I.定義
本明細書で使用される略記は、化学および生物学分野でのそれらの従来の意味を有する。本明細書に示される化学構造および化学式は化学分野において既知の化学結合価の標準の規則に従って構築される。
置換基が、左から右へ書かれた、それらの従来の化学式により特定される場合、それらはその構造を右から左へ書くことから生ずるであろう化学的に同一の置換基を等しく包含する。例えば、−CH2O−は−OCH2−と均等である。
用語「アルキル」は、それ自体でまたは別の置換基の部分として、特に指示がない限り、直鎖(すなわち、非分枝)もしくは分枝鎖、またはこれらの組み合わせを意味し、これらは完全に飽和、モノもしくはポリ不飽和であることがあり、所定の炭素原子の数を有する(すなわち、C1−C10は1〜10の炭素を意味する)二価および多価ラジカルを含むことができる。飽和炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、(シクロヘキシル)メチル;例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどのホモログおよび異性体などの基が挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は1つ以上の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高次のホモログおよび異性体が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは酸素結合基(−O−)により、分子の残りの部分に付加されたアルキルである。
用語「アルキレン」は、それ自体でまたは別の置換基の部分として、特に指示がない限り、アルキルに由来する二価ラジカルを意味し、−CH2CH2CH2CH2−が例として挙げられるが、これに限定されない。典型的に、アルキル(またはアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有するであろう。10個、またはそれ以下の炭素原子を有するアルキル(またはアルキレン)基は本発明において好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、概して8個、またはそれ以下の炭素原子を有する、短鎖アルキルまたはアルキレン基である。
用語「ヘテロアルキル」は、それ自体でまたは別の用語との組み合わせで、特に指示がない限り、少なくとも1つの炭素原子およびO、N、P、Si、およびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定な直鎖もしくは分枝鎖、またはこれらの組み合わせを意味し、ここで、窒素および硫黄原子が任意に酸化されることがあり、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されることがある。ヘテロ原子(単数または複数)O、N、P、S、およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはそのアルキル基が分子の残りの部分に付加される位置に置かれることがある。例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、−O−CH3、−O−CH2−CH3、および−CNが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、−CH2−NH−OCH3のように、最大2つのヘテロ原子が連続することがある。
同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体でまたは別の置換基の部分として、特に指示がない限り、ヘテロアルキルに由来する二価ラジカルを意味し、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−が例として挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は鎖末端のいずれかまたは両方もまた占有することができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。またさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基について、連結基の向きは、連結基の式が記載される方向により意味されない。例えば、式−C(O)2R′−は−C(O)2R′−および−R′C(O)2−の両方を意味する。上記に示されるように、ヘテロアルキル基は、本明細書で使用されるとき、−C(O)R′、−C(O)NR′、−NR′R′′、−OR′、−SR′、および/または−SO2R′などの、ヘテロ原子をとおして、分子の残りの部分に付加される基を含む。−NR′R′′などの特定のヘテロアルキル基の列挙に続いて、「ヘテロアルキル」が列挙される場合、用語ヘテロアルキルおよび−NR′R′′は重複せず、または相互排他的ではないと理解されるであろう。むしろ、特定のヘテロアルキル基が、明確にするために列挙される。したがって、用語「ヘテロアルキル」が−NR′R′′などの特定のヘテロアルキル基を排除するとは、本明細書で解釈されるべきでない。
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自体でまたは他の用語との組み合わせで、特に指示がない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状変形を意味する。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、そのヘテロ環が分子の残りの部分に付加される位置を占有することができる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換基の部分として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルに由来する二価ラジカルを意味する。
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、それら自体でまたは別の置換基の部分として、特に指示がない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語はモノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「ハロ(C1−C4)アルキル」としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アシル」は、特に指示がない限り、−C(O)Rを意味し、ここで、Rは置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールである。
用語「アリール」は、特に指示がない限り、ポリ不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味し、それらは単環、または共に融合され(すなわち、融合環アリール)または共有結合された多環(好ましくは1〜3環)であり得る。融合環アリールは、融合環の少なくとも1つがアリール環である、共に融合された多環を言う。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を言い、ここで、窒素および硫黄原子は任意に酸化され、窒素原子(単数または複数)は任意に四級化される。したがって、用語「ヘテロアリール」は融合環ヘテロアリール基(すなわち、共に融合した多環であって、その融合環のうちの少なくとも1つがヘテロ芳香環である、多環)を含む。5,6−融合環ヘテロアリーレンは共に融合した2つの環を言い、ここで、1つの環は5員を有し、他の環は6員を有し、ここで、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。同様に、6,6−融合環ヘテロアリーレンは共に融合した2つの環を言い、ここで、1つの環は6員を有し、他の環は6員を有し、ここで、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。そして、6,5−融合環ヘテロアリーレンは共に融合した2つの環を言い、ここで、1つの環は6員を有し、他の環は5員を有し、ここで、少なくとも1つの環はヘテロアリール環である。ヘテロアリール基は炭素またはヘテロ原子をとおして、分子の残りの部分に付加することができる。アリールおよびヘテロアリールの例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリール、3−フリール、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6‐キノリルが挙げられるが、これらに限定されない。上記に示されるアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、以下に示される許容される置換基の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換基の部分として、それぞれ、アリールおよびヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。
用語「オキソ」は、本明細書で使用されるとき、炭素原子に二重結合された酸素を意味する。
用語「アルキルスルホニル」は、本明細書で使用されるとき、式−S(O2)−R′を有する部分を意味し、ここで、R′は上記に定義されるアルキル基である。R′は特定の数の炭素を有することがある(例えば、「C1−C4アルキルスルホニル」)。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示されるラジカルの置換および非置換形の両方を含む。各種のラジカルについて好ましい置換基は以下に提供される。
(多くの場合、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基を含む)アルキルおよびヘテロアルキルラジカルについての置換基は、0〜(2m′+1)の範囲の数の、非限定的に、−OR′、=O、=NR′、=N−OR′、−NR′R′′、−SR′、−ハロゲン、−SiR′R′′R′′′、−OC(O)R′、−C(O)R′、−CO2R′、−CONR′R′′、−OC(O)NR′R′′、−NR′′C(O)R′、−NR′−C(O)NR′′R′′′、−NR′′C(O)2R′、−NR−C(NR′R′′R′′′)=NR′′′′、−NR−C(NR′R′′)=NR′′′、−S(O)R′、−S(O)2R′、−S(O)2NR′R′′、−NRSO2R′、−CN、および−NO2から選択される様々な基のうちの1つ以上であることができ、ここで、m′はこのようなラジカルの炭素原子の総数である。R′、R′′、R′′′、およびR′′′′それぞれは、好ましくは独立に、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール(例えば、1〜3のハロゲンで置換されるアリール)、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシ、もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を言う。本発明に係る化合物が1つ超のR基を含むとき、例えば、R基のそれぞれは独立に選択され、R′、R′′、R′′′、およびR′′′′基のうちの1つ超が存在するとき、これらの基それぞれも独立に選択される。R′およびR′′が同じ窒素原子に付加されるとき、それらは窒素原子と結合し、4、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、−NR′R′′としては、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。置換基の上記議論から、当業者は、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、−CF3および−CH2CF3)およびアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3など)などの、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基を含むことを意味すると、理解するであろう。
アルキルラジカルについて示された置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基についての置換基は多様であり、0〜芳香環系の開放原子価の総数の範囲の数の、例えば、−OR′、−NR′R′′、−SR′、−ハロゲン、−SiR′R′′R′′′、−OC(O)R′、−C(O)R′、−CO2R′、−CONR′R′′、−OC(O)NR′R′′、−NR′′C(O)R′、−NR′−C(O)NR′′R′′′、−NR′′C(O)2R′、−NR−C(NR′R′′R′′′)=NR′′′′、−NR−C(NR′R′′)=NR′′′、−S(O)R′、−S(O)2R′、−S(O)2NR′R′′、−NRSO2R′、−CN、−NO2、−R′、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1−C4)アルキルから選択され、ここで、R′、R′′、R′′′、およびR′′′′は、好ましくは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。本発明に係る化合物が1つ超のR基を含むとき、例えば、R基のそれぞれは独立に選択され、R′、R′′、R′′′、およびR′′′′基のうちの1つ超が存在するとき、これらの基それぞれも独立に選択される。
2つ以上の置換基が任意に接合され、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル基を形成することがある。このようないわゆる環形成置換基は典型的に、必ずではないが、環状基礎構造に付加されることが見られる。1つの実施形態では、環形成置換基は基礎構造の近隣の構成員に付加される。例えば、環状基礎構造の近隣の構成員に付加された、2つの環形成置換基は融合環構造を作成する。別の実施形態では、環形成置換基は基礎構造の単一の構成員に付加される。例えば、環状基礎構造の単一の構成員に付加された、2つの環形成置換基はスピロ環状構造を作成する。また別の実施形態では、環形成置換基は基礎構造の非近隣の構成員に付加される。
アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−T−C(O)−(CRR′)q−U−の環を形成することがあり、ここで、TおよびUは独立に、−NR−、−O−、−CRR′−、または単結合であり、qは0〜3の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−A−(CH2)r−B−の置換基と置き換えられることがあり、ここで、AおよびBは独立に、−CRR′−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR′−、または単結合であり、rは1〜4の整数である。そのように形成された新規環の単結合のうちの1つは、任意に二重結合と置き換えられることがある。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の近隣の原子上の置換基のうちの2つは、任意に式−(CRR′)s−X′−(C′′R′′′)d−の置換基と置き換えられることがあり、ここで、sおよびdは独立に、0〜3の整数であり、X′は−O−、−NR′−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−S(O)2NR′−である。置換基R、R′、R′′、およびR′′′は好ましくは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、および置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
本明細書で使用されるとき、用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」は酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素(Si)を含むことを意味する。
「置換基」は、本明細書で使用されるとき、以下の部分(A)および(B)から選択される基を意味する。
(A)−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール
(B)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下の(i)および(ii)から選択される少なくとも1つの置換基で置換されるもの
(i)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール
(ii)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールであって、以下の(a)および(b)から選択される少なくとも1つの置換基で置換されるもの
(a)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール
(b)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、および非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換基で置換される、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール
「サイズ限定置換基(substituent)」または「サイズ限定置換基(substituent group)」は、本明細書で使用されるとき、「置換基」について上記に記載される置換基の全てから選択される基を意味し、ここで、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C4−C8シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換4〜8員ヘテロシクロアルキルである。
「低級置換基(substituent)」または「低級置換基(substituent group)」は、本明細書で使用されるとき、「置換基」について上記に記載される置換基の全てから選択される基を意味し、ここで、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C5−C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルである。
特に指示がない限り、本明細書に示される構造は、その構造の全ての立体化学形態、すなわち、各不斉中心についてのRおよびS配置を含むこともまた意味する。それゆえ、本発明に係る化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマーおよびジアステレオマー混合物は本発明の範囲内である。
特に指示がない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体富化原子の存在においてのみ異なる化合物を含むこともまた意味する。例えば、水素が重水素または三重水素により置き換えられた、または炭素が13C−または14C−富化炭素により置き換えられたことを除いては、本発明に係る構造を有する化合物は本発明の範囲内である。
本発明に係る化合物は、このような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で、不自然な割合の原子同位体を含有することもまたある。例えば、これらの化合物は、例えば、三重水素(3H)、ヨウ素−125(125I)、または炭素−14(14C)などの放射活性同位体で放射標識されることがある。本発明に係る化合物の全ての同位体変形は、放射活性であろうとなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
用語「a」、「an」、または「a(n)」は、本明細書で置換基の群に関して使用されるとき、少なくとも1つを意味する。例えば、化合物が「an(1つの)」アルキルまたはアリールで置換される場合、この化合物は任意に少なくとも1つのアルキルおよび/または少なくとも1つのアリールで置換される。さらに、ある部分がR置換基で置換される場合、この基は「R置換された」と言われることがある。ある部分がR置換された場合、この部分は少なくとも1つのR置換基で置換され、かつ各R置換基は任意に異なる。特定のR基が(式(I)などの)化学種の記載に存在する場合、ローマアルファベット記号が、その特定のR基の各外観を区別するために使用されることがある。例えば、多数のR27置換基が存在する場合、各R27置換基はR27A、R27B、R27C、R27Dなどのように区別されることがあり、ここで、R27A、R27B、R27C、R27DなどのそれぞれはR27の定義の範囲内で、および任意に異なって定義される。数値の文脈における用語「約」は、別の明白な記載がない限り、数値±その数値の10%を言う。
本発明に係る化合物の記載は、当業者に既知の化学結合の原理により限定される。したがって、基がいくつかの置換基のうちの1つ以上により置換されうる場合、このような置換基は化学結合の原理に従うように、かつ本質的に不安定でない、および/または水性、中性、およびいくつかの既知の生理学的条件などの環境条件下で不安定であろうと当業者に知られるであろう化合物を与えるよう選択される。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、当業者に既知の化学結合の原理に従って、それにより本質的に不安定な化合物を避けて、環ヘテロ原子により分子の残りの部分に付加される。
用語「有効な量」、「治療的に有効な量」などは、所望の生物学的結果を誘発するために十分な活性剤の量を言う。その結果は疾患の兆候、症状、もしくは原因の軽減、または生物系の任意の他の所望の変化であり得る。用語「治療的に有効な量」は、投与に際して疾患状態(例えば、化学脅威剤への暴露)における改善をもたらす、本明細書に開示される化合物またはその製剤の任意の量を示すために本明細書で使用される。この量は処置される状態、状態の進行段階、および適用される製剤の種類および濃度と共に変化するであろう。任意のある場合における適切な量は当業者に容易に明らかであり、またはルーチン実験により決定することができるであろう。
用語「化学剤」、「化学脅威剤」などは、慣例の意味で、対象において病理学的状態、例えば、無能力、痙攣などを引き出す化合物を言う。例示的な化学脅威剤は生体毒素、びらん剤、血液剤、腐食剤(例えば、酸、塩基)、窒息剤、肺窒息剤、呼吸器系窒息剤、無能力化剤、長期活性血液凝固阻止剤、金属、神経剤、有機溶媒、暴動鎮圧剤、催涙ガス、毒性アルコール、および嘔吐剤を含む。化学脅威剤は化学兵器であり得る。化学脅威剤は、神経が器官にメッセージを伝達する機構を破壊する神経剤でもまたあり得る。破壊は、アセチルコリンエステラーゼを阻害すること(すなわち、その活性を低下させること)により引き起こされることがある。例えば、サリン(イソプロピルメチルホスホノフルオリデート)、パラチオン(O,O−ジエチルO−4−ニトロフェニルホスホロチオエート)、アルジカルブ((E)−2−メチル−2−(メチルチオ)プロパナールO−メチルカルバモイルオキシム)、およびVX(S−2−(ジイソプロピルアミノ)エチルO−エチルメチルホスホノチオエート)。化学脅威剤(例えば、神経剤)はリン含有有機化学物質(有機リン酸塩)であり得る。いくつかの化学脅威剤(すなわち、いわゆる「GABA剤」)、例えば、「テトラミン(TETS)」としても知られるテトラメチレンジスルホテトラミン(2,6−ジチア−1,3,5,7−テトラアザ−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン2,2,6,6−テトラオキシド)は、GABAニューロンの機能および/または塩化物チャネルを妨害する。いくつかの化学脅威剤、例えば、シアニド、フルオロ酢酸ナトリウム、三酸化ヒ素、およびストリキニーネは、本分野において知られるように、いわゆる「代謝毒」または血液を標的にする化合物である。1つの実施形態では、本明細書で企図される化学脅威剤は硫黄マスタード、塩素ガス、ホスゲン、または2−クロロエチルエチルスルフィド(CEES)を含む、国際公開第2010/016965号に開示される剤を含まない。
本明細書で使用されるとき、「処置」もしくは「処置する」または「緩和する」または「改善させる」は、本明細書で相互変換可能に使用される。これらの用語は、非限定的に、治療的利点および/または予防的利点を含む、有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを言う。治療的利点は、処置される、基礎障害の根絶または改善を意味する。また、治療的利点は、患者が基礎障害にまだ苦しめられることがあっても、改善がその患者で観察されるような、基礎障害に関連する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶または改善で達成される。予防的利点のために、疾患の診断がなされていない場合でさえも、組成物が化学脅威剤への暴露の危険性のある患者に、またはこの疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に投与されることがある。処置は、疾患を妨げること、すなわち、疾患の誘発前の保護組成物の投与により疾患の臨床的症状を発症しないようにすること;疾患を抑制すること、すなわち、誘発的事象後であるが、疾患の臨床的出現または再発前の保護組成物の投与により疾患の臨床的症状を発症しないようにすること;疾患を阻害すること、すなわち、臨床的症状の始めの出現後の保護組成物の投与により臨床的症状の発症を阻止すること;疾患の再発を妨げることおよび/または疾患を緩和すること、すなわち、臨床的症状の始めの出現後の保護組成物の投与により臨床的症状の後退をもたらすことを含む。
用語「医薬として許容される塩」は、本分野において周知の様々な有機および無機対イオンに由来する塩を言い、例示目的のためにのみ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどを含み、その分子が塩基性官能基を含有するとき、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機または無機酸の塩を含む。
「対象」、「個体」、または「患者」は本明細書で相互変換可能に使用され、脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを言う。哺乳類としては、マウス、サル、ヒト、家畜、狩猟動物、および愛玩動物が挙げられるが、これらに限定されない。インビトロで得られたまたはインビトロで培養された生物学的実体の組織、細胞、およびそれらの後代もまた包含される。1つの実施形態では、対象または患者は小児である。ある実施形態では、対象または患者は幼児である。ある実施形態では、対象または患者は乳児である。1つの実施形態では、対象または患者は成人である。
本明細書で定義されるように、用語「小児(単数)」または「小児(複数)」は、本明細書で使用されるとき、3歳超から青年前までの年齢の人を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「幼児(単数)」または「幼児(複数)」は12ヶ月超から最高3歳までの年齢の人を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「乳児」は12ヶ月以下の年齢の人を意味する。用語「成人」は青年の年齢を過ぎた人を意味する。
II.方法
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法が提供される。化学脅威剤は神経剤であり得る。化学脅威剤は抗コリンエステラーゼ剤、GABA剤、または代謝毒として機能することがある。この方法は本明細書に開示される式(I)〜(XVII)のうちのいずれかの構造を有する基から選択される、有効な量の化合物を対象に投与することを含む。
1つの実施形態では、化合物は式(I)または式(II)の構造、
を有する。
式(I)では、置換ポルフィリンは、例えば、式(II)のように、金属に結合することがある。金属はマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛(これらのイオンを含む)であり得る。例えば、式(II)では、または本明細書に示されるいずれかの式では、Mはマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛(これらのイオンを含む)である。したがって、ある特定の実施形態では、金属はマンガンであり、化合物は式(III)の構造、
を有する。
式(I)〜(III)のいずれかでは、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立に、−CF
3、−CO
2R
8、−COR
8′、
である。
式(I)〜(III)についての1つの実施形態では、R
1、R
2、R
3、およびR
4は
であり得る。
1つの実施形態では、R
1およびR
3は独立に、−CO
2R
8または−COR
8’である。R
2およびR
4は独立に、−CF
3または
であり得る。1つの実施形態では、R
1およびR
3は独立に、−CO
2R
8であり、R
2およびR
4は−CF
3である。1つの実施形態では、R
1およびR
3は独立に、−CO
2R
8であり、R
2およびR
4は独立に、
である。
R1、R2、R3、およびR4が正電荷を含有する場合、当業者は、この化合物が溶液中に存在する場合、陰イオン性化合物または分子が存在するであろうことを即座に認識するであろう。任意の適用可能な陰イオン性化合物は正電荷置換基に対する対イオンとして使用され得る分子であり、例えば、塩化物、フッ化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩、またはリン酸塩を含む。
この実施形態についてさらに、R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロアリールである。R25は非置換アルキルである。1つの実施形態では、R25はC1−10アルキル(例えば、−CH3またはC1−5アルキル)などの非置換アルキルである。Mは金属(例えば、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛)である。
1つの実施形態では、R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、置換もしくは非置換C1−C10(例えば、C1−C6)アルキル、置換もしくは非置換2〜10員(例えば、2〜6員)ヘテロアルキル、置換もしくは非置換C3−C8(例えば、C5−C7)シクロアルキル、置換もしくは非置換3〜8員(例えば、3〜6員)ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換C5−C8(例えば、C5−C6)アリール、または置換もしくは非置換5〜8員(例えば、5〜6員)ヘテロアリールであり得る。1つの実施形態では、R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24のうちの1つ以上は非置換である。1つの実施形態では、R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24は独立に、水素または置換もしくは非置換C1−C10(例えば、C1−C6またはC1−C3)アルキルである。
1つの実施形態では、R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、およびR24は独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、R26置換もしくは非置換アルキル、R26置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R26置換もしくは非置換シクロアルキル、R26置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R26置換もしくは非置換アリール、またはR26置換もしくは非置換ヘテロアリールであり得る。R26はハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、R27置換もしくは非置換アルキル、R27置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R27置換もしくは非置換シクロアルキル、R27置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R27置換もしくは非置換アリール、またはR27置換もしくは非置換ヘテロアリールである。1つの実施形態では、R26はハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、R27置換もしくは非置換C1−C10(例えば、C1−C6)アルキル、R27置換もしくは非置換2〜10員(例えば2〜6員)ヘテロアルキル、R27置換もしくは非置換C3−C8(例えば、C5−C7)シクロアルキル、R27置換もしくは非置換3〜8員(例えば、3〜6員)ヘテロシクロアルキル、R27置換もしくは非置換C5−C8(例えば、C5−C6)アリール、またはR27置換もしくは非置換5〜8員(例えば、5〜6員)ヘテロアリールである。R27はハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、R28置換もしくは非置換アルキル、R28置換もしくは非置換ヘテロアルキル、R28置換もしくは非置換シクロアルキル、R28置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R28置換もしくは非置換アリール、またはR28置換もしくは非置換ヘテロアリールである。1つの実施形態では、R27はハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、R28置換もしくは非置換C1−C10(例えば、C1−C6)アルキル、R28置換もしくは非置換2〜10員(例えば2〜6員)ヘテロアルキル、R28置換もしくは非置換C3−C8(例えば、C5−C7)シクロアルキル、R28置換もしくは非置換3〜8員(例えば、3〜6員)ヘテロシクロアルキル、R28置換もしくは非置換C5−C8(例えば、C5−C6)アリール、またはR28置換もしくは非置換5〜8員(例えば、5〜6員)ヘテロアリールである。R28はハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、または非置換ヘテロアリールである。
1つの実施形態では、R26および/またはR27は置換基、サイズ限定置換基、または低級置換基で置換される。別の実施形態では、R27およびR28は独立に、ハロゲン、−CN、−CF3、−OH、−NH2、−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、−CH2COOH、非置換C1−C10(例えば、C1−C6)アルキル、非置換2〜10員(例えば、2〜6員)ヘテロアルキル、非置換C3−C8(例えば、C5−C7)シクロアルキル、非置換3〜8員(例えば、3〜6員)ヘテロシクロアルキル、非置換C5−C8(例えば、C5−C6)アリール、または非置換5〜8員(例えば、5〜6員)ヘテロアリールである。
1つの実施形態では、各R5、R6、R7、R8、R8’、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、およびR25は同じであるまたは異なることがあり、それぞれ独立に、アルキル、具体的にはC1−20アルキル、より具体的にはC1−10アルキル、さらにより具体的にはC1−4アルキル、さらにより具体的にはメチル、エチル、またはプロピルであり得る。
1つの実施形態では、R8およびR8’は独立に、水素または非置換アルキル(例えば、非置換C1−10アルキル)である。R8’は水素でもまたあり得る。R8はメチルであり得る。
1つの実施形態では、R9は−COOH、−COOR25、−CH2COOR25、または−CH2COOHである。R9は−COOR25または−CH2COOR25でもまたあり得る。ある特定の実施形態では、R9は−COOR25である。1つの関連する実施形態では、R25はメチルなどの非置換C1−C10アルキルである。
1つの実施形態では、R
1およびR
3はそれぞれ独立に、−CO
2−CH
3、または
であることがあり、R
2およびR
4はそれぞれ独立に、−CF
3、
であり得る。
1つの実施形態では、メタロポルフィリン化合物は式:
を有することがある。
別の特定の実施形態では、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ独立に、
であり得る。
1つの実施形態では、本発明に係るメタロポルフィリン化合物は式:
を有することがある。
1つの実施形態では、上記の化合物(例えば、式(I)〜(IX))中に記載される各置換される基は少なくとも1つの置換基で置換される。より具体的には、1つの実施形態では、上記の化合物(例えば、式(I)〜(IX))中に記載される、各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリールは少なくとも1つの置換基で置換される。1つの実施形態では、これらの基のうちの少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つのサイズ限定置換基で置換される。あるいは、これらの基のうちの少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換される。
上記に記載される化合物(例えば、式(I)〜(IX))の1つの実施形態では、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C3−C8シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換3〜8員ヘテロシクロアルキルである。
1つの実施形態では、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C5−C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルである。
1つの実施形態では、化合物は式(X)〜(XV)のうちの1つの構造、
を有する。
この実施形態についてさらに、R1a、R2a、R3a、およびR4aは独立に、−(CH2)mCH2OX1または−(CH2CH2O)nX1であり、mは1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1または2であり、nは3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3、4、または5であり、X1は置換または非置換C1−12アルキル、好ましくは非置換C1−12アルキル(直鎖または分枝)、より好ましくはC1−8アルキル、さらにより好ましくはC1−4アルキルであり、Mは金属(マンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛)であり、各Aは独立に、水素または電子求引基である。各R1a、R2a、R3a、およびR4aは同じであり得る。用語「電子求引基」、「EWG」などは、通常、かつ慣例の意味で、系(例えば、pi系)から電子密度を除去し、したがってその系をより求電子性にする、原子または官能基を言う。
1つの実施形態では、化合物は式(XVI)〜(XVII)のうちの1つの構造、
有する。
この実施形態についてさらに、R1bまたはR1c、R2bまたはR2c、R3bまたはR3c、およびR4bまたはR4cのうちの少なくとも1つは独立に、−(CH2)pCH2OX2または−(CH2CH2O)qX2であり、R1bまたはR1c、R2bまたはR2c、R3bまたはR3c、およびR4bまたはR4cのうちの他の1つは独立に、C1−12アルキル(直鎖または分枝)、好ましくはC1−8アルキル、より好ましくはC1、C2、C3、またはC4アルキルであり、pは1〜6、好ましくは104、より好ましくは1または2であり、qは3〜50、好ましくは3〜10、より好ましくは3または5であり、X2は置換または非置換C1−12、好ましくはC1−12アルキル(直鎖または分枝)、より好ましくはC1−8アルキル、さらにより好ましくはC1−4アルキルであり、Mは金属(例えば、マンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛)であり、各Aは独立に、水素または電子求引基である。有利に、各R1b、R1c、R2b、R2c、R3b、R3c、R4b、およびR4cは同じであることができ、−(CH2CH2O)qX2である。
化合物が式(X)〜(XVII)であるとき、各Aは独立に、水素または電子求引基、例えば、ハロゲン(例えば、CI、Br、またはF)、NO2、またはCHOであり、好ましくは各Aは水素またはハロゲンであり、より好ましくは少なくとも1つのAはハロゲンであり、残りのA′は水素であり、さらにより好ましくは1〜4のA′は独立に、ClまたはBrであり、残りのA′は水素である。Mはマンガン、鉄、銅、コバルト、ニッケル、および亜鉛からなる群から選択される金属(好ましくはマンガン)である。
1つの実施形態では、式(X)〜(XVII)の構造を有する化合物中に記載される各置換基は、少なくとも1つの置換基で置換される。より具体的には、1つの実施形態では、式(X)〜(XVII)の構造を有する化合物中に記載される、各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリールは、少なくとも1つの置換基で置換される。1つの実施形態では、これらの基のうちの少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つのサイズ限定置換基で置換される。あるいは、これらの基のうちの少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換される。
式(X)〜(XVII)の構造を有する化合物の1つの実施形態では、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C3−C8シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換3〜8員ヘテロシクロアルキルである。1つの実施形態では、各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1−C8アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2〜8員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアルキルは置換または非置換C5−C7シクロアルキルであり、各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルである。
本明細書に開示される任意の実施形態についてさらに、化合物は対イオンZを伴って形成することができ、式(X)〜(XVII)の化合物について以下のように、
が例として挙げられるが、これらに限定されない。
1つの実施形態では、式(I)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(II)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(III)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(IV)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(V)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(VI)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(VII)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(VIII)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(IX)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(X)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XI)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XII)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XIII)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XIV)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XV)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XVI)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。1つの実施形態では、式(XVII)の化合物は対イオンZを伴って形成することができる。
対イオンZは陰イオン、例えば、ハロゲン(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、有機陰イオン塩基(例えば、酢酸塩など)、無機塩基(例えば、硫化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩)などである。
1つの実施形態では、化合物は式(I)の構造を有する。1つの実施形態では、化合物は式(II)の構造を有する。化合物が式(II)の構造を有する場合、1つの実施形態では、金属はマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である。1つの実施形態では、金属はマンガンである。
化合物が式(I)または式(II)の構造を有する実施形態についてさらに、1つの実施形態では、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ、
であり、R
5およびR
6は独立に、非置換アルキル(例えば、非置換C
1−C
10アルキル)である。R
5およびR
6は独立に、非置換C
1−C
6アルキルであり得る。R
5およびR
6は独立に、非置換C
1−C
5アルキルであり得る。R
5およびR
6は独立に、非置換C
1−C
4アルキルであり得る。R
5およびR
6は独立に、非置換C
1−C
3アルキルであり得る。R
5およびR
6は独立に、非置換C
1−C
2アルキルであり得る。1つの実施形態では、化合物は以下の式(VII)の構造、
を有する。
本明細書に開示される任意の実施形態についてさらに、1つの実施形態では、化学脅威剤は発作、神経病理、または発作および神経病理の両方を引き起こす。1つの実施形態では、化学脅威剤は発作を引き起こす。1つの実施形態では、化学脅威剤は神経病理を引き起こす。
1つの実施形態では、化学脅威剤は神経剤である。用語「神経剤」などは、通常、かつ慣例の意味で、神経がメッセージを伝達する機構を破壊する化合物を言う。1つの実施形態では、神経剤はアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより神経シグナルを破壊する。用語「抗アセチルコリンエステラーゼ」、「抗コリンエステラーゼ」などは、通常、かつ慣例の意味で、(例えば、化学脅威剤への暴露に際して)アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することができる剤を言う。アセチルコリンエステラーゼは、本分野において周知のように、神経伝達物質アセチルコリンを加水分解し、アセチル基およびコリンを生成する。1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼの阻害は対象においてアセチルコリンレベルの上昇およびアセチルコリン持続期間の延長をもたらす。自律神経系での抗コリンエステラーゼの効果は徐脈、低血圧、分泌過多、気管支収縮、胃腸管自発運動過剰を含むことができ、眼内圧を低下させる。神経筋接合部での作用は長期の筋肉収縮を含み得る。抗コリンエステラーゼの効果は発作および/または神経病理を含み得る。
1つの実施形態では、化学脅威剤はサリン、パラチオン、アルジカルブ、またはテトラミン(TETS)である。1つの実施形態では、化学脅威剤は血液を標的にする。1つの実施形態では、化学脅威剤はシアニド、フルオロ酢酸ナトリウム、三酸化ヒ素、またはストリキニーネである。
1つの実施形態では、化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置の効果は、本明細書に開示される化合物の投与後、ある期間(すなわち、「有効な期間」)続く。1つの実施形態では、効果は少なくとも10、20、30、40、50、60、90、120、150、180、もしくは240分間、またはさらにそれ以上の有効な期間、続く。1つの実施形態では、効果は少なくとも1、2、3、4、5、6、12、または24時間もの有効な期間、続く。1つの実施形態では、効果は少なくとも90分間続く。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg/日、好ましくは0.1〜10mg/kg/日、より好ましくは0.1〜6mg/kg/日の範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。1つの実施形態では、投与量は成人において、約1、3、5、7、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg/日、またはさらにそれ以上である。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)の構造を有する化合物は、化学脅威剤(例えば、抗コリンエステラーゼ剤などの神経剤、GABA剤、または代謝毒)に対する任意の解毒剤または予防薬との組み合わせで投与される。
解毒剤または予防薬は抗コリン薬、抗発作剤、もしくはアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤、または抗コリン薬、抗発作剤、もしくはアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤のうちの1つ、2つ、または3つの組み合わせであることができる。抗コリン薬は本明細書に開示されるまたは本分野において既知の抗コリン薬であることができる。抗発作剤は本明細書に開示されるまたは本分野において既知の抗発作剤であることができる。アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤は本明細書に開示されるまたは本分野において既知のアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤であることができる。1つの実施形態では、解毒剤または予防剤は、化学脅威剤により阻害されたアセチルコリンエステラーゼ活性を回復させる。
別の態様では、脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法が提供される。この方法は上記に開示される、式(I)〜(XVII)のいずれかから選択される、有効な量の化合物を対象に投与することを含む。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有する。
1つの実施形態では、脳傷害は発作から生ずる。発作は化学脅威剤への暴露から生じ得る。1つの実施形態では、脳傷害は認知機能障害である。用語「認知機能障害」などは、通常、かつ慣例の意味で、思考、記憶、推理などの知的機能の損失を言う。
1つの実施形態では、脳傷害は発作から生じ、発作は化学脅威剤への暴露から生じ、化学脅威剤は抗コリンエステラーゼ剤である。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg/日、好ましくは0.1〜10mg/kg/日、より好ましくは0.1〜6mg/kg/日の範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。1つの実施形態では、投与量は成人において、約1、3、5、7、10、20、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000mg/日、またはさらにそれ以上である。
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、方法は対象に抗コリン剤を投与することをさらに含む。用語「抗コリン薬(名詞)」、「抗コリン剤」などは、通常、かつ慣例の意味で、中枢および末端神経系において神経伝達物質アセチルコリンの作用をブロックする化合物を言う。ムスカリン受容体での例示的な抗コリン薬、すなわち、本分野において知られるように「抗ムスカリン剤」は、アトロピン、ベンズトロピン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム、グリコピロレート、オキシブチニン、トルテロジン、クロルフェナミン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナートなどを含む。ニコチン受容体での例示的な抗コリン薬、すなわち、本分野において知られるように「抗ニコチン剤」はブプロピオン、ヘキサメトニウム、ツボクラリン、デキストロメトルファン、メカミラミン、ドキサクリウムなどを含む。
1つの実施形態では、抗コリン剤はアトロピンである。本分野において周知のように、アトロピンはムスカリン受容体について競合することにより、ムスカリン受容体部位でアセチルコリン(ACh)を競合的にブロックする。したがって、ムスカリン受容体の妨害は上昇したアセチルコリンレベルを改善させる。1つの実施形態では、好ましい抗コリン薬はヒト対象においてアトロピンより毒性が少ない。毒性は、集団の50%にとって毒性である用量である、LD50の計算を含む、本分野において既知の様々な方法により評価することができる。
1つの実施形態では、抗コリン剤は成人において、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、6.0mg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される。投与は、より小さな一定分量の抗コリン剤のボーラス投与または連続投与、例えば、速い連続の投与、例えば、2、4、6、8、10、15、20分部により行うことができる。抗コリン剤の投与は本分野において知られるように、副交感神経刺激様活性、昏睡、および/または心血管虚脱の症状を予防するまたは処置するために必要に応じて繰り返すことができる。1つの実施形態では、アトロピンは成人において、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、6.0mg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される。小児への投与量は必要に応じて調節することができる。例えば、概して6ヶ月未満の年齢の乳児への投与量は約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75mg、またはそれ以上であり得る。投与量は、より小さな一定分量の抗コリン剤、例えば、アトロピンの連続投与により投与することができる。15〜40ポンドの体重の乳児および小児への投与量は0.10、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50mg、またはさらにそれ以上であり得る。40〜90ポンドの体重の小児への投与量は約0.20、0.40、0.60、0.80、1.00、1.20、1.40、1.60、1.80、2.00、2.20、2.40、2.60、2.80、3.00mg、またはさらにそれ以上であり得る。
1つの実施形態では、式(VII)の化合物は抗コリン薬と共に投与される。1つの実施形態では、抗コリン薬はアトロピンである。
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、方法は対象に抗発作剤を投与することをさらに含む。用語「抗発作剤」などは、通常、かつ慣例の意味で、発作に先立つまたは発作期間中の、ニューロンの速く、かつ過剰な発火を抑制するために有用な化合物を言う。例示的な抗発作剤はベンゾジアゼピン(クロバザム、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパムなど)を含む。1つの実施形態では、抗発作剤はベンゾジアゼピンである。1つの実施形態では、抗発作剤はジアゼパムである。1つの実施形態では、抗発作剤はミダゾラムである。
1つの実施形態では、抗発作剤は成人において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される。1つの実施形態では、抗発作剤は小児において、約10、50、100、200、300、400、500mg/kg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される。1つの実施形態では、投与は静脈内(i.v.)または筋内(i.m.)である。1つの実施形態では、投与は筋内(i.m.)である。1つの実施形態では、抗発作剤は成人において、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20mg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される、ジアゼパムである。1つの実施形態では、抗発作剤は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20mg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される、ミダゾラムである。
1つの実施形態では、式(VII)の化合物は抗発作剤と共に投与される。1つの実施形態では、抗発作剤はジアゼパムである。1つの実施形態では、抗発作剤はミダゾラムである。
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、方法は、本明細書に開示されるように、抗コリン剤および抗発作剤を組み合わせで対象に投与することをさらに含む。
1つの実施形態では、投与される化合物は式(VII)の構造を有し、方法は本明細書で開示されるように、抗コリン剤および抗発作剤を組み合わせで対象に投与することをさらに含む。1つの実施形態では、抗コリン薬はアトロピンである。1つの実施形態では、抗発作剤はジアゼパムである。1つの実施形態では、抗発作剤はミダゾラムである。
1つの実施形態では、抗コリン剤および抗発作剤との組み合わせの、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物の投与は、対象に相乗的利点をもたらす。本明細書に記載される化合物の共投与の文脈における用語「相乗的」、「相乗的利点」、「相乗効果」、「相乗治療効果」、「相乗的に有効な量」などは、他の化合物(単数)または化合物(複数)の不在下での各化合物の投与に際する効果の合計に対し、2つ以上の化合物が投与されたとき、相加的を超える(例えば、超相加的)応答(例えば、生物学的応答)を言う。例えば、2つの化合物が相乗治療効果を提供する場合、両方の化合物の共投与に際して観察される治療効果は、いずれかの化合物が他の化合物の不在下で投与されるときに観察される治療効果の合計より大きい。このように、第1の量の第1の化合物、および第2の量の第2の化合物は共に、両方の化合物の共投与に際して観察される治療効果が、いずれかの化合物が他の化合物の不在下で投与されるときに観察される治療効果の合計より大きい場合、相乗的に有効な量を提供する。相乗的利点が達成される場合、医薬として活性な剤は総計の相乗的量で提供される。
1つの実施形態では、抗コリン剤および抗発作剤との組み合わせの、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物の投与結果は、1)式(I)〜(XVII)の構造の投与による処置単独と、2)抗発作剤との組み合わせの抗コリン剤での処置単独と、の効果の合計と比較して、より効果的である(すなわち、この化合物および剤が総計の相乗的量で提供される、相乗的利点)。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜6mg/kgの範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。この投与単独の効果は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、または6.0mg、好ましくは約2〜6mgの範囲内の投与量で投与される抗コリン剤と、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、好ましくは約10〜30mgの範囲内の投与量で投与される抗発作剤と、の投与に際しての総計の効果と比較することができる。式(I)〜(XVII)の構造を有する化合物、抗コリン剤、および抗発作剤の三元の組み合わせの効果は、式(I)〜(XVII)の構造を有する化合物の投与単独の効果と、抗コリン剤および抗発作剤の二元の組み合わせの投与単独の効果と、の合計と比較し、相乗的利点を定量することができる。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜6mg/kgの範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。抗コリン剤、好ましくはアトロピンは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、または6.0mg、好ましくは約2〜6mgの範囲内の投与量で投与されることがある。抗発作剤、好ましくはジアゼパムまたはミダゾラムは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、好ましくは約10〜30mgの範囲内の投与量で投与されることがある。式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物、抗コリン剤、および抗発作剤の三元の組み合わせの効果は、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物の投与単独の効果と、抗コリン剤および抗発作剤の二元の組み合わせの投与単独の効果と、の合計と比較し、相乗的利点を定量することができる。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
1つの実施形態では、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜6mg/kgの範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。アトロピンは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、または6.0mg、好ましくは約2〜6mgの範囲内の投与量で投与されることがある。ジアゼパムは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、好ましくは約10〜30mgの範囲内の投与量で投与されることがある。式(VII)の構造を有する化合物、アトロピン、およびジアゼパムの三元の組み合わせの効果は、式(VII)の構造を有する化合物の投与単独の効果と、アトロピンおよびジアゼパムの二元の組み合わせの投与単独の効果と、の合計と比較し、相乗的利点を定量することができる。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
1つの実施形態では、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜6mg/kgの範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。アトロピンは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、または6.0mg、好ましくは約2〜6mgの範囲内の投与量で投与されることがある。ミダゾラムは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、好ましくは約10〜30mgの範囲内の投与量で投与されることがある。式(VII)の構造を有する化合物、アトロピン、およびミダゾラムの三元の組み合わせの効果は、式(VII)の構造を有する化合物の投与単独の効果と、アトロピンおよびミダゾラムの二元の組み合わせの投与単独の効果と、の合計と比較し、相乗的利点を定量することができる。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、方法はアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤を対象に投与することをさらに含む。用語「アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤」などは、通常、かつ慣例の意味で、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤などの化学脅威剤での、化学反応のために非活性化されたアセチルコリンエステラーゼ部位で、触媒活性を再生するために有用な化合物を言う。例えば、Luo,C.,et al.,2007,Biochemistry 46:11771−11779を参照のこと。有用なアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤は本分野において知られ、HI−6([(E)−[1−[(4−カルバモイルピリジン−1−イウム−1−イル)メトキシメチル]ピリジン−2−イリデン]メチル]−オキソアザニウムジクロリド)、プラリドキシム(2−ピリジンアルドキシムメチルクロリド(2−PAM)、およびオビドキシム(1,1′−[オキシビス(メチレン)]ビス{4−[(E)−(ヒドロキシイミノ)メチル]ピリジニウム})などを含む。例えば、Dawson,R.M.,1994,J.Appl.Toxicol.14:317−331、Koplovitz,I.& Stewart,J.R.,1994,Toxicol.Lett.70:269−279、Marrs,TC,1993,Pharmac.Ther.58:51−66、Rousseaux,C.G.& Dua,A.K.,1989,Can.J.Physiol.Pharmacol.,67:1183−1189を参照のこと。1つの実施形態では、本明細書に提供される方法は、式(I)〜(XVII)の化合物および2−PAMを(例えば、総計の相乗的量で、かつ相乗的利点を達成して)投与することを含む。
1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤は成人において、約5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100mg/kg、またはさらにそれ以上、好ましくは約30mg/kgの投与量で投与される。1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤は小児において、約5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、または100mg/kg、またはさらにそれ以上、好ましくは20〜50mg/kgの投与量で投与される。1つの実施形態では、アセチルコリン再活性化剤の開始投与に、1〜20mg/kg/時間、好ましくは5〜10mg/kg/時間の維持点滴が続く。アセチルコリン再活性化剤の開始投与は任意の手段、例えば、静脈内、筋内、または皮下により行うことができる。1つの実施形態では、開始投与は約100、200、300、400、500、600、700mg/時間、またはさらにそれ以上の連続点滴としての静脈内である。1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤の投与は連続的であり、ここで、一定分量のアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤の投与は例えば、5、10、15、20、25、30、40、50、60分間、またはそれ以上の期間にわたり起こる。1つの好ましい実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤の開始投与は筋内である。1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤はプラリドキシムである。1つの実施形態では、プラリドキシムは成人において、約5、10、15、20、25、30、35、40、50mg/kg、またはさらにそれ以上の投与量で投与される。1つの好ましい実施形態では、プラリドキシムの投与は筋内であり、プラリドキシムの投与量は1〜2gである。
1つの実施形態では、抗コリン剤、抗発作剤、およびアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤との組み合わせの、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物の投与は、1)式(I)〜(XVII)の構造の投与による処置単独と、2)抗発作剤との組み合わせであって、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤とのさらなる組み合わせの抗コリン剤での処置単独と、の合計の効果と比較して相乗的利点をもたらす。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはさらに95%である。
1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物は約0.01〜50mg/kg、好ましくは0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜6mg/kgの範囲内の投与量で(例えば、非経口でまたは局所で)投与される。この投与単独の効果は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、4.0、5.0、または6.0mg、好ましくは約2〜6mgの範囲内の投与量で投与される抗コリン剤と、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50mg、好ましくは約10〜30mgの範囲内の投与量で投与される抗発作剤と、約5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100mg/kgの投与量のアセチルコリン再活性化剤と、の投与に際しての総計の効果と比較することができる。式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の構造を有する化合物、抗コリン剤、抗発作剤、およびアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤の四元の組み合わせの効果は、式(I)〜(XVII)の構造を有する化合物の投与単独の効果と、抗コリン剤、抗発作剤、およびアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤の三元の組み合わせの投与単独の効果と、の合計と比較し、相乗的利点を定量することができる。1つの実施形態では、相乗的利点は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%である。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有し、抗コリン剤はアトロピンであり、抗発作剤はジアゼパムであり、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤はプラリドキシムである。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有し、抗コリン剤はアトロピンであり、抗発作剤はミダゾラムであり、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤はプラリドキシムである。
1つの実施形態では、化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、方法は式(I)〜(XVII)、例えば、式(VII)の化合物と、抗コリン剤および抗発作剤との組み合わせのアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤と、を対象に投与することをさらに含む。1つの実施形態では、投与される化合物は式(VII)の構造を有し、方法は、本明細書に開示されるように、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤、抗コリン剤、および抗発作剤を組み合わせで対象に投与することをさらに含む。1つの実施形態では、抗コリン薬はアトロピンである。1つの実施形態では、抗発作剤はジアゼパムである。1つの実施形態では、抗発作剤はミダゾラムである。1つの実施形態では、アセチルコリンエステラーゼ再活性化剤はプラリドキシムである。
化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法、または脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法であって、脳傷害が発作から生じ、発作が化学脅威剤への暴露から生ずる、脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)のいずれか1つ、例えば、式(VII)の構造を有する化合物の投与は、化学脅威剤への暴露前に起こる。1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)のいずれか1つの化合物の投与は、化学脅威剤への暴露の、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120分、またはさらにそれ以上前に起こる。1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)のいずれか1つの化合物の投与は化学脅威剤への暴露の少なくとも30分前に起こる。1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)のいずれか1つの化合物の投与は化学脅威剤への暴露の少なくとも60分前に起こる。1つの実施形態では、式(I)〜(XVII)のいずれか1つの化合物の投与は化学脅威剤への暴露の少なくとも90分前に起こる。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有する。
脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、脳傷害の低下効果は、式(I)〜(XVII)の化合物の投与後、少なくとも30、60、90、120、180、240、300分間、またはさらにそれ以上続く。1つの実施形態では、脳傷害の低下効果は少なくとも30分間続く。1つの実施形態では、脳傷害の低下効果は少なくとも60分間続く。1つの実施形態では、脳傷害の低下効果は少なくとも90分間続く。1つの実施形態では、脳傷害の低下効果は少なくとも120分間続く。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有する。
脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法についてさらに、1つの実施形態では、化合物は式(I)または式(II)の構造を有する。1つの実施形態では、化合物は式(II)の構造を有する。1つの実施形態では、金属はマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である。1つの実施形態では、金属はマンガンである。1つの実施形態では、式(I)または式(II)の構造を有する化合物について、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ、
であり、R
5およびR
6は独立に、非置換アルキルである。1つの実施形態では、化合物は式(VII)の構造を有する。
III.医薬組成物
上記に示される化合物は、金属結合形態であろうと、金属を含まない形態であろうと、本方法における使用に好適な医薬組成物に調合することができる。このような組成物は、医薬として許容される担体、賦形剤、または希釈剤を伴う、活性剤(メタロポルフィリン化合物)を含む。組成物は投与単位形態、例えば、錠剤、カプセル、または坐剤で存在することができる。組成物は滅菌溶液、例えば、注入(例えば、皮下、i.p.、またはi.v.)または噴霧に好適な溶液の形態でもまたあり得る。組成物は眼科使用に好適な形態でもまたあり得る。本発明は、例えば、ローション、クリーム、ジェル、または軟膏の形態を取る組成物などの、局所投与のために調合された組成物もまた含む。組成物に含まれるべき活性剤の濃度は、この剤の性質、投与計画、および求められる結果に基づいて選択することができる。化合物を、リソソームに被包し、これにより送達を向上させるよう標的化することもまたできる。
1つの実施形態では、メタロポルフィリン化合物は医薬組成物の一部を形成することがある。医薬組成物は、本明細書に開示されるメタロポルフィリン化合物、および医薬として許容される賦形剤を含むことがある。「医薬として許容される賦形剤」は、活性剤と有害に反応しない、経腸または非経口投与に好適な、医薬として、かつ生理学的に許容される、有機または無機担体物質を含む。好適な医薬として許容される担体は、水、(リンガー溶液などの)塩溶液、アルコール、油、ゼラチン、ならびに(ラクトース、アミロース、またはデンプンなどの)炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む。このような調製物は滅菌し、所望の場合、活性剤と有害に反応しない、潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色および/または芳香物質などの補助剤と混合することができる。
1つの実施形態では、処置化合物(例えば、本明細書に記載されるメタロポルフィリン化合物またはメタロポルフィリン触媒抗酸化組成物)は医薬組成物の一部を形成し、ここで、この医薬組成物は処置化合物および医薬として許容される賦形剤を含む。1つの実施形態では、医薬組成物は透過剤(例えば、サリチル酸塩、脂肪酸、または金属キレート剤)を含む。
医薬組成物は、経腸、経口、舌下、頬、非経口、眼、鼻内、肺、直腸、膣内、経皮、および局所経路を含む、任意の投与経路のために調合することができる。非経口投与としては、静脈内、筋内、皮下、皮内、腹腔内、幹内、動脈内注入および点滴が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物は、既知の方法および賦形剤を用いて、即時放出または調節放出、例えば、調節、持続、延長、遅延、もしくは拍動放出のために調合することができる。
1つの実施形態では、医薬組成物は局所組成物、注入組成物、吸入剤、持続放出組成物、または経口組成物として調合される。処置化合物は好ましくは、例えば、皮下注入による、非経口投与のために調合される。皮下または代替の種類の投与が使用される場合、化合物は、長引く活動プロファイルを有するように誘導体化され、または調合されることがある。
別の実施形態では、医薬組成物は標的化ミセル、分解性ポリマー投与形態、多孔性ミクロスフィア、ポリマー骨格、リポソーム、またはハイドロゲルに調合される。
処置化合物は医薬として有用な組成物を調製するための既知の方法に従って調合されることがある。例示的な製剤は、安定で、かつ適切な希釈剤または高純度の水溶液で任意の医薬として許容される担体、保存剤、賦形剤、または安定化剤を伴って再構築されるものであろう。例えば、Remington,1980,PHARMACEUTICAL SCIENCES,16th editionを参照のこと。医薬組成物は安定性のため、および投与のために好適なpHを達成するための医薬として許容される緩衝液を含むことがある。
非経口投与のために、処置化合物は単位投与注入形態(溶液、懸濁物、またはエマルジョン)中に、医薬として許容される担体を伴って調合することができる。好ましくは、本分野において既知の、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコールなどの、1つ以上の医薬として許容される抗菌剤が添加されることがある。
1つの実施形態では、1つ以上の医薬として許容される塩(例えば、塩化ナトリウム)、糖(例えば、マンニトール)、または他の賦形剤(例えば、グリセリン)が、イオン強度または張度を調節するために添加されることがある。
投与されるべき組成物の投与量は過度の実験なしに決定することができ、(金属結合か、金属を含まないかを含む)活性剤の性質、投与経路、患者、および達成されるよう求められる結果を含む、様々な要因に依存するであろう。(例えば、i.v.または局所で)投与されるべきミメティックの好適な投与量は約0.01〜50mg/kg/日、好ましくは、0.1〜10mg/kg/日、より好ましくは0.1〜6mg/kg/日の範囲内であると予想することができる。エーロゾル投与のために、用量は、0.001〜5.0mg/kg/日、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の範囲内であろうと予想される。好適な用量は、例えば、化合物で、および求められる結果で、変化するであろう。
本明細書に開示される方法に従って細胞/組織/器官を処置するために使用される溶液中に存在する化合物の濃度は容易に決定することができ、活性剤、細胞/組織/器官、および求められる効果で変化するであろう。
本明細書に開示される、ある特定の態様は、以下の非限定的な実施例においてより詳細に説明することができる。
以下の実施例は本発明のある特定の実施形態を例示し、本発明の範囲を限定することは意味しない。
本明細書中の実施形態は以下の実施例および詳細なプロトコルによりさらに例示される。しかしながら、実施例は実施形態を例示すると単に意図され、本明細書中の範囲を限定するとは解釈されるべきでない。この出願全体において引用される全ての参考文献ならびに公開特許および特許出願の内容は参照により本明細書に援用される。
[実施例1]
ピロカルピンおよびカイニン酸誘発てんかん発作重積状態後の、触媒抗酸化剤による神経保護
要約
原理:理論に束縛されるものではないが、てんかん発作重積状態(SE)は重大な酸化ストレスおよびミトコンドリア機能障害をもたらすと考えられる。活性酸素種は、側頭葉てんかん(TLE)の発症に関連する神経細胞死の促進において活性であり得る、ミトコンドリア機能障害の仲介物質である。この研究の目的は、ミトコンドリア酸化ストレスがSE後の海馬神経細胞死に寄与するかどうか、およびSE後に投与された合成触媒抗酸化剤が2つの化学痙攣薬モデルにおいて神経保護を提供し得るかどうかを決定することであった。
方法:成体Sprague−Dawleyラットに媒体、カイニン酸(11mg/kg)またはピロカルピン(340mg/kg)を注入してSEを開始させ、続いて媒体または合成メタロポルフィリン触媒抗酸化剤AEOL10150(5mg/kg、s.c.)で、SE開始60〜90分後に開始し、48時間で殺すまで4〜6時間毎に、処置した。化学痙攣薬/AEOL10150処置ラットの海馬における神経保護の証拠をSE48時間後に、変性ニューロンのマーカーであるFluoro−Jade B染色、およびImage J分析を用いて計測した。酸化損傷をSE24時間後に、それぞれHPLC法による、3−ニトロチロシン/チロシン(3NT/tyr)率、および還元/酸化グルタチオン(GSH/GSSG)率の計測により、評価した。ラット脳内のAEOL10150の濃度もまた決定した。
結果:細胞傷害を示すFluoro−Jade B染色が、ピロカルピンおよびカイニン酸処置ラットの海馬全体で、SE48時間後に広く見られた。AEOL10150を受けたピロカルピン処置ラットでは、細胞傷害はCA1において約40%、CA3および門部において60%低下した。AEOL10150を受けたカイニン酸処置ラットでは、細胞傷害はCA3および門部において約40%低下した。AEOL10150はピロカルピン処置ラットの海馬において酸化ストレス指標(3−NT/tyr率およびGSH/GSSG率)を顕著に低下させた。脳内のAEOL10150レベルの計測は、全身投与後に海馬および皮質における神経保護濃度を達成するAEOL10150の能力を明らかにした。
結論:これらのデータは、SE開始60〜90分後に投与されたときの、触媒メタロポルフィリン抗酸化剤の、海馬において酸化損傷を阻害し、神経保護を提供する能力を示す。これらの結果は、酸化ストレスがSE後の神経保護の可能性のある標的であり得ることを示唆する。
序文
中枢神経系は、受容体およびシグナル伝達と相互作用する化学毒物、例えば、神経剤または有機リン系殺虫剤の感受性標的である。文献中の研究は、発作活性および下流の影響の制御が神経剤暴露後の神経保護および生存に重要であることを確立している。米国国立衛生研究所Counter Actプログラムによる、医薬対応策を開発する最近の努力により、AEOL10150が、多数の化学脅威剤に対する広い有効性を有するリード化合物として特定された。AEOL10150は、スーパーオキシドラジカル(O2 −.)、過酸化水素(H2O2)、過酸化亜硝酸(ONOO−)、および脂質ペルオキシルラジカルに対する幅広い活性を有する触媒抗酸化剤である。過去10年間にわたる我々の研究室による仕事は、神経傷害の多くの細胞および動物モデルにおけるメタロポルフィリンの有効性を示す。我々は、酸化ストレスが長い発作の重大な結果であり、発作誘発神経細胞死に寄与することもまた確立している。発作活性の誘発はいくつかの化学脅威剤、例えば、神経剤および有機リン系殺虫剤の重要な機構であるので、AEOL10150がこのような剤に対する神経保護を発揮するかどうかを決定することは重要である。この研究の目的は、AEOL10150が、痙攣薬の注入90分後に投与されたとき、ピロカルピンおよびカイニン酸誘発発作に対する神経保護を発揮するかどうかを決定することであった。
本目的は、ミトコンドリア酸化ストレスがSE後の海馬の神経細胞死に寄与するかどうか、およびSE後に投与された合成触媒抗酸化剤が2つの化学痙攣薬モデルにおいて神経保護を提供し得るかどうかを決定することである。
方法
動物。雄Sprague−Dawleyラットを、メチルスコポラミン(1mg/kg)i.p.またはカイニン酸(11mg/kg、s.c.)での事前処置後に、ピロカルピン塩酸塩(340mg/kg)i.p.で処置し、てんかん発作重積状態(SE)を誘発した。動物を、SE90分後、およびその後、殺すまで4時間毎に、生理食塩水またはAEOL10150(5mg/kg)s.c.により処置した。酸化ストレスをSE24時間後に計測し、ニューロン死をSE48時間後にFluoro−Jade B染色により評価した。
行動発作のモニタリング。SE中の行動発作の重篤さを、最初の処置6時間後について直接観察により評価し、運動発作のみを考慮して、改変されたRacineスケールに基づいてスコア付けした(クラスIおよびII発作はスコア付けしなかった)。Racine R.J.,1972,Electroencephalogr.Clin.Neurophysiol.32:269−279を参照のこと。簡単に説明すると、運動発作の重篤さは以下のように特徴付けられた:クラスIII、動物は前弯姿勢を伴って前肢クローヌスを示した;クラスIV、動物は付随する前肢クローヌスを伴って後肢で立った;クラスV、動物はクラスIVの発作を有し、ひっくり返った。少なくともクラスIII痙攣発作を有するラットのみを研究に含めた。
組織化学分析。文献中に記載される方法に従って、ラット脳パラフィン切片(10μm)を冠状切断し、Fluoro−Jade B(Histo−Chem Inc.,Jefferson,AR)で染色した。例えば、Hopkins,KJ,et al.,2000,Brain Res 864:69−80、Liang LP,et al.,2008,J Neurosci 28:11550−11556を参照のこと。ある領域内のFluoro−Jade B陽性シグナルをImage J(National Institutes of Health,Bethesda,MD)で推定した。
HPLC分析。アスコルビン酸塩、システイン、シスチン、グルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)、チロシン、3−ニトロチロシン(3−NT)を文献中に以前に示されるように、8個の電気化学検出器セルで装備した、ESA(Chelmsford,MA)5600 CoulArray(登録商標)HPLCに供した。例えば、Beal MF,et al.,1990,J Neurochem 55:1327−1339、Liang LP,et al.,2007,J Neurosci 27:4326−4333を参照のこと。
統計学分析。生存分析をKaplan−Meier法を用いて行った。全ての生化学分析について、二元配置分散分析法を使用した。0.05未満のP値は有意であると考えられた。
結果
AEOL10150の構造は以下のとおりである。Cu−Zn SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)と比較したAEOL10150の抗酸化効果は表1中に提供される。SOD活性の単位はpH10.2でのスーパーオキシドによるエピネフリンの還元の1/2を阻害する化合物量として定義される。CAT:Clarke電極により計測されるカタラーゼ活性。HPLCによる4HNE分析。
図1A〜1Cは、AEOL10150が、本分野において知られるように、マウスにおいて全身投与後にBBB(血液脳関門)を通過し、MPTP(1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン)神経毒性に対して保護することを示す。
図2A〜2Cは、AEOL10150が、ピロカルピン誘発GSH/GSSG変化を減衰させることを示す。
図3A〜3Cは、AEOL10150が、ピロカルピン誘発システイン/シスチン変化を減衰させることを示す。
図4A〜4Bは、AEOL10150が、3−ニトロチロシン/チロシン率のピロカルピン誘発上昇を減衰させることを示す。
図5A〜5Bは、AEOL10150が、ピロカルピン誘発海馬細胞死を減衰させることを示す。
図6A〜6Fおよび図7A〜7Bは、AEOL10150が、カイニン酸誘発海馬細胞死を減衰させることを示す。
図8A〜8Bは、単離された海馬シナプトソームにおける酸素消費速度(OCR)はピロカルピンまたはカイニン酸の注入後に低下することを示す。
要約。図1〜8は、AEOL10150が、マウスにおいて全身投与後にBBBを通過することを示す;AEOL10150は、ピロカルピンまたはカイニン酸処置90分後の酸化ストレス指標を阻害する;AEOL10150は、ピロカルピンまたはカイニン酸処置90分後の海馬細胞損失を阻害する;ピロカルピンまたはカイニン酸誘発発作は酸素消費速度の低下をもたらす。
[実施例2]
神経毒性剤に対するAEOL10150の神経保護効果
序文。化学戦争剤(例えば、化学脅威剤)は軍人および一般人にとって計りしれない脅威である。中枢神経系(CNS)は、受容体およびシグナル伝達と相互作用する化学毒物、例えば、神経剤または有機リン系殺虫剤の感受性標的である。例えば、Jett,D.A.& D.T.Yeung,Proc Am Thorac Soc.7(4):254−6を参照のこと。文献中の研究は、発作活性および下流の影響の制御が神経剤後の神経保護および生存に重要であることを確立している。例えば、Shih,T.M.,et al.,2003,Toxicol Appl Pharmacol 188(2):69−80を参照のこと。したがって、本研究プロジェクトの目的は、神経剤に対する新規および有効な神経保護対応策を開発することである。米国国立衛生研究所Counter Actプログラムによる、医薬対応策を開発する最近の努力により、AEOL10150が、多数の化学脅威剤に対する広い有効性を有するリード化合物として特定された。AEOL10150は、スーパーオキシドラジカル(O2 −.)、過酸化水素(H2O2)、過酸化亜硝酸(ONOO−)、および脂質ペルオキシルラジカルに対する幅広い活性を有する触媒抗酸化剤である。例えば、Day,B.J.,2004,Drug Discovery Today9(13):557−66を参照のこと。過去10年間にわたるPIおよび共同研究者による仕事は、神経傷害の多くの細胞および動物モデルにおけるメタロポルフィリンの有効性を示す。例えば、Patel,M.,2003,Aging Cell 2(4):219−222、Patel,M.,1998,Neurochem 71:1068−1074、Patel,M.& B.J.Day,1999,Trends Pharmacol Sci 20:359−364、Patel,M.,et al.,1996,Neuron 16:345−355、Sheng,H.,et al.,2002,Free Radical Biology & Medicine 33(7):947−61、Li,Q.Y.,et al.,2001,J Neurochem 78(4):746−55、Liang,L.P.,et al.,2000,Neuroscience 101(3):563−70を参照のこと。PI研究室は、酸化ストレスが長い発作の重大な結果であり、発作誘発神経細胞死に寄与することもまた確立している。例えば、Liang,L.P.,Y,2000(同上)、 Liang,L.P.,et al.,2008,J Neurosci 28(45):11550−6、Waldbaum,S.,et al.,2010,Journal of Neurochemistry 115(5):1172−1182を参照のこと。発作活性の誘発はいくつかの化学脅威剤、例えば、神経剤および有機リン系殺虫剤の重要な機構であるので、AEOL10150がこのような剤に対する神経保護を発揮するかどうかを決定することは重要である。
AEOL10150のいくつかの重要な属性はリード医薬対応策剤としての、その速い開発を支持する。1)AEOL10150は安全性についてのフェーズ1ヒト臨床試験を、悪い事象の低発生率をもって完了し、このことはAEOL10150の開発を促進することができる。2)AEOL10150は、放射線、塩素、およびマスタードガスを含む、いくつかの脅威物に対して有効である。例えば、O′Neill,H.C.,et al.,2010,Free Radic Biol Med 48(9):1188−96、Gould,N.S.,et al.,2009,J Pharmacol Exp Ther 328(3):732−9を参照のこと。3)AEOL10150は皮下注入後に有利な薬物動態特性を有し、このことは医薬対応策としてのその使用のために理想的である。4)AEOL10150は、暴露後、すなわち、化学脅威剤後に投与されたとき、実験モデルにおいて有効であり、このことは化学物質暴露後のその自己投与を許容する。
したがって、このプロジェクトの目的は、ピロカルピンを代用剤として用いて、AEOL10150が、神経剤に対する神経保護医薬対応策剤であるかどうかを決定することである。サリンおよびVXなどの神経剤は、東京地下鉄襲撃およびイランイラク戦争における使用により証明されるように、動物および暴露された個人において発作を急速に誘発することが知られる。例えば、Jett,D.A.& D.T.Yeung,Proc Am Thorac Soc.7(4):254−6、Jett,D.A.,Sci Transl Med.2(23):23ps12を参照のこと。我々は、ピロカルピン誘発発作は重大な酸化ストレスをもたらすことを示している。例えば、Waldbaum,S.,et al.,2010(同上)を参照のこと。それゆえ、AEOL10150による活性酸素種(ROS)の触媒的除去は酸化ストレスを鈍らせ、代謝機能障害、神経こう症、および神経細胞損失などの下流の変化を予防すると予想される。
説得力のあるインビボ予備データは、1)ピロカルピンが酸化ストレスおよびミトコンドリア機能障害を生成すること、2)AEOL10150が、げっ歯類の脳へ通過可能であること、および3)AEOL10150がピロカルピン誘発酸化ストレスおよび神経細胞死を阻害することを示す。以下の各特定のねらいの特定の目的は、神経保護の用量、機構、および治療ウィンドウを確立することを含む。以下のパラメータ、1)投与量の最適化のための、血液脳関門(BBB)通過性および薬物動態パラメータ、2)酸化ストレス指標(還元および酸化グルタチオン、3−ニトロチロシンレベル、8−ヒドロキシ−2′−デオキシグアノシン(8−OHdG)、4−ヒドロキシノネナール(4−HNE)レベル)、3)ミトコンドリア酸素消費速度および解糖代謝、4)一日24時間/週7日ビデオEEGモニタリングを用いた発作活性、5)神経細胞損失(Fluoro−Jade B分析)、および5)神経こう症(星状細胞およびミクログリアマーカー)は計測することができる。
特定のねらい。第1の特定のねらいは、ラットにおけるAEOL10150のBBB通過性を決定することである。これは、a)血漿および脳の濃度を決定すること、およびb)最適用量および投与計画の確立を含む。第2の特定のねらいは、ラットにおけるピロカルピン暴露に対するAEOL10150の神経保護有効性を評価することである。これは、a)ピロカルピン誘発発作、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、神経細胞損失、および神経こう症に対する、AEOL10150の有効性および治療ウィンドウを決定すること、およびb)標準の治療(ジアゼパムおよびアトロピン)の投与後の、AEOL10150の神経保護有効性を決定することを含む。
背景および意義
発作は神経剤の重大な結果である。神経剤、代謝毒、または高レベルの硫黄マスタードへの暴露は発作および意識喪失のきっかけとなり得る。発作の誘発は、CNSを標的にする神経剤の通常の兆候である。例えば、Jett,D.A.& D.T.Yeung(同上)、Jett,D.A.(同上)を参照のこと。それゆえ、医薬対応策を2つのレベルで介入させることは重要である。介入の第1のレベルは通常、剤と細胞標的との特定の相互作用のために起こる症状を改善させることである。神経剤および有機リン系殺虫剤はアセチルコリンエステラーゼ(AChE)に結合し、かつそれを阻害し、コリン性状態の持続的上昇を引き起こす。これは、アトロピンおよび他のコリン性アンタゴニストにより制御され得る、筋麻痺、心肺抑制、粘膜からの大量分泌、眼の刺激、およびぼやけたまたはかすんだ視力を含む、神経剤中毒の急性効果を生成する。介入の第2のレベルは脅威剤への遅延傷害応答を標的にすることである。発作活性は、神経剤および有機リン暴露について通常の、最も重大な傷害応答である。例えば、Shih,T.M.,et al.,2003,Toxicol Appl Pharmacol 188(2):69−80、Shih,T.,et al.,1999,J Biomed Sci6(2):86−96を参照のこと。
酸化ストレスは化学痙攣薬の結果である。ミトコンドリア代謝、生体異物解毒作用、および他の酵素鎖反応の重要な副生成物はROSの生成である。ROSの過剰な生成は抗酸化防御を圧倒し、脆弱な細胞標的の酸化をもたらし得る。この研究室からの仕事は、ピロカルピンおよびカイニン酸などの化学痙攣薬から生ずる発作は、ミトコンドリアDNA、感受性ミトコンドリアタンパク質、および細胞脂質を酸化的に損傷することを示している。例えば、Patel,M.,2004,Free Radic Biol Med 37(12):1951−62を参照のこと。SEの急性結果であることに加えて、ミトコンドリアROS生成は行動分析により評価される慢性てんかんの発症直前に再出現し、このことは、ROS形成はてんかん発生に寄与し得ることを示唆する。例えば、Jarrett,S.G.,et al.,2008,Neurobiol Dis,30:130−138を参照のこと。
触媒抗酸化剤であるAEOL10150は多数の剤に対する広い有効性を有する医薬対応策である。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)および/またはカタラーゼの小さな分子模倣物であり、脂質過酸化物およびONOO
−の強力な阻害剤である、触媒抗酸化剤は格別の有望性を有した。例えば、Day,B.J.,2004,Drug Discov Today 9(13):557−66を参照のこと。それらは触媒であり、単なるフリーラジカルスカベンジャーではないため、これらの化合物は、化学量論的に作用するビタミンEなどの食物添加物よりずっと強力な抗酸化剤である。マンガンメソポルフィリン触媒抗酸化剤(例えば、AEOL10150、表2)は、化学量論的抗酸化剤のような幅広い反応性と、内因性抗酸化酵素の触媒有効性と、を組み合わせる。表2はAEOL10150の、(パルス放射線分解により計測される)スーパーオキシド、過酸化水素(Clark酸素電極[Day,B.J.,2004,Drug Discovery Today 9(13):57−66])、過酸化亜硝酸(ストップ−フロー)を破壊する効果、および脂質過酸化(F2−イソプロスタン[Kachadourian,R.,et al.,2004,Biochemical Pharmacology,67(1):77−85])を阻害する効果を開示する。
これらの合成化合物は、それらの、BBBおよび様々な細胞内区画を横切る能力を向上させるために化学的に改変することができる。メタロポルフィリンは4〜48時間の範囲の血漿半減期を有する。Patelらは、原型の第一世代メタロポルフィリンである、MnTBAPの神経保護効果を最初に示した。例えば、Patel,M.,et al.,1996(同上)を参照のこと。以後、それらの特性は最適化され、AEOL10113、AEOL10150、および経口で生物が利用可能なAEOL11207の開発をもたらした。これらの化合物の有効性は多数の神経傷害モデルにおいて示されている。例えば、Trova,M.P.,et al.,2003,Bioorganic & Medicinal Chemistry 11(13):695−707を参照のこと。例えば、親油性メタロポルフィリンであるAEOL11207は、経口投与後にインビボで1−メチル4−フェニルテトラヒドロピリジン(MPTP)神経毒性に対して保護した。例えば、Liang,L.P.,et al.,2007(同上)を参照のこと。ほとんどのメタロポルフィリンは体により大規模には代謝されず、大部分は尿中にそのまま排泄される。AEOL10150は、非常に高いSOD活性を有する原型の水溶性メタロポルフィリンである。重量に基づいて、そのSOD活性はCuZnSODのSOD活性を上回る。AEOL10150は、H2O2の不均化もまた触媒し、強力なIC50で脂質過酸化を阻害し、ONOO‐を有効に除去する。例えば、Day,B.J.,Drug Discovery Today,2004.9(13):557−66、Day,B.J.,et al.,1999(同上)、Day,B.J.& J.D.Crapo,1996,Toxicology and Applied Pharmacology 140(1):4−100、Day,B.J.,et al.,1997,Archives of Biochemistry and Biophysics 347(2):256−262を参照のこと。
研究1:AEOL10150はマウスにおいて全身投与後にBBBを通過し、MPTP神経毒性に対して保護する。
MPTPはマウスにおいてパーキンソン症候群を誘発するために広く使用される原型の神経毒である。MPTP神経毒性は、主に複合体Iのレベルでのミトコンドリア電子伝達鎖の阻害、ならびに結果としての代謝阻害およびROS生成により起こると考えられる。図1A〜1C(実施例1)は、AEOL10150の、マウスBBBを通過し、MPTP誘発ドパミン作動性神経細胞損失および酸化ストレスを阻害する能力を示す。
結果および解釈:図1Aに示されるように、AEOL10150は、単回注入後、マウスの脳において150〜200pmol/gの濃度を達成した。AEOL10150の分子量に基づいて推定されたAEOL10150濃度は100〜200mMである。AEOL10150の強力な抗酸化活性プロファイルに基づいて、これらの濃度は神経保護を発揮することが予想される。
研究2。AEOL10150は、ピロカルピン処置90分後の酸化ストレス指標を阻害する。
我々の研究室の以前の仕事は、ピロカルピンを注入したラットの海馬における著しい酸化ストレスおよびミトコンドリア機能障害を示す。例えば、Waldbaum,S.,et al.,2008,Soc Neurosci Abstr,511.6を参照のこと。ここで、我々は、ピロカルピン誘発酸化ストレスに対するAEOL10150の効果を決定するための研究を行った。図3A〜3Bに示されるように、ピロカルピン90分後のAEOL10150の注入は、24時間後の海馬における酸化ストレス指標(3−ニトロチロシン/チロシン(3−NT/tyr)率、およびGSH/GSSG率)の統計的に有意な阻害をもたらした。
研究3。AEOL10150はピロカルピン処置90分後の海馬細胞損失を阻害する。
研究は、ピロカルピン誘発海馬細胞損失に対するAEOL10150の効果を決定するために行われた。
方法および結果:ラットに、生理食塩水(CON)またはピロカルピン(Pilo)を与えた90分後にs.c.でAEOL10150を注入し、その24時間後に殺した。文献に記載される方法の改変で、凍結切片(15μm)を冠状切断し、Fluoro−Jade B(Histo−Chem Inc.,Jefferson,AR)で染色した。例えば、Hopkins,K.Jet al.,2000,Brain Res.,864(1):69−80を参照のこと。画像を、落射蛍光レンズを装備した、Nikon Optiphot−2 80i顕微鏡(Nikon Inc.,Melville,NY)を用いて捕らえた。ある領域のFluoro−Jade B陽性シグナルをImage Jソフトウェアで計測した。相対的蛍光密度の平均は対照に対するパーセンテージとして表された。図5A〜5Bに示されるように、この研究は、AEOL10150の、門部およびCA3領域において海馬細胞損失を顕著に低下させる能力を示す。
研究4。ピロカルピンは、海馬において酸素消費速度を低下させる。
特定のねらい2の鍵となる終点は、Seahorse Biosciences細胞外流動分析器を用いてリアルタイムで代謝流動(酸素消費速度、OCR)を評価することである。これらの研究の実行可能性を支持するために、我々は、ピロカルピン対生理食塩水処置ラットからの、注入16時間後の、海馬シナプトソームにおけるOCRの低下を明らかに示す試験的データを提供する(1群当たりn=2ラットからの平均値、図10)。この研究は、ピロカルピン発作が海馬シナプトソームにおける刺激されたOCRの低下をもたらすことを示唆し、インビボのOCRのピロカルピン誘発変化に対するAEOL10150の効果を試験することの実行可能性を強調する。
要約。研究1〜4のデータは、AEOL10150の、治療的濃度でマウスの脳を通過し、ピロカルピン誘発酸化ストレスおよび神経細胞損失に対して保護する能力を示す。さらに、ピロカルピンは、ミトコンドリア機能の鍵となる指標である、OCRを低下させる。
研究戦略:特定のねらい1:ラットにおける、AEOL10150のBBB通過性を決定すること。
原理:AEOL10150の薬物動態プロファイルは、その有効性の研究の指針となるよう決定することができる。ラットにおけるその化合物の血漿および脳の濃度の計測は最適投与計画を決定するために必要であり、ピロカルピンラットモデルにおいて、その生物学的効果をインビボ有効性と互いに関係づける。加えて、マウスにおいてAEOL10150を用いたデータは、AEOL10150がマウスBBBを横断することを示す。
実験アプローチ:6〜10匹のラットの群に2.5、5、または10mg/kgのAEOL10150をs.c.経路により投与し(単回または多数回、すなわち、4、8、および24時間毎)、最後の注入後、様々な時間(1、3、6、12、24、および48時間)に殺すことができる。血液サンプルを得たら、ラットを、血液を含まずに灌流することができ、脳(海馬、梨状皮質、および前頭皮質)を分析のために回収することができる。化合物は本分野において既知の方法を用いて計測することができる。例えば、Kachadourian,R.,et al.,2004(同上)、Kachadourian,R., et al.,2003,Journal of Inorganic Biochemistry,95(4):240−8を参照のこと。
AEOL10150計測:AEOL10150は、AEOL11207について以前に記載されるように、HPLC−UV法により血漿および脳サンプルにおいて計測することができる。例えば、Liang,L.P.,et al.,2007,J Neurosci 27(16):4326−33を参照のこと。
分析:薬物レベルの薬物動態分析はPKAnalyst(登録商標)(MicroMath(登録商標)ソフトウェア)により分析することができる。以下のパラメータを得ることができる。1)血漿および脳中の除去T1/2、2)血漿および脳領域における分布T1/2、3)AEOL10150の分布体積(Vd)、4)血漿濃度がピークに達する時間、5)組織濃度がピークに達する時間、6)薬物バイオアベイラビリティの程度の尺度を与える、AUC(血漿レベル−時間曲線下の領域)、および7)AEOL101050のピーク血漿レベルおよびピーク脳レベル。
研究戦略:特定のねらい2:ラットにおいてピロカルピン暴露に対するAEOL10150の神経保護有効性を評価すること。
原理:このプロジェクトの目的は、AEOL10150が、発作の誘発により酸化ストレスを仲介する化学脅威剤に対する神経保護医薬対応策であるかどうかを決定することである。PIによる仕事は、ピロカルピンを含む様々な化学痙攣薬が脆弱な脳領域において重大な酸化ストレスを生成することを示している。例えば、Liang,L.P.,et al.,2000,Neuroscience 101(3):563−570、Waldbaum,S.,et al.,2010,Journal of Neurochemistry 115(5):1172−1182、Liang,L.P.& M.Patel,2006,Free Radic Biol Med 40(2):316−22を参照のこと。それゆえ、AEOL10150によるROSの触媒的除去は、酸化ストレスを鈍らせ、代謝機能障害、神経こう症、および神経細胞損失などの下流の変化を予防し、それにより化学物質襲撃からの脳の回復を助けると予想される。ビデオ−EEG分析、酸化ストレス指標、ミトコンドリア機能、解糖速度、および神経細胞死/神経こう症マーカー、ならびにそれらの評価時点は全て、試験的研究およびこの研究室の先行の仕事に基づく。
ねらい2a:AEOL10150単独を試験することの原理は、その治療ウィンドウ、ならびにそれが処置前および処置後パラダイムにおいて神経保護を発揮するために十分であるかどうかを決定することである。特定のねらい2aでは、我々は、BBBを通過しない抗コリン剤であるスコポラミンの存在下または不在下での、(ピロカルピン30分前、60分、90分、3時間、および6時間後の処置による)AEOL10150の神経保護用量およびその治療ウィンドウを決定することができる。ビデオEEG分析は、AEOL10150がピロカルピン誘発発作活性に対して任意の効果を有するかどうかを決定することができる。最適用量を用いて、2つの別々の時点(ピロカルピン30分前およびピロカルピン後の選択された時間)により、AEOL10150の、24時間の期間にわたる発作活性に対する影響を決定することができる。
ねらい2b:神経剤暴露のための標準の治療、すなわち、抗コリン剤およびベンゾジアゼピンの不在下および存在下での、AEOL10150の神経保護有効性を決定することは重要である。プラリドキシミン(2−PAM)および/またはジアゼパムは神経剤中毒の第一線治療であるが、新規治療がそれ自体で、および標準の治療との組み合わせで働き得るかどうかを決定することは重要である。ねらい2bは、標準の治療(抗コリン剤およびジアゼパム)との組み合わせのAEOL10150の神経保護能力を決定する。アトロピン対2−PAMまたはカルバミン酸塩を用いることの原理はモデル依存的である。すなわち、ピロカルピンはムスカリン性アゴニストであるため、コリンエステラーゼにより働く2−PAMは無効であると考えられる。ピロカルピン5分後のアトロピン(0.5〜2mg/kg、i.m.)、および最初の運動発作30分後のジアゼパム(10〜20mg/kg、i.p.)での処置は、我々の経験、文献での発見、およびNIH Strategic Plan for Medical Countermeasuresで議論されるこれらの対応策の標準の使用に基づく。例えば、Shih,T.M.,et al.,3004,Toxicol Appl Pharmacol 188(2):69−80、Shih,T.,et al.,1999,J Biomed Sci 6(2):86−96、Shih,T.M.,et al.,2011,Toxicol Mech Methods 21(1):53−62を参照のこと。さらなる研究、ならびにねらい1および2aは各剤の最適用量、順序、およびタイミングを決定することができる。この組み合わせの、ピロカルピン誘発発作、酸化ストレス、および傷害に影響を与える能力は、ビデオEEG分析、酸化ストレス指標、ミトコンドリア機能、および神経細胞死/神経こう症マーカーを用いて評価することができる。
実験アプローチ
実験のタイミング。ねらい2aおよび2bのための研究の実験条件についてのタイムラインの概要図は図11に開示される。
ねらい2a。この研究の目的は以下の質問に解答することである。1)AEOL10150の最適用量および投与計画は?薬物動態分析(特定のねらい1)、ならびに酸化ストレス指標および細胞死の計測により、ピロカルピン誘発酸化ストレスおよび細胞死を最適に阻害する、AEOL10150の用量および投与頻度を決定することができる。2)AEOL10150神経保護の治療ウィンドウは?用量および投与頻度が確立されたら、統計的に有意な神経保護を生成する、ピロカルピン処置後の好機のウィンドウを決定することができる(以下の終点を参照のこと)。これはピロカルピン前または後のAEOL10150処置のタイミング(ピロカルピン30分前、60分、90分、3時間、および6時間後)を変化させることにより取り扱うことができる。末梢コリン作動系は、AEOL10150での最適なCNS神経保護を達成するためにブロックされる必要があるかどうかを決定するために、(ピロカルピン30分前に)スコポラミンを注入した1群の動物を含めることを計画する。最後に、3)AEOL10150は発作活性に対して任意の効果を有するか?AEOL10150の最適用量を用いて、AEOL10150の、発作活性に影響を与える能力は、24時間の期間にわたる連続ビデオ−EEGにより評価することができる。AEOL10150は、事前処置が効果を有するかどうかを決定するためにピロカルピン30分前に、および続く発作活性に対する任意の影響を決定するためにピロカルピン後の1つの選択された時点で投与することができる。
ねらい2b。神経剤暴露の標準の治療の不在下および存在下での、AEOL10150の神経保護有効性を決定するために、以下の処置群を行うことができる。1)対照、2)ピロカルピン、3)ピロカルピン+アトロピン、4)ピロカルピン+ジアゼパム、5)ピロカルピン+アトロピン+AEOL10150+ジアゼパム。(終点に対する効果を決定するための)薬物単独対照群は、1)ジアゼパム、2)AEOL10150、および3)アトロピンである。アトロピン(0.5〜2mg/kg用量範囲、i.m.、ピロカルピン5分後)およびジアゼパム(10〜20mg/kg用量範囲、i.p.、最初の運動発作30分後)の最適用量およびタイミングは研究から決定することができる。AEOL10150はs.c.経路により与えることができる(用量およびタイミングは特定のねらい2aから決定される)。終点は特定のねらい2aで議論されるものと同じであり得る。
終点。神経保護の終点は、ピロカルピン16時間後の海馬シナプトソームの、細胞外流動分析器(Seahorse Biosciences)を用いて計測することができる、ミトコンドリア機能(基礎的な呼吸、ATPターンオーバー、プロトン漏出、および最大呼吸能力)および解糖速度を含む。我々は、ピロカルピンおよびカイニン酸注入ラットからのシナプトソームにおいて、これらの分析を最適化した。ミトコンドリアアコニターゼは酸化損傷に非感受性である対照酵素として働くので、ミトコンドリアアコニターゼ活性は、ROSに対するその既知の感受性、ならびにそのミトコンドリアでの局在およびフマラーゼ活性のために計測され得る。例えば、Patel,M.,1996,Molecular Psychiatry 1:362−363を参照のこと。ATPレベルは(ADPおよびAMPも)生体エネルギー状態(16時間)をモニターするために計測することができる。
神経保護についての追加の終点は酸化ストレス指標(24時間)を含む。細胞酸化還元状態を評価するGSHおよびGSSG、求電子脂質過酸化最終生成物である4−HNE、酸化DNA損傷の指標である8OHdG/2dG、およびタンパク質窒化の指標である3−NTを含む、酸化ストレスのいくつかの指標は計測され得る。酸化ストレス指標(GSH/GSSG、4−NHE、および8−OHdg/2dG)の選択は、他の研究においてAEOL10150の保護効果を評価するために使用される標準のマーカーに合わせられている。加えて、ニトロソ化ストレス(3−NT)およびミトコンドリア酸化ストレス(アコニターゼ不活性化)についての情報を得るために、2つの追加のマーカー、3−NT/tyrおよびアコニターゼ/フマラーゼを含めた。
神経保護についての追加の終点は細胞死および神経こう症を含む。この研究の主な終点は神経細胞生存能力および傷害に対するグリア応答の評価である。神経細胞生存能力は立体解析学的方法により傷つけられたニューロンを検出するFluoro Jade B分析により評価することができる。神経こう症は、2および7日目時点での、星状細胞のマーカーであるGFAP、および活性化ミクログリアのマーカーであるIba1の分析により評価することができる。
組織および脳領域:AEOL10150レベルは血漿および海馬、梨状皮質および前頭皮質で計測され得る。酸化ストレス終点は海馬、梨状皮質、および小脳(対照領域)で計測され得る。神経細胞生存能力および神経こう症は海馬、梨状皮質、前頭皮質、および小脳(対照領域)で評価され得る。ミトコンドリア機能および解糖機能分析は海馬および梨状皮質からのシナプトソームで計測され得る。
方法:雄Sprague−Dawleyラット(200〜250g)を、340mg/kg塩酸ピロカルピンi.p.単独で、またはメチルスコポラミン(1mg/kg)i.p.(ねらい2a)での事前処置後もしくはアトロピン(0.5〜2mg/kg、i.m.)5分前のピロカルピンで処置し、続いて、ピロカルピン後の様々な時点でのAEOL10150、およびその後、最初の運動発作30分後のジアゼパム(10〜20mg/kg、i.p.)(ねらい2b)で処置することができる。全てのラットは直接観察することができ、改変Racineスケール[Racine,R.J.,1972,Electroencephalogr Clin Neurophysiol.32:281−94]に基づいて最低5回のP3発作を有するラットは、ピロカルピン30分前または90分、3時間、もしくは6時間後に開始して、その後、殺すまで4、8、24時間毎に生理食塩水またはAEOL10150s.c.のいずれかで処置することができる(ねらい2a)。 GSH、GSSG、8OHDdG/2dG、3NT、およびチロシンの計測は、先行の方法による電気化学およびUV検出器で装備したHPLCで行うことができる。例えば、Liang,L.P.,et al.,2007(同上)、Day,B.J.,et al.,1999,Free Radical Biology and Medicine 26(5−6):730−6、Hensley,K.,et al.,1998,J Neurosci 18(20):8126−32を参照のこと。4−HNEはHPLC−EC法、および確認のためにGCマススペクトロメトリーにより計測することができる。ミトコンドリア機能は、XF分析器を用いて、ピロカルピン16時間後に単離されたシナプトソーム(ねらい2における小区域)において分析することができる。細胞呼吸速度[OCR]に対する効果は、媒体、1.2μMオリゴマイシン(ATP合成酵素の阻害剤)、4μM FCCP(プロトン回路を短絡させ、最大呼吸を得るため)、1μMミキソチアゾールおよび2μM ロテノン(電子伝達を阻害するため)後に計測することができる。AMP、ADP、およびATPはHPLC−UVにより258nmで定量することができる。例えば、Sellevold,O.F.,et al.,1986,J Mol Cell Cardiol 18(5):517−27、Botker,H.E.,et al.,1994,J Mol Cell Cardiol,26(1):41−8を参照のこと。
統計分析:二元配置分散分析法を、処置と薬物との差を決定するために使用することができる。群の計測は平均±平均値の標準誤差として表すことができる。統計的有意差はNeuman−Keul事後試験で評価することができる。有意性のレベルはp<0.05に設定することができる。
[実施例3]
AEOL10150のBBB通過のさらなる調査。
テトラキスジエチルイミダゾリウムポルフィリンAEOL10150は生理学的pH条件下で少なくとも+5の正味の電荷を有するので、この化合物は受動拡散のみによって、例えば、内皮細胞、基底膜細胞、および/または星状細胞を含む、BBBを形成する細胞中の活性輸送系の不在では、血液脳関門(BBB)を通過するとは経験的に予想されないであろう。さらに、我々は、AEOL10150についての活性輸送系の証拠を発見していない。したがって、AEOL10150が実際にBBBを通過することは、驚きをもって発見された。
本分野において知られるような、脳内移植、脳室内拡散、または対流強化拡散を含まない様式による投与に際したAEOL10150の程度および分布を決定するために、ラットにAEOL10150の単回注入(5mg/kg、s.c.)、または多数回注入(5mg/kg、s.c.、24時間中4時間毎)のいずれかを投与した。図12中に示されるように、AEOL10150の濃度(pmol/g組織)を海馬および梨状皮質において定量した。AEOL10150の強力な抗酸化活性プロファイルに基づいて、図12中に報告される濃度は、少なくとも24時間、例えば、24〜48時間の間、4時間毎に投与されたとき、神経保護を発揮すると予想される。
[実施例4]
AEOL10150の神経保護効果の治療ウィンドウ。
ピロカルピン誘発酸化ストレスおよび神経細胞傷害に対するAEOL10150のタイミング(すなわち、いわゆる「治療ウィンドウ」)を含む、治療効果を決定するために、研究を行った。ラットは、ピロカルピン(340mg/kg、i.p.)を、単独で、またはAEOL10150(5mg/kg、s.c.)との組み合わせで受容した。
図13A〜13Bのヒストグラムでは、ピロカルピンを、単独で、またはピロカルピン処置60もしくは90分後およびその後、殺すまで4時間毎のAEOL10150の存在下で、受けた24時間後の、ラットのCA3(図13A)および門部(図13B)におけるFluoro−Jade B組織蛍光染色の定量分析が示される。各動物の3つのスライドからの海馬小区域のある領域におけるFluoro−Jade B陽性シグナルをImage J(rsb.info.nih.govウェブサイトで入手可能)で推定した。図13A〜13Bについて、バーは平均+平均値の標準誤差を示す。生理食塩水に対して*p<0.01、ピロカルピンに対して#p<0.05、一元配置分散分析法、1群当たりn=6ラット。
図14A〜14Bに示されるように、ピロカルピン投与60または90分後のAEOL10150の注入は、海馬における酸化ストレス指標(すなわち、GSH、GSSG、およびGSH/GSSG率、それぞれ、左、中央、および右パネル)の阻害をもたらした。
図14Bに示されるように、AEOL10150の30分前処置は酸化ストレス指標の最大保護をもたらし、次に、ピロカルピン処置60分後の処置は、90分後の処置より良好な保護を提供した。
図14Cでは、ピロカルピン単独、または加えて90分後、60分後、もしくは30分前の(右パネルのみ)、および殺すまで4時間毎に続けられるAEOL10150投与を伴うピロカルピン、24時間(左パネル)および48時間(右パネル)後の、ラットの海馬における3−ニトロチロシン/チロシン率が示される。
[実施例5]
ピロカルピン誘発ミトコンドリア呼吸障害に対するAEOL10150の効果。
ミトコンドリアROS生成は、ピロカルピン暴露後に起こる代謝機能障害を仲介するという仮説を試験するために、生理食塩水、ピロカルピン単独、およびピロカルピン+AEOL10150(後者は60分後およびその後、4時間毎に(q4h)24時間注入された)から単離されたシナプトソームにおいて酸素消費速度(OCR)を決定した。OCRを決定する方法は本分野において周知である。図15Aに示されるように、最大呼吸能力はAEOL10150およびピロカルピンの投与により救われる。実際に、ピロカルピンにより低下した最大呼吸速度(図15B)、ならびにATPターンオーバー、基礎呼吸速度、および解糖速度(データは示されていない)は、AEOL10150により大きく避けられた。このことは、ピロカルピン後の代謝機能障害は触媒抗酸化剤、例えば、AEOL10150により阻害されるという初めての証拠を提供する。
[実施例6]
AEOL10150はピロカルピン誘発ミクログリア活性化を阻害する。
酸化ストレスおよび神経細胞損傷は炎症を活性化し得る。したがって、我々は、ピロカルピン誘発発作による炎症細胞活性化はAEOL10150により阻害されるかどうかを調査した。図16A〜16Dを参照のこと。Iba1抗体染色組織化学手順により分析された、ピロカルピン処置ラットにおける海馬ミクログリア活性化は、AEOL10150により顕著に減衰された。図16E〜16Fを参照のこと。このことは、このモデルにおける炎症は酸化損傷の結果として起こるようであり、ROSを除去することは炎症を阻害し得るという証拠を提供する。
[実施例7]
組み合わせ治療におけるAEOL10150。
ピロカルピンを投与された対象の処置におけるAEOL10150の組み合わせの効果を決定するために、ラットモデルを使用した。雄Sprague−Dawleyラット(300〜350g)を4つの異なる群(生理食塩水、ピロカルピン単独、ピロカルピン+アトロピン+ジアゼパム、およびピロカルピン+アトロピン+AEOL10150+ジアゼパム)に分けた。
ピロカルピン(340mg/kg、s.c.)または生理食塩水を対象に投与した。アトロピン(1mg/kg、i.m.)または生理食塩水をピロカルピン10分後に投与した。AEOL10150(5mg/kg、s.c.)または生理食塩水を、ピロカルピン60分後およびその後、殺すまで4時間毎に投与した。ジアゼパム(10mg/kg、i.p.)または生理食塩水をピロカルピン90分後に投与した。
投与計画24時間後のラットの海馬における、GSHの濃度(図17A)、GSSGの濃度(図17B)、およびGSH/GSSG率(図167)、ならびに3−ニトロチロシン/チロシン率(図17D)を示すヒストグラムである、図17A〜17Dに示されるように、処置プロトコルにおけるAEOL10150の添加は、GSH濃度およびGSH/GSSG率の上昇、ならびにGSSGおよび3−ニトロチロシン/チロシン率の低下により判断されるように、アトロピンおよびジアゼパムの効果を向上させることが観察される。
V.実施形態
本明細書で企図される実施形態は以下のものを含む。
実施形態1。 化学脅威剤への暴露に苦しむ対象の処置方法であって、a)式(I)または式(II)の構造を有する化合物、
(ここで、R
1、R
2、R
3、およびR
4がそれぞれ独立に、−CF
3、−CO
2R
8、−COR
8’、
であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
8’、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、およびR
24がそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OH、−NH
2、−COOH、−COOR
25、−CH
2COOR
25、−CH
2COOH、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロアリールであり、R
25が非置換アルキルであり、Mが金属である)と、b)式(X)〜(XV)のうちの1つの構造を有する化合物、
(ここで、R
1a、R
2a、R
3a、およびR
4aが独立に、−(CH
2)
mCH
2OX
1または−(CH
2CH
2O)
nX
1であり、mが1〜6であり、nが3〜50であり、X
1が置換または非置換C
1−12アルキルであり、Mが金属であり、各Aが独立に、水素または電子求引基である)と、c)式(XVI)〜(XVII)のうちの1つの構造を有する化合物、
(ここで、R
1bまたはR
1c、R
2bまたはR
2c、R
3bまたはR
3c、およびR
4bまたはR
4cのうちの少なくとも1つが独立に、−(CH
2)
pCH
2OX
2または−(CH
2CH
2O)
qX
2であり、R
1bまたはR
1c、R
2bまたはR
2c、R
3bまたはR
3c、およびR
4bまたはR
4cのうちの他の1つが独立に、C
1−12アルキル(直鎖または分枝)であり、pが1〜6であり、qが3〜50であり、X
2が置換または非置換C
1−12アルキルであり、Mが金属であり、各Aが独立に、水素、または電子求引基である)と、から選択される、有効な量の化合物をこの対象に投与することを含み、この化学脅威剤が抗コリンエステラーゼ剤、GABA剤、または代謝毒である、方法。
実施形態2。 その化合物が式(I)または式(II)の構造を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3。 その化合物が式(II)の構造を有する、実施形態2に記載の方法。
実施形態4。 その金属がマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である、実施形態3に記載の方法。
実施形態5。 その金属がマンガンである、実施形態4に記載の方法。
実施形態6。 R
1、R
2、R
3、およびR
4がそれぞれ、
であり、R
5およびR
6が独立に、非置換アルキルである、実施形態2に記載の方法。
実施形態7。 その化合物が式(VII)の構造、
を有する、実施形態6に記載の方法。
実施形態8。 その化合物が式(X)〜(XV)のうちの1つの構造を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態9。 その金属がマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である、実施形態8に記載の方法。
実施形態10。 その金属がマンガンである、実施形態9に記載の方法。
実施形態11。 その化合物が式(XVI)〜(XVII)のうちの1つの構造を有する、実施形態1に記載の方法。
実施形態12。 その金属がマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である、実施形態11に記載の方法。
実施形態13。 その金属がマンガンである、実施形態12に記載の方法。
実施形態14。 その化学脅威剤が発作および神経病理を引き起こす、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15。 その化学脅威剤が神経剤である、実施形態14に記載の方法。
実施形態16。 その神経剤がアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより神経シグナルを破壊する、実施形態15に記載の方法。
実施形態17。 その化学脅威剤がサリン、パラチオン、アルジカルブ、またはテトラミン(TETS)である、実施形態14に記載の方法。
実施形態18。 その化学脅威剤が血液を標的にする、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19。 その化学脅威剤がシアニド、フルオロ酢酸ナトリウム、三酸化ヒ素、およびストリキニーネである、実施形態18に記載の方法。
実施形態20。 化学脅威剤への暴露に苦しむ対象のその処置の効果がその投与後、少なくとも90分間続く、実施形態1に記載の方法。
実施形態21。 脳傷害を低下させる必要のある対象における脳傷害の低下方法であって、a)式(I)または式(II)の構造を有する化合物、
(ここで、R
1、R
2、R
3、およびR
4がそれぞれ独立に、−CF
3、−CO
2R
8、−COR
8’、
であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
8’、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、およびR
24がそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、−CN、−CF
3、−OH、−NH
2、−COOH、−COOR
25、−CH
2COOR
25、−CH
2COOH、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換ヘテロアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換アリール、または非置換もしくは置換ヘテロアリールであり、R
25が非置換アルキルであり、Mが金属である)と、b)式(X)〜(XV)のうちの1つの構造を有する化合物、
(ここで、R
1a、R
2a、R
3a、およびR
4aが独立に、−(CH
2)
mCH
2OX
1または−
(CH
2CH
2O)
nX
1であり、mが1〜6であり、nが3〜50であり、X
1が置換また
は非置換C
1−12アルキルであり、Mが金属であり、各Aが独立に、水素または電子求引基である)と、c)式(XVI)〜(XVII)のうちの1つの構造を有する化合物、
(ここで、R
1bまたはR
1c、R
2bまたはR
2c、R
3bまたはR
3c、およびR
4bまたはR
4cのうちの少なくとも1つが独立に、−(CH
2)
pCH
2OX
2または−(CH
2CH
2O)
qX
2であり、R
1bまたはR
1c、R
2bまたはR
2c、R
3bまたはR
3c、およびR
4bまたはR
4cのうちの他の1つが独立に、C
1−12アルキル(直鎖または分枝)であり、pが1〜6であり、qが3〜50であり、X
2が置換または非置換C
1−12アルキルであり、Mが金属であり、各Aが独立に、水素または電子求引基である)と、から選択される、有効な量の化合物をその対象に投与することを含む、方法。
実施形態22。 その脳傷害が発作から生ずる、実施形態21に記載の方法。
実施形態23。 その脳傷害が認識機能障害である、実施形態22に記載の方法。
実施形態24。 その発作が化学脅威剤への暴露から生ずる、実施形態22に記載の方法。
実施形態25。 その化学脅威剤が抗コリンエステラーゼ剤である、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26。 その対象に抗コリン剤を投与することをさらに含む、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27。 その対象に抗発作剤を投与することをさらに含む、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28。 その抗発作剤がベンゾジアゼピンである、実施形態27に記載の方法。
実施形態29。 その対象に抗コリン剤および抗発作剤を投与することをさらに含む、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30。 その対象にアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤を投与することをさらに含む、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31。 そのアセチルコリンエステラーゼ再活性化剤がプラリドキシムである、実施形態30に記載の方法。
実施形態32。 その投与がその化学脅威剤へのその暴露前に起こる、実施形態1または24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33。 その投与がその化学脅威剤へのその暴露の少なくとも30分前に起こる、実施形態32に記載の方法。
実施形態34。 脳傷害のその低下の効果がその投与後、少なくとも90分間続く、実施形態21に記載の方法。
実施形態35。 その化合物が式(I)または式(II)の構造を有する、実施形態21に記載の方法。
実施形態36。 その化合物が式(II)の構造を有する、実施形態35に記載の方法。
実施形態37。 その金属がマンガン、鉄、コバルト、銅、ニッケル、または亜鉛である、実施形態36に記載の方法。
実施形態38。 その金属がマンガンである、実施形態37に記載の方法。
実施形態39。 R
1、R
2、R
3、およびR
4がそれぞれ、
であり、R
5およびR
6が独立に、非置換アルキルである、実施形態35に記載の方法。
実施形態40。 その化合物が式(VII)の構造、
(VII)を有する、実施形態39に記載の方法。
本出願は、2011年12月2日出願の米国仮特許出願第61/566,530号の優先権を主張し、当該出願の全内容は本明細書におよび全ての目的について本明細書により援用される。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発でなされた発明に対する権利の記述
本発明は、米国国立衛生研究所による、およびCounter ACTプログラムによる助成金番号R21NS072099およびR01NS039487の下に、連邦政府による資金提供を受けて行われた。連邦政府はこの発明において、一定の権利を有し得る。
コンパクトディスクで提出した、「配列リスト」、表、またはコンピュータプログラムを列挙する添付書類についての参照