JP2018165233A - 微粒炭化タングステン粉末の製造方法 - Google Patents

微粒炭化タングステン粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全面にも十分な考慮が施された新規な微粒炭化タングステン粉末の製造方法の提供。【解決手段】(a)原材料より三酸化タングステン粉末を製造する工程と、(b)三酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合し還元雰囲気にて加熱還元し、β-W(W3O)粉末を製造する還元工程と、(c)β-W粉末を還元雰囲気または不活性雰囲気にて共存する炭素にて炭化し、炭化タングステン粉末を製造する炭化工程と、を順に有し、(a)工程は、タングステン酸(WO3・H2O)を350〜500℃において大気雰囲気又は不活性雰囲気中にてか焼し、(b)工程は、三酸化タングステン粉末を水素雰囲気下、500℃以下の温度にて加熱還元し、(c)工程は、水素雰囲気下又は不活性雰囲気下、1000℃以上にて行う前記β-W粉末の炭化工程である微粒炭化タングステン粉末の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、切削工具や、金型などの塑性加工用耐摩工具として用いられる炭化タングステン基超硬合金などの分野において、その製造原料となる微粒炭化タングステン(WC)粉末を含む炭化タングステン粉末の製造方法に関するものである。
従来より、例えば、炭化タングステン焼結体を用いた切削工具用超硬材料において、強度や硬度等の特性は、焼結後の炭化タングステン相を微粒化することにより向上することが知られており、そのために、原料粉末としての炭化タングステン粉末の一層の微粒子化が要求されている。
他方、炭化タングステン粉末の製造方法においては、用いる原料や中間工程にて生成される中間生成物が微粒化し、活性化することにより発火や着火等を招くおそれが生じているため、更なる微粒化に向けて、安全面にも十分な考慮が施された新たな炭化タングステン粉末の製造方法を提供することが求められている。
前記した微粒化への要求に対しては、以下のとおり種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、5μm以下の粒径を有するWO粉に1.0μm以下の粒径を有する炭素粉を混合し、還元工程を省略し、1250〜1300℃の高温窒素ガス雰囲気、および、1400〜1500℃の高温水素ガス雰囲気にて、炭化処理した後、粉砕工程を経て、直接粒子径0.5μm以下の超微粒WC粉が得られることが提案されている。
また、特許文献2では、原料粉末としてタングステン酸化物粉末に換えて高純度のメタタングステン酸アンモニウム(AMT)またはタングステン酸アンモニウム(AT)を用い、高純度炭素粉末を添加混合しスラリー化したのち、低温乾燥を行い、窒素雰囲気中での加熱還元処理後、高純度炭素粉末を添加し、水素雰囲気中にて炭化処理を行うことにより、粉砕工程を必要とすることなく、0.5μm以下の平均粒径(フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー法(以下、「FSSS法」という。)基準)を有する微粒炭化タングステン粉末を得ることが提案されている。
また、特許文献3では、第1の熱処理工程において、超微粒の酸化タングステンと炭素粉との混合物を不活性雰囲気中にて加熱し、中間生成物がW、WC、WCとなるまで還元および炭化した後、粉砕工程にて、該中間生成物の凝集およびネッキングを粉砕し、次の第2の熱処理工程において、粉砕された前記中間生成物を水素中にて加熱炭化し、ナノ粒径の炭化タングステン粉末を得た後、粉砕機により、機械的な微粉砕を行うことにより、3.9m/g以上のBET比表面積を有し、BET法換算にて、100nm以下の平均粒径を有する比表面積が増加した超微粒の炭化タングステン粉末を製造することが提案されている。
さらに、特許文献4では、APT(パラタングステン酸アンモニウム)を大気中600〜800℃にて加熱して得られた三酸化タングステンを原料粉とし、この三酸化タングステン粉とC粉末とを有機溶媒を用いて湿式混合した後、750℃以下、水素雰囲気にて、水素還元によりタングステン粉末とC粉末を含む混合粉末を得て、次いで、1000℃以上に加熱し、水素雰囲気中にて、W粉末とC粉末を反応させて、FSSS法基準にて0.8μm以下の炭化タングステン粉末を製造することが提案されている。
特許第2617140号公報 特許第4023711号公報 特許第4647244号公報 特許第5443757号公報
上記のとおり、微粒炭化タングステン粉末の製造方法については、多くの提案がなされているものの、微粒化が進む中、例えば、効率的な低温プロセスを活用するなど、安全面についての十分な考慮がなされていないのが現状である。
したがって、前述のとおり、本発明は、通常の微粒炭化タングステン粉末を製造する際に加え、特に微粒化が進む超微粒炭化タングステン粉末を製造する際に、安全面を十分考慮した、微粒炭化タングステン粉末の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、微粒炭化タングステン粉末自体の特性および製法に着目し、原料から炭化タングステンが得られるまでの全プロセスを見直し、特に安全面に十分考慮した上で、微粒および均粒の炭化タングステン粉末を得るべく、鋭意研究を行なった結果、以下の知見を得たものである。
すなわち、
(ア)炭化タングステン粉末の製造法において、まず、微粒の炭化タングステン粉末を製造するためには、その原料粉となる三酸化タングステンの微粒粉を得ることが求められるが、この三酸化タングステンの製造に際して、現状では、出発原料として、例えば、パラタングステン酸アンモニウム(以下、「APT」という。)等を用い、これをか焼することにより、三酸化タングステンを得ている。
しかしながら、APTのか焼温度は、500℃未満ではか焼が不十分であることから、一般的には500℃〜900℃の範囲であり、得られる三酸化タングステン(WO)粉の平均粒子径も18〜20μm(FSSS法)とかなり大きく、BET比表面積は最大値となる500℃でも高々9.6m/g程度であった。
これに対し、本発明者らは、出発原料としてタングステン酸(WO・HO)を用い、大気雰囲気、または、窒素、Ar等の不活性雰囲気(以下、「不活性雰囲気」という。)にて、か焼を行う場合には、か焼温度を350℃から900℃までの範囲まで拡大できることができ、特に500℃以下の低温域においても十分なか焼が行えるため、熱効率や安全性の面からきわめて有利であること、加えて、得られる三酸化タングステン(WO)粉の平均粒子径は、フィッシャー法において3〜4μm(さらに解砕後は0.22μm)であり、APTを原料としたものに比較し極めて小粒径のものであって、しかも、低温でのか焼ほど微粒化でき、例えば、窒素雰囲気下350℃にてか焼が行われた場合には、BET比表面積にて34m/gを超える微粒の三酸化タングステン(WO)粉が得られることを見出したものである。
(イ)次に、微粒炭化タングステン粉末の製造法において、三酸化タングステンから微粒炭化タングステンを得る方法としては、種々の方法が知られており、その一つとして、三酸化タングステンを還元し金属タングステンとする還元工程と、得られた金属タングステンと炭素とを混合加熱により炭化し、炭化タングステンを得る炭化工程からなる、還元・炭化法が知られている。
この還元工程においては、通常、600〜800℃において還元を行い、WO→WO2.9→WO2.72→WOを経て金属タングステンを得ており、ここで得られる金属タングステンの粒径は、BET法による測定ではBET比表面積は、7〜10m/gであり、平均粒径はBET法基準にて31〜44nmであるのに対し、本発明者らは、この三酸化タングステンの還元工程を500℃以下の温度にて行うことにより、従来よりも微粒であり、BET比表面積が15〜35m/g、平均粒径がBET法基準にて12〜27nmである微粒のβ-W(WO)粉が得られ、かかる微粒のβ-W(WO)粉を炭素粉末と混合し、加熱炭化することにより、従来より微粒の炭化タングステン粉末が製造できることを見出した。
(ウ)さらに、本発明者らは、前記(イ)にて示した還元・炭化法は、優れた微粒炭化タングステン粉末を得るものではあるが、WO、WOの還元工程において得られる金属タングステン粉及びβ-W(WO)粉は、酸素と反応し発火し易く、粉末の取扱いにおいて安全面でのリスクがあることから、不活性ガス雰囲気にて炭素粉末との混合、取り出し、炭化炉への装入という複数の面倒な工程を経る必要があったため、さらに、安全面での考慮を含む新たな製造プロセスについて検討を行った。
すなわち、三酸化タングステンから微粒炭化タングステンを製造する方法としては、三酸化タングステン粉末と所定量の炭素粉末を混合・加熱し、三酸化タングステンから金属タングステンへの還元と炭化タングステン(WC、WC)への炭化を同時に進める炭化法が知られているが、本発明者らは、出発原料となるタングステン酸から得られた三酸化タングステンについて、添加する炭素粉末の種類やタングステン量に対する添加量、反応温度、反応時間等の条件を変更し、得られる反応生成物をXRDにて確認したところ、500℃以下での還元処理では、金属タングステン粉及びβ-W(WO)粉への還元反応は進行するものの、得られた金属タングステン粉及びβ-W(WO)粉からの炭化物生成は行われないことを新たに見出した。
そこで、本発明者らは、水素還元炉にて、500℃以下の温度にて、所定時間、水素還元を行うことにより、三酸化タングステンから微細なβ-W(WO)を得て、その後、異なる還元炉にて、もしくは、引き続き同じ還元炉にて、水素雰囲気下、または不活性雰囲気下、1000℃以上にて炭化を行うことにより、発火等を伴わない、より安全な工程により、微粒炭化タングステン粉末を製造することができることを見出し、しかも、処理温度や処理時間を調整することにより、炭化工程後には、BET比表面積が6.41m/g以上、BET法基準の粒径が60nm以下のナノレベルの炭化タングステン粉末、更には、BET比表面積が9.50m/g以上、BET法基準の粒径が40nm以下のナノレベルの炭化タングステン粉末を安全に製造できる、直接還元・炭化法を確立したものである。
そして、本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 微粒炭化タングステン粉末の製造方法であって、
(a)原材料より三酸化タングステン粉末を製造する工程と、
(b)前記三酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合し、還元雰囲気にて加熱還元し、β-W(WO)粉末を製造する還元工程と、
(c)前記β-W(WO)粉末を還元雰囲気または不活性雰囲気にて、共存する炭素にて炭化し、炭化タングステン粉末を製造する炭化工程と、
を順に有する微粒炭化タングステン粉末の製造方法であり、
前記(a)工程は、タングステン酸(WO・HO)を350℃から500℃において大気雰囲気または不活性雰囲気中にてか焼し、三酸化タングステン粉末を製造する工程であり、
前記(b)工程は、前記三酸化タングステン粉末を水素雰囲気下、500℃以下の温度にて加熱還元し、β-W(WO)粉末を製造する工程であり、
前記(c)工程は、水素雰囲気下または不活性雰囲気下、1000℃以上にて行う前記β-W(WO)粉末の炭化工程であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
(2) (1)に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
前記(b)工程である還元工程と前記(c)工程である炭化工程は、同一の還元炉において行われることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
(3) (1)または(2)に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
前記微粒炭化タングステン粉末は、BET比表面積が、6.41m/g以上であり、BET法による平均粒径が60nm以下であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
(4) (1)乃至(3)のいずれか一つに記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
前記微粒炭化タングステン粉末は、BET比表面積が、9.50m/g以上であり、BET法による平均粒径が40nm以下であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
(5) (1)乃至(4)のいずれか一つに記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
前記微粒炭化タングステン粉末は、ガス成分である酸素(O%)、窒素(N%)を除き、純度が99.9%以上であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
(6) (1)乃至(5)のいずれか一つに記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
前記微粒炭化タングステン粉末は、Fe含有量が100ppm以下あることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。」
に特徴を有するものである。
本発明は、以下にて整理するとおり、新規に提案された直接還元・炭化法を用いた、微粒炭化タングステン粉末の新規な製造方法に関するものである。
1.原料粉末
<原料の種類>
特に、より微細な微粒炭化タングステンを製造する場合には、原料となる三酸化タングステンや中間処理により得られるタングステン粉及びタングステン酸化物が微粒であることが求められる。
三酸化タングステンは、種々のタングステン含有化合物を出発原料として、か焼等により製造することができるが、出発原料となるタングステン含有化合物により得られる三酸化タングステンの粒径が相違するため、前述したとおり、出発原料としては、か焼後の三酸化タングステン粒径が微粒であって、BET比表面積も大きい、タングステン酸を用いることとした。また、炭化剤として用いるカーボンブラックなどの炭素粉末についても微粒なものを用いることが望ましく、粒径1.0μm以下のものを用いる。
<原料の純度>
出発原料であるタングステン酸や、カーボンブラックや活性炭などの炭素粉末として、たとえば、99.9質量%以上の高純度のものを用いることにより、99.9質量%以上、さらには、99.99質量%以上の高純度の炭化タングステン粉末を製造することができる。
2.製造条件
<か焼による酸化タングステン粉末の製造>
三酸化タングステン粉末の原料として用いられるタングステン酸(WO・HO)のか焼は、前述のとおり、熱効率や安全性の面、或いは、三酸化タングステン粉末は低温か焼により粗粒化が抑制される等の特性により、350℃から500℃の温度域にて実施することが好ましく、粒径が3〜4μm(FSSS法基準)、BET比表面積が20m/gを超えるタングステン酸由来の三酸化タングステン粉末を得ることができる。特に、大気雰囲気または不活性雰囲気における低温か焼により微粒化でき、350℃では、BET値が30m/g以上のものが得られた。
前記タングステン酸を出発原料とする三酸化タングステン粉末は、か焼により高BET値の粒子が得られるものの、凝集が生じるため、ジェットミルなどにより解砕することにより、凝集のない300nm以下の微粒粒子を得ることができる。
なお、前述したとおり、本件明細書および特許請求の範囲では、不活性雰囲気とは、窒素、Ar等の不活性雰囲気をいう。
<原料粉末の混合>
(1)三酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合比率
三酸化タングステン粉末中のW量に対する炭素粉末の炭素量の割合(C/W)が、原子比で1未満では、還元反応生成物中に酸化物が残存する一方、原子比にて2を超えると、還元反応生成物中に占めるWCの割合が多くなり、還元炭化処理後の遊離炭素が多量に残存することになるため、その割合を1〜2とした。
(2)原料粉末の混合方法
三酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合方式は、乾式法および湿式法のいずれの方式でもよく、湿式法を用いる場合の分散媒は、水溶液、有機溶媒のいずれでもよい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、ヘキサンなどが一般的であるが、乾燥性、環境負荷等を考慮するとエタノールが好ましい。
<三酸化タングステン粉末のβ-W(WO)粉末への還元>
本直接還元・炭化法では、タングステン酸から得られた三酸化タングステンに対し、炭素粉末を混合した後、処理炉において、水素還元雰囲気、例えば、水素気流中にて、500℃以下、たとえば、特に、450〜500℃にて2時間以上保持することにより、三酸化タングステンから微粒のβ-W(WO)粉末への還元を炭素を残存させた状態にて行うことができ、大気(酸化雰囲気)中に暴露することなく次工程(炭化処理)へ進めることで、一部、金属タングステンが生成する場合も含めて、きわめて安全に微粒のβ-W(WO)粉末を製造し、また、取り扱うことができる。
なお、処理炉における水素流量は、特に上限を規定する必要はないが、流量が少なすぎると還元反応が十分でなく、前駆体であるβ-W(WO)の生成が満足に行われないので、10リットル/分以上が望ましい。
<β-W(WO)粉末の炭化による炭化タングステン粉末の製造>
本直接還元・炭化法においては、還元された微粒のβ-W(WO)粉末と残存する炭素粉末について、異なる還元炉にて、もしくは、引き続き同じ還元炉にて、水素雰囲気下または不活性雰囲気下、1000℃以上まで昇温し、30〜120分間保持する炭化工程を経ることにより、BET比表面積が6.41m/g以上、BET法基準の粒径が60nm以下、更には、BET比表面積が9.50m/g以上、BET法基準の粒径が40nm以下のナノレベルの炭化タングステン粉末を製造することができた。
なお、BET法による平均粒径とは、粒子を球体と見なし比表面積より算出するものであり、以下の式により求めることができる。
平均粒径(nm)={6/(理論密度(g/cm)×比表面積(m/g))}×1000
ここで、理論密度は、
炭化タングステンWCについては、 15.7(g/cm
金属タングステンWについては、 19.3(g/cm
β-W(WO)については、 14.6(g/cm
三酸化タングステンWOについては、 7.16(g/cm)を用いた。
本発明は、微粒炭化タングステン粉末の製造方法に関し、新たに提案された直接還元・炭化法により、微細なタングステン粉の還元工程を省略することなく、粉末の発火が起こらない安全な超微粒炭化タングステン粉末を製造する方法を見出したものであるから、きわめて有用なものである。
また、本発明では、ミクロン或いはサブミクロンオーダーからナノレベルに至るまで種々の粒径を有する微粒炭化タングステン粉末を製造することができ、特にナノレベルの炭化タングステン粉末を用いて製造される焼結体は、硬度に優れ、切削工具等の製造においてきわめて有用なものである。
つぎに、本発明に係る微粒炭化タングステン粉末の製造方法について、実施例により具体的に説明する。
表1には、本発明に係る直接還元・炭化法を用いて炭化タングステン粉末を製造した際のか焼工程、還元工程、炭化工程における製造条件、および、出発原料粉末の特性や各工程において生成する三酸化タングステン粉末、金属タングステン粉末、β-W(WO)粉末、及び、炭化処理後の炭化タングステン粉末の特性値を測定、整理したものを示す。
本発明の実施例である本発明例1〜6では、純度99.9質量%のタングステン酸を大気雰囲気または窒素雰囲気下350℃〜500℃にてか焼を行うことにより、粒径が3〜4μm(FSSS法基準)、BET比表面積が20m/gを超えるタングステン酸由来の三酸化タングステン粉末を得ることができた。
次に、この三酸化タングステン粉末と粒径が0.1μm以下にて純度99.9質量%のカーボンブラックとを混合し、水素雰囲気500℃以下にて還元を行い得られた反応生成物をX−ray回折法(XRD法)により確認したところ、立方晶の結晶構造を有するβ-W(WO)とカーボンブラックとの微細な混合粉が得られていることを確認した。
さらに、得られた微粒のβ−W(WO)とカーボンブラックとの混合粉を、水素還元雰囲気下、1000℃以上にて加熱し炭化処理を行うことにより、BET比表面積が6.41m/g以上、BET法による平均粒径が60nm以下の微粒炭化タングステン粉末を製造でき、さらには、Feの含有量が、30ppm以下の高純度微粒炭化タングステン粉末を製造することができた。
なお、表1のβ−W(WO)のBET比表面積は、β−W(WO)が、炭素の微粒粉と混合した状態で微粒化しており、単独で直接測定することができないため、原料として、炭素の微粒粉を含まない、酸化タングステンのみを還元生成した場合の値を記す。
これに対し、比較例1は、還元工程における還元温度が600℃であって、本発明の還元温度範囲を超えているため、構成相としてβ-W(WO)が生成しておらず、炭化工程を経て得られる炭化タングステン粉のBET比表面積は5.70m/g、BET法換算による平均粒径は67nmとなり、微粒化した炭化タングステン粉末を得ることはできなかった。
また、比較例2は、還元工程において、β-W(WO)粉が生成しているものの、炭化工程における炭化温度が低いため、炭化タングステン(WC)の生成が十分ではなく、WCが残存する結果、目的とする炭化タングステン(WC)粉を得ることはできなかった。
さらに、従来例1は、三酸化タングステン粉を原料とし、これをアセチレンブラックと混合し、窒素中1100℃にて還元処理を行なった後、水素中1100℃にて炭化処理を行い、炭化タングステン粉末を製造するものであるが、前記還元温度が高いため、XRDにてβ-W(WO)粉の生成は確認できず、炭化工程にて得られた炭化タングステン粉末は、BET比表面積が5.38m/g、BET法換算による平均粒径は71nmであり、満足のいく微粒炭化タングステン粉末を得ることはできなかった。
本発明例1〜6および比較例1として得られた炭化タングステン粉末について、超硬製ボールミルにて解砕を行った後、ホットプレスにて加圧・焼結することでWC焼結体を作製した。解砕粉を金型に充填し、30MPaで加圧しながら1800℃まで昇温、30分保持することでWC焼結体が得られた。
表2には、得られたWC焼結体について、測定された密度、ビッカース硬度、抗折力を示す。
比較例1の炭化タングステン粉末を用いて製造されたWC焼結体の特性値であるビッカース硬度、抗折力、および、焼結体密度は、それぞれ、ビッカース硬度1850kgf/mm、抗折力170kgf/mm、焼結体密度98.7%であったのに対し、本発明例1〜6に係る微粒炭化タングステン粉末を用いて製造されたWC焼結体は、原料である炭化タングステンの微粒化により、いずれも、ビッカース硬度(Hv)が2300kgf/mm以上、抗折力が170kgf/mm以上、焼結密度が、99.5%以上である、高硬度高密度の優れた特性を有するものであった。
本発明に係る微粒炭化タングステン粉末の製造方法は、微粒炭化タングステン粉末を安全に製造する方法を提供するものであり、きわめて有用である。
そして、本発明に係る製造方法では、BET比表面積が大きく、BET法換算による粒径の小さい炭化タングステン粉末についても製造が可能であり、得られた微粒炭化タングステン粉末を用いて製造される焼結体は高硬度であることから、切削工具や、金型などの塑性加工用耐摩工具の製造にきわめて有用なものである。

Claims (6)

  1. 微粒炭化タングステン粉末の製造方法であって、
    (a)原材料より三酸化タングステン粉末を製造する工程と、
    (b)前記三酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合し、還元雰囲気にて加熱還元し、β-W(WO)粉末を製造する還元工程と、
    (c)前記β-W(WO)粉末を還元雰囲気または不活性雰囲気にて、共存する炭素にて炭化し、炭化タングステン粉末を製造する炭化工程と、
    を順に有する微粒炭化タングステン粉末の製造方法であり、
    前記(a)工程は、タングステン酸(WO・HO)を350℃から500℃において大気雰囲気または不活性雰囲気中にてか焼し、三酸化タングステン粉末を製造する工程であり、
    前記(b)工程は、前記三酸化タングステン粉末を水素雰囲気下、500℃以下の温度にて加熱還元し、β-W(WO)粉末を製造する工程であり、
    前記(c)工程は、水素雰囲気下または不活性雰囲気下、1000℃以上にて行う前記β-W(WO)粉末の炭化工程であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
  2. 請求項1に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
    前記(b)工程である還元工程と前記(c)工程である炭化工程は、同一の還元炉において行われることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
    前記微粒炭化タングステン粉末は、BET比表面積が、6.41m/g以上であり、BET法による平均粒径が60nm以下であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
    前記微粒炭化タングステン粉末は、BET比表面積が、9.50m/g以上であり、BET法による平均粒径が40nm以下であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
    前記微粒炭化タングステン粉末は、ガス成分である酸素(O%)、窒素(N%)を除き、純度が99.9%以上であることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された微粒炭化タングステン粉末の製造方法において、
    前記微粒炭化タングステン粉末は、Fe含有量が100ppm以下あることを特徴とする微粒炭化タングステン粉末の製造方法。


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