JP2018181663A - 熱電子放出板およびx線発生装置 - Google Patents

熱電子放出板およびx線発生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光による被照射領域における熱を当該被照射領域からその周辺へ伝達しにくくして効率的な加熱および熱電子の放出を可能にする。【解決手段】X線発生装置においてレーザ光源から出射されるレーザ光の照射により加熱されて熱電子を放出する熱電面(32)を備えた熱電子放出板(31)であって、熱電面(32)は、貫通溝(33)によって画成されつつ互いに一体に形成された複数の熱電部(32a)を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、X線発生装置においてレーザ光源から出射されるレーザ光の照射により熱電子を放出する熱電子放出板、および当該熱電子放出板を備えたX線発生装置に関する。
従来、タングステンのフィラメントを電流加熱することにより放出する熱電子(電子源)を加速させた後、その熱電子をX線ターゲットに衝突させることによりX線を発生させるX線発生装置が広く知られている。また、カーボンナノチューブで発生する冷陰極電子を電子源として用いる方法(例えば、特許文献1参照。)や、紫外線励起による電子源を用いる方法(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
分析機器等の分野で利用されるX線源には、分析目的、試料のサイズ、利用するX線光学素子などに依存して、様々なX線焦点サイズが要求されることがある。熱電子を電子源とする場合、X線焦点サイズの変更は、電子の加速軌道を補正するためのバイアス電極を含めたフィラメント部分(カソード)一式を交換するしか方法がなかった。
このため、X線焦点サイズを変更するためには、いったん真空容器の真空を開放してカソードを交換した後、再び真空引きを始めるという手続きが必要となり、所定の安定したX線を得るまでに長い時間を要するという問題があった。
このような問題に対して、真空容器の外部に、レーザ光源と、レーザ光の形状と位置を変更するレーザ光入射条件変更手段とを設けることにより、真空容器の真空を開放しなくても様々なX線焦点サイズを提供可能としたX線発生装置が開発されてきた(例えば、特許文献3参照。)。
特開第2001−250496号公報 特許第2770549号公報 特開第2009−277462号公報
ところで、真空容器の内部に設けられてレーザ光源からのレーザ光が照射される電子放出板として金属製の熱電子放出板が用いられることがある。熱電子放出板の表面(熱電面)がレーザ光源から照射されたレーザ光によって加熱されると、熱励起された電子が当該熱電面から放出される。
しかしながら、金属製の熱電子放出板に照射されたレーザ光により生じる熱は、レーザ光による熱電子放出板の被照射領域からレーザ光が照射されていない領域へ熱伝導率に応じて伝達される。これにより、熱電子放出板の被照射領域における加熱効率は著しく低下するため、熱電子放出板をこれまで以上に効率的に加熱させたいという要求があった。
そこで、本発明は、レーザ光による被照射領域における熱を当該被照射領域からその周辺へ容易に伝達されてしまうことなく効率的な加熱および熱電子の放出を可能とした熱電子放出板および当該熱電子放出板を備えたX線発生装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、熱電子放出板は、X線発生装置においてレーザ光源から出射されるレーザ光の照射により加熱されて熱電子を放出する熱電面を備え、前記熱電面は、貫通溝によって画成されつつ互いに一体に形成された複数の熱電部を備えることを特徴とする。
また、前記貫通溝は、複数の個別のスリットを備え、前記スリットは、第1スリット部と、前記第1スリット部の少なくとも一端部に連続して当該第1スリット部の軸線に対して交差する軸線を有する第2スリット部とを備えることが好ましい。
また、前記第1スリット部の前記軸線に対して平行に延在する軸線を有し前記第2スリット部の一端に連続した第3スリット部を備えることが好ましい。
また、前記第2スリット部と接続された前記第3スリット部の反対側の端部に、前記第2スリット部の前記軸線に対して平行に延在する軸線を有する第4スリット部を備えることが好ましい。
また、隣接する前記スリット同士は、それぞれの前記第1スリット部の前記軸線が同一軸線上にあるように配置されていると共に、それぞれの前記第3スリット部の前記軸線が互いに平行に延在するように配置されていることが好ましい。
また、隣接する前記スリット同士は、それぞれの前記第4スリット部の先端が前記隣接する前記スリットの前記第2スリット部に対向するように配置されていることが好ましい。
また、熱電子放出板は、タングステン製の板材により形成されていることが好ましい。
さらに、本発明によれば、X線発生装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光の照射により加熱されて熱電子を放出する熱電面を備えた熱電子放出板と、を備え、前記熱電子放出板の前記熱電面は、貫通溝によって画成されつつ互いに一体に形成された複数の熱電部を備えることを特徴とする。
本発明によれば、レーザ光による被照射領域における熱を当該被照射領域からその周辺へ容易に伝達されてしまうことなく効率的な加熱および熱電子の放出を可能とした熱電子放出板および当該熱電子放出板を備えたX線発生装置を実現することができる。
本発明に係るX線発生装置の概略構成を説明するための図である。 図1に示すX線発生装置が備える熱電子放出板の平面図である。 図2に示す熱電子放出板を部分的に拡大して示す拡大図である。 第1の実施の形態における切込み開口部の構成を説明するための図である。 第2の実施の形態における切込み開口部の構成を説明するための図である。
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施の形態をとりうる。
≪第1の実施の形態≫
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るX線発生装置の概略構成を示す部分断面図である。図2は、X線発生装置が備える熱電子放出板の平面図である。図3は、熱電子放出板を部分的に拡大して示す図である。図4は、熱電子放出板のスリットの部分を拡大して示す図である。
<X線発生装置>
図1に示すように、X線発生装置100は、レーザ光Aを熱電子放出板31に照射して当該熱電子放出板31から放出された熱電子BをX線ターゲット50に衝突させることによってX線Cを発生させる装置である。
X線発生装置100は、真空容器10と、レーザ光Aを出射するレーザ光源20と、熱電子加速部30と、熱電子Bの加速軌道を補正するためバイアス電極40と、X線ターゲット50と、レーザ光入射条件変更部60と、バイアス電位印加部70とを備える。
なお、このX線発生装置100は、レーザ光Aが熱電子放出板31の後述する熱電面32に対してバイアス電極40の側方から僅かな傾きを持って側面入射するように構成されている。具体的にレーザ光Aは、X線ターゲット50の回転軸線Zに略平行にかつ当該回転軸線Zに対して僅かに傾いて熱電子放出板31に入射している。
[真空容器]
真空容器10は、容器壁11の内部空間を真空状態に保持可能であり、当該内部空間に熱電子加速部30、バイアス電極40およびX線ターゲット50を収容している。なお、真空容器10の外部には、レーザ光源20およびレーザ光入射条件変更部60が設けられている。
真空容器10の容器壁11には、当該真空容器10の外側からレーザ光Aを真空容器10内に入射するためのレーザ光入射窓12と、真空容器10内からX線Cを真空容器10の外部へ出射するためのX線出射窓13とが設けられている。
[熱電子加速部]
熱電子加速部30は、熱電子放出板31より放出された熱電子Bを加速させるものである。熱電子加速部30は、レーザ光源20から出射されたレーザ光Aにより加熱されることにより熱電子Bを放出する熱電子放出板31と、当該熱電子Bに加速電位を印加する加速電位印加部35とを備える。
(熱電子放出板)
熱電子放出板31は、レーザ光源20から入射されるレーザ光Aに対して斜めに配置されるように真空容器10内で所定の支持台に取り付けられている。図2に示すように、熱電子放出板31は、長円形状を有する板状部材であり、高い融点および低い(小さい)仕事関数を有する、例えば、タングステン、タンタル、オスミウム、モリブデン等の金属、およびそれらの合金により形成されている。この場合、熱電子放出板31は、タングステンにより形成されている。なお、説明の便宜上、図2において熱電子放出板31の左側(左方向)を「L」、右側(右方向)を「R」、上側(上方向)を「U」、下側(下方向)を「D」で示し、また、左右方向LRを熱電子放出板31の「長手方向」、上下方向UDを熱電子放出板31の「短手方向」ともいう。
熱電子放出板31は、左右方向(長手方向)LRの両端部に支持台に取り付けるためのネジ等の締結具が挿通される挿通孔31a、31aが形成されている。熱電子放出板31には、レーザ光Aが照射されて加熱されることにより熱電子を放出する矩形状の熱電面32が設けられている。熱電面32には、例えば打ち抜き加工、エッチング加工等により全体として格子状に形成された貫通溝33が設けられている。すなわち熱電子放出板31は、上下方向UDおよび左右方向LRに沿って形成された貫通溝33により画成された複数の略矩形状からなる熱電部32aを有している。なお、貫通溝33により画成される熱電部32aの形状はこれに限られず、例えば正方形、円形、楕円形等であってもよい。
図3に示すように、貫通溝33は、複数の個別のスリットSが連続したスリット群により構成されている。すなわち熱電面32において各熱電部32aは、スリット群によりそれぞれ画成されている。
この場合、互いに隣接するスリットS同志は結合されていないため、スリットSとスリットSとのそれぞれの間には、熱電部32aと熱電部32aとの連結状態を維持する連結部32bが結果的に形成されることになる。これら連結部32bの存在により、各熱電部32a、32a、・・・、は、互いに分離することなく、熱電面32において全体として一体に形成されている。
次に、図4を用いてスリットSの構成について詳細に説明する。なお、以下では、熱電子放出板31の長手方向LRに沿って配置されているスリットSのスリット群を例にして説明する。スリットSは、細長形状であって全体の中央部分に位置する第1スリット部S1と、第1スリット部S1の両端部に当該第1スリット部S1と交差する細長状の第2スリット部S2、および、当該第2スリット部S2の端部から連続して第1スリット部Sと平行に延びる細長状の第3スリット部S3とを備える。
第1スリット部S1は、熱電子放出板31の長手方向LRに平行な軸線x1に沿って延在している。第2スリット部S2は、第1スリット部S1の両端部から連続して当該第1スリット部S1が延在する方向に沿った軸線x1に対して交差する、好ましくは直交する軸線x2に沿って延在している。第2スリット部S2は、当該第2スリット部S2の上側(矢印U方向)の端部と下側(矢印D方向)の端部とのほぼ中央部分において第1スリット部Sと接続されている。なお、第2スリット部S2および第1スリット部S1の接続形態としては、これに限るものではなく、第2スリット部S2における上側(矢印U方向)の端部または下側(矢印D方向)の端部と第1スリット部S1とが接続されていてもよい。
第3スリット部S3は、第2スリット部S2の上側(矢印U方向)の一端から第1スリット部S1の軸線x1に対して平行な軸線x3に沿って左側(矢印L方向)および右側(矢印R方向)へ延在している。
また、スリットSにおいて第1スリット部S1から第2スリット部S2への移行部分、第2スリット部S2から第3スリット部S3への移行部分、第2スリット部S2および第3スリット部S3の先端部は、その内側部分がR面取り加工されている。なお、スリットSにおいては、第2スリット部S2<第3スリット部S3<第1スリット部S1で示される長さ関係を有している。ただし、これに限るものではなく、第2スリット部S2<第1スリット部S1<第3スリット部S3、第2スリット部S2<第1スリット部S1=第3スリット部S3等のように種々の長さ関係を有していてもよい。
互いに隣接するスリットS、S・・・同士は、接続されておらず、一方のスリットSの第3スリット部S3が他方のスリットSの第3スリット部S3に対して、上下方向UDにおいて互いに対向した状態で配置されている。さらに、一方のスリットSの第3スリット部S3の先端部は、他方のスリットSの第2スリット部S2の先端部と長手方向LRにおいて対向している。すなわち、互いに隣接するスリットS同士は、上下方向UDにおいて、互いに逆向きに配置されている。
連結部32bは、互いに隣接するスリットS、S・・・同士の間において熱電子放出板31の母材の一部分である。この連結部32bは、一方のスリットSの第2スリット部S2および第3スリット部S3と、他方のスリットSの第2スリット部S2および第3スリット部S3との間に形成される部分であって、熱電部32aと熱電部32aとの間を繋ぐ略クランク形状の経路でもある。
連結部32bは、互いに隣接する熱電部32a、32aのうち、一方の熱電部32aから短手方向UDへ延在する第1連結部位32cと、当該第1連結部位32cに対して直角な長手方向LRへ延在する第2連結部位32dと、当該第2連結部位32dに対して直角に短手方向UDすなわち他方の熱電部32aへ向かって延在する第3連結部位32eとを備えている。
なお、連結部32bでは、スリットSの内側部分がR面取り加工されているため、第1連結部位32cと第2連結部位32dとの間にR状に形成された頂部(以下、これを「第1R状頂部」ともいう。)E1、第2連結部位32dと第3連結部位32eとの間に第2R状頂部E2を有している。
(加速電位印加部)
図1に示す加速電位印加部35は、熱電子BをX線ターゲット50に向かって加速させるための電位(以下、これを「加速電位」ともいう。)を印加するものであり、熱電子放出板31とX線ターゲット50との間に設けられている。
[X線ターゲット]
図1に示すX線ターゲット(アノード)50は、熱電子加速部30により加速された熱電子Bが衝突した際にX線C(図1の紙面と垂直な方向にX線を取り出す場合を示すので、図においては便宜的に破線の矢印で示す)を放出するものであり、回転軸線Zを中心に回転駆動される。
[レーザ光入射条件変更部]
図1に示すように、レーザ光入射条件変更部60は、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの形状と位置を変更するものであり、真空容器10の外部で容器壁11に設けられている。
レーザ光入射条件変更部60は、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの形状と位置を変更するために、例えば、縦制限スリット61および横制限スリット62と、可動ミラー66およびその駆動機構67とを有している。
この場合、レーザ光入射条件変更部60では、縦制限スリット61および横制限スリット62のスリットの大きさを調整することにより、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの形状を変更することが可能である。また、レーザ光入射条件変更部60では、可動ミラー66の姿勢を駆動機構67により調整することにより、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの位置を変更することが可能である。
<X線放出過程>
次に、このような構成のX線発生装置100において、X線Cを放出させる過程について説明する。このX線発生装置100において、レーザ光源20から出射されたレーザ光Aは、縦制限スリット61および横制限スリット62を通り、可動ミラー66で反射された後、真空容器10の容器壁11に設けられたレーザ光入射窓12を通り、真空容器10内に配置された熱電子放出板31の熱電面32に照射される。
レーザ光Aは、熱電子放出板31の熱電面32の所望の熱電部32aに照射される。これにより熱電部32aが加熱され、加熱された熱電部32a(の表面)から熱電子Bが放出される。この場合の熱電子Bの放出は、熱電部32a上のレーザ光Aの被照射域にのみ限定されるので、レーザ光Aの形状や位置を変更することによって、熱電子Bが放出される領域(熱電子発生領域)を熱電部32aの中で変更することができる。
熱電部32aから放出された熱電子Bは、バイアス電極40により加速軌道を補正された後、X線ターゲット50に衝突し、X線ターゲット50からX線Cが放出され、X線出射窓13から真空容器10の外部へ出射される。
この場合、回転式のX線ターゲット50上に熱電子Bが入射する際の回転軸線Z方向における当該熱電子Bの焦点サイズは、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの同方向の幅に依存して決まる。実際には、バイアス電極40のバイアス電位にも依存する。
また、回転式のX線ターゲット50上に熱電子Bが入射する際の回転面内における当該熱電子Bの焦点サイズは、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの同方向の幅に依存して決まる。また、実際には、バイアス電極40のバイアス電位にも依存する。
したがって、主としてレーザ光入射条件変更部60によって、熱電子放出板31の熱電面32に入射するレーザ光Aの形状と位置を変更することにより、X線ターゲット50上に衝突する熱電子Bの分布を変えることができ、結果として、X線ターゲット50から放出されるX線Cの焦点の位置および形状を変更することができる。
<熱電子放出板の特性>
レーザ光Aが照射される熱電部32aが複数の個別のスリットS、S・・・により区分けされていない従来の構成の場合、レーザ光Aの被照射域において発生した熱は、被照射域から熱電面上を放射状に広がっていく(逃げる)ことになる。これにより、従来では、熱電面において熱電子が放出されるまでのレーザ光Aによる加熱時間が長くなるに加えて、熱電子が熱電面全体から放出されることになる。
これに対して、熱電子放出板31の熱電面32は、複数のスリットS、S・・・により画成された複数の熱電部32aを有し、各熱電部32a、32a、・・・の間には、例えばクラン状の連結部32bがあるだけなので、熱伝導範囲が一つの熱電部32aだけに限定されて局所的な加熱が可能となる。かくして、熱電子Bが放出される温度までの加熱時間が短縮されると共に、一つに限定した所望の熱電部32aからのみ熱電子Bを放出することができる。
また、熱電部32aが上方向Uへ熱膨張した場合、熱電部32aの熱膨張は、例えば、図4において右方向RのスリットSにおける第3スリット部S3においてまず吸収され、次いで第1スリット部S1により吸収される。図4において左方向LのスリットSの第1スリットS1においても、熱電部32aの熱膨張が吸収される。つまり、熱電部32aの熱膨張の吸収は、左右方向LRに沿って形成されたスリットS、S・・・、によって互いに協働して行われている。さらに、熱電部32aにおける左右方向LRの熱膨張、例えば、第1スリットS1に沿う熱電部32aは、第2スリット部Sにおいて吸収される。
つまり、熱電部32aが熱膨張した場合であっても、上下方向UDおよび左右方向LRにおける熱電部32aの熱膨張は、熱電部32aを囲む複数のスリットS、S・・・、により吸収されると共に、スリットS、S・・・、の存在により互いに隣接する熱電部32a、32a同士が互いに接触することはないので、熱電子Bの放出方向を狂わせるような各熱電部32aの歪みを防止できる。
また、連結部32bは、第1〜第3連結部位32c〜32eを備えて略クランク状に形成されて、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへの経路長さが長くなるように形成されている。さらに、第1連結部位32cおよび第3連結部位32eは、互いに隣接するスリットS、S・・・の第2スリット部S2と第3スリット部S3とにより画成されているため、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへの経路の入口が狭くなっている。かくして、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへ熱伝導し難く、熱の影響を伝わり難くすることができる。
なお、スリットSの各スリット部S1〜S3間の移行部は、R面取り加工されているため、X線Cを放出する過程において熱電子放出板31に高電場が発生した場合であっても、移行部に対して電場が集中することを回避することができる。
熱電子放出板31は、タングステンにより形成されているため、耐熱性に優れ、仕事関数も小さいので熱電子B放出の観点において極めて有利である。
X線発生装置100では、レーザ光源20およびレーザ光入射条件変更部60を真空容器10の外部に装備しているため、レーザ光Aの位置および形状を真空容器10の外側で容易に変更することができる。したがって、真空容器10の真空を開放することなく、X線Cの焦点の形状と位置を容易に変更することができる。
また、X線発生装置100において、X線ターゲット50に異なる材質のターゲット領域を設けておいた場合には、X線ターゲット50上に熱電子Bを衝突させる位置を変えて、異なる材質のターゲット領域に熱電子Bを当てることにより、異なる波長分布を持つX線Cを発生させることもできる。
≪第2の実施の形態≫
次に、図5を用いて第2の実施の形態における熱電子放出板131のスリットSSについて主に説明する。なお、熱電子放出板131のスリットSSにおいて、第1の実施の形態におけるスリットSと同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
スリットSSは、第3スリット部S3の先端部(第2スリット部S2との接続端部とは反対側の端部)に第4スリット部S4が接続されている。第4スリット部S4は、第2スリット部S2の軸線x2に対して平行をなす軸線x4を有する。第4スリット部Sは、その先端部が上下方向UDに、第1スリット部S1の軸線x1に向かうように方向付けられている。
互いに隣接するスリットSS同士は、一方のスリットSSの第4スリット部S4の先端部が、上下方向UDにおいて他方のスリットSSの第3スリット部S3に対向するように配置されている。互いに隣接するスリットSS同士をこのように配置することにより、連結部132bは、スリットSSの各スリット部S1〜S4の間で略S字状をなして形成されている。
連結部132bは、隣接する熱電部32a、32aのうち一方の熱電部32aと他方の熱電部32aとの間に第1〜第5連結部位132c〜132gを備える。第1連結部位132cは、一方の熱電部32aから短手方向UDに延在する。第2連結部位132dは、第1連結部位32cに対して直角な長手方向LRに延在する。第3連結部位132eは、第2連結部位132dに対して直角な短手方向UDに延在する。第4連結部位132fは、第3連結部位132eに対して直角な長手方向LRに延在する。そして、第5連結部位132gは、第4連結部位132fに対して直角な短手方向UDに延在して他方の熱電部32aに接続している。
連結部132bは、第1連結部位132cと第2連結部位132dとの間にR状に形成された第3頂部E3、第2連結部位132dと第3連結部位132eとの間にR状に形成された第4頂部E4、第3連結部位132eと第4連結部位132fとの間にR状に形成された第5頂部E5、第4連結部位132fと第5連結部位132gとの間にR状に形成された第6頂部E6を備える。
<熱電子放出板の特性>
第2の実施の形態における熱電子放出板131においても、例えば、上方向Uおよび右方向Rにおける熱電部32aの熱膨張は、第1の実施の形態における熱電子放出板31の場合と同様にそれぞれ第1、第2および第3スリット部S1〜S2において吸収されることに加えて、スリットS4においても吸収されることになり、熱電子放出板131の歪みをより効果的に吸収することができる。
さらに、連結部132bは、第1〜第5連結部位132c〜132gを備えて略S字状に形成されて、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへの経路長さが第1の実施の形態における連結部32bよりも長くなるように形成されている。さらに、第1連結部位132cおよび第3連結部位132eは、互いに隣接するスリットSS、SS・・・の第2スリット部S2と第3スリット部S3と第4スリット部S4とにより画成されているため、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへの経路の入口が狭くなっている。かくして、一方の熱電部32aから他方の熱電部32aへ熱伝導し難く、熱の影響を伝わり難くすることができる。
≪その他≫
なお、1つのスリットS、SSにおいて、第1スリット部S1の軸線x1および2つの第3スリット部S3の軸線x3は、それぞれ互いに平行をなして、いずれの軸線x1、x3も同一線上に存在しないようになっていてもよい。つまり、スリットS、SSは、点対称的に形成されている。
貫通溝33の形状は、上記の実施の形態に限定されず、隣接する熱電部32a、32a・・・間の熱伝導をし難くすることを主たる目的とすれば、スリットを、例えば、単に、第1スリット部のみにより形成してもよい。この場合、隣接するスリットそれぞれの第1スリット部の軸線x1は、同一線上を延在していても、互いに平行をなして延在していてもよい。
X線発生装置は、上記の実施の形態のようにレーザ光が熱電面32に対して側方から入射される側面入射式に限られない。例えば、レーザ光源20やレーザ光入射条件変更部60を熱電子放出板31,131の背面側(熱電子Bを放出する側とは反対側)において容器壁11に設置して、X線発生装置を背面入射式に構成してもよい。
20 レーザ光源
31 熱電子放出板
32 熱電面
32a 熱電部
33 貫通溝
100 X線発生装置
S、SS スリット
S1 第1スリット部
S2 第2スリット部
S3 第3スリット部
S4 第4スリット部
x1〜x4 軸線

Claims (8)

  1. X線発生装置においてレーザ光源から出射されるレーザ光の照射により加熱されて熱電子を放出する熱電面を備えた熱電子放出板であって、
    前記熱電面は、貫通溝によって画成されつつ互いに一体に形成された複数の熱電部を備えることを特徴とする熱電子放出板。
  2. 前記貫通溝は、複数の個別のスリットを備え、
    前記スリットは、
    第1スリット部と、
    前記第1スリット部の少なくとも一端部に連続して当該第1スリット部の軸線に対して交差する軸線を有する第2スリット部と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱電子放出板。
  3. 前記第1スリット部の前記軸線に対して平行に延在する軸線を有し前記第2スリット部の一端に連続した第3スリット部を備えることを特徴とする請求項2に記載の熱電子放出板。
  4. 前記第2スリット部と接続された前記第3スリット部の反対側の端部に、前記第2スリット部の前記軸線に対して平行に延在する軸線を有する第4スリット部を備えることを特徴とする請求項3に記載の熱電子放出板。
  5. 隣接する前記スリット同士は、それぞれの前記第1スリット部の前記軸線が同一軸線上にあるように配置されていると共に、それぞれの前記第3スリット部の前記軸線が互いに平行に延在するように配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の熱電子放出板。
  6. 隣接する前記スリット同士は、それぞれの前記第4スリット部の先端が前記隣接する前記スリットの前記第2スリット部に対向するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の熱電子放出板。
  7. タングステン製の板材により形成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の熱電子放出板。
  8. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光の照射により加熱されて熱電子を放出する熱電面を備えた熱電子放出板と、
    を備えたX線発生装置であって、
    前記熱電子放出板の前記熱電面は、貫通溝によって画成されつつ互いに一体に形成された複数の熱電部を備えることを特徴とするX線発生装置。
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