JP2018183188A - 口腔用たばこ組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1は、たばこ葉に含まれた夾雑物質を低減するために、たばこ葉からニコチンを含む香味成分を抽出し、抽出後の残渣を洗浄し、精製した抽出液を掛け戻すことによって作製したたばこ原料を用いた口腔用たばこ組成物を開示している。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、たばこ特異的なニトロソアミン(以下、TSNAと記載)などのたばこ原料由来の夾雑物質が低減されたたばこ原料において、たばこ原料に特有の咽喉や食道への感覚を使用者に付与することが可能な口腔用たばこ組成物を提供することを目的とする。
[1] ニコチンの含有量に対する、炭素数6以下のカルボン酸の総含有量の比(A/N比)が0.06以上であり、ニコチン1mgあたりの、TSNAの含有量が20ng以下である、口腔用たばこ組成物。
[2] 前記A/N比が、0.20以上である、[1]に記載の口腔用たばこ組成物。
[3] 前記A/N比が、1.30以上である、[1]に記載の口腔用たばこ組成物。
[4] 前記A/N比が、2.00以上である、[1]に記載の口腔用たばこ組成物。
[5] 前記A/N比が、3.50以上である、[1]に記載の口腔用たばこ組成物。
[6] 前記A/N比が、20.00以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の口腔用たばこ組成物。
[7] 前記口腔用たばこ組成物のpHが、8.0以上10.0未満である、[1]〜[6]のいずれかに記載の口腔用たばこ組成物。
[8] 前記炭素数6以下のカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、レブリン酸、ピルビン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、酪酸及びグルタミン酸から選ばれる一種以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載の口腔用たばこ組成物。
[9] 前記炭素数6以下のカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸及びギ酸から選ばれる一種以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の口腔用たばこ組成物。
[10] 以下のa)〜d)のステップを経て得られるたばこ材料を含む口腔用たばこ組成物の製造方法であって、得られるたばこ原料が以下の性質(i)及び(ii)を有する、製造方法。
a)たばこ原料に塩基性物質を添加するステップ
b)前記塩基性物質を添加したたばこ原料を加熱することで、たばこ原料中の香喫味成分を気相中に放出するステップ
c)前記気相中に放出された香喫味成分を捕集溶媒に回収するステップ
d)前記香喫味成分が放出されたたばこ原料を洗浄溶媒で洗浄することにより、たばこ原料に残存する酸性物質を除去するステップ
e)前記d)の後に、前記c)で回収した香喫味成分を前記たばこ原料に掛け戻すステップ
(i)炭素数6以下のカルボン酸の総含有量と、ニコチンの含有量の比(A/N比)が0.06以上である
(ii)ニコチン1mgあたりの、TSNAの含有量が20ng以下である
[11] 前記ステップd)の後にたばこ原料に炭素数6以下のカルボン酸を添加するステップ、または、前記ステップc)の捕集溶媒に、炭素数6以下のカルボン酸を添加するステップをさらに含む、[10]に記載の製造方法。
[12] 前記塩基性物質が、弱酸のアルカリ金属塩を含む、[10]または[11]に記載の製造方法。
[13] 前記弱酸のアルカリ金属塩が炭酸のアルカリ金属塩である、[12]に記載の製造方法。
[14] 前記洗浄溶媒が、水及び/または炭酸水もしくは過飽和のCO2ガスを含む水溶液である、[10]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15] 前記ステップa)において、たばこ原料のpHが8.9〜9.7の範囲になるまで、塩基性物質をたばこ原料に添加する、[10]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。
囲を満たせば特に制限されない。具体的には、後述する本発明の口腔用たばこ組成物の製造方法に用いるたばこ刻みや粉末を用いることができる。そのたばこ刻の幅やたばこ粉末の粒度についても、後述する本発明の口腔用たばこ組成物の製造方法に用いるたばこ刻みや粉末と同じものを用いることができる。
本発明の口腔用たばこ組成物は、当該口腔用たばこ組成物におけるニコチンの含有量に対する、炭素数6以下のカルボン酸の総含有量の比(A/N比)が0.06以上である。
なお、本発明でいう含有量の比とは、モル比を意味する。
口腔用たばこ組成物のA/N比が0.06以上であることで、たばこ原料に特有の咽喉や食道への特有の感覚を使用者に付与することができる。A/N比は、その感覚を高めるために、1.30以上である態様を挙げることができる。
本発明の口腔用たばこ組成物では、たばこ原料に特有の咽喉や食道への特有の感覚を高めるために、前記A/N比が、0.20以上であることがより好ましく、1.30以上であることがさらに好ましく、2.00以上であることが特に好ましく、3.50以上であることが最も好ましい。
一方、A/N比が20.00以下である態様を挙げることができる。A/N比が20.00を超えると、たばこ本来の香味を得ることが難しくなる。
その測定法として、以下の手順を含む方法により行う。
(1)分析対象とするたばこ組成物を秤量し、蒸留水を加える。
(2)超音波洗浄機で20分間超音波処理を行い、遠沈管に移す。
(3)遠沈管を遠心分離機に設置し、遠心分離を行う。
(4)水層を採取して、遠心分離機用フィルターユニットに移す。
(5)これを高速遠心機でろ過を行い、ろ液を分析試料とする。
(6)分析試料をUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフ(HPLC)での分析に供し、分離、定量する。
なお、炭素数6以下のカルボン酸について、検出限界以下、あるいは定量限界以下のものについては、A/N比の算出の際には含有量を0として扱う。
本発明の口腔用たばこ組成物に含まれる炭素数6以下のカルボン酸としては、特に制限されるものではないが、例えば以下の表1に記載されるリンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、レブリン酸、ピルビン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、酪酸、グルタミン酸から選ばれる1種以上を挙げることができる。
これらのカルボン酸のうち、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、及びギ酸から選ばれる1種以上を挙げることができる。
本発明の口腔用たばこ組成物には、上記で例示したカルボン酸の全てが含まれている必要はない。また、これらの各カルボン酸の含有量の比については特に制限はなく用いることができる。
たばこ組成物に含まれるカルボン酸の含有量は、遊離のカルボン酸の含有量として測定されるものである。
たばこ組成物におけるニコチン1mgあたりのTSNAの含有量は、例えば、後述する口腔用たばこ組成物の製造方法のステップc)において、ニコチンの捕集が一定程度完了した時点で捕集を終了することによって、少なくすることができる。
ニコチン1mgあたりのTSNAの含有量は、15ng以下であることがより好ましく、10ng以下であることが特に好ましい。
たばこ組成物に含まれるニコチンの定量については、ドイツ標準化機構DIN 10373に準ずる方法で行う。
nabasine(以下、NAB)の4種類の濃度を測定する。本発明でいうTSNAの含有量は、上記の4種類の化合物の合計の含有量を意味する。
たばこ組成物に含まれる上記TSNAの分析は下記の手順に従って行う。
たばこ組成物に内部標準物質を添加し、0.1M酢酸アンモニウム水溶液で振とう抽出する。たばこ抽出液を0.1M酢酸アンモニウム水溶液で10倍希釈した後、フィルター(孔径0.2μm)ろ過を行い、試料溶液とする。試料溶液中のTSNAは超高速液体クロマトグラフ質量分析計(UPLC/MS/MS)で測定を行う。
本発明の口腔用たばこ組成物には、グリセリンのような保湿剤や、味を整えるための甘味料や、味に特徴を付けるための香料を加えてもよい。
また、本発明のたばこ組成物には、口腔用たばこ製品として適切な水分含有量を有するようにするために、水を加えてもよい。口腔用たばこ製品に供する際の水分含有量としては、20〜50重量%程度を挙げることができる。
本発明の口腔用たばこ組成物は、以下で示すようなSNUSやガムのような用途で用いることができる。
本発明の口腔用たばこ組成物を、例えばSNUSとする場合は、上述したたばこ材料を例えば不織布のような原料を用いた包装材に公知の方法を用いて充填することで得られる。例えばたばこ組成物の量を調整して充填し、ヒートシールなどの手段によりシールしてSNUSを得る。
包装材としては特段の限定なく用いることができるが、セルロース系の不織布などが好ましく用いられる。
本発明の口腔用たばこ組成物を、例えばガムとする場合は、本発明で用いられる上記たばこ組成物を公知のガムベースと公知の方法を用いて混合することで得られる。かみたばこやかぎたばこ、圧縮たばこについても、本発明で用いられる上記たばこ組成物を用いること以外は、公知の方法を用いて得ることができる。また、可食フィルムについても本発明で用いられる上記たばこ原料を用いること以外は、公知の材料や方法を用いて得ることができる。
a)たばこ原料に塩基性物質を添加するステップ
b)前記塩基性物質を添加したたばこ原料を加熱することで、たばこ原料中の香喫味成分を気相中に放出するステップ
c)前記気相中に放出された香喫味成分を捕集溶媒に回収するステップ
d)前記香喫味成分が放出されたたばこ原料を洗浄溶媒で洗浄することにより、たばこ原料に残存する酸性物質を除去するステップ
e)前記d)の後に、前記b)で回収した香喫味成分を前記たばこ原料に掛け戻すステップ
本発明の製造方法により得られるたばこ組成物は、前記A/N比が、0.20以上である態様も挙げることができ、1.30以上である態様も挙げることができ、2.00以上
である態様も挙げることができ、3.50以上である態様も挙げることができる。一方、本発明の製造方法により得られるたばこ組成物は、前記A/N比が、20.00以下である態様もあげることができる。これらのA/N比の技術的意義については、本発明の口腔用たばこ組成物の説明に記載したとおりである。
なお、炭素数6以下のカルボン酸としては、本発明の口腔用たばこ組成物の説明に記載したものと同じものを用いることができる。
A/N比は、後述するように、処理に供するたばこ葉材料に含まれる糖類の濃度を調整したり、ステップa)で添加する塩基性物質の種類を変えたり、ステップd)の洗浄工程の回数や用いる洗浄溶媒の種類を変えたりステップe)の後に別途カルボン酸を添加したりすることで、調整できる。
なお、本発明の口腔用たばこ組成物は、その製造後の蔵置中に前記の酸の量が変化してA/N比が変動することがある。例えば、口腔用たばこ組成物の蔵置中に、前記酸が生成して、A/N比が増加することがある。
たばこ原料をアルカリ性にするために添加する塩基性物質としては、弱酸のアルカリ金属塩を挙げることができる。
ステップa)において添加する塩基性物質の量や種類を適切に選択することで、たばこ原料中のカルボン酸塩の残存量を調節することが出来る。例えば、塩基性物質が弱酸のアルカリ金属塩であると、後述するステップd)において、たばこ原料中に残存しているカ
ルボン酸塩の含有量を効率的に調節することができる。これは、カルボン酸のアルカリ金属塩が水に対して高い溶解度を有するためである。
黄色種のような糖の含有量が多い品種のたばこ葉を原料として用いると、加熱処理の際にカルボン酸が多く生成することで、前記A/N比が高くなりすぎることがあり、これを防ぐためにこのような調節が必要になることがある。
また、ステップa)において添加する塩基性物質が弱酸のアルカリ金属塩であると、後述するステップb)において、たばこ原料中に含まれる揮発性有機酸(主として酢酸やギ酸)と中和により形成されるアルカリ塩の沸点は、ステップb)の加熱時の温度よりも十分に高いので、そのアルカリ塩が揮散して香喫味成分(ここではニコチン)と共に気相中に放出されにくくなる。一方で、例えば塩基性物質として弱酸のアンモニウム塩を用いた場合には、中和により形成される揮発性有機酸のアンモニウム塩は、アルカリ金属塩よりも加熱により分解しやすいので、揮発性有機酸が気相中に揮散しやすくなる。
このことから、ステップa)において塩基性物質が弱酸のアルカリ金属塩を添加すると、たばこ原料中に含まれる揮発性有機酸がアルカリ塩となることで、ステップb)の加熱時に気相中に放出されず、たばこ原料に残存するので、後述するステップd)の洗浄の条件を変えるだけで、たばこ原料中の有機酸の含有量を調整することもできる。
また、上記の弱酸のアルカリ金属塩において、弱酸のアルカリ金属塩が炭酸のアルカリ金属塩である場合には、炭酸の金属塩はpKaがたばこ原料中の揮発性有機酸よりも高いため、後述するステップb)において揮発性有機酸の気相中への放出が抑制されることが期待される。
ステップa)において添加される塩基性物質の具体例としては、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムを挙げることができる。
また、ステップa)で用いる塩基性物質として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物を挙げることもできる。
これらの塩基性物質を用いて、ステップa)においてたばこ原料のpHを調整することができる。
この水分含有量は、塩基性物質を添加するステップa)において、塩基性物質を溶解した水溶液の水分量により調整することもできるし、塩基性物質を添加する前のたばこ原料に水を予め添加して調整してもよい。
また、このたばこ原料には、塩化ナトリウム水溶液を加えて、たばこ材料の塩分濃度を調整してもよい。
ステップb)では、例えば、塩基性物質を添加する際に用いた容器にたばこ原料が収容された状態で、容器とともにたばこ原料を加熱する態様を挙げることができる。ステップb)で用いる容器としては、耐熱性及び耐圧性を有する部材(例えばSUS)によって構成されている態様を挙げることができる。そのような装置として、例えば図1で示される装置10を挙げることができる。装置10は容器11と噴霧器12を有する。図1ではたばこ原料は符号50に相当する。
また、当該装置10の容器11は、香喫味成分(ここではニコチン)が外部に揮散しな
いように、密閉空間を構成することが好ましい。「密閉空間」とは、通常の取り扱い(運搬、保存等)において、固形の異物の混入を防ぐ状態である。
ステップa)における塩基性物質の添加は、噴霧器12により行われてもよい。
前記ステップb)を経て気相中に放出された香喫味成分(ここではニコチン)は、当該ステップc)を経て気相中から回収される。上述したように、気相中に放出された香喫味成分(ここではニコチン)が、外部に揮散しないようにするために、ステップb)で密閉空間を構成する容器内で行われた場合には、当該容器内の気相中に含まれる香喫味成分(ここではニコチン)を回収する。この場合、ステップb)とステップc)を同時に行ってもよい。
ステップb)が密閉空間を構成しない容器内で行われた場合には、ステップb)と同時にステップc)を行い、もれなく香喫味成分(ここではニコチン)が回収できるようにする。
とができる。そのような捕集装置として、例えば図2に示される捕集装置20を挙げることができる。
図2の捕集装置20は、容器21と、パイプ22と、放出部分23と、パイプ24とを有する。
容器21は、捕集溶媒70を収容する。容器21は、例えば、ガラスによって構成される。容器21は、密閉空間を構成することが好ましい。「密閉空間」とは、通常の取り扱い(運搬、保存等)において、固形の異物の混入を防ぐ状態である。
捕集装置20は、捕集溶媒70に対する放出成分62の接触面積を増大するために、ラシヒリングを有していてもよい。
上記ステップd)がステップb)に引き続いて装置10を用いて行われる場合には、例えば噴霧器12から洗浄溶媒をたばこ原料に対して噴霧し、その後10〜60分程度、容器11を回転、搖動させて洗浄を行う態様を挙げることができる。
その際、たばこ原料と洗浄溶媒の重量比はたばこ原料を1とした場合10〜20を挙げることができる。
ステップd)で用いる洗浄溶媒として、水性溶媒を挙げることができ、その具体例として、純粋や超純水でもよく、市水を用いてもよい。また、洗浄溶媒の温度としては常温〜洗浄溶媒の沸点未満の温度、好ましくは常温〜70℃を挙げることができる。
洗浄溶媒にはCO2ガスをバブリングしたものを用いてもよく、具体的には炭酸水や過飽和のCO2ガスを含む水溶液を挙げることができる。また、水性溶媒、例えば水には、オゾンをバブリングしたものを用いることもできる。
ステップd)は複数回行ってよく、洗浄溶媒として水性溶媒を用いる場合には、初めに水で洗浄を行い、その後CO2ガスをバブリングした洗浄溶媒で洗浄を行ってもよい。そ
れぞれの洗浄は複数回行ってもよい。このような手順や洗浄溶媒を用いて洗浄を行うと、効率よく酸性物質の含有量を調節できる。
洗浄溶媒としては、上記の水性溶媒とは別に、プロピレングリコール、グリセリン、エタノール、MCT、ヘキサン、メタノール、アセトニトリルのような非水溶媒を用いることもできる。また、これらを上記の水性溶媒と混合して用いることもできる。
洗浄溶媒による洗浄後、残渣に対して乾燥処理が施されてもよい。乾燥条件としては110〜125℃程度の温度で、空気を流通させながら(換気量10〜20L/min/250g−刻)、100〜150分程度行う態様を挙げることができる。
ステップd)の洗浄処理を経て得られる残渣は、後述するステップe)に供される。
なお、ステップe)において、ステップd)を経て得られた残渣に掛け戻される、ステップc)で得られた香喫味成分(ここではニコチン)を含む濃縮液の量は、ステップd)で得られた濃縮液の量を超えることはない。つまり、残渣に掛け戻される香喫味成分(ここではニコチン)の量が、たばこ原料にもともと含まれていた量を超えることはない。
また、ステップe)では、ステップd)を経て得られた残渣以外のたばこ原料(例えば、ステップb)を経ていないたばこ原料)に、香喫味成分(ここではニコチン)を含む濃縮液が掛け戻されることはない。
上記ステップe)の後に殺菌する工程を組み入れる場合、陰圧状態(ゲージ圧:−0.1MPa程度)で密閉し、その密閉状態で105℃程度で15〜45分間加熱する態様を挙げることができる。
前記炭素数6以下のカルボン酸をたばこ原料に添加する場合、例えば、前記ステップd)の後であれば、どのタイミングで含ませてもよい。例えばステップe)と同時、またはステップe)の前もしくは後に含ませる態様を挙げることができる。
また、ステップc)で用いる捕集溶媒に前記炭素数6以下のカルボン酸を添加する場合、その添加のタイミングは、香喫味成分(ここではニコチン)の捕集前あるいは捕集後のどちらでもよい。
炭素数6以下のカルボン酸としては、前記で説明したものと同じものを用いることができる。なお、得られる口腔用たばこ組成物のA/N比を1以上にする場合、加熱等を行う工程において、添加したカルボン酸が揮散しないようにするために、揮発性が低いカルボン酸(ギ酸、酢酸、ピルビン酸以外の酸、例えばリンゴ酸)を用いることが好ましい。
また、カルボン酸の添加方法としては、カルボン酸の水溶液を添加するなど、従来技術を用いることができる。
しての適当な水分含有量に調整できる。
乾燥工程により、得られるたばこ組成物の水分含有量を10〜40重量%程度まで減少させる態様を挙げることができる。
乾燥の際には、たばこ組成物の温度を70〜90℃にまで上昇させる態様を挙げることができる。
また、本発明の製造方法には、口腔用たばこ組成物として適切な水分含有量を有するようにするために、水を加える工程を含んでいてもよい。口腔用たばこ組成物に供する際の水分含有量としては、口腔用たばこ組成物全量を100重量%としたときに、20〜50重量%程度を挙げることができる。
また、本発明の製造方法により得られた口腔用たばこ組成物には、製品とする前にそのpHを調整するために塩基性物質を加えてもよい。塩基性物質としては、上記ステップa)で挙げたものを用いることができる。本発明の製造方法により得られる口腔用たばこ組成物のpHは7.0以上10未満である態様や8.0以上10未満である態様を挙げることができる。
(実験操作)
図1で示される装置10にたばこ原料(ニコチン1mgあたりのTSNA含有量:28.08ng)を投入し、塩基性物質として炭酸カリウムがたばこ原料(乾燥重量)に対して20重量%となるように加えた。炭酸カリウム添加後のたばこ原料の水分含有量は40重量%、pHは9.7であった。
その後、たばこ原料を周辺空気で換気しながら(換気量15L/min/500g−刻)、120℃で加熱(ジャケット加熱)した。加熱時間は150分とした。
たばこ原料の加熱時に気相中に放出された放出成分を図2で示す捕集装置20を用いて捕集した。捕集溶媒としてグリセリンを用い、捕集溶媒の温度を4℃(ジャケット冷却)に設定した。得られた捕集溶媒は圧力25mmHg、温浴温度37℃の条件で、香喫味成分(ここではニコチン)の濃度が20重量%程度になるまで濃縮して濃縮液を得た。
加熱処理を行い、香喫味成分(ここではニコチン)が除去されたたばこ原料が残されている装置10内に、洗浄液を、たばこ原料と洗浄液の重量の比が1:15となるように投入し、30分間回転・搖動した。この操作を、洗浄液として1回目:60℃温水、2回目:60℃温水、3回目:常温水+CO2バブリング(10L/min)、4回目:常温水+CO2バブリング(10L/min)を用いて繰り返し行った。
装置10内を加熱温度120℃(ジャケット加熱)、換気量15L/min/250g−刻、処理時間を120分として乾燥し、たばこ原料の残渣を乾燥させた。
その後、装置10内に噴霧器12から前記の濃縮液を乾燥させたたばこ原料に噴霧した。噴霧は装置10を回転・搖動させながら15分間行い、たばこ原料に均一に濃縮液が噴霧されるようにした。
その後さらに、装置10内を減圧し、陰圧状態(ゲージ圧:−0.1MPa)で密閉した。密閉状態のまま、105℃(ジャケット加熱)で15〜45分間加熱し、滅菌した。
そして、ジャケットを冷却して常温に戻った後に減圧解放し、たばこ組成物(乾燥たばこの重量を100重量%としたときのニコチン含有量5.37重量%、水分含有量16.9重量%、ニコチン1mgあたりのTSNA含有量:8.01ng)を得た。
なお、サンプル1のニコチン含有量及び各酸の含有量は以下の表2に示す通りであった。
表中、NDは検出限界以下を、NQは定量限界以下をそれぞれ示す。なお、リンゴ酸やクエン酸については、検出限界以下であったため、A/N比の算出の際には0とした。また、コハク酸については、定量限界以下であったため、A/N比の算出の際には0とした。
また、サンプル1〜8において、含有量が定量限界以下の酸についてはA/N比の算出の際には0とした。
A/N比が0.06以上であると、被験者が十分に認知できる程度に特有の感覚を感じられるようになることがわかった。
TSNAの含有量がニコチン1mgあたり20ngよりも大きい未処理のたばこ葉について、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸及びギ酸の総含有量を測定した。測定に供したたばこ葉は、黄色種:58試料、バーレー種:28試料、オリエント種:18試料の合計104試料であった。未処理のたばこ葉のA/N比について、以下の表4に、種類ごとに区分した。また、ニコチンの含有量で区分した未処理のたばこ葉のA/N比を表5にまとめた。
その結果、A/N比は1.37〜19.56(平均値:4.70)であった。
各試料を品種別と原料中ニコチン重量%(ドライベース)別でまとめると以下の様になった。
1)30ml容スクリュー管(アズワン)に分析対象となるたばこ組成物を2g秤量し蒸留水を25ml加えた。
2)超音波洗浄器(US-106、エヌエヌディ)で20分間超音波処理を行い、遠沈管に移した。
3)これを遠心分離機(H-103N、コクサン)に設置し、3500rpmで5分間遠心分離した。
4)水層を採取し、Ultrafree-MC Centrifugal Filter Unitに移した。
5)これを卓上型高速遠心機(KINTARO-18、TOMY)に設置し、12,000 rpmで約10秒間ろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
6)分析試料はUV検出器を備えた高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて分離・定量した。
ドイツ標準化機構DIN 10373に準ずる方法で行った。すなわち、たばこ組成物を250mg採取し、11%水酸化ナトリウム水溶液7.5mLとヘキサン10mLを加え、60分間振とう抽出した。抽出後、上澄みであるヘキサン相をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)に供し、たばこ組成物に含まれるニコチン重量を定量した。
・口腔用たばこ組成物400mgを採取し、純水4mLを添加し60分間振とう抽出した。
・抽出液を22℃の室温でコントロールされた実験室内で、室温になるまで密閉容器内で放置して温度調和した。
・調和後、ふたを開けて、pHメーター(METTLER TOLEDO社製:セブンイージーS20)のガラス電極を捕集液に浸して測定を開始した。pHメーターは、あらかじめpH4.01、6.87、9.21のpHメーター校正液にて校正した。センサーからの出力変動が5秒間で0.1mV以内に安定した点を、その抽出溶液のpHとした。
たばこ組成物に含まれるTSNAの分析は下記の手順に従った。
たばこ組成物に内部標準物質を添加し、0.1M酢酸アンモニウム水溶液で振とう抽出した。たばこ抽出液を0.1M酢酸アンモニウム水溶液で10倍希釈した後、フィルター(孔径0.2μm)ろ過を行い、試料溶液とした。試料溶液中のTSNAは超高速液体クロマトグラフ質量分析計(UPLC/MS/MS)で測定を行った。
去されているとともに、特定の酸とニコチンの含有量の比が所定の範囲内のたばこ組成物を製造することができる。
Claims (9)
- ニコチンの含有量に対する、炭素数6以下のカルボン酸の総含有量の比(A/N比)が0.06以上であり、ニコチン1mgあたりの、TSNAの含有量が20ng以下である、口腔用たばこ組成物。
- 前記A/N比が、0.20以上である、請求項1に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記A/N比が、1.30以上である、請求項1に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記A/N比が、2.00以上である、請求項1に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記A/N比が、3.50以上である、請求項1に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記A/N比が、20.00以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記口腔用たばこ組成物のpHが、8.0以上10.0未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記炭素数6以下のカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、ギ酸、レブリン酸、ピルビン酸、酒石酸、アジピン酸、乳酸、酪酸及びグルタミン酸から選ばれる一種以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の口腔用たばこ組成物。
- 前記炭素数6以下のカルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、酢酸及びギ酸から選ばれる一種以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔用たばこ組成物。
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