JP2018159004A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光反射特性、寸法安定性および熱安定性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A成分)10〜100重量%および(B)芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)0〜90重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)二酸化チタン顔料(C成分)10〜40重量部、(D)針状無機充填材、繊維状無機充填材および板状無機充填材からなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填材(D成分)10〜40重量部および(E)ホスフェート系安定剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、23〜55℃における平行方向の線膨張係数が0.5×10−4/℃以下であるポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくはポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、二酸化チタン顔料および特定の無機充填材を併用することにより、光反射特性、寸法安定性および熱安定性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた透明性、耐熱性、および機械的強度等を有するため電気、機械、自動車、および医療用途等に幅広く使用されている。更に二酸化チタン顔料に代表される白色顔料を高充填し、光反射性に優れた樹脂組成物がある。該樹脂組成物からなる成形品は、液晶表示装置のバックライト用反射板、照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板、自動販売機の表示内部フレーム、およびストロボリフレクター等に使用されている。
かかる樹脂組成物においては、高輝度かつ高白色の色相などの性能はもちろんのこと、成形品の薄肉・小型化に対応すべく厳しい成形条件(例えば、射出速度の高速化および成形温度の高温化など)にも耐えうる熱安定性が求められている。即ち、成形時の熱劣化における黄色化およびシルバーストリークスのような外観不良現象やポリカーボネート樹脂の分子量低下が、かかる厳しい成形条件においても生じないことが求められる。かかる黄色化は光反射特性を低下させ、シルバーストリークスはそもそも成形品に存在しないことが前提とされ、ポリカーボネート樹脂の分子量低下は機械物性や耐熱性の低下を引き起こす。また、近年の省エネルギー化の点から反射効率を上げられるように高い光反射性の要求、並びに薄肉・小型化された成形品においても光透過による反射光量の損失がないように高い遮光性の要求がある。かかる要求においては、多量の二酸化チタン顔料を添加する場合がある。その結果、成形時の樹脂の熱劣化による黄色化およびシルバーストリークスのような外観不良現象やポリカーボネート樹脂の分子量低下はより発生し易くなる。そのため、二酸化チタン顔料を含有するポリカーボネート樹脂組成物においてより高い熱安定性が要求されている。
二酸化チタン顔料の熱安定化処方として、表面処理剤として酸化アルミニウムおよびオルガノシロキサンを使用することは公知である(特許文献1参照)。また、表面処理剤としての酸化アルミニウム含有量を0.1〜2重量%に規定した二酸化チタン顔料をポリフェニレンエーテル樹脂の如きエンジニリングプラスチックに使用することにより、シルバーストリークが減少可能なことは公知である(特許文献2参照)。また、二酸化チタン含有ポリカーボネート樹脂組成物にポリオルガノ水素シロキサンを使用することは公知である(特許文献3参照)。更にコンピュータあるいはテレビ等の液晶表示装置のバックライトに使用される反射板やその周辺部材、例えば反射枠等の材料には寸法安定性が求められる場合があり、ポリカーボネート樹脂、二酸化チタン、有機金属塩を含有する樹脂組成物の寸法精度を上げる目的で無機充填材を配合した組成物が提案されている。(特許文献4参照)。しかし、この組成物は無機充填材配合によるポリカーボネート樹脂の分子量低下やそれに伴う機械物性や耐熱性の低下について十分に改善されたとは言えない。
特公昭60−3430号公報 特開平11−60743号公報 特公昭63−26140号公報 特開2003−15657号公報
本発明の目的は、光反射特性、寸法安定性および熱安定性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂および芳香族ポリカーボネート樹脂からなる樹脂成分に二酸化チタン顔料と特定の無機充填材を配合することで、光反射特性、寸法安定性および熱安定性が改善されたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出した。すなわち、上記課題は、(A)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A成分)10〜100重量%および(B)芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)0〜90重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)ニ酸化チタン顔料(C成分)10〜40重量部、(D)針状無機充填材、繊維状無機充填材および板状無機充填材からなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填材(D成分)10〜40重量部および(E)ホスフェート系安定剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、23〜55℃における平行方向の線膨張係数が0.5×10−4/℃以下であるポリカーボネート樹脂組成物により達成される。
以下、本発明の各構成成分の詳細について説明する。
(A成分:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂としては、下記一般式〔1〕で表されるポリカーボネートブロックおよび下記一般式〔3〕で表されるポリジオルガノシロキサンブロックからなるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることが好ましい。
Figure 2018159004
[上記一般式〔1〕において、R及びRは夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良く、a及びbは夫々1〜4の整数であり、Wは単結合もしくは下記一般式〔2〕で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。
Figure 2018159004
(上記一般式〔2〕においてR11,R12,R13,R14,R15,R16,R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数6〜14のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜14のアリール基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合は、それらは同一でも異なっていても良く、cは1〜10の整数、dは4〜7の整数である。)]
Figure 2018159004
(上記一般式〔3〕において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、e及びfは夫々1〜4の整数であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは4以上150以下の自然数である。Xは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)
上記一般式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を誘導する二価フェノール(I)としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、および1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
なかでも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
上記一般式〔3〕で表されるカーボネート構成単位において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基が特に好ましい。R及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。上記式〔3〕で表されるカーボネート構成単位を誘導するジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)としては、例えば下記一般式(I)に示すような化合物が好適に用いられる。
Figure 2018159004
ジオルガノシロキサン重合度を表すpは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは4以上150以下の自然数であり、4〜120が好ましく、30〜120がより好ましく、30〜100が更により好ましく、30〜60が最も好ましい。
本発明の上記一般式〔3〕に含まれる下記一般式〔4〕で表されるポリジオルガノシロキサンブロックの含有量はポリカーボネート樹脂組成物の全重量を基準にして、1.0重量%〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは2.0重量%〜10.0重量%であり、さらに好ましくは2.0重量%〜8.0重量%であり、最も好ましくは3.0重量%〜8.0重量%である。ポリジオルガノシロキサン成分含有量が1.0重量%未満では、低温耐衝撃性および熱安定性が充分でなく、10.0重量%を超えると成形時の外観不良や耐熱温度の低下を起こす場合があるため好ましくない。なお、かかるジオルガノシロキサン重合度、ポリジオルガノシロキサン成分含有量は、H−NMR測定により算出することが可能である。
Figure 2018159004
(上記一般式〔4〕において、R、R、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは4以上150以下の自然数である。)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に平均サイズが5〜18nmであるポリジオルガノシロキサンドメインが存在するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることが好ましい。ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは5〜15nmであることがより好ましく、5〜12nmであることがさらにより好ましく、8〜12nmであることが最も好ましい。この平均サイズが5nm未満の場合、低温耐衝撃性が充分でなく、18nmを超えた場合、成形時の外観不良を起こす場合があるため好ましくない。
なお、このポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは、小角エックス線散乱法(Small Angle X−ray Scattering:SAXS)により評価される。小角エックス線散乱法とは、散乱角(2θ)が10°未満の範囲の小角領域で生じる散漫な散乱・回折を測定する方法である。この小角エックス線散乱法では、物質中に電子密度の異なる1〜100nm程度の大きさの領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。本発明のA成分として用いられるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造となる場合、ポリカーボネートマトリックスとポリジオルガノシロキサンドメインの電子密度差により、エックス線の散漫散乱が生じる。散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iを測定して、小角エックス線散乱プロファイルを測定し、ポリジオルガノシロキサンドメインが球状ドメインであり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の粒径と仮の粒径分布モデルから、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズを求める。小角エックス線散乱法によれば、透過型電子顕微鏡による観察では正確に測定できない、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズを、精度よく、簡便に、かつ再現性良く測定することができる。
次に、上記の好ましいポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の製造方法について以下に説明する。あらかじめ水に不溶性の有機溶媒とアルカリ水溶液との混合液中において、二価フェノール(I)と、ホスゲンや二価フェノール(I)のクロロホルメート等のクロロホルメート形成性化合物との反応により、二価フェノール(I)のクロロホルメートおよび/または末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーを含むクロロホルメート化合物の混合溶液を調製する。クロロホルメート形成性化合物としてはホスゲンが好適である。
二価フェノール(I)からのクロロホルメート化合物を生成するにあたり、上記一般式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を誘導する二価フェノール(I)の全量を一度にクロロホルメート化合物としてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。このクロロホルメート化合物生成反応の方法は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。更に、所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、およびハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよく、添加することが好ましい。クロロホルメート形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、好適なクロロホルメート形成性化合物であるホスゲンを使用する場合、ガス化したホスゲンを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、並びにピリジンの如き有機塩基、あるいはこれらの混合物などが用いられる。
酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、二価フェノール(I)のクロロホルメート化合物の形成に使用する二価フェノール(I)1モルあたり(通常1モルは2当量に相当)、2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレンの如き炭化水素溶媒、並びに、塩化メチレンおよびクロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレンの如きハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
クロロホルメート化合物の生成反応における圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、もしくは減圧のいずれでもよいが、通常常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、反応に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2〜10時間で行われる。
クロロホルメート化合物の生成反応におけるpH範囲は、公知の界面反応条件が利用でき、pHは通常10以上に調製される。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の製造においては、このようにして二価フェノール(I)のクロロホルメートおよび末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のカーボネートオリゴマーを含むクロロホルメート化合物の混合溶液を調整した後、該混合溶液を攪拌しながら一般式〔2〕で表わされるカーボネート構成単位を誘導するジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンを、該混合溶液の調整にあたり仕込まれた二価フェノール(I)の量1モルあたり、0.01モル/min以下の速度で加え、該ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンと該クロロホーメート化合物とを界面重縮合させることにより、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得る。
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、分岐化剤を二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂とすることができる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
かかる分岐化ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の製造方法は、クロロホルメート化合物の生成反応時にその混合溶液中に分岐化剤が含まれる方法であっても、該生成反応終了後の界面重縮合反応時に分岐化剤が添加される方法であってもよい。分岐化剤由来のカーボネート構成単位の割合は、該共重合樹脂を構成するカーボネート構成単位全量中、好ましくは0.005〜1.5モル%、より好ましくは0.01〜1.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.0モル%である。なお、かかる分岐構造量についてはH−NMR測定により算出することが可能である。
重縮合反応における系内の圧力は、減圧、常圧、もしくは加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は−20〜50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度等の他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5〜10時間で行われる。場合により、得られたポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として取得することもできる。得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の粘度平均分子量は13,000〜25,000の範囲が好ましく、13,000〜21,000がより好ましく、16,000〜21,000の範囲がさらに好ましく、16,000〜20,000の範囲が最も好ましい。分子量が25,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が13,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。
尚、本発明のA成分として用いられるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の粘度平均分子量の算出は次の要領で行なわれる。まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
A成分の含有量は、樹脂成分100重量%中、10〜100重量%であり、好ましくは30〜100重量%であり、より好ましくは50〜100重量%である。A成分の含有量が10重量%未満であると熱安定性が充分でなく、押出や成形時の分子量低下が大きくなる。
(B成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、例えば4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、が好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔5〕〜〔7〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 2018159004
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
Figure 2018159004
Figure 2018159004
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
上記一般式〔5〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔6〕〜〔7〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔6〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔7〕の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔5〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル% 末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のB成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、13,000〜25,000の範囲が好ましく、13,000〜21,000がより好ましく、16,000〜21,000の範囲がさらにより好ましく、16,000〜20,000の範囲が最も好ましい。分子量が25,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が13,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mvを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
本発明のB成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなるので好ましくない。
(C成分:二酸化チタン顔料)
本発明のC成分は二酸化チタン顔料である。かかる二酸化チタン顔料は、通常各種着色用途に使用されるものが使用でき、それ自体広く知られたものである。TiO100重量%からなる二酸化チタン顔料も存在する(尚、本発明においては二酸化チタン顔料の二酸化チタン成分を”TiO”と表記し、表面処理剤を含む顔料全体について”二酸化チタン顔料”と表記する)。しかしながら通常、アルミニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、亜鉛などの各種金属の酸化物による表面処理がなされる。本発明においても、好ましい二酸化チタン顔料は、他の金属酸化物の表面処理がなされたものである。尚、これらの表面処理のための金属酸化物成分は、一部がTiO粒子の内部に存在する態様であってもよい。
更にC成分の二酸化チタン顔料は有機化合物で表面処理されていることがより好ましい。かかる表面処理剤としては、ポリオール系、アミン系、およびシリコーン系などの各種処理剤を使用することができる。ポリオール系表面処理剤としては、例えばペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、およびトリメチロールプロパンなどが挙げられ、アミン系表面処理剤としては、例えばトリエタノールアミンの酢酸塩、およびトリメチロールアミンの酢酸塩などが挙げられ、シリコーン系表面処理剤としては、例えばハロゲン置換有機ケイ素化合物およびアルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物が例示され、特に後者の有機ケイ素化合物が好ましい。ハロゲン置換有機ケイ素化合物としてはアルキルクロロシランが例示され、アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物としては、アルキルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシロキサン、およびアルキルハイドロジェンシロキサンなどが例示される。
かかるシラン化合物およびシロキサン化合物は、そのアルキル基の一部がフェニル基で置換されていてもよいが、いずれもフェニル基の置換がないものがより好ましい。かかるアルキル基の炭素数は好ましくは1〜30、より好ましくは1〜12である。アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
アルキルアルコキシシラン化合物はアルコキシ基を1〜3のいずれを含有するものであってもよく、またこれらの混合物であってもよいが、2〜3のアルコキシ基が好ましく、特に3のアルコキシ基が好ましい。アルキルアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソプチルトリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリメトキシシランなどが例示される。
シロキサン化合物におけるアルコキシ基およびSi−H基の含有割合は、0.1〜1.2モル/100gの範囲が好ましく、0.12〜1モル/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6モル/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シロキサン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。
一般的にシロキサン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。すなわち、
M単位:(CHSiO1/2、H(CHSiO1/2、H(CH)SiO1/2、(CH(CH=CH)SiO1/2、(CH(C)SiO1/2、(CH)(C)(CH=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、D単位:(CH)2SiO、H(CH)SiO、HSiO、H(C)SiO、(CH)(CH=CH)SiO、(C)2SiO等の2官能性シロキサン単位、T単位:(CH)SiO3/2、(C)SiO3/2、HSiO3/2、(CH=CH)SiO3/2、(C)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、Q単位:SiOで示される4官能性シロキサン単位である。上記シロキサン化合物の構造は、具体的には、示性式としてD、T、M、M、M、M、M、M、M、D、D、Dが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、M、M、M、Mであり、さらに好ましい構造は、MまたはMである。ここで、前記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す1以上の整数であり、各示性式における係数の合計がシロキサン化合物の平均重合度となる。この平均重合度は好ましくは2〜150の範囲、より好ましくは3〜80の範囲である。またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
表面処理される有機化合物の量は、C成分100重量%当り1重量%以下が好ましく、0.6重量%以下が更に好ましい。一方下限としては0.05重量%以上が挙げられる。アルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理された二酸化チタン顔料は、本発明の樹脂組成物により良好な光反射性を与える。
本発明の二酸化チタン顔料の好適な態様は、(i)その熱重量解析(TGA)による23℃〜100℃における重量減少を(a)重量%、および23℃〜300℃における重量減少を(b)重量%としたとき、0.05≦(b)−(a)≦0.6を満たし、(ii)その蛍光X線測定におけるTi元素、Al元素、およびSi元素に由来する濃度比をそれぞれ(c)、(d)および(e)としたとき、0.001≦(d)/(c)≦0.01を満たし、かつ0.001≦(e)/(c)≦0.02を満たすものである。
上記(b)−(a)の値の下限はより好ましくは0.15であり、かかる値の上限はより好ましくは0.3である。上記(d)/(c)の下限はより好ましくは0.003であり、その上限はより好ましくは0.01である。上記(e)/(c)の下限はより好ましくは0.005であり、その上限はより好ましくは0.015である。
上記(b)−(a)が0.6以下、(d)/(c)が0.01以下、および(e)/(c)が0.02以下であると熱安定性の効果がより顕著に発揮される。(b)−(a)が0.05以上、並びに(d)/(c)および(e)/(c)が0.001以上であると、良好な色相が得られ、特に高充填時には良好な光反射特性が得られる。 尚、上記条件(i)における熱重量解析(TGA)の測定は、TGA測定装置において窒素ガス雰囲気中における23℃から20℃/分の昇温速度で900℃まで昇温する測定条件により行われる。上記条件(ii)における蛍光X線測定は、基礎パラメータ法により行われる。
C成分におけるTiOは結晶形がアナタース型、ルチル型のいずれのものでもよく、それらは必要に応じて混合して使用することもできる。初期の機械特性や長期耐候性の点でより好ましいのはルチル型である。尚、ルチル型結晶中にアナタース型結晶を含有するものでもよい。更にTiOの製法は硫酸法、塩素法、その他種々の方法によって製造された物を使用できるが、塩素法がより好ましい。また本発明の二酸化チタン顔料は、特にその形状を限定するものではないが粒子状のものがより好適である。二酸化チタン顔料の平均粒子径は、0.01〜0.4μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好ましく、0.15〜0.25μmが更に好ましい。かかる平均粒子径は電子顕微鏡観察から、個々の単一粒子径を測定しその数平均により算出される。
TiO表面への各種金属酸化物による被覆は、通常行われている種々の方法によって行うことができる。例えば以下の1)〜8)の工程から製造される。すなわち、1)乾式粉砕後の未処理TiOを水性スラリーとする、2)該スラリーを湿式粉砕して微粒化する、3)微粒スラリーを採取する、4)該微粒スラリーに金属塩の水溶性化合物を添加する、5)中和して金属の含水酸化物でTiO表面の被覆をする、6)副生物の除去、スラリーpHの調整、濾過、および純水洗浄を行う、7)洗浄済みケーキを乾燥する、8)該乾燥物をジェットミル等で粉砕する、などの方法が挙げられる。かかる方法以外にも例えばTiO粒子に活性な金属化合物を気相中で反応させる方法が挙げられる。更にTiO表面への金属酸化物表面処理剤の被覆においては、表面処理後に焼成を行うこと、表面処理後に再度表面処理を行うこと、および表面処理後に焼成し再度表面処理を行うことがいずれも可能である。また金属酸化物による表面処理は高密度な処理および低密度(多孔質)な処理のいずれも選択できる。
上記条件(i)および(ii)の調整は、表面処理のための金属酸化物の調整並びにその焼成処理の条件によって調整できる。本発明の二酸化チタン顔料は、かかる条件から明らかなように酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素によって表面処理される。これらはいずれの順序であってもまた混合物として表面処理されてもよいが、好ましくは酸化アルミニウム処理の後に酸化ケイ素処理されたものである。更に好適には上述のように該金属酸化物処理のなされた後にアルコキシ基および/またはSi−H基を含有する有機ケイ素化合物で表面処理された二酸化チタン顔料である。
C成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10〜40重量部であり、好ましくは20〜35重量部であり、より好ましくは25〜35重量部である。C成分の含有量が10重量部未満では反射率が劣り、40重量部を超えると熱安定性が悪化する。
(D成分:無機充填材)
本発明のD成分として使用される無機充填材は針状、繊維状および板状のいずれかの形状を有する。針状、繊維状および板状のいずれの形状も有しない無機充填材を使用した場合、無機充填材による補強効果が小さいため線膨張整数が大きくなり寸法安定性が悪くなる。針状無機充填材はウイスカー状、柱状等の形状を有する無機充填材で、ワラストナイト、ベーマイト等から選ばれる。繊維状無機充填材は細くて長い繊維状の無機充填材を指し、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維等から選ばれる。板状無機充填材は、薄片状、鱗片状等の形状を有する無機充填材で、タルク、マイカ、ガラスフレーク等から選ばれる。上記無機充填材の中でも特に好適であるのは、ガラス、タルク、マイカ、ワラストナイトである。本発明のD成分は長さ/径または長径/厚さで表されるアスペクト比が高いものが好ましい。
(ガラス)
ガラス繊維としては、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものではなく、場合によりTiO、SO、P等の成分を含有するものであってもよい。但し、Eガラス(無アルカリガラス)がより好ましい。ガラス繊維は溶融ガラスを種々の方法にて延伸しながら急冷し、所定の繊維状にしたものである。かかる場合の急冷および延伸条件についても特に限定されるものではない。また断面の形状は真円状の他に、楕円状、マユ型、三つ葉型などの真円以外の形状ものを使用してもよい。更に真円状ガラス繊維と真円以外の形状のガラス繊維が混合したものでもよい。
ガラス繊維の繊維径としては1〜25μmのものが好ましく、より好ましくは3〜17μmである。繊維径が細すぎる場合には繊維が折れやすくなり剛性が低下しやすい。また表面積が大きくなるので、相対的に多くの被覆剤が必要となり難燃性が必要な場合には悪影響を与えやすい。繊維径が大きすぎる場合には、成形品の外観などが低下しやすい。
ガラス繊維の繊維長としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるペレットまたは成形品中で数平均繊維長として好ましくは50〜500μm、より好ましくは100〜400μm、さらに好ましくは120〜300μmのものである。尚、かかる数平均繊維長は、成形品を溶剤に溶解したり、樹脂を塩基性化合物で分解した後に採取されるガラス繊維の残渣から光学顕微鏡観察などから画像解析装置により算出される値である。またかかる値の算出に際しては繊維径10μm以下の長さのものはカウントしない方法による値である。
板状ガラス充填材としては、金属コートガラスフレーク、および金属酸化物コートガラスフレークを含むガラスフレーク等が挙げられる。板状ガラス充填材の基体となるガラスフレークは、円筒ブロー法やゾル−ゲル法などに方法によって製造される板状のガラスフィラーである。かかるガラスフレークの原料の大きさも粉砕や分級の程度により種々のものを選択可能である。原料に使用するガラスフレークの平均粒径は10〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましく、30〜300μmが更に好ましい。上記範囲のものは取り扱い性と成形加工性との両立に優れるためである。通常板状ガラス充填材は樹脂との溶融混練加工により割れが生じ、その平均粒径は小径化する。樹脂組成物中の板状ガラス充填材の数平均粒径は10〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましく、20〜80μmが更に好ましい。尚、かかる数平均粒径は、成形品の高温灰化、溶剤による溶解、および薬品による分解等の処理で採取される板状ガラス充填材の残さを光学顕微鏡観察した画像から画像解析装置により算出される値である。また、かかる値の算出に際してはフレーク厚みを目安にそれ以下の長さのものはカウントしない方法による値である。また厚みとしては0.5〜10μmが好ましく、1〜8μmがより好ましく、1.5〜6μmが更に好ましい。上記数平均粒径および厚みを有する板状ガラス充填材は良好な機械的強度、外観、成形加工性を達成する。
上記の繊維状ガラス充填材および板状ガラス充填材のガラス組成は、Aガラス、Cガラス、およびEガラス等に代表される各種のガラス組成が適用され、特に限定されない。かかるガラス充填材は、必要に応じてTiO、SOおよびP等の成分を含有するものであってもよい。これらの中でもEガラス(無アルカリガラス)がより好ましい。またガラス充填材は、周知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度の向上の点から好ましい。また、ガラスファイバー(金属コートまたは金属酸化物コートされたものを含む)、およびガラスフレーク(金属コートまたは金属酸化物コートされたものを含む)は、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびウレタン系樹脂等で集束処理されたものが好ましく使用される。集束処理された充填材の集束剤付着量は、充填材100重量%中好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜4重量%である。
更に本発明の繊維状ガラス充填材および板状ガラス充填材は、異種材料が表面被覆されたものを含む。かかる異種材料としては金属および金属酸化物が好適に例示される。金属としては、銀、銅、ニッケル、およびアルミニウムなどが例示される。また金属酸化物としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、および酸化ケイ素などが例示される。かかる異種材料の表面被覆の方法としては特に限定されるものではなく、例えば公知の各種メッキ法(例えば、電解メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法(例えば熱CVD、MOCVD、プラズマCVDなど)、PVD法、およびスパッタリング法などを挙げることができる。
(タルク)
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜15μm(より好ましくは0.2〜12μm、更に好ましくは0.3〜10μm、特に好ましくは0.5〜5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
(マイカ)
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しい場合があるため好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
(ワラストナイト)
ワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
本発明のワラストナイトは、その元来有する白色度を十分に樹脂組成物に反映させるため、原料鉱石中に混入する鉄分並びに原料鉱石を粉砕する際に機器の摩耗により混入する鉄分を磁選機によって極力取り除くことが好ましい。かかる磁選機処理によりワラストナイト中の鉄の含有量はFeに換算して、0.5重量%以下であることが好ましい
D成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、10〜40重量部であり、好ましくは20〜40重量部、より好ましくは25〜35重量部である。D成分の含有量が10重量部未満では十分な寸法安定性が得られず、40重量部を超えた場合、熱安定性が悪化し、押出や成形時の分子量低下が大きくなる。
(E成分:ホスフェート系安定剤)
本発明のE成分として使用されるホスフェート系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる目的で用いられる。ホスフェート系安定剤としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。E成分の含有量は、樹脂成分100重量部に対し、0.01〜1重量部であり、好ましくは0.03〜0.8重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。E成分の含有量が0.01重量部未満では十分な熱安定性が得られず、1重量部を超えた場合、耐加水分解性が悪化する。
(F成分:紫外線吸収剤)
本発明の樹脂組成物においては、耐光性を付与することを目的として紫外線吸収剤の配合も可能である。紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。紫外線吸収剤は、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。紫外線吸収剤は、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。前記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。具体的には例えばケミプロ化成(株)「ケミソーブ79」などが挙げられる。前記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。紫外線吸収剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.05〜0.8重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部である。
(その他添加剤)
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性、色相、離型性改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
(I)熱安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物にはE成分以外の公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
(i)リン系安定剤
本発明の樹脂組成物は、加水分解性を促進させない程度において、E成分以外のリン系安定剤が配合されることが好ましい。E成分以外のリン系安定剤としては、亜リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。
(ii)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明の樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、それぞれ樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
(iii)前記以外の熱安定剤
本発明の樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。本発明の樹脂組成物には、必要に応じてエポキシ化合物を配合することができる。かかるエポキシ化合物は、金型腐食を抑制するという目的で配合されるものであり、基本的にエポキシ官能基を有するもの全てが適用できる。好ましいエポキシ化合物の具体例としては、3,4ーエポキシシクロヘキシルメチルー3’,4’ーエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、メチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体、スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体等が挙げられる。かかるエポキシ化合物の添加量としては、樹脂成分100重量部に対して0.003〜0.2重量部が好ましく、より好ましくは0.004〜0.15重量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。
(II)蛍光増白剤
本発明の樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1やハッコールケミカル(株)製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤の含有量は樹脂成分100重量部に対して、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05重量部である。0.1重量部を超えても該組成物の色調の改良効果は小さい。
(III)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、その成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として、更に離型剤を配合することが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体、酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸が好ましい。ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。 本発明の脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。本発明の脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の点から好ましく20以下、より好ましくは4〜20の範囲、更に好ましくは4〜12の範囲である。尚、酸価は実質的に0を取り得る。また脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1〜30の範囲がより好ましい。更にヨウ素価は、10以下が好ましい。尚、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。ポリオレフィン系ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、およびα−オレフィン重合体などが例示される。D成分の折れや割れを抑制するため、更には樹脂組成物の熱安定性を更に向上させるために酸性基を含有したものが好ましい。酸性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基が例示される。好適な酸性基はカルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基の少なくとも1種である。特にカルボキシル基、カルボン酸無水物基およびホスホン酸基から選択される少なくとも1種の酸性基を有するポリオレフィン系ワックスが好ましく、特にカルボキシル基および/またはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン系ワックスが好ましい。酸性基含有ポリオレフィン系ワックスにおいてその酸性基の濃度は、0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gの範囲、さらに好ましくは0.5〜4meq/gの範囲である。更にオレフィン系ワックスの分子量は、1,000〜10,000が好ましい。尚、かかる分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)における標準ポリスチレンより得られた較正曲線を基準にして算出された重量平均分子量である。更にかかる濃度および分子量の条件を満足するα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体が好適である。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、さらに好ましくは25〜55のものを挙げることができる。離型剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対して、好ましくは0.005〜2重量部、より好ましくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。かかる範囲においては、ポリカーボネート樹脂組成物は良好な離型性および離ロール性を有する。特にかかる量の脂肪酸エステルは良好な色相を損なうことなく良好な離型性および離ロール性を有するポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
(光反射特性)
液晶表示装置のバックライト用反射板、照光式プッシュスイッチや光電スイッチの反射板、自動販売機の表示内部フレーム、およびストロボリフレクター等の光反射材には、高い反射率が求められる。本発明における樹脂組成物の反射率は90%以上であることが好ましく、91%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。反射率が90%未満では充分な光反射特性が得られず、光反射材として用いた場合に輝度が低下する場合がある。
(寸法安定性)
コンピュータあるいはテレビ等の液晶表示装置のバックライトに使用される反射板やその周辺部材、例えば反射枠等の材料には寸法安定性が求められる。樹脂組成物の線膨張係数が小さいほど、寸法安定性が優れる。本発明における樹脂組成物の23〜55℃における平行方向の線膨張係数は0.5×10−4/℃以下であり、0.4×10−4/℃以下がより好ましく、0.3×10−4/℃以下がさらに好ましい。線膨張係数が0.5×10−4/℃より大きい場合、寸法安定性が悪化する。
(熱可塑性樹脂組成物の製造)
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜E成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分及びB成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分及びB成分の熱可塑性樹脂に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分及びB成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更に一成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の低減、運送または輸送時に発生する微小粉の低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を適宜行うことができる。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。またペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。
(本発明の樹脂組成物からなる成形品について)
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また本発明における樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
本発明の樹脂組成物が利用される成形品の具体的としては、液晶ディスプレー装置のバックライト用反射板が好適な具体例として挙げられる。かかるバックライトの光源としては冷陰極管および発光ダイオード(LED、殊に白色LED)が例示され、特に白色LEDのアレイに対して好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた光反射特性、寸法安定性および熱安定性を有することから、各種の光反射材に好適に利用される。より具体的には各種ランプリフレクターが挙げられ、例えば蛍光灯など照明灯用の反射板、液晶表示装置など各種表示装置のバックライト用反射板・反射枠、スイッチ類用の反射板、LEDアレイ用の反射板、並びにこれらの機能が複合した反射板などが例示される。即ち本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
本発明者の実施する形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、評価は下記の方法によった。
(1)線膨張係数
射出成形より得られた厚さ40mmの短冊状成形品からアニール処理した後(120℃×1hで乾燥)、5mm角の試験片を切り出した。射出成形の際の樹脂の流れ方向を測定する方向とし、NETZSCH社製線膨張係数測定装置「TMA4000SE」を用い、昇温速度2℃/分で、23℃〜55℃における試験片の線膨張係数を測定した。
(2)反射率
射出成形より得られた厚さ2mmの平板を(株)村上色彩技研究所製ヘーズ・透過率・反射計HR−100を用いて、45°入射全光線相対反射率を測定した。
(3)熱安定性
溶融混練にて得られたペレットの粘度平均分子量を本文記載の方法により測定した。一方、溶融混練前のポリカーボネートパウダーの粘度平均分子量も同様に測定した。かかる溶融混練前の分子量から溶融混練後の分子量を差し引いた値をΔMvとして評価した。かかるΔMvが少ないほど、熱安定性が良好であるといえる。
[実施例1〜8および比較例1〜7]
D成分を除くA〜E成分および各種添加剤を表記載の各配合量で、ブレンダーにて混合した後、得られた混合物を押出機の最後部にある第1供給口から投入した。D成分を除く各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。一方D成分をシリンダー途中の第2供給口からサイドフィーダーを用いて投入した。それぞれの投入量は計量器[(株)クボタ製CWF]により精密に計測された。押出機としては径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用した。スクリュー構成はサイドフィーダーの位置より前に第1段のニーディングゾーンを、サイドフィーダーの位置より後に第2段のニーディングゾーンを設けてあった。シリンダ−温度およびダイス温度が300℃、およびベント吸引度が3kPaの条件でストランドを押出し、水浴において冷却した後ペレタイザーでストランドカットを行い、ペレット化した。上記で得られたペレットは120℃で5時間熱風乾燥機を用いて乾燥後、射出成形機(住友重機械工業(株)製SG−150U)によりシリンダ−温度300℃、金型温度80℃で各評価用試験片を作成し、上記の各評価を実施した。その結果を表1に示す。
なお、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A成分)
PC−1:下記製法により得られた粘度平均分子量19,400のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダー
[製造方法]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール105部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら下記式〔8〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物(式中の平均繰り返し数 p=約37)430部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサンが二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において45分間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂パウダーを得た。(ポリジオルガノシロキサン成分含有量8.2%、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズ9nm、粘度平均分子量19,400)
Figure 2018159004
(B成分)
PC−2:下記製法により得られた粘度平均分子量19,700のポリカーボネート樹脂パウダー
[製造方法]
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
(C成分)
C−1:二酸化チタン顔料(レジノカラー工業(株)製:ホワイトDCF−T−17007、結晶系=ルチル、製造法=塩素法)
(D成分)
D−1:ガラス充填材(チョップドストランド)(日東紡績(株)製:CS−3PE−455FB)
D−2:タルク((株)勝光山鉱業所製:ビクトリライトTK−RC)
D−3:マイカ(キンセイマテック(株)製:KDM200)
D−4:ワラストナイト(キンセイマテック(株)製:SH―1250)
D−5:粉末状ガラス充填材
(E成分)
E−1:ホスフェート系安定剤(大八化学工業(株)トリメチルホスフェート(TMP))
(F成分)
F−1:紫外線吸収剤(BASF製:TINUVIN 234(商品名))
(その他の成分)
離型剤:無水マレイン酸とα−オレフィンとの共重合体である酸変性オレフィンワックス(三菱化学(株)製:ダイヤカルナPA30M)
Figure 2018159004
上記表から明らかなように、実施例1〜8の組成物は反射率が90%以上、線膨張係数が0.5×10−4/℃以下であり、かつΔMvが小さく、優れた光反射特性、寸法安定性および熱安定性を有することが分かる。即ち、該樹脂組成物は光反射材に好適な特性を有することが分かる。これに対し、A成分を含まない比較例1および2はΔMvが大きく、熱安定性に劣る。針状、繊維状および板状いずれの形状でもないD成分を用いた比較例3では線膨張整数が大きく、寸法安定性が劣る。C成分を含まない比較例4では反射率が低く、光反射特性に劣り、C成分を過剰に含む比較例5ではΔMvが大きく、熱安定性に劣る。D成分を含まない比較例6では線膨張整数が大きく、寸法安定性が劣り、D成分を過剰に含む比較例7ではΔMvが大きく、熱安定性に劣る。
本発明は、光反射材に好適なポリカーボネート樹脂組成物を提供する。しかしながらそれ以外にも二酸化チタン顔料の有する半導体性を利用して、誘電材料および畜熱材料などに利用することも可能である。

Claims (4)

  1. (A)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A成分)10〜100重量%および(B)芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)0〜90重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)二酸化チタン顔料(C成分)10〜40重量部、(D)針状無機充填材、繊維状無機充填材および板状無機充填材からなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填材(D成分)10〜40重量部および(E)ホスフェート系安定剤(E成分)0.01〜1重量部を含有し、23〜55℃における平行方向の線膨張係数が0.5×10−4/℃以下であるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 樹脂成分100重量部に対し、(F)紫外線吸収剤(F成分)0.01〜1重量部を含有する請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. D成分が、ガラス、タルク、マイカおよびワラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機充填材である請求項1または2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 反射率が90%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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