実施の形態1.
以下、本発明の燃料噴射装置に関する実施の形態について具体的に説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。なお、本実施の形態においては、燃料噴射孔が形成された側の端部を燃料噴射装置の下端とし、燃料噴射孔側の端部とは反対側の端部を燃料噴射装置の上端として、燃料噴射装置を説明していく。
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射装置を示す断面図である。燃料噴射装置100は、燃料を噴射する燃料噴射孔2が下端に形成された本体部1を備えている。本実施の形態では、本体部1を、インジェクタ本体部3、ノズル本体部4、ノズルナット5、で構成している。なお、本体部1を構成するこれらの部品は、あくまでも一例である。燃料噴射装置100のデザインに応じて、本体部1の分割数は、換言すると本体部1を構成する部品数は、任意に変更可能である。
インジェクタ本体部3は、本体部1の中央部分を構成するものであり、内部に高圧室52が形成されている。当該高圧室52は、インジェクタ本体部3及びユニオンナット6に形成された燃料入口51を介して、外部(例えばコモンレール、燃料ポンプ等)から、高圧の燃料が供給される。
インジェクタ本体部3の下端側には、ノズルナット5を使用してノズル本体部4が取り付けられている。インジェクタ本体部3の下端の外周側には例えば雄ネジが切ってあり、ノズルナット5の内周側には例えば雌ネジが切ってある。インジェクタ本体部3の雄ネジにノズルナット5の雌ネジを締めつけることで、インジェクタ本体部3とノズルナット5とが固定され、インジェクタ本体部3とノズル本体部4とが圧着して接合される。このノズル本体部4は、本体部1の下部分を構成するものである。ノズル本体部4は、外径が異なる複数の円筒構造が同軸上に組み合わさるように構成されており、ノズル本体部4の内部には、上端から下方へ凹む孔55が形成されている。孔55の上方は、インジェクタ本体部3に形成された高圧室52と接続している。この孔55は、インジェクタ本体部3の高圧室52と同軸上に配置されている。孔55の下方には、孔55とノズル本体部4の外部とを連通するように、1つ以上の燃料噴射孔2が形成されている。なお、ノズル本体部4と、インジェクタ本体部3との接合については後述する。
インジェクタ本体部3の上端側は、ユニオンナット6の下端部に、例えば圧入等により機密に固定されている。ユニオンナット6は、筒状に形成されている。また、ユニオンナット6の上端部は、閉塞板7によって気密に閉塞されている。
高圧室52の上端部(つまり、ノズル本体部4側とは反対側の端部)は、弁板21により画定されている。当該弁板21は、ユニオンナット6の内周壁に取り付けられた固定リング6aとインジェクタ本体部3との間に挟持され、高圧室52を気密に閉塞している。弁板21における高圧室52側の壁部には、制御室12を包囲する筒状突出部13が形成されている。当該筒状突出部13における弁板21とは反対側の端部は、壁14により閉塞されている。また、当該壁14には、後述のノズルニードル8が挿入されるノズルニードル開口部15が形成されている。また、制御室12を包囲する筒状突出部13には、制御室12と高圧室52とを連通させる連通路16が形成されている。すなわち、高圧室52内の高圧燃料は、連通路16を介して、制御室12に流入する構成となっている。
インジェクタ本体部3とノズル本体部4の内部には、高圧室52と孔55の軸線に沿って往復動自在(図1では上下動自在)に、ノズルニードル8が設けられている。このノズルニードル8は、燃料噴射孔2を開閉するものである。ノズルニードル8は、制御室12側の上端部8aと、燃料噴射孔2側の下端部8bとを有する。なお、ノズルニードル8は、一体で構成されることも可能であり、又は、互いに作動接続された複数の構成要素から構成されることも可能である。
ノズルニードル8の上端部8aは、壁14に形成されたノズルニードル開口部15に挿入され、制御室12内に突出している。換言すると、制御室12は、ノズルニードル8の上端部8aと対向するように本体部1内に形成されているとも言える。ノズルニードル8が往復動することにより、制御室12の容積が変更される。また、ノズルニードル8の外周面には、壁14の下方となる位置に、鍔状の突起部10が形成されている。
また、突起部10と壁14との間には、ノズルニードル8を燃料噴射孔2側へ付勢するバネ11が設けられており、ノズルニードル8には、下向き(つまり燃料噴射孔2に近づく方向)の力が加わることとなる。また、ノズルニードル8の下端部8bの上方には、段部9が形成されている。高圧室52内の高圧燃料の圧力が段部9に作用することにより、ノズルニードル8には、上向き(つまり燃料噴射孔2から離れる方向)の力が加わることとなる。ノズル本体部4内の燃料噴射孔2につながる部位は、シート部18が形成されており、ノズルニードル8がシート部18に対して着座(シート)することで燃料噴射孔2が閉塞され、高圧室52内の高圧燃料が燃料噴射孔2から噴射されない状態となる。一方、ノズルニードル8がシート部18から離間(リフト)することで、燃料噴射孔2が開放され、高圧室52内の高圧燃料が燃料噴射孔2から噴射される状態となる。
弁板21における制御室12とは反対側の壁部には、排出室30が配置されている。排出室30は、弁板21と、弁板21における制御室12とは反対側の壁部に設けられた筒状の壁31と、該壁31の上端部を閉塞する壁33とに包囲されて形成されている。また、弁板21には、制御室12と排出室30とを連通させる貫通孔17が形成されている。弁板21の排出室30側には、弁ニードル25が配置されている。この弁ニードル25は、弁板21と共に開閉弁20を構成するものである。
弁ニードル25は、弁板21に向かう方向及び弁板21から離れる方向に、往復動自在(図1では上下動自在)となっている。そして、弁ニードル25の弁板21側の先端部が弁板21における貫通孔17の開口部の外周側に接触した状態では、つまり開閉弁20が閉じた状態では、弁板21と弁ニードル25との間の流路を閉塞する。また、弁ニードル25の弁板21側の先端部が弁板21における貫通孔17の開口部の外周側から離れた状態では、つまり開閉弁20が開いた状態では、弁板21と弁ニードル25との間の流路が開く。すなわち、開閉弁20は、貫通孔17を開閉するものである。
上述のように開閉弁20が開くことにより、制御室12と排出室30とが、貫通孔17を介して連通する。このため、制御室12内の燃料は、貫通孔17を通って、排出室30に流入することとなる。ここで、貫通孔17の流路断面積は、高圧室52と制御室12とを連通する連通路16の流路断面積よりも大きくなっている。このため、開閉弁20が開かれた際、高圧室52から制御室12へ流入する燃料の量よりも、制御室12から排出室30へ流出する燃料の量の方が多くなる。したがって、開閉弁20が開かれた際、制御室12内の燃料の圧力は、高圧室52内の燃料の圧力よりも低くなる。
排出室30を包囲する壁31には、例えば二つの出口孔32が形成されている。当該出口孔32は、排出室30と、ユニオンナット6内において弁板21の上方に形成された低圧室53と、を連通する貫通孔である。低圧室53は、燃料噴射装置100内に供給された燃料を外部に排出させる燃料出口54と連通している。このため、低圧室53内には、高い燃料圧は形成されない。
弁ニードル25は、排出室30の上方を包囲する壁33に形成された開口部を通って、低圧室53へと伸張している。つまり、弁ニードル25の上端部(弁板21側とは反対側の端部)は、壁33よりも上方へ突出している。そして、弁ニードル25の該上端部には、アーマチャ板41が設けられている。当該アーマチャ板41は、低圧室53において、燃料噴射装置100の縦方向と直角に伸張している。なお、アーマチャ板41を弁ニードル25と一体形成してもよい。
アーマチャ板41と閉塞板7との間には、バネ42が配置される。バネ42は、弁ニードル25が弁板21上に押圧されて両者の間が閉塞するように、アーマチャ板41を弁板21の方へ付勢する。
アーマチャ板41と閉塞板7との間には、電磁石43も設けられている。当該電磁石43の作動により(電磁石43に電力が供給されることにより)、アーマチャ板41は、バネ42の力に逆らって上方に移動する。つまり、アーマチャ板41に取り付けられた弁ニードル25は、開閉弁20が開く方向に移動する。すなわち、開閉弁20は、電磁石43の作動により開放される。開閉弁20が開いた際、制御室12の燃料は、上述のように排出室30内に流入し、当該排出室30から、出口孔32を通ってさらに低圧室53及び燃料出口54へと流入する。
制御室12からの燃料の流出によって制御室12内の燃料の圧力は低下する。制御室12内の燃料の圧力の低下により、当該制御室12内の燃料の圧力は、ノズルニードル8の段部9に作用する高圧室52内の燃料の圧力に逆らってノズルニードル8を燃料噴射孔2の閉塞位置に保持するためには、もはや十分ではない。このため、制御室12からの燃料の流出によって制御室12内の燃料の圧力が低下すると、ノズルニードル8は、上方へ移動して燃料噴射孔2を開放する。これにより、高圧室52内の燃料は、燃料噴射孔2を通って、図示されない燃焼室へと噴射される。すなわち、本実施の形態に係る燃料噴射装置100は、制御室12内の燃料の圧力をノズルニードル8の上端部8aに作用させ、当該圧力をノズルニードル8の駆動に利用する燃料噴射装置である。
燃料噴射孔2からの燃料の噴射を終了させるには、電磁石43への電力の供給を停止する。これにより、アーマチャ板41が、バネ42によって下方へと押圧される。そして、アーマチャ板41と共に弁ニードル25も下方に移動し、弁ニードル25は弁板21と接触する。すなわち、開閉弁20が閉じる。開閉弁20が閉じると、連通路16を通って高圧室52から制御室12へと流入する燃料は、制御室12から排出室30へと流出できない。このため、制御室12内の燃料の圧力が高まる。制御室12内の高まった圧力は、ノズルニードル8に対して、バネ11の力と共に当該ノズルニードル8を燃料噴射孔2の閉塞位置へと押圧する下向きの力を加える。これにより、ノズルニードル8が下降し、ノズルニードル8の下端部8bは燃料噴射孔2を閉塞する。その結果、更なる燃料が、高圧室から燃料噴射孔2を通って燃焼室へと噴出されることはない。
弁ニードル25内には、燃料噴射装置100の縦軸に沿って、弁ニードル孔26が形成されている。この弁ニードル孔26には、高圧に対して気密に圧力ピン61がはめ込まれる。さらに、この圧力ピン61は、燃料噴射装置100の縦軸に沿って、ノズルニードル8及び弁ニードル25の移動方向と平行して、弁ニードル孔26内を移動しうる。圧力ピン61は、アーマチャ板41内に形成された孔と、バネ42と、電磁石43と、の中央を通って伸張している。また、圧力ピン61は、下端面に対して作用する力が上端面を介して例えば圧力センサであるセンサ63へと伝達されるように、配置されている。
本実施の形態では、圧力ピン61の上端面とセンサ63との間に、補正素子62が設けられる。この補正素子62は、センサ63と圧力ピン61との間の角度許容誤差を補正し、センサ63により遂行される測定の精度を高めることを可能とする。
弁ニードル25が下方に移動している状態においては、すなわち、開閉弁20が閉じて制御室12と排出室30との間が連通していない状態においては、制御室12内に存在する高い燃料圧が、貫通孔17を通って圧力ピン61の下端面に作用する。そして、圧力ピン61は、制御室12内の燃料圧に比例する力をセンサ63へと伝達する。このとき、制御室12は、連通路16を介して高圧室52と連通しているため、制御室12内の燃料圧は、油圧のバランスが保たれて、高圧室52内の燃料圧と同じである。したがって、圧力ピン61によりセンサ63に対して加えられる力は、高圧室52内の燃料圧に比例する。高圧室52内の燃料圧は、センサ63により測定された値から簡単に決定可能である。
[インジェクタ本体部3とノズル本体部4との接合]
続いて、インジェクタ本体部3とノズル本体部4との接合の構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射装置のノズル本体部4の部分斜視図である。ノズル本体部4は、図1に示す燃料を噴射する燃料噴射孔2が一端に形成され、他端を構成するノズル端部4aが円筒形状に形成されている。ノズル端部4aは、後述するインジェクタ端部3aと接合するノズル接続面部4a1に対して軸方向に突出した1又は複数のノズル凸部71を有する。図2では、ノズル凸部71は、ノズル接続面部4a1において、二つのノズル凸部71が第1ノズル凸部71aと第2ノズル凸部71bとしてノズル本体部4の周方向に配置されている。なお、図2では、二つのノズル凸部71が記載されているが、ノズル凸部71は、1つでもよく2以上の複数であってもよい。ノズル凸部71は、ノズル本体部4を構成する金属部材に対し、例えばフライス盤等の工作機械を用いて切削加工を行うことにより形成される。ノズル凸部71は、ノズル接続面部4a1と、先端部に位置し後述するインジェクタ底面部3a2と対向するノズル先端面部4a2との間に第1ノズル段差面部4a3を有する。第1ノズル段差面部4a3は、図2では、ノズル本体部4の径方向の内側に面している。なお、第1ノズル段差面部4a3は、ノズル凸部71の形状に対応して、1又は複数形成される。
図2に示すように、ノズル接続面部4a1には、インジェクタ本体部3と接し、高圧室52と孔55とをシールするシール部4bが設けられている。シール部4bは、ノズル接続面部4a1において、シールを行うために面磨き加工等が施されている部分である。ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが組み合わせられ、ノズルナット5をインジェクタ本体部3に締め付けることでシール部4bがインジェクタ本体部3に圧着され、高圧室52と孔55とがシールされる。なお、シール部は、ノズル本体部4にのみ設けられてもよく、インジェクタ本体部3にのみ設けられてもよい。また、シール部は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の両方に設けられてもよい。
図3は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射装置のインジェクタ本体部3の部分斜視図である。インジェクタ本体部3は、図2のノズル端部4aと接合するインジェクタ端部3aが円筒形状に形成され、図1に示すように中空部に燃料噴射孔2と連通する高圧室52が形成されている。インジェクタ端部3aは、ノズル端部4aと接合するインジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹む1又は複数のインジェクタ凹部81を形成する。図3では、インジェクタ接続面部3a1において周方向に第1インジェクタ凹部81aと、第2インジェクタ凹部81bとの二つのインジェクタ凹部81が形成されている。なお、図3では、二つのインジェクタ凹部81が記載されているが、インジェクタ凹部81の形成数は、ノズル凸部71の形成数に対応して、1つでもよく2以上の複数であってもよい。インジェクタ凹部81は、インジェクタ本体部3を構成する金属部材に対し、例えばフライス盤等の工作機械を用いて切削加工を行うことにより形成される。インジェクタ凹部81は、インジェクタ凹部81の底部を形成するインジェクタ底面部3a2とインジェクタ接続面部3a1との間に第1インジェクタ段差面部3a3を有する。第1インジェクタ段差面部3a3は、図3では、インジェクタ本体部3の径方向の外側に面している。なお、第1インジェクタ段差面部3a3は、インジェクタ凹部81の形状に対応して、1又は複数形成される。
図3に示すように、インジェクタ接続面部3a1には、ノズル本体部4と接し、高圧室52と孔55とをシールするシール部3bが設けられている。シール部3bは、インジェクタ接続面部3a1において、シールを行うために面磨き加工等が施されている部分である。ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが組み合わせられ、ノズルナット5をインジェクタ本体部3に締め付けることでシール部3bがノズル本体部4に圧着され、高圧室52と孔55とがシールされる。なお、シール部は、上述したように、ノズル本体部4にのみ設けられてもよく、インジェクタ本体部3にのみ設けられてもよい。また、シール部は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の両方に設けられてもよい。
図4は、図1のA−A断面図である。図4は、ノズル凸部とインジェクタ凹部との嵌合部の断面形状を示している。なお、図4では、ノズルニードル8の図示を省略している。図1〜図4に示すように、インジェクタ本体部3に締結されたノズルナット5は、ノズル端部4aとインジェクタ端部3aとを内包している。そして、ノズルナット5の内部空間において、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81とが嵌合されており、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81との嵌合部91が円筒形状に形成されている。図2〜図4を用いて、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81との嵌合部91の断面形状について更に説明する。
ノズル本体部4の第1ノズル凸部71aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91の外周壁部34の一部を形成する円弧形状の第1外周壁部34aを有する。また、第1ノズル凸部71aは、第1ノズル段差面部4a3を構成し、第1外周壁部34aの両端と接続する平面形状の第1内壁部35aを有する。図4を用いて更に説明すると、第1外周壁部34aは、嵌合部91の外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Cと端部Dとを結ぶ弧CDを形成する部分の壁である。第1内壁部35aは、端部Cと端部Dとを直線的に結ぶ弦CDを形成する部分の壁である。第1ノズル凸部71aは、第1外周壁部34aと第1内壁部35aとで囲まれた構造が、図2に示すように、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に突出した部分である。
ノズル本体部4の第2ノズル凸部71bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91の外周壁部34の一部を形成する円弧形状の第2外周壁部34bを有する。また、第2ノズル凸部71bは、第1ノズル段差面部4a3を構成し、第2外周壁部34bの両端と接続する平面形状の第2内壁部35bを有する。図4を用いて更に説明すると、第2外周壁部34bは、嵌合部91の外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Eと端部Fとを結ぶ弧EFを形成する部分の壁である。第2内壁部35bは、端部Eと端部Fとを直線的に結ぶ弦EFを形成する部分の壁である。第2ノズル凸部71bは、第2外周壁部34bと第2内壁部35bとで囲まれた構造が、図2に示すように、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に突出した部分である。
インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91の2ヶ所の外周壁を形成し、一方の壁の両端に位置する端部Gと端部Iとを結ぶ弧GIを形成する第3外周壁部34cと、他方の壁の両端に位置する端部Hと端部Jとを結ぶ弧GIを形成する第4外周壁部34dとを有する。そして、第1インジェクタ凹部81aは、第3外周壁部34cの端部Gと第4外周壁部34dの端部Hとを結ぶ弧GHと、端部Gと端部Hとを結ぶ弦GHとで囲まれた断面形状がインジェクタ本体部3から切り欠かれて形成されている部分である。すなわち、第1インジェクタ凹部81aは、弧GHと弦GHとで囲まれた断面形状が、図3に示すように、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹む部分である。弦GHの部分を形成する壁は、第1インジェクタ段差面部3a3を構成する壁である。
第2インジェクタ凹部81bは、第3外周壁部34cの端部Iと第4外周壁部34dの端部Jとを結ぶ弧IJと、端部Gと端部Hとを結ぶ弦IJとで囲まれた断面形状がインジェクタ本体部3から切り欠かれて形成されている部分である。すなわち、第1インジェクタ凹部81aは、弧IJと弦IJとで囲まれた断面形状が、図3に示すように、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹む部分である。弦GHの部分を形成する壁は、第1インジェクタ段差面部3a3を構成する壁である。
図4に示すように、ノズル本体部4に形成された第1ノズル凸部71aがインジェクタ本体部3に形成された第1インジェクタ凹部81aと嵌合し、ノズル本体部4に形成された第2ノズル凸部71bがインジェクタ本体部3に形成された第2インジェクタ凹部81bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、インジェクタ本体部3の第1インジェクタ段差面部3a3と、ノズル本体部4の第1ノズル段差面部4a3とが嵌合部91において対向して周方向で接している。
図5は、図1のBの部分の概略化した部分拡大図である。ノズル本体部4と、インジェクタ本体部3とが結合されているとき、ノズル接続面部4a1と、インジェクタ接続面部3a1とは対向し、ノズル先端面部4a2と、インジェクタ底面部3a2とは対向している。インジェクタ本体部3のインジェクタ底面部3a2とインジェクタ接続面部3a1との距離Z1は、ノズル本体部4のノズル接続面部4a1とノズル先端面部4a2との距離Z2よりも大きい。そして、ノズル本体部4のシール部4bが、インジェクタ本体部3と接しているとき、インジェクタ本体部3のインジェクタ底面部3a2と、ノズル本体部4のノズル先端面部4a2との間に隙間W1ができていることが望ましい。このような構成により、ノズルナット5をインジェクタ本体部3に締め付けたときに、シール部4bをインジェクタ本体部3に圧着させることができる。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4のノズル凸部71と、インジェクタ本体部3のインジェクタ凹部81とが嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転が規制され、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との周方向の移動が拘束される。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。ここで、細径化した燃料噴射装置に対して、従来と同様の位置決めピンを用いた場合と比較して説明する。
図6は、細径化した燃料噴射装置に対して、従来と同様の位置決めピンを用いた場合のノズル本体部と位置決めピンとの関係を示す要部拡大図(断面図)である。従来の寸法の位置決めピン90を細径化したノズル本体部4に採用すると、ノズル本体部4の横断面においてノズル本体部4に形成される位置決め穴4cの形成範囲の割合が大きくなる。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の接触領域となるシール部4bの領域が確保できず、シール領域が不足するという問題が生じる。特に、システムの圧力が2000bar以上の燃料噴射装置では、燃料噴射装置の中央部分に高圧となる領域が配置される構造が採用されている。そのため、ノズル本体部4に高圧に耐え得る十分な範囲のシール領域を確保する必要がある。また、シール部4bのシール領域を確保するために位置決めピンを細径化することも考えられる。しかし、位置決めピン90の細径化は位置決めピン90の強度不足を招き、ノズルナット5をインジェクタ本体部3に締め付ける際に位置決めピン90が損壊し、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との相対位置が確保できない恐れがある。
これに対し、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4にノズル凸部71を設け、インジェクタ本体部3に形成されたインジェクタ凹部81と嵌合させることで、位置決めピンを必要とすることなく、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転を規制することができる。また、ノズル本体部4とノズル凸部71とは一体構造であり、ノズル凸部71の強度を確保することができる程度に大きくすることができる。また、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81とは、フライス加工で容易に形成することができるため、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81との嵌合部91が円筒形状に形成されている。そのため、ノズルナット5の内部に嵌合部91を内包させてノズル本体部4とインジェクタ本体部3とを締結することができるので、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との組み付け工程が容易になる。
また、燃料噴射装置100は、第1インジェクタ段差面部と、第1ノズル段差面部とが嵌合部91において周方向で接している。そのため、位置決めピンを必要とすることなく、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転を規制することができる。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。
図7は、本発明の実施の形態1に係る燃料噴射装置の変形例である。図1〜図5の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図7に記載の嵌合部91Aは、第1ノズル凸部71aと、第2ノズル凸部71bとの位置関係をさらに特定するものである。なお、嵌合部91Aは、第1ノズル凸部71aと、第2ノズル凸部71bとの位置関係以外の他の構成については嵌合部91と同じ構成である。
ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1内壁部35aと第2内壁部35bとが平行ではないように形成されているものである。図7では、第1内壁部35aの縁部を表す弦CDと、第2内壁部35bの縁部を表す弦EFとが平行でないように表されている。
ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1内壁部35aと第2内壁部35bとが平行ではないように形成されていることで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができない。そのためインジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Aの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射装置を示す断面図である。図8は、実施の形態2に係る燃料噴射装置を説明するために図1を用いるものであり、図1のA−A部分の嵌合部の断面図である。図1〜図7の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態2に係る燃料噴射装置100は、第1ノズル凸部72aと、第2ノズル凸部72bと、第1インジェクタ凹部82aと、第2インジェクタ凹部82bの形状以外の他の構成については実施の形態1に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1ノズル凸部72aと第2ノズル凸部72bとは上述したノズル凸部71に相当し、第1インジェクタ凹部82aと第2インジェクタ凹部82bとは上述したインジェクタ凹部81に相当するものである。以下、嵌合部91の構造を説明することで、実施の形態2に係る燃料噴射装置について説明する。
第1ノズル凸部72aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1外周壁部34aと、ノズル本体部4の径方向の内側に形成された円弧形状の第1内周壁部36aと、第1外周壁部34aと第1内周壁部36aとの端部をそれぞれ接続する第1側壁部37aとを有する。第1ノズル凸部72aは、断面形状では、部分環状の形状である。図8を用いて更に詳細に説明すると、第1外周壁部34aは、上述したように嵌合部91の外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Cと端部Dとを結ぶ弧CDを形成する部分の壁である。第1内周壁部36aは、円弧形状に形成されており、壁の両端に位置する端部Kと端部Lとを結び弧KLを形成するノズル本体部4の径方向の内側の部分の壁である。第1側壁部37aは、第1外周壁部34aの端部Cと第1内周壁部36aの端部Kとを接続する壁である。または、第1側壁部37aは、第1外周壁部34aの端部Dと第1内周壁部36aの端部Lとを接続する壁である。第1側壁部37a及び第1内周壁部36aとは、第1ノズル段差面部4a3に該当する。また、第1側壁部37aは、第1インジェクタ段差面部3a3と嵌合部91Bおいて周方向で接している。第1ノズル凸部72aは、第1外周壁部34aと第1内周壁部36aと第1側壁部37aとで囲まれた構造が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に突出した部分である。
第2ノズル凸部72bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第2外周壁部34bと、ノズル本体部4の径方向の内側に形成された円弧形状の第2内周壁部36bと、第2外周壁部34bと第2内周壁部36bとの端部をそれぞれ接続する第2側壁部37bとを有する。第2ノズル凸部72bは、断面形状では、部分環状の形状である。図8を用いて更に詳細に説明すると、第2外周壁部34bは、上述したように嵌合部91の外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Eと端部Fとを結ぶ弧EFを形成する部分の壁である。第2内周壁部36bは、円弧形状に形成されており、壁の両端に位置する端部Mと端部Nとを結び弧MNを形成するノズル本体部4の径方向の内側の部分の壁である。第2側壁部37bは、第2外周壁部34bの端部Eと第2内周壁部36bの端部Mとを接続する壁である。または、第2側壁部37bは、第2外周壁部34bの端部Fと第2内周壁部36bの端部Nとを接続する壁である。第2側壁部37b及び第2内周壁部36bとは、第1ノズル段差面部4a3に該当する。また、第2側壁部37bは、第1インジェクタ段差面部3a3と嵌合部91Bおいて周方向で接している。第2ノズル凸部72bは、第2外周壁部34bと第2内周壁部36bと第2側壁部37bとで囲まれた構造が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に突出した部分である。
第1インジェクタ凹部82aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、部分環状の形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。この部分環状の形状は、第1ノズル凸部72aの断面形状に相当するものである。第1インジェクタ凹部82aは、部分環状の形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹む部分である。
第2インジェクタ凹部82bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、部分環状の形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。この部分環状の形状は、第2ノズル凸部72bの断面形状に相当するものである。第2インジェクタ凹部82bは、部分環状の形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹む部分である。
図8に示すように、ノズル本体部4に形成された第1ノズル凸部72aがインジェクタ本体部3に形成された第1インジェクタ凹部82aと嵌合し、ノズル本体部4に形成された第2ノズル凸部72bがインジェクタ本体部3に形成された第2インジェクタ凹部82bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、インジェクタ本体部3の第1インジェクタ段差面部3a3と、ノズル本体部4の第1ノズル段差面部4a3とが嵌合部91Bにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、円弧形状の第1内周壁部36aと円弧形状の第2内周壁部36bとを有する。そして、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部72a及び第2ノズル凸部72bを部分環状の形状に形成し、第1インジェクタ凹部82aと、第2インジェクタ凹部82bを部分環状の形状に切り欠いて形成されている。そのため、嵌合部91Bは、ノズル凸部71及びインジェクタ凹部81の径方向の幅を押えることができ、シール部4b及びシール部3bの径方向の幅を広くとることができる。その結果、図2及び図3のシール部4b及びシール部3bを回避する形でノズル本体部4とインジェクタ本体部3との回転方向の移動を拘束することができる。実施の形態2に係る燃料噴射装置は、シール領域を広く確保したい場合に有益である。また、第1ノズル凸部72aの周方向の幅を広く取ることができ、ノズル凸部71の周方向の強度を確保することができる。
また、燃料噴射装置100は、第1ノズル凸部72aと第1インジェクタ凹部82aとが嵌合し、第2ノズル凸部72bと第2インジェクタ凹部82bとが嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転が規制され、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との周方向の移動が拘束される。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。
図9は、本発明の実施の形態2に係る燃料噴射装置の変形例である。図1〜図8の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図9に記載の嵌合部91Cは、第1ノズル凸部72aと、第2ノズル凸部72bとの位置関係をさらに特定するものである。なお、嵌合部91Cは、第1ノズル凸部72aと、第2ノズル凸部72bとの位置関係以外の他の構成については嵌合部91Bと同じ構成である。
ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、ノズル本体部4は、第1外周壁部34aの端部Cと端部Dとを結んだ仮想線の弦CDと、第2外周壁部34bの端部Eと端部Fとを結んだ仮想線の弦EFとが平行ではないように形成されているものである。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、ノズル本体部4は、第1外周壁部34aの端部Cと端部Dとを結んだ仮想線の弦CDと、第2外周壁部34bの端部Eと端部Fとを結んだ仮想線の弦EFとが平行ではないように形成されているため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができない。そのためインジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Aの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る燃料噴射装置を示す断面図である。図10は、実施の形態3に係る燃料噴射装置を説明するために図1を用いるものであり、図1のA−A部分の嵌合部の断面図である。図1〜図9の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態3に係る燃料噴射装置100は、第1ノズル凸部73aと、第2ノズル凸部73bと、第1インジェクタ凹部83aと、第2インジェクタ凹部83bの形状以外の他の構成については実施の形態1に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1ノズル凸部73aと第2ノズル凸部73bとは上述したノズル凸部71に相当し、第1インジェクタ凹部83aと第2インジェクタ凹部83bとは上述したインジェクタ凹部81に相当するものである。以下、嵌合部91Dの構造を説明することで、実施の形態3に係る燃料噴射装置について説明する。
ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部73aの断面形状が、第2ノズル凸部73bの断面形状と異なるように形成されている。図10では、第1ノズル凸部73aの弦CDを形成する第1内壁部35aが、第2ノズル凸部73bの弦EFを形成する第2内壁部35bよりも大きく形成されている。また、第1ノズル凸部73aの弧CDを形成する第1外周壁部34aが、第2ノズル凸部73bの弧EFを形成する第2外周壁部34bよりも大きく形成されている。
また、ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部73aの断面積が、第2ノズル凸部73bの断面積よりも大きく形成されている。
第1インジェクタ凹部83aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部73aに相当する断面形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。第1インジェクタ凹部83aは、第1ノズル凸部73aに相当する断面形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
第2インジェクタ凹部83bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第2ノズル凸部73bに相当する断面形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。第2インジェクタ凹部83bは、第2ノズル凸部73bに相当する断面形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
図10に示すように、第1ノズル凸部73aが第1インジェクタ凹部83aと嵌合し、第2ノズル凸部73bが第2インジェクタ凹部83bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、インジェクタ本体部3の第1インジェクタ段差面部3a3と、ノズル本体部4の第1ノズル段差面部4a3とが嵌合部91Dにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部73aの断面形状が、第2ノズル凸部73bの断面形状と異なるように形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Dの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部73aの断面積が、第2ノズル凸部73bの断面積よりも大きく形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Dの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
図11は、本発明の実施の形態3に係る燃料噴射装置の変形例を示す断面図である。図1〜図10の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態3に係る燃料噴射装置100の変形例は、第1ノズル凸部74aと、第2ノズル凸部74bと、第1インジェクタ凹部84aと、第2インジェクタ凹部84bの形状以外の他の構成については実施の形態2に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1ノズル凸部74aと第2ノズル凸部74bとは上述したノズル凸部71に相当し、第1インジェクタ凹部84aと第2インジェクタ凹部84bとは上述したインジェクタ凹部81に相当するものである。以下、嵌合部91Eの構造を説明することで、実施の形態3に係る燃料噴射装置の変形例について説明する。
ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部74aの断面形状が、第2ノズル凸部74bの断面形状と異なるように形成されている。図11では、第1ノズル凸部74aの弧KLを形成する第1内周壁部36aが、第2ノズル凸部74bの弧MNを形成する第2内周壁部36bよりも大きく形成されている。また、第1ノズル凸部74aの弧CDを形成する第1外周壁部34aが、第2ノズル凸部74bの弧EFを形成する第2外周壁部34bよりも大きく形成されている。
また、ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部74aの断面積が、第2ノズル凸部74bの断面積よりも大きく形成されている。
第1インジェクタ凹部84aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部74aに相当する断面形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。第1インジェクタ凹部84aは、第1ノズル凸部74aに相当する断面形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
第2インジェクタ凹部84bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第2ノズル凸部74bに相当する断面形状をインジェクタ本体部3から切り欠いた部分である。第2インジェクタ凹部84bは、第2ノズル凸部74bに相当する断面形状が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
図11に示すように、第1ノズル凸部74aが第1インジェクタ凹部84aと嵌合し、第2ノズル凸部74bが第2インジェクタ凹部84bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、インジェクタ本体部3の第1インジェクタ段差面部3a3と、ノズル本体部4の第1ノズル段差面部4a3とが嵌合部91Eにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部74aの断面形状が、第2ノズル凸部74bの断面形状と異なるように形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Eの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1ノズル凸部74aの断面積が、第2ノズル凸部74bの断面積よりも大きく形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Eの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る燃料噴射装置は、ノズル本体部に凹部が設けられ、インジェクタ本体部に凸部が設けられたものである。すなわち、実施の形態1に係る燃料噴射装置のノズル本体部と、インジェクタ本体部とに設けられた凸部と凹部とが逆の構成要素に形成されているものである。図1〜図8の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態4に係る燃料噴射装置のノズル本体部の部分斜視図である。ノズル端部4aは、インジェクタ端部3aと接合するノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹む1又は複数のノズル凹部75を形成する。図12では、ノズル接続面部4a1において周方向に第1ノズル凹部75aと、第2ノズル凹部75bとの二つのノズル凹部75が形成されている。なお、図12では、二つのノズル凹部75が記載されているが、ノズル凹部75の形成数は、インジェクタ凸部85の形成数に対応して、1つでもよく2以上の複数であってもよい。ノズル凹部75は、ノズル本体部4を構成する金属部材に対し、例えばフライス盤等の工作機械を用いて切削加工を行うことにより形成される。ノズル凹部75は、ノズル凹部75の底部を形成するノズル底面部4a5とノズル接続面部4a1との間に第2ノズル段差面部4a6を有する。第2ノズル段差面部4a6は、図12では、ノズル本体部4の径方向の外側に面している。なお、第2ノズル段差面部4a6は、インジェクタ凸部85の形状に対応して、1又は複数形成される。
図13は、本発明の実施の形態4に係る燃料噴射装置のインジェクタ本体部の部分斜視図である。インジェクタ端部3aは、ノズル端部4aと接合するインジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に突出した1又は複数のインジェクタ凸部85を有する。図13では、インジェクタ凸部85は、インジェクタ接続面部3a1において、二つのインジェクタ凸部85が第1インジェクタ凸部85aと第2インジェクタ凸部85bとしてノズル本体部の周方向に配置されている。なお、図13では、二つのインジェクタ凸部85が記載されているが、インジェクタ凸部85は、1つでもよく2以上の複数であってもよい。インジェクタ凸部85は、ノズル本体部4を構成する金属部材に対し、例えばフライス盤等の工作機械を用いて切削加工を行うことにより形成される。インジェクタ凸部85は、インジェクタ接続面部3a1と、先端部に位置し後述するノズル底面部4a5と対向するインジェクタ先端面部3a5との間に第2インジェクタ段差面部3a6を有する。第2インジェクタ段差面部3a6は、図13では、インジェクタ本体部3の径方向の内側に面している。なお、第2インジェクタ段差面部3a6は、インジェクタ凸部85の形状に対応して、1又は複数形成される。
図14は、本発明の実施の形態4に係る燃料噴射装置の嵌合部の断面形状を示す図1のA−A断面図である。図14を用いて、インジェクタ凸部85とノズル凹部75との嵌合部91Fの断面形状について更に説明する。
インジェクタ本体部3の第1インジェクタ凸部85aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91Fの外周壁部34の一部を形成する円弧形状の第5外周壁部34eを有する。また、第1インジェクタ凸部85aは、第2インジェクタ段差面部3a6を構成し、第5外周壁部34eの両端と接続する平面形状の第3内壁部35eを有する。図14を用いて更に説明すると、第5外周壁部34eは、嵌合部91Fの外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Oと端部Pとを結ぶ弧OPを形成する部分の壁である。第3内壁部35eは、端部Oと端部Pとを直線的に結ぶ弦OPを形成する部分の壁である。第1インジェクタ凸部85aは、第5外周壁部34eと第3内壁部35eとで囲まれた構造が、図13に示すように、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に突出した部分である。
インジェクタ本体部3の第2インジェクタ凸部85bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91Fの外周壁部34の一部を形成する円弧形状の第6外周壁部34fを有する。また、第2インジェクタ凸部85bは、第2インジェクタ段差面部3a6を構成し、第6外周壁部34fの両端と接続する平面形状の第4内壁部35fを有する。図4を用いて更に説明すると、第6外周壁部34fは、嵌合部91Fの外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部Qと端部Rとを結ぶ弧QRを形成する部分の壁である。第4内壁部35fは、端部Eと端部Fとを直線的に結ぶ弦EFを形成する部分の壁である。第2インジェクタ凸部85bは、第6外周壁部34fと第4内壁部35fとで囲まれた構造が、図13に示すように、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に突出した部分である。
ノズル本体部4は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、嵌合部91Fの2ヶ所の外周壁を形成し、一方の壁の両端に位置する端部Sと端部Uとを結ぶ弧SUを形成する第7外周壁部34gと、他方の壁の両端に位置する端部Tと端部Vとを結ぶ弧TVを形成する第8外周壁部34hとを有する。そして、第1ノズル凹部75aは、第7外周壁部34gの端部Sと第8外周壁部34hの端部Tとを結ぶ弧STと、端部Sと端部Tとを結ぶ弦STとで囲まれた断面形状がノズル本体部4から切り欠かれて形成されている部分である。すなわち、第1ノズル凹部75aは、弧STと弦STとで囲まれた断面形状が、図12に示すように、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹む部分である。弦STの部分を形成する壁は、第2ノズル段差面部4a6を構成する壁である。
第2ノズル凹部75bは、第7外周壁部34gの端部Uと第8外周壁部34hの端部Vとを結ぶ弧UVと、端部Uと端部Vとを結ぶ弦UVとで囲まれた断面形状がノズル本体部4から切り欠かれて形成されている部分である。すなわち、第2ノズル凹部75bは、弧UVと弦UVとで囲まれた断面形状が、図12に示すように、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹む部分である。弦UVの部分を形成する壁は、第2ノズル段差面部4a6を構成する壁である。
図14に示すように、インジェクタ本体部3に形成された第1インジェクタ凸部85aがノズル本体部4に形成された第1ノズル凹部75aと嵌合し、インジェクタ本体部3に形成された第2インジェクタ凸部85bがノズル本体部4に形成された第2ノズル凹部75bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、インジェクタ凸部85とノズル凹部75との嵌合部91Fが円筒形状に形成されている。また、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、ノズル本体部4の第2ノズル段差面部4a6と、インジェクタ本体部3の第2インジェクタ段差面部3a6とが嵌合部91Fにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4のノズル凹部75と、インジェクタ本体部3のインジェクタ凸部85とが嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転が規制され、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との周方向の移動が拘束される。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。ここで、細径化した燃料噴射装置に対して、従来と同様の位置決めピンを用いた場合と比較して説明する。また、インジェクタ本体部3とインジェクタ凸部85とは一体構造であり、インジェクタ凸部85の強度を確保することができる程度に大きくすることができる。また、インジェクタ凸部85とノズル凹部75とは、フライス加工で容易に形成することができるため、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、インジェクタ凸部85とノズル凹部75との嵌合部91Fが円筒形状に形成されている。そのため、ノズルナット5の内部に嵌合部91Fを内包させてノズル本体部4とインジェクタ本体部3とを締結することができるので、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との組み付け工程が容易になる。
また、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、ノズル本体部4の第2ノズル段差面部4a6と、インジェクタ本体部3の第2インジェクタ段差面部3a6とが嵌合部91Fにおいて対向して周方向で接している。そのため、位置決めピンを必要とすることなく、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転を規制することができる。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。
図15は、本発明の実施の形態4に係る燃料噴射装置の変形例である。図1〜図14の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図15に記載の嵌合部91Gは、第1インジェクタ凸部85aと、第2インジェクタ凸部85bとの位置関係をさらに特定するものである。なお、嵌合部91Gは、第1インジェクタ凸部85aと、第2インジェクタ凸部85bとの位置関係以外の他の構成については嵌合部91Fと同じ構成である。
インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第3内壁部35eと第4内壁部35fとが平行ではないように形成されているものである。図7では、第3内壁部35eの縁部を表す弦OPと、第4内壁部35fの縁部を表す弦QRとが平行でないように表されている。
ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第3内壁部35eと第4内壁部35fとが平行ではないように形成されていることで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができない。そのためインジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Gの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
実施の形態5.
図16は、本発明の実施の形態5に係る燃料噴射装置を示す断面図である。図16は、実施の形態5に係る燃料噴射装置を説明するために図1を用いるものであり、図1のA−A部分の嵌合部の断面図である。図1〜図15の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態5に係る燃料噴射装置100は、第1インジェクタ凸部86aと、第2インジェクタ凸部86bと、第1ノズル凹部76aと、第2ノズル凹部76bとの形状以外の他の構成については実施の形態4に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1インジェクタ凸部86aと第2インジェクタ凸部86bとは上述したインジェクタ凸部85に相当し、第1ノズル凹部76aと第2ノズル凹部76bとは上述したノズル凹部75に相当するものである。以下、嵌合部91Hの構造を説明することで、実施の形態5に係る燃料噴射装置について説明する。
第1インジェクタ凸部86aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第5外周壁部34eと、インジェクタ本体部3の径方向の内側に形成された円弧形状の第3内周壁部36eと、第5外周壁部34eと第3内周壁部36eとの端部をそれぞれ接続する第3側壁部37cとを有する。第1インジェクタ凸部86aは、断面形状では、部分環状の形状である。図16を用いて更に詳細に説明すると、第5外周壁部34eは、上述したように嵌合部91Hの外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部C1と端部D1とを結ぶ弧C1D1を形成する部分の壁である。第3内周壁部36eは、円弧形状に形成されており、壁の両端に位置する端部K1と端部L1とを結び弧K1L1を形成するインジェクタ本体部3の径方向の内側の部分の壁である。第3側壁部37cは、第5外周壁部34eの端部C1と第3内周壁部36eの端部K1とを接続する壁である。または、第3側壁部37cは、第5外周壁部34eの端部D1と第3内周壁部36eの端部L1とを接続する壁である。第3側壁部37c及び第3内周壁部36eとは、第2インジェクタ段差面部3a6に該当する。また、第3側壁部37cは、第2ノズル段差面部4a6と嵌合部91Hおいて周方向で接している。第1インジェクタ凸部86aは、第5外周壁部34eと第3内周壁部36eと第3側壁部37cとで囲まれた構造が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に突出した部分である。
第2インジェクタ凸部86bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第6外周壁部34fと、インジェクタ本体部3の径方向の内側に形成された円弧形状の第4内周壁部36fと、第6外周壁部34fと第4内周壁部36fとの端部をそれぞれ接続する第4側壁部37dとを有する。第2インジェクタ凸部86bは、断面形状では、部分環状の形状である。図16を用いて更に詳細に説明すると、第6外周壁部34fは、上述したように嵌合部91Hの外周壁部34を形成する壁の両端に位置する端部E1と端部F1とを結ぶ弧E1F1を形成する部分の壁である。第4内周壁部36fは、円弧形状に形成されており、壁の両端に位置する端部M1と端部N1とを結び弧M1N1を形成するインジェクタ本体部3の径方向の内側の部分の壁である。第4側壁部37dは、第6外周壁部34fの端部E1と第4内周壁部36fの端部M1とを接続する壁である。または、第4側壁部37dは、第6外周壁部34fの端部F1と第4内周壁部36fの端部N1とを接続する壁である。第4側壁部37d及び第4内周壁部36fとは、第2インジェクタ段差面部3a6に該当する。また、第4側壁部37dは、第2ノズル段差面部4a6と嵌合部91Bおいて周方向で接している。第2インジェクタ凸部86bは、第6外周壁部34fと第4内周壁部36fと第4側壁部37dとで囲まれた構造が、インジェクタ接続面部3a1に対して軸方向に突出した部分である。
第1ノズル凹部76aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、部分環状の形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。この部分環状の形状は、第1インジェクタ凸部86aの断面形状に相当するものである。第1ノズル凹部76aは、部分環状の形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹む部分である。
第2ノズル凹部76bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、部分環状の形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。この部分環状の形状は、第2インジェクタ凸部86bの断面形状に相当するものである。第2ノズル凹部76bは、部分環状の形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹む部分である。
図16に示すように、インジェクタ本体部3に形成された第1インジェクタ凸部86aがノズル本体部4に形成された第1ノズル凹部76aと嵌合し、インジェクタ本体部3に形成された第2インジェクタ凸部86bがノズル本体部4に形成された第2ノズル凹部76bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、ノズル本体部4の第2ノズル段差面部4a6と、インジェクタ本体部3の第2インジェクタ段差面部3a6とが嵌合部91Bにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、円弧形状の第3内周壁部36eと円弧形状の第4内周壁部36fとを有する。そして、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部86a及び第2インジェクタ凸部86bを部分環状の形状に形成し、第1ノズル凹部76aと、第2ノズル凹部76bを部分環状の形状に切り欠いて形成されている。そのため、嵌合部91Hは、インジェクタ凸部85及びノズル凹部75の径方向の幅を押えることができ、シール部4b及びシール部3bの径方向の幅を広くとることができる。その結果、図12及び図13のシール部4b及びシール部3bを回避する形でノズル本体部4とインジェクタ本体部3との回転方向の移動を拘束することができる。実施の形態5に係る燃料噴射装置は、シール領域を広く確保したい場合に有益である。また、第1インジェクタ凸部86aの周方向の幅を広く取ることができ、インジェクタ凸部85の周方向の強度を確保することができる。
また、燃料噴射装置100は、第1インジェクタ凸部86aと第1ノズル凹部76aとが嵌合し、第2インジェクタ凸部86bと第2ノズル凹部76bとが嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との間の周方向の相対回転が規制され、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3との周方向の移動が拘束される。その結果、ノズル本体部4の先端部に設けられた燃料噴射孔2の角度位相は規定され、適切な位置に燃料を噴射することができる。
図17は、本発明の実施の形態5に係る燃料噴射装置の変形例である。図1〜図16の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図17に記載の嵌合部91Iは、第1インジェクタ凸部86aと、第2インジェクタ凸部86bとの位置関係をさらに特定するものである。なお、嵌合部91Iは、第1インジェクタ凸部86aと、第2インジェクタ凸部86bとの位置関係以外の他の構成については嵌合部91Hと同じ構成である。
ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、インジェクタ本体部3は、第5外周壁部34eの端部C1と端部D1とを結んだ仮想線の弦C1D1と、第6外周壁部34fの端部E1と端部F1とを結んだ仮想線の弦E1F1とが平行ではないように形成されているものである。
以上のように、燃料噴射装置100は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、インジェクタ本体部3は、第5外周壁部34eの端部C1と端部D1とを結んだ仮想線の弦C1D1と、第6外周壁部34fの端部E1と端部F1とを結んだ仮想線の弦E1F1とが平行ではないように形成されているため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができない。そのためインジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Iの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
実施の形態6.
図18は、本発明の実施の形態6に係る燃料噴射装置を示す断面図である。図18は、実施の形態6に係る燃料噴射装置を説明するために図1を用いるものであり、図1のA−A部分の嵌合部の断面図である。図1〜図17の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態6に係る燃料噴射装置100は、第1インジェクタ凸部87aと、第2インジェクタ凸部87bと、第1ノズル凹部77aと、第2ノズル凹部77bの形状以外の他の構成については実施の形態4に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1インジェクタ凸部87aと第2インジェクタ凸部87bとは上述したインジェクタ凸部85に相当し、第1ノズル凹部77aと第2ノズル凹部77bとは上述したノズル凹部75に相当するものである。以下、嵌合部91Jの構造を説明することで、実施の形態6に係る燃料噴射装置について説明する。
インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部87aの断面形状が、第2インジェクタ凸部87bの断面形状と異なるように形成されている。図18では、第1インジェクタ凸部87aの弦OPを形成する第3内壁部35eが、第2インジェクタ凸部87bの弦QRを形成する第4内壁部35fよりも大きく形成されている。また、第1インジェクタ凸部87aの弧OPを形成する第5外周壁部34eが、第2インジェクタ凸部87bの弧QRを形成する第6外周壁部34fよりも大きく形成されている。
また、インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部87aの断面積が、第2インジェクタ凸部87bの断面積よりも大きく形成されている。
第1ノズル凹部77aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部87aに相当する断面形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。第1ノズル凹部77aは、第1インジェクタ凸部87aに相当する断面形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
第2ノズル凹部77bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第2インジェクタ凸部87bに相当する断面形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。第2ノズル凹部77bは、第2インジェクタ凸部87bに相当する断面形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
図18に示すように、第1インジェクタ凸部87aが第1ノズル凹部77aと嵌合し、第2インジェクタ凸部87bが第2ノズル凹部77bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、ノズル本体部4の第2ノズル段差面部4a6と、インジェクタ本体部3の第2インジェクタ段差面部3a6とが嵌合部91Jにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、インジェクタ本体部3が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部87aの断面形状が、第2インジェクタ凸部87bの断面形状と異なるように形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Jの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、インジェクタ本体部3が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部87aの断面積が、第2インジェクタ凸部87bの断面積よりも大きく形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Jの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
図19は、本発明の実施の形態6に係る燃料噴射装置の変形例を示す断面図である。図1〜図18の燃料噴射装置と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、実施の形態6に係る燃料噴射装置100の変形例は、第1インジェクタ凸部88aと、第2インジェクタ凸部88bと、第1ノズル凹部78aと、第2ノズル凹部78bの形状以外の他の構成については実施の形態5に係る燃料噴射装置100と同じ構成である。なお、第1インジェクタ凸部88aと第2インジェクタ凸部88bとは上述したインジェクタ凸部85に相当し、第1ノズル凹部78aと第2ノズル凹部78bとは上述したノズル凹部75に相当するものである。以下、嵌合部91Kの構造を説明することで、実施の形態6に係る燃料噴射装置の変形例について説明する。
インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部88aの断面形状が、第2インジェクタ凸部88bの断面形状と異なるように形成されている。図19では、第1インジェクタ凸部88aの弧K1L1を形成する第3内周壁部36eが、第2インジェクタ凸部88bの弧M1N1を形成する第4内周壁部36fよりも大きく形成されている。また、第1インジェクタ凸部88aの弧C1D1を形成する第5外周壁部34eが、第2インジェクタ凸部88bの弧E1F1を形成する第6外周壁部34fよりも大きく形成されている。
また、インジェクタ本体部3は、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部88aの断面積が、第2インジェクタ凸部88bの断面積よりも大きく形成されている。
第1ノズル凹部78aは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部88aに相当する断面形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。第1ノズル凹部78aは、第1インジェクタ凸部88aに相当する断面形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
第2ノズル凹部78bは、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第2インジェクタ凸部88bに相当する断面形状をノズル本体部4から切り欠いた部分である。第2ノズル凹部78bは、第2インジェクタ凸部88bに相当する断面形状が、ノズル接続面部4a1に対して軸方向に凹んだ部分である。
図19に示すように、第1インジェクタ凸部88aが第1ノズル凹部78aと嵌合し、第2インジェクタ凸部88bが第2ノズル凹部78bと嵌合することで、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合されている。そして、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とが結合された状態では、ノズル本体部4の第2ノズル段差面部4a6と、インジェクタ本体部3の第2インジェクタ段差面部3a6とが嵌合部91Kにおいて対向して周方向で接している。
以上のように、燃料噴射装置100は、インジェクタ本体部3が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部88aの断面形状が、第2インジェクタ凸部88bの断面形状と異なるように形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Kの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
また、燃料噴射装置100は、インジェクタ本体部3が、ノズル本体部4及びインジェクタ本体部3の軸方向に垂直な断面において、第1インジェクタ凸部88aの断面積が、第2インジェクタ凸部88bの断面積よりも大きく形成されている。そのため、ノズル本体部4とインジェクタ本体部3とは正しい組み付け方向でないと組み付けることができず、インジェクタ本体部3と、ノズル本体部4とを組み付ける際に、組み付け方向を誤る事がない。その結果、嵌合部91Kの構成を有する燃料噴射装置100は、迅速且つ適確にインジェクタ本体部3とノズル本体部4とを組み付けることができ、燃料噴射装置100の製作工程を簡素化することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記実施の形態1〜3に限定されない。例えば、本発明の実施の形態では、ノズル本体部4に形成されているノズル凸部71は、第1ノズル凸部71a及び第2ノズル凸部71bの二つである。しかし、ノズル凸部71は、二つに限定するものではなく、第1ノズル凸部71a及び第2ノズル凸部71bにさらにノズル凸部71が追加され、ノズル凸部71が3つ以上形成されていてもよい。その場合、ノズル凸部71の数に対応して、インジェクタ凹部81が形成される。また、ノズル凸部71とインジェクタ凹部81とを1つずつ形成して嵌合させるものであってもよい。同様に、インジェクタ凸部85の形成数が、1つ又は2以上の複数であってもよい。その場合、インジェクタ凸部85の数に対応して、ノズル凹部75が形成される。