以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施形態としては、1台の室外機に3台の室内機が冷媒配管および配線で並列に接続され、全ての室内機で同時に冷房運転あるいは暖房運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
図1に示すように、本実施形態における空気調和装置1は、3個の液側閉鎖弁26a〜26cと3個のガス側閉鎖弁27a〜27cを有する1台の室外機2と、3台の室内機5a〜5cの合計3台の室内機と、3個の膨張弁100a〜100cを備える膨張弁ボックス100を有する。詳細は後述するが、室内機5a〜5cそれぞれの室内熱交換器における熱交換量が異なり、室内機5cの熱交換量が一番少なく、室内機5bの熱交換量が一番多い。そして、室内機5aの熱交換量は室内機5bと室内機5cの間の量である。そして、室外機2と室内機5a〜5cと膨張弁ボックス100が、3本の液管8a、8b、8cと3本のガス管9a、9b、9cで、また、第1配線250a、第1枝配線250aa〜250ac、第2配線250b、および、第2枝配線250ba〜250bcで、並列に接続されている。
具体的には、図1(A)に示すように、液管8aの一端は室内機5aの液管接続部52aに接続され、液管8aの他端は室外機2の液側閉鎖弁26aに接続されている。また、液管8bの一端は室内機5bの液管接続部52bに接続され、液管8bの他端は室外機2の液側閉鎖弁26bに接続されている。そして、液管8cの一端は室内機5cの液管接続部52cに接続され、液管8cの他端は室外機2の液側閉鎖弁26cに接続されている。そして、膨張弁ボックス100の膨張弁100aが液管8aに設けられ、膨張弁100bが液管8bに設けられ、膨張弁100cが液管8cに設けられている。
ガス管9aの一端は室内機5aのガス管接続部53aに接続され、ガス管9aの他端は室外機2のガス側閉鎖弁27aに接続されている。また、ガス管9bの一端は室内機5bのガス管接続部53bに接続され、ガス管9bの他端は室外機2のガス側閉鎖弁27bに接続されている。そして、ガス管9cの一端は室内機5cのガス管接続部53cに接続され、ガス管9cの他端は室外機2のガス側閉鎖弁27cに接続されている。
以上のように、室外機2に室内機5a〜5cが、膨張弁100a〜100cが設けられた液管8a〜8cと、ガス管9a〜9cでそれぞれ接続されて、空気調和装置1の冷媒回路10が構成されている。これら液管8a〜8cおよびガス管9a〜9cが、本発明の冷媒配管である。
図2(B)に示すように、第1配線250aの一端は、後述する室外機2の室外機制御手段200の通信部230と接続され、第1配線250aの他端は、第1枝配線250aa〜250acの各々の一端と接続されている。そして、第1枝配線250aaの他端は室内機5aの図示しない制御手段と、第1枝配線250abの他端は室内機5bの図示しない制御手段と、第1枝配線250acの他端は室内機5cの図示しない制御手段とそれぞれ接続されている。これら第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acが、本発明の室内機配線である。
第2配線250bの一端は、室外機制御手段200の通信部230と接続され、第2配線250bの他端は、第2枝配線250ba〜250bcの各々の一端と接続されている。そして、第2枝配線250baの他端は膨張弁100aと、第2枝配線250bbの他端は膨張弁100bと、第2枝配線250bcの他端は膨張弁100cとそれぞれ接続されている。これら第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcが、本発明の流量調整手段配線である。
<室外機2の構成>
まず、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、アキュムレータ24と、室外ファン25と、上述した3個の液側閉鎖弁26a〜26cおよび3個のガス側閉鎖弁27a〜27cと、室外機制御手段200を備えている。そして、室外ファン25および室外機制御手段200を除くこれら各装置が、以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路20を構成している。
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転能力を可変できる能力可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出口と四方弁22のポートaが吐出管41で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側とアキュムレータ24の冷媒流出側が吸入管42で接続されている。
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り換えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。上述したように、ポートaと圧縮機21の冷媒吐出口が吐出管41で接続されている。ポートbと室外熱交換器23の一方の冷媒出入口が冷媒配管43で接続されている。ポートcとアキュムレータ24の冷媒流入側が冷媒配管46で接続されている。そして、ポートdには室外機ガス管45の一端が接続されている。
室外機ガス管45の他端には、3本の室外機ガス分管45a〜45cの各々の一端が接続されている。室外機ガス分管45aの他端はガス側閉鎖弁27aに接続されている。室外機ガス分管45bの他端はガス側閉鎖弁27bに接続されている。室外機ガス分管45cの他端はガス側閉鎖弁27cに接続されている。
室外熱交換器23は、室外ファン25の回転により図示しない吸込口から室外機2の内部に取り込まれた外気と冷媒を熱交換させる。上述したように、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と四方弁22のポートbが冷媒配管43で接続されている。また、室外熱交換器23の他方の冷媒出入口には室外機液管44の一端が接続されている。室外熱交換器23は、冷媒回路10が冷房サイクルとなる場合は凝縮器として機能し、冷媒回路10が暖房サイクルとなる場合は蒸発器として機能する。
室外機液管44の他端には、3本の室外機液分管44a〜44cの各々の一端が接続されている。室外機液分管44aの他端は液側閉鎖弁26aに接続されている。室外機液分管44bの他端は液側閉鎖弁26bに接続されている。室外機液分管44cの他端は液側閉鎖弁26cに接続されている。
アキュムレータ24は、上述したように、冷媒流入側と四方弁22のポートcが冷媒配管46で接続され、冷媒流出側と圧縮機21の冷媒吸入口が吸入管42で接続されている。アキュムレータ24は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを吸入管42を介して圧縮機21に吸入させる。
室外ファン25は、室外熱交換器23の近傍に配置される樹脂材で形成されたプロペラファンであり、図示しないファンモータによって室外ファン25が回転することで、室外機2に設けられた図示しない吸込口から室外機2の内部に外気を取り込み、室外熱交換器23を流れる冷媒と熱交換した外気を室外機2に設けられた図示しない吹出口から室外機2の外部へ放出する。
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管41には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ31と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ33が設けられている。
冷媒配管46におけるアキュムレータ24の冷媒流入側近傍には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ32と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ34が設けられている。
室外機液管44における室外熱交換器23の近傍には、室外熱交換器23が蒸発器として機能する際に室外熱交換器23に流入する冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ35が設けられている。また、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ38が設けられている。
室外機液分管44aには、室外機液分管44aを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36aが設けられている。室外機液分管44bには、室外機液分管44bを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36bが設けられている。室外機液分管44cには、室外機液分管44cを流れる冷媒の温度を検出する液側温度センサ36cが設けられている。
また、室外機2には、本発明の制御手段である室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納された制御基板に搭載されており、図1(B)に示すように、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240とを備えている。
記憶部220は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン25の駆動状態、室内機5a〜5cから送信される運転情報(運転/停止情報や設定温度情報等を含む)等を記憶する。通信部230は、前述したように第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acによって室内機5a〜室内機5cと接続されるとともに、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcによって膨張弁ボックス100の膨張弁100a〜100cと接続されている。つまり、通信部230は、第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acを介して室内機5a〜室内機5cと通信を行うとともに、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcを介して膨張弁ボックス100に信号を送信するインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
CPU210は、センサ入力部240を介して各種センサでの検出値を定期的(例えば、30秒毎)に取り込むとともに、室内機5a〜5cから第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acを介して送信される運転開始/停止を示す運転状態や運転情報(設定温度や室内温度等)を含んだ信号が通信部230を介して入力される。CPU210は、これら入力された各種情報に基づいて、圧縮機21や室外ファン25の駆動制御を行うとともに、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcを介して膨張弁ボックス100の膨張弁100a〜100cの開度調整を行う。
<膨張弁ボックス100の構成>
次に、膨張弁ボックス100について説明する。膨張弁ボックス100は3個の膨張弁100a〜100cを有しており、膨張弁100aは液管8aに、膨張弁100bは液管8bに、膨張弁100cは液管8cに、それぞれ設けられている。また、膨張弁100aは第2配線250bと第2枝配線250baで、膨張弁100bは第2配線250bと第2枝配線250bbで、膨張弁100cは第2配線250bと第2枝配線250bcでそれぞれ室外機2の通信部230に接続されている。膨張弁100a〜100cは、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁であり、第2配線250bと第2枝配線250ba〜250bcを介して室外機2から送信されるパルスモータに与えられるパルス数によってそれぞれの開度が調整されることで、室内機5a〜室内機5cに流れる冷媒量がそれぞれ調整される。
<室内機5a〜5cの構成>
次に、室内機5a〜5cについて説明する。室内機5a〜5cは、室内熱交換器51a〜51cと、液管接続部52a〜52cと、ガス管接続部53a〜53cと、室内ファン54a〜54cを備えている。そして、室内ファン54a〜54cを除くこれら各構成装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路50a〜50cを構成している。
尚、前述したように室内機5a〜室内機5cは室内熱交換器51a〜51cにおける熱交換量がそれぞれ異なるが、熱交換量以外については、室内機5a〜5cは全て同じ構成を有するため、以下の説明では室内機5aについてのみ構成の説明を行い、室内機5b、5cの構成については説明を省略する。尚、図1(A)では、室内機5aの構成装置に付与した番号の末尾をaからbあるいはcにそれぞれ変更したものが、室内機5aの構成装置と対応する室内機5b、5cの構成装置となる。
室内熱交換器51aは、冷媒と、室内ファン54aの回転により室内機5aに備えられた図示しない吸込口から室内機5aの内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器51aの一方の冷媒出入口と液管接続部52aが室内機液管71aで接続されている。室内熱交換器51aの他方の冷媒出入口とガス管接続部53aが室内機ガス管72aで接続されている。尚、液管接続部52aやガス管接続部53aには、各冷媒配管が溶接やフレアナット等によって接続されている。室内熱交換器51aは、室内機5aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機5aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
室内ファン54aは、室内熱交換器51aの近傍に配置される樹脂材で形成されたクロスフローファンであり、図示しないファンモータによって回転することで、図示しない吸込口から室内機5aの内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器51aにおいて冷媒と熱交換した室内空気を室内機5aに備えられた図示しない吹出口から室内へ供給する。
以上説明した構成の他に、室内機5aには下記のセンサが設けられている。室内熱交換器51aには、室内熱交換器51aの温度すなわち熱交温度を検出する熱交温度センサ61aが備えられている。また、室内機5aの図示しない吸込口付近には、室内機5aの内部に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室内温度センサ62aが備えられている。
また、図示と詳細な説明は省略するが、室内機5aには室内機制御手段が備えられている。室内機制御手段は、CPUと記憶部と通信部とセンサ入力部を備えている。記憶部は、ROMやRAMで構成されており、室内機5aの制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン54aの制御状態等を記憶している。通信部は、第1配線250aおよび第1枝配線250aaによって、室外機2の通信部230と接続されており、第1配線250aおよび第1枝配線250aaを介して室外機2との通信を行うインターフェイスである。
センサ入力部は、室内機5aの各種センサでの検出結果を取り込んでCPUに出力する。CPUは、前述した室内機5aの各センサでの検出結果をセンサ入力部を介して取り込む。また、CPUは、室外機2から送信される制御に関わる信号を通信部、第1配線250aおよび第1枝配線250aaを介して取り込む。また、CPUは、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、室内ファン54aの駆動制御を行う。さらには、CPUは、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した設定温度と、室内温度センサ62aで検出した室温との温度差を算出し、算出した温度差に基づいた要求能力を通信部、第1配線250aおよび第1枝配線250aaを介して室外機2の室外機制御手段200に送信する。
<冷媒回路10の動作>
次に、本実施形態の空気調和装置1が空調運転を行うときの冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作を、図1(A)を用いて説明する。尚、以下の説明では、室内機5a〜5cが暖房運転を行う場合について説明し、空気調和装置1が冷房運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1(A)における矢印は、冷媒回路10における暖房運転時の冷媒の流れを示している。
空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四方弁22が図1(A)に実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するように、また、ポートbとポートcが連通するように切り換えられる。これにより、冷媒回路10が図1(A)に矢印で示す方向に冷媒が流れる状態となり、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器51a〜51cがそれぞれ凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
上記のような冷媒回路10の状態で圧縮機21が起動すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は吐出管41から四方弁22に流入し、四方弁22から室外機ガス管45を流れて室外機ガス分管45a〜45cに分流する。室外機ガス分管45a〜45cに分流した冷媒は、ガス側閉鎖弁27a〜27cを介してガス管9a〜9cに流入する。
ガス管9aを流れる冷媒は、室内機5aのガス管接続部53aを介して室内機5aに流入する。室内機5aに流入した冷媒は、室内機ガス管72aを流れて室内熱交換器51aに流入し、室内ファン54aの回転により室内機5aの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。また、ガス管9bを流れる冷媒は、室内機5bのガス管接続部53bを介して室内機5bに流入する。室内機5bに流入した冷媒は、室内機ガス管72bを流れて室内熱交換器51bに流入し、室内ファン54bの回転により室内機5bの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。また、ガス管9cを流れる冷媒は、室内機5cのガス管接続部53cを介して室内機5cに流入する。室内機5cに流入した冷媒は、室内機ガス管72cを流れて室内熱交換器51cに流入し、室内ファン54cの回転により室内機5cの内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。
このように、室内熱交換器51a〜51cがそれぞれ凝縮器として機能し、室内熱交換器51a〜51cで冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない室内機5a〜5cの吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機5a〜5cが設置された各部屋の暖房が行われる。
室内熱交換器51aから流出した冷媒は室内機液管71aを流れ、液管接続部52aを介して液管8aに流出する。液管8aを流れる冷媒は、膨張弁100aで減圧されて液側閉鎖弁26aを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁26aから室外機液分管44aに流入する。また、室内熱交換器51bから流出した冷媒は室内機液管71bを流れ、液管接続部52bを介して液管8bに流出する。液管8bを流れる冷媒は、膨張弁100bで減圧されて液側閉鎖弁26bを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁26bから室外機液分管44bに流入する。また、室内熱交換器51cから流出した冷媒は室内機液管71cを流れ、液管接続部52cを介して液管8cに流出する。液管8cを流れる冷媒は、膨張弁100cで減圧されて液側閉鎖弁26cを介して室外機2に流入し、液側閉鎖弁26cから室外機液分管44cに流入する。
室外機液分管44a〜44cのそれぞれを流れる冷媒は、室外機液管44で合流する。室外機液管44で合流した冷媒は、室外機液管44を流れて室外熱交換器23に流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン25の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。
室外熱交換器23から冷媒配管43に流出した冷媒は、四方弁22、冷媒配管46、アキュムレータ28、吸入管42の順に流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
尚、空気調和装置1が冷房運転を行う場合、CPU210は、四方弁22を破線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートbが連通するよう、また、ポートcとポートdが連通するように切り換える。これにより、冷媒回路100は、室外熱交換器23が凝縮器として機能するとともに室内熱交換器51a〜51cがそれぞれ蒸発器として機能する冷房サイクルとなる。
<冷媒配管や配線の接続の正誤判定>
次に、図2乃至図4を用いて、本実施形態の空気調和装置1で冷媒回路10を暖房サイクルとして、冷媒配管8a〜8cの接続、および、第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acの接続、および、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcの接続の正誤を判定する(以降、特に必要な場合を除き単に「正誤判定」と記載する)方法について説明する。ここで、正誤判定とは、室外機2と各室内機5a〜5cが、図1に示すとおりに、冷媒配管8a〜8cと、第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acと、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcで接続されているか否かを判定することである。言い換えると、冷媒配管8a〜8c、第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250ac、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcのうちのいずれかが誤って接続されているか否かを判定することである。
正誤判定の具体的な方法は、次の通りである。冬季や寒冷地等に空気調和装置1を設置したとき、まず、冷媒回路10が暖房サイクルとされ、圧縮機21が所定回転数で起動され、室内ファン54a〜54cがそれぞれ所定回転数で起動され、膨張弁100a〜100cがそれぞれ所定の開度とされて、冷媒回路10を安定させる。
尚、圧縮機21の所定回転数とは、例えば、凝縮器として機能する室内熱交換器51a〜51cにおけるそれぞれの凝縮温度(熱交温度センサ61a〜61cで検出できる)が室温(室内温度センサ62a〜62cで検出できる)+15℃の温度となる回転数である。また、室内ファン54a〜54cの所定回転数とは、室内熱交換器51a〜51cにおける凝縮温度を室温+15℃とでき、かつ、蒸発器として機能する室外熱交換器23で着霜が発生しない程度の低い回転数である。また、膨張弁100a〜100cの所定開度とは、例えば、全開と全閉の中間の開度である。そして、冷媒回路10が安定するとは、例えば、凝縮温度が室温+15℃に到達して5分が経過した状態である。
冷媒回路10が安定すれば、このときの室内機5a〜5cの熱交温度センサ61a〜61cで熱交温度(以降、判定前熱交温度と記載)が検出され、その後膨張弁100a〜100cのうちいずれか1つが全閉とされる。そして、図2に示す判定時間テーブル300から抽出した判定時間(単位:min。以降、判定時間tjと記載する)の間、当該膨張弁を全閉とする状態を維持する。
ここで、判定時間テーブル300は、予め試験等を行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、室外機2に接続される(ことが想定される)室内機の熱交換量(以降、熱交換量Haと記載)に応じて、膨張弁100a〜100cを全閉の状態で維持する時間である上述した判定時間tjを定めたものである。
熱交換量Haとは、室内熱交換器において単位時間当たりに冷媒と室内空気との間で交換される熱量を意味し、流入する冷媒量が同じで室内熱交換器の大きさが異なる場合や、室内熱交換器の大きさが同じであっても室外機と接続される冷媒配管の長さが室内機毎に異なって、各室内機に流入する冷媒量が異なる場合に、熱交換量Haに違いが生じる。従って、各室内熱交換器に流入する冷媒量や風量が同じである場合、熱交換量Haが小さい室内熱交換器は、熱交換量Haが大きい室内熱交換器と比べて、熱交温度の単位時間当たりの変化量が小さくなる。
上記内容を踏まえて、判定時間テーブル300では、熱交換量Haが小さいほど判定時間tjが長くなるように設定されている。具体的には、熱交換量Haが一番小さい値Aであるときの判定時間tjは一番長いtjaとされており、熱交換量HaがA→B→Cと大きくなるのにつれて判定時間tjはtja→tjb→tjcと短くなるように定められている。
そして、膨張弁100a〜100cのいずれかが全閉とされた後は、全閉とされた膨張弁100a〜100cに対応する室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じた判定時間tja〜tjcの間、全閉である状態を維持する。尚、これら判定時間tja〜tjcは、全閉とされたいずれかの膨張弁100a〜100cに対応する室内熱交換器51a〜51cにおいて、熱交温度センサ61a〜61cで検出する熱交温度が、膨張弁100a〜100cのいずれかの全閉による冷媒流入の遮断によって低下するまでに必要な時間であり、前述したように予め試験等を行って求められて判定時間テーブル300として記憶されているものである。
熱交換量Haが小さい室内熱交換器に対応する膨張弁を全閉とする判定時間が、熱交換量Haが大きい室内熱交換器に対応する膨張弁を全閉とする判定時間と同じであれば、この判定時間の間に熱交換量Haが小さい室内熱交換器における膨張弁の全閉前後の熱交温度の低下度合は、熱交換量Haが大きい室内熱交換器における膨張弁の全閉前後の熱交温度の低下度合と比べて小さい。しかし、上述したように、熱交換量Haが小さいほど判判定時間tjを長くすれば、熱交換量Haが小さい室内熱交換器でも熱交換量Haが大きい室内熱交換器と同等の膨張弁の全閉前後の熱交温度の低下度合とできる。
膨張弁100a〜100cのうちの1つが全閉とされ、全閉とされた膨張弁100a〜100cのいずれか1つ(以降、必要な場合を除いて全閉膨張弁と記載する)に対応する室内機5a〜5cのいずれか1台(以降、必要な場合を除いて判定室内機と記載する)の判定時間tjが経過した後、全閉膨張弁に対応する判定室内機の熱交温度センサ61a〜61cのいずれか1つ(以降、必要な場合を除いて判定熱交温度センサと記載する)で検出した熱交温度(以降、全閉後熱交温度と記載)が取り込まれて、当該室内機の判定前熱交温度から全閉後熱交温度を減じた温度差が算出される。そして、この温度差が所定の閾温度差(例えば、5℃、以降、閾温度差Tthと記載)以上であれば、全閉膨張弁に対応する室内熱交換器51a〜51cのいずれか1台(以降、必要な場合を除いて判定室内熱交換器と記載する)に流入する冷媒量が減少したことによって全閉後熱交温度が大きく低下したと考えられるので、全閉膨張弁と熱交温度を取り込んだ判定室内機5a〜5cの間の冷媒配管や配線の接続は正しいと判定できる。
これとは反対に、膨張弁100a〜100cのうちの1つが全閉とされ、全閉膨張弁に対応する判定室内機の判定時間tjが経過した後、全閉膨張弁に対応する判定室内機の判定熱交温度センサで検出した全閉後熱交温度を当該室内機の判定前熱交温度から減じた温度差が、所定の閾温度差Tth差未満であれば、当該室内機の室内熱交換器に流入する冷媒量がほとんど変化していない、つまり、当該室内機に対応する膨張弁が全閉とされていないか、あるいは、全閉膨張弁に対応しない室内機5a〜5cのいずれかの熱交温度を取り込んでいると考えられるので、全閉膨張弁と熱交温度を取り込んだ判定室内機の間の冷媒配管あるいは配線のいずれかの接続が誤っていると判定できる。
以上説明した正誤判定の結果を、本実施形態の空気調和装置1では図3に示す配管・配線接続判定テーブル400として記憶部220に記憶している。この配管・配線接続判定テーブル400では、室内機5a〜5c毎に、熱交換量Ha、判定時間tj、判定前熱交温度(以降、判定前熱交温度TBE(単位:℃)と記載。室内機5a〜5c個別に言及する必要がある場合は、TBEa〜TBEcと記載)、全閉後熱交温度(以降、全閉後熱交温度TAF(単位:℃)と記載。室内機5a〜5c個別に言及する必要がある場合は、TAFa〜TAFcと記載)、および判定結果が記憶されている。
上述した配管・配線接続判定テーブル400において、熱交換量Haは空気調和装置1の設置時に作業者によって入力された値が記憶されるものである。また、判定時間tjは、判定時間テーブル300を参照し、記憶した室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じた判定時間tjを抽出し、これを室内機5a〜5c毎に記憶する。尚、判定時間tjは、本実施形態のように判定時間テーブル300を参照して抽出した値を記憶するのではなく、熱交換量Haと同様に作業者によって入力された値を記憶してもよい。また、室外機2に接続される室内機が予め判明している場合や、室外機2と室内機5a〜5cを接続する冷媒配管の長さが予め判明している場合は、室外機2の出荷時等に熱交換量Haと判定時間tjを予め記憶していてもよい。
一方、判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFと判定結果は、正誤判定を行って室内機5a〜5c毎に記憶されるものであり、判定前熱交温度TBEは膨張弁100a〜100cの全閉前の所定開度時における熱交温度センサ61a〜61cの検出値であり、全閉後熱交温度TAFは膨張弁100a〜100cを全閉としてから判定時間tjが経過した後の熱交温度センサ61a〜61cの検出値である。また、判定結果は、判定前熱交温度TBEから全閉後熱交温度TAFを減じた温度差と閾温度差を比較した結果に応じて「OK」あるいは「NG」と判定された結果が記憶されるものである。
尚、本実施形態における配管・配線接続判定テーブル400では、一例として、室内機5aについては、熱交換量HaはB、判定時間tjは判定時間テーブル300を参照し熱交換量Ha=Bに対応する判定時間tjb、判定前熱交温度TBEが30℃、全閉後熱交温度TAFが22℃、判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が8℃であり閾温度差Tthである5℃より大きいため判定結果が「OK」である場合を示している。つまり、室外機2と室内機5aと膨張弁100aについては冷媒配管や配線の接続が正しい(図1に示す通り、液管8aと第1配線250aおよび第1枝配線250aaで室外機2と室内機5aが、また、第2配線250bおよび第2枝配線250baで室外機2と膨張弁100aが接続されている)場合を示している。
また、室内機5bについては、熱交換量HaはC、判定時間tjは判定時間テーブル300を参照し熱交換量Ha=Cに対応する判定時間tjc、判定前熱交温度TBEが30℃、全閉後熱交温度TAFが28℃、判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が2℃であり閾温度差Tthである5℃より小さいため判定結果が「NG」である場合を示している。
さらには、室内機5cについては、熱交換量HaはA、判定時間tjは判定時間テーブル300を参照し熱交換量Ha=Aに対応する判定時間tja、判定前熱交温度TBEが30℃、全閉後熱交温度TAFが29℃、判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が1℃であり閾温度差Tthである5℃より小さいため判定結果が「NG」である場合を示している。
つまり、室外機2と室内機5bと膨張弁100b、および、室外機2と室内機5cと膨張弁100cのいずれについても、図1に示す通りではなく、液管8bと液管8cが誤って接続(液管8bで室外機2と室内機5cが接続され、液管8cで室外機2と室内機5bが接続)されているか、あるいは、第1枝配線250abと第1枝配線250acが誤って接続(第1枝配線250abで室外機2と室内機5cが接続され、第1枝配線250acで室外機2と室内機5bが接続)されているか、あるいは、第2枝配線250bbと第2枝配線250bcが誤って接続(第2枝配線250bbで室外機2と膨張弁100cが接続され、第2枝配線250bcで室外機2と膨張弁100bが接続)されていて、室内機5bと室内機5cにおける冷媒配管あるいは配線のいずれかの接続が誤りである場合を示している。
以上のように、膨張弁100a〜100cを全閉とする前後の熱交温度である判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を用いて正誤判定を行うときに、図2に示す判定時間テーブル300を用いて室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じた判定時間tjを選択し、膨張弁100a〜100cを選択した判定時間tjの間全閉とする。これにより、室内熱交換器51a〜51の熱交換量Haに違いがあっても、冷媒配管や配線の接続が正しい場合は、膨張弁100a〜100cの全閉前後で室内熱交換器51a〜51における熱交温度が全て同じように変化する。従って、確実に冷媒配管や配線の接続の正誤判定を行うことができる。
<正誤判定の処理の流れ>
次に、図4を用いて、暖房運転で正誤判定を行う際の処理について説明する。尚、図4において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。また、図4では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば主に室外機2(の室外機制御手段200)が行う冷媒回路10の圧力や温度に関わる制御といった空気調和装置1の一般的な制御に関わる処理については説明を省略する。
室外機制御手段200のCPU210は正誤判定を開始すると、圧縮機21を所定回転数で起動するとともに、室内機5a〜5cに対し室内ファン54a〜54cの各々の起動時回転数である所定回転数を含む室内ファン起動信号を送信する(ST1)。前述したように、圧縮機21の所定回転数は、凝縮器として機能する室内熱交換器51a〜51cにおける凝縮温度が室温+15℃の温度となる回転数である。また、室内ファン54a〜54cのそれぞれの所定回転数は、室内熱交換器51a〜51cにおける凝縮温度を室温+15℃とでき、かつ、蒸発器として機能する室外熱交換器23で着霜が発生しない程度の低い回転数である。
次に、CPU210は、膨張弁ボックス100の膨張弁100a〜100cに所定開度を含む開度信号を送信する(ST2)。前述したように、膨張弁100a〜100cの所定開度は、全開と全閉の中間の開度である。
次に、CPU210は、冷凍サイクルが安定したか否かを判断する(ST3)。前述したように、冷凍サイクルが安定するとは、凝縮温度が室温+15℃に到達して5分が経過した状態である。CPU210は、図示しないタイマー機能を有しており、高圧センサ31で検出した高圧をセンサ入力部240を介して取り込み、取り込んだ高圧を用いて算出した凝縮温度が室温+15℃に到達した時点でタイマーによる計時を開始し、凝縮温度が室温+15℃に到達してから5分経過するか否かを確認する。尚、CPU210は、上記タイマーによる計時が終了すれば、タイマーをリセットする。
冷凍サイクルが安定していなければ(ST3−No)、CPU210は、ST3に処理を戻して冷凍サイクルが安定するのを待つ。冷凍サイクルが安定すれば(ST3−Yes)、CPU210は、熱交温度センサ61a〜61cの各々が検出した室内機5a〜5cの熱交温度である判定前熱交温度TBE(TBEa〜TBEc)を含む信号を、室内機5a〜5cから受信する(ST4)。CPU210は、受信した信号に含まれる判定前熱交温度TBEa〜TBEcを、室内機5a〜5cに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル400に記憶する。
次に、CPU210は、室内機5aに対応する膨張弁100aに向けて、当該膨張弁を全閉とする全閉信号を送信する(ST5)。ここで、全閉信号には、膨張弁100aの全閉に対応するパルス数(0パルス)が含まれている。
次に、CPU210は、配管・配線接続判定テーブル400を参照して室内機5aに対応する判定時間tjbを読み出すとともに、タイマーによる計時を開始する(ST6)。
次に、CPU210は、ST6の処理を開始してから読み出した判定時間tjbが経過したか否かを判断する(ST7)。判定時間tjbが経過していなければ(ST7−No)、CPU210は、ST7に処理を戻す。
判定時間tjbが経過していれば(ST7−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信する(ST8)。CPU210は、上記信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFaとして、室内機5aに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル400に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEaと全閉後熱交温度TAFaを読み出し、判定前熱交温度TBEaから全閉後熱交温度TAFaを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST9)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST9−Yes)、CPU210は、正誤判定の結果をOK、つまり、室外機2と室内機5aおよび室外機2と膨張弁100aは、図1に示すように液管8a、第1配線250aおよび第1枝配線250aa、第2配線250bおよび第2枝配線250baで正しく接続されていると判定し(ST10)、ST12に処理を進める。一方、温度差が閾温度差Tth未満であれば(ST9−No)、CPU210は、正誤判定の結果をNG、つまり、室外機2と室内機5aおよび室外機2と膨張弁100aを接続する液管8a、第1配線250aおよび第1枝配線250aa、第2配線250bおよび第2枝配線250baのうちのいずれかが誤っていると判定し(ST11)、ST12に処理を進める。
ST12以降の処理については、CPU210は、上述したST5〜ST11までと同じ処理を室内機5bについて実行し(ST12〜ST18が該当する処理)、その次にST5〜ST11までと同じ処理を室内機5cについて実行する(ST19〜ST25が該当する処理)。各室内機5b、5cについての正誤判定の処理は、室内機5aの場合と同じであるため、説明は省略する。尚、CPU210は、室外機2に設けられる図示しない表示部に、ST10、ST11、ST17、ST18、ST24、および、ST25の判定結果を表示することで、空気調和装置1の設置作業者に判定結果を通知する。
ST24もしくはST25の処理を終えたCPU210は、正誤判定に関わる処理を終了する。
尚、以上説明した実施形態では、全閉とした膨張弁100a〜100cに対応する室内機5a〜5cの全閉後熱交温度TAFのみを検出し、当該室内機のみ判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を求めて閾温度差Tthと比較することで正誤判定を行っている。しかし、これに限られず、膨張弁100a〜100cのいずれかを全閉とした後に全ての全閉後熱交温度TAFを検出し、全ての室内機5a〜5cで判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を求めて、温度差が一番大きくなる室内機が全閉とした膨張弁に対応するものか否かを確認した後に、当該温度差を閾温度差Tthと比較してもよい。
以上説明した本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10を暖房サイクルとして冷媒配管や配線の接続の正誤判定を行うときに、室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じた判定時間tjの間膨張弁100a〜100cを全閉とする。これにより、膨張弁100a〜100cの全閉前後で室内熱交換器51a〜51における熱交温度が全て同じように変化する、つまり、各室内機5a〜5cにおける判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を全て適切な値とできるので、いかなる熱交換量Haを有する室内機5a〜5cが室外機2に接続されていても正誤判定を行うことができる。
次に、本発明の空気調和装置の第2の実施形態について、図5乃至図7を用いて説明する。第1の実施形態における空気調和装置1では、正誤判定を行うときに、室内機5a〜5cの室内熱交換器51a〜51cにおける熱交換量Haに応じて膨張弁100a〜100cを全閉とする判定時間tjを異ならせた。
これに対し、本実施形態の空気調和装置で正誤判定を行うときは、まず、膨張弁100a〜100cのそれぞれを全閉とする判定時間tjを同じ判定時間(単位:min。以降、基本判定時間tjmと記載する)とする。そして、膨張弁100a〜100cそれぞれの全閉前後に検出した判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が閾温度差Tth以上である室内機では、第1の実施形態と同様に当該室内機と室外機2と当該室内機に対応する膨張弁の冷媒配管の接続および配管の接続は正しいと判定する。
一方、全閉前後に検出した判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が閾温度差Tth
未満である室内機では、当該室内機の熱交換量Haに応じて予め定められた延長判定時間(単位:min。以降、延長判定時間tpと記載する)だけ当該室内機に対応する膨張弁を全閉とし、延長判定時間tpが経過した後の全閉後熱交温度TAFと判定前熱交温度TBEの温度差を用いて正誤判定を行う。
以下、図5乃至図7を用いて本実施形態における正誤判定について説明するが、上述した第1の実施形態における正誤判定の方法と異なる部分以外については第1の実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略し、第1の実施形態と異なる部分について詳細に説明する。
<冷媒配管や配線の接続の正誤判定>
図2および図5乃至図7を用いて、本実施形態の空気調和装置1で冷媒回路10を暖房サイクルとして、冷媒配管8a〜8cの接続、および、第1配線250aおよび第1枝配線250aa〜250acの接続、および、第2配線250bおよび第2枝配線250ba〜250bcの接続の正誤を判定する方法について説明する。
本実施形態の空気調和装置1で行う正誤判定の具体的な方法は、次の通りである。冬季や寒冷地等に空気調和装置1を設置したとき、まず、冷媒回路10が暖房サイクルとされ、圧縮機21が所定回転数で起動され、室内ファン54a〜54cがそれぞれ所定回転数で起動され、膨張弁100a〜100cがそれぞれ所定の開度とされて、冷媒回路10を安定させる。尚、圧縮機21および室内ファン54a〜54cの各所定回転数や、膨張弁100a〜100cのそれぞれの所定の開度、および、冷媒回路10の安定については、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
冷媒回路10が安定すれば、このときの室内機5a〜5cの熱交温度センサ61a〜61cで判定前熱交温度TBEa〜TBEcが検出される。判定前熱交温度TBEa〜TBEcが検出された後、膨張弁100a〜100cが順に予め定められた基本判定時間tjmの間全閉とされる。ここで、基本判定時間tjmは、予め試験等を行って求められて記憶部220に記憶されているものであり、室外機2に接続される室内機5a〜5cのうち熱交換量Haが一番大きい室内機の室内熱交換器において、当該室内熱交換器の熱交温度センサで検出する熱交温度が、当該室内機に対応する膨張弁を全閉としたことによる冷媒流入の遮断によって低下するまでに必要な時間である。
全ての膨張弁100a〜100cを順に基本判定時間tjmの間全閉とし、各室内機5a〜5cにおける判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を求めて閾温度差Tthと比較した結果、当該温度差が閾温度差Tth以上となる室内機では、当該室内機と室外機2と当該室内機に対応する膨張弁の冷媒配管の接続および配管の接続は正しいと判定する。一方、判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差が閾温度差Tth未満である室内機では、当該室内機のみ、図5に示す延長判定時間テーブル500を参照して抽出した延長判定時間tpだけ当該室内機に対応する膨張弁を全閉とする。
ここで、延長判定時間テーブル500は、予め試験等を行って求められて室外機制御手段200の記憶部220に記憶されているものであり、室外機2に接続される(ことが想定される)室内機の熱交換量Haに応じて、膨張弁100a〜100cを全閉とする時間を基本判定時間tjmに加えて延長する時間である延長判定時間tpを定めたものである。
第1の実施形態でも説明したが、熱交換量Haとは、室内熱交換器において単位時間当たりに冷媒と室内空気との間で交換される熱量を意味し、流入する冷媒量が同じで室内熱交換器の大きさが異なる場合や、室内熱交換器の大きさが同じであっても室外機と接続される冷媒配管の長さが室内機毎に異なって、各室内機に流入する冷媒量が異なる場合に、熱交換量Haに違いが生じる。従って、各室内熱交換器に流入する冷媒量や風量が同じである場合、熱交換量Haが小さい室内熱交換器は、熱交換量Haが大きい室内熱交換器と比べて、熱交温度の単位時間当たりの変化量が小さくなる。
上記内容を踏まえて、延長判定時間テーブル500では、熱交換量Haが一番大きい値であるCであるときを基準(延長判定時間tpを0minとする)としている。これは、前述したように、本実施形態では熱交換量Haが一番大きい室内機を元に基本判定時間tjmを定めているからである。そして、熱交換量HaがCより小さいBの場合の延長判定時間tpをtpb、Bより小さいAの場合の延長判定時間tpをtpa(>tpb)と定めている。
尚、これら延長判定時間tpaおよびtpbは、全閉とされたいずれかの膨張弁100a〜100cに対応する室内熱交換器51a〜51cにおいて、熱交温度センサ61a〜61cで検出する熱交温度が、膨張弁100a〜100cのいずれかの全閉による冷媒流入の遮断によって低下するまでに必要な時間が基本判定時間tjmでは足りず、基本判定時間tjmに加えて延長判定時間tpaあるいはtpbだけ全閉とする時間を延長することで、熱交温度が低下するまでに必要な時間となることが、予め試験等を行って判明している時間である。
膨張弁100a〜100cを順に基本判定時間tjmの間全閉として検出した各室内機5a〜5cにおける判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差のうち、温度差が閾温度差Tth未満となった室内機について、当該室内機に対応する膨張弁を、基本判定時間tjmに加えて当該室内機で定められる延長判定時間tpだけ全閉とし、延長判定時間tpが経過すれば全閉とされた膨張弁に対応する室内機の全閉後熱交温度が取り込まれて、当該室内機の判定前熱交温度TBEから全閉後熱交温度TAFを減じた温度差が再び算出される。
そして、この温度差が閾温度差Tth以上であれば、全閉とされた膨張弁と全閉後熱交温度を取り込んだ室内機の間の冷媒配管や配線の接続は正しいと判定でき、温度差が閾温度差Tth未満であれば、全閉とされた膨張弁と全閉後熱交温度を取り込んだ室内機の間の冷媒配管や配線の接続は誤っていると判定できる。
以上説明した正誤判定の結果を、本実施形態の空気調和装置1では図6に示す配管・配線接続判定テーブル600として記憶部220に記憶している。この配管・配線接続判定テーブル600は、室内機5a〜5c毎に、熱交換量Ha、延長判定時間tp、判定前熱交温度TBE、全閉後熱交温度TAF、および判定結果が記憶されている。
上述した配管・配線接続判定テーブル600において、熱交換量Ha、判定前熱交温度TBE、全閉後熱交温度TAF、および、判定結果は、第1の実施形態で説明した配管・配線接続判定テーブル400と同じであるため、ここでは、延長判定時間tpのみ説明する。延長判定時間tpは、延長判定時間テーブル500を参照し、記憶した室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じた延長判定時間tpを抽出し、これを室内機5a〜5c毎に記憶する。
本実施形態における配管・配線接続判定テーブル600では、一例として、室内機5aは熱交換量HaがBであるので、延長判定時間tpは延長判定時間テーブル500を参照し熱交換量Ha=Bに対応する延長判定時間tpbとなる。また、室内機5cは熱交換量HaがAであるので、延長判定時間tpは、延長判定時間テーブル500を参照し熱交換量Ha=Aに対応する延長判定時間tpaとなる。尚、室内機5bについては熱交換量HaがCであり、前述したように延長判定時間tpの基準であるので、延長判定時間tpは設定されない(図6では、室内機5bに対応する延長判定時間tpは「―――」としている)。
尚、延長判定時間tpは、本実施形態のように延長判定時間テーブル500を参照して抽出した値を記憶するのではなく、熱交換量Haと同様に作業者によって入力された値を記憶してもよい。また、室外機2に接続される室内機が予め判明している場合や、室外機2と室内機5a〜5cを接続する冷媒配管の長さが予め判明している場合は、室外機2の出荷時等に熱交換量Haと延長判定時間tpを予め記憶していてもよい。
以上のように、膨張弁100a〜100cを全閉とする前後の熱交温度である判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を用いて正誤判定を行うときに、当該温度差が閾温度差Tth未満である室内機がある場合は、図5に示す延長判定時間テーブル500を用いて当該室内機の熱交換量Haに応じた延長判定時間tpを選択し、当該室内機に対応する膨張弁を延長判定時間tpだけ全閉とする。これにより、室内熱交換器51a〜51cの熱交換量Haに違いがあっても、冷媒配管や配線の接続が正しい場合は、膨張弁100a〜100cの全閉前後で室内熱交換器51a〜51cにおける熱交温度が全て同じように変化する。従って、確実に冷媒配管や配線の接続の正誤判定を行うことができる。
<正誤判定の処理の流れ>
次に、図7を用いて、暖房運転で正誤判定を行う際の処理について説明する。尚、図7において、STは処理のステップを表し、これに続く数字はステップ番号を表している。また、図7では、本発明に関わる処理を中心に説明しており、これ以外の処理、例えば主に室外機2(の室外機制御手段200)が行う冷媒回路10の圧力や温度に関わる制御といった空気調和装置1の一般的な制御に関わる処理については説明を省略する。
尚、図7に示すフローチャートは、第1の実施形態における暖房運転で正誤判定を行う際の処理を示す図4のフローチャートと比べて次の点で異なる。まず、第1の実施形態では、図4のST6、ST13およびST20で、各室内機5a〜5cに対応する判定時間tj(tja〜tjc)を読み出してタイマーによる計時を開始し、ST7、ST14およびST21でタイマーによる計時を開始してから各判定時間tjが経過したか否かを判断している。これに対し、本実施形態では、図4のST6、ST13およびST20にそれぞれ対応する図7のST36、ST47およびST54では、タイマーによる計時を開始するのみであり、図4のST7、ST14、およびST21にそれぞれ対応する図7のST37、ST48、およびST55では、ST37、ST48、およびST55でタイマーによる計時を開始してから基本判定時間tjmが経過したか否かを判断している。
次に、第1の実施形態では、図4のST9、ST16およびST23で、各室内機5a〜5cにおいて判定前熱交温度TBE(TBEa〜TBEc)から全閉後熱交温度TAF(TAFa〜TAFc)を減じたそれぞれの温度差が閾温度差Tth以上でなければ、ST11、ST18およびST25で判定:NGとしている。これに対し、本実施形態では、図4のST9に対応する図7のST39で室内機5aにおいて判定前熱交温度TBEaから全閉後熱交温度TAFaを減じた温度差が閾温度差Tth以上でなければ、図7に示すST41〜ST44の処理を行う。
また、図4のST23に対応する図7のST57で室内機5cにおいて判定前熱交温度TBEcから全閉後熱交温度TAFcを減じた温度差が閾温度差Tth以上でなければ、図7におけるST59〜ST62の処理を行う。尚、図4のST16に対応する図7のST50で、室内機5bにおいて判定前熱交温度TBEbから全閉後熱交温度TAFbを減じた温度差が閾温度差Tth以上でないときは、第1の実施形態と同じくST52で判定:NGとする。これは、前述したように室内機5bには延長判定時間tjが設定されていないためである。
以上説明した違いを除き、図7に示す本実施形態における暖房運転で正誤判定を行う際の処理は、図4に示す第1の実施形態における暖房運転で正誤判定を行う際の処理と同じであるため、以下の説明では、上述した第1の実施形態と異なる処理についてのみ詳細に説明する。
ST35までの処理で判定前熱交温度TBEを含む信号を受信した後に、室内機5aに対応する膨張弁100aに向けて、当該膨張弁を全閉とする全閉信号を送信したCPU210は、タイマーによる計時を開始する(ST36)。
次に、CPU210は、ST36の処理を開始してから基本判定時間tjmが経過したか否かを判断する(ST37)。基本判定時間tjmが経過していなければ(ST37−No)、CPU210は、ST37に処理を戻す。基本判定時間tjmが経過していれば(ST37−Yes)、CPU210は、
ST38でタイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信し、この信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFaとして、室内機5aに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル600に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEaと全閉後熱交温度TAFaを読み出し、判定前熱交温度TBEaから全閉後熱交温度TAFaを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST39)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST39−Yes)、CPU210は、正誤判定の結果をOK、つまり、室外機2と室内機5aおよび室外機2と膨張弁100aは、図1に示すように液管8a、第1配線250aおよび第1枝配線250aa、第2配線250bおよび第2枝配線250baで正しく接続されていると判定し(ST40)、ST46に処理を進める。
一方、温度差が閾温度差Tth未満であれば(ST39−No)、CPU210は、配管・配線接続配点テーブル600を参照して室内機5aに定められている延長判定時間tpbを読み出し、タイマーによる計時を開始する(ST41)。
次に、CPU210は、ST41でタイマーによる計時を開始してから延長判定時間tpbが経過したか否かを判断する(ST42)。延長判定時間tpbが経過していなければ(ST42−No)、CPU210は、ST42に処理を戻す。延長判定時間tpbが経過していれば(ST42−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信し(ST43)、この信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFaとして、室内機5aに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル600に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEaと全閉後熱交温度TAFaを読み出し、判定前熱交温度TBEaから全閉後熱交温度TAFaを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST44)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST44−Yes)、CPU210は、ST40に処理を進める。温度差が閾温度差Tth未満であれば(S44−No)、CPU210は、正誤判定の結果をNG、つまり、室外機2と室内機5aおよび室外機2と膨張弁100aを接続する液管8a、第1配線250aおよび第1枝配線250aa、第2配線250bおよび第2枝配線250baのうちのいずれかが誤っていると判定し(ST45)、ST46に処理を進める。
ST46に処理を進め、室内機5bに対応する膨張弁100bに向けて、当該膨張弁を全閉とする全閉信号を送信したCPU210は、タイマーによる計時を開始する(ST47)。
次に、CPU210は、ST47の処理を開始してから基本判定時間tjmが経過したか否かを判断する(ST48)。基本判定時間tjmが経過していなければ(ST48−No)、CPU210は、ST48に処理を戻す。基本判定時間tjmが経過していれば(ST48−Yes)、CPU210は、
ST49でタイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信し、この信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFbとして、室内機5bに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル600に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEbと全閉後熱交温度TAFbを読み出し、判定前熱交温度TBEbから全閉後熱交温度TAFbを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST50)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST50−Yes)、CPU210は、正誤判定の結果をOK、つまり、室外機2と室内機5bおよび室外機2と膨張弁100bは、図1に示すように液管8b、第1配線250aおよび第1枝配線250ab、第2配線250bおよび第2枝配線250bbで正しく接続されていると判定し(ST51)、ST53に処理を進める。
一方、温度差が閾温度差Tth未満であれば(ST50−No)、CPU210は、正誤判定の結果をNG、つまり、室外機2と室内機5bおよび室外機2と膨張弁100bを接続する液管8b、第1配線250aおよび第1枝配線250ab、第2配線250bおよび第2枝配線250bbのうちのいずれかが誤っていると判定し(ST52)、ST53に処理を進める。前述したように、室内機5bについては延長判定時間tpが設定されていないため、ST50で温度差が閾温度差Tth未満であれば、正誤判定の結果をNGと判断する。
ST53に処理を進め、室内機5cに対応する膨張弁100cに向けて、当該膨張弁を全閉とする全閉信号を送信したCPU210は、タイマーによる計時を開始する(ST54)。
次に、CPU210は、ST54の処理を開始してから基本判定時間tjmが経過したか否かを判断する(ST55)。基本判定時間tjmが経過していなければ(ST55−No)、CPU210は、ST55に処理を戻す。基本判定時間tjmが経過していれば(ST55−Yes)、CPU210は、
ST56でタイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信し、この信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFcとして、室内機5cに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル600に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEcと全閉後熱交温度TAFcを読み出し、判定前熱交温度TBEcから全閉後熱交温度TAFcを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST57)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST57−Yes)、CPU210は、正誤判定の結果をOK、つまり、室外機2と室内機5cおよび室外機2と膨張弁100cは、図1に示すように液管8c、第1配線250aおよび第1枝配線250ac、第2配線250bおよび第2枝配線250bcで正しく接続されていると判定し(ST58)、正誤判定に関わる処理を終了する。
一方、温度差が閾温度差Tth未満であれば(ST57−No)、CPU210は、配管・配線接続配点テーブル600を参照して室内機5cに定められている延長判定時間tpaを読み出し、タイマーによる計時を開始する(ST59)。
次に、CPU210は、ST59でタイマーによる計時を開始してから延長判定時間tpaが経過したか否かを判断する(ST60)。延長判定時間tpaが経過していなければ(ST60−No)、CPU210は、ST60に処理を戻す。延長判定時間tpaが経過していれば(ST60−Yes)、CPU210は、タイマーをリセットして室内機5a〜5cのいずれかから送信された、全閉後熱交温度TAFを含む信号を受信(ST61)し、この信号から全閉後熱交温度TAFを抽出しこれを全閉後熱交温度TAFcとして、室内機5cに対応付けて記憶部220にある配管・配線接続判定テーブル600に記憶する。
次に、CPU210は、記憶部220から判定前熱交温度TBEcと全閉後熱交温度TAFcを読み出し、判定前熱交温度TBEcから全閉後熱交温度TAFcを減じた温度差が閾温度差Tth以上であるか否かを判断する(ST62)。
温度差が閾温度差Tth以上であれば(ST62−Yes)、CPU210は、ST58に処理を進める。温度差が閾温度差Tth未満であれば(S62−No)、CPU210は、正誤判定の結果をNG、つまり、室外機2と室内機5cおよび室外機2と膨張弁100cを接続する液管8c、第1配線250aおよび第1枝配線250ac、第2配線250bおよび第2枝配線250bcのうちのいずれかが誤っていると判定し(ST63)、正誤判定に関わる処理を終了する。尚、CPU210は、室外機2に設けられる図示しない表示部に、ST40、ST45、ST51、ST52、ST58、および、ST63の判定結果を表示することで、空気調和装置1の設置作業者に判定結果を通知する。
尚、以上説明した実施形態では、全閉とした膨張弁100a〜100cに対応する室内機5a〜5cの全閉後熱交温度TAFのみを検出し、当該室内機のみ判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を求めて閾温度差Tthと比較することで正誤判定を行っている。しかし、これに限られず、膨張弁100a〜100cのいずれかを全閉とした後に全ての全閉後熱交温度TAFを検出し、全ての室内機5a〜5cで判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を求めて、温度差が一番大きくなる室内機が全閉とした膨張弁に対応するものか否かを確認した後に、当該温度差を閾温度差Tthと比較してもよい。
以上説明した本実施形態の空気調和装置1では、膨張弁100a〜100cを全閉とする前後の熱交温度である判定前熱交温度TBEと全閉後熱交温度TAFの温度差を用いて正誤判定を行うときに、当該温度差が閾温度差Tth未満である室内機がある場合は、図5に示す延長判定時間テーブル500を用いて当該室内機の熱交換量Haに応じた延長判定時間tpを選択し、当該室内機に対応する膨張弁を延長判定時間tpだけ全閉とする。これにより、室内熱交換器51a〜51の熱交換量Haに違いがあっても、冷媒配管や配線の接続が正しい場合は、膨張弁100a〜100cの全閉前後で室内熱交換器51a〜51における熱交温度が全て同じように変化する。従って、確実に冷媒配管や配線の接続の正誤判定を行うことができる。
尚、以上説明した本発明の各実施形態では、室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じて判定時間tjを異ならせる、あるいは、基本判定時間tjmに加える延長判定時間tpを室内機の熱交換量Haに応じて異ならせることで、室外機2に熱交換量Haの異なる室内機5a〜5cが接続されていても、確実に冷媒配管や配線の接続の正誤判定が行えることを説明した。これに加えて、室内ファン54a〜54cの回転数を制御して、室内熱交換器51a〜51cを通過する風量を室内機5a〜5cの熱交換量Haに応じて異ならせてもよい。
具体的には、熱交換量Haが小さい室内機の室内ファン回転数を、熱交換量Haが大きい室内機の室内ファン回転数と比べて高くする。これにより、熱交換量Haが小さい室内機の室内熱交換器を通過する風量が、熱交換量Haが大きい室内機の室内熱交換器を通過する風量より多くなるので、熱交換量Haが小さい室内機において当該室内機に対応する膨張弁を全閉とした後に熱交温度が早く低下する。従って、膨張弁を全閉とする時間を熱交換量Haによって異ならせることのみを行う場合と比べて、より確実に冷媒配管や配線の接続の正誤判定を行うことができる。