JP2018158789A - 糸継装置及び精紡機 - Google Patents

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Abstract

【課題】糸継部で生じる糸の弛みによる糸の不安定な挙動を抑える。
【解決手段】糸Yを屈曲させた状態で糸継ぎを行う糸継部51と、糸継部51よりも糸走行方向の上流側において、糸Yが通過するスリット56aが形成されたガイド部材56と、ガイド部材56よりも糸走行方向の上流側において、糸走行方向から見てスリット56aに対向しない糸掛け面57aが形成された弛み伝播抑制部材57と、を備える。
【選択図】図12

Description

本発明は、糸継装置及び当該糸継装置を備える精紡機に関する。
例えば、特許文献1に記載の精紡機は、紡績装置と巻取装置との間で糸が分断されている場合に糸継ぎを行う糸継装置を備えている。この糸継装置は、糸継部において糸を屈曲させた状態で糸継ぎが行われるため、糸継ぎ後には、糸継ぎ時に糸を屈曲させていた分だけ糸が弛むことになる。このような弛みを放置しておくと、糸の挙動が不安定となり、周辺の部材に糸が絡んだり引っ掛かったりするおそれがある。そこで、特許文献1では、糸の弛みを除去するため、糸に空気を噴射する空気噴射装置を設けることが提案されている。
特開2016−102005号公報
確かに、特許文献1に記載されているように、糸に空気を噴射することで、糸継部における糸の弛みをある程度は除去することができると考えられる。しかしながら、空気の噴射によって除去しきれなかった弛みの残りは、他の部位にも伝播し、相変わらず糸の挙動を不安定にさせる要因となっていた。特に、糸が太い場合には、糸の重量が大きくなることから、空気を噴射しても十分に弛みを除去することができず、弛みが他の部位に伝播しやすいものとなっていた。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、糸継部で生じる糸の弛みによる糸の不安定な挙動を抑えることを目的とする。
本発明に係る糸継装置は、糸を屈曲させた状態で糸継ぎを行う糸継部と、前記糸継部よりも糸走行方向の上流側において、糸が通過するスリットが形成されたガイド部材と、前記ガイド部材よりも糸走行方向の上流側において、糸走行方向から見て前記スリットに対向しない糸掛け面が形成された弛み伝播抑制部材と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、糸継ぎ時の糸道がガイド部材のスリットによって規定され、そのスリットに対向しない糸掛け面を持つ弛み伝播抑制部材に糸を掛けることによって、糸を屈曲させることができる。したがって、糸継部で生じる糸の弛みが弛み伝播抑制部材を超えて他の部位に伝播することを抑えることができ、糸の弛みによる糸の不安定な挙動を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記弛み伝播抑制部材が、前記スリットを覆うように配置されているとよい。
こうすれば、弛み伝播抑制部材によって糸をより確実に屈曲させることができ、安定的に弛みの伝播を抑えることができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記弛み伝播抑制部材が、前記弛み伝播抑制部材がない場合の糸道と交差するように配置されているとよい。
このように弛み伝播抑制部材を配置することで、糸が弛み伝播抑制部材によって強制的に屈曲させられるので、確実に弛みの伝播を抑えることができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記弛み伝播抑制部材は板状部材であり、前記板状部材の縁が前記糸掛け面であるとよい。
糸が板状部材の縁である糸掛け面に接触することで、接触箇所で糸を大きく屈曲させることができるので、弛みの伝播を効果的に抑えることができる。また、弛み伝播抑制部材を板状部材とすることで、弛み伝播抑制部材を配置するためのスペースを抑えることができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記板状部材が、前記板状部材がない場合の糸道と垂直になるように配置されているとよい。
このように板状部材を配置することで、糸の屈曲角度を大きくすることができ、弛みの伝播をさらに効果的に抑えることができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記糸継部と前記弛み伝播抑制部材との間の糸に力を作用させることで、前記糸継部における糸の弛みを除去する弛み除去部をさらに備えるとよい。
こうすれば、まず弛み除去部によって糸の弛みそのものを除去することができ、さらに残った弛みは弛み伝播抑制部材によって他の部位に伝播することを抑えることができるので、糸の不安定な挙動を確実に抑えることができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記弛み除去部は、前記糸継部と前記弛み伝播抑制部材との間の糸に空気を噴射する空気噴射装置を有するとよい。
空気噴射装置から噴射された空気で糸を吹き押すことによって、糸の弛みを除去することができる。このように、空気の噴射を利用することで、糸にダメージを与えることなく、弛みを除去することができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記弛み除去部は、前記空気噴射装置から噴射される空気を受ける受け部材をさらに有するとよい。
空気噴射装置から噴射される空気を受け部材によって受けることで、その結果生じた空気流を利用して糸Yを吹き押すことができるので、糸弛みをより好適に除去することができる。
また、本発明に係る糸継装置において、前記空気噴射装置は、前記弛み伝播抑制部材に接触している糸の屈曲角度を大きくさせる方向に空気を噴射するとよい。
この場合、空気噴射装置による空気の噴射によって、弛みを除去するだけでなく、弛みの伝播も効果的に抑えることが可能となる。
本発明に係る精紡機は、紡績して糸を生成する紡績装置と、前記紡績装置で生成された糸を貯留する糸貯留装置と、前記糸貯留装置からの糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、糸走行方向において前記糸貯留装置と前記巻取装置との間で、糸を屈曲させた状態で糸継ぎを行う糸継部を有する糸継装置と、を備える精紡機であって、前記糸継装置は、前記糸継部よりも糸走行方向の前記糸貯留装置側において、糸が通過するスリットが形成されたガイド部材と、前記ガイド部材よりも糸走行方向の前記糸貯留装置側において、糸走行方向から見て前記スリットに対向しない糸掛け面が形成された弛み伝播抑制部材と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、糸継ぎ時の糸道がガイド部材のスリットによって規定され、そのスリットに対向しない糸掛け面を持つ弛み伝播抑制部材に糸を掛けることによって、糸を屈曲させることができる。したがって、糸継部で生じる糸の弛みが弛み伝播抑制部材を超えて糸貯留装置に伝播することを抑えることができ、糸の弛みによる糸の不安定な挙動が糸貯留装置に及ぶことを抑えることが可能となる。
また、本発明に係る精紡機において、前記糸貯留装置は、外周面に糸が巻き付けられる貯留ローラと、前記貯留ローラに対して相対回転し、前記貯留ローラから引き出される糸が掛けられる糸掛け部材と、を有するとよい。
後で詳細に説明するように、糸が糸掛け部材に掛けられた状態で糸掛け部材が回転することによりバルーンが形成されるが、糸の弛みがバルーンに伝播すると、糸が糸掛け部材に絡まって糸切れが生じるおそれがある。しかしながら、上述のように、弛み伝播抑制部材によって糸貯留装置に弛みが伝播することを抑えることで、糸が糸掛け部材に絡まることを防止できる。
また、本発明における精紡機において、前記弛み伝播抑制部材が、前記糸継部による糸継ぎ中の糸には接触するが、前記巻取装置による巻取り中の糸には接触しない位置に配置されているとよい。
巻取装置による巻取り中には、糸の張力が大きくなり、弛みは解消されるので、弛み伝播抑制部材に糸を接触させる必要はない。むしろ、巻取り中に糸が弛み伝播抑制部材に接触し続けていると、糸にダメージを与えるおそれがある。そこで、上述のように、巻取り中の糸には接触しないように弛み伝播抑制部材を設けることで、弛み伝播抑制部材との接触によって糸の品質が低下することを防止できる。
本実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図である。 紡績ユニット及び糸継台車の側面図である。 糸継台車の吸引部材で糸を吸引保持する様子を示す側面図である。 糸継台車の吸引部材で糸を糸継装置に案内する様子を示す側面図である。 糸継装置が糸継位置に位置している状態を示す側面図である。 吸引部材の吸引経路を示す模式図である。 吸引経路に設けられたシャッターカッターを示す模式図である。 糸継装置の斜視図である。 糸継部の一連の動作を示す正面図である。 糸継部の一連の動作を示す正面図である。 弛み伝播抑制部材等を上から見た図である。 図11のXII−XII断面における断面図である。 糸継ぎ時の各部材の動作を示すタイミングチャートである。 吸引経路における糸の吸引状態を示す模式図である。 変形例に係る弛み伝播抑制部材等を上から見た図である。
[本実施形態]
(精紡機の全体構成)
本発明の一実施形態に係る精紡機(巻取機)について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る精紡機の全体的な構成を示す正面図である。図1に示す精紡機(紡績機)1は、所定の配列方向(図1の左右方向)に並べられた複数の紡績ユニット2(巻取ユニット)と、配列方向に移動可能な糸継台車3と、配列方向の一端側に配置されたブロアボックス4と、配列方向の他端側に配置された原動機ボックス5と、を備えている。
各紡績ユニット2は、ドラフト装置10から送られてくる繊維束Tを紡績装置20で紡績して糸Yを生成し、この糸Yを巻取装置40でボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。糸継台車3は、何れかの紡績ユニット2において、過剰な張力等によって生じる糸切れや、糸欠点除去のために行う糸切断が生じた場合に、その紡績ユニット2に移動して糸継ぎを行う。ブロアボックス4内には、各紡績ユニット2に負圧を供給するための負圧源等が配置されている。また、原動機ボックス5内には、各紡績ユニット2に共通の駆動源等が配置されている。
本実施形態の精紡機1では、所定数の紡績ユニット2ごとに1つのユニット制御部2aが設けられており、紡績ユニット2の各部の動作を制御する。一方、糸継台車3には台車制御部3a(制御部)が設けられており、糸継台車3の各部の動作を制御する。ユニット制御部2a及び台車制御部3aは、相互に制御信号をやり取りできるように構成されている。
(紡績ユニット)
図2は、紡績ユニット2及び糸継台車3の側面図であり、図3は、糸継台車3の吸引部材で糸を吸引保持する様子を示す側面図であり、図4は、糸継台車3の吸引部材で糸を糸継装置に案内する様子を示す側面図であり、図5は、糸継装置が糸継位置に位置している状態を示す側面図である。図2〜図5に示すように、糸継台車3から見て糸道が存在する側を前側、その反対側を後側と定義する。また、以下の説明では、通常の巻取り時における糸Yの走行方向における上流及び下流を、単に「上流」及び「下流」と呼ぶ。
紡績ユニット2は、上流側から下流側へ向かって順に配置された、ドラフト装置10と、紡績装置20と、糸貯留装置30(糸供給部)と、巻取装置40と、を主要な構成として備えている。
ドラフト装置10は、精紡機1のフレーム6の上端近傍に設けられている。ドラフト装置10は、上流側から順に、バックローラ11、サードローラ12、ミドルローラ13、及び、フロントローラ14の4つのドラフトローラ11〜14を備える。ミドルローラ13には、ゴム製のエプロンベルト15が巻き架けられている。各ドラフトローラ11〜14は、所定の回転速度で回転駆動される。また、ドラフト装置10は、各ドラフトローラ11〜14に対向するように配置された対向ローラ11a〜14aを有する。ドラフト装置10は、繊維束Tの原料であるスライバSを、回転するドラフトローラ11〜14と、これに対向する対向ローラ11a〜14aとの間で挟み込んで搬送することにより、所定の幅となるまで引き伸ばして(ドラフトして)繊維束Tとする。
紡績装置20は、フロントローラ14のすぐ下流側に配置されている。紡績装置20は、ドラフト装置10から供給された繊維束Tに撚りを加えることで紡績し、糸Yを生成する。本実施形態では、紡績装置20として、旋回気流を利用して繊維束Tに撚りを与える空気式のものが採用されているが、他のタイプのものを採用することももちろん可能である。
糸貯留装置30は、紡績装置20と巻取装置40との間に配置されている。糸貯留装置30は、貯留ローラ31と、糸掛け部材32と、モータ33と、を備える。貯留ローラ31は、その外周面に一定量の糸Yを巻き付けて一時的に貯留できるように構成されており、モータ33によって回転駆動される。貯留ローラ31の下流側端部には、糸Yを引っ掛けることが可能な糸掛け部材32が取り付けられている。糸掛け部材32は、貯留ローラ31に対して相対回転可能に取り付けられている。
貯留ローラ31及び糸掛け部材32の何れか一方には永久磁石が取り付けられ、他方には磁気ヒステリシス材が取り付けられている。これらの磁気的手段により、糸掛け部材32が貯留ローラ31に対し相対回転する際に抵抗トルクが発生する。抵抗トルクを上回る力が糸掛け部材32に加わった場合(糸Yに所定以上の張力がかかっている場合)は、糸掛け部材32が貯留ローラ31に対して相対的に回転し、貯留ローラ31に巻き付けられた糸Yを解舒することができる。一方、抵抗トルクを上回る力が糸掛け部材32にかかっていない場合、貯留ローラ31と糸掛け部材32は一体的に回転し、貯留ローラ31に糸Yが貯留される。
このように、糸貯留装置30は、下流側の糸Yの張力が上がると糸Yを解舒し、下流側の糸Yの張力が下がる(糸Yが弛みそうになる)と糸Yの解舒を止めるように動作する。これにより、糸貯留装置30は、糸Yの弛みを解消して、糸Yに適切な張力を付与することができる。また、糸掛け部材32が、上述のように糸貯留装置30と巻取装置40と間の糸Yに加わる張力の変動を吸収するように動作することで、糸Yの張力の変動が、紡績装置20から糸貯留装置30までの間の糸Yに影響を及ぼすことを防止できる。
また、糸貯留装置30の下流側には、糸貯留装置30から引き出された糸Yを下流側に案内するための糸道ガイド34が設けられている。糸道ガイド34は、貯留ローラ31から引き出された糸Yを、貯留ローラ31の回転軸の延長線上を通過するように案内する。したがって、糸掛け部材32が糸Yを掛けた状態で回転している状態では、貯留ローラ31と糸道ガイド34との間において、糸Yが振り回されることによって略円錐状のバルーンAが形成される。
紡績装置20と糸貯留装置30との間には、糸Yの品質を監視する糸監視装置21が設けられている。糸監視装置21は、走行する糸Yの太さを不図示の光学式のセンサによって監視するように構成されている。糸監視装置21は、糸Yの糸欠陥(糸Yの太さ等に異常がある箇所)を検出する。なお、糸監視装置21は、光学式のセンサに限らず、例えば静電容量式のセンサであってもよい。また、糸監視装置21は、糸Yに含まれる異物を糸欠陥として検出してもよい。
糸監視装置21の近傍には、糸監視装置21で糸Yの糸欠陥が検出された際に、直ちに糸Yを切断するための不図示のカッターが配置されている。なお、紡績ユニット2は、このカッターの代わりに、紡績装置20への空気の供給を停止して、糸Yの生成を中断することにより糸Yを切断してもよい。
巻取装置40は、糸貯留装置30の下流側に配置されており、糸Yを綾振りしながらボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置40は、クレードルアーム41と、巻取ドラム42と、トラバース装置43と、を備える。
クレードルアーム41は、支軸44を軸にして回動可能に支持されている。クレードルアーム41は、糸Yを巻き取るためのボビンB(パッケージP)を回転可能に支持することができる。巻取ドラム42は、所定の方向に一定の回転速度で回転駆動されている。クレードルアーム41は、支軸44を軸にして回動することにより、ボビンB(パッケージP)の外周面を巻取ドラム42に対して接触又は離間させることができる。このように、ボビンB(パッケージP)の外周面を、回転駆動される巻取ドラム42に接触させることにより、ボビンB(パッケージP)を巻取方向に従動回転させ、糸Yをその外周面に巻き取ることができる。
トラバース装置43は、糸Yに係合可能なトラバースガイド45を有する。トラバースガイド45は、不図示の駆動源によって、巻取ドラム42の軸方向と平行な方向に往復動されるように構成されている。巻取ドラム42を回転駆動させながら、糸Yを係合させたトラバースガイド45を往復駆動することにより、糸Yを綾振り(トラバース)しながらパッケージPに巻き取ることができる。
(糸継台車)
次に、糸継台車3について説明する。図1に示すように、精紡機1のフレーム6には、紡績ユニット2が並ぶ配列方向に沿って、レール7が配設されている。糸継台車3は、このレール7の上を走行することができるように構成されており、複数の紡績ユニット2の間を走行することができる。糸継台車3は、ある紡績ユニット2において糸切れや糸切断が発生した場合に、その紡績ユニット2まで移動し、紡績装置20と巻取装置40との間で分断している糸Yの糸継ぎを行う。
図2〜図4に示すように、糸継台車3は、糸継装置50と、サクションパイプ71と、サクションマウス72と、進退機構80と、逆転駆動機構90と、を主要な構成として備えている。
糸継装置50は、紡績装置20と巻取装置40との間で糸Yが分断している場合に、サクションパイプ71によって案内される紡績装置20側の糸Y(以下、適宜「上糸」と呼ぶ)と、サクションマウス72によって案内される巻取装置40側の糸Y(以下、適宜「下糸」と呼ぶ)と、を糸継ぎする。糸継台車3が目的の紡績ユニット2に移動した状態において、糸継装置50は、糸Yの走行方向において糸貯留装置30と巻取装置40との間に位置する。糸継装置50の詳細については後で説明する。
サクションパイプ71は、台車制御部3aによって制御される不図示の駆動源によって、軸71aを中心に上下方向に回動可能に構成されている。サクションパイプ71は、図3に示すように、上方に回動することによって、サクションパイプ71の先端が紡績装置20の下流側近傍に位置し、紡績装置20から紡出される上糸Yを吸い込んで吸引保持することができる。さらに、サクションパイプ71は、図4に示すように、紡績装置20から紡出される上糸Yを吸引保持した状態で下方に回動することで、上糸Yを糸継装置50に案内することができる。
サクションマウス72は、台車制御部3aによって制御される不図示の駆動源によって、軸72aを中心に上下方向に回動可能に構成されている。サクションマウス72は、図3に示すように、下方に回動することによって、サクションマウス72の先端がパッケージPの外周面近傍に位置し、パッケージPから引き出される下糸Yを吸い込んで吸引保持することができる。さらに、サクションマウス72は、図4に示すように、パッケージPから引き出される下糸Yを吸引保持した状態で上方に回動することで、下糸Yを糸継装置50に案内することができる。
図6は、吸引部材(サクションパイプ71及びサクションマウス72)の吸引経路を示す模式図であり、図7は、吸引経路に設けられたシャッターカッターを示す模式図である。図6に示すように、サクションパイプ71には上糸吸引管75が接続されており、サクションマウス72には下糸吸引管76が接続されている。さらに、上糸吸引管75の途中部には、下糸吸引管76が合流して接続されている。上糸吸引管75及び下糸吸引管76は、糸継台車3に取り付けられている。
上糸吸引管75は、精紡機1のフレーム6に設けられた吸引ダクト8に接続可能に構成されている。吸引ダクト8は、精紡機1の配列方向(図6の紙面垂直方向)に沿って延びており、その一端がブロアボックス4に接続されている。吸引ダクト8には、図6に示すような接続部8aが配列方向に複数設けられており、糸継台車3がある紡績ユニット2に移動したときに、対応する接続部8aに上糸吸引管75が接続されることで、サクションパイプ71及びサクションマウス72に吸引流が生じる。
上糸吸引管75の途中部より下流側には、軸方向に直交するスリット75aが形成されており、このスリット75aに挿入可能なシャッターカッター77が配設されている。図7に示すように、シャッターカッター77は、上糸吸引管75の軸方向(図7の紙面垂直方向)に沿って延びる支軸77aと、支軸77aを中心に回動可能な可動刃77bと、支軸77aに固定された固定刃77cと、を備える。
図7(a)に示すように可動刃77bが上糸吸引管75の外側に出ている状態から、図7(b)に示すように可動刃77bをスリット75aに挿入するように回動させると、可動刃77bが上糸吸引管75を横切って固定刃77cに至り、上糸吸引管75の管内の糸Yの糸端を切断することができる。なお、可動刃77bは、台車制御部3aによって制御される不図示の駆動源によって、回動するように構成されている。
図2〜図5に戻って、進退機構80は、糸継装置50を、巻取り時の糸道に対して接近又は離間する方向(前後方向)に移動可能に構成されている。巻取り時の糸道とは、図2に示すような、糸道ガイド34からパッケージPの外周面までを結ぶ直線のことである。進退機構80は、レール81と、支持ブラケット82と、エアシリンダ83と、を備える。レール81は、前後方向に沿うように、糸継台車3に固定的に取り付けられている。レール81には、支持ブラケット82がレール81に対して摺動可能に取り付けられている。支持ブラケット82には、糸継装置50が固定される。エアシリンダ83は、支持ブラケット82をレール81に沿って移動させるための駆動源であり、台車制御部3aによって制御される。エアシリンダ83を伸縮させることにより、支持ブラケット82に固定された糸継装置50を、レール81に沿って移動させることができる。なお、糸継装置50をレール81に沿って移動させる駆動源は、エアシリンダ83だけでなくカム機構でもよい。
図5に示すように、エアシリンダ83が伸長し、糸継装置50が巻取り時の糸道に接近した位置(以下、「糸継位置」と呼ぶ)において、サクションパイプ71及びサクションマウス72によって案内された糸Yが糸継装置50に導入される。一方、図2に示すように、エアシリンダ83が収縮し、糸継装置50が巻取り時の糸道から離間した位置(以下、「退避位置」と呼ぶ)に移動することによって、糸継台車3の紡績ユニット2間の移動時に糸継装置50と糸Yとが干渉することを防止できる。
逆転駆動機構90は、パッケージPを巻取方向の逆方向の引出方向に回転させるための機構である。逆転駆動機構90は、逆回転ローラ91と、リンク機構92と、エアシリンダ93と、を備える。逆回転ローラ91は、リンク機構92に取り付けられており、台車制御部3aによって制御される不図示のモータによって、巻取ドラム42と逆方向に回転駆動される。リンク機構92には、逆回転ローラ91及びエアシリンダ93がそれぞれ適切な位置に取り付けられている。エアシリンダ93は、リンク機構92を伸縮させるための駆動源であり、台車制御部3aによって制御される。
エアシリンダ93でリンク機構92を伸長させることによって、図3及び図4に示すように、逆回転ローラ91がパッケージPに接触する位置(以下、「接触位置」と呼ぶ)に移動する。一方、エアシリンダ93でリンク機構92を収縮させることによって、図2に示すように、逆回転ローラ91が糸継台車3内に退避する位置(以下、「退避位置」と呼ぶ)に移動する。逆回転ローラ91が接触位置にある状態で、逆回転ローラ91を巻取ドラム42と逆方向に回転駆動させることで、パッケージPから下糸Yを引き出すことができる。なお、本実施形態では、逆回転ローラ91は、巻取ドラム42と逆方向だけでなく、巻取ドラム42と同方向にも回転駆動できるものとされている。
(糸継装置の詳細)
次に、糸継装置50の詳細について説明する。図8は、糸継装置50の斜視図である。糸継装置50は、主に、糸継部51と、ステッピングモータ52と、フレーム53と、糸寄せレバー54と、エアシリンダ55と、を有する。なお、図8においては、図が煩雑になることを避けるため、糸継部51を構成する一部部材の図示を省略している。また、以下の説明では、図8において定義している方向語を適宜使用する。
糸継部51は、サクションパイプ71によって案内される上糸Yと、サクションマウス72によって案内される下糸Yとを糸継ぎする部位である。糸継部51の具体的な構成としては、複数の部材が機械的に連動して動くことで上糸Yと下糸Yとを糸結びするノッターや、旋回空気流によって上糸Yと下糸Yの糸端同士に撚りを加えて継ぎ目を形成するスプライサーがある。本実施形態では、糸継部51としてノッターを採用しており、糸継部51の駆動源としてステッピングモータ52が設けられている。ステッピングモータ52は、台車制御部3aによって制御される。
フレーム53は、糸継部51を着脱自在に支持する構造体であり、進退機構80の支持ブラケット82に固定されている。さらに、上述のように糸継部51にはノッターとスプライサーの2種類が存在し、ノッターを備えた糸継装置50とスプライサーを備えた糸継装置50は、糸継台車3に対し相互に交換可能であるよう構成されている。
糸道規制部材としての糸寄せレバー54は、フレーム53に回動可能に取り付けられたレバー状の部材であり、上下方向に並んで2つ設けられている。糸寄せレバー54は、駆動源としてのエアシリンダ55によって駆動されることで、上下方向に延びる軸54aを中心にして回動する。エアシリンダ55は、台車制御部3aによって制御される。通常、糸寄せレバー54は、糸Yに接触しない位置(図8に示す位置。以下、「待機位置」と呼ぶ)にある。エアシリンダ55を駆動すると、待機位置にある糸寄せレバー54が、その先端部が糸継部51の奥側に入り込むように回動する(図8の矢印参照)。これによって、糸寄せレバー54は、糸継部51に案内された上糸Y及び下糸Yに接触し、さらに、上糸Y及び下糸Yを糸継部51の奥側に押し込んで糸道を規制する位置(以下、「規制位置」と呼ぶ)に移動可能となっている。
糸継部51について詳細に説明する。図9及び図10は、糸継部51の一連の動作を示す正面図である。糸継部(ノッター)51は、前側が開放された構成となっており、サクションパイプ71によって前側から案内される上糸Yと、サクションマウス72によって前側から案内される下糸Yとを糸継ぎ(糸結び)する。糸継部51は、2つのガイド板63、64と、2つのノッタービル65と、1つのクロッサー66と、2つのエクストラクター67と、2つのクランプ68と、筐体69と、を備える。
上側のガイド板63は筐体69の上面を構成し、下側のガイド板64は筐体69の下面を構成する。図8に示すように、上側のガイド板63には、糸継部51の前側に向かって開放された第1スリット63a及び第2スリット63bが左右方向に並んで形成されている。下側のガイド板64には、糸継部51の前側に向かって開放された第1スリット64a及び第2スリット64bが左右方向に並んで形成されている。第1スリット63a及び第2スリット64bは、第2スリット63b及び第1スリット64aよりも深いスリットである。
糸結びを行う際は、サクションパイプ71によって吸引保持された上糸Yが、2つのガイド板63、64の第1スリット63a、64aに案内されるとともに、サクションマウス72によって吸引保持された下糸Yが、2つのガイド板63、64の第2スリット63b、64bに案内される(図9(b)参照)。このように、上糸Yを第1スリット63a、64aに案内し、下糸Yを第2スリット63b、64bに案内した後に、上述の糸寄せレバー54を規制位置に移動させることで、上糸Yを上側のガイド板63の第1スリット63aの奥側に押し込むとともに、下糸Yを下側のガイド板64の第2スリット64bの奥側に押し込んで、上糸Y及び下糸Yをクランプ68によって把持可能な位置に規制することができる。
2つのノッタービル65のうち、一方は筐体69の右壁面の中央部から左側に突出するように設けられており、他方は筐体69の左壁面の中央部から右側に突出するように設けられている。ノッタービル65は、L字状の部材であり、筐体69の壁面から左右方向に突出している軸部65a周りに回転可能に構成されている。ノッタービル65の先端部には、糸保持部材であるクランプカッター65bが形成されており、ノッタービル65が1回転する間に、クランプカッター65bは1回の開閉動作を行う。ノッタービル65は、クランプカッター65bが開状態から閉状態となることによって、その回転軌跡である所定領域R(図9(d)参照)にある糸Yを保持及び切断することができる。なお、2つのノッタービル65は、互いに逆向きに回転する。
クロッサー66は、円盤の一部を切り欠いたような形状を有しており、前後方向に延びる中心軸周り(図9及び図10における時計回り又は反時計回り)に回動可能に構成されている。クロッサー66の周縁部のうち互いに対向する2位置(周方向に180度離れた2位置)には、前側に突出した引っ掛け部66aが形成されている。これによって、クロッサー66が回動する際に、引っ掛け部66aに糸Yを引っ掛けて引っ張ることができる。
2つのエクストラクター67は、左右方向に並んで設けられている。エクストラクター67は上下方向に長い部材であり、その中央部には、糸Yに係合して糸Yを前側に押し上げることのできる押し上げ部67aが形成されている。右側のエクストラクター67は、筐体69の右壁面の上端部に揺動自在に支持されており、その基端部を支点として前後方向に揺動することで、押し上げ部67aが前後方向に移動可能となっている。また、左側のエクストラクター67は、筐体69の左壁面の下端部に揺動自在に支持されており、その基端部を支点として前後方向に揺動することで、押し上げ部67aが前後方向に移動可能となっている。2つのエクストラクター67が同時に前側に揺動することによって、糸Yの結び目を絞ることができる。
2つのクランプ68のうち、一方は上側のガイド板63の第1スリット63aの下側に隣接して設けられており、他方は下側のガイド板63の第2スリット63bの上側に隣接して設けられている。これによって、上側のクランプ68は、第1スリット63aを通る上糸Yを把持することが可能であり、下側のクランプ68は、第2スリット63bを通る下糸Yを把持することが可能となっている(図9(c)等参照)。
ノッタービル65、クロッサー66、エクストラクター67、及び、クランプ68は、糸結び部材を構成し、それぞれが不図示のカム機構としての円筒カムによって、そのカム面に規定されたタイミングで連動して動作するように構成されている。これらの各部材65〜68が、カム機構によって原点位置から始まって原点位置に戻る1サイクルの動作を行うことで、ノッタービル65、クロッサー66、及び、エクストラクター67が、協働して糸結びを行う。なお、上述のカム機構は、ステッピングモータ52によって駆動され、台車制御部3aにおいて回転及び停止が制御される。
(糸結び動作)
図9及び図10を参照しつつ、糸継部(ノッター)51の一連の動作について説明する。この一連の動作は円筒カムのカム面によって規定される。図9(a)は、ノッタービル65、クロッサー66、エクストラクター67、及び、クランプ68が、それぞれ原点位置にあるときの状態を示す。このとき、ノッタービル65は、クランプカッター65bが前側を向いた状態で閉じられている。また、クランプ68は開かれている。
図9(a)に示す状態から、サクションパイプ71によって上糸Yが2つのガイド板63、64の第1スリット63a、64aに案内されるとともに、サクションマウス72によって下糸Yが2つのガイド板63、64の第2スリット63b、64bに案内されると、図9(b)に示すように、上糸Y及び下糸Yのそれぞれの糸道が、糸継部51内において上下方向に略平行となる。その後、糸寄せレバー54を規制位置に移動させることによって、上糸Yを第1スリット63aの奥側に寄せるとともに、下糸Yを第2スリット64bの奥側に寄せる。これによって、上糸Y及び下糸Yをクランプ68によって把持可能な位置に移動させる。
続いて、ステッピングモータ52を作動させてカム機構を動作させると、まず、クランプ68が閉じて上糸Y及び下糸Yがそれぞれ把持される。そして、ノッタービル65が回転し始めるとともに、クロッサー66が反時計回りに回動し始める。その結果、図9(c)に示すように、糸Yは、ノッタービル65に係止されるとともに、クロッサー66の引っ掛け部66aに引っ張られて屈曲し、2本の糸Yで輪が作られる。
その後、クロッサー66の回動は一旦停止するが、ノッタービル65は回転し続け、図9(d)に示すように、クランプカッター65bが開状態となる。このとき、上糸Y及び下糸Yは、いずれもノッタービル65によって切断及び保持が可能な所定領域R内にある。さらにノッタービル65の回転が進むと、クランプカッター65bが閉状態となり、図10(a)に示すように、ノッタービル65で糸Yが切断されるとともに保持される。そして、ノッタービル65の回転に伴って糸Yが引っ張られることで、結び目が形成される。結び目が形成されると、エクストラクター67が前側へ揺動し、押し上げ部67aによって上糸Y及び下糸Yが前側に押し上げられる。また、この過程で、ノッタービル65による糸Yの保持が解除される。これによって、図10(b)に示すように、結び目が引き絞られて糸結びが完了する。
糸結びが完了すると、クロッサー66が時計回りに回動するとともに、前側に揺動していたエクストラクター67が後側へ戻る。また、クランプ68が開いて、糸Yの把持が解除される。これらの動作によって、屈曲状態の糸Yに作用していた張力が一気に緩み、図10(c)に示すように、糸継部51内で糸Yが弛んだ状態となる。糸Yが弛むことによって、糸Yが所定領域R内に入ってしまうことがある。この時点で、クランプカッター65bは2回目の開閉動作に移っており、クランプカッター65bが開状態となっているため、弛んだ糸Yが所定領域R内にあると、クランプカッター65bが閉状態に戻る際に糸Yを挟み、ノッタービル65に糸Yが引っ掛かってしまうおそれがある。仮に、ノッタービル65に糸Yが引っ掛かった状態で巻取りが開始されると、ノッタービル65が破損する等の不具合が生じ得る。また、糸継台車3が移動する際に、糸引きが生じるといった問題がある。
糸継部51を駆動するカム機構の構成上、糸継部51を構成する各部材65〜68が原点位置から始まって原点位置に戻る1サイクルの動作をする間、ノッタービル65は2回転する。1回目の開閉動作は、上述のように、糸Yの切断及び保持を行うものであり、糸結びに不可欠な動作となっているが、糸結びが完了した後の2回目の開閉動作に特に意味はない。むしろ、2回目の開閉動作は、上述のように、弛んだ糸Yを引っ掛ける要因となるが、カム機構によって各部材65〜68が連動するように構成されているため、2回目の開閉動作を省くこともできない。
そこで、本実施形態では、糸結びが完了した後に糸継部51の動作を一時的に停止(ステッピングモータ52を停止)し、図10(d)に示すように、弛んだ糸Yに張力を付与することによって、糸結び後の糸Yを所定領域Rの外に出すようにしている。そして、糸Yが所定領域Rの外に出てから、糸継部51の動作を再開(ステッピングモータ52を再作動)し、ノッタービル65を原点位置に戻すことによって、ノッタービル65に糸結び後の糸Yが引っ掛かることを防止している。具体的には、後述するように、糸継部51の一時停止中に、糸Yの巻取りを開始することによって、糸Yに張力を付与して所定領域Rの外に出すようにしている。
(糸継装置のその他の特徴)
本実施形態の糸継装置50は、上述のように糸継部51で生じる糸Yの弛みの影響を抑えるため、図8に示すように、ガイドブラケット56と、弛み伝播抑制部材57と、空気噴射装置58と、受け部材59と、をさらに備えている。ガイドブラケット56は、水平面に略平行な板状部材として構成されており、糸継部51の上方(上流側)においてフレーム53に固定されている。ガイドブラケット56の上面には、ガイドブラケット56から上方にわずかに離間させた状態で、弛み伝播抑制部材57が固定されている。また、ガイドブラケット56の下面には、空気噴射装置58及び受け部材59が固定されている。
図11は、弛み伝播抑制部材57等を上から見た図であり、図12は、図11のXII−XII断面における断面図である。図11に示すように、ガイドブラケット56には、前側に開放されたスリット56aが形成されている。一方、弛み伝播抑制部材57は、水平面に略平行な板状部材として構成されており、その右縁が糸継ぎ時に糸Yが掛けられる糸掛け面57aとなっている。弛み伝播抑制部材57は、上から見たときにガイドブラケット56のスリット56aを覆うように配置されている。これによって、弛み伝播抑制部材57の糸掛け面57aが、糸走行方向から見てスリット56aに対向しない位置に配置されることになる。
糸Yの巻取り時には、糸Yは図11に示す巻取位置P1に位置しているが、糸継部51で糸結びを行う際には、上糸Yは図11に示す糸継位置P2に位置する。具体的には、糸寄せレバー54が規制位置に回動する際に、上糸Yは、ガイド板63の第1スリット63a及びガイドブラケット56のスリット56aの奥側に寄せられ、この状態で、糸継部51のクランプ68によって上糸Yが把持される。その結果、図12に示すように、上糸Yは、糸結びの間、上側のガイド板63の第1スリット63aと、ガイドブラケット56のスリット56aとの間を通るように糸道が形成される。
ここで、図11に示すように、弛み伝播抑制部材57の前端部は、前側に凸状の円弧状となっている。したがって、糸寄せレバー54が規制位置に回動する際、上糸Yはスリット56aを覆っている弛み伝播抑制部材57の前端部にまず接触するが、円弧状の前端部に沿って後側へと円滑に案内され、最終的にスリット56aに至る。
弛み伝播抑制部材57が仮に存在しない場合には、糸継部51の上流側における糸Yの糸道は、図12において破線で示すように、概ね上下方向に沿ったものとなる。本実施形態では、板状部材である弛み伝播抑制部材57を、上述の糸道に交差させるように、さらには、略垂直となるように配置している。このため、ガイドブラケット56よりも上流側の糸Yは、図12に示すように、弛み伝播抑制部材57の縁に接触することで大きく屈曲する。したがって、糸継部51で発生する糸Yの弛みが、弛み伝播抑制部材57を超えて上流側に伝播することを抑えることができる。
例えば、糸Yの弛みが糸貯留装置30まで伝搬すると、貯留ローラ31の下流側に形成されているバルーンA(図4参照)が大きく膨らむことによって、糸Yが糸掛け部材32に絡んで糸切れが生じる可能性がある。特に、糸Yが太い場合には、バルーンAに作用する遠心力が大きくなりやすいので、このような問題が顕著となりやすい。しかしながら、弛み伝播抑制部材57を設けることで、糸Yの弛みが糸貯留装置30まで伝播することを防止でき、上述の問題を解消することができる。
本実施形態では、糸Yの弛みの伝播を抑えるための弛み伝播抑制部材57に加えて、さらに、糸Yの弛みそのものを除去するために、空気噴射装置58が設けられている。空気噴射装置58は、図12に示すように、上側のガイド板63の第1スリット63aと、ガイドブラケット56のスリット56aとの間を通る糸Yに向けて、圧縮空気を噴射可能に構成されている。空気噴射装置58から噴射された圧縮空気によって糸Yを吹き押すことで、糸Yの弛みを除去することができる。また、本実施形態では、空気噴射装置58は、弛み伝播抑制部材57の縁に接触している糸Yの屈曲角度を大きくさせる方向(図12の矢印参照)に空気を噴射できるように配置されている。これによって、弛み伝播抑制部材57による糸Yの弛みの伝播を抑制する効果を増大させることができる。なお、空気噴射装置58は、台車制御部3aによって制御される。
受け部材59は、上下方向において空気噴射装置58と略同じ位置に設けられており、空気噴射装置58と受け部材59との間を上糸Yが通るようにされている。受け部材59は、空気噴射装置58の噴射口(図示省略)に対向する受け面59aを有する板状部材として構成されており、受け面59aが上下方向に略平行となるようにして設けられている。これによって、空気噴射装置58から噴射される圧縮空気が受け部材59によって受けられ、その結果生じた空気流を利用して糸Yを吹き押すことができるので、糸弛みをより好適に除去することができる。
さらに、本実施形態の糸継装置50は、図8に示すように、糸継部51の各部材65〜68が原点位置にあるか否かを検出可能な原点検出手段60を有している。糸継部51の筐体69の左側の外部には、左右方向に略平行な軸周りに回転可能な円盤状の連動部材61が設けられている。この連動部材61は、糸継部51の各部材65〜68を連動させる既述のカム機構に連結されており、ステッピングモータ52によってカム機構を駆動した場合には、各部材65〜68と連動して連動部材61も同期回転する。各部材65〜68が原点位置から始まって原点位置に戻る1サイクルの動作を行う間に、連動部材61は1回転するように構成されている。
連動部材61の周縁部には磁石61aが設けられており、連動部材61が回転すると磁石61aも回転する。連動部材61は、糸継部51の各部材65〜68が原点位置にあるときに磁石61aが最も下位置にくるように、カム機構に連結されている。磁石61aが最も下位置にあるときに磁石61aと対向する位置には、磁気センサ62が設けられている。これによって、磁石61aが最も下位置にある場合、すなわち、各部材65〜68が原点位置にある場合には、磁気センサ62は、磁石61aから発せられる磁気を検出することができる。なお、磁気センサ62は、糸継装置50のフレーム53に固定されており、検出信号を台車制御部3aに送信する。
糸継部51をフレーム53に取り付けた直後等に、糸継部51の各部材65〜68が原点位置にない場合、すなわち、磁気センサ62が磁石61aからの磁気を検出してない場合には、台車制御部3aは、各部材65〜68を原点位置に戻すべく、ステッピングモータ52を駆動させる。これによって、各部材65〜68が動作するとともに、連動部材61が回転する。そして、各部材65〜68が原点位置に戻ると、すなわち、磁石61aが最も下位置にくると、磁気センサ62によって磁石61aからの磁気が検出される。磁気センサ62から検出信号を受けた台車制御部3aは、ステッピングモータ52を停止する。こうして、糸継部51の各部材65〜68が原点位置にない場合には、自動で各部材65〜68を原点位置に戻すことができる。
(糸継ぎの一連の流れ)
最後に、糸継台車3による糸継ぎ(糸結び)の一連の流れについて説明する。ある紡績ユニット2において、紡績装置20と巻取装置40との間の糸Yが分断状態になると、この紡績ユニット2のユニット制御部2aは、クレードルアーム41を揺動駆動して、巻取ドラム42からパッケージPを離間させる。
続いて、ユニット制御部2aは、糸継台車3の台車制御部3aに対して制御信号を送信する。制御信号を受信した糸継台車3は、目的の紡績ユニット2まで移動して停止する。糸継台車3が紡績ユニット2の間を走行する間は、進退機構80によって糸継装置50を退避位置まで退避させておく。これによって、糸継台車3の走行時に、糸継装置50が各紡績ユニット2を走行している糸Yに接触することを防ぐことができる。
図13は、糸継ぎ時の各部材の動作を示すタイミングチャートであり、図14は、吸引経路における糸Yの吸引状態を示す模式図である。糸継台車3が目的の紡績ユニット2で停止すると、台車制御部3aは、糸継台車3に設けられた不図示のブレーキ機構を作動させ、パッケージPの回転を停止させる。そして、逆回転ローラ91を接触位置まで進出させるとともに、逆回転ローラ91を巻取ドラム42と逆方向に回転駆動することで、パッケージPを引出方向に回転させる。
続いて、サクションマウス72を下側に回動させ、サクションマウス72によってパッケージPから引き出される下糸Yを吸引保持する(図3参照)。下糸Yを吸引保持したタイミングで、逆回転ローラ91の駆動を停止してパッケージPの回転を止めるとともに、サクションマウス72を上側に回動させることで下糸Yを糸継装置50に案内する(図4参照)。このとき、図14(a)に示すように、下糸Yは、下糸吸引管76及び上糸吸引管75を介して吸引ダクト8に至っている。
次に、台車制御部3aは、上糸吸引管75に設けられたシャッターカッター77を作動させる。これによって、図14(b)に示すように、下糸Yの糸端が切断され、下糸Yの吸引長を短くすることができる。このため、下糸Yに作用する吸引力が過大となることを抑え、適度な吸引力で下糸Yを吸引保持することができる。しかしながら、切断後も下糸Yの一部は上糸吸引管75内に存在しているため、このまま上糸Yの吸引を行うと、上糸吸引管75内で上糸Yと下糸Yとが絡まって、上糸Yに下糸Yが引っ張られることで、下糸Yが糸切れするおそれがある。
そこで、サクションパイプ71によって上糸Yを糸継装置50に案内する前に、台車制御部3aは、逆回転ローラ91を巻取ドラム42と同方向にわずかに回転駆動することでパッケージPを巻取方向に回転させ、図14(c)に示すように、下糸Yの糸端を上糸吸引管75から下糸吸引管76に引き出す。つまり、下糸Yの糸端を、上糸吸引管75に下糸吸引管76が合流する途中部よりも上流側に位置させ、下糸Yが上糸吸引管75内に位置しないようにする。なお、下糸Yの糸端を上糸吸引管75から引き出した後は、逆回転ローラ91を停止させておけば、パッケージPから下糸Yが引き出されることはないので、下糸Yが再度上糸吸引管75に入ることはない。
続いて、台車制御部3aは、サクションパイプ71を上側に回動させ、サクションパイプ71によって紡績装置20から紡出される上糸Yを吸引保持してから(図3参照)、サクションパイプ71を下側に回動させることで、上糸Yを糸継装置50に案内する(図4参照)。このとき、図14(d)に示すように、上糸Yは上糸吸引管75を介して吸引ダクト8に至るが、上述のように、下糸Yは上糸吸引管75内には存在しないので、上糸Yと下糸Yとが絡むことはない。上糸Yを糸継装置50に案内した後、台車制御部3aは、再度シャッターカッター77を作動させ、上糸Yの糸端も切断する。これによって、上糸Yの吸引長が長くなりすぎることを防止でき、適度な吸引力で上糸Yを吸引保持することができる。
このように、本実施形態では、糸寄せレバー54及び糸継部(ノッター)51の動作開始前に上糸Yの糸端及び下糸Yの糸端の両方を切断することで、上糸Y及び下糸Yを適度な吸引力で吸引保持することができ、上糸Y及び下糸Yの張力が過大となることを防止できる。したがって、続く糸継ぎ時に上糸Y及び下糸Yの張力が大きくなったとしても、糸切れが生じることを抑えることができる。なお、上糸Yは紡績装置20から絶えず紡出されるため、上糸Yの吸引長はどんどん長くなる。したがって、上糸Yの糸端はできるだけ糸寄せレバー54及び糸継部(ノッター)51の動作開始直前に切断するのが効果的である。
2回目のシャッターカッター77の作動と略同時に、台車制御部3aは、進退機構80によって糸継装置50を糸継位置に移動させる。糸継装置50が糸継位置まで進出することにより、サクションパイプ71によって案内されている上糸Yと、サクションマウス72によって案内されている下糸Yとが、糸継装置50(糸継部51)に導入される。糸継ぎを行っている間、糸継装置50は糸継位置に維持される。
糸継装置50が糸継位置まで進出すると、台車制御部3aは、糸寄せレバー54を規制位置に回動させる。これによって、上糸Yが第1スリット63aの奥側まで寄せられ、上側のクランプ68によって上糸Yが把持可能となるとともに、下糸Yが第2スリット64bの奥側まで寄せられ、下側のクランプ68によって下糸Yが把持可能となるように、糸道が規制される。また、このとき、上糸Yは、糸寄せレバー54によって、ガイドブラケット56のスリット56aの奥側に押し込まれて糸継位置P2(図11参照)まで移動する。これによって、図12に示すように、上糸Yが弛み伝播抑制部材57の縁に接触して屈曲し、糸継部51で生じる糸Yの弛みが弛み伝播抑制部材57よりも上流側に伝播することを抑えることができる。なお、糸寄せレバー54は、糸継部51が動作を開始し、糸Yが糸継部51のクランプ68によって把持されるようになってから、待機位置に戻される。
台車制御部3aは、糸寄せレバー54を回動させるのと略同時に、空気噴射装置58による圧縮空気の噴射を開始する。これによって、続く糸継ぎの間、糸継部51で生じる糸Yの弛みが、圧縮空気に吹き押されることで除去される。
続いて、台車制御部3aは、ステッピングモータ52を駆動し、糸継部(ノッター)51による糸結びを開始する。既に説明したように、糸継部51を構成する各部材65〜68が原点位置から始まって原点位置に戻る1サイクルの間に、ノッタービル65、クロッサー66、及び、エクストラクター67が協働して糸結びを行うが、糸結び自体は1サイクルの途中で完了する。そして、糸結び完了後のノッタービル65の2回目の開閉動作によって、糸結びが完了して弛んだ糸Yを引っ掛けてしまうことを避けるため、本実施形態では、糸結びの完了後にステッピングモータ52を一時的に停止させる。これによって、ノッタービル65の動作を一時停止させ、その間に、弛んだ糸Yを所定領域Rの外へと移動させる。
具体的には、台車制御部3aは、ステッピングモータ52を一時停止すると、進退機構80によって糸継装置50を待機位置に戻す。また、ユニット制御部2aは、クレードルアーム41を揺動させ、パッケージPの外周面を、回転する巻取ドラム42に接触させる。これにより、停止していたパッケージPが巻取方向への回転を開始し、糸Yの巻取りが開始(再開)される。
糸Yの巻取りが開始されると、図10(d)に示すように、糸Yには十分な張力が作用して弛みが解消され、糸Yは所定領域Rの外に出る。したがって、その後、ノッタービル65が閉じたとしても、糸Yがノッタービル65に挟まれることはない。また、糸Yの巻取りが開始されると、糸Yは糸継位置P2から巻取位置P1に移動する(図11参照)。これによって、巻取り時に糸Yが弛み伝播抑制部材57に接触することを防止できる。
また、本実施形態では、糸結びを開始する直前から、空気噴射装置58によって圧縮空気が噴射されているため、糸Yの弛みを継続的に除去することができる。しかしながら、糸Yの巻取り開始後は糸Yの弛みが解消され、圧縮空気の噴射は必要なくなるため、台車制御部3aは、巻取りが開始されると空気噴射装置58による圧縮空気の噴射を停止する。
なお、図10(c)に示される糸継部51内で糸Yが弛んだ状態から糸Yの巻取りが開始され、糸Yに張力が作用した際に、糸Yが糸継部51の各部材65〜67に引っ掛かってしまい、糸Yを所定領域Rの外に移動させることができないこともあり得る。このような場合に備えて、本実施形態では、糸Yの巻取り開始後に、糸寄せレバー54を規制位置に一旦移動させるようにしている。これによって、糸Yを正規の糸道に規制することで引っ掛かりを解除し、糸Yを確実に所定領域Rの外に移動させることができる。最後に、台車制御部3aは、ステッピングモータ52を再駆動し、1サイクルの途中で一時停止させていた糸継部51の動作を再開させ、糸継部51の各部材65〜68を原点位置まで戻す。
[効果]
本実施形態の糸継装置50には、糸継部51よりも糸走行方向の上流側において、糸Yが通過するスリット56aが形成されたガイドブラケット56(ガイド部材)と、ガイドブラケット56よりも糸走行方向の上流側において、糸走行方向から見てスリット56aに対向しない糸掛け面57aが形成された弛み伝播抑制部材57と、が設けられている。このため、糸継ぎ時の糸道がガイドブラケット56のスリット56aによって規定され、そのスリット56aに対向しない糸掛け面57aを持つ弛み伝播抑制部材57に糸Yを掛けることによって、糸Yを屈曲させることができる。したがって、糸継部51で生じる糸Yの弛みが弛み伝播抑制部材57を超えて他の部位に伝播することを抑えることができ、糸Yの弛みによる糸Yの不安定な挙動を抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、弛み伝播抑制部材57が、スリット56aを覆うように配置されているので、弛み伝播抑制部材57によって糸Yをより確実に屈曲させることができ、安定的に弛みの伝播を抑えることができる。
また、本実施形態では、弛み伝播抑制部材57が、弛み伝播抑制部材57がない場合の糸道と交差するように配置されている。このように弛み伝播抑制部材57を配置することで、糸Yが弛み伝播抑制部材57によって強制的に屈曲させられるので、確実に弛みの伝播を抑えることができる。
また、本実施形態では、弛み伝播抑制部材57は板状部材であり、板状部材57の縁が糸掛け面57aとされている。糸Yが板状部材57の縁である糸掛け面57aに接触することで、接触箇所で糸Yを大きく屈曲させることができるので、弛みの伝播を効果的に抑えることができる。また、弛み伝播抑制部材57を板状部材とすることで、弛み伝播抑制部材57を配置するためのスペースを抑えることができる。
また、本実施形態では、板状部材57が、板状部材57がない場合の糸道と垂直になるように配置されている。このように板状部材57を配置することで、糸Yの屈曲角度を大きくすることができ、弛みの伝播をさらに効果的に抑えることができる。
また、本実施形態では、糸継部51と弛み伝播抑制部材57との間の糸Yに力を作用させることで、糸継部51における糸Yの弛みを除去する弛み除去部(空気噴射装置58)が設けられている。このため、上記弛み除去部によって糸Yの弛みそのものを除去することができ、さらに残った弛みは弛み伝播抑制部材57によって他の部位に伝播することを抑えることができるので、糸Yの不安定な挙動を確実に抑えることができる。
また、本実施形態では、上記弛み除去部が、糸継部51と弛み伝播抑制部材57との間の糸Yに空気を噴射する空気噴射装置58を有して構成されている。空気噴射装置58から噴射された空気で糸Yを吹き押すことによって、糸Yの弛みを除去することができる。このように、空気の噴射を利用することで、糸Yにダメージを与えることなく、弛みを除去することができる。
また、本実施形態では、上記弛み除去部が、空気噴射装置58から噴射される空気を受ける受け部材59をさらに有して構成されている。空気噴射装置58から噴射される空気を受け部材59によって受けることで、その結果生じた空気流を利用して糸Yを吹き押すことができるので、糸弛みをより好適に除去することができる。
また、本実施形態では、空気噴射装置58が、弛み伝播抑制部材57に接触している糸Yの屈曲角度を大きくさせる方向に空気を噴射するよう構成されている。かかる構成によれば、空気噴射装置58による空気の噴射によって、弛みを除去するだけでなく、弛みの伝播も効果的に抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、弛み伝播抑制部材57が、糸走行方向において糸継部51よりも糸貯留装置30側(上流側)で糸Yを屈曲させるように糸Yに接触している。したがって、糸継部51で生じる糸Yの弛みによる糸Yの不安定な挙動が、糸貯留装置30に及ぶことを抑えることができる。
また、本実施形態では、糸貯留装置30は、外周面に糸Yが巻き付けられる貯留ローラ31と、貯留ローラ31に対して相対回転し、貯留ローラ31から引き出される糸Yが掛けられる糸掛け部材32と、を有する。この場合、糸Yが糸掛け部材32に掛けられた状態で糸掛け部材32が回転することによりバルーンAが形成されるが、糸Yの弛みがバルーンAに伝播すると、糸Yが糸掛け部材32に絡まって糸切れが生じるおそれがある。しかしながら、上述のように、弛み伝播抑制部材57によって糸貯留装置30に弛みが伝播することを抑えることで、糸Yが糸掛け部材32に絡まることを防止できる。
また、本実施形態では、弛み伝播抑制部材57が、糸継部51による糸継ぎ中の糸Yには接触するが、巻取装置40による巻取り中の糸Yには接触しない位置に配置されている。巻取装置40による巻取り中には、糸Yの張力が大きくなり、弛みは解消されるので、弛み伝播抑制部材57に糸Yを接触させる必要はない。むしろ、巻取り中に糸Yが弛み伝播抑制部材57に接触し続けていると、糸Yにダメージを与えるおそれがある。そこで、上述のように、巻取り中の糸Yには接触しないように弛み伝播抑制部材57を設けることで、弛み伝播抑制部材57との接触によって糸Yの品質が低下することを防止できる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上記実施形態に限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
また、上記実施形態では、弛み伝播抑制部材57が板状部材であるものとしたが、弛み伝播抑制部材57の具体的な形状はこれに限定されない。例えば、弛み伝播抑制部材57は棒状のものであってもよい。
また、上記実施形態では、板状部材である弛み伝播抑制部材57が、弛み伝播抑制部材57がない場合の糸道と略垂直となるように配置されるものとした。しかしながら、弛み伝播抑制部材57と弛み伝播抑制部材57がない場合の糸道とが垂直となることは必須ではなく、弛み伝播抑制部材57が、弛み伝播抑制部材57がない場合の糸道に対して傾斜配置されてもよい。
また、上記実施形態では弛み伝播抑制部材57がスリット56aを覆うように配置されているものとしたが、弛み伝播抑制部材57によってスリット56aが覆われることは必須ではない。例えば、図15に示すように、弛み伝播抑制部材157がスリット56aを覆っていなくても(あるいは一部覆っていてもよい)、弛み伝播抑制部材157の糸掛け面157aが、糸走行方向から見てスリット56aに対向しない位置にあればよい。図15に示す変形例では、糸寄せレバー54によって上糸Yが巻取位置P1から糸継位置P2に移動させられる際に、上糸Yが弛み伝播抑制部材157のガイド面157bにガイドされることにより、上糸Yがスリット56aの奥側に押し込まれるとともに、糸掛け面157aに掛けられる。
また、上記実施形態では、弛み伝播抑制部材57を糸継部51の上流側に設けるものとしたが、これに代えて又は加えて、弛み伝播抑制部材57を糸継部51の下流側に設けてもよい。
また、上記実施形態では、スリット56aを有するガイドブラケット56を設けるものとしたが、ガイドブラケット56を省略することも可能である。
また、上記実施形態では、弛み除去部が空気噴射装置58を有して構成されるものとした。しかしながら、弛み除去部の具体的構成はこれに限定されず、例えば糸Yを吸い込むことで弛みを除去するものであってもよい。
また、上記実施形態では、空気噴射装置58と併せて受け部材59を設けるものとしたが、受け部材59は省略してもよい。
また、上記実施形態では、糸継装置50の糸継部51がノッターであるとしたが、糸継部51はスプライサーであってもよい。
また、上記実施形態では、糸継台車3に糸継装置50が設けられるものとしたが、各紡績ユニット2に糸継装置50を設けるようにしてもよい。また、紡績ユニット2に限られず、例えば自動ワインダー等の繊維機械に、糸継装置50あるいは糸継台車3を設けてもよい。
1:精紡機
2:紡績ユニット
3:糸継台車
20:紡績装置
30:糸貯留装置
31:貯留ローラ
32:糸掛け部材
40:巻取装置
50:糸継装置
51:糸継部
56:ガイドブラケット(ガイド部材)
56a:スリット
57、157:弛み伝播抑制部材
57a、157a:糸掛け面
58:空気噴射装置(弛み除去部)
59:受け部材(弛み除去部)
Y:糸
P:パッケージ

Claims (12)

  1. 糸を屈曲させた状態で糸継ぎを行う糸継部と、
    前記糸継部よりも糸走行方向の上流側において、糸が通過するスリットが形成されたガイド部材と、
    前記ガイド部材よりも糸走行方向の上流側において、糸走行方向から見て前記スリットに対向しない糸掛け面が形成された弛み伝播抑制部材と、
    を備えることを特徴とする糸継装置。
  2. 前記弛み伝播抑制部材が、前記スリットを覆うように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の糸継装置。
  3. 請求項1又は2に記載の糸継装置であって、
    前記弛み伝播抑制部材が、前記弛み伝播抑制部材がない場合の糸道と交差するように配置されていることを特徴とする糸継装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の糸継装置であって、
    前記弛み伝播抑制部材は板状部材であり、前記板状部材の縁が前記糸掛け面であることを特徴とする糸継装置。
  5. 請求項4に記載の糸継装置であって、
    前記板状部材が、前記板状部材がない場合の糸道と垂直になるように配置されていることを特徴とする糸継装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の糸継装置であって、
    前記糸継部と前記弛み伝播抑制部材との間の糸に力を作用させることで、前記糸継部における糸の弛みを除去する弛み除去部をさらに備えることを特徴とする糸継装置。
  7. 請求項6に記載の糸継装置であって、
    前記弛み除去部は、前記糸継部と前記弛み伝播抑制部材との間の糸に空気を噴射する空気噴射装置を有することを特徴とする糸継装置。
  8. 請求項7に記載の糸継装置であって、
    前記弛み除去部は、前記空気噴射装置から噴射される空気を受ける受け部材をさらに有することを特徴とする糸継装置。
  9. 請求項7又は8に記載の糸継装置であって、
    前記空気噴射装置は、前記弛み伝播抑制部材に接触している糸の屈曲角度を大きくさせる方向に空気を噴射することを特徴とする糸継装置。
  10. 紡績して糸を生成する紡績装置と、
    前記紡績装置で生成された糸を貯留する糸貯留装置と、
    前記糸貯留装置からの糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、
    糸走行方向において前記糸貯留装置と前記巻取装置との間で、糸を屈曲させた状態で糸継ぎを行う糸継部を有する糸継装置と、
    を備える精紡機であって、
    前記糸継装置は、
    前記糸継部よりも糸走行方向の前記糸貯留装置側において、糸が通過するスリットが形成されたガイド部材と、
    前記ガイド部材よりも糸走行方向の前記糸貯留装置側において、糸走行方向から見て前記スリットに対向しない糸掛け面が形成された弛み伝播抑制部材と、
    を有することを特徴とする精紡機。
  11. 請求項10に記載の精紡機であって、
    前記糸貯留装置は、
    外周面に糸が巻き付けられる貯留ローラと、
    前記貯留ローラに対して相対回転し、前記貯留ローラから引き出される糸が掛けられる糸掛け部材と、
    を有することを特徴とする精紡機。
  12. 請求項10又は11に記載の精紡機であって、
    前記弛み伝播抑制部材が、前記糸継部による糸継ぎ中の糸には接触するが、前記巻取装置による巻取り中の糸には接触しない位置に配置されていることを特徴とする精紡機。
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