JP2018181592A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】熱による混合気のプレイグニッションを抑制するスパークプラグを提供する。【解決手段】スパークプラグ11は、ハウジング31、接地電極33、碍子35、中心電極40および気体交換部50を備える。中心電極40は、碍子35に設けられており、接地電極33との間に隙間を形成する放電部41を有し、エンジンの燃料を点火可能である。気体交換部50は、ハウジング31に設けられており、碍子流路355に流れた気体を流入出可能である。また、碍子流路355に流れた気体が気体交換部50に流入したとき、気体交換部50は、流入した気体を冷却する。気体交換部50からの気体が碍子流路355を経由して、碍子35および放電部41に向かって流出する。気体交換部50から碍子流路355に流出した気体により、碍子35が十分に冷却される。このため、スパークプラグ11は、熱による混合気のプレイグニッションを抑制できる。【選択図】図3

Description

本開示は、スパークプラグに関する。
従来、内燃機関において燃焼室の混合気を点火するスパークプラグが知られている。このスパークプラグは、電極と、電極の絶縁を維持する碍子と、電極および碍子を収容するハウジングとを備える。特許文献1では、ハウジングの内側にテーパ構造を設けるスパークプラグが知られている。
特開2014−013666号公報
碍子は、熱伝導率が比較的低く、燃焼した混合気の熱により高温になりやすい。碍子が高温になると、碍子の熱によって、燃焼前の混合気が自着火するプレイグニッションが発生する。特許文献1の構成では、テーパ構造を設けて、碍子とハウジングとの隙間に気体が流入する。流入した気体が碍子を冷却することで、プレイグニッションを抑制する。
しかし、碍子流路に気体が流入するためには、外部の気体と碍子流路の気体との圧力差が必要である。テーパ構造では、圧力差は生じず、気体は外部から碍子流路に流入できない。このため、碍子は冷却されず、プレイグニッションを抑制できない虞がある。
本開示の目的は、熱による混合気のプレイグニッションを抑制するスパークプラグを提供することにある。
本開示は、内燃機関(1)に設けられるスパークプラグ(11、12、13、14、15、16)である。
スパークプラグは、ハウジング(31、231、331、631)、接地電極(33)、碍子(35)、中心電極(40)、気体交換部(50、250、450、550、650)を備える。
ハウジングは、筒状に形成されている。
接地電極は、ハウジングの一端に設けられている。
碍子は、ハウジングの内側に設けられており、ハウジングとの間に形成される碍子流路(355)を有する。
中心電極は、碍子に設けられており、接地電極との間に隙間を形成する放電部(41)を有し、内燃機関の燃料を点火可能である。
気体交換部は、ハウジングに設けられており、碍子流路に流れた気体を流入出可能である。
また、碍子流路に流れた気体が気体交換部に流入したとき、気体交換部は、流入した気体を冷却する。
碍子流路に流れた気体が気体交換部に流入したとき、気体交換部により流入した気体は、冷却される。気体交換部からの気体が碍子流路を経由して、碍子および放電部に向かって流出する。気体交換部から碍子流路に流出した気体により、碍子が冷却される。このため、スパークプラグは、熱による混合気のプレイグニッションを抑制できる。
各実施形態のスパークプラグが用いられるエンジンの構成図。 第1実施形態のスパークプラグの断面図。 図2のIII部拡大図。 図3のIV−IV線断面図。 図3のV−V線断面図。 第1実施形態のスパークプラグの気体交換部に気体が流入するときの説明図。 第1実施形態のスパークプラグの気体交換部から気体が流出するときの説明図。 第1実施形態のスパークプラグの気体交換部から気体が旋回して流出するときの説明図。 第1実施形態のスパークプラグが放電したときの説明図。 第1実施形態のスパークプラグによって生じた火炎の流れの説明図。 第1実施形態のスパークプラグの気体交換部から気体が流出し、スパークプラグが再度放電したときの説明図。 第2実施形態のスパークプラグの断面図。 図12のXIII−XIII線断面図。 第3実施形態のスパークプラグの断面図。 図14のXV−XV線断面図。 図14のXVI−XVI線断面図。 図14のXVII−XVII線断面図。 第4実施形態のスパークプラグの断面図。 図18のXIX−XIX線断面図。 第4実施形態のスパークプラグの気体交換部の拡大斜視図。 第5実施形態のスパークプラグの断面図。 図21のXXII部拡大図。 第6実施形態のスパークプラグの断面図。 図23のXXIV部拡大図。 他の実施形態のスパークプラグの径方向の断面図。 他の実施形態のスパークプラグの径方向の断面図。 他の実施形態のスパークプラグの径方向の断面図。 比較例のスパークプラグの断面図。
以下、スパークプラグの実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態の説明において、実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明する。
本実施形態という場合、複数の実施形態を包括する。
スパークプラグは、内燃機関に設けられる。
まず、本実施形態のスパークプラグ11が設けられる内燃機関としてのエンジン90について、説明する。
図1に示すように、エンジン90は、吸気系91、シリンダ92、スパークプラグ11、ピストン93、クランクシャフト94、排気系95などを備える。図中において、吸気系91に流入する空気の流れを矢印F1で示す。排気系95から流出する排気の流れを矢印F2で示す。
また、エンジン90は、燃焼室900を有する。
燃焼室900は、シリンダ92とピストン93とによって区画形成されている。
吸気系91は、吸気流路910、燃料噴射弁911および吸気ポート912を有する。
吸気流路910は、吸気した空気が流れる。
燃料噴射弁911は、吸気流路910内で燃料を噴射する。吸気流路910に流れる空気と噴射した燃料とが混合され、吸気流路910に混合気が形成される。吸気流路910に流れる混合気は、燃焼室900に流入する。
吸気ポート912は、吸気弁913を含む。
吸気ポート912は、吸気弁913を開閉することによって、混合気が燃焼室900に流入するタイミングを制御する。
シリンダ92は、シリンダヘッド921を有し、ピストン93を収容している。
スパークプラグ11は、シリンダヘッド921に設けられており、取付孔922に挿通され、シリンダヘッド921とねじ締結されている。
スパークプラグ11の先端部は、燃焼室900に露出している。スパークプラグ11をシリンダヘッド921に取り付けたときの燃焼室900側を燃焼室側とする。また、燃焼室900とは反対側をターミナル側とする。
ピストン93は、シリンダ92に沿って、燃焼室900内の上死点から下死点まで移動可能である。
クランクシャフト94は、ピストン93に連結されている。
燃焼室900に流入した混合気は、スパークプラグ11が放電することによって、点火し、燃焼する。混合気が燃焼したとき、燃焼室900の圧力が増加する。ピストン93が押し下げられ、クランクシャフト94が回転する。クランクシャフト94の回転トルクがエンジン90の外部に伝達される。クランクシャフト94の回転トルクにより、例えば、エンジン90を搭載する車両のタイヤが回転する。
排気系95は、排気流路951および排気ポート952を有する。
排気流路951は、燃焼室900の混合気が燃焼した後の排気が流れる。
排気ポート952は、排気弁953を含む。
排気ポート952は、排気弁953を開閉することによって、燃焼室900からの排気が排気流路951に排出されるタイミングを制御する。
排気流路951を流れた排気は、大気に排出される。
(第1実施形態)
次に、第1実施形態のスパークプラグ11の構成について、説明する。
図2および図3に示すように、スパークプラグ11は、ハウジング31、接地電極33、碍子35および中心電極40を備える。
ハウジング31は、筒状の金属部材であり、ハウジング第1筒部311およびハウジング第2筒部312を有する。
ハウジング第1筒部311は、燃焼室側のハウジング31に位置する部位である。
ハウジング第1筒部311は、ハウジング31の径方向外側の外壁にねじ溝を有する。ねじ溝により、ハウジング第1筒部311とシリンダヘッド921とがねじ結合可能である。
また、ハウジング第1筒部311は、ハウジング凸部313を内壁に有する。
ハウジング凸部313は、ハウジング31の径方向外側から径方向内側に延びており、碍子35の外壁と係合可能である。
また、ハウジング凸部313は、傾斜面315およびハウジング凸部端面316を端面に含む。
傾斜面315は、ターミナル側のハウジング凸部313の端面に形成されている。
傾斜面315は、中心電極40のターミナル48から燃焼室900に向かうに伴い、ハウジング31の径方向内側から径方向外側に向かって傾斜している。
ハウジング凸部端面316は、燃焼室側のハウジング凸部313の端面に形成され、傾斜面315とは反対側の端面に形成されている。
ハウジング凸部端面316は、中心電極40のターミナル48から燃焼室900に向かうに伴い、ハウジング31の径方向外側から径方向内側に向かって傾斜している。
傾斜面315およびハウジング凸部端面316は、ハウジング31の軸に対して、対称となるように形成されており、テーパ形状である。
ハウジング第2筒部312は、ターミナル側のハウジング31に位置する部位である。ハウジング第2筒部312の外径および内径は、ハウジング第1筒部311の外径および内径よりも大きい。
ハウジング第2筒部312は、ハウジング第1筒部311との段差面にガスケット314を有する。
ガスケット314は、スパークプラグ11がシリンダヘッド921に取り付けられたとき、ターミナル側に気体が流入することを規制する。ガスケット314により、燃焼室900と外部との気密が維持される。
接地電極33は、燃焼室側のハウジング第1筒部311の一端に設けられている。
また、接地電極33は、L字形状に形成されており、金属からなる部材である。
さらに、接地電極33は、ハウジング第1筒部311と接続する側とは反対側の端部と、中心電極40の放電部41と、の間に隙間が形成されるように、設けられている。
碍子35は、筒状に形成されており、ハウジング31に収容されている。
また、碍子35は、セラミックスで形成されており、絶縁性を有する。碍子35により、ハウジング31と中心電極40との絶縁が維持される。
さらに、碍子35は、小内径部351、大内径部352、大外径部353、ターミナル支持部354および碍子流路355を有する。
小内径部351は、ハウジング第1筒部311の内側に位置し、スパークプラグ11をシリンダヘッド921に取り付けたとき、燃焼室側の碍子35に位置する部位である。
また、小内径部351は、筒状に形成されており、一定の断面積を有する柱状空間を内側に含む。
さらに、小内径部351は、燃焼室900から離れるにしたがって外径が大きくなるように、形成されている。
また、小内径部351は、ターミナル側の端部の外壁に段差面356および小内径部端面358を含む。
段差面356と傾斜面315との間には、碍子シール部357が設けられている。
碍子シール部357は、スパークプラグ11がシリンダヘッド921に取り付けられたとき、ターミナル側に気体が流入することを規制する。碍子シール部357により、燃焼室900と外部との気密が維持される。
小内径部端面358は、ターミナル側の小内径部351の端面であり、中心電極40の係合部43と接触可能である。
大内径部352は、ハウジング第1筒部311の内側に位置し、小内径部351よりもターミナル側に位置する部位である。
また、大内径部352は、筒状に形成されており、一定の断面積を有する柱状空間を内側に含む。大内径部352の柱状空間の径は、燃焼室側の小内径部351の柱状空間の径よりも大きい。
さらに、大内径部352の外径は、ターミナル側の小内径部351の外径と同じである。
大外径部353は、ハウジング第2筒部312の内側に位置し、大内径部352よりもターミナル側に位置する部位である。
また、大外径部353は、筒状に形成されており、一定の断面積を有する柱状空間を内側に含む。大外径部353の柱状空間の径は、大内径部352の柱状空間の径と同じである。
さらに、大外径部353の外径は、大内径部352の外径よりも大きい。
ターミナル支持部354は、ハウジング第2筒部312の外側に位置し、ターミナル側の大外径部353に位置する部位である。
また、ターミナル支持部354は、中心電極40のターミナル48を内側で支持している。
さらに、ターミナル支持部354は、周方向に形成される複数の溝を外壁に含む。
図3に示すように、碍子流路355は、小内径部351の外面とハウジング第1筒部311の内面とで区画形成されている。
また、碍子流路355は、ハウジング第1筒部311の開口からハウジング凸部端面316まで形成されている。なお、碍子流路355に流入した気体は、碍子シール部357により、ターミナル側に漏れないように、規制される。
図4に示すように、碍子流路355は、円環状となるように、形成されている。
図2に戻って、中心電極40は、燃焼室側の碍子35の内側に位置する。なお、中心電極40は、接地電極33に対向するように、碍子35の端面に設けられてもよい。
中心電極40は、金属からなる部材であり、燃焼室900の混合気を点火可能である。
また、中心電極40と碍子35との間には、比較的小さい隙間が形成されている。
さらに、中心電極40は、放電部41、軸部42、係合部43、接続端子部44、電極第1シール部45、抵抗体46、電極第2シール部47およびターミナル48を有する。
放電部41は、スパークプラグ11をシリンダヘッド921に取り付けたとき、燃焼室側の中心電極40に位置する部位である。
放電部41は、先端が比較的細くなるように、形成されている。
また、放電部41は、接地電極33との間で放電可能である。
放電部41は、ターミナル48を介して高圧電流が流れるとき、接地電極33との間の隙間に混合気を点火可能な火花を生成可能である。
軸部42は、放電部41よりもターミナル側に位置し、柱形状の部位である。
軸部42は、放電部41および係合部43に接続されており、小内径部351の内側で小内径部351と嵌合されている。
また、軸部42は、中心軸Oに垂直な断面が円形形状となるように、形成されている。
さらに、軸部42は、中心軸Oに垂直な断面の面積が一定となるように、形成されている。
係合部43は、軸部42よりもターミナル側に位置する部位である。
係合部43の外径は、軸部42の外径よりも大きい。
また、係合部43は、係合部端面431を含む。
係合部端面431は、燃焼室側における係合部43の端面であり、小内径部端面358と接触可能である。これにより、中心電極40をターミナル支持部354から碍子35の内側に挿入するとき、係合部端面431と小内径部端面358とが接触し、中心電極40の燃焼室側への移動が規制される。
接続端子部44は、係合部43よりもターミナル側に位置する部位である。
接続端子部44は、電極第1シール部45と電気的に接続するように、形成されている。
電極第1シール部45は、中心電極40よりもターミナル側に設けられている。
電極第1シール部45は、ガラス粉末と銅粉末との混合物であり、抵抗体46と中心電極40とを電気的に接続している。
また、電極第1シール部45は、碍子35と溶着しており、ターミナル側に気体が流入することを規制する。電極第1シール部45により、燃焼室900と外部との気密が維持される。
抵抗体46は、電極第1シール部45よりもターミナル側に設けられている。
抵抗体46は、例えば、鉄で形成されている。
抵抗体46は、ターミナル48を経由して供給される高圧電流によるノイズを低減する。
電極第2シール部47は、抵抗体46よりもターミナル側に設けられている。
電極第2シール部47は、電極第1シール部45の材質と同様であり、抵抗体46と中心電極40とを電気的に接続している。
また、電極第2シール部47は、電極第1シール部45と同様に、碍子35と溶着しており、ターミナル側に気体が流入することを規制する。電極第2シール部47により、燃焼室900と外部との気密が維持される。
ターミナル48は、電極第2シール部47よりもターミナル側に設けられている。
ターミナル48は、電極第2シール部47と電気的に接続されている。
また、ターミナル48は、ターミナル側の端部がターミナル支持部354の外部に露出するように、形成されている。
さらに、ターミナル48は、外部から供給される高圧電流を受電可能である。
従来、スパークプラグの碍子は、熱伝導率が比較的低く、燃焼した混合気の熱により高温になりやすい。碍子が高温になると、碍子の熱によって、燃焼前の混合気が自着火するプレイグニッションが発生することが知られている。
図28に示すように、比較例のスパークプラグ100は、テーパ構造101を備える。図28において、テーパ構造101を誇張して記載している。特許文献1では、テーパ構造101により、碍子102とハウジング103との隙間である碍子流路104に気体が流入することが記載されている。碍子流路104に流入した気体が碍子102を冷却することで、プレイグニッションを抑制する。
しかし、碍子流路104に気体が流入するためには、外部の気体と碍子流路104の気体との圧力差が必要である。テーパ構造101では、圧力差は生じず、気体は外部から碍子流路に流入できない。このため、碍子102は冷却されず、プレイグニッションを抑制できない虞がある。
そこで、スパークプラグ11は、熱による混合気のプレイグニッションを抑制する。
図3に戻って、ハウジング31は、ハウジング流路317をさらに有する。
ハウジング流路317は、碍子流路355に連通しており、ハウジング凸部端面316から気体交換部50に向かって延びている。なお、ハウジング流路317は、ハウジング31の内側面から気体交換部50に向かって延びていてもよい。
また、ハウジング流路317の流路面積Ahは、碍子流路355の流路面積Aiよりも小さい。
スパークプラグ11は、気体交換部50および旋回部60をさらに備えており、複数回点火する。
気体交換部50は、ハウジング31に設けられており、碍子流路355に流れた気体を流入出可能である。
また、気体交換部50は、碍子流路355に流れた気体が流入したとき、流入した気体を冷却する。
第1実施形態の気体交換部50は、ハウジング31の内部に設けられており、ハウジング流路317に連通する穴である。
気体交換部50は、碍子35および碍子流路355に離間している。
また、気体交換部50は、ハウジング31の径方向に対して、碍子流路355よりも外側に設けられており、碍子流路355よりもターミナル側に設けられている。
さらに、気体交換部50は、ハウジング31の軸方向の断面が長方形形状である。なお、気体交換部50は、角がR形状になっている。
また、気体交換部50は、吸気ポート912側に設けられている。
図5に示すように、気体交換部50は、ハウジング31の周方向に延びている。
気体交換部50は、ハウジング31の径方向の断面が円環状の一部をなす形状となるように、形成されている。
ピストン93が上死点に移動したときの燃焼室900の容積を上死点容積Vtとする。ピストン93が下死点に移動したときの燃焼室900の容積を下死点容積Vbとする。以下関係式(1)に示すように、上死点容積Vtに対する下死点容積Vbの比を圧縮比εとする。
ε=Vb/Vt ・・・(1)
気体交換部50の容積を交換部容積Veとする。碍子流路355の容積を碍子流路容積Viとする。以下関係式(2)に示すように、交換部容積Veに対する交換部容積Veと碍子流路容積Viとの和の比を容積比Rvとする。
シリンダ92、ピストン93または気体交換部50は、以下関係式(3)に示すように、容積比Rvが圧縮比ε以下となるように、調整されている。
Rv=(Ve+Vi)/Ve ・・・(2)
Rv≦ε ・・・(3)
図6に示すように、ピストン93が上死点に移動したとき、燃焼室900の比較的高い圧力の気体が碍子流路355に流れる。図中において、碍子流路355に流れた気体の流れをFiで示す。
碍子流路355に流れた気体は、ハウジング流路317を経由して、圧縮されながら、気体交換部50に流入する。このとき、気体交換部50に流入する気体は、冷却される。また、気体交換部50の中で、気体交換部50に流入した気体は、ハウジング31に熱が伝達され、冷却される。
図7に示すように、ピストン93が下死点に移動したとき、燃焼室900の圧力および碍子流路355の圧力は、小さくなる。碍子流路355内の気体と気体交換部50内の気体とに圧力差が生じる。このとき、気体交換部50により冷却された気体が碍子流路355に流出する。気体交換部50により冷却された気体が碍子流路355を経由して、碍子35および放電部41が冷却される。
気体交換部50から碍子流路355に流れる気体のハウジング31の周方向における速さを周方向流速Vcとする。
旋回部60は、気体交換部50に設けられており、周方向流速Vcを増加可能である。
ハウジング流路317は、気体交換部50から放電部41に向かうに伴い、ハウジング31の径方向外側から径方向内側に向かって傾斜しており、ハウジング31の軸方向に対して傾斜している。
図8に示すように、旋回部60により、周方向流速Vcが増加し、傾斜するハウジング流路317を経由する。ハウジング流路317を経由することにより、周方向流速Vcがさらに増加する。周方向流速Vcが増加した気体は、碍子流路355を螺旋状に流れ、放電部41に到達する。螺旋状に流れた気体は、放電部41を冷却する。図中において、螺旋状に流れる気体をFsで示す。
図9に示すように、ピストン93が上死点に移動する前にスパークプラグ11が放電する。なお、図中において、ピストン93の位置をクランクアングルで示す。
スパークプラグ11が放電後、燃焼室900の燃料に点火し、燃料が燃焼する。燃焼された燃料は、火炎となる。火炎は、碍子35およびハウジング31に伝播される
図10に示すように、ピストン93が上死点から下死点に移動するとき、火炎は、気体交換部50に向かって伝播される。図中において、火炎の流れをFfで示す。気体交換部50の大きさによっては、火炎が気体交換部50の内部に到達しないことがある。これにより、燃焼されない気体が増加する虞がある。
図11に示すように、そこで、気体交換部50により冷却された気体が碍子流路355に流出したとき、スパークプラグ11は、放電する。スパークプラグ11が放電後、燃焼されていなかった燃料に点火し、燃焼されていなかった燃料が燃焼される。燃焼された燃料は、火炎となる。
[1]気体交換部50は、碍子流路355に流れた気体を流入出可能である。また、碍子流路355に流れた気体が気体交換部50に流入したとき、気体交換部50は、流入した気体を冷却する。
気体交換部50と碍子流路355との圧力差により、碍子流路355に流れた気体が気体交換部50に流入する。このとき、気体交換部50に流入した気体は、冷却される。また、気体交換部50内において、流入した気体は、ハウジング31に熱伝達し、冷却される。
気体交換部50と碍子流路355との圧力差により、気体交換部50からの気体が碍子流路355を経由して、碍子35および放電部41に向かって流れる。気体交換部50から碍子流路355に流出した気体により、碍子35が十分に冷却される。このため、スパークプラグ11は、熱による混合気のプレイグニッションを抑制できる。
[2]気体交換部50は、容積比Rvが圧縮比ε以下となるように、形成されている。また、旋回部60は、気体交換部50から碍子流路355に流れる気体のハウジング31の周方向における速さVcを増加可能である。さらに、碍子流路355は、環状に形成されている。また、ハウジング流路317は、ハウジング31の軸方向に対して傾斜している。このため、気体交換部50から碍子流路355に流出する気体が放電部41にまで到達しやすくなる。放電部41が冷却されやすくなり、プレイグニッションを抑制しやすくする。
また、気体交換部50から碍子流路355に流れる気体が旋回することにより、碍子35の全体を冷却することができる。
[3]気体交換部50は、吸気ポート912側に設けられている。吸気ポート912側の燃焼室900内の気体の温度は、燃焼室900内の気体の温度よりも低い。このため、碍子流路355を経由して気体交換部50に流入する気体の温度は、比較的低くなりやすい。これにより、気体交換部50から流出する気体の温度が低くなりやすく、碍子35が冷却されやすくなる。
[4]スパークプラグ11は、放電を複数回行う。これにより、燃焼されていなかった燃料が燃焼される。このため、燃焼されない気体が低減する。
(第2実施形態)
第2実施形態では、気体交換部の形態が異なる点を除き、第1実施形態と同様である。
図12および図13に示すように、第2実施形態のスパークプラグ12の気体交換部250は、ハウジング231の内面であるハウジング内面232に設けられている溝である。
気体交換部250は、碍子流路355と離間している。碍子35の一部と気体交換部250とは接している。
気体交換部250は、ハウジング流路317を経由して、碍子流路355に連通している。
また、気体交換部250は、ハウジング231の周方向に延びている。
気体交換部250は、ハウジング231の径方向の断面が円環状の一部となるように、形成されている。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、気体交換部250が溝であることにより、ハウジング231の加工が容易となる。スパークプラグ12の製造が容易になり、スパークプラグ12の加工コストが低くなる。
第3実施形態では、ハウジング流路317の形態を除き、第1実施形態と同様である。
第3実施形態のスパークプラグ13のハウジング流路317は、気体交換部50および碍子流路355に連通している。
図14、図15、図16および図17に示すように、ハウジング流路318は、ハウジング331の周方向に延びて、かつ、ハウジング331の軸方向に延びており、螺旋状に形成されている。
また、ハウジング流路318は、ハウジング331の径方向における断面が円形形状となるように形成されている。
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第3実施形態においては、ハウジング流路317がハウジング331の周方向に延びており、周方向流速Vcが増加しやすくする。周方向流速Vcが増加することで、気体交換部50から碍子流路355に流出する気体が放電部41にまで到達しやすくなる。また、周方向流速Vcが増加することによって、碍子35の全体が冷却されやすくなる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、気体交換部および旋回部の形態を除き、第1実施形態と同様である。
第4実施形態のスパークプラグ14の気体交換部450は、ハウジング31の内部に設けられており、ハウジング流路319に連通する穴である。
図18および図19に示すように、気体交換部450は、ハウジング31の径方向の断面が円環状に形成されており、周方向に延びている。
ハウジング流路319は、気体交換部450と同様に、ハウジング31の径方向の断面が円環状に形成されており、周方向に延びている。
旋回部460は、ハウジング31の径方向外側の気体交換部450に設けられており、複数の案内部材461を有する。
複数の案内部材461は、ハウジング31の周方向に並んでおり、ハウジング31の径方向外側の気体交換部450に接している。なお、複数の案内部材461は、ハウジング流路319に設けられてもよい。
図20に示すように、案内部材461は、外縁の一部が湾曲している。なお、図20において、所在を明確にするため、気体交換部450および案内部材461を誇張して記載している。
また、案内部材461は、ハウジング31の軸方向に対して傾斜している。
さらに、案内部材461は、幅が一様に形成されている、または、燃焼室側に向かって幅が大きくなるように形成されている。
案内部材461は、気体交換部450から碍子流路355に流出する気体を案内する。気体交換部450から碍子流路355に流出する気体は、案内部材461に沿って整流され、周方向の速さが気体交換部450内で増加する。
第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第4実施形態では、案内部材461により、気体交換部450内の気体は、周方向の速さが増加する。このため、気体交換部50から碍子流路355に流出する気体は、旋回しやすくなる。したがって、碍子35の全体が冷却されやすくなる。
(第5実施形態)
第5実施形態において、気体交換部の形態を除き、第1実施形態と同様である。
図21および図22に示すように、第5実施形態のスパークプラグ15の気体交換部550は、重心Gの位置が設定されている。
気体交換部550の重心Gの位置は、碍子シール部357の位置よりも中心電極40とは反対側であり、ターミナル側に位置する。
重心Gは、気体交換部550に物体が充填されたときの重心位置である。
重心Gは、例えば、ハウジング31の軸方向における気体交換部550の断面を用いて演算される。ハウジング31の軸方向における気体交換部550の断面は、長方形形状であり、長方形の図心として、重心Gは演算される。
第5実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第5実施形態では、気体交換部550の重心Gの位置は、碍子シール部357の位置よりも中心電極40とは反対側である。碍子シール部357よりもターミナル側のハウジング31は比較的温度が低い。このため、気体交換部550に流入する気体は、冷却されやすくなる。これにより、気体交換部550から碍子流路355に流れる気体が碍子35を冷却しやすくする。
(第6実施形態)
第6実施形態において、気体交換部の形態を除き、第1実施形態と同様である。
図23および図24に示すように、第6実施形態のスパークプラグ16の気体交換部650は、ハウジング631の軸方向における断面の外縁の一部が多角形形状に形成されている。
ハウジング631は、複数の突起体632を内部に有する。
複数の突起体632は、気体交換部650に接しており、気体交換部650に流入した気体の熱を吸熱可能である。
また、複数の突起体632は、気体交換部650内の気体の流れを乱す。気体交換部650に流入した気体の熱は、複数の突起体632に伝達され、外部に放熱される。
第6実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第6実施形態では、気体交換部650は、ハウジング631の軸方向における断面の外縁が多角形形状に形成されている。気体交換部650の形状および突起体632により、気体交換部650内の気体がハウジング631に接する表面積が増加する。このため、気体交換部650内の気体からハウジング631への熱伝達がされやすくなる。気体交換部650内の気体が冷却されやすくなり、気体交換部550から碍子流路355に流れる気体が碍子35を冷却しやすくする。
(他の実施形態)
(i)第1実施形態の思想を共有する他の実施形態を以下に示す。
図25に示すように、気体交換部50は、複数のハウジング流路317にそれぞれ連通する穴であり、複数設けられてもよい。なお、ハウジング流路317は、気体交換部50の数に対応して設けられる。気体交換部の数に限定されず、第1実施形態と同様の効果を奏する。
ハウジング流路317に連通する穴である気体交換部50と、ハウジング流路317に連通する溝である気体交換部250とを組み合わせてもよい。また、第1から第6までの実施形態を組み合わせてもよい。
(ii)第2実施形態の思想を共有する他の実施形態を以下に示す。
図26に示すように、ハウジング流路317に連通する溝である気体交換部250は、複数設けられてもよい。
図27に示すように、ハウジング流路317に連通する溝である気体交換部250は、環状に形成されてもよい。
(iii)第6実施形態の思想を共有する他の実施形態を以下に示す。
気体交換部650は、断面の外縁が多角形形状、円形形状または曲線形状であってもよい。
以上、本開示はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・内燃機関、
11、12、13、14、15、16 ・・・スパークプラグ、
31、231、331、631 ・・・ハウジング、
33 ・・・接地電極、
35 ・・・碍子、 355 ・・・碍子流路、
40 ・・・中心電極、
41 ・・・放電部、
50、250、450、550、650 ・・・気体交換部。

Claims (13)

  1. 内燃機関(1)に設けられるスパークプラグ(11、12、13、14、15、16)であって、
    筒状のハウジング(31、231、331、631)と、
    前記ハウジングの一端に設けられている接地電極(33)と、
    前記ハウジングの内側に設けられており、前記ハウジングとの間に形成される碍子流路(355)を有する碍子(35)と、
    前記碍子に設けられており、前記接地電極との間に隙間を形成する放電部(41)を有し、前記内燃機関の燃料を点火可能な中心電極(40)と、
    前記ハウジングに設けられており、前記碍子流路に流れた気体を流入出可能であり、前記碍子流路に流れた気体が流入したとき、流入した気体を冷却する気体交換部(50、250、450、550、650)と、
    を備えるスパークプラグ。
  2. 前記気体交換部は、前記碍子流路に接続されるハウジング流路(317、318、319)に連通し、前記碍子流路と離間している1つ以上の穴(50、450、550、650)、または、前記ハウジングの内面(232)に設けられ、前記碍子流路に連通する溝(250)である請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記内燃機関は、燃焼室(900)を有し、
    前記内燃機関のピストン(93)が上死点に移動したときの前記燃焼室の容積を上死点容積(Vt)とし、前記ピストンが下死点に移動したときの前記燃焼室の容積を下死点容積(Vb)とし、前記上死点容積に対する前記下死点容積の比を圧縮比(ε)とし、前記気体交換部の容積(Ve)に対する前記気体交換部の容積と前記碍子流路の容積(Vi)との和(Ve+Vi)の比を容積比(Rv)とすると、
    前記容積比は、前記圧縮比以下である請求項1または2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記碍子流路は、環状に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記気体交換部から前記碍子流路に流れる気体の前記ハウジングの周方向における速さを増加可能な旋回部(60、460)をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記ハウジングは、前記碍子流路および前記気体交換部に連通するハウジング流路(318)を有し、
    前記ハウジング流路は、前記ハウジングの周方向に延びている請求項1から5のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記ハウジングは、前記碍子流路および前記気体交換部に連通するハウジング流路(317、319)を有し、
    前記ハウジング流路は、前記ハウジングの軸方向に対して傾斜している請求項1から6のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  8. 前記気体交換部に設けられ、前記ハウジングの軸方向に対して傾斜している案内部材(461)をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  9. 前記ハウジングと前記碍子との間に設けられ、前記碍子流路に流れた気体が前記ハウジング内に流入することを規制する碍子シール部(357)をさらに備え、
    前記気体交換部の重心(G)の位置は、前記碍子シール部の位置よりも前記中心電極とは反対側に設けられる請求項1から8のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  10. 前記気体交換部は、前記気体交換部の断面の外縁が多角形形状または湾曲するように、形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  11. 前記内燃機関は、吸気ポート(912)および排気ポート(952)を有し、
    前記気体交換部は、前記吸気ポート側の前記ハウジングに設けられている請求項1から10のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  12. 前記気体交換部は、複数設けられている請求項1から11のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  13. 前記中心電極は、前記接地電極との間で複数回の放電が可能である請求項1から12のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
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