JP2018175456A - 医療用滅菌カバー、および医療用観察装置 - Google Patents

医療用滅菌カバー、および医療用観察装置 Download PDF

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Abstract

【課題】医療従事者の滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバーに触れた場合に、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することが可能な、医療用滅菌カバー、および医療用観察装置を提供する。【解決手段】医療用観察装置を被覆して医療用観察装置の滅菌状態を確保する被覆部材が積層された積層構造と、層単位で積層されている被覆部材を剥離する剥離部と、を有する医療用滅菌カバーが、提供される。【選択図】図4

Description

本開示は、医療用滅菌カバー、および医療用観察装置に関する。
近年、医療現場においては、例えば脳神経外科手術などの微細手術(マイクロサージャリ)をサポートするために、患部などの観察対象を拡大観察することが可能な医療用観察装置が用いられる場合がある。医療用観察装置としては、例えば、光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置と、電子撮像式の顕微鏡として機能する撮像デバイスを備える医療用観察装置とが挙げられる。以下では、上記光学式の顕微鏡を備える医療用観察装置を「光学式の医療用観察装置」と示す。また、以下では、上記撮像デバイスを備える医療用観察装置を、「電子撮像式の医療用観察装置」と示す。
また、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置では、滅菌状態を確保するために、ドレープと呼ばれる医療用滅菌カバーがかけられた状態で使用される場合が多い。このような中、医療用滅菌カバーに関する技術が開発されている。上記技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。
特開2016−7233号公報
上述したように、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置では、滅菌状態を確保するために医療用滅菌カバーがかけられた状態で使用される場合が多い。光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置において、医療用滅菌カバーで被覆されている部分は、滅菌状態が確保されている領域(以下、「滅菌領域」と示す。)となる。
医療従事者の顔や頭などの滅菌状態が確保されていない部位が、例えば特許文献1に記載の医療用滅菌カバーのような既存の医療用滅菌カバーで被覆されている部分に触れてしまった場合、医療従事者は、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置を、新しい医療用滅菌カバーで覆い直す必要がある。上記のような新しい医療用滅菌カバーで覆い直す事態が生じると、一時的に手術が中断することとなり、手術効率の低下を招く。また、新しい医療用滅菌カバーが使用されることによって、コストの増大が懸念される。
本開示では、医療従事者の滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバーに触れた場合に、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することが可能な、新規かつ改良された医療用滅菌カバー、および医療用観察装置を提案する。
本開示によれば、医療用観察装置を被覆して上記医療用観察装置の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、層単位で、積層されている上記被覆部材を剥離する剥離部と、を有する、医療用滅菌カバーが、提供される。
また、本開示によれば、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、上記アームにより支持される撮像デバイスと、医療用滅菌カバーと、を備え、上記医療用滅菌カバーは、上記撮像デバイスと上記アームの少なくとも一部分とを被覆して、被覆されている部分の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、層単位で、積層されている上記被覆部材を剥離する剥離部と、を有する、医療用観察装置が、提供される。
本開示によれば、医療従事者の滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバーに触れた場合に、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することができる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握されうる他の効果が奏されてもよい。
本実施形態に係る医療用観察システムの構成の一例を示す説明図である。 本実施形態に係る医療用観察システムが使用されるユースケースの一例を示す説明図である。 本実施形態に係る医療用観察装置が備える撮像デバイスの構成の一例を説明するための説明図である。 第1の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。 第1の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。 第2の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。 第3の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。 第4の実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下では、下記に示す順序で説明を行う。
1.本実施形態に係る医療用観察システム
2.本実施形態に係る医療用滅菌カバー
[1]医療用観察システム
まず、本実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を説明する前に、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられる医療用観察装置を含む、本実施形態に係る医療用観察システムの一例について説明する。
なお、以下では、本実施形態に係る医療用観察装置が電子撮像式の医療用観察装置である場合を主に例に挙げるが、本実施形態に係る医療用観察装置は、電子撮像式の医療用観察装置に限られない。例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、光学式の医療用観察装置であってもよい。
図1は、本実施形態に係る医療用観察システム1000の構成の一例を示す説明図である。医療用観察システム1000は、例えば、医療用観察装置100と、表示装置200とを有する。
なお、本実施形態に係る医療用観察システムは、図1に示す例に限られない。
例えば、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100における各種動作を制御する制御装置(図示せず)を、さらに有していてもよい。図1に示す医療用観察システム1000では、後述するように、医療用観察装置100が本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行う制御部(後述する)を備えることにより、医療用観察装置100が制御装置(図示せず)の機能を有している例を示している。
制御装置(図示せず)としては、例えば、“メディカルコントローラ”や、“サーバなどのコンピュータ”など、本実施形態に係る状態通知方法に係る処理を行うことが可能な任意の機器が、挙げられる。また、制御装置(図示せず)は、例えば、上記のような機器に組み込むことが可能な、IC(Integrated Circuit)であってもよい。
また、本実施形態に係る医療用観察システムは、医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成であってもよい。医療用観察装置100を複数有する場合、医療用観察装置100それぞれにおいて、後述する医療用観察装置100における状態通知方法に係る処理が、行われる。また、本実施形態に係る医療用観察システムが医療用観察装置100と表示装置200とを複数有する構成である場合、医療用観察装置100と表示装置200とが一対一に対応付けられていてもよいし、複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられていてもよい。複数の医療用観察装置100が1つの表示装置200に対応付けられている場合、表示装置200では、例えば切り替え操作などが行われることによって、どの医療用観察装置100において撮像された撮像画像を表示画面に表示させるのかが、切り替えられる。
図2は、本実施形態に係る医療用観察システム1000が使用されるユースケースの一例を示す説明図である。
医療用観察装置100が備える撮像デバイス(後述する)によって、観察対象の患者PA(医療行為を受ける対象の患者)が撮像される。以下では、上記医療行為を受ける対象の患者が撮像された撮像画像などの、本実施形態に係る医療用観察装置が撮像した撮像画像を、「医療用撮像画像」と示す。
医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像は、表示装置200の表示画面に表示される。そして、医療用観察装置100を用いて医療行為を行う術者OP(医療用観察装置100のユーザの一例)は、表示装置200の表示画面に表示されている医療用撮像画像を見ながら、患者PAに対して医療行為を行う。
また、術者OPは、フットスイッチFSなどの医療用観察装置100の外部の操作デバイス、または、医療用観察装置100が備える操作デバイス(後述する)を操作することによって、医療用観察装置100が備えるアーム(後述する)や撮像デバイス(後述する)などを動作させ、医療用観察装置100を所望の状態にさせる。
以下、医療用観察システム1000を構成する各装置について、説明する。
[1−1]表示装置200
表示装置200は、医療用観察システム1000における表示手段であり、医療用観察装置100からみて外部の表示デバイスに該当する。表示装置200は、例えば、医療用観察装置100において撮像された医療用撮像画像(動画像、または、複数の静止画像。以下、同様とする。)や、UI(User Interface)に係る画像などの、様々な画像を表示画面に表示する。また、表示装置200は、3D表示が可能な構成であってもよい。表示装置200における表示は、例えば、医療用観察装置100、または、制御装置(図示せず)によって制御される。
医療用観察システム1000において表示装置200は、例えば、手術室の壁面や天井、床面などの、手術室内において術者などの手術に関わる者により視認されうる任意の場所に設置される。表示装置200としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどが挙げられる。
なお、表示装置200は、上記に示す例に限られない。
例えば、表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイやアイウェア型の装置などのような、術者などが身体に装着して用いる任意のウェアラブル装置であってもよい。
表示装置200は、例えば、表示装置200が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
[1−2]医療用観察装置100
医療用観察装置100は、電子撮像式の医療用観察装置である。例えば手術時に医療用観察装置100が用いられる場合、術者(医療用観察装置100のユーザの一例)は、医療用観察装置100により撮像されて、表示装置200の表示画面に表示された医療用撮像画像を参照しながら術部を観察し、当該術部に対して、術式に応じた手技などの各種処置を行う。
まず、図1を参照して、医療用観察装置100のハードウェア構成の一例について、説明する。
医療用観察装置100は、例えば、ベース102と、アーム104と、撮像デバイス106と、センサ(センサ群)とを備える。
また、図1では示していないが、医療用観察装置100は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)などの演算回路で構成される、1または2以上のプロセッサ(図示せず)と、ROM(Read Only Memory。図示せず)と、RAM(Random Access Memory。図示せず)と、記録媒体(図示せず)と、通信デバイス(図示せず)とを、備えていてもよい。医療用観察装置100は、例えば、医療用観察装置100が備えているバッテリなどの内部電源から供給される電力、または、接続されている外部電源から供給される電力などによって、駆動する。
プロセッサ(図示せず)は、後述する制御部として機能する。ROM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)が使用するプログラムや演算パラメータなどの制御用データを記憶する。RAM(図示せず)は、プロセッサ(図示せず)により実行されるプログラムなどを一時的に記憶する。
記録媒体(図示せず)は、後述する記憶部として機能する。記録媒体(図示せず)には、例えば、第1の閾値(後述する)を示すデータや第2の閾値(後述する)を示すデータなどの本実施形態に係る状態通知方法に係るデータや、各種アプリケーションなどの、様々なデータが記憶される。ここで、記録媒体(図示せず)としては、例えば、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどが挙げられる。また、記録媒体(図示せず)は、医療用観察装置100から着脱可能であってもよい。
通信デバイス(図示せず)は、医療用観察装置100が備える通信手段であり、表示装置200などの外部装置と、無線または有線で通信を行う役目を果たす。ここで、通信デバイス(図示せず)としては、例えば、IEEE802.15.1ポートおよび送受信回路(無線通信)や、IEEE802.11ポートおよび送受信回路(無線通信)、通信アンテナおよびRF(Radio Frequency)回路(無線通信)、あるいはLAN(Local Area Network)端子および送受信回路(有線通信)などが挙げられる。
[1−2−1]ベース102
ベース102は、医療用観察装置100の基台であり、アーム104の一端が接続されて、アーム104と撮像デバイス106とを支持する。
また、ベース102には例えばキャスタが設けられ、医療用観察装置100は、キャスタを介して床面と接地する。キャスタが設けられることにより、医療用観察装置100は、キャスタによって床面上を容易に移動することが可能である。
[1−2−2]アーム104
アーム104は、複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成される。
また、アーム104は、撮像デバイス106を支持する。アーム104により支持された撮像デバイス106は3次元的に移動可能であり、移動後の撮像デバイス106は、アーム104によって、位置および姿勢が保持される。
より具体的には、アーム104は、例えば、複数の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fと、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fによって互いに回動可能に連結される複数のリンク112a、112b、112c、112d、112e、112fとから構成される。関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれの回転可能範囲は、アーム104の所望の動きが実現されるように、設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
つまり、図1に示す医療用観察装置100では、アーム104を構成する6つの関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fに対応する6つの回転軸(第1軸O1、第2軸O2、第3軸O3、第4軸O4、第5軸O5、および第6軸O6)によって、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現されている。より具体的には、図1に示す医療用観察装置100では、並進3自由度、および回転3自由度の6自由度の動きが実現される。
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、アクチュエータ(図示せず)が設けられ、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれは、アクチュエータ(図示せず)の駆動によって、対応する回転軸で回転する。アクチュエータ(図示せず)の駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。
関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれが、アクチュエータ(図示せず)の駆動により対応する回転軸で回転することによって、例えばアーム104を伸ばす、縮める(折り畳む)などの、様々なアーム104の動作が、実現される。
関節部110aは、略円柱形状を有し、関節部110aの先端部分(図1における下端部分)で、撮像デバイス106(図1における撮像デバイス106の上端部分)を、撮像デバイス106の中心軸と平行な回転軸(第1軸O1)まわりに回動可能なように支持する。ここで、医療用観察装置100は、第1軸O1が撮像デバイス106における光軸と一致するように構成される。つまり、図1に示す第1軸O1まわりに撮像デバイス106を回動させることによって、撮像デバイス106により撮像された医療用撮像画像は、視野が回転するように変更される画像となる。
リンク112aは、略棒状の部材であり、関節部110aを固定的に支持する。リンク112aは、例えば、第1軸O1と直交する方向に延伸され、関節部110bに接続される。
関節部110bは、略円柱形状を有し、リンク112aを、第1軸O1と直交する回転軸(第2軸O2)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110bには、リンク112bが固定的に接続される。
リンク112bは、略棒状の部材であり、第2軸O2と直交する方向に延伸される。また、リンク112bには、関節部110bと関節部110cとがそれぞれ接続される。
関節部110cは、略円柱形状を有し、リンク112bを、第1軸O1および第2軸O2それぞれと互いに直交する回転軸(第3軸O3)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110cには、リンク112cの一端が固定的に接続される。
ここで、第2軸O2および第3軸O3まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、水平面内での撮像デバイス106の位置が変更されるように、撮像デバイス106を移動させることができる。つまり、医療用観察装置100では、第2軸O2および第3軸O3まわりの回転が制御されることにより、医療用撮像画像の視野を平面内で移動させることが可能になる。
リンク112cは、一端が略円柱形状を有し、他端が略棒状を有する部材である。リンク112cの一端側には、関節部110cの中心軸と略円柱形状の中心軸とが同一となるように、固定的に接続される。また、リンク112cの他端側には、関節部110dが接続される。
関節部110dは、略円柱形状を有し、リンク112cを、第3軸O3と直交する回転軸(第4軸O4)まわりに回動可能なように支持する。関節部110dには、リンク112dが固定的に接続される。
リンク112dは、略棒状の部材であり、第4軸O4と直交するように延伸される。リンク112dの一端は、関節部110dの略円柱形状の側面に当接するように、関節部110dに固定的に接続される。また、リンク112dの他端(関節部110dが接続される側とは反対側の端)には、関節部110eが接続される。
関節部110eは、略円柱形状を有し、リンク112dの一端を、第4軸O4と平行な回転軸(第5軸O5)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110eには、リンク112eの一端が固定的に接続される。
ここで、第4軸O4および第5軸O5は、撮像デバイス106を垂直方向に移動させうる回転軸である。第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106の垂直方向の位置が変わる。よって、第4軸O4および第5軸O5まわりにアーム104の先端側(撮像デバイス106が設けられる側)が回動することによって、撮像デバイス106と、患者の術部などの観察対象との距離を変えることが、可能となる。
リンク112eは、一辺が鉛直方向に延伸するとともに他辺が水平方向に延伸する略L字形状を有する第1の部材と、当該第1の部材の水平方向に延伸する部位から鉛直下向きに延伸する棒状の第2の部材とが、組み合わされて構成される部材である。リンク112eの第1の部材の鉛直方向に延伸する部位には、関節部110eが固定的に接続される。また、リンク112eの第2の部材には、関節部110fが接続される。
関節部110fは、略円柱形状を有し、リンク112eを、鉛直方向と平行な回転軸(第6軸O6)まわりに回動可能なように支持する。また、関節部110fには、リンク112fが固定的に接続される。
リンク112fは、略棒状の部材であり、鉛直方向に延伸される。リンク112fの一端は、関節部110fが接続される。また、リンク112fの他端(関節部110fが接続される側とは反対側の端)は、ベース102に固定的に接続される。
アーム104が上記に示す構成を有することによって、医療用観察装置100では、撮像デバイス106の移動に関して6自由度が実現される。
なお、アーム104の構成は、上記に示す例に限られない。
例えば、アーム104の関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれには、関節部110a、110b、110c、110d、110e、110fそれぞれにおける回転を規制するブレーキが設けられていてもよい。本実施形態に係るブレーキとしては、例えば、機械的に駆動するブレーキや、電気的に駆動する電磁ブレーキなど、任意の方式のブレーキが挙げられる。
上記ブレーキの駆動は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。上記ブレーキの駆動が制御されることにより、医療用観察装置100では、アーム104の動作モードが設定される。アーム104の動作モードとしては、例えば、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
ここで、本実施形態に係る固定モードとは、例えば、アーム104に設けられる各回転軸における回転がブレーキにより規制されることにより、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される動作モードである。アーム104が固定モードとなることによって、医療用観察装置100の動作状態は、撮像デバイス106の位置および姿勢が固定される固定状態となる。
また、本実施形態に係るフリーモードとは、上記ブレーキが解除されることにより、アーム104に設けられる各回転軸が自由に回転可能となる動作モードである。例えば、フリーモードでは、術者による直接的な操作によって撮像デバイス106の位置および姿勢を調整することが可能となる。ここで、本実施形態に係る直接的な操作とは、例えば、術者が手で撮像デバイス106を把持し、当該撮像デバイス106を直接移動させる操作のことを意味する。
[1−2−3]撮像デバイス106
撮像デバイス106は、アーム104により支持され、例えば患者の術部などの観察対象を撮像する。撮像デバイス106における撮像は、例えば、後述する制御部として機能するプロセッサ、または、外部の制御装置(図示せず)によって制御される。
撮像デバイス106は、例えば電子撮像式の顕微鏡に対応する構成を有する。
図3は、本実施形態に係る医療用観察装置100が備える撮像デバイス106の構成の一例を説明するための説明図である。
撮像デバイス106は、例えば、撮像部材120と、略円筒形状を有する筒状部材122とを有し、撮像部材120は、筒状部材122内に設けられる。
筒状部材122の下端(図3における下側の端)の開口面には、例えば、撮像部材120を保護するためのカバーガラス(図示せず)が設けられる。
また、例えば筒状部材122の内部には光源(図示せず)が設けられ、撮像時には、当該光源からカバーガラス越しに被写体に対して照明光が照射される。照明光が照射された被写体からの反射光(観察光)が、カバーガラス(図示せず)を介して撮像部材120に入射することにより、撮像部材120によって被写体を示す画像信号(撮像画像を示す画像信号)が得られる。
撮像部材120としては、各種の公知の電子撮像式の顕微鏡部に用いられている構成を適用することが可能である。
一例を挙げると、撮像部材120は、例えば、光学系120aと、光学系120aを通過した光により観察対象の像を撮像する撮像素子を含むイメージセンサ120bとで構成される。光学系120aは、例えば、対物レンズ、ズームレンズおよびフォーカスレンズなどの1または2以上のレンズとミラーなどの光学素子で構成される。イメージセンサ120bとしては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を複数用いたイメージセンサが、挙げられる。
撮像部材120は、1対の撮像素子を有する構成、すなわち、いわゆるステレオカメラとして機能する構成であってもよい。撮像部材120には、少なくともズーム機能(光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方)を含む、AF(Auto Focus)機能などの、一般的に電子撮像式の顕微鏡部に備えられる1または2以上の機能が搭載される。
また、撮像部材120は、例えば4K、8Kなどの、いわゆる高解像度での撮像が可能な構成であってもよい。撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、所定の解像度(例えば、Full HD画質など)を確保しつつ、例えば50インチ以上などの大画面の表示画面を有する表示装置200に画像を表示させることが可能となるので、当該表示画面を見る術者の視認性が向上する。また、撮像部材120が高解像度での撮像が可能に構成されることにより、撮像画像が電子ズーム機能によって拡大されて表示装置200の表示画面に表示されたとしても、所定の解像度を確保することが可能となる。さらに、電子ズーム機能を用いて所定の解像度が確保される場合には、撮像デバイス106における光学ズーム機能の性能を抑えることが可能となるので、撮像デバイス106の光学系をより簡易にすることができ、撮像デバイス106をより小型に構成することができる。
撮像デバイス106には、例えば、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが設けられる。例えば図3では、ズームスイッチ124と、フォーカススイッチ126と、動作モード変更スイッチ128とが、撮像デバイス106に設けられている。なお、ズームスイッチ124、フォーカススイッチ126、および動作モード変更スイッチ128が設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。
ズームスイッチ124とフォーカススイッチ126とは、撮像デバイス106における撮像条件を調整するための操作デバイスの一例である。
ズームスイッチ124は、例えば、ズーム倍率(拡大倍率)を大きくするズームインスイッチ124aと、ズーム倍率を小さくするズームアウトスイッチ124bとで構成される。ズームスイッチ124に対する操作が行われることによりズーム倍率が調整されて、ズームが調整される。
フォーカススイッチ126は、例えば、観察対象(被写体)までの焦点距離を遠くする遠景フォーカススイッチ126aと、観察対象までの焦点距離を近くする近景フォーカススイッチ126bとで構成される。フォーカススイッチ126に対する操作が行われることにより焦点距離が調整されて、フォーカスが調整される。
動作モード変更スイッチ128は、撮像デバイス106におけるアーム104の動作モードを変更するための操作デバイスの一例である。動作モード変更スイッチ128に対する操作が行われることにより、アーム104の動作モードが変更される。アーム104の動作モードとしては、例えば上述したように、固定モードとフリーモードとが挙げられる。
動作モード変更スイッチ128に対する操作の一例としては、動作モード変更スイッチ128を押下する操作が、挙げられる。例えば、術者が動作モード変更スイッチ128を押下している間、アーム104の動作モードがフリーモードとなり、術者が動作モード変更スイッチ128を押下していないときには、アーム104の動作モードが固定モードとなる。
また、撮像デバイス106には、各種操作デバイスに対する操作を行う操作者が操作を行う際の操作性や利便性などをより高めるために、例えば、滑り止め部材130と、突起部材132とが設けられる。
滑り止め部材130は、例えば操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、操作体の滑りを防止するために設けられる部材である。滑り止め部材130は、例えば、摩擦係数が大きい材料で形成され、凹凸などのより滑りにくい構造を有する。
突起部材132は、操作者が筒状部材122を手などの操作体で操作を行う際に、当該操作体が光学系120aの視野を遮ってしまうことや、当該操作体で操作を行う際に、カバーガラス(図示せず)に当該操作体が触れることにより当該カバーガラスが汚れることなどを、防止するために設けられる部材である。
なお、滑り止め部材130および突起部材132それぞれが設けられる位置と形状とが、図3に示す例に限られないことは、言うまでもない。また、撮像デバイス106には、滑り止め部材130と突起部材132との一方または双方が設けれられていなくてもよい。
撮像デバイス106における撮像により生成された画像信号(画像データ)は、例えば後述する制御部として機能するプロセッサにおいて、画像処理が行われる。本実施形態に係る画像処理としては、例えば、ガンマ補正、ホワイトバランスの調整、電子ズーム機能に係る画像の拡大または縮小、または、画素間補正などの各種処理のうちの、1または2以上の処理が、挙げられる。なお、本実施形態に係る医療用観察システムが、医療用観察装置100における各種動作を制御する制御装置(図示せず)を有する場合には、本実施形態に係る画像処理は、当該制御装置(図示せず)において行われてもよい。
医療用観察装置100は、例えば、表示制御信号と、上記のような画像処理が行われた画像信号とを、表示装置200に送信する。
表示制御信号と画像信号とが表示装置200に送信されることによって、表示装置200の表示画面には、観察対象が撮像された医療用撮像画像(例えば、術部が撮像された撮像画像)が、光学ズーム機能と電子ズーム機能との一方または双方によって所望の倍率に拡大または縮小されて表示される。
医療用観察装置100は、例えば図1、図3を参照して示したハードウェア構成を有する。
なお、本実施形態に係る医療用観察装置のハードウェア構成は、図1、図3を参照して示した構成に限られない。
例えば、本実施形態に係る医療用観察装置は、ベース102を備えず、手術室などの天井や壁面などにアーム104が直接取り付けられる構成であってもよい。例えば、天井にアーム104が取り付けられる場合には、本実施形態に係る医療用観察装置は、アーム104が天井から吊り下げられる構成となる。
また、図1では、アーム104が、撮像デバイス106の駆動に関して6自由度が実現されるように構成されている例を示しているが、アーム104の構成は、撮像デバイス106の駆動に関する自由度が6自由度となる構成に限られない。例えば、アーム104は、用途に応じて撮像デバイス106を適宜移動しうるように構成されればよく、関節部およびリンクの数や配置、関節部の駆動軸の方向などは、アーム104が所望の自由度を有するように適宜設定することが可能である。
また、図1、図3では、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスが、撮像デバイス106に設けられる例を示しているが、図1、図3に示す操作デバイスのうちの一部または全部は、撮像デバイス106に設けられなくてもよい。一例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、本実施形態に係る医療用観察装置を構成する撮像デバイス106以外の他の部位に設けられていてもよい。また、他の例を挙げると、撮像デバイス106の動作を制御するための各種の操作デバイスは、フットスイッチやリモートコントローラなどの、外部の操作デバイスであってもよい。
[2]本実施形態に係る医療用滅菌カバー
次に、本実施形態に係る医療用滅菌カバーについて、説明する。
以下では、本実施形態に係る医療用滅菌カバーとして、図1に示す医療用観察装置100のような電子撮像式の医療用観察装置を被覆することが可能な医療用滅菌カバーを、例に挙げる。なお、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが被覆する対象の医療用観察装置は、電子撮像式の医療用観察装置に限られず、本実施形態に係る医療用滅菌カバーは、光学式の医療用観察装置を被覆することも可能である。
[2−1]本実施形態に係る医療用滅菌カバーの概要
上述したように、医療従事者の顔や頭などの滅菌状態が確保されていない部位が、既存の医療用滅菌カバーで被覆されている部分に触れてしまった場合、医療従事者は、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置を、新しい医療用滅菌カバーで覆い直す必要がある。また、滅菌状態が確保されていない器具などが既存の医療用滅菌カバーで被覆されている部分に触れてしまった場合においても、同様に、医療従事者は、光学式の医療用観察装置や電子撮像式の医療用観察装置を、新しい既存の医療用滅菌カバーで覆い直す必要がある。そして、上述したように、新しい医療用滅菌カバーで覆い直す事態が生じると、手術効率の低下を招き、また、新しい医療用滅菌カバーが使用されることによって、コストの増大が懸念される。
これに対して、本実施形態に係る医療用滅菌カバーは、“医療用観察装置を被覆して当該医療用観察装置の滅菌状態を確保する被覆部材”が複数積層された積層構造を有し、かつ、“層単位で、積層されている被覆部材を剥離させることが可能な剥離部”を有する。
医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位(または、滅菌状態が確保されていない器具など。以下、同様とする。)が、本実施形態に係る医療用滅菌カバーで被覆されている部分に触れてしまった場合、医療従事者は、滅菌状態が確保されていない被覆部材を剥離すれば、本実施形態に係る医療用滅菌カバーを、滅菌状態に復帰させることができる。
ここで、本実施形態に係る医療用滅菌カバーは、層単位で被覆部材を剥離させることが可能な剥離部を有している。よって、医療従事者は、新しい医療用滅菌カバーで医療用観察装置を覆い直すよりも容易かつ迅速に、滅菌状態が確保されていない被覆部材を剥離させることが可能である。
したがって、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられることによって、医療従事者の滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバーに触れた場合に、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することができる。また、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられることによって、滅菌状態が確保されていない器具などが医療用滅菌カバーに触れた場合においても、同様に、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することができる。
なお、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が、図1に示すような電子撮像式の医療用観察装置である場合、電子撮像式の医療用観察装置を用いるユーザ(例えば、術者や術者の助手などの医療従事者)は、光学式の医療用観察装置を用いる場合のように光学式の顕微鏡を構成する接眼レンズを覗き込む必要はないので、撮像デバイスの位置をより自由に移動させることが可能である。そのため、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が電子撮像式の医療用観察装置である場合には、医療用観察システム1000を構成する医療用観察装置が光学式の医療用観察装置である場合よりも、医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が、滅菌領域に触れてしまう可能性がより高いと考えられる。
上述したように、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられる場合には、滅菌状態へのより迅速な復帰を実現することができるので、例えば微細手術のような電子撮像式の医療用観察装置を用いて行われる手術においても、手術が中断するリスクを最小限に抑えることができる。
[2−2]本実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成
以下、本実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成の一例を説明する。なお、本実施形態に係る医療用滅菌カバーの構成が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
[2−2−1]第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー
図4、図5は、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300の構成の一例を示す説明図である。図4は、医療用観察装置100を被覆していない場合における医療用滅菌カバー300の一部を示している。図5は、図4に示す医療用滅菌カバー300が医療用観察装置100を被覆している場合の一例を示している。以下、図4、図5を適宜参照して、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300の構成について説明する。
医療用滅菌カバー300は、医療用観察装置100を被覆して医療用観察装置100の滅菌状態を確保する被覆部材302で構成され、複数の被覆部材302が積層された積層構造304を有する。積層構造304を構成する被覆部材302の数は、2つであってもよいし、3つ以上であってもよい。積層構造304を構成する被覆部材302の数は、例えば医療用滅菌カバー300の製造コストなどを考慮して設定される。
医療用滅菌カバー300が医療用観察装置100を被覆した場合、被覆部材302は、例えば、医療用観察装置100全体、または、医療用観察装置100の一部を被覆する。被覆部材302が被覆する医療用観察装置100の一部としては、例えば、“撮像デバイス106、およびアーム104全体”または、“撮像デバイス106、およびアーム104の一部”などが、挙げられる。
医療用滅菌カバー300で被覆されている部分は、滅菌領域となる。つまり、被覆部材302が医療用観察装置100の一部を被覆する場合とは、例えば医療用観察装置100全体を滅菌領域とする必要がない場合である。
また、被覆部材302は、被覆する対象に対応する形状を有する。一例を挙げると、被覆部材302が医療用観察装置100の一部を被覆する場合、被覆部材302は、例えば、撮像デバイス106およびアーム104に対応するように、筒状となる。また、被覆部材302が医療用観察装置100全体を被覆する場合、被覆部材302は、例えば、医療用観察装置100全体を覆える大きさの袋状の形状を有する。なお、被覆部材302の形状が、上記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
例えば図4に示すように、医療用滅菌カバー300では、医療用滅菌カバー300の一部分が積層構造304となっている。つまり、積層構造304を構成する被覆部材302のうちの、最下層の被覆部材302が、他の層の被覆部材302よりもより広い範囲を被覆する。
積層構造304が設けられる医療用滅菌カバー300の一部分としては、例えば図5に示すように“撮像デバイス106とアーム104の一部分とに対応する部分”が挙げられる。
ここで、“撮像デバイス106とアーム104の一部分とに対応する部分”とは、最下層の被覆部材302が医療用観察装置100を被覆する部分よりも、より狭い部分である。つまり、積層構造304が医療用観察装置100を被覆する範囲は、最下層の被覆部材302が医療用観察装置100を被覆する範囲よりも狭い。
“撮像デバイス106とアーム104の一部分とに対応する部分”としては、例えば、“撮像デバイス106、およびアーム104のリンク112a、112bまでの部分”や、図5に示すような“撮像デバイス106、およびアーム104のリンク112a、112bの一部分までの部分”などが、挙げられる。
医療用滅菌カバー300において積層構造304が設けられる部分は、例えば“医療用滅菌カバー300が使用されている場合(すなわち、医療用滅菌カバー300が医療用観察装置100を被覆している場合)に、医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が触れやすい箇所”を考慮して、医療用滅菌カバー300の設計段階や製造段階などにおいて任意に設定される。
例えば図4に示すように、医療用滅菌カバー300の一部分に積層構造304が設けられることによって、例えば下記に示すような効果が奏される。
・医療用滅菌カバー300のコストの低減を図ることができる
・医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバー300に触れてしまった場合において、医療従事者が被覆部材302を剥離させる範囲がより小さくなるので、滅菌状態へのさらに迅速な復帰を実現することができる。
なお、医療用滅菌カバー300全体が積層構造304となっていてもよい。
医療用滅菌カバー300は、積層構造304を構成する被覆部材302を、層単位で剥離する剥離部306をさらに有する。
剥離部306は、被覆部材302の積層構造304に対応する部分に形成される。被覆部材302に形成される剥離部306としては、例えば図4、図5に示すような、被覆部材302に形成されるミシン目が、挙げられる。
図4、図5に示すような剥離部306を有することによって、医療従事者は、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、ミシン目に沿って引き剥がすことによって、積層されている被覆部材302を層単位で剥離させることができる。
図6は、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300の構成の一例を示す説明図であり、図5に示す医療用滅菌カバー300において、積層構造304を構成する被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302が剥離されている例を示している。
医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバー300に触れてしまった場合、医療従事者は、例えば図6のAに示すように、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、被覆部材302に形成されるミシン目(剥離部306の一例)に沿って引き剥がす。
よって、医療用滅菌カバー300では、再度滅菌状態が担保され、滅菌状態へのより迅速な復帰が実現される。
第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300は、例えば図4〜図6を参照して示した構成を有する。
ここで、医療用滅菌カバー300は、被覆部材302が積層された積層構造304と、被覆部材302に形成されるミシン目(剥離部306の一例)とを有する。よって、医療従事者は、例えば図6のAに示すように、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、被覆部材302に形成されるミシン目に沿って引きはがせば、医療用滅菌カバー300を滅菌状態へと復帰させることができる。
したがって、医療用滅菌カバー300が用いられることによって、医療従事者は、簡単に、かつ素早く、医療用滅菌カバー300の滅菌状態を復活せることができる。
[2−2−2]第2の実施形態に係る医療用滅菌カバー
図7は、第2の実施形態に係る医療用滅菌カバー400の構成の一例を示す説明図である。図7は、医療用滅菌カバー400が医療用観察装置100を被覆している場合の一例を示している。
医療用滅菌カバー400は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成(医療用滅菌カバー300の変形例に係る構成も含む。)を有する。医療用滅菌カバー400と、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300との相違点は、“医療用滅菌カバー400が、剥離補助部材402をさらに有している点”である。
剥離補助部材402は、剥離部306による被覆部材302の剥離を補助する部材の一例である。剥離補助部材402は、例えば、積層構造304を構成する各層の被覆部材302に設けられる。なお、最下層の被覆部材302には、剥離補助部材402が設けられていなくてもよい。
剥離補助部材402としては、例えば、剥離部306の一端に取り付けられている剥離テープが挙げられる。なお、剥離補助部材402は、剥離テープに限られず、被覆部材302を剥離する者が保持した状態で、剥離部306による被覆部材302の剥離を行うことが可能な、任意の部材であってもよい。
医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバー400に触れてしまった場合、医療従事者は、剥離テープ(剥離補助部材402の一例。以下、同様とする。)を持った状態で、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、被覆部材302に形成されるミシン目(剥離部306の一例)に沿って引き剥がす。
よって、医療用滅菌カバー400では、再度滅菌状態が担保され、滅菌状態へのより迅速な復帰が実現される。
第2の実施形態に係る医療用滅菌カバー400は、例えば図7に示す構成を有する。
ここで、医療用滅菌カバー400は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成を有する。
したがって、医療用滅菌カバー400が用いられることによって、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300が用いられる場合に奏される効果と同様の効果が、奏される。
また、医療従事者は、剥離テープを持った状態で被覆部材302を剥離することができるので、医療用滅菌カバー400が用いられる場合には、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300が用いられる場合よりもより容易に、医療用滅菌カバー400の滅菌状態を復活せることができる。
[2−2−3]第3の実施形態に係る医療用滅菌カバー
図8は、第3の実施形態に係る医療用滅菌カバー500の構成の一例を示す説明図である。図8は、医療用滅菌カバー500が医療用観察装置100を被覆している場合の一例を示している。
医療用滅菌カバー500は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成(医療用滅菌カバー300の変形例に係る構成も含む。)を有する。医療用滅菌カバー500と、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300との相違点は、“医療用滅菌カバー500が、剥離補助部材502をさらに有している点”である。
剥離補助部材502は、剥離部306による被覆部材302の剥離を補助する部材の他の例である。剥離補助部材502は、例えば、積層構造304を構成する各層の被覆部材302に設けられる。なお、最下層の被覆部材302には、剥離補助部材502が設けられていなくてもよい。
剥離補助部材502としては、例えば、被覆部材302に形成されている剥離部306に沿って配置されている紐状部材が、挙げられる。なお、剥離補助部材502は、紐状部材に限られず、被覆部材302を剥離する者が保持した状態で、剥離部306による被覆部材302の剥離を行うことが可能な、任意の形状の部材であってもよい。
紐状部材(剥離補助部材502の一例。以下、同様とする。)の一端は、図8のAに示すように、積層構造304の終端から医療用滅菌カバー500の外部に露出する。
医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバー500に触れてしまった場合、医療従事者は、紐状部材を持った状態で、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、被覆部材302に形成されるミシン目(剥離部306の一例)に沿って引き剥がす。
よって、医療用滅菌カバー500では、再度滅菌状態が担保され、滅菌状態へのより迅速な復帰が実現される。
第3の実施形態に係る医療用滅菌カバー500は、例えば図8に示す構成を有する。
ここで、医療用滅菌カバー500は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成を有する。
したがって、医療用滅菌カバー500が用いられることによって、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300が用いられる場合に奏される効果と同様の効果が、奏される。
また、医療従事者は、紐状部材を持った状態で被覆部材302を剥離することができるので、医療用滅菌カバー500が用いられる場合には、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300が用いられる場合よりもより容易に、医療用滅菌カバー500の滅菌状態を復活せることができる。
さらに、医療用滅菌カバー500では、被覆部材302に形成されるミシン目(剥離部306の一例)に沿って紐状部材が配置されているので、紐状部材によってミシン目を切り取ることができる。つまり、紐状部材は、図7に示す第2の実施形態に係る医療用滅菌カバー400を構成する剥離テープよりも、被覆部材302の剥離を補助する効果が高い。よって、医療用滅菌カバー500が用いられる場合には、医療従事者は、図7に示す医療用滅菌カバー400が用いられる場合よりもより容易に、被覆部材302を剥離することができる。
[2−2−4]第4の実施形態に係る医療用滅菌カバー
図9は、第4の実施形態に係る医療用滅菌カバー600の構成の一例を示す説明図である。図9は、医療用滅菌カバー600が医療用観察装置100を被覆している場合の一例を示している。
医療用滅菌カバー600は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成(医療用滅菌カバー300の変形例に係る構成も含む。)を有する。医療用滅菌カバー600と、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300との相違点は、医療用滅菌カバー600を構成する剥離部602にある。
剥離部602は、図4〜図6に示す剥離部306と同様に、被覆部材302の積層構造304に対応する部分に形成される。図9に示す剥離部602と、図4〜図6に示す医療用滅菌カバー300を構成する剥離部306との相違点の1つは、剥離部602が、略平行に2つ形成されるミシン目を含む点である。ここで、本実施形態に係る略平行とは、例えば、“形成される2つのミシン目が厳密に平行であること”と、“形成される2つのミシン目それぞれに対応する直線がなす角度が、剥離部602が被覆部材302に形成される範囲内で平行とみなせる程度の大きさを有すること”とを意味する。
また、剥離部602の一部は、図9のAに示すように、積層構造304の終端から医療用滅菌カバー600の外部に露出していてもよい。図9のAに示すような、剥離部602において外部に露出している部分は、剥離補助部材の役目を果たす。なお、剥離部602の一部が外部に露出していなくてもよいことは、言うまでもない。
剥離部602は、例えば図9に示す構成を有することによって、例えばお菓子の箱などを包むセロファンに設けられる切り取りシロのような機能を有する。
医療従事者における滅菌状態が確保されていない部位が医療用滅菌カバー600に触れてしまった場合、医療従事者は、剥離部602において外部に露出している部分を持った状態で、積層されている被覆部材302のうちの最上層の被覆部材302を、被覆部材302に略平行に形成される2つのミシン目(剥離部602の一例)に沿って引き剥がす。
よって、医療用滅菌カバー600では、再度滅菌状態が担保され、滅菌状態へのより迅速な復帰が実現される。
第4の実施形態に係る医療用滅菌カバー600は、例えば図9に示す構成を有する。
ここで、医療用滅菌カバー600は、図4〜図6に示す第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300と基本的に同様の構成を有する。
したがって、医療用滅菌カバー600が用いられることによって、第1の実施形態に係る医療用滅菌カバー300が用いられる場合に奏される効果と同様の効果が、奏される。
また、剥離部602は、例えば被覆部材302に略平行に形成される2つのミシン目を含むので、ミシン目を切り取った際の最初の切り取り部分が、ミシン目が1つである場合における最初の切り取り部分よりも広くなる。よって、医療用滅菌カバー600が用いられる場合には、医療従事者が被覆部材302を剥がすときに医療従事者の手が入り易いので、医療従事者の作業効率をより向上させることができる。
[2−3]本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられることにより奏される効果の一例
本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられることによって、例えば下記に示す効果が奏される。なお、本実施形態に係る医療用滅菌カバーが用いられることにより奏される効果が、下記に示す例に限られないことは、言うまでもない。
・手術中に、術者が、頭などの滅菌状態が確保されていない部位を、誤って、本実施形態に係る医療用滅菌カバーに接触させてしまった場合にも、新たに医療用滅菌カバーを掛け直すことなく、簡単に滅菌状態を復元させることができる。
・新たに医療用滅菌カバーを掛け直すよりも簡単に滅菌状態を復元させることができるので、手術が中断するリスクを最小限に抑えることができる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
医療用観察装置を被覆して前記医療用観察装置の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、
層単位で、積層されている前記被覆部材を剥離する剥離部と、
を有する、医療用滅菌カバー。
(2)
前記医療用滅菌カバーの一部分が前記積層構造となっている、(1)に記載の医療用滅菌カバー。
(3)
前記医療用観察装置は、撮像デバイスと、前記撮像デバイスを支持する複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームとを備え、
前記医療用滅菌カバーの一部分は、前記撮像デバイスと前記アームの一部分とに対応する部分である、(2)に記載の医療用滅菌カバー。
(4)
前記剥離部は、前記被覆部材に形成される、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の医療用滅菌カバー。
(5)
前記剥離部は、前記被覆部材に形成されるミシン目である、(4)に記載の医療用滅菌カバー。
(6)
前記ミシン目は、略平行に2つ形成される、(5)に記載の医療用滅菌カバー。
(7)
前記剥離部による前記被覆部材の剥離を補助する剥離補助部材をさらに有する、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の医療用滅菌カバー。
(8)
前記剥離補助部材は、前記剥離部の一端に取り付けられている剥離テープである、(7)に記載の医療用滅菌カバー。
(9)
前記剥離補助部材は、前記被覆部材に形成されている前記剥離部に沿って配置されている紐状部材である、(7)に記載の医療用滅菌カバー。
(10)
前記被覆部材は、筒状である、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の医療用滅菌カバー。
(11)
複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
前記アームにより支持される撮像デバイスと、
医療用滅菌カバーと、
を備え、
前記医療用滅菌カバーは、
前記撮像デバイスと前記アームの少なくとも一部分とを被覆して、被覆されている部分の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、
層単位で、積層されている前記被覆部材を剥離する剥離部と、
を有する、医療用観察装置。
100 医療用観察装置
102 ベース
104 アーム
106 撮像デバイス
110a、110b、110c、110d、110e、110f 関節部
112a、112b、112c、112d、112e、112f リンク
120 撮像部材
122 筒状部材
124 ズームスイッチ
126 フォーカススイッチ
128 動作モード変更スイッチ
200 表示装置
300、400、500、600 医療用滅菌カバー
302 被覆部材
304 積層構造
306、602 剥離部
402、502 剥離補助部材
1000 医療用観察システム
OP 術者
PA 患者
FS フットスイッチ

Claims (11)

  1. 医療用観察装置を被覆して前記医療用観察装置の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、
    層単位で、積層されている前記被覆部材を剥離する剥離部と、
    を有する、医療用滅菌カバー。
  2. 前記医療用滅菌カバーの一部分が前記積層構造となっている、請求項1に記載の医療用滅菌カバー。
  3. 前記医療用観察装置は、撮像デバイスと、前記撮像デバイスを支持する複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームとを備え、
    前記医療用滅菌カバーの一部分は、前記撮像デバイスと前記アームの一部分とに対応する部分である、請求項2に記載の医療用滅菌カバー。
  4. 前記剥離部は、前記被覆部材に形成される、請求項1に記載の医療用滅菌カバー。
  5. 前記剥離部は、前記被覆部材に形成されるミシン目である、請求項4に記載の医療用滅菌カバー。
  6. 前記ミシン目は、略平行に2つ形成される、請求項5に記載の医療用滅菌カバー。
  7. 前記剥離部による前記被覆部材の剥離を補助する剥離補助部材をさらに有する、請求項1に記載の医療用滅菌カバー。
  8. 前記剥離補助部材は、前記剥離部の一端に取り付けられている剥離テープである、請求項7に記載の医療用滅菌カバー。
  9. 前記剥離補助部材は、前記被覆部材に形成されている前記剥離部に沿って配置されている紐状部材である、請求項7に記載の医療用滅菌カバー。
  10. 前記被覆部材は、筒状である、請求項1に記載の医療用滅菌カバー。
  11. 複数のリンクが関節部によって互いに連結されて構成されるアームと、
    前記アームにより支持される撮像デバイスと、
    医療用滅菌カバーと、
    を備え、
    前記医療用滅菌カバーは、
    前記撮像デバイスと前記アームの少なくとも一部分とを被覆して、被覆されている部分の滅菌状態を確保する被覆部材が、積層された積層構造と、
    層単位で、積層されている前記被覆部材を剥離する剥離部と、
    を有する、医療用観察装置。
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