JP2018159472A - シリンダヘッドガスケット及びシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板 - Google Patents

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【解決課題】非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼を基材の材質として用いても、シール性能の耐久性が高いシリンダヘッドガスケットを提供すること。【解決手段】シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、金属製の基板と、該基板の両面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、を特徴とするシリンダヘッドガスケット。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドの接合面の間に挟まれて、シリンダブロックとシリンダヘッドの間をシールする金属製のシリンダヘッドガスケット及びその基板として用いられるシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板に関する。
従来、シリンダブロックとシリンダヘッドとの接合面間に挟持されてシール性を発揮する金属製のガスケット、すなわち、シリンダヘッドガスケットが知られている。
このようなシリンダヘッドガスケットは、接合面の形状に形成されたシール部を有し、シール部にはビードが形成されている。シリンダヘッドガスケットでは、ボルトの締め付けにより、シリンダヘッドガスケットのシール部が、シリンダブロックとシリンダヘッドとで強く挟まれると、シリンダヘッドガスケットのビードに面圧が集中するので、ガスケットのシール部が接合部の二面間に密着し、気密性が高められる。
また、シリンダヘッドガスケットの表面には、ゴム層が形成されている。このゴム層により、シリンダブロック及びシリンダヘッドの接合面の面粗さが吸収されて、シール性が確保されている。
現在のシリンダヘッドガスケットの基板には、SUS301H材が一般的に用いられているが、近年、ガスケットの低コスト化が求められている。その手段の一つとして、基材の種類の変更による低コスト化がある。
SUS403系のステンレス鋼には、価格の高くする要因となるNiが含まれていないので、低コスト化を図れる可能性がある。また、Niによる価格変動の影響を受けないとの利点も有する。そのため、SUS403系のステンレス鋼のような非ニッケル系ステンレス鋼又はNiの含有量が少ない低ニッケル系のステンレス鋼が、低コスト化のための材質として挙げられる。
しかしながら、本発明者らが、SUS403系等の非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼を、シリンダヘッドガスケットの基材用の材質として用いることを検討したところ、シール性能の耐久性が低いという問題があることがわかった。
従って、本発明の目的は、非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼を基材の材質として用いても、シール性能の耐久性が高いシリンダヘッドガスケットを提供することにある。
かかる実情において、本発明者は、鋭意検討を行った結果、ニッケルの含有量を少なくし又はニッケルの含有をなくした場合には、ステンレス鋼の0.2%耐力値を、特定の範囲とすることにより、耐久試験において、ビードをへたり難くすることができるので、非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼を基材として用いるシリンダヘッドガスケットでありながら、シール性能の耐久性が高いシリンダヘッドガスケットが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、
金属製の基板と、該基板の両面又は片面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、
該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケットを提供するものである。
また、本発明(2)は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板を提供するものである。
本発明によれば、非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼を基材の材質として用いた、シール性能の耐久性が高いシリンダヘッドガスケットを提供することができる。
本発明のシリンダヘッドガスケットの形態例を示す模式的な平面図である。 図1中、X−X線で切った端面図である。 図2中、ビードの近傍の拡大図である。 本発明のシリンダヘッドガスケットの形態例を示す模式的な端面図である。 実施例及び比較例のガスケット評価用サンプルの形状を示す図である。
本発明のシリンダヘッドガスケットの形状について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本発明のシリンダヘッドガスケットの形態例の模式的な平面図である。図2は、図1中、X−X線で切った端面図である。図3は、図2のビード近傍の拡大図である。
図1に示すように、シリンダヘッドガスケット1aは、シリンダボアのボア径より少し径が大きい開口15を有し、その他の部分は、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面に対応した形状を有している。このシリンダヘッドガスケット1aでは、開口15の内側と外側を密閉するために、開口15を囲むように円形のシール部6が設けられる。
図2に示すように、図1に示すシリンダヘッドガスケット1aのシール部6の構造は、一つの金属薄板3と、金属薄板3の両面側に配置されている2つの複合部材2と、で構成されている三層構造である。そして、シール部6の複合部材2には、ビード5が形成されている。なお、図1では、ビード5の中心線を一点鎖線で示した。
図3に示すように、複合部材2は、ステンレス鋼製の基板11と、基板11の両面に設
けられるゴム層12と、からなる。
シリンダヘッドガスケット1aは、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に設置されて、シリンダヘッドとシリンダブロックの締め付けにより、接合面の間に強く挟まれると、シール部6のビード5に面圧が集中するので、シリンダヘッドガスケット1aのシール部6が、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面間に密着する。そして、ビード5が形成されている複合部材2には、両面にゴム層12が設けられているので、シリンダヘッド及びシリンダブロックの表面粗さがゴム層12により吸収されて、気密性が高められる。
本発明のシリンダヘッドガスケットは、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、
金属製の基板と、該基板の両面又は片面設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、
該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット。
本発明のシリンダヘッドガスケットは、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に配置され、ボルト等によりシリンダヘッドとシリンダブロックが締め付けされることにより、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれて、具体的にはガスケットのシール部がシリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれて、シリンダヘッドとシリンダブロックのシール面をシールするシリンダヘッドガスケットである。
本発明のシリンダヘッドガスケットには、シリンダボアのボア径より少し径が大きいシリンダボア用の開口を、シリンダボアの数分有し、その他の部分は、シリンダブロックとシリンダヘッドの接合面に対応する形状を有している。そして、本発明のシリンダヘッドには、シリンダボア用の開口の内側と外側を密閉するために、開口を囲むようにシール部が形成される。シール部が形成される位置は、シリンダヘッド及びシリンダブロックの形状、エンジンオイル穴、冷却水流路位置等により、適宜選択される。
本発明のシリンダヘッドガスケットは、ステンレス製の基板と、基板の両面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有する。つまり、本発明のシリンダヘッドガスケットは、1枚のステンレス鋼板の成形体である基板と、基板の両面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有する。
本発明のシリンダヘッドガスケットとしては、シリンダヘッドガスケットのシール部の構造が、例えば、図3に示す形態例のように、一つの金属薄板と、金属薄板の両面側に配置される複合部材と、で構成される三層構造であるシリンダヘッドガスケットや、図4に示す形態例のように、一つの複合部材で構成されている一層構造であるシリンダヘッドガスケットや、複数の複合部材と複数の金属薄板の積層構造であるシリンダヘッドガスケット等が挙げられる。本発明のシリンダヘッドガスケットのシール部の構造は、適宜選択される。図4に示す形態例では、シリンダヘッドガスケット1bのシール部6は、ステンレス製の基板11と、基板11の両面に設けられるゴム層12と、からなる複合部材2の一
つで構成されている。シール部6には、ビード5が形成されている。なお、図4は、本発明のシリンダヘッドガスケットの形態例の模式的な端面図であり、ビードが形成されている近傍の拡大図である。
複合部材のシール部には、基板の表面から例えば0.08mm程度の高さで突出し、シール部に沿ってビードが形成されている。なお、ビードの高さは、特に制限されず、シリンダヘッド及びシリンダブロックの構造や剛性、締結条件やヘッドリフト量(口開き量)等の使用環境によって、適宜選択される。ビードは、シール部がシリンダブロックとシリンダヘッドに挟み込まれたときに、面圧が集中することにより、シール性を高める部位である。ビードとしては、凸状ビード又は波状ビードが挙げられる。ビードは、基板のいずれか一方の面に突出して形成されていても、基板の両方の面に突出して形成されていてもよい。ビードの形成位置、形状、数等は、適宜選択される。
基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなる。つまり、基板は、低ニッケルのステンレス鋼又は非ニッケルのステンレス鋼板で形成されている。そのため、本発明のシリンダヘッドガスケットは、低コストである。なお、基板を形成するステンレス鋼には、C、Si、Mn、N、P、S及びNiのうちのいずれか1種又は2種以上に、含有量が0質量%の場合もある。
基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力は、1300〜1500MPa、好ましくは1300〜1400MPaである。基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が、上記範囲にあることにより、エンジンボアの爆発燃焼で、繰り返し、シリンダブロックとシリンダヘッドの接合面が上下に動くことにより、ビードに対して繰り返し荷重が掛けられても、ビードがへたり難く、シール性能の耐久性が高くなる。一方、基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が、上記範囲未満だと、ビードがへたり易くなるので、シール性能の耐久性が低くなり、また、上記範囲を超えると、ステンレス鋼の柔軟性が失われ、板クセが悪く、強いテンションで引っ張らないと平滑性が得られず、平滑性が得られないと、ゴム層を均一に塗布し難く、また、硬くなり過ぎて、ビード加工し難く、狙い形状が得られない。
基板を形成するステンレス鋼の伸びは、好ましくは2〜10%、特に好ましくは2〜6%である。基板を形成するステンレス鋼の伸びが上記範囲にあることにより、ビードがへたり難くなり、シール性能の耐久性が高くなる。また、基板を形成するステンレス鋼の引張強度は、好ましくは1400〜1600MPa、特に好ましくは1500〜1600MPaである。基板を形成するステンレス鋼の引っ張り強度が上記範囲にあることにより、ビードがへたり難くなり、シール性能の耐久性が高くなる。
基板を形成するステンレス鋼板は、上記の所定の組成のステンレス合金鋳塊を鋳造し、得られる鋳塊に種々の加工及び熱処理を行って鋼板に加工する製造工程において、例えば、各化学成分の配合比を選択して合金組成を調節すること、冷間加工での加工強度や工程の途中に行われる熱処理の条件を選択すること等により、基板を形成するステンレス鋼板の0.2%耐力が、1300〜1500MPa、好ましくは1300〜1400MPaとなるように調節すること、また、必要に応じて、基板を形成するステンレス鋼の伸びが、好ましくは2〜10%、特に好ましくは2〜6%となるように調節したり、また、基板を形成するステンレス鋼の引張強度が、好ましくは1400〜1600MPa、特に好ましくは1500〜1600MPaとなるように調節することにより製造される。
複合部材には、基板の両面又は片面にゴム層が設けられている。基板に設けられるゴム層としては、特に制限されず、シリンダヘッドガスケット用のゴム層として用いられているものであればよく、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H-NB
R)又は官能基変性ニトリルゴム(以下、単に「NBR」とも言う。)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリロブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
基板となるステンレス鋼板の表面にゴム層を設ける方法としては、例えば、
ゴム材料を適当な溶剤に溶解させたゴム溶液又は溶剤に分散させたゴム分散液を、スキマコーターやロールコーター等で塗布し、塗膜を150〜250℃で加熱してゴム層を形成させる方法が挙げられる。ゴム層は、基板の両側に形成されていることが、シール性が高くなる点で好ましい。本発明のシリンダヘッドガスケットの製造では、平らなステンレス鋼板に、先に、ゴム層を設け、次いで、所定の形状に打ち抜き、ガスケットの形状に成形してもよいし、先に、ステンレス鋼板を所定の形状に打ち抜いて成形し、次いで、ゴム層を設けてもよい。
基材の表面に設けられるゴム層の厚みは、特に制限されないが、通常、0.025〜0.1mm、好ましくは0.025〜0.05mmである。
複合部材は、基板及びゴム層の他に、必要に応じて、ガスケット製品同士の固着防止、摩擦係数の低減、耐摩耗性の向上等を目的として、表面処理層を有することができる。基板の表面に形成される表面処理層は、上記目的を達することができるものであれば、特に制限されず、適宜選択される。また、複合部材は、基板及びゴム層の他に、必要に応じて、ゴム層の基板への密着性を高めるために、例えば、ポリブタジエン、水素添加型ポリブタジエン、変性ポリブタジエン等のポリブタジエン類、ノボラック型又はレゾール型のフェノール樹脂等で形成されるプライマー層を有することができる。
図4に示す形態例のように、本発明のシリンダヘッドガスケットが、シール部の構造が複合部材と金属薄板で構成されているシリンダヘッドガスケットの場合、金属薄板の材質としては、特に制限されず、SUS304、SUS301等のステンレス鋼、複合部材の基板と同様のステンレス鋼等が挙げられ、適宜選択される。
本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板である。
本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板は、本発明のシリンダヘッドガスケットの基板用の素材として用いられる。例えば、本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板を、所定のシリンダヘッドガスケットの基板の形状に成形し、次いで、ゴム層を所定の位置に形成させることや、本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板の両面又は片面に、ゴム層を形成させ、次いで、所定のシリンダヘッドガスケットの基板の形状に成形することにより、本発明のシリンダヘッドガスケットを製造することができる。
本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板に係るステンレス鋼の化学組成(C、Si、Mn、Cr、N、P、S、Ni)及び物性(0.2%耐力、伸び、引張強度)は、本発明のシリンダヘッドガスケットに係るステンレス鋼の化学組成(C、Si、Mn、Cr、N、P、S、Ni)及び物性(0.2%耐力、伸び、引張強度)と同様である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に、具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
表1に示す化学組成及び物性のステンレス鋼板(厚さ0.2mm)を用意した。次いで、得られたステンレス鋼板から、物性試験用サンプルを型抜きし、物性試験用サンプルを得、0.2%耐力、伸び、引っ張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
次いで、得られたステンレス鋼板を99mm角にし、内径(x)が64.85mmの円形に内側を打ち抜き、次いで、中央径(y)が69.25mm、ビード高さが0.08mm、ビード幅(w)が3mmのフルビードを円環状に形成させて、図5に示す形状のガスケット評価用サンプルを得た。
次いで、下記の条件で繰り返し疲労試験を行い、残存ビード高さを測定した。その結果を、表1に示す。
<物性試験>
JIS Z 2241に準拠して、0.2%耐力、伸び、引っ張り強度を測定した。また、JIS Z 2244に準拠して、硬度を測定した。
<繰り返し疲労試験>
ガスケット評価用サンプルを繰り返し疲労試験器の圧縮面(外径80mm)間に挟み込んで設置し、ガスケット評価用サンプルに対し、80kNの荷重でビードが全屈から7μm復元の繰り返し圧縮を、周波数30Hz(毎秒30回)で1×106回行った。次いで、繰り返し疲労試験後のガスケット評価用サンプルのビード高さを測定し、残存ビード高さとした。残存ビード高さの測定を、図4に示すガスケット評価用サンプルを中心角で90°毎の4か所で行い、それらの測定値を平均して、残存ビード高さとした。なお、「ビードが全屈するまで圧縮する」とは、ビードの高さが0mmとなるまで圧縮することを指す。残存ビード高さが高いほど、繰り返し負荷によるビードのへたりが小さいと評価される。
(比較例1)
表1の比較例1の欄に示す化学組成及び物性のステンレス鋼板を用意すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
(参考例)
表1の参考例1の欄に示す化学組成及び物性のステンレス鋼板を用意すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。なお、参考例1のステンレス鋼の化学組成は、SUS301に相当する。
実施例1及び2のガスケット評価用サンプルは、比較例1〜5のガスケット評価用サンプルに比べ、残存ビード高さが高いので、繰り返し負荷によるビードのへたりは小さく、且つ、参考例1と、繰り返し負荷によるビードのへたり度合が同等である。なお、上記実施例、比較例及び参考例では、ビードの高さを厳密に測定し易くするために、ゴム層を設けていないが、ガスケット評価用サンプルには、ゴム層が設けられていても、ゴム層が設けられていなくても、基板となるステンレス鋼が同じであれば、残存ビード高さ、つまり、繰り返し負荷によるビードのへたり度合は同様になる。よって、上記実施例1及び2にゴム層を形成せたガスケット評価用サンプルは、上記比較例1〜5にゴム層を形成させたガスケット評価用サンプルに比べ、繰り返し負荷によるビードのへたりは小さく且つ上記参考例1にゴム層を形成させたガスケット評価用サンプルと同等のビードのへたり度合となる。
本発明によれば、非ニッケル又は低ニッケルのステンレス鋼材を基板として用いていながら、繰り返し負荷を受けたときのビードのへたりが小さいので、シール性能の耐久性に優れるシリンダヘッドガスケットを、低コストで提供できる。
すなわち、本発明(1)は、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、
金属製の基板と、該基板の両面又は片面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、
該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1196〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット(基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであるものを除く。)を提供するものである。
また、本発明(2)は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
0.2%耐力が1196〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板(0.2%耐力が1300〜1500MPaであるものを除く。)を提供するものである。
本発明のシリンダヘッドガスケットは、シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、
金属製の基板と、該基板の両面又は片面設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、
該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1196〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット(基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであるものを除く。)である。
基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力は、1196〜1500MPa(ただし、1300〜1500MPaを除く。)である。基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が、上記範囲にあることにより、エンジンボアの爆発燃焼で、繰り返し、シリンダブロックとシリンダヘッドの接合面が上下に動くことにより、ビードに対して繰り返し荷重が掛けられても、ビードがへたり難く、シール性能の耐久性が高くなる。一方、基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が、上記範囲未満だと、ビードがへたり易くなるので、シール性能の耐久性が低くなり、また、上記範囲を超えると、ステンレス鋼の柔軟性が失われ、板クセが悪く、強いテンションで引っ張らないと平滑性が得られず、平滑性が得られないと、ゴム層を均一に塗布し難く、また、硬くなり過ぎて、ビード加工し難く、狙い形状が得られない。
基板を形成するステンレス鋼板は、上記の所定の組成のステンレス合金鋳塊を鋳造し、得られる鋳塊に種々の加工及び熱処理を行って鋼板に加工する製造工程において、例えば、各化学成分の配合比を選択して合金組成を調節すること、冷間加工での加工強度や工程の途中に行われる熱処理の条件を選択すること等により、基板を形成するステンレス鋼板の0.2%耐力が、1196〜1500MPa(ただし、1300〜1500MPaを除く。)となるように調節すること、また、必要に応じて、基板を形成するステンレス鋼の伸びが、好ましくは2〜10%、特に好ましくは2〜6%となるように調節したり、また、基板を形成するステンレス鋼の引張強度が、好ましくは1400〜1600MPa、特に好ましくは1500〜1600MPaとなるように調節することにより製造される。
本発明のシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
0.2%耐力が1196〜1500MPaであること、
を特徴とするシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板(0.2%耐力が1300〜1500MPaであるものを除く。)である。

Claims (4)

  1. シリンダヘッドとシリンダブロックの接合面の間に挟まれてシリンダヘッドとシリンダブロックの接合部をシールするシリンダヘッドガスケットであり、
    金属製の基板と、該基板の両面又は片面に設けられるゴム層と、からなる複合部材を有し、
    該基板は、Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
    該基板を形成するステンレス鋼の0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
    を特徴とするシリンダヘッドガスケット。
  2. 前記シリンダヘッドガスケットのシール部の構造が、一つの前記複合部材で構成されている一層構造であることを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドガスケット。
  3. 前記シリンダヘッドガスケットのシール部の構造が、一つの金属薄板と、該金属薄板の両面側に配置されている2つの前記複合部材と、で構成されている三層構造であることを特徴とする請求項1記載のシリンダヘッドガスケット。
  4. Cの含有量が0〜0.15質量%、Siの含有量が0〜0.5質量%、Mnの含有量が0〜2.0質量%、Crの含有量が11.5〜13.0質量%、Nの含有量が0〜0.5質量%、Pの含有量が0〜0.040質量%、Sの含有量が0〜0.030質量、Niの含有量が0〜0.6質量%であり、残部Fe及び不可避不純物からなるステンレス鋼からなり、
    0.2%耐力が1300〜1500MPaであること、
    を特徴とするシリンダヘッドガスケット用ステンレス鋼板。
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