JP2018159961A - 位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスク - Google Patents

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Abstract

【解決手段】透明基板上に、波長200nm以下の光で位相シフト量が150〜200°であり、ケイ素及び窒素又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含み、透過率が3〜12%であり、膜厚が70nm以下であり、位相シフト膜を形成する前と、位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量が、絶対値で0.2μm以下である位相シフト膜が形成されている位相シフトマスクブランクス。【効果】フォトマスクパターンの加工において有利な、より薄い位相シフト膜であり、かつ位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製する際の、パターン位置のずれや、寸法の精度の低下が少ない、寸法制御性に優れた高品位な位相シフトマスクブランクスを与える位相シフト膜であって、位相シフト膜として必要な位相差が確保された位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクスを提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体集積回路などの製造などに用いられる位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスクに関する。
半導体技術の分野では、パターンの更なる微細化のための研究開発が進められている。特に近年では、大規模集積回路の高集積化に伴い、回路パターンの微細化や配線パターンの細線化、セルを構成する層間配線のためのコンタクトホールパターンの微細化などが進行し、微細加工技術への要求はますます高くなってきている。これに伴い、微細加工の際のフォトリソグラフィ工程で用いられるフォトマスクの製造技術の分野においても、より微細で、かつ正確な回路パターン(マスクパターン)を形成する技術の開発が求められるようになってきている。
一般に、フォトリソグラフィ技術により半導体基板上にパターンを形成する際には、縮小投影が行われる。このため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは、半導体基板上に形成されるパターンのサイズの4倍程度となる。今日のフォトリソグラフィ技術分野においては、描画される回路パターンのサイズは、露光で使用される光の波長をかなり下回るものとなっている。このため、回路パターンのサイズを単純に4倍にしてフォトマスクパターンを形成した場合には、露光の際に生じる光の干渉などの影響によって、半導体基板上のレジスト膜に本来の形状が転写されない結果となってしまう。
そこで、フォトマスクに形成するパターンを、実際の回路パターンよりも複雑な形状とすることにより、上述の光の干渉などの影響を軽減する場合もある。このようなパターン形状としては、例えば、実際の回路パターンに光学近接効果補正(OPC: Optical Proximity Correction)を施した形状がある。また、パターンの微細化と高精度化に応えるべく、変形照明、液浸技術、解像度向上技術(RET: Resolution Enhancement Technology)、二重露光(ダブルパターニングリソグラフィ)などの技術も応用されている。
RETのひとつとして、位相シフト法が用いられている。位相シフト法はフォトマスク上に、位相を概ね180°反転させる膜のパターンを形成し、光の干渉を利用してコントラストを向上させる方法である。これを応用したフォトマスクのひとつとしてハーフトーン位相シフトマスクがある。ハーフトーン位相シフトマスクは、石英などの露光光に対して透明な基板の上に、位相を概ね180°反転させ、パターン形成に寄与しない程度の透過率を有するハーフトーン位相シフト膜のマスクパターンを形成したものである。ハーフトーン位相シフトマスクとしては、モリブテンシリサイド酸化物(MoSiO)、モリブテンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)からなるハーフトーン位相シフト膜を有するものなどが提案されている(特開平7−140635号公報(特許文献1))。
また、フォトリソグラフィ技術により、より微細な像を得るために、露光光源に、より短波長のものが使われるようになり、現在の最先端の実用加工工程では、露光光源は、KrFエキシマレーザー光(248nm)からArFエキシマレーザー光(193nm)に移行している。ところが、より高エネルギーのArFエキシマレーザー光を使うことにより、KrFエキシマレーザー光では見られなかったマスクダメージが生じることが判明した。そのひとつが、フォトマスクを連続使用すると、フォトマスク上に異物状の成長欠陥が発生する問題である。この成長欠陥は、ヘイズと呼ばれ、原因は、当初は、マスクパターン表面における硫酸アンモニウム結晶の成長と考えられていたが、現在では、有機物が関与するものも考えられるようになってきている。
ヘイズの問題の対策として、例えば、特開2008−276002号公報(特許文献2)には、フォトマスクに対してArFエキシマレーザー光を長時間照射したときに発生する成長欠陥に対し、所定の段階でフォトマスクを洗浄することにより、フォトマスクの継続使用ができることが示されている。
また、パターン転写におけるArFエキシマレーザー光の露光照射量の増加に伴い、ヘイズとは異なるダメージがフォトマスクに生じ、累積の照射エネルギー量に応じてマスクのパターン寸法が変化することが報告されている(Thomas Faure et al., “Characterization of binary mask and attenuated phase shift mask blanks for 32nm mask fabrication”, Proc. Of SPIE, vol. 7122, pp712209-1〜712209-12(非特許文献1))。これは、ArFエキシマレーザー光を長時間照射すると、累積照射エネルギー量が大きくなり、パターン材質の酸化物と考えられる物質による層が、膜パターンの外側に成長し、パターン幅が変化してしまう問題である。また、このダメージを受けたマスクは、前述のヘイズの除去に用いるアンモニア水/過酸化水素水による洗浄や、硫酸/過酸化水素水による洗浄では回復しないことが示されており、原因を全く別にすると考えられる。
更に、上記Thomas Faureらの報告(非特許文献1)によれば、回路のパターン露光において、焦点深度を伸ばすために有用なマスク技術であるハーフトーン位相シフトマスクでは、特に、上記ArFエキシマレーザー光の照射によるMoSi系材料膜などの遷移金属ケイ素系材料膜の変質を伴うパターン寸法変動による劣化(以下、パターン寸法変動劣化と呼ぶ)が大きいことが指摘されている。そこで、高価なフォトマスクを長時間使用するためには、ArFエキシマレーザー光の照射によるパターン寸法変動劣化への対処が必要となる。
ArFエキシマレーザー光などの短波長光の照射によるパターン寸法変動劣化は、上記Thomas Faureらの報告(非特許文献1)で明らかにされているとおり、ドライエア雰囲気で光を照射した場合には生じにくいものであり、パターン寸法変動劣化を防止するための新たな対処として、ドライエア中で露光を行う方法が考えられる。しかし、ドライエア雰囲気による制御は、付加装置を必要とする他、静電気対策などが新たに必要となるため、コストアップにつながる。そこで、湿度の完全除去を行わない、常用の雰囲気(例えば、湿度50%程度)において、長時間の露光を可能とする必要がある。
また、ArFエキシマレーザー光を光源とするリソグラフィーに用いるフォトマスクでは、ハーフトーン位相シフト膜においては、従来、遷移金属ケイ素系材料が用いられ、通常、モリブデンを含有するケイ素系材料が用いられている。この遷移金属ケイ素系材料の主たる構成元素は、遷移金属とケイ素であり、更に、軽元素として窒素及び/又は酸素を含有するもの(例えば、特開平7−140635号公報(特許文献1))がある。遷移金属としては、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタンなどが用いられ、特に、モリブデンが一般的に用いられる(例えば、特開平7−140635号公報(特許文献1))が、更に、第2の遷移金属が加えられる場合もある(特開2004−133029号公報(特許文献3))。また、遮光膜においても、遷移金属ケイ素系材料が用いられ、通常、モリブデンを含有するケイ素系材料が用いられる。しかし、このような遷移金属ケイ素系材料を用いたフォトマスクに高エネルギー光を多量に照射した場合、高エネルギー光の照射によるパターン寸法変動劣化が大きく、フォトマスクの使用寿命が、要求されるものより短くなってしまう。
ArFエキシマレーザー光などの短波長光が、ハーフトーン位相シフトマスクのフォトマスクパターンに照射されることにより、露光に用いるフォトマスクパターンの線幅が変化してしまうパターン寸法変動劣化は重大な問題である。パターン幅の許容限界は、フォトマスクパターンの種類、特に適用されるパターンルールによって異なる。また、多少の変動であれば、露光条件を補正し、露光装置の照射条件を再設定して使用できる場合もあるものの、例えば、22nmのパターンルールによる半導体回路を形成するための露光では、フォトマスクパターン線幅の変動は概ね±5nm以下とする必要がある。しかし、パターン幅の変化量が大きい場合には、その変化量がフォトマスクの面内で分布を有する可能性がある。また、更なる微細化により、マスク上で100nm以下の極めて微細な補助パターンも形成される。そのため、これらマスク上でのパターン微細化と、マスクパターンの複雑化によるマスク加工コストの増加からも、パターン寸法変動劣化が極めて小さく、繰返し露光することができるハーフトーン位相シフトマスク膜が必要とされる。
また、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスをハーフトーン位相シフトマスクの製造プロセスで使用する際、ハーフトーン位相シフトマスクブランクス上に異物が存在すると、異物がパターン欠陥の原因となるため、このような異物を除去するために、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスは、ハーフトーン位相シフトマスク製造過程において何度も洗浄される。更に、ハーフトーン位相シフトマスクをフォトリソグラフィ工程で使用する際、製造されたハーフトーン位相シフトマスクそのものにパターン欠陥がなくても、フォトリソグラフィ工程中に、ハーフトーン位相シフトマスクに異物が付着すると、これを用いてパターニングされた半導体基板には、パターン転写不良が生じるため、ハーフトーン位相シフトマスクもまた繰り返し洗浄される。
ハーフトーン位相シフトマスクブランクスやハーフトーン位相シフトマスクの異物除去のためには、ほとんどの場合、硫酸過水やオゾン水、アンモニア過水などによる化学的な洗浄が施される。ここで、硫酸過水は、硫酸と過酸化水素水を混合して得られる強力な酸化作用をもった洗浄剤であり、オゾン水はオゾンを水に溶け込ませたものであり、硫酸過水の代替として用いられる。特に、アンモニア過水は、アンモニア水と過酸化水素水を混合して得られる洗浄剤で、表面に付着した有機系異物がアンモニア過水に浸漬されると、アンモニアの溶解作用と過酸化水素の酸化作用により表面から有機系異物が離脱して分離されることで洗浄される。
このような薬液による化学的洗浄は、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスやハーフトーン位相シフトマスクに付着したパーティクルや汚染物といった異物を除去するために必要である一方で、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスやハーフトーン位相シフトマスクが備えるハーフトーン位相シフト膜にダメージを与えるおそれがある。例えば、上述したような化学的洗浄によってハーフトーン位相シフト膜の表面が変質してしまい、本来備えているはずの光学特性が変化してしまう可能性があり、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスやハーフトーン位相シフトマスクの化学的洗浄は、繰り返し施されるものであるから、各洗浄工程で生じるハーフトーン位相シフト膜の特性変化(例えば、位相差変化)は、可能な限り低く抑えられることが必要である。
特開平7−140635号公報 特開2008−276002号公報 特開2004−133029号公報 特開2007−33469号公報 特開2007−233179号公報 特開2007−241065号公報
Thomas Faure et al., "Characterization of binary mask and attenuated phase shift mask blanks for 32nm mask fabrication", Proc. Of SPIE, vol. 7122, pp712209-1〜712209-12
位相シフト膜は、薄い方が、パターン形成に有利であるだけでなく、三次元効果を低減することができるため有利である。そのため、フォトリソグラフィにおいて、より微細なパターンを形成するためには、更に薄い膜が求められる。
上述したとおり、位相シフト膜としては、モリブデン及びケイ素を含む膜が主に用いられていた(特開平7−140635号公報(特許文献1))が、遷移金属を含む膜では、波長193nmのArFエキシマレーザー光の照射により、パターン寸法変動劣化が大きく、また、マスク作製工程や、マスク使用中において、繰返し洗浄されることで、遷移金属を含む膜では洗浄による光学特性の変化が大きい。これらの問題は、位相シフト膜を、遷移金属を含まないケイ素系材料で形成することで抑えられるが、遷移金属を含まないケイ素系材料、特に、窒素を含むケイ素系材料で位相シフト膜を形成すると、膜の応力が大きく、位相シフトマスクブランクスから、位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製すると、位相シフト膜のパターンの形成前後で、平坦度が変化することにより、位相シフトマスク上でのパターン位置がずれ、寸法の精度が低くなってしまうという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、パターンの微細化に対応できる位相シフト膜として、必要な位相差を確保した上で、パターン形成や、三次元効果の低減などにおいて有利な、膜厚が薄い位相シフト膜であり、かつ位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製する際の、パターン位置のずれや、寸法の精度の低下が少ない、寸法制御性に優れた高品位な位相シフトマスクブランクスを与える位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクス、及び位相シフトマスクを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、位相シフト膜として必要な位相差を確保した上で、膜厚が薄く、位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製する際の、パターン位置のずれや、寸法の精度の低下が少ない位相シフト膜の開発を目指し、遷移金属を含まない位相シフト膜について鋭意検討を重ねた結果、位相シフト膜を、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含むようにスパッタリングにより形成し、形成した位相シフト膜を400℃以上で5分間以上熱処理することにより、膜厚を70nm以下として、波長200nm以下の光に対し、位相差が150〜200°であり、透明基板上に位相シフト膜を形成する前と、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下である位相シフト膜を、また透明基板上に位相シフト膜が存在する状態と、透明基板上に存在する位相シフト膜の全てをエッチングにより剥離した後との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下である位相シフト膜を形成できることを見出した。
そして、位相シフト膜をこのように構成することにより、位相シフト膜のパターンを有する位相シフトマスクを用い、シリコンウエーハなどの被加工基板の上に、波長200nm以下の露光光で、ハーフピッチ50nm以下の被転写パターンを形成するためのフォトリソグラフィにおいて必要な、幅が100〜200nm程度のメインフォトマスクパターンを有する位相シフト膜パターン有する位相シフトマスクにおいて、位相シフトマスク上でのパターンの位置ずれが少なく、寸法の精度が良好なフォトマスクを与える位相シフトマスクブランクスが得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、以下の位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスクを提供する。
請求項1:
152mm角、厚さ6.35mmの透明基板上に、波長200nm以下の光で、位相シフト量が150〜200°である位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクスであって、
上記位相シフト膜として、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含み、透過率が3%以上12%以下であり、膜厚が70nm以下であり、かつ透明基板上に位相シフト膜を形成する前と、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下であるハーフトーン位相シフト膜が形成されていることを特徴とする位相シフトマスクブランクス。
請求項2:
上記波長200nm以下の光がArFエキシマレーザー光であることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項3:
更に、上記位相シフト膜上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第2の層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項4:
上記第2の層が、遮光膜、遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、又は上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項3記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項5:
更に、上記第2の層の上に、ケイ素を含む材料で構成された単層又は複数層からなる第3の層を有することを特徴とする請求項3記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項6:
上記第2の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第3の層が、上記第2の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項7:
上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであることを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項8:
更に、上記第3の層の上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第4の層を有することを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項9:
上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第4の層が、上記第3の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項8記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項10:
上記位相シフト膜が、スパッタリングにより成膜された後、400℃以上で5分間以上熱処理された膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の位相シフトマスクブランクス。
請求項11:
請求項1乃至10のいずれか1項記載の位相シフトマスクブランクスを用いて形成された位相シフトマスク。
請求項12:
請求項1記載の位相シフトマスクブランクスを製造する方法であり、透明基板上に位相シフト膜をスパッタリングにより成膜する工程を含む位相シフトマスクブランクスの製造方法であって、
上記位相シフト膜を成膜する工程が、
(A)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程、及び
(B)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと、窒素ガス、酸素ガス及び酸化窒素ガスから選ばれる少なくとも1つのガスとをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程
の一方又は双方の工程を含み、
上記製造方法が、更に、透明基板上に成膜された位相シフト膜を、400℃以上で5分間以上熱処理する工程を含むことを特徴とする位相シフトマスクブランクスの製造方法。
また、本発明は、以下の位相シフトマスクブランクス、位相シフトマスク及び位相シフトマスクブランクスの製造方法が関連する。
[1] 152mm角、厚さ6.35mmの透明基板上に、波長200nm以下の光で、位相シフト量が150〜200°である位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクスであって、
上記位相シフト膜として、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含み、膜厚が70nm以下であり、かつ透明基板上に位相シフト膜を形成する前と、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下である位相シフト膜が形成されていることを特徴とする位相シフトマスクブランクス。
[2] 152mm角、厚さ6.35mmの透明基板上に、波長200nm以下の光で、位相シフト量が150〜200°である位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクスであって、
上記位相シフト膜として、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含み、膜厚が70nm以下であり、かつ
透明基板上に位相シフト膜が存在する状態と、透明基板上に存在する位相シフト膜の全てをエッチングにより剥離した後との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下である位相シフト膜が形成されていることを特徴とする位相シフトマスクブランクス。
[3] 上記位相シフト膜が、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成され、上記波長200nm以下の光で、透過率が3%以上20%未満のハーフトーン位相シフト膜であることを特徴とする[1]又は[2]記載の位相シフトマスクブランクス。
[4] 上記位相シフト膜が、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成され、上記波長200nm以下の光で、透過率が20%以上のハーフトーン位相シフト膜であることを特徴とする[1]又は[2]記載の位相シフトマスクブランクス。
[5] 更に、上記位相シフト膜上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第2の層を有することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の位相シフトマスクブランクス。
[6] 上記第2の層が、遮光膜、遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、又は上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする[5]記載の位相シフトマスクブランクス。
[7] 更に、上記第2の層の上に、ケイ素を含む材料で構成された単層又は複数層からなる第3の層を有することを特徴とする[5]記載の位相シフトマスクブランクス。
[8] 上記第2の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第3の層が、上記第2の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする[7]記載の位相シフトマスクブランクス。
[9] 上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであることを特徴とする[7]記載の位相シフトマスクブランクス。
[10] 更に、上記第3の層の上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第4の層を有することを特徴とする[7]記載の位相シフトマスクブランクス。
[11] 上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第4の層が、上記第3の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする[10]記載の位相シフトマスクブランクス。
[12] 上記位相シフト膜が、スパッタリングにより成膜された後、400℃以上で5分間以上熱処理された膜であることを特徴とする[1]乃至[11]のいずれかに記載の位相シフトマスクブランクス。
[13] [1]乃至[12]のいずれかに記載の位相シフトマスクブランクスを用いて形成された位相シフトマスク。
[14] 透明基板上に位相シフト膜をスパッタリングにより成膜する工程を含む位相シフトマスクブランクスの製造方法であって、
上記位相シフト膜を成膜する工程が、
(A)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程、及び
(B)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと、窒素ガス、酸素ガス及び酸化窒素ガスから選ばれる少なくとも1つのガスとをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程
の一方又は双方の工程を含み、
上記製造方法が、更に、透明基板上に成膜された位相シフト膜を、400℃以上で5分間以上熱処理する工程を含むことを特徴とする位相シフトマスクブランクスの製造方法。
本発明によれば、フォトマスクパターンの加工において有利な、より薄い位相シフト膜であり、かつ位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製する際の、パターン位置のずれや、寸法の精度の低下が少ない、寸法制御性に優れた高品位な位相シフトマスクブランクスを与える位相シフト膜であって、位相シフト膜として必要な位相差が確保された位相シフト膜を備える位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスクを提供できる。本発明の位相シフトマスクによれば、フォトリソグラフィにおける更なるパターンの微細化と高精度化の要求に適合した露光が可能である。
本発明の位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスクの一例を示す断面図である。 本発明の位相シフトマスクブランクスの他の例を示す断面図である。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の位相シフトマスクブランクス(位相シフト型フォトマスクブランクス)は、石英基板などの透明基板上に形成された単層、又は多層(即ち、2層以上)からなる位相シフト膜を有する。本発明において、透明基板は、SEMI規格において規定されている、6インチ角、厚さ25ミリインチの6025基板と呼ばれる透明基板が対象とされ、SI単位系を用いた場合、通常、152mm角、厚さ6.35mmの透明基板と表記される。また、本発明の位相シフトマスク(位相シフト型フォトマスク)は、位相シフト膜のマスクパターン(フォトマスクパターン)を有する。本発明の位相シフト膜には、ハーフトーン位相シフト膜が含まれる。従って、本発明の位相シフトマスクブランクスには、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスが含まれ、本発明の位相シフトマスクには、ハーフトーン位相シフトマスクが含まれる。
図1(A)は、本発明の位相シフトマスクブランクスの一例を示す断面図であり、この位相シフトマスクブランクス100は、透明基板10と、透明基板10上に形成された位相シフト膜1とを備える。また、図1(B)は、本発明の位相シフトマスクの一例を示す断面図であり、この位相シフトマスク101は、透明基板10と、透明基板10上に形成された位相シフト膜パターン11とを備える。
位相シフト膜は、位相シフト膜として必要な位相差及び透過率を満たすように、単層で構成してもよいが、例えば、所定の表面反射率を満たすようにするために、反射防止機能性を有する層を含むようにし、全体として位相シフト膜として必要な位相差及び透過率を満たすように、多層で構成することも好適である。
単層及び多層のいずれの場合においても、各々の層は、組成が厚さ方向に連続的に変化するように形成してもよい。また、位相シフト膜を多層で構成する場合、構成元素が異なる層及び構成元素が同一で組成比が異なる層から選ばれる2層以上の組み合わせとしてよく、多層を3層以上で構成する場合は、隣接する層としなければ、同じ層を組み合わせることもできる。
本発明の位相シフト膜は、所定の膜厚において、波長200nm以下の光、特に、位相シフトマスクを用いたフォトリソグラフィにおいて用いられるArFエキシマレーザー光(波長193nm)の露光光に対して、所定の位相シフト量(位相差)と、所定の透過率とを与える膜である。
本発明の位相シフト膜の全体の厚さは、薄いほど微細なパターンを形成しやすいため70nm以下とすることが好ましく、より好ましくは62nm以下である。一方、位相シフト膜の膜厚の下限は、露光波長である波長200nm以下の光に対し、必要な光学特性が得られる範囲で設定され、特に制約はないが、一般的には40nm以上となる。
本発明の位相シフト膜の露光光に対する位相差は、位相シフト膜が存在する部分(位相シフト部)と、位相シフト膜が存在しない部分との境界部において、それぞれを通過する露光光の位相差によって露光光が干渉して、コントラストを増大させることができる位相差であればよく、位相差は150〜200°であればよい。一般的な位相シフト膜では、位相差を略180°に設定するが、上述したコントラスト増大の観点からは、位相差は略180°に限定されず、位相差を180°より小さく又は大きくすることができる。例えば、位相差を180°より小さくすれば、薄膜化に有効である。なお、より高いコントラストが得られる点から、位相差は、180°に近い方が効果的であることは言うまでもなく、160〜190°、特に175〜185°、とりわけ約180°であることが好ましい。
本発明の位相シフト膜は、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下であることが好ましい。また、本発明の位相シフト膜は、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態と、透明基板上に存在する位相シフト膜の全てをエッチングにより剥離した後との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下であることが好ましい。位相シフト膜をこのようにそりの変化量が少ないものとすることにより、位相シフト膜をパターン形成して位相シフトマスクを作製する際の、パターン位置のずれや、寸法の精度の低下が少ない位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクス及び位相シフトマスクとすることができる。
ここで、透明基板表面中央部の142mm角内は、152mm角の透明基板の位相シフト膜が成膜される表面の周縁から5mmより内側の範囲として設定される。この範囲は、位相シフトマスクにおいて、位相シフトマスクを用いた露光に用いられるフォトマスクパターンが形成される領域である。透明基板及び位相シフト膜が成膜された透明基板のそりは、フラットネス測定器で表面の形状を測定した際のTIR(Total Indicator Reading)で規定される平坦度であり、その変化量としてのΔTIRは、基板の表面形状を測定した際の基板の中心の高さを、高さ方向の原点とし、同一基板で、基板上に膜が存在する場合と存在しない場合と間の基板平面内各座標における変化量の最大値又は最小値と定義される。このそり及びその変化量は、フラットネステスタ(例えば、CORNING製 TropelR Ultra FlatTM 200Maskなど)の市販の測定装置により測定、算出することができる。
本発明の位相シフト膜がハーフトーン位相シフト膜である場合、その露光光に対する透過率は、3%以上、特に5%以上であることが好ましく、また、40%以下、特に30%以下であることが好ましい。
特に、位相シフト膜が、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成されている場合、位相シフト膜中のケイ素と窒素の量を調整することにより、波長200nm以下の光で、透過率が3%以上20%未満のハーフトーン位相シフト膜とすることができる。また、位相シフト膜が、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成されている場合、位相シフト膜中のケイ素と窒素と酸素の量を調整することにより、波長200nm以下の光で、透過率が20%以上のハーフトーン位相シフト膜とすることができる。
本発明の位相シフト膜においては、単層で構成する場合は、単層全体において、また、多層で構成する場合は、多層を構成する層の1層以上、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体において、露光光に対する屈折率nが2.4以上、特に2.5以上、とりわけ2.6以上であることが好ましい。位相シフト膜の酸素の含有率を低くすること、好ましくは酸素を含有させないこと又は遷移金属を含有させないことによって、所定の透過率で、膜の屈折率nを高くすることができ、また、位相シフト膜として必要な位相差を確保した上で、膜の厚さをより薄くすることができる。屈折率nは、酸素の含有率が低いほど高くなり、屈折率nが高いほど、薄い膜で必要な位相差を得ることができる。
本発明の位相シフト膜においては、単層で構成する場合は、単層全体において、また、多層で構成する場合は、多層を構成する層の1層以上、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体において、露光光に対する消衰係数kが0.1以上、特に0.2以上で、0.7以下、特に0.65以下であることが好ましい。
本発明の位相シフト膜は、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含む。ケイ素系材料は、ケイ素及び窒素を含有し、酸素を含有していてもよい。これら以外の元素の含有は、不純物量であれば許容されるが、特に、遷移金属(例えば、モリブデン、ジルコニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、クロム、タンタルなど)は含有していないことが好ましい。遷移金属を含むケイ素系材料におけるパターン寸法変動劣化の問題は、このようなケイ素系材料を用いることにより改善することができ、また、このようなケイ素系材料を用いることにより、化学的洗浄に対する耐薬品性が向上する。
位相シフト膜を多層で構成する場合、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層の厚さ(該層が2層以上の場合はそれらの合計の厚さ)が、位相シフト膜全体の厚さの60%以上、特に80%以上であることが好ましく、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体が、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層であることが好ましい。更に、位相シフト膜を多層で構成する場合、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層を、透明基板側、透明基板側から離間する側、厚さ方向の中央部のいずれに設けてもよい。
本発明の位相シフト膜は、単層で構成する場合は、単層全体のケイ素系材料において、また、多層で構成する場合は、多層を構成する層の1層以上のケイ素系材料、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体のケイ素系材料において、ケイ素系材料に含まれるケイ素の含有率が30原子%以上、特に40原子%以上、とりわけ44原子%以上で、55原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましい。特に、位相シフト膜が低透過率(例えば、3%以上20%未満、特に3%以上12%以下、とりわけ3%以上10%未満)のハーフトーン位相シフト膜の場合は、ケイ素系材料に含まれるケイ素の含有率が40原子%以上、特に44原子%以上で、55原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましく、また、位相シフト膜が高透過率(例えば、20%以上30%以下)のハーフトーン位相シフト膜の場合は、ケイ素系材料に含まれるケイ素の含有率が30原子%以上、特に40原子%以上で、55原子%以下、特に45原子%以下であることが好ましい。
本発明の位相シフト膜は、単層で構成する場合は、単層全体のケイ素系材料において、また、多層で構成する場合は、多層を構成する層の1層以上のケイ素系材料、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体のケイ素系材料において、ケイ素系材料に含まれる窒素の含有率が10原子%以上、特に40原子%以上、とりわけ50原子%以上で、60原子%以下、特に55原子%以下であることが好ましい。特に、位相シフト膜が低透過率(例えば、3%以上20%未満、特に3%以上12%以下、とりわけ3%以上10%未満)のハーフトーン位相シフト膜の場合は、ケイ素系材料に含まれる窒素の含有率が44原子%以上で、60原子%以下、特に56原子%以下であることが好ましく、また、位相シフト膜が高透過率(例えば、20%以上30%以下)のハーフトーン位相シフト膜の場合は、ケイ素系材料に含まれる窒素の含有率が10原子%以上、特に40原子%以上で、60原子%以下、特に55原子%以下であることが好ましい。
本発明の位相シフト膜は、単層で構成する場合は、単層全体のケイ素系材料において、また多層で構成する場合は、多層を構成する層の1層以上のケイ素系材料、特に、後述する表面酸化層を設ける場合はこの表面酸化層を除き、多層全体のケイ素系材料において、ケイ素系材料に含まれる酸素の含有率が50原子%以下、特に20原子%以下、とりわけ6原子%以下であることが好ましい。特に、ハーフトーン位相シフト膜が低透過率(例えば、3%以上20%未満、特に3%以上12%以下、とりわけ3%以上10%未満)の場合は、ケイ素系材料に含まれる酸素の含有率が0原子%以上で、6原子%以下、特に3.5%以下、とりわけ1%以下であることが好ましく、また、ハーフトーン位相シフト膜が高透過率(例えば、20%以上30%以下)の場合は、ケイ素系材料に含まれる酸素の含有率が50原子%以下、特に20原子%以下であることが好ましく、特に、ケイ素系材料に含まれる酸素の含有率が0原子%以上、特に1原子%以上の層が1層以上含まれることが好ましい。
ケイ素系材料として具体的には、ケイ素及び窒素のみからなるケイ素系材料(即ち、ケイ素窒化物(SiN))、ケイ素、窒素及び酸素のみからなるケイ素系材料(即ち、ケイ素酸化窒化物(SiON))が挙げられる。
更に、位相シフト膜の薄膜化のためには、酸素の含有率が低い方が好ましく、酸素を含んでいないことがより好ましい。この観点から、位相シフト膜をケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を含むようにすることが好ましい。そのためには、位相シフト膜を、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された単層で形成することが有効であり、また、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を1層以上含む多層、特に、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を1層以上と、ケイ素、窒素及び酸素からなる層を1層以上とを含む多層で形成することも有効である。
本発明の位相シフト膜は、公知の成膜手法を適用して成膜することができるが、均質性に優れた膜が容易に得られるスパッタ法により成膜することが好ましく、DCスパッタ、RFスパッタのいずれの方法をも用いることができる。ターゲットとスパッタガスは、層構成や組成に応じて適宜選択される。ターゲットとしては、ケイ素ターゲット、窒化ケイ素ターゲット、ケイ素と窒化ケイ素の双方を含むターゲットなどを使用すればよい。窒素と酸素の含有量は、スパッタガスに、反応性ガスとして、窒素を含むガス、酸素を含むガス、窒素及び酸素を含むガス、必要に応じて炭素を含むガスなどを用い、導入量を適宜調整して反応性スパッタすることで、調整することができる。反応性ガスとして具体的には、窒素ガス(N2ガス)、酸素ガス(O2ガス)、窒素酸化物ガス(N2Oガス、NOガス、NO2ガス)などを用いることができる。更に、スパッタガスには、希ガスとして、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガスなどを用いることが、そりの変化量(ΔTIR)の低減の観点で有利である。
本発明の位相シフトマスクブランクスは、透明基板上に、位相シフト膜を、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含むようにスパッタリングにより形成し、形成した位相シフト膜を400℃以上で5分間以上熱処理することにより形成することが好ましい。
透明基板上に位相シフト膜をスパッタリングにより成膜する工程は、(A)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程、及び(B)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと、窒素ガス、酸素ガス及び酸化窒素ガスから選ばれる少なくとも1つのガスとをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程の一方又は双方の工程を含むことが好ましい。スパッタリングの際には、得られる位相シフト膜が、位相シフトマスクブランクスにおいて、反りの変化量(ΔTIR)が少なくなるように、位相シフト膜の成膜時のスパッタガスの導入量を調節することが好ましい。
位相シフト膜の成膜後の熱処理は、位相シフト膜を透明基板上に成膜した状態で、400℃以上、特に450℃以上で、5分間以上、特に30分間以上加熱することが好ましい。従来、位相シフト膜として用いられている遷移金属を含む膜では、このような高温で熱処理を行うと、表面に析出物が形成されて欠陥となってしまうため、このような高温を適用できないが、本発明のケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含む位相シフト膜は、このような高温を適用しても、遷移金属を含む膜のような問題は生じない。熱処理温度は、900℃以下、特に700℃以下が好ましく、熱処理時間は24時間以下、特に12時間以下が好ましい。熱処理は、スパッタチャンバー内で実施してもよく、また、スパッタチャンバーとは異なる熱処理炉に移して実施してもよい。熱処理の雰囲気は、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、真空下であっても、後述する表面酸化層が最表面に形成されるが、酸素ガス雰囲気などの酸素存在雰囲気であってもよい。
位相シフト膜を多層とした場合、位相シフト膜の膜質変化を抑えるために、その表面側(透明基板と離間する側)の最表面部の層として、表面酸化層を設けることができる。この表面酸化層の酸素含有率は20原子%以上であってよく、更には50原子%以上であってもよい。表面酸化層を形成する方法として、具体的には、大気酸化(自然酸化)による酸化の他、強制的に酸化処理する方法としては、ケイ素系材料の膜をオゾンガスやオゾン水により処理する方法や、酸素ガス雰囲気などの酸素存在雰囲気中で、オーブン加熱、ランプアニール、レーザー加熱などにより、300℃以上に加熱する方法などを挙げることができる。この表面酸化層の厚さは10nm以下、特に5nm以下、とりわけ3nm以下であることが好ましく、通常、1nm以上で酸化層としての効果が得られる。表面酸化層は、スパッタ工程で酸素量を増やして形成することもできるが、欠陥のより少ない層とするためには、前述した大気酸化や、酸化処理により形成することが好ましい。
本発明の位相シフトマスクブランクスの位相シフト膜の上には、単層又は多層からなる第2の層を設けることができる。第2の層は、通常、位相シフト膜に隣接して設けられる。この第2の層として具体的には、遮光膜、遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜などが挙げられる。また、後述する第3の層を設ける場合、この第2の層を、第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜(エッチングストッパー膜)として利用することもできる。第2の層の材料としては、クロムを含む材料が好適である。
このような位相シフトマスクブランクスとして具体的には、図2(A)に示されるものが挙げられる。図2(A)は、本発明の位相シフトマスクブランクスの一例を示す断面図であり、この位相シフトマスクブランクス100は、透明基板10と、透明基板10上に形成された位相シフト膜1と、位相シフト膜1上に形成された第2の層2とを備える。
本発明の位相シフトマスクブランクスには、位相シフト膜の上に、第2の層として、遮光膜を設けることができる。また、第2の層として、遮光膜と反射防止膜とを組み合わせて設けることもできる。遮光膜を含む第2の層を設けることにより、位相シフトマスクに、露光光を完全に遮光する領域を設けることができる。この遮光膜及び反射防止膜は、エッチングにおける加工補助膜としても利用可能である。遮光膜及び反射防止膜の膜構成及び材料については多数の報告(例えば、特開2007−33469号公報(特許文献4)、特開2007−233179号公報(特許文献5)など)があるが、好ましい遮光膜と反射防止膜との組み合わせの膜構成としては、例えば、クロムを含む材料の遮光膜を設け、更に、遮光膜からの反射を低減させるクロムを含む材料の反射防止膜を設けたものなどが挙げられる。遮光膜及び反射防止膜は、いずれも単層で構成しても、多層で構成してもよい。遮光膜や反射防止膜のクロムを含む材料としては、クロム単体、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)等のクロム化合物などが挙げられる。
第2の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、遮光膜のクロム化合物中のクロムの含有率は40原子%以上、特に60原子%以上で、100原子%未満、特に99原子%以下、とりわけ90原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、20原子%以下、特に10原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
また、第2の層が遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、反射防止膜はクロム化合物であることが好ましく、クロム化合物中のクロムの含有率は30原子%以上、特に35原子%以上で、70原子%以下、特に50原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は60原子%以下であることが好ましく、1原子%以上、特に20原子%以上であることがより好ましい。窒素の含有率は50原子%以下、特に30原子%以下であることが好ましく、1原子%以上、特に3原子%以上であることがより好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、20原子%以下、特に5原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
第2の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、第2の層の膜厚は、通常20〜100nm、好ましくは40〜70nmである。また、波長200nm以下の露光光に対する位相シフト膜と第2の層との合計の光学濃度が2.0以上、特に2.5以上、とりわけ3.0以上となるようにすることが好ましい。
本発明の位相シフトマスクブランクスの第2の層の上には、単層又は多層からなる第3の層を設けることができる。第3の層は、通常、第2の層に隣接して設けられる。この第3の層として具体的には、第2の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜、遮光膜、遮光膜と反射防止膜との組み合わせなどが挙げられる。第3の層の材料としては、ケイ素を含む材料が好適であり、特に、クロムを含まないものが好ましい。
このような位相シフトマスクブランクスとして具体的には、図2(B)に示されるものが挙げられる。図2(B)は、本発明の位相シフトマスクブランクスの一例を示す断面図であり、この位相シフトマスクブランクス100は、透明基板10と、透明基板10上に形成された位相シフト膜1と、位相シフト膜1上に形成された第2の層2と、第2の層2上に形成された第3の層3とを備える。
第2の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、第3の層として、第2の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜(エッチングマスク膜)を設けることができる。また、後述する第4の層を設ける場合、この第3の層を、第4の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜(エッチングストッパー膜)として利用することもできる。この加工補助膜は、第2の層とエッチング特性が異なる材料、例えば、クロムを含む材料のエッチングに適用される塩素系ドライエッチングに耐性を有する材料、具体的には、SF6やCF4などのフッ素系ガスでエッチングできるケイ素を含む材料とすることが好ましい。ケイ素を含む材料として具体的には、ケイ素単体、ケイ素と、窒素及び酸素の一方又は双方とを含む材料、ケイ素と遷移金属とを含む材料、ケイ素と、窒素及び酸素の一方又は双方と、遷移金属とを含む材料等のケイ素化合物などが挙げられ、遷移金属としては、モリブデン、タンタル、ジルコニウムなどが挙げられる。
第3の層が加工補助膜である場合、加工補助膜はケイ素化合物であることが好ましく、ケイ素化合物中のケイ素の含有率は20原子%以上、特に33原子%以上で、95原子%以下、特に80原子%以下であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に30原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上、特に20原子%以上で、70原子%以下、特に66原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。遷移金属の含有率は0原子%以上で、35原子%以下、特に20原子%以下であることが好ましく、遷移金属を含有する場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、ケイ素、酸素、窒素及び遷移金属の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
第2の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、第3の層が加工補助膜である場合、第2の層の膜厚は、通常20〜100nm、好ましくは40〜70nmであり、第3の層の膜厚は、通常1〜30nm、好ましくは2〜15nmである。また、波長200nm以下の露光光に対する位相シフト膜と第2の層との合計の光学濃度が2.0以上、特に2.5以上、とりわけ3.0以上となるようにすることが好ましい。
また、第2の層が加工補助膜である場合、第3の層として、遮光膜を設けることができる。また、第3の層として、遮光膜と反射防止膜とを組み合わせて設けることもできる。この場合、第2の層は、位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜(エッチングマスク膜)であり、第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜(エッチングストッパー膜)として利用することもできる。加工補助膜の例としては、特開2007−241065号公報(特許文献6)で示されているようなクロムを含む材料で構成された膜が挙げられる。加工補助膜は、単層で構成しても、多層で構成してもよい。加工補助膜のクロムを含む材料としては、クロム単体、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)等のクロム化合物などが挙げられる。
第2の層が加工補助膜である場合、第2の層中のクロムの含有率は40原子%以上、特に50原子%以上で、100原子%以下、特に99原子%以下、とりわけ90原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に55原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、20原子%以下、特に10原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
一方、第3の層の遮光膜及び反射防止膜は、第2の層とエッチング特性が異なる材料、例えば、クロムを含む材料のエッチングに適用される塩素系ドライエッチングに耐性を有する材料、具体的には、SF6やCF4などのフッ素系ガスでエッチングできるケイ素を含む材料とすることが好ましい。ケイ素を含む材料として具体的には、ケイ素単体、ケイ素と、窒素及び酸素の一方又は双方とを含む材料、ケイ素と遷移金属とを含む材料、ケイ素と、窒素及び酸素の一方又は双方と、遷移金属とを含む材料等のケイ素化合物などが挙げられ、遷移金属としては、モリブデン、タンタル、ジルコニウムなどが挙げられる。
第3の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、遮光膜及び反射防止膜はケイ素化合物であることが好ましく、ケイ素化合物中のケイ素の含有率は10原子%以上、特に30原子%以上で、100原子%未満、特に95原子%以下であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下、とりわけ20原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に30原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。遷移金属の含有率は0原子%以上で、35原子%以下、特に20原子%以下であることが好ましく、遷移金属を含有する場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、ケイ素、酸素、窒素及び遷移金属の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
第2の層が加工補助膜、第3の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、第2の層の膜厚は、通常1〜20nm、好ましくは2〜10nmであり、第3の層の膜厚は、通常20〜100nm、好ましくは30〜70nmである。また、波長200nm以下の露光光に対する位相シフト膜と第2の層と第3の層との合計の光学濃度が2.0以上、特に2.5以上、とりわけ3.0以上となるようにすることが好ましい。
本発明の位相シフトマスクブランクスの第3の層の上には、単層又は多層からなる第4の層を設けることができる。第4の層は、通常、第3の層に隣接して設けられる。この第4の層として具体的には、第3の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜などが挙げられる。第4の層の材料としては、クロムを含む材料が好適である。
このような位相シフトマスクブランクスとして具体的には、図2(C)に示されるものが挙げられる。図2(C)は、本発明の位相シフトマスクブランクスの一例を示す断面図であり、この位相シフトマスクブランクス100は、透明基板10と、透明基板10上に形成された位相シフト膜1と、位相シフト膜1上に形成された第2の層2と、第2の層2上に形成された第3の層3と、第3の層3上に形成された第4の層4とを備える。
第3の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせである場合、第4の層として、第3の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜(エッチングマスク膜)を設けることができる。この加工補助膜は、第3の層とエッチング特性が異なる材料、例えば、ケイ素を含む材料のエッチングに適用されるフッ素系ドライエッチングに耐性を有する材料、具体的には、酸素を含有する塩素系ガスでエッチングできるクロムを含む材料とすることが好ましい。クロムを含む材料として具体的には、クロム単体、クロム酸化物(CrO)、クロム窒化物(CrN)、クロム炭化物(CrC)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)等のクロム化合物などが挙げられる。
第4の層が加工補助膜である場合、第4の層中のクロムの含有率は40原子%以上、特に50原子%以上で、100原子%以下、特に99原子%以下、とりわけ90原子%以下であることが好ましい。酸素の含有率は0原子%以上で、60原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。窒素の含有率は0原子%以上で、50原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。炭素の含有率は0原子%以上で、20原子%以下、特に10原子%以下であることが好ましく、エッチング速度を調整する必要がある場合は、1原子%以上であることが好ましい。この場合、クロム、酸素、窒素及び炭素の合計の含有率は95原子%以上、特に99原子%以上、とりわけ100原子%であることが好ましい。
第2の層が加工補助膜、第3の層が遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、第4の層が加工補助膜である場合、第2の層の膜厚は、通常1〜20nm、好ましくは2〜10nmであり、第3の層の膜厚は、通常20〜100nm、好ましくは30〜70nmであり、第4の層の膜厚は、通常1〜30nm、好ましくは2〜20nmである。また、波長200nm以下の露光光に対する位相シフト膜と第2の層と第3の層との合計の光学濃度が2.0以上、特に2.5以上、とりわけ3.0以上となるようにすることが好ましい。
第2の層及び第4の層のクロムを含む材料で構成された膜は、クロムターゲット、クロムに酸素、窒素及び炭素から選ばれるいずれか1種又は2種以上を添加したターゲットなどを用い、Ar、He、Neなどの希ガスに、成膜する膜の組成に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガスなどから選ばれる反応性ガスを適宜添加したスパッタガスを用いた反応性スパッタにより成膜することができる。
一方、第3の層のケイ素を含む材料で構成された膜は、ケイ素ターゲット、窒化ケイ素ターゲット、ケイ素と窒化ケイ素の双方を含むターゲット、遷移金属ターゲット、ケイ素と遷移金属との複合ターゲットなどを用い、Ar、He、Neなどの希ガスに、成膜する膜の組成に応じて、酸素含有ガス、窒素含有ガス、炭素含有ガスなどから選ばれる反応性ガスを適宜添加したスパッタガスを用いた反応性スパッタにより成膜することができる。
本発明の位相シフトマスクは、位相シフトマスクブランクスから、常法により製造することができる。例えば、位相シフト膜の上に、第2の層として、クロムを含む材料の膜が形成されている位相シフトマスクブランクスでは、例えば、下記の工程で位相シフトマスクを製造することができる。
まず、位相シフトマスクブランクスの第2の層上に、電子線レジスト膜を成膜し、電子線によるパターン描画を行った後、所定の現像操作によってレジストパターンを得る。次に、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第2の層にレジストパターンを転写して、第2の層のパターンを得る。次に、得られた第2の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜に第2の層のパターンを転写して、位相シフト膜パターンを得る。ここで、第2の層の一部を残す必要がある場合は、その部分を保護するレジストパターンを、第2の層の上に形成した後、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、レジストパターンで保護されていない部分の第2の層を除去する。そして、レジストパターンを常法により除去して、位相シフトマスクを得ることができる。
また、位相シフト膜の上に、第2の層として、クロムを含む材料の遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせが形成され、第2の層の上に、第3の層として、ケイ素を含む材料の加工補助膜が形成されている位相シフトマスクブランクスでは、例えば、下記の工程で位相シフトマスクを製造することができる。
まず、位相シフトマスクブランクスの第3の層の上に、電子線レジスト膜を成膜し、電子線によるパターン描画を行った後、所定の現像操作によってレジストパターンを得る。次に、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、第3の層にレジストパターンを転写して、第3の層のパターンを得る。次に、得られた第3の層のパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第2の層に第3の層のパターンを転写して、第2の層のパターンを得る。次に、レジストパターンを除去した後、得られた第2の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜に第2の層のパターンを転写して、位相シフト膜パターンを得ると同時に、第3の層のパターンを除去する。次に、第2の層を残す部分を保護するレジストパターンを、第2の層の上に形成した後、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、レジストパターンで保護されていない部分の第2の層を除去する。そして、レジストパターンを常法により除去して、位相シフトマスクを得ることができる。
一方、位相シフト膜の上に、第2の層として、クロムを含む材料の加工補助膜が形成され、第2の層の上に、第3の層として、ケイ素を含む材料の遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせが形成されている位相シフトマスクブランクスでは、例えば、下記の工程で位相シフトマスクを製造することができる。
まず、位相シフトマスクブランクスの第3の層の上に、電子線レジスト膜を成膜し、電子線によるパターン描画を行った後、所定の現像操作によってレジストパターンを得る。次に、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、第3の層にレジストパターンを転写して、第3の層のパターンを得る。次に、得られた第3の層のパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第2の層に第3の層のパターンを転写して、位相シフト膜を除去する部分の第2の層が除去された第2の層のパターンを得る。次に、レジストパターンを除去し、第3の層を残す部分を保護するレジストパターンを、第3の層の上に形成した後、得られた第2の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜に第2の層のパターンを転写して、位相シフト膜パターンを得ると同時に、レジストパターンで保護されていない部分の第3の層を除去する。次に、レジストパターンを常法により除去する。そして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第3の層が除去された部分の第2の層を除去して、位相シフトマスクを得ることができる。
更に、位相シフト膜の上に、第2の層として、クロムを含む材料の加工補助膜が形成され、第2の層の上に、第3の層として、ケイ素を含む材料の遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせが形成され、更に、第3の層の上に、第4の層として、クロムを含む材料の加工補助膜が形成されている位相シフトマスクブランクスでは、例えば、下記の工程で位相シフトマスクを製造することができる。
まず、位相シフトマスクブランクスの第4の層の上に、電子線レジスト膜を成膜し、電子線によるパターン描画を行った後、所定の現像操作によってレジストパターンを得る。次に、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第4の層にレジストパターンを転写して、第4の層のパターンを得る。次に、得られた第4の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、第3の層に第4の層のパターンを転写して、第3の層のパターンを得る。次に、レジストパターンを除去し、第3の層を残す部分を保護するレジストパターンを、第4の層の上に形成した後、得られた第3の層のパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第2の層に第3の層のパターンを転写して第2の層のパターンを得ると同時に、レジストパターンで保護されていない部分の第4の層を除去する。次に、第2の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜に第2の層のパターンを転写して、位相シフト膜パターンを得ると同時に、レジストパターンで保護されていない部分の第3の層を除去する。次に、レジストパターンを常法により除去する。そして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第3の層が除去された部分の第2の層と、レジストパターンが除去された部分の第4の層を除去して、位相シフトマスクを得ることができる。
本発明の位相マスクは、被加工基板にハーフピッチ50nm以下、特に30nm以下、とりわけ20nm以下のパターンを形成するためのフォトリソグラフィにおいて、被加工基板上に形成したフォトレジスト膜に、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、F2レーザー光(波長157nm)などの波長200nm以下の露光光でパターンを転写する露光において特に有効である。
本発明のパターン露光方法では、位相シフトマスクブランクスから製造された位相シフトマスクを用い、位相シフト膜のパターンを含むフォトマスクパターンに、露光光を照射して、被加工基板上に形成したフォトマスクパターンの露光対象であるフォトレジスト膜に、フォトマスクパターンを転写する。露光光の照射は、ドライ条件による露光でも、液浸露光でもよいが、本発明のパターン露光方法は、実生産において比較的短時間に累積照射エネルギー量が上がってしまう、液浸露光により、特に、300mm以上のウェハーを被加工基板として液浸露光により、フォトマスクパターンを露光する際に、特に有効である。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を17sccm、窒素ガスの流量を40sccmとして、SiNからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。このハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と成膜した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)を、CORNING製 フラットネステスタ TropelR Ultra FlatTM 200Maskで測定(以下のそりの変化量の測定において同じ)したところ、その絶対値は0.22μmであった。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、500℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.10μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は177°、透過率は19%、膜厚は60nmであった。また、この膜の組成をXPS(X線光電子分光分析法、以下同じ)で測定したところ、原子比でSi:N=46:53であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.07μmであった。
また、同じ条件で成膜したSiNからなるハーフトーン位相シフト膜上に、Crを含む第2の層を形成した位相シフトマスクブランクスの第2の層上に、電子線レジスト膜を成膜し、電子線によるパターン描画を行った後、所定の現像操作によってレジストパターンを得た後、得られたレジストパターンをエッチングマスクとして、酸素を含有する塩素系ドライエッチングにより、第2の層にレジストパターンを転写して、第2の層のパターンを形成し、得られた第2の層のパターンをエッチングマスクとして、フッ素系ドライエッチングにより、位相シフト膜に第2の層のパターンを転写して、位相シフト膜パターンを得、レジストパターン及び第2の層を常法により除去して、位相シフトマスクを得ることができた。また、得られた位相シフトマスクは、電子線を用いる修正装置による修正が可能であった。
[実施例2]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を15sccm、窒素ガスの流量を40sccm、酸素ガスの流量を2sccmとして、SiONからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、500℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.15μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は175°、透過率は24%、膜厚は63nmであった。また、この膜の組成をXPSで測定したところ、原子比でSi:N:O=43:48:8であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.18μmであった。
[実施例3]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を15sccm、窒素ガスの流量を40sccmとして、SiNからなる層を形成した後、続けて、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を10sccm、窒素ガスの流量を40sccm、酸素ガスの流量を10sccmとして、SiONからなる層を形成して、SiNからなる層とSiONからなる層を積層したハーフトーン位相シフト膜を成膜した。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、500℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.17μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は177°、透過率は29%、膜厚は66nmであった。また、この膜の組成をXPSで測定したところ、SiNからなる層は、原子比でSi:N=45:54、SiONからなる層は、原子比でSi:N:O=38:20:41であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.19μmであった。
[実施例4]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を17sccm、窒素ガスの流量を30sccmとして、SiNからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。このハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と成膜した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.41μmであった。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、500℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.06μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は179°、透過率は7%、膜厚は61nmであった。また、この膜の組成をXPSで測定したところ、原子比でSi:N=47:52であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.08μmであった。
[比較例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとして窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、窒素ガスの流量を50sccmとして、SiNからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、500℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.44μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は175°、透過率は18%、膜厚は60nmであった。また、この膜の組成をXPSで測定したところ、原子比でSi:N=45:54であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.45μmであった。
[比較例2]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を設置し、スパッタターゲットとしてケイ素ターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス及び窒素ガスを用い、ターゲットに印加する電力を1,900W、アルゴンガスの流量を17sccm、窒素ガスの流量を30sccmとして、SiNからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。このハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と成膜した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.41μmであった。その後、熱処理炉にて、窒素ガス及び酸素ガスを大気分圧と同程度とした雰囲気中、300℃で6時間の熱処理を行って、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを得た。ハーフトーン位相シフト膜を成膜する前と熱処理した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.24μmであった。この熱処理後のハーフトーン位相シフト膜の位相差は179°、透過率は7%、膜厚は61nmであった。また、この膜の組成をXPSで測定したところ、原子比でSi:N=47:52であった。
次に、得られたハーフトーン位相シフトマスクブランクスの石英基板上のハーフトーン位相シフト膜の全てをフッ素系ドライエッチングにて剥離した。ハーフトーン位相シフト膜を剥離する前と剥離した後の、基板表面中央部142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)の絶対値は0.27μmであった。
1 位相シフト膜
2 第2の層
3 第3の層
4 第4の層
10 透明基板
11 位相シフト膜パターン
100 位相シフトマスクブランクス
101 位相シフトマスク

Claims (12)

  1. 152mm角、厚さ6.35mmの透明基板上に、波長200nm以下の光で、位相シフト量が150〜200°である位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクスであって、
    上記位相シフト膜として、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料又はケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料の層を少なくとも1層含み、透過率が3%以上12%以下であり、膜厚が70nm以下であり、かつ透明基板上に位相シフト膜を形成する前と、透明基板上に位相シフト膜が存在する状態との間で、透明基板表面中央部の142mm角内のそりの変化量(ΔTIR)が、絶対値で0.2μm以下であるハーフトーン位相シフト膜が形成されていることを特徴とする位相シフトマスクブランクス。
  2. 上記波長200nm以下の光がArFエキシマレーザー光であることを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクブランクス。
  3. 更に、上記位相シフト膜上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第2の層を有することを特徴とする請求項1又は2記載の位相シフトマスクブランクス。
  4. 上記第2の層が、遮光膜、遮光膜と反射防止膜との組み合わせ、又は上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項3記載の位相シフトマスクブランクス。
  5. 更に、上記第2の層の上に、ケイ素を含む材料で構成された単層又は複数層からなる第3の層を有することを特徴とする請求項3記載の位相シフトマスクブランクス。
  6. 上記第2の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第3の層が、上記第2の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
  7. 上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであることを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
  8. 更に、上記第3の層の上に、クロムを含む材料で構成された単層又は複数層からなる第4の層を有することを特徴とする請求項5記載の位相シフトマスクブランクス。
  9. 上記第2の層が、上記位相シフト膜のパターン形成においてハードマスクとして機能し、かつ上記第3の層のパターン形成においてエッチングストッパーとして機能する加工補助膜であり、上記第3の層が、遮光膜、又は遮光膜と反射防止膜との組み合わせであり、上記第4の層が、上記第3の層のパターン形成においてハードマスクとして機能する加工補助膜であることを特徴とする請求項8記載の位相シフトマスクブランクス。
  10. 上記位相シフト膜が、スパッタリングにより成膜された後、400℃以上で5分間以上熱処理された膜であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の位相シフトマスクブランクス。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項記載の位相シフトマスクブランクスを用いて形成された位相シフトマスク。
  12. 請求項1記載の位相シフトマスクブランクスを製造する方法であり、透明基板上に位相シフト膜をスパッタリングにより成膜する工程を含む位相シフトマスクブランクスの製造方法であって、
    上記位相シフト膜を成膜する工程が、
    (A)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素及び窒素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程、及び
    (B)透明基板上に、スパッタ装置を用いて、少なくとも1つのシリコンターゲットを用い、アルゴンガスと、窒素ガス、酸素ガス及び酸化窒素ガスから選ばれる少なくとも1つのガスとをスパッタチャンバー内に導入して、ケイ素、窒素及び酸素からなるケイ素系材料で構成された層を形成する工程
    の一方又は双方の工程を含み、
    上記製造方法が、更に、透明基板上に成膜された位相シフト膜を、400℃以上で5分間以上熱処理する工程を含むことを特徴とする位相シフトマスクブランクスの製造方法。
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