す。また、図18は、(4)式と(42)式に対応するDn外乱伝達関数(Vin/Dn)の(1)ゲイン特性および(2)位相特性を示す。
図17において、CCMは電流連続モード、DCMは電流不連続モードを示す。また、図17および図18において、<1>は、電流連続モードに相当する代表特性、<2>は、従来の電流不連続モードに相当する代表特性、<3>は、本発明に係る定常時の電流不連続モードに相当する代表特性、<4>は、本発明に係る過渡時の電流不連続モードに相当する代表特性を意味する。
なお、電流連続モードの場合は、第二制御器32による補正機能の有無に拘わらず図17の電流連続モード(CCM)の特性になる。これに対して、電流不連続モードの場合、第二制御器32による補正機能の有無により(3)式と(41)式の特性になる。
(41)式の開ループ伝達関数GHは、先の実施の形態1の(14)式と異なり非通流率Dnの影響を意味する(41)式右辺第4項を(41)式右辺第2項により相殺できない。(41)式右辺第2項は、分母のs関数0次項に相当する時定数の高域通過フィルタを意味しており、この時定数は「D1*」と「Dccmhat」の値により変化する特性を持つため低周波側ゲインを低下させる効果を持つ。
図17の特性を用いて(41)式の特性を説明する。定常状態においては、「D1*」と「Dccmhat」の値がほぼ一致するため図17の<4>に示す特性になるが、過渡状態においては、「D1*」が「Dccmhat」より小さい値を取るため、図17の<3>に示す特性になる。つまり、過渡急変時に低域ゲインが低下するため、電流不連続モード時の制御安定性が向上することを意味している。
一方、(42)式のDn外乱伝達関数(Vin/Dn)は、(21)式と異なり非通流率Dnの外乱を相殺できない。
これは前述した通り、図16(1)に示した(37)式に相当する構成を適用した構成では制御安定性が低下するため、図16(2)の(39)式に相当する構成を採用したためである。なお、図18の特性を見ると、<2><4>に比べ<3>は、100rad/s以下では外乱の低域ゲインを抑制する傾向を確認できる。
次に、以上の実施の形態2による本願発明を適用した場合の効果を検証するため、即ち、第二制御器32が先の(40)式に示す補正演算Gを実行した場合と、それとの比較のためG=1、即ち、この発明の補正演算を実行しない場合とのシミュレーション結果について説明する。
図19は、G=1とした場合のシミュレーション結果で、上段から順次、(1)コンバータ2の入力端電圧Vin、(2)リアクトルL1の電流IL、(3)コンバータ2の出力端電圧Vout、(4)第二通流率指令値D2*(ここでは、D2*=D1*)を示す。
(1)では、入力端電圧として、電圧レベルV1からV2にステップ状で立ち上がりまた電圧レベルV2からV1にステップ状で立ち下がる指令値Vin*に対して応答する検出値Vinを示している。V1=0.84×V2である。
また、リアクトルL1のインダクタンスが、大、中、小の3種類の場合について示している。そして、L大特性では、電圧レベルV1、V2いずれでもリアクトルL1の電流連続性は成立し、L小特性では、電圧レベルV1、V2いずれでも電流連続性は成立せず、従って、電流は不連続となり、L中特性では、電圧レベルV1のとき電流連続性が成立し、電圧レベルV2のとき電流は不連続となる。
(2)のリアクトルL1の電流ILでは、スイッチングによるリプル電流が、リアクトルL1のインダクタンスが小さいほど大きくなっていることが分かる。
図20は、先の(40)式に示す補正演算Gを実行した場合のシミュレーション結果で、図19と同様、(1)コンバータ2の入力端電圧Vin、(2)リアクトルL1の電流IL、(3)コンバータ2の出力端電圧Vout、(4)第二通流率指令値D2*を示す。
図20(1)と図19(1)とを比較すると、Lの大中小の大きさの変化に対する、入力端電圧Vinのステップ応答のばらつきが、従来のG=1のときよりこの発明の場合小さくなっていることが確認できる。
図21は、図20と同様、先の(40)式に示す補正演算Gを実行した場合のシミュレーション結果で、同図(1)は、リアクトルL1の電流ILを示し、便宜上、図20(2)を再録したものである。図21(2)は、先の(36)式に示す電流非通流率推定値Dnhatで、同図(1)からも分かるように、L小特性では、全域で電流が不連続でDnhat>0となっており、L中特性では、電圧レベルV2となった部分のみでDnhat>0となり、他の部分では、Dnhat=0と電流連続性が成立している。
図21(3)は、第一通流率指令値D1*で、G=1とした図19(4)に対比されるものである。即ち、従来のG=1の場合の第一通流率指令値D1*は、Lの大中小でその値が変化するのに対し、この発明による図21(3)では、Lの大中小ではその値がほとんど変化せず、従って、電流連続性の有無によっては第一通流率指令値D1*が変化せず、この点からも制御特性の改善がなされることが分かる。
図21(4)は、第二通流率指令値D2*を示し、G=1の場合の図19(4)と比較すると、この発明では、Lの大中小の変化、従って、電流連続性の有無による、入力端電圧Vinのステップ変化時の応答期間のバラツキが小さくなっていることが分かる。
なお、リアクトルL1の電流連続性が存在する状態にて、先の(33)式右辺から求める通流率推定値Dccmhatと補正前の第一通流率指令値D1*とは、回路インピーダンスの影響で誤差を持つため、両者の差分値を用いて通流率推定値Dccmhatと第一通流率指令値D1*との誤差が小さくなるよう、第二通流率指令値D2*に対して(43)式に示す関数を加算もしくは減算しても良い。
ここで、Kは、通流率推定値Dccmhatと第一通流率指令値D1*との誤差を抑制可能な比例ゲインを意味する。
なお、(43)式の補正をする場合、(36)式に示した電流非通流率推定値Dnhatを求める演算式は、(44)式に置き換える必要がある。これにより、制御特性がより安定したものとなる。
Figure 2018186671
なお、以上では、コンバータ2の入力端電圧を制御対象値とする場合について説明したが、この発明は、先の実施の形態1で説明したように、制御対象値として入力端電圧とは異なる場合にもこの発明は同様に適用でき同等の効果を奏する。
また、実施の形態1、2の説明では一般的な昇圧コンバータを用いたが、電流連続モードにおいて通流率を入力電圧と出力電圧の比で表すことができる他のコンバータおよびインバータに対してそれぞれの制御モデルに応じた形で適用しても良い。
以上のように、この発明の実施の形態2による電力変換装置の第二制御器32は、リアクトルL1の電流検出値を用いることなく、内部の電流非通流率推定手段323により電流非通流率推定値Dnhatを求め、制御対象値と制御指令値とを関係づける伝達関数に対する電流非通流率Dnの影響を抑制する線形補正の演算G1を担う第一非通流率補償部321を備えたので、リアクトルL1の電流連続性が損なわれても制御応答性の変化を抑制することができる。
また、第一制御器31から得られる第一通流率指令値D1*とコンバータ2の入出力端電圧から演算で得られる通流率推定値Dccmhatとの差分が小さくなるよう電流非通流率推定値Dnhatを補正することで、制御特性がより安定化する。
実施の形態3.
図22は、本願発明の実施の形態3としての電力変換装置300の構成を示す図である。この実施の形態3は、特に、電流不連続モードにおけるスイッチング素子の損失低減を実現するものである。
図22は、全体として先の図1および図4で説明した構成を踏襲したもので、以下、これらと異なる点を中心に説明する。
先の第二制御器32およびPWM変調部33に替わって、第一制御器31からの第一通流率指令値D1*に基づき第一スイッチング素子Saおよび第二スイッチング素子Sbをオンオフ駆動するそれぞれ第一PWM信号および第二PWM信号を生成する、後述する低損失PWM変調部を備える。
従って、先の形態例では、第二スイッチング素子Sbには駆動信号が供給されないか第一スイッチング素子Saへの駆動信号を反転した信号が供給されていたが、この実施の形態3では、第二スイッチング素子Sbには、後段で説明する第二PWM信号が供給される。
図23は、低損失PWM変調部34の内部構成を示し、図24は、その動作を説明するための図である。図24において、(1)は、Saがオン、Sbがオフで、Saを介して直流電源1からリアクトルL1に電流が流入する蓄勢期間の動作を示すものである。(2)は、Saがオフ、Sbがオンで、Sbを介してリアクトルL1から負荷側へ電流が流れる放勢期間の動作を示すものである。(3)は、Sa、Sbが共にオフで、リアクトルL1に電流が流れない非通流期間の動作を示すものである。
図24(4)は、低損失PWM変調部34による各信号生成の様子を示すタイミングチャートである。
なお、以下、図22ないし図24を参照して説明する低損失PWM変調部34は、先の実施の形態2で説明した第二制御器32と同様の機能を内蔵し、即ち、(36)式で求まる電流非通流率推定値Dnhatを用い、(40)式により、第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正した第二通流率指令値D2*に基づきPWM信号を生成するものとしている。
但し、この実施の形態3の発明に係る低損失PWM変調部34は、上述の場合に限らず、電流非通流率Dnとして、電流非通流率推定値Dnhatに替わり、先の実施の形態1で説明した電流非通流率検出値Dndetを用いても良く、その場合は、図24(4)のDnhatは、Dndetに置き替えれば良い。
また、第二通流率指令値D2*への補正をせず、第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を使ってPWM信号を生成するようにしても良い。その場合は、図23および図24(4)のD2*はD1*に置き替えれば良い。
図23において、制御器341は、先の実施の形態2の第二制御器32に相当するもので、再度の説明は割愛するが、第一制御器31からの第一通流率指令値D1*を補正した第二通流率指令値D2*および電流非通流率推定値Dnhatを生成して出力する。
第一三角波比較器342は、図24(4)上段の波形図に示すように、対称三角波331と制御器341からの第二通流率指令値D2*とによるパルス幅変調で第一スイッチング素子Saをオンオフ駆動する第一PWM信号を生成する。
第二三角波比較器343は、図24(4)2段、3段目の波形図に示すように、第一PWM信号のパルスエッジにゼロ位相を同期する、対称三角波331と同じ周期の、のこぎり波332と(1−Dnhat)とによるパルス幅変調により非通流期間に対応する非通流期間パルスを生成するとともに、第一PWM信号と非通流期間パルスとの合成パルスを反転することで第二スイッチング素子Sbをオンオフ駆動する第二PWM信号を生成する。
このように、スイッチング素子SaとSbとによるいわゆる同期整流動作が実現するので、電流不連続モードにおいて、スイッチング素子Sbを、単にスイッチング素子Saへの駆動信号を反転させた信号で動作させる場合やスイッチング素子Sbをダイオードに置換した場合に比較し、スイッチング素子の損失が低減する。
なお、上述の非通流期間パルスを実現できる範囲で、のこぎり波332は、第一PWM信号のオンパルスエッジとオフパルスエッジのどちらで同期しても良く、カウントアップとカウントダウンのどちらの形を取っても良い。
また、図24では、直流電源1から負荷101に放電する場合を取り上げたが、負荷101から直流電源1を充電する場合は、第一PWM信号をスイッチング素子Sbに、第二PWM信号をスイッチング素子Saに供給することで同様の同期整流による損失低減が実現する。
また、実施の形態3の説明では一般的な昇圧コンバータを用いたが、電流連続モードにおいて通流率を入力電圧と出力電圧の比で表すことができる他のコンバータおよびインバータに対してそれぞれの制御モデルに応じた形で適用しても良い。
以上のように、この発明の実施の形態3による電力変換装置の低損失PWM変調部34は、所定の第一三角波比較器342および第二三角波比較器343を備えたので、電流連続性の有無に拘わらず、スイッチング素子SaとSbとによるいわゆる同期整流動作が実現し、その損失低減効果が得られる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1,102 直流電源、2 コンバータ、3 制御装置、4 第一電圧検出器、
5 第二電圧検出器、6 第一電流検出器、7 電力検出器、30 MPPT演算部、
31 第一制御器、32 第二制御器、33 PWM変調部、
34 低損失PWM変調部、100,103,300 電力変換装置、101 負荷、
200 パワーコンディショナー、201 太陽電池、321 第一非通流率補償部、
322 第二非通流率補償部、323 電流非通流率推定手段、331 対称三角波、
332 のこぎり波、341 制御器、342 第一三角波比較器、
343 第二三角波比較器、Sa 第一スイッチング素子、
Sb 第二スイッチング素子、L1 リアクトル、C1,C2 コンデンサ、
SW 切替スイッチ、Dn 電流非通流率、Dndet 電流非通流率検出値、
Dnhat 電流非通流率推定値、D1* 第一通流率指令値、
D2* 第二通流率指令値、Dccmhat 通流率推定値。

Claims (14)

  1. リアクトルとスイッチング素子とを有し前記スイッチング素子のオンオフに伴う前記リアクトルの蓄勢放勢動作を利用して入出力端間で電圧の変換を行うコンバータ、および前記スイッチング素子をオンオフ制御する制御手段を備えた電力変換装置であって、
    前記スイッチング素子をオンオフするスイッチング周期において、前記リアクトルに常に前記蓄勢または前記放勢のいずれかの電流が流れるモードを電流連続モード、前記リアクトルに電流が流れない非通流期間が存在するモードを電流不連続モードと称する場合、
    前記制御手段は、前記電流連続モードと前記電流不連続モードとに拘わらず単一の制御構成で制御対象値が制御指令値に一致するよう通流率を演算し第一通流率指令値D1*として出力する第一制御器、前記非通流期間の前記スイッチング周期に対する比率を電流非通流率Dn(1>Dn≧0)としたとき、前記電流連続モードと前記電流不連続モードとに拘わらず一定の制御応答特性が得られるよう前記電流非通流率Dnに基づき前記第一通流率指令値D1*を補正し第二通流率指令値D2*として出力する第二制御器、および前記第二通流率指令値D2*に基づき前記スイッチング素子をオンオフ駆動する駆動信号を生成する駆動回路を備えた電力変換装置。
  2. 前記第二制御器は、前記電力変換装置における前記制御対象値と前記制御指令値とを関係づける伝達関数に対する前記電流非通流率Dnの影響を抑制する線形補正を担う第一非通流率補償部および前記電力変換装置における前記制御対象値と前記電流非通流率Dnとを関係づける伝達関数に対する前記電流非通流率Dnの影響を相殺する外乱補正を担う第二非通流率補償部のいずれかまたは双方を備えた請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記リアクトルに流れる電流を検出する電流検出器を備え、前記第二制御器は、前記電流検出器からの電流検出値に基づき算出した電流非通流率検出値Dndetに基づき前記第一通流率指令値D1*を補正し前記第二通流率指令値D2*として出力するようにした請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記第二制御器は、前記第一非通流率補償部および前記第二非通流率補償部を備えた請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記第二制御器は、前記電流非通流率Dnを演算により推定する電流非通流率推定手段を備え、前記電流非通流率推定手段からの電流非通流率推定値Dnhatに基づき前記第一通流率指令値D1*を補正し前記第二通流率指令値D2*として出力するようにした請求項2に記載の電力変換装置。
  6. 前記電流非通流率推定手段は、前記コンバータの入出力端の電圧を検出する電圧検出器を備え、前記電圧検出器からの入力端電圧の検出値Vinと出力端電圧の検出値Voutとを用いて以下の(a)式から得られる通流率推定値Dccmhatおよび前記第二通流率指令値D2*を用い以下の(b)式により前記電流非通流率推定値Dnhatを演算するようにした請求項5に記載の電力変換装置。
    Dccmhat=1−(Vin/Vout) ・・・(a)
    Dnhat=1−(D2*/Dccmhat)・・・(b)
  7. 前記第二制御器は、前記電流非通流率推定値として、請求項6の(b)式で得られる値Dnhatに対し時定数Tの低域通過フィルタの処理を施して得られる以下の(c)式の値を使用するようにした電力変換装置。
    (1/(1+sT))・Dnhat ・・・(c)
    但し、sはラプラス演算子を示す。
  8. 前記第二制御器は、前記電流非通流率推定値として、請求項6の(b)式で得られる値Dnhatに対し離散系の処理により発生するむだ時間要素に相当する時間だけ遅らせた値を使用するようにした電力変換装置。
  9. 前記電流非通流率推定手段は、前記電流連続モードにおいて、前記第一制御器から得られる前記第一通流率指令値D1*と前記コンバータの前記入出力端電圧から演算で得られる通流率との差分を求め、当該差分が小さくなるよう前記電流非通流率推定値Dnhatを補正するようにした請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  10. 前記第二制御器は、前記第一非通流率補償部を備え前記第二非通流率補償部を備えないようにした請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  11. 前記コンバータの出力端電圧を一定とする条件で、前記制御対象値を前記コンバータの入力端電圧の検出値とし、前記制御指令値を前記コンバータの入力端電圧の指令値とした請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  12. 前記コンバータの入力端電圧を一定とする条件で、前記制御対象値を前記コンバータの出力端電圧の検出値とし、前記制御指令値を前記コンバータの出力端電圧の指令値とした請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  13. 前記コンバータの出力端電圧を一定とする条件で、前記制御対象値を前記リアクトルに流れる電流の検出値とし、前記制御指令値を前記リアクトルに流す電流の指令値とした請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  14. リアクトルとこのリアクトルの一端で互いに直列に接続された第一スイッチング素子および第二スイッチング素子とを有しこれらスイッチング素子のオンオフに伴う前記リアクトルの蓄勢放勢動作を利用して入出力端間で電圧の変換を行うコンバータ、および前記スイッチング素子をオンオフ制御する制御手段を備えた電力変換装置であって、
    前記スイッチング素子をオンオフするスイッチング周期において、前記リアクトルに常に前記蓄勢または前記放勢のいずれかの電流が流れる電流連続モードまたは前記リアクトルに電流が流れない非通流期間が存在する電流不連続モードで制御する場合、
    前記制御手段は、制御対象値が制御指令値に一致するよう通流率指令値を生成するとともに前記非通流期間の前記スイッチング周期に対する比率である電流非通流率を生成する制御器、対称三角波と前記通流率指令値とによるパルス幅変調で前記第一スイッチング素子をオンオフ駆動する第一PWM信号を生成する第一三角波比較器、および前記第一PWM信号に同期するのこぎり波と前記電流非通流率とによるパルス幅変調で前記非通流期間に対応する非通流期間パルスを生成するとともに、前記第一PWM信号と前記非通流期間パルスとの合成パルスを反転することで前記第二スイッチング素子をオンオフ駆動する第二PWM信号を生成する第二三角波比較器を備えた電力変換装置。
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