JP2018185600A - 熱源モデル作成装置および方法 - Google Patents

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裕志 村田
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Abstract

【課題】年ごとの運用データから得られる熱源システムの特性が反映された、対象季節の熱源モデルを作成する、熱源モデル作成装置および方法を提供する。【解決手段】熱源モデル作成装置10は、年特性抽出部17が、互いに異なる第1および第2の年の対象期間における運用データの回帰関数をそれぞれ特定することにより、第1および第2の年に関する第1および第2の年特性を抽出する。季節特性抽出部18が、前年の対象季節における運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出する。熱源モデル作成部19が、第1の年特性と第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて季節特性を補正することにより、当年の対象季節における熱源システムの入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する。【選択図】図1

Description

本発明は、熱源のエネルギー入出力特性を示す熱源モデルを作成するための熱源モデル作成技術に関する。
熱源システムでは、電力、都市ガス、石油などのエネルギーを利用して、冷凍機、ボイラ、コジェネレーションなどの各種の熱源機器を運転することにより、冷水や蒸気などの熱エネルギーを生成し、工場やビル建物などの需要家に供給するエネルギー供給システムである。
このような熱源システムでは、省エネルギーや省コストの観点から、需要家で発生する需要すなわち熱負荷を満たしつつ、最小の運転コストで熱源機器を運転する必要がある。このため、熱源システムに入力される電力、都市ガス、石油などのエネルギーと、熱源システムから出力される冷水や蒸気などのエネルギーとの関係を、熱源モデルとして特定しておき、得られた熱源モデルに基づいて熱負荷を予測し、その予測結果に基づいて熱源システムを運転制御することが重要となる。
従来、蓄熱システムにおける熱負荷を予測する技術として、運転モードの切り替えを行う季節ごとに大まかな熱源モデルを、過去に得られた運用データから機械学習により生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これにより、翌日の時刻ごとの熱負荷変化を示す熱負荷パターンを予測する場合には、センサで得られた当日の環境要素データ、外部から収集した翌日の気象要素データ、および予め保有する翌日の曜日データと、季節に応じた熱源モデルとに基づいて、翌日の熱負荷パターンを生成することができる。
特開2005−321852号公報
しかしながら、このような従来技術では、過去に得られた運用データを単に機械学習することにより対象季節の熱源モデルを作成しているため、季節と関係する特性を熱源モデルに反映できるものの、季節とは無関係の年間を通して得られる特性については熱源モデルに反映されていないという問題点があった。
すなわち、季節に応じて運転モードを切り替える場合、熱源システムの特性は季節ごとに大きく変化する。このため、このような季節ごとの特性は、過去年の同一季節における季節運用データからしか得ることができない。したがって、過去年の同一季節における季節運用データに基づいて、対象季節の熱源モデルを作成することは、極めて重要となる。
しかしながら、熱源システムの特性は、季節ごとの運用データからしか得られない季節特性だけではなく、年ごとの運用データからしか得られない年特性もある。例えば、熱源機器の運転効率などの性能は経時的に変化し、このような特性は、過去年の季節運用データでは得られない特性である。
従来技術によれば、例えば1年前の運用データから作成した対象季節の熱源モデルにより熱負荷を予測する場合、予測により得られる熱負荷は1年前の熱源機器の性能を前提とするものである。したがって、熱源モデルの熱源機器と現在の熱源機器との間には、少なくとも1年という時間経過が存在している。この時間経過は熱源機器の性能劣化において無視できない時間的長さを有している。したがって、単に対象季節の運用データから作成した熱源モデルには、熱源機器の性能劣化などの年特性が反映されておらず、熱負荷を精度よく予測することができない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、年ごとの運用データから得られる熱源システムの特性が反映された、対象季節の熱源モデルを作成できる熱源モデル作成技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる熱源モデル作成装置は、熱源システムから得られた、単位期間ごとの入力エネルギー量と出力エネルギー量との組からなる運用データに基づいて、対象季節に関する熱源モデルを作成する熱源モデル作成装置であって、第1の年の1年間または一部期間からなる対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第1の年に関する第1の年特性を抽出するとともに、第1の年とは異なる第2の年の前記対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第2の年に関する第2の年特性を抽出する年特性抽出部と、前年の対象季節における前記運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出する季節特性抽出部と、前記第1の年特性と前記第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて前記季節特性を補正することにより、当年の対象季節における前記熱源システムの入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する熱源モデル作成部とを備えている。
また、本発明にかかる上記熱源モデル作成装置の一構成例は、前記年特性抽出部が、前記回帰関数として、前記入力エネルギー量と前記出力エネルギー量の2次元座標における線形関数を特定し、前記季節特性抽出部は、前記回帰関数として、前記2次元座標における線形関数を特定し、前記熱源モデル作成部は、前記第1の年特性と前記第2の年特性の2つの線形関数の差分を示す切片の差分または切片および傾きの差分を、前記特性補正係数として計算し、前記季節特性を示す線形関数の切片または切片および傾きを補正することにより、前記熱源モデルを作成するようにしたものである。
また、本発明にかかる上記熱源モデル作成装置の一構成例は、前記年特性抽出部が、前記第1の年の前記運用データとして前々年に得られた運用データを用い、前記第2の年の前記運用データとして前年に得られた運用データを用いるようにしたものである。
また、本発明にかかる上記熱源モデル作成装置の一構成例は、前記年特性抽出部が、前記第1の年の前記運用データとして前年の一部期間に得られた前記運用データを用い、前記第2の年の前記運用データとして当年の一部期間に得られた前記運用データを用いるようにしたものである。
また、本発明にかかる上記熱源モデル作成装置の一構成例は、前記年特性抽出部が、前記第1の年の前記運用データとしてモデル作成時点から遡った規定期間分の運用データを用いるとともに、前記第2の年の前記運用データとして前記モデル作成時点の1年前からさらに遡った前記規定期間分の運用データを用いるようにしたものである。
また、本発明にかかる熱源モデル作成方法は、熱源システムから得られた、単位期間ごとの入力エネルギー量と出力エネルギー量との組からなる運用データに基づいて、対象季節に関する熱源モデルを作成する熱源モデル作成装置で用いられる熱源モデル作成方法であって、年特性抽出部が、第1の年の1年間または一部期間からなる対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第1の年に関する第1の年特性を抽出するとともに、第1の年とは異なる第2の年の前記対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第2の年に関する第2の年特性を抽出する年特性抽出ステップと、季節特性抽出部が、前年の対象季節における前記運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出する季節特性抽出ステップと、熱源モデル作成部が、前記第1の年特性と前記第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて前記季節特性を補正することにより、当年の対象季節における前記熱源システムの入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する熱源モデル作成ステップとを備えている。
本発明によれば、熱源システムの特性のうち、季節ごとの運用データからしか得られない季節特性が、例えば、熱源機器の運転効率の劣化など、年ごとの運用データからしか得られない年特性で補正されることになる。したがって、年ごとの運用データから得られる熱源システムの特性が反映された、対象季節の熱源モデルを作成することが可能となる。
熱源モデル作成装置の構成を示すブロック図である。 熱源モデルデータの構成例である。 運用DBの構成例である。 熱源モデル作成処理を示すフローチャートである。 年特性抽出処理を示す説明図である。 年運用データと年特性の関係を示すグラフである。 季節特性抽出処理を示す説明図である。 季節運用データと季節特性の関係を示すグラフである。 特性補正係数の計算例を示す説明図である。 特性補正係数の他の計算例を示す説明図である。
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[熱源モデル作成装置]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる熱源モデル作成装置10について説明する。図1は、熱源モデル作成装置の構成を示すブロック図である。
この熱源モデル作成装置10は、全体としてサーバ装置などの情報処理装置からなり、熱源システム20から得られた、単位期間ごとの入力エネルギー量と出力エネルギー量との組からなる運用データの回帰関数を特定することにより、対象季節に関する熱源モデルを作成する機能を有している。
熱源システム20は、電力、都市ガス、石油などのエネルギーを利用して、冷凍機、ボイラ、コジェネレーションなどの各種の熱源機器30を運転制御することにより、冷水や蒸気などの熱エネルギーを生成し、工場やビル建物などの需要家に供給するエネルギー供給システムである。
熱源システム20の特性には、季節ごとの季節運用データから得られる特性だけではなく、季節より長いスパンである年間を通した年運用データからしか得られない特性も含まれている。例えば、熱源機器30の性能劣化は、年間を通した年運用データからしか得られない特性の1つである。本発明は、このような熱源システム20の特性に、季節ごとの季節特性と年間を通した年特性の2種類が含まれていることに着目し、これら2種類の特性をそれぞれの期間に対応する運用データから抽出し、季節ごとの熱源モデルに反映させるようにしたものである。
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる熱源モデル作成装置10の構成について詳細に説明する。
熱源モデル作成装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、操作入力部12、画面表示部13、記憶部14、運用DB15、データ収集部16、年特性抽出部17、季節特性抽出部18、および熱源モデル作成部19が設けられている。これら機能部のうち、データ収集部16、年特性抽出部17、季節特性抽出部18、および熱源モデル作成部19は、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により実現されている。
通信I/F部11は、通信回線Lを介して熱源システム20などの外部装置との間でデータ通信を行うことにより、熱源システム20の運用実績を示す運用データなどの各種データを送受信する機能を有している。
操作入力部12は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作メニュー画面、設定画面、熱源特性表示画面など、各種の画面を表示する機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、熱源モデル作成処理に用いる各種処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶する主な処理データとして、熱源モデルデータがある。熱源モデルデータは、運用データの回帰関数を特定することにより得られた、各季節における熱源システム20の入出力エネルギーの関係を示す関数パラメータである。
図2は、熱源モデルデータの構成例である。ここでは、熱源モデル(回帰関数)が入力エネルギー量と出力エネルギー量の2次元座標における線形関数からなる場合が示されており、線形関数を特定する傾きと切片が、関数パラメータとして、冬期(12,1,2月)、中間期(3,4,5,9,10,11月)、夏期(6,7,8月)の季節ごとに登録されている。
本実施の形態では、春期と秋期の熱源モデルが類似していることから共通する1つの熱源モデルと見なす場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、春期と秋期の熱源モデルを別個に生成してもよい。
運用DB15は、熱源システム20を実際に運用して得られた運用データが登録されているデータベースである。図3は、運用DBの構成例である。ここでは、1日ごとに、熱源システム20に入力された入力エネルギー量と、熱源システム20から出力(供給)した出力エネルギー量との組が、運用データとして登録されている。
データ収集部16は、例えば1日間などの単位期間に、熱源システム20に入力された入力エネルギー量と、熱源システム20から出力(供給)した出力エネルギー量とを示す運用データを、通信I/F部11および通信回線Lを介して熱源システム20から順次取得する機能と、取得した運用データを運用DB15に登録する機能とを有している。
本実施の形態では、運用データが、熱源システム20の入出力エネルギーの関係を、単位期間ここでは1日ごとに平均化したテータである場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。例えば1時間ごとや1週間ごとなど、熱源システム20での入出力エネルギー量の変化に応じて予め設定された任意の単位期間を用いてもよい。
年特性抽出部17は、運用DB15から取得した、第1の年の1年間または一部期間からなる対象期間における運用データについて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、第1の年に関する第1の年特性を抽出する機能と、同じく運用DB15から取得した、第1の年とは異なる第2の年の対象期間における運用データについて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、第2の年に関する第2の年特性を抽出する機能とを有している。本実施の形態では、第1の年の運用データとしてモデル作成時点の前々年の1年間に得られた運用データを用い、第2の年の運用データとしてモデル作成時点の前年の1年間に得られた運用データを用いる場合について説明する。
季節特性抽出部18は、運用DB15から取得した、モデル作成時点の前年の対象季節における運用データについて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を特定する機能を有している。
年特性抽出部17および季節特性抽出部18における、複数の運用データから回帰関数を特定する手法については、一般的な公知の手法を用いればよい。例えば、回帰関数として線形関数を用いる場合、最小二乗法などの公知の手法を用いればよい。
熱源モデル作成部19は、年特性抽出部17で抽出された第1の年特性と第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算する機能と、得られた特性補正係数に基づいて季節特性抽出部18で抽出された季節特性を補正することにより、モデル作成時点の当年の対象季節における熱源システム20の入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する機能とを有している。
一般に、熱源機器30の劣化は、入力エネルギー量に対する出力エネルギー量の低下を表す。このため、前々年と前年の2つの年特性を、入出力エネルギー量の2次元平面における線形関数で表した場合、出力エネルギー量を示す縦軸に沿って上下方向にずれて位置することになる。したがって、これら2つの年特性の差分は、これら線形関数の切片の変化度合で表すことができ、これが1年当たりの季節特性の変化度合に相当する。
なお、第1の年および第2の年が1年違いではなく複数年違う場合には、得られた差分を複数年で除算することにより、1年あたりの差分に変換した後、季節特性を補正すればよい。
また、熱源機器30によっては、入力エネルギー量に対する出力エネルギー量の低下比率も変化する可能性もあり、このような場合には、これら線形関数の傾きの変化度合で表すことができる。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる熱源モデル作成装置10の動作について説明する。図4は、熱源モデル作成処理を示すフローチャートである。
ここでは、モデル作成時点の当年をNとし、その前年N−1の夏期の運用データDN-1,SUMMERに基づいて、当年Nの夏期熱源モデルMN,SUMMERを作成する場合を例として説明する。なお、熱源モデルの作成に用いる運用データは、データ収集部16により熱源システム20から収集されて運用DB15に登録されているものとする。
熱源モデル作成処理については、データ収集部16が熱源システム20から収集して運用DB15に登録した新たな運用データが一定数に達した時点を契機として実行される機械学習処理として、現時点以降の季節に関する熱源モデルを作成するようにしてもよい。また、操作入力部12で検出されたオペレータ指示に応じて、指定された対象季節に関する熱源モデルを作成するようにしてもよい。
図5は、年特性抽出処理を示す説明図である。まず、年特性抽出部17は、運用DB15から前々年N−2と前年N−1の年運用データDN-2,DN-1を取得し(ステップ100)、これらDN-2,DN-1から前々年N−2と前年N−1に関する年特性FN-2,FN-1を抽出する(ステップ101)。
図6は、年運用データと年特性の関係を示すグラフである。運用データの回帰関数として線形関数を用いた場合、年特性FN-2は前々年N−2の年運用データDN-2の回帰直線に相当し、年特性FN-1は前年N−1の年運用データDN-1の回帰直線に相当する。
続いて、季節特性抽出部18は、運用DB15から前年N−1の夏期運用データDN-1,SUMMERを取得し(ステップ102)、このDN-1,SUMMERから前年N−1の夏期に関する夏期季節特性GN-1,SUMMERを抽出する(ステップ103)。
図7は、季節特性抽出処理を示す説明図である。前年冬期季節特性GN-1,WINTERについては、前年N−1の冬期運用データDN-1,WINTERから抽出される。また、前年中間期季節特性GN-1,MIDDLEについては、前年N−1の春期運用データDN-1,SPRINGと秋期運用データDN-1,AUTUMNを合わせた中間期運用データDN-1,MIDDLEから抽出される。
図8は、季節運用データと季節特性の関係を示すグラフである。運用データの回帰関数として線形関数を用いた場合、夏期季節特性GN-1,SUMMERは、前年N−1の夏期運用データDN-1,SUMMERの回帰直線に相当する。同じく、冬期季節特性GN-1,WINTERは、前年N−1の冬期運用データDN-1,WINTERの回帰直線に相当し、中間期季節特性GN-1,MIDDLEは、前年N−1の中間期運用データDN-1,MIDDLEの回帰直線に相当する。
この後、熱源モデル作成部19は、年特性抽出部17で抽出された、前々年N−2と前年N−1に関する年特性FN-2,FN-1の差分を示す特性補正係数Rを計算する(ステップ104)。
運用データの回帰関数として線形関数を用いた場合、図6に示したように、特性補正係数Rは、FN-2,FN-1の切片の差に相当する。
続いて、熱源モデル作成部19は、得られた特性補正係数Rに基づいて季節特性抽出部18で抽出された夏期季節特性GN-1,SUMMERを補正することにより、モデル作成時点の当年Nの夏期における熱源システム20の入出力エネルギー特性を示す熱源モデルMN,SUMMERを作成し(ステップ105)、一連の熱源モデル作成処理を終了する。
これにより、図8に示したように、GN-1,SUMMERの切片が特性補正係数Rだけ減算されて、MN,SUMMERが作成される。
[特性補正係数の計算例]
次に、本実施の形態にかかる特性補正係数の計算例について説明する。前述では、熱源モデル作成部19で特性補正係数Rを計算する場合、図5に示したように、年特性抽出部17で抽出した、前々年N−2と前年N−1に関する年特性FN-2,FN-1を用いる場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。
図9は、特性補正係数の計算例を示す説明図である。ここでは、年特性抽出部17が、運用DB15から前年N−1と当年Nの春期運用データDN-1,SPRING,DN,SPRINGを取得して、これらDN-1,SPRING,DN,SPRINGから前年N−1と前年Nに関する年特性FN-1,FNを抽出し、熱源モデル作成部19が、これらFN-1,FNの差分を示す特性補正係数Rを計算している。
これにより、例えば対象季節が夏期である場合には、その直前の季節である春期の運用データDN-1,SPRING,DN,SPRINGから特性補正係数Rを計算することができ、夏期熱源モデルにとって精度の高い特性補正係数Rを得ることができる。
なお、この場合、対象季節の1つ前の1季節分の運用データに限定されるものではなく、対象季節の1つ前から遡って2季節分の運用データを用いてもよい。例えば、対象季節が夏期である場合には、その直前の春期と冬期の2季節分の運用データを用いてもよい。これにより、運用データ数が増加するため、特性補正係数Rの誤差を小さくすることができる。
図10は、特性補正係数の他の計算例を示す説明図である。ここでは、年特性抽出部17が、モデル作成時点Tから過去1年分の運用データD’N-1と、モデル作成時点Tから1年前からさらに過去1年分の運用データD’N-2とを運用DB15から取得して、これらD’N-2,D’N-1から前年N−1と前年Nに関する年特性F’N-1,F’Nを抽出し、熱源モデル作成部19が、これらF’N-1,F’Nの差分を示す特性補正係数Rを計算している。
これにより、年に制限されることなく、モデル作成時点Tを基準として、その1年前とさらに1年前における、例えば1年間分などの規定期間分の運用データから特性補正係数Rを計算することができる。これにより、モデル作成時点Tの直近であった、かつ、多数の運用データを用いることができ、極めて精度の高い特性補正係数Rを得ることができる。
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、年特性抽出部17が、互いに異なる第1および第2の年の対象期間における運用データの回帰関数をそれぞれ特定することにより、第1および第2の年に関する第1および第2の年特性を抽出し、季節特性抽出部18が、前年の対象季節における運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出し、熱源モデル作成部19が、第1の年特性と第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて季節特性を補正することにより、当年の対象季節における熱源システム20の入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成するようにしたものである。
これにより、熱源システム20の特性のうち、季節ごとの運用データからしか得られない季節特性が、例えば、熱源機器30の運転効率の劣化など、年ごとの運用データからしか得られない年特性で補正されることになる。したがって、年ごとの運用データから得られる熱源システム20の特性が反映された、対象季節の熱源モデルを作成することが可能となる。
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
10…熱源モデル作成装置、11…通信I/F部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…記憶部、15…運用DB、16…データ収集部、17…年特性抽出部、18…季節特性抽出部、19…熱源モデル作成部、20…熱源システム、30…熱源機器、L…通信回線。

Claims (6)

  1. 熱源システムから得られた、単位期間ごとの入力エネルギー量と出力エネルギー量との組からなる運用データに基づいて、対象季節に関する熱源モデルを作成する熱源モデル作成装置であって、
    第1の年の1年間または一部期間からなる対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第1の年に関する第1の年特性を抽出するとともに、第1の年とは異なる第2の年の前記対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第2の年に関する第2の年特性を抽出する年特性抽出部と、
    前年の対象季節における前記運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出する季節特性抽出部と、
    前記第1の年特性と前記第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて前記季節特性を補正することにより、当年の対象季節における前記熱源システムの入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する熱源モデル作成部と
    を備えることを特徴とする熱源モデル作成装置。
  2. 請求項1に記載の熱源モデル作成装置において、
    前記年特性抽出部は、前記回帰関数として、前記入力エネルギー量と前記出力エネルギー量の2次元座標における線形関数を特定し、
    前記季節特性抽出部は、前記回帰関数として、前記2次元座標における線形関数を特定し、
    前記熱源モデル作成部は、前記第1の年特性と前記第2の年特性の2つの線形関数の差分を示す切片の差分または切片および傾きの差分を、前記特性補正係数として計算し、前記季節特性を示す線形関数の切片または切片および傾きを補正することにより、前記熱源モデルを作成する
    ことを特徴とする熱源モデル作成装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱源モデル作成装置において、
    前記年特性抽出部は、前記第1の年の前記運用データとして前々年に得られた運用データを用い、前記第2の年の前記運用データとして前年に得られた運用データを用いることを特徴とする熱源モデル作成装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の熱源モデル作成装置において、
    前記年特性抽出部は、前記第1の年の前記運用データとして前年の一部期間に得られた前記運用データを用い、前記第2の年の前記運用データとして当年の一部期間に得られた前記運用データを用いることを特徴とする熱源モデル作成装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の熱源モデル作成装置において、
    前記年特性抽出部は、前記第1の年の前記運用データとしてモデル作成時点から遡った規定期間分の運用データを用いるとともに、前記第2の年の前記運用データとして前記モデル作成時点の1年前からさらに遡った前記規定期間分の運用データを用いることを特徴とする熱源モデル作成装置。
  6. 熱源システムから得られた、単位期間ごとの入力エネルギー量と出力エネルギー量との組からなる運用データに基づいて、対象季節に関する熱源モデルを作成する熱源モデル作成装置で用いられる熱源モデル作成方法であって、
    年特性抽出部が、第1の年の1年間または一部期間からなる対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第1の年に関する第1の年特性を抽出するとともに、第1の年とは異なる第2の年の前記対象期間における前記運用データの回帰関数を特定することにより、前記第2の年に関する第2の年特性を抽出する年特性抽出ステップと、
    季節特性抽出部が、前年の対象季節における前記運用データに基づいて、これら運用データの回帰関数を特定することにより、前年の対象季節に関する季節特性を抽出する季節特性抽出ステップと、
    熱源モデル作成部が、前記第1の年特性と前記第2の年特性の差分を示す特性補正係数を計算し、得られた特性補正係数に基づいて前記季節特性を補正することにより、当年の対象季節における前記熱源システムの入出力エネルギー特性を示す熱源モデルを作成する熱源モデル作成ステップと
    を備えることを特徴とする熱源モデル作成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115661682A (zh) * 2022-12-27 2023-01-31 生态环境部卫星环境应用中心 一种工业热源对象的自动化提取方法及提取装置

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CN115661682A (zh) * 2022-12-27 2023-01-31 生态环境部卫星环境应用中心 一种工业热源对象的自动化提取方法及提取装置
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