JP2018168532A - ニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構築途中におけるケーソン躯体の姿勢を作業員を測定位置に拘束することなく、リアルタイムで容易に把握できるニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法を提供する。
【解決手段】ケーソン躯体1を掘削しつつ順次沈下させて構築されるニューマチックケーソンの姿勢計測装置10であって、ケーソン躯体1の外側面の所定の位置に設けられた複数のターゲット13と、ケーソン躯体1の外部に配置されて複数のターゲット13の座標位置を検出する検出部15と、検出部15により検出された複数のターゲット13の座標位置とケーソン躯体1に対する複数のターゲット13の所定の位置に基づいてケーソン躯体1の姿勢を検出する姿勢処理部16と、を有している。
【選択図】図1
【解決手段】ケーソン躯体1を掘削しつつ順次沈下させて構築されるニューマチックケーソンの姿勢計測装置10であって、ケーソン躯体1の外側面の所定の位置に設けられた複数のターゲット13と、ケーソン躯体1の外部に配置されて複数のターゲット13の座標位置を検出する検出部15と、検出部15により検出された複数のターゲット13の座標位置とケーソン躯体1に対する複数のターゲット13の所定の位置に基づいてケーソン躯体1の姿勢を検出する姿勢処理部16と、を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の環状体を掘削しつつ順次沈下させて構築されるニューマチックケーソンにおける構築途中のケーソン躯体の姿勢を検出するニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法に関する。
ニューマチックケーソン工法は、下部の作業室で地山を掘削しつつ地上で構築した環状体を沈下させていく工法である。そのため掘削沈下期間中にケーソン躯体の姿勢を把握することは、最終的な施工精度を確保するうえで非常に重要な要素となる。
ケーソン躯体の姿勢を制御するには、ケーソン躯体の傾斜、偏心量となる水平方向の位置ズレ、鉛直軸周りの回転方向に位置ズレなどを把握し、土質条件等に応じた適切な掘削方法で下部の地山を掘削することが不可欠である。
従来、ニューマチックケーソンの構築途中にケーソン躯体の傾き、三次元方向の位置、鉛直軸周りの回転方向の位置などの姿勢が繰り返し計測されている。例えば下記特許文献1等では、ケーソン躯体に傾斜計を装着して傾斜方向や傾斜角度が検出されている。
またケーソン躯体に沈下計を装着して傾斜量や沈下量が計測されることもある。さらにケーソン躯体の外側面にマーキングを行って、作業者がトランシットなどにより測量することで位置ズレなど測定されている。
しかしながら、傾斜計および沈下計を設けることで傾斜や沈下量等はリアルタイムの計測が可能であるが、リアルタイムで常にケーソン躯体の姿勢を見るためには、作業者が常にトランシットなどを使用して測量する必要があり、作業者を測量の作業に拘束させてしまう。そのため、ケーソン躯体の姿勢の傾き、平行移動、回転移動の測量は、1日に1回もしくは数回の頻度で行われ、リアルタイムに把握できていなかった。
従って、連続的に行われている掘削作業において、急激な姿勢の変化が生じた場合には、ケーソン躯体の姿勢に対して適切に掘削することが容易でなかった。
そこで本発明では、ニューマチックケーソンの構築途中におけるケーソン躯体の姿勢変化を作業者を測量の作業に拘束することなくリアルタイムに測定し、連続的に行われている掘削作業において、急激な姿勢の変化が生じた場合でも、ケーソン躯体の姿勢に対して適切に掘削することが可能なニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測装置は、ケーソン躯体の外側面の所定の位置に設けられた複数のターゲットと、前記ケーソン躯体の外部に配置され、前記複数のターゲットの座標位置を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記複数のターゲットにおける座標位置と前記ケーソン躯体に対する前記複数のターゲットの前記所定の位置に基づいて前記ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動を検出する姿勢処理部と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記検出部は、三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記ターゲットが前記ケーソン躯体の外側面に3点以上設けられ、前記3点以上設けられる前記ターゲットの少なくとも1つの前記ターゲットが他の複数の前記ターゲットからなる線上から外れて設けられていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項4に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測方法は、ケーソン躯体の外側面の所定の位置に複数のターゲットを設け、前記ケーソン躯体の外部から前記複数のターゲットの座標位置を検出し、検出された前記複数のターゲットにおける座標位置と前記ケーソン躯体に対する前記複数のターゲットの前記所定の位置に基づいて前記ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動の全て又は何れかを検出することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記ケーソン躯体の前記複数のターゲットの座標位置を三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションで検出することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の構成に加え、前記ターゲットを前記ケーソン躯体の外側面に3点以上設け、前記3点以上のターゲットの少なくとも1つの前記ターゲットが他の複数の前記ターゲットからなる線上から外して設けることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記ケーソン躯体が沈下していくに伴って、前記ケーソン躯体の上部に形成する環状体の外側面の所定の位置に、前記ターゲットを設けることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、構築途中のケーソン躯体の外側面の所定の位置にターゲットが複数設けられ、検出部において複数のターゲットの座標位置を検出している。その複数のターゲットの座標位置とケーソン躯体に対する複数のターゲットの所定の位置からケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動のうち全て又は何れかを把握できる。このとき、検出部による複数のターゲットの座標位置の検出は、コンピュータ等の連動により操作することができるため、作業員を常に拘束することなくリアルタイムでケーソン躯体の姿勢の測量を行うことができる。従って、常にケーソン躯体の姿勢が把握できるため、連続的に行われている掘削作業において、急激な姿勢の変化が生じた場合でも、常にケーソン躯体の姿勢に対して適切に掘削することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、検出部として三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションを使用するため、広範囲に移動するターゲットを検出するので、構築途中のケーソン躯体の姿勢が周囲の地盤等との影響で急激に変化してターゲットの位置が急激に変動しても、容易に精度よくターゲットの位置を把握することができる。
請求項3に記載の発明によれば、ターゲットをケーソン躯体の外側面に3点以上設け、3点以上のターゲットのうち少なくとも1つが、他の複数のターゲットからなる線上から外れて設けられているので、3点以上のターゲットの座標位置を検出することにより、ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することができる。そのため、ケーソン躯体の姿勢をより正確に把握することができ、ケーソン躯体の姿勢に対してより適切に掘削することが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、構築途中のケーソン躯体の外側面の所定の位置にターゲットを複数設け、外部から複数のターゲットの座標位置を検出している。そのため複数のターゲットの座標位置とケーソン躯体に対する複数のターゲットの所定の位置関係に基づいてケーソン躯体の傾斜、平行移動、回転移動の全て又は何れかを把握できる。このとき、複数のターゲットの座標位置の検出は、コンピュータ等の連動により操作することができ、作業者を拘束することなくリアルタイムでケーソン躯体の姿勢の測量を行うことができる。従って、常にケーソン躯体の姿勢が把握できるため、連続的に行われている掘削作業において、急激な姿勢の変化が生じた場合でも、ケーソン躯体の姿勢に対して適切に掘削することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、検出に三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションを使用するため、広範囲に移動するターゲットを点群データで検出するので、ケーソン躯体の姿勢が周囲の地盤等との影響で急激に変化してターゲットの位置が急激に変動しても、容易に精度よくターゲットの位置を把握することができる。
請求項6に記載の発明によれば、ターゲットをケーソン躯体の外側面に3点以上設け、3点以上のターゲットの少なくとも1つが他の複数のターゲットからなる線上から外れて設けられているので、3点以上のターゲットの座標位置を検出することにより、ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することができ、ケーソン躯体の姿勢に対してより適切に掘削することが可能となる。
請求項7に記載の発明によれば、ケーソン躯体が沈下するに伴って、ケーソン躯体の上部に形成する環状体の外側面の所定の位置にターゲットが設けるので、掘削が進んで下方の環状体が地上から地中に沈下して下方の環状体に設けられたターゲットが見えず、検出部で検出できなくなったとき、上方の環状体に配置されたターゲットは地上に配置されているため検出することができる。そのため、掘削によりケーソン躯体を地中への沈下させても、常にターゲットを検出してケーソン躯体の姿勢を把握することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。本実施形態のニューマチックケーソンの姿勢計測装置は構築途中のケーソン躯体に使用されるものである。
図1乃至図4は、本実施形態に係る姿勢計測装置10が装着されたケーソン躯体1を示している。
図1に示すように、ケーソン躯体1は、環状体5aを有し、ケーソン躯体1が地中に沈下した際に、環状体5aの上部に鉄筋が組まれ、型枠が組まれてコンクリートが打設され、環状体5bが形成される。また、掘削工程が進み、ケーソン躯体1がさらに地中にある程度沈下した場合、図4(d)に示すように、環状体5bの上部に新たな環状体5cが形成される。
環状体5aは、図1及び図4に示すように、初めに地表に設置されるケーソン躯体1である。環状体5aは、掘削の工程でケーソン躯体1を地中に沈下させるための刃口4と、刃口4に囲まれた作業室9を下端に仕切るように形成された作業室天井スラブ2を有する。
環状体5aの上部に形成される環状体5bは、水平断面が環状体5aと同様の枠形状を呈する。同様に、環状体5bの上部に形成される環状体5cも、水平断面が環状体5bと同様の枠形状を呈する。
この実施形態では、各環状体5a、5b、5cの水平断面は、図2に示すように矩形形状である。
ニューマチックケーソンの姿勢計測装置10は、図2に示すように、ケーソン躯体1の外側面の所定の位置に設けられている複数のターゲット13と、ケーソン躯体1の外部に配置されている検出部15と、検出部15の検出結果からケーソン躯体1の姿勢を決定する姿勢処理部16と、を有している。
ターゲット13は、検出部15において検出される際、周囲のケーソン躯体1の表面と区別して位置を検出可能な目印となるものである。
この複数のターゲット13は、ケーソン躯体1の外側面に設けられている。
この実施形態でのケーソン躯体1に設けられるターゲット13の配置について説明する。なお、図3(a)は初めに地表に設置されるケーソン躯体1である環状体5aを示し、図3(b)はケーソン躯体1が沈下した際、環状体5aの上部に打設されて形成されるケーソン躯体1である環状体5bを示し、図3(c)はさらにケーソン躯体1が沈下した際に、環状体5bの上部に打設されて形成されるケーソン躯体1である環状体5cを示す。
この実施の形態では、ケーソン躯体1である環状体5aの一方の外側側面には、図3(a)に示すように、4点のターゲット13a1、13a2が設けられ、2点のターゲット13a1は下方に配置され、2点のターゲット13a2は上方に配置されている。また、2つのターゲット13a1と2つのターゲット13a2は、図3(a)に示すように、鉛直方向においてそれぞれ互い違いに配置されている。
また、環状体5bの一方の外側側面には、図3(b)に示すように、環状体5bに2点のターゲット13bが設けられている。同様に環状体5cの一方の外側側面にも、図3(c)に示すように、環状体5cに2点のターゲット13cが設けられている。
このように、この実施の形態においては、ケーソン躯体1の一方の外側側面に合計8点、つまり3点以上のターゲット13が設けられている。また、本実施形態のように、ケーソン躯体1の一方の外側側面にのみに3点以上のターゲット13が配置されている場合、3点以上のターゲット13の少なくとも1つのターゲット13が他の複数のターゲット13からなる線上から外れて設けられる。
また、ターゲット13のぞれぞれは、ケーソン躯体1に対する相対位置が事前に明らかになっている。
本実施形態では、環状体5aに設けられたターゲット13aのケーソン躯体1に対する相対位置は、環状体5aの刃口4における刃先4aから各ターゲット13aまでの距離を精度よく予め測定又は算出し、得られた距離の値をケーソン躯体1の上下方向の相対位置としている。また、図3に示すような、ターゲット13aが設けられているケーソン躯体1の壁面の端6aから各ターゲット13aまでの水平方向の距離を測定又は算出し、得られた距離の値をケーソン躯体1の水平方向の相対位置としている。これらのケーソン躯体1に対する各ターゲット13aの上下方向と水平方向の相対位置は、後述する記憶部17に記憶されている。
また、本実施形態では、環状体5b、5cに設けられたターゲット13b、13cのケーソン躯体1に対する相対位置は、環状体5b又は5cが形成される前にケーソン躯体1に設けられているターゲット13からターゲット13b、13cまでの上下方向の距離を測定又は算出し、得られた距離の値をケーソン躯体1の上下方向の相対位置としている。また、図3に示すような、ターゲット13b、13cが設けられているケーソン躯体1の壁面の端6aから各ターゲット13b、13cまでの水平方向の距離を測定又は算出し、得られた距離の値をケーソン躯体1の水平方向の相対位置としている。これらのケーソン躯体1に対する各ターゲット13b、13cの上下方向と水平方向の相対位置は、後述する記憶部17に記憶されている。
一方、検出部15は、ケーソン躯体1に設けられた複数のターゲット13の座標位置を検出する。この検出部15は、ターゲット13の座標位置を検出部15からの相対位置として計測するため、所定の位置に固定される。本実施形態では検出部15として三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションが使用されている。
三次元レーザスキャナーは、スキャナーから照射されたレーザによって、広範囲で対象物の空間位置情報を取得する計測装置であり、離れた位置から非接触で、且つノンプリズムで大量点群データを取得可能である。つまり、三次元レーザスキャナは、「単点」の測量ではなく、短時間に大量の「面的な点群座標」が取得し、ターゲット13付近のケーソン躯体1の外側表面全体の位置データとともに、ターゲット13の座標位置データを検出することが可能となっている。
一方、自動追尾トータルステーションは、目標点に光を照射して、反射して戻ってきた光を電子的に解析して距離を測る光波距離計と角度測定の電子トランシットを組み合わせた計測装置であり、自動追尾機能により目標点であるターゲット13の位置を予め記録させることにより、視界内にあるターゲット13を自動で視準してターゲット13を追尾し、座標位置データを検出することが可能となっている。
次に、姿勢処理部16は、本実施形態においては、図1及び図2に示すように、検出部15、記憶部17及び表示部12と接続されている演算処理装置である。
姿勢処理部16は、検出部15により検出され、受信した複数のターゲット13の座標位置データと記憶部17に予め記憶されているケーソン躯体1に対する複数のターゲット13の位置データに基づいて演算処理し、ケーソン躯体1の姿勢を検出する。ケーソン躯体1の姿勢とは、ケーソン躯体1の傾き、平行移動、回転移動である。姿勢処理部16が検出したケーソン躯体1の姿勢のデータは画像としてモニタである表示部12に表示される。
また、記憶部17は、データの記録及び書換えが可能な記録媒体であり、各ターゲット13から刃先4aまでの距離を随時、記録及び書換え可能である。
次に、本実施の形態における姿勢計測装置10のケーソン躯体1の姿勢の計測方法について説明する。
まず、作業者は、図4(a)に示すように、環状体5aに4つのターゲット13a1、13a2を設け、この4つのターゲット13a1、13a2から刃先4aまでのそれぞれの距離とターゲット13a1、13a1から環状体5aの壁面の端6aまでの水平方向の距離を計測し、ケーソン躯体1に対する4つのターゲット13a1、13a2の位置データとして記憶部17に記憶させる。
次に、作業者は、図4(a)に示すように、掘削を行う地表面にケーソン躯体1の環状体5aを設置する。この環状体5aに設けられた4つのターゲット13a1、13a2を検出部15により計測して検出した4つのターゲット13a1、13a2の座標位置データと記憶部17に予め記憶させた4つのターゲット13a1、13a2の位置データに基づいて、姿勢処理部16により、ケーソン躯体1の姿勢のデータを検出し、画像として表示部12に表示する。作業者は表示部12に表示されたケーソン躯体1の姿勢から、適切な掘削底面3の位置を選定し、掘削する。
掘削に伴ってケーソン躯体1の環状体5aは、図4(a)の状態から図4(b)の状態になると、ある程度地中に沈下する。このとき、環状体5aの上部に新たに環状体5bを形成し、ターゲット13a1、13a2が設けられている環状体5aの壁面と同じ方向の面の環状体5bにターゲット13bを設ける。このターゲット13bからターゲット13a1又は13a2までの上下方向の距離とターゲット13bから環状体5bの壁面の端6bまでの水平方向の距離を計測し、ケーソン躯体1に対する2つのターゲット13bの位置データとして記憶部17に記憶させる。
図4(b)の状態では、環状体5aの4つのターゲット13a1、13a2は、図4(a)の状態の時と比べて、下方に移動しているが、全て地上に存在しており、検出部15である三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションで検出できる。そのため、検出部15により4つのターゲット13a1、13a2を計測して再度検出した4つのターゲット13a1、13a2の座標位置データとケーソン躯体1に対する4つのターゲット13a1、13a2のそれぞれの位置データに基づいて、姿勢処理部16により、ケーソン躯体1の姿勢のデータを検出し、画像として表示部12に表示する。作業者は表示部12に表示されたケーソン躯体1の姿勢を再度見て、適切な掘削底面3の位置を選定し、掘削を進める。
また、このとき、検出部15がターゲット13を計測する位置によっては、環状体5bのターゲット13bも計測して検出したターゲット13bの座標位置データとケーソン躯体1に対するターゲット13bの位置データも姿勢処理部16によるケーソン躯体1の姿勢のデータの検出に用いる。
掘削を進めて、図4(b)の状態から図4(c)の状態になると、環状体5aの地中への沈下がさらに進み、下方の2つのターゲット13a1が地中内に沈下して検出部15により計測できなくなる。このとき、上方の2つのターゲット13a2と環状体5bの2つのターゲット13bは地上に存在し、計測できる。そのため、検出部15により、2つのターゲット13a2及び2つのターゲット13bを計測して検出した2つのターゲット13a2及び2つのターゲット13bの座標位置データとケーソン躯体1に対する2つのターゲット13a2及び2つのターゲット13bの位置データに基づいて、姿勢処理部16により、ケーソン躯体1の姿勢のデータを検出し、画像として表示部12に表示する。作業者は表示部12に表示されたケーソン躯体1の姿勢を再度見て、適切な掘削底面3の位置を選定し、さらに掘削を進める。
さらに掘削を進めて、図4(c)の状態から図4(d)の状態になると、環状体5bがある程度地中に沈下する。このとき、環状体5bの上部に新たに環状体5cを形成し、ターゲット13a1、13a2、13bが設けられている環状体5a、5bと同じ方向の面の環状体5cにターゲット13cを設ける。このターゲット13cから予め設けられているターゲット13bまでの上下方向の距離とターゲット13cから環状体5cの壁面の端6cまでの水平方向の距離を計測し、ケーソン躯体1に対する2つのターゲット13cの位置データとして記憶部17に記憶させる。
図4(d)の状態では、環状体5bの2つのターゲット13bと環状体5cの2つのターゲット13cが地上に存在し、検出部15で検出できる。そのため、検出部15により2つのターゲット13b及び2つのターゲット13cを計測して検出した2つのターゲット13b及び2つのターゲット13cの座標位置データとケーソン躯体1に対する2つのターゲット13b及び2つのターゲット13cの位置データに基づいて、姿勢処理部16により、ケーソン躯体1の姿勢のデータを検出し、画像として表示部12に表示する。作業者は表示部12に表示されたケーソン躯体1の姿勢を再度見て、適切な掘削底面3の位置を選定し、掘削を進める。
以降、掘削の進行に伴って、適時新たに環状体5を形成し、その環状体5にターゲット13を設けてケーソン躯体1に対するターゲット13の相対位置を計測し、記憶部17に記憶させる。そして、地上に存在する検出可能なターゲット13を複数計測して検出した複数のターゲット13の座標位置データとケーソン躯体1に対する複数のターゲット13の位置データに基づいて、ケーソン躯体1の姿勢を検出し、適切な掘削底面3の位置を選定して掘削を行う。
このような姿勢計測装置10を用いたニューマチックケーソンの姿勢計測方法では、連続する環状体5を掘削しつつ順次沈下させてニューマチックケーソンを構築する際、ケーソン躯体1の外側面に複数のターゲット13を設け、ケーソン躯体1の外部から複数のターゲット13の座標位置を検出し、検出した複数のターゲット13の座標位置とケーソン躯体1に対する複数のターゲット13の位置に基づいてケーソン躯体1の傾き、平行移動、回転移動の全部又は何れかを検出することができる。このとき、検出部15によるターゲット13の座標位置の検出は、コンピュータ等で連動して操作できるため、作業員が測量のために検出部15の位置で拘束されることなく、常に検出を行って、リアルタイムでケーソン躯体1の姿勢を把握することができる。
従って、コンピュータ等によりリアルタイムで、現時点におけるケーソン躯体1の姿勢を表示して正確に認識することができる。リアルタイムにケーソン躯体1の姿勢を認識することで、ケーソン躯体1の作業室9における掘削底面3の掘削の制御に反映させることができる。その結果、より適切な掘削を行うことが可能となり、ケーソン躯体1の姿勢を精度よく維持することができる。
また、この姿勢計測装置10を用いた姿勢計測方法では、検出部15として三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションを使用している。
三次元レーザスキャナを使用した場合、広範囲の検出領域から点群データを検出するので、検出領域の範囲内であればターゲット13の位置が何れに存在してもターゲット13の座標位置を把握できる。そのため構築途中のケーソン躯体1の姿勢が周囲の地盤等との影響で急激に変化してターゲット13の位置が急激に変動しても、容易に精度よくターゲット13の座標位置を把握することができる。
また、自動追尾トータルステーションを使用した場合、ターゲット13の位置を予め記憶させることにより、ターゲット13を追尾させて検出することができるため、ケーソン躯体1の沈下によりターゲット13が広範囲に移動しても追尾して検出を行うことができ、容易に精度よくターゲット13の座標位置を把握することができる。
さらに、この姿勢計測装置10を用いた姿勢計測方法では、例えば、図4(a)の状態でケーソン躯体1の姿勢を測量するとき、環状体5aの外側面に4つのターゲット13a1、13a2を設け、2つのターゲット13a1を下方に、2つのターゲット13a2を上方に配置させている。つまり、ターゲット13をケーソン躯体1の外側面に3点以上設け、3点以上のターゲット13の少なくとも1つが他の複数の点から形成される線上から外れて設けられているので、検出部15により3点の座標位置を検出することができるため、ケーソン躯体1の姿勢の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することができる。従って、ケーソン躯体1の姿勢をより正確に把握することができ、掘削位置の選定をより正確に行うことができる。
さらにまた、この姿勢計測装置10を用いた姿勢計測方法では、ケーソン躯体1の沈下に伴って、ケーソン躯体1の上部に新たに環状体5b、5cを形成して、これらの環状体5b、5cにターゲット13b、13cを設けているため、環状体5a、5b、5cのそれぞれの外側面の所定の位置にターゲット13a1、13a2、13b、13cが設けられているので、例えば図4(d)に示すように、掘削が進んで下方の環状体5aが完全に地中に沈下して環状体5aに設けられたターゲット13a1、13a2が検出部15で検出できなくなったとき、環状体5aの上部に形成した環状体5b、5cに設けられ、地上に存在するターゲット13b、13cは検出することができる。そのため環状体5b、5cに設けられたターゲット13b、13cの座標位置とケーソン躯体1に対するターゲット13b、13cの位置に基づいてターゲット13b、13cの相対座標位置を計算してケーソン躯体1の姿勢を検出することができる。従って、継続する掘削によるケーソン躯体1の沈下があり、ターゲット13が検出できなくなっても上部に設けられたターゲット13を検出することにより、常にケーソン躯体1の姿勢を把握し、掘削位置の選定を行いながら掘削を進めることができる。
なお、この第1実施形態は、本発明の範囲内において適宜変形可能である。
例えば図5は第1変形例を示す。図5の姿勢計測装置10では、ケーソン躯体1の水平断面が矩形を有し、2側面に1つずつターゲット13が設けられている。各面に1個のターゲット13が設けられることでターゲット13の設置個所が合計で2か所となっている。
この構成の場合、2個のターゲット13を通る仮想軸線周りにケーソン躯体1が傾倒した場合、検出部15によりターゲット13の位置を検出していても、2つの座標位置データしかなく、水平方向のターゲット13の座標位置しか把握できず、ケーソン躯体1の姿勢の傾き、平行移動、回転移動の全てを検出することはできない。
そのため、この変形例1では、2か所のターゲット13の他に、ケーソン躯体1の内側面に傾斜計14が配設されている。これにより、検出した2つのターゲット13の水平方向の2つの座標位置と傾斜計14による鉛直方向のケーソン躯体1の傾斜を合わせてケーソン躯体1の姿勢を検出することができる。従って、掘削によるケーソン躯体1の姿勢の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することが可能となっている。
図6は第2変形例を示す。図6の姿勢計測装置10では、水平断面形状が矩形のケーソン躯体1において、三方向の側面に各1カ所ずつで合計3箇所にターゲット13が設けられている。この第2変形例では、三方向の側面に1つずつ設けられたターゲット13のそれぞれを個別の検出部15で計測するため、3つのターゲット13のそれぞれの座標位置を検出できる。そのため、傾斜計14による検出が無くても掘削によるケーソン躯体1の姿勢の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することが可能である。
図7は第3変形例を示す。図7の姿勢計測装置10は円筒形状のケーソン躯体1の例である。曲面形状のケーソン躯体1の外側面に三カ所以上のターゲット13を設けることで、ケーソン躯体1の全姿勢を把握することができる。このとき、各ターゲット13のケーソン躯体1に対する水平方向の相対位置を計測する場合、例えば、図7に示すような、ケーソン躯体1の直径Rの端にあたる壁面位置6bから各ターゲット13までの水平方向の距離を求める。1つの検出部15が検出可能な範囲に3つのターゲット13を設けることで、検出部15により検出した3つのターゲット13それぞれの座標位置とケーソン躯体1に対する3つのターゲット13のそれぞれの位置に基づいて姿勢処理部16でケーソン躯体1の姿勢を検出することができる。そのため、掘削によるケーソン躯体1の傾き、平行移動、回転移動の全てを把握することが可能である。
図8は第4変形例を示す。図8に示すように、ターゲット13は、ケーソン躯体1の上部に設けられている。ターゲット13は必ずしもケーソン躯体1の側面に設置する必要はなく、ケーソン躯体1の上部に設置することも可能である、
この場合、検出部15をケーソン躯体1の上方の位置に配置することができ、上部からのケーソン躯体1の姿勢を検出部15が計測して画像として表示部12に表示することができる。
この場合、検出部15をケーソン躯体1の上方の位置に配置することができ、上部からのケーソン躯体1の姿勢を検出部15が計測して画像として表示部12に表示することができる。
なお上記実施形態及び変形例は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、環状体5に設けられているターゲット13は、環状体5aには4つのターゲット13a1、13a2、環状体5bには2つのターゲット13b、環状体5cには2つのターゲット13cが設けられているが、環状体5aの上部に環状体5b、5cの全部または何れかを形成させたケーソン躯体1として、検出部15が検出可能な範囲に複数のターゲット13が設けられていれば良い。従って、環状体5に設けられているターゲット13は1つであってもよい。
また、ケーソン躯体1に対するターゲット13の上下方向の相対位置は、ターゲット13から刃先4aまでの距離を計測して得られたものでなくてもよく、ケーソン躯体1の環状体5aに予め設けられた所定の標識からターゲット13までの距離を計測して得られたものであってもよい。また、同様に、ケーソン躯体1に対するターゲット13の水平方向の相対位置は、ターゲット13から環状体5の端6までの水平方向の距離を計測して得られたものでなくてもよく、環状体5aの所定の標識からターゲット13までの水平方向の距離を計測して得られたものでもよい。
さらに、上記実施の形態では、姿勢処理部16により得られたケーソン躯体1の姿勢を表示部12に表示したが、何ら限定されるものではない。姿勢処理部16の処理結果に基づいて、作業室9内の掘削機の動作を制御することも可能である。
1 ケーソン躯体
2 作業室天井スラブ
3 掘削底面
4 刃口
4a 刃先
5(5a、5b、5c) 環状体
6(6a、6b) ケーソン躯体の壁面の端、ケーソン躯体の直径の端の壁面位置
9 作業室
10 姿勢計測装置
12 表示部
13(13a、13b、13c) ターゲット
14 傾斜計
15 検出部
16 姿勢処理部
17 記憶部
2 作業室天井スラブ
3 掘削底面
4 刃口
4a 刃先
5(5a、5b、5c) 環状体
6(6a、6b) ケーソン躯体の壁面の端、ケーソン躯体の直径の端の壁面位置
9 作業室
10 姿勢計測装置
12 表示部
13(13a、13b、13c) ターゲット
14 傾斜計
15 検出部
16 姿勢処理部
17 記憶部
Claims (7)
- ケーソン躯体の外側面の所定の位置に設けられた複数のターゲットと、
前記ケーソン躯体の外部に配置され、前記複数のターゲットの座標位置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記複数のターゲットにおける座標位置と前記ケーソン躯体に対する前記複数のターゲットの前記所定の位置に基づいて前記ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動の全て又は何れかを検出する姿勢処理部と、
を有することを特徴とするニューマチックケーソンの姿勢計測装置。 - 前記検出部は、三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションであることを特徴とする請求項1に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測装置。
- 前記ターゲットが前記ケーソン躯体の外側面に3点以上設けられ、
前記3点以上設けられる前記ターゲットの少なくとも1つの前記ターゲットが他の複数の前記ターゲットからなる線上から外れて設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測装置。 - ケーソン躯体の外側面の所定の位置に複数のターゲットを設け、
前記ケーソン躯体の外部から前記複数のターゲットの座標位置を検出し、
検出された前記複数のターゲットにおける座標位置と前記ケーソン躯体に対する前記複数のターゲットの前記所定の位置に基づいて前記ケーソン躯体の傾き、平行移動、回転移動の全て又は何れかを検出することを特徴とするニューマチックケーソンの姿勢計測方法。 - 前記ケーソン躯体の前記複数のターゲットの座標位置を三次元レーザスキャナ又は自動追尾トータルステーションで検出することを特徴とする請求項4に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測方法。
- 前記ターゲットを前記ケーソン躯体の外側面に3点以上設け、前記3点以上のターゲットの少なくとも1つの前記ターゲットが他の複数の前記ターゲットからなる線上から外して設けることを特徴とする請求項4又は5に記載のニューマチックケーソンの姿勢計測方法。
- 前記ケーソン躯体が沈下していくに伴って、
前記ケーソン躯体の上部に形成する環状体の外側面の所定の位置に、前記ターゲットを設けることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一つに記載のニューマチックケーソンの姿勢計測方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017064517A JP2018168532A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | ニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017064517A JP2018168532A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | ニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018168532A true JP2018168532A (ja) | 2018-11-01 |
Family
ID=64019295
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017064517A Pending JP2018168532A (ja) | 2017-03-29 | 2017-03-29 | ニューマチックケーソンの姿勢計測装置及び計測方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018168532A (ja) |
-
2017
- 2017-03-29 JP JP2017064517A patent/JP2018168532A/ja active Pending
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