JP2018177549A - 薄層化黒鉛複合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機樹脂に添加した場合に、破断強度等の力学特性を顕著に向上させることができる、薄層化黒鉛複合体を提供する。【解決手段】薄層化黒鉛と、該薄層化黒鉛に付着した1種又は2種以上の有機化合物と、を有する薄層化黒鉛複合体であって、薄層化黒鉛複合体は、非三級アミノ基及びカルボキシ基を有しており、これらの基は同一又は異なる有機化合物が備えるものである、薄層化黒鉛複合体。【選択図】なし
Description
本発明は、薄層化黒鉛複合体に関する。
黒鉛は、平面状の炭素原子層が積層した層状化合物であるが、層の一部を取り出すことによって薄層化黒鉛を得ることができる。薄層化黒鉛を得るために黒鉛を剥離する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法があり、同公報によれば、ポリマーが黒鉛に固定されている組成物を用意し、このポリマーを所定の酸素濃度で熱分解させて、ポリマーの一部を残存させ黒鉛を剥離することで、薄片化黒鉛・樹脂複合材料を製造する。
薄層化黒鉛は、力学的又は化学的な特性を向上させることを目的として、有機樹脂に添加させる場合がある。しかし、特許文献1に記載されたような公知の材料では、特性の向上に限界があった。
そこで本発明の目的は、有機樹脂に添加した場合に、破断強度等の力学特性を顕著に向上させることができる、薄層化黒鉛複合体を提供することにある。
本発明は、薄層化黒鉛と、薄層化黒鉛に付着した1種又は2種以上の有機化合物と、を有する薄層化黒鉛複合体であって、薄層化黒鉛複合体は、非三級アミノ基及びカルボキシ基を有しており、これらの基は同一又は異なる前記有機化合物が備えるものである、薄層化黒鉛複合体を提供する。薄層化黒鉛等の炭素材料は、強靭性、低摩擦、及び化学的安定性に優れるため、従来、有機樹脂、金属、又は無機材料における機械特性若しくは耐熱性の向上剤、又は潤滑剤等として使用されてきた。本発明の薄層化黒鉛複合体は従来のものとは異なり、1種又は2種以上の有機化合物が付着したものであり、また特定の官能基を有するため、有機樹脂に添加した場合に破断強度等の力学特性を顕著に向上させることができる。
なお、薄層化黒鉛複合体を有機樹脂に添加する際には、微粉化させることが好ましい。薄層化黒鉛複合体の微粉末を得る方法としては、例えば、薄層化黒鉛複合体を有機溶剤に分散させる方法があり、薄層化黒鉛複合体を有機溶剤に分散させるためには、超音波照射を行う方法が考えられる。しかし、この方法においては長時間の超音波照射が必要であることに加え、薄層化黒鉛複合体の分散状態を長時間保つことが困難であり、再凝集が起こりやすい。これに対して、本発明の薄層化黒鉛複合体は、実用上十分な、有機溶剤に対する分散性を発揮する。
薄層化黒鉛は、好ましくは、1〜10層の平面状の炭素原子層で構成されている。これにより、有機樹脂に添加した場合に、少量の添加量でも破断強度を向上させることができる。
薄層化黒鉛複合体に対する、有機化合物の質量比は、好ましくは0.1質量%以上である。これにより、有機樹脂に添加した場合に、破断強度を更に向上させることができる。
薄層化黒鉛に付着する有機化合物は、好ましくはN−カルボキシアルキルアミジン骨格を有する化合物である。これにより、有機溶剤への分散性が向上するため、薄層化黒鉛複合体の微粉末を効率よく製造することができる。また、得られた微粉末を有機樹脂に添加した場合に、有機樹脂の破断強度を更に向上させることができる。
本発明によれば、有機樹脂に添加した場合に、破断強度等の力学特性を顕著に向上させることができる、薄層化黒鉛複合体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る薄層化黒鉛複合体は、黒鉛を薄層化させた薄層化黒鉛であり、以下に詳述する特定の有機化合物が付着したものである。
黒鉛は、炭素原子がSP2結合で六角形格子状に平面状に繋がった単層が積層した構造を有しており、積層数としては、数百〜数千層が一般的である。本明細書において、黒鉛にはグラフェンが含まれる。上記単層が1層からなるものがグラフェンと呼ばれているが、単層が数層〜100層程度のものも、グラフェンと慣用的に呼ばれる場合もある。
黒鉛は、α黒鉛であってもβ黒鉛であってもよい。また、黒鉛の層間の空隙には電子供与体又は電子受容体元素がインタカレートされていてもよい。適用可能な黒鉛を例示すれば、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、人造黒鉛、又は炭素原子層の層間に硫酸等がインタカレートした膨張黒鉛が挙げられる。
黒鉛の平均粒径は、0.05μm以上であってよく、せん断力が印加できる大きさであれば平均粒径の上限は特に制限されない。ただし、薄層化後の黒鉛複合体が、有機溶剤、有機樹脂へ微分散しやすくなるように、300μm以下であることが好ましい。平均粒径は、レーザ回折・散乱法によって測定される。
薄層化黒鉛は、黒鉛から層の一部を取り出したものをいい、薄層化前の黒鉛の積層数未満、1層以上であればよい。薄層化黒鉛は、薄層化前の黒鉛の総数の1/10以下の層数を有することが好ましく、上述した単層が1〜数十層になるように薄層化することが好ましく、10層以下とすることがより好ましい。
本実施形態において、薄層化黒鉛に有機化合物が付着して薄層化黒鉛複合体を成しているが、「有機化合物が付着した薄層化黒鉛複合体」とは、有機化合物が固定化された薄層化黒鉛をいう。固定化された形態としては、有機化合物が物理的な相互作用により薄層化黒鉛に固着している形態、有機化合物が化学的反応により薄層化黒鉛に結合している形態が挙げられる。
薄層化黒鉛複合体は、非三級アミノ基及びカルボキシ基を有しており、これらの基は同一又は異なる有機化合物が備えるものである。すなわち、薄層化黒鉛複合体は、付着している有機化合物に由来する非三級アミノ基及びカルボキシ基を有している。この場合において、付着している1種の有機化合物が非三級アミノ基とカルボキシ基の双方を有していてもよいし、付着している有機化合物が2種以上であり、その中の1種が非三級アミノ基を有しており、他の種がカルボキシ基を有していてもよい。なお、非三級アミノ基とは、一級アミノ基(第一級アミンに由来する基(N−置換体))又は二級アミノ基(第二級アミンに由来する基(N−置換体))をいう。
有機化合物が1種である場合、有機化合物は、非三級アミノ基とカルボキシ基とを有するが、このような有機化合物としては、2−2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
有機化合物が2種以上である場合、少なくとも1種の有機化合物は非三級アミノ基を有し、他の少なくとも1種の有機化合物はカルボキシ基を有する。非三級アミノ基を有する化合物は、具体的には、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド等であってよい。カルボキシ基を有する化合物は、具体的には、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘサンカルボキシレート)、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等であってよい。
有機化合物は、好ましくは、N−カルボキシアルキルアミジン骨格を有する化合物である。これにより、本実施形態に係る薄層化黒鉛複合体を有機樹脂に添加したときに、有機樹脂の破断強度を更に向上させることができる。N−カルボキシアルキルアミジン骨格を有する化合物は、具体的には、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレード等であってよい。
薄層化黒鉛複合体に対する、有機化合物の質量比は、できる限り大きい方がよく、薄層化黒鉛複合体全量に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。
本実施形態に係る薄層化黒鉛複合体は、例えば、薄層化前の黒鉛と、有機化合物とを分散媒に分散させて、分散液を調製し、この分散液にせん断力を付与することにより、有機化合物を黒鉛に付着させながら、黒鉛の薄層化を行うことで製造可能である。
黒鉛と有機化合物とを含む分散液を構成する分散媒は、特に制限されない。水、NMP、ポリエチレングリコールは、一般的な溶媒で入手しやすく、安価なため好ましい。また、分散媒に分散剤又は増粘材を添加すると、微分散がしやすくなるため好ましい。
分散液中の黒鉛の含有量は、分散液全体にせん断力が付与される粘度となる含有量であれば特に限定されないが、分散液全量を基準として、好ましくは70質量%以下である。70質量%以下であれば、せん断力を十分に付与することができる。分散液中の有機化合物の含有量は、特に制限されず、多いほど好ましい。
分散液中の薄層化黒鉛に対する、有機化合物のモル比は、できる限り大きい方がよく、薄層化黒鉛1モルに対して好ましくは0.1モル%以上であり、より好ましくは1モル%以上であり、更に好ましくは5モル%以上である。
せん断力の付与は、対向する2の部材間に分散液を流通させた状態で、部材間の間隔が保持されるようにして、部材の少なくとも一つを移動させることにより付与されるとよい。部材の形状は限定されず、板状であってよいし、円筒状であってもよい。板状部材を用いる場合は、例えば一方の板状部材を他の板状部材と所定の間隔を設けて並行に配置し、これらの一方を並行方向に移動させるか、両方を相互に反対方向に移動させればよい。円筒状部材を用いる場合は、一方の円筒状部材を他の円筒状部材の内部に同心円状に所定の間隔を設けて配置させ、これらの一方を回転させるか、両方を相互に反対方向に回転させればよい。2の部材間の間隔は、せん断力を付与する黒鉛の大きさ以上であって、且つ所望のせん弾力が印加されれば特に限定されないが、間隔が小さいほど部材の移動に伴い発生するせん弾力が大きくなるため好ましい。2の部材間の間隔は、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは2mm以下であり、更に好ましくは1mm以下である。
2の部材はいずれも非多孔体であってよいが、2の部材のうちの一つは、貫通孔が形成された多孔体とすることができる。多孔体に形成された貫通孔に分散液を通過させることにより、2の部材間に分散液を提供し、その直後に2の部材間に存在する分散液にせん断力を付与することにより、せん断応力を高めることができる。多孔体の形状は限定されず、板状多孔体であってよく、円筒状多孔体であってもよい。
部材が板状多孔体である場合、この板状多孔体と板状非多孔体とを所定の間隔を保って平行に配置し、板状多孔体の貫通孔を通して、2つの板状体の間の間隙に分散液を提供する。間隙に分散液が提供されると同時に、2つの板状体の変位が生じるために、分散体に対してせん断力が付与される。なお、せん断力を更に高めるために、板状非多孔体は、板状多孔体に対向する面に凹凸が形成されていてもよい。
部材が円筒状多孔体である場合、この円筒状多孔体の外側に、円筒状非多孔体を配置する。このとき、円筒断面が同心円状になるように2の部材を配置する。そして、円筒状多孔体の内面側から、円筒状非多孔体に対向する面側に向けて、貫通孔を通して分散液を提供し、両部材の間の間隙に分散液を存在させた状態で、2つの部材のうちの少なくとも一方を回転させて、分散体に対してせん断力を付与する。なお、せん断力を更に高めるために、円筒状非多孔体は、円筒状多孔体に対向する面に凹凸が形成されていてもよい。
上記いずれの場合も、多孔体の貫通孔に分散液を通過させた直後に、通過方向に略垂直にせん断力が付与される。なお、通過方向に対して90°±5°程度であれば略垂直と見なすことができる。
2の部材をいずれも非多孔体とし、この部材間に分散液を流通させながら、部材間の間隔が保持されるようにして、部材の少なくとも一つを移動させることにより、分散液にせん断力を付与してもよい。相対的に変位する2つの部材の間の間隙に分散体を流通させることから、高いせん断力が分散液に付与される。この場合において、2つの板状非多孔体を並行に配して、せん断力の付与を行っても、2つの円筒状非多孔体を、円筒断面が同心円状になるように配置して、せん断力の付与を行ってもよい。2つの部材の間の間隙への分散体の導入は、部材の端面から行うことができる。
2つの円筒状非多孔体を用いる装置としては、例えば、Holl Partners LLC製のHoll−Reactorが挙げられ、円筒状多孔体と円筒状非多孔体を用いる装置としては、プライミクス株式会社製のフィルミックス30型が挙げられる。これらは一般的に薄膜旋回型高速ミキサーと呼ばれる。Holl−Reactorは、中空円筒状の撹拌槽内に所定の間隔を設けて非多孔体の円筒状部材を有している。分散液が撹拌槽と円筒状部材との間に投入され、円筒状部材が高速回転することにより、分散液の表面と撹拌槽の内面との相対速度差によるずれによって、分散液にせん断力が付与される。また、フィルミックス30型は、撹拌槽内に、多孔体として、貫通孔が形成されている円筒部を有している。分散液が円筒部の内側より投入され、円筒部が高速回転すると、遠心力により円筒部の内側から外側へ分散液が押し付けられて、貫通孔を通過する。貫通孔を通過した分散液は撹拌槽の内面に密着しながら回転するが、このとき、分散液の表面と撹拌槽の内面との相対速度差によるずれによって、貫通孔の通過方向に略垂直にせん断力が付与される。
薄膜旋回型高速ミキサーを使用する場合のずり速度は、好ましくは10m/s以上、より好ましくは30m/s以上、更に好ましくは50m/s以上であってよい。撹拌速度が20m/s以上であると、黒鉛の薄層化を効率よく行うことができる。ずり速度の上限は特に限定されないが、高速になるほど発熱が激しくなり、溶媒の沸点を超えてくるため、装置の冷却能力に応じて適宜設定される。
分散液は、せん断力の付与の際に流動するエネルギーが熱エネルギーに変換されるため、加熱されてよい。分散液が加熱されることにより、有機化合物がラジカルを発生させて、黒鉛に更に付着しやすくなる。分散液はせん断力の付与前に予め加熱されていてもよい。
分散液の処理温度は、使用する有機化合物の半減期温度に応じて適宜設定される。ラジカル発生反応を効率よく生じさせるためには、10時間半減期温度の5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることが更に好ましい。また、分散液の処理温度は、10時間半減期温度の60度以下で処理することが好ましい。処理温度が60℃以下であれば、副反応が起こりにくくなり、且つ、急激な発泡が抑制される。
分散液のせん断応力は、好ましくは5Pa以上であり、より好ましくは30Pa以上であり、更に好ましくは100Pa以上であり、特に好ましくは500Pa以上である。なお、せん断応力(F)は、以下の式(1)により算出することができる。
F=η×v÷t (1)
[式(1)中、ηはせん断流粘度であり、分散液の粘度(Pa・s)を表す。vは分散液のずり速度(m/s)、tはせん断力付与時の分散液の厚み(m)を表す。]
F=η×v÷t (1)
[式(1)中、ηはせん断流粘度であり、分散液の粘度(Pa・s)を表す。vは分散液のずり速度(m/s)、tはせん断力付与時の分散液の厚み(m)を表す。]
薄層化黒鉛複合体の微粉末を得るために、薄層化黒鉛複合体を有機溶剤と共存させて超音波を照射してもよい。すなわち、薄層化黒鉛複合体を有機溶剤中に分散させた後、超音波を照射し、その上澄み液を採取し、有機溶剤を揮発させることで、薄層化黒鉛複合体の微粉末を得ることができる。
有機溶剤は、上述した分散媒と同一でも異なっていてもよく、NMP等の極性溶媒、又は、トルエン等の非極性溶媒であってよい。
本実施形態に係る薄層化黒鉛複合体は、薄層化された黒鉛に特定の有機化合物が付着しているため、有機樹脂に添加した際に有機樹脂の破断強度を向上させることが可能となる。
本実施形態に係る薄層化黒鉛複合体は、例えば、有機樹脂における機械特性又は耐熱性の向上剤、又は潤滑剤等として使用することができる。有機樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂等であってよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
黒鉛材料としての天然鱗片状黒鉛(XD100、平均粒径250μm、伊藤黒鉛工業株式会社製)0.15gと、分子中に一級アミノ基と二級アミノ基、及びカルボキシ基とを含む2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬株式会社製)1.7gとを、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP、室温粘度約2mPa・s)10gに分散させて分散液を調製した。分散液を薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス30型、プライミクス株式会社製)に投入し、処理温度90℃にて30分間撹拌した。このときのせん断応力は、15MPa(処理速度10m/s、分散液厚み2mm)であった。処理後の分散液を、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて、300mLの水で洗浄し、その後更に100mLのアセトンで洗浄・ろ過した。残渣を70℃で3時間乾燥させることにより、薄層化黒鉛複合体を得た。
黒鉛材料としての天然鱗片状黒鉛(XD100、平均粒径250μm、伊藤黒鉛工業株式会社製)0.15gと、分子中に一級アミノ基と二級アミノ基、及びカルボキシ基とを含む2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬株式会社製)1.7gとを、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP、室温粘度約2mPa・s)10gに分散させて分散液を調製した。分散液を薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス30型、プライミクス株式会社製)に投入し、処理温度90℃にて30分間撹拌した。このときのせん断応力は、15MPa(処理速度10m/s、分散液厚み2mm)であった。処理後の分散液を、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて、300mLの水で洗浄し、その後更に100mLのアセトンで洗浄・ろ過した。残渣を70℃で3時間乾燥させることにより、薄層化黒鉛複合体を得た。
(実施例2)
実施例1で得た薄層化黒鉛複合体0.1gを、NMPに分散させて、42kHzで30分間超音波を照射した。超音波照射後、上澄み液を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いてろ過し、残渣を70℃で3時間乾燥させることにより、薄層化黒鉛複合体の微粉末を得た。
実施例1で得た薄層化黒鉛複合体0.1gを、NMPに分散させて、42kHzで30分間超音波を照射した。超音波照射後、上澄み液を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いてろ過し、残渣を70℃で3時間乾燥させることにより、薄層化黒鉛複合体の微粉末を得た。
(実施例3)
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、分子中に一級アミノ基を含む2,2’アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドを0.6gと、分子中にカルボン酸基を含む4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)0.6gに変更した以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、分子中に一級アミノ基を含む2,2’アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドを0.6gと、分子中にカルボン酸基を含む4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)0.6gに変更した以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
(実施例4)
実施例1において、鱗片状黒鉛に代えて、グラフェン(GNH−XZ、グラフェンプラットフォーム株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして薄層化黒鉛複合体を得た。
実施例1において、鱗片状黒鉛に代えて、グラフェン(GNH−XZ、グラフェンプラットフォーム株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして薄層化黒鉛複合体を得た。
(比較例1〜2)
比較例1〜2においては、実施例1、4で用いた黒鉛材料を、そのまま用いた。
比較例1〜2においては、実施例1、4で用いた黒鉛材料を、そのまま用いた。
(比較例3)
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、2,2’アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド0.6gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、2,2’アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド0.6gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
(比較例4)
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)0.6gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
実施例1において、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]に代えて、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)0.6gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、薄層化黒鉛複合体を得た。
(積層数の測定)
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、X線回折装置(EMPYREAN、PANALYTICAL社製)を用いて、広角X線回折法測定から求めた結晶子サイズと面間隔から積層数を算出した。具体的には、層構造に対応する002面に対応する2θピーク(26°付近)から面間隔を、以下の式(2)に示すシェラーの式及び式(3)により結晶子サイズを求めた。結果を表1及び表2に示す。
結晶子サイズ(nm)=Kλ/βcosθ (2)
β2=βe2−βo2 (3)
[式(2)及び式(3)中、K=0.9、λ=0.15406、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅の補正値(0.07°)を表す。]
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、X線回折装置(EMPYREAN、PANALYTICAL社製)を用いて、広角X線回折法測定から求めた結晶子サイズと面間隔から積層数を算出した。具体的には、層構造に対応する002面に対応する2θピーク(26°付近)から面間隔を、以下の式(2)に示すシェラーの式及び式(3)により結晶子サイズを求めた。結果を表1及び表2に示す。
結晶子サイズ(nm)=Kλ/βcosθ (2)
β2=βe2−βo2 (3)
[式(2)及び式(3)中、K=0.9、λ=0.15406、βe:回折ピークの半値幅、βo:半値幅の補正値(0.07°)を表す。]
(付着化合物における官能基の確認)
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、薄層化黒鉛に付着している化合物の官能基を同定するために、TOF.SIMS5(ION−TOF社製)を用いてTOF−SIMS測定を行った。測定において、一次イオンにBi3 ++を用い、正及び負二次イオンの検出を行った。結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、薄層化黒鉛に付着している化合物の官能基を同定するために、TOF.SIMS5(ION−TOF社製)を用いてTOF−SIMS測定を行った。測定において、一次イオンにBi3 ++を用い、正及び負二次イオンの検出を行った。結果を表1及び表2に示す。
(付着量の評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、熱重量測定(TG−DTA)により有機化合物の付着量(薄層化黒鉛複合体に対する、有機化合物の質量比)を評価した。有機化合物の付着量は、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下、温度範囲30〜800℃の条件で熱重量測定を行い、以下の式(4)により付着量を算出した。結果を表1及び表2に示す。
付着量(質量%)=(B−A)/B×100 (4)
[式(4)中、Aは薄層化黒鉛の600℃における熱分解後の残存率を、Bは薄層化前の黒鉛の600℃における熱分解後の残存率を示す。]
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料について、熱重量測定(TG−DTA)により有機化合物の付着量(薄層化黒鉛複合体に対する、有機化合物の質量比)を評価した。有機化合物の付着量は、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下、温度範囲30〜800℃の条件で熱重量測定を行い、以下の式(4)により付着量を算出した。結果を表1及び表2に示す。
付着量(質量%)=(B−A)/B×100 (4)
[式(4)中、Aは薄層化黒鉛の600℃における熱分解後の残存率を、Bは薄層化前の黒鉛の600℃における熱分解後の残存率を示す。]
(有機樹脂に添加した際の破断強度評価)
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料を、エポキシ樹脂(エピコート828、三菱化学株式会社製)に、含有量が10質量%、30質量%、50質量%となるように分散させて、黒鉛分散エポキシ樹脂を調製した。この黒鉛分散エポキシ樹脂10gと、フェノキシ樹脂(PKHC、巴工業株式会社製)の50%メチルエチルケトン溶液20gと、2−エチル4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製)0.5gとを混合し、50μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルム(デュポン株式会社製)上に乾燥後の厚みが30μmとなるようにバーコーターにて塗工し、70℃で10分間乾燥させた。その後、130℃で1時間加熱することによりエポキシ樹脂を硬化させてから、ポリテトラフルオロエチレン製フィルムから剥離し、厚み30μmの、5質量%、15質量%、25質量%黒鉛分散エポキシ樹脂フィルムを得た。
また、実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料を、30%ポリアミドイミド溶液(HPC−5000、日立化成株式会社製)に1.5質量%、4.5質量%、7.5質量%となるように分散させて、50μmのPTFE製フィルム上に乾燥後の厚み30μmとなるようにバーコーターにて塗工し、150℃で1時間加熱してから、ポリテトラフルオロエチレン製フィルムから剥離し、厚み30μmの、5質量%、15質量%、25質量%黒鉛分散ポリアミドフィルムを得た。
作製した黒鉛分散エポキシ樹脂フィルム又は黒鉛分散ポリアミドフィルムを、1cm×5cmに裁断し、小型卓上試験機(EZ−S、株式会社島津製作所)にて、それぞれ5回ずつ破断強度を測定し、その平均値を破断強度とした。結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料を、エポキシ樹脂(エピコート828、三菱化学株式会社製)に、含有量が10質量%、30質量%、50質量%となるように分散させて、黒鉛分散エポキシ樹脂を調製した。この黒鉛分散エポキシ樹脂10gと、フェノキシ樹脂(PKHC、巴工業株式会社製)の50%メチルエチルケトン溶液20gと、2−エチル4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製)0.5gとを混合し、50μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルム(デュポン株式会社製)上に乾燥後の厚みが30μmとなるようにバーコーターにて塗工し、70℃で10分間乾燥させた。その後、130℃で1時間加熱することによりエポキシ樹脂を硬化させてから、ポリテトラフルオロエチレン製フィルムから剥離し、厚み30μmの、5質量%、15質量%、25質量%黒鉛分散エポキシ樹脂フィルムを得た。
また、実施例1〜4及び比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料を、30%ポリアミドイミド溶液(HPC−5000、日立化成株式会社製)に1.5質量%、4.5質量%、7.5質量%となるように分散させて、50μmのPTFE製フィルム上に乾燥後の厚み30μmとなるようにバーコーターにて塗工し、150℃で1時間加熱してから、ポリテトラフルオロエチレン製フィルムから剥離し、厚み30μmの、5質量%、15質量%、25質量%黒鉛分散ポリアミドフィルムを得た。
作製した黒鉛分散エポキシ樹脂フィルム又は黒鉛分散ポリアミドフィルムを、1cm×5cmに裁断し、小型卓上試験機(EZ−S、株式会社島津製作所)にて、それぞれ5回ずつ破断強度を測定し、その平均値を破断強度とした。結果を表1及び表2に示す。
表1に示すように、実施例1〜4の薄層化黒鉛複合体を有機樹脂に添加した場合、比較例1〜4の薄層化黒鉛複合体又は黒鉛材料を添加した場合に比べて、有機樹脂の破断強度が向上した。
本発明は黒鉛を用いた薄層化黒鉛複合体に関するものであり、有機溶剤、有機樹脂等に分散させることにより、種々の製品に利用することができる。
Claims (4)
- 薄層化黒鉛と、該薄層化黒鉛に付着した1種又は2種以上の有機化合物と、を有する薄層化黒鉛複合体であって、
前記薄層化黒鉛複合体は、非三級アミノ基及びカルボキシ基を有しており、これらの基は同一又は異なる前記有機化合物が備えるものである、薄層化黒鉛複合体。 - 前記薄層化黒鉛は、1〜10層の平面状の炭素原子層で構成されている、請求項1に記載の薄層化黒鉛複合体。
- 前記薄層化黒鉛複合体に対する、前記有機化合物の質量比は0.1質量%以上である、請求項1又は2に記載の薄層化黒鉛複合体。
- 前記有機化合物は、N−カルボキシアルキルアミジン骨格を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄層化黒鉛複合体。
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