JP2018158542A - 天然木薄紙、およびその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然木の質感をそのまま備えており、かつ色彩が明瞭に表われ、しかも任意の色彩を得ることが可能な天然木薄紙およびその製法を提供する。【解決手段】天然木の極薄突き板1の裏面に裏打ちシート8を接着しており、極薄突き板1の道管内に色素含有樹脂3Aを浸透させている。天然木をスライスした突き板の裏面に紙又は不織布を主材とする裏打ちシート8を色素原料を含有させた接着剤で接着する貼合せ・色付け工程Iと、突き板1の裏打ちシート8を研削・研磨機で研磨することにより厚さを0.05〜0.1mmの極薄突き板1にする研削・研磨工程IIにより製作される天然木薄紙。【効果】木目を構成する早材にも晩材にも色素含有樹脂が浸透しているので、木目のコントラストが変化せずに色彩を備えることになり、天然木の形質を保ちながら、任意の色彩をもつ化粧板に仕上げることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、天然木薄紙、およびその製法に関する。さらに詳しくは、住宅の壁紙とか、ドアや枠材などの建材、家具や文具、雑貨等あらゆる種類の造作物の表面材として貼付でき、天然木を素材とする化粧用の薄紙に関する。
化粧用の薄紙の典型的な利用分野は壁紙であるが、壁紙は一般に、紙のほか布やビニール樹脂加工紙の3種類が用いられてきた。しかし、本発明はこれらのどれにも属さない新しいタイプの壁紙として利用できる薄紙に関する。すなわち、天然木を主材とし、天然木の風合いをそのまま活かした天然木薄紙、およびその製法に関する。
化粧用の薄紙の典型的な利用分野は壁紙であるが、壁紙は一般に、紙のほか布やビニール樹脂加工紙の3種類が用いられてきた。しかし、本発明はこれらのどれにも属さない新しいタイプの壁紙として利用できる薄紙に関する。すなわち、天然木を主材とし、天然木の風合いをそのまま活かした天然木薄紙、およびその製法に関する。
本出願人は特許文献1により、天然木の質感をそのまま備えており、木質住宅の木材と共に呼吸する性質を有し、かつ極薄であって平面だけでなく曲面にも貼ることができ、しかも割れや裂けが無く厚み公差の小さい天然木薄紙を提供している。
上記の天然木薄紙は、天然木の質感をそのまま活かすものであるため、そのこと自体は評価できるものである。しかし、異なる美感を持ちたいという立場から豊かな色彩を求められることに対しては、期待に応えていない。
そうした要望に応えるものとして、特許文献2の従来技術があった。
この従来技術は、木質薄板に着色された裏打ちシートを接着したものである。この従来技術では、使用された状態の木質化粧シートを見るとき、裏打ちシートに着色した色彩を木質薄板の表面側から見ることになる。しかるに、木質薄板は表面に現われる木目が、美感上の重要な要素となっているところ、木質薄板の背面に色彩があるだけでは、木目のコントラストが弱くなり、全体にボケた印象にしかならなかった。
この従来技術は、木質薄板に着色された裏打ちシートを接着したものである。この従来技術では、使用された状態の木質化粧シートを見るとき、裏打ちシートに着色した色彩を木質薄板の表面側から見ることになる。しかるに、木質薄板は表面に現われる木目が、美感上の重要な要素となっているところ、木質薄板の背面に色彩があるだけでは、木目のコントラストが弱くなり、全体にボケた印象にしかならなかった。
本発明は上記事情に鑑み、天然木の質感をそのまま備えており、かつ色彩が明瞭に表われ、しかも任意の色彩を得ることが可能な天然木薄紙およびその製法を提供することを目的とする。
第1発明の天然木薄紙は、天然木の極薄突き板の裏面に裏打ちシートを接着しており、
前記極薄突き板の道管内に色素含有樹脂を浸透させていることを特徴とする。
第2発明の天然木薄紙は、第1発明において、前記色素含有樹脂が、前記極薄突き板と前記裏打ちシートを接着する接着剤に顔料、染料またはそれらの混合物である色素原料を混合したものであることを特徴とする。
第3発明の天然木薄紙は、第1発明において、前記極薄突き板の厚さが0.05〜0.1mmであることを特徴とする。
第4発明の天然木薄紙の製造方法は、天然木をスライスした突き板の裏面に紙または不織布を主材とする裏打ちシートを色素原料を含有させた接着剤からなる色素含有樹脂で接着する貼合せ・色付け工程と、前記突き板の裏打ちシートを研削・研磨機で研磨することにより厚さを0.05〜0.1mmの極薄突き板にする研削・研磨工程とからなることを特徴とする。
前記極薄突き板の道管内に色素含有樹脂を浸透させていることを特徴とする。
第2発明の天然木薄紙は、第1発明において、前記色素含有樹脂が、前記極薄突き板と前記裏打ちシートを接着する接着剤に顔料、染料またはそれらの混合物である色素原料を混合したものであることを特徴とする。
第3発明の天然木薄紙は、第1発明において、前記極薄突き板の厚さが0.05〜0.1mmであることを特徴とする。
第4発明の天然木薄紙の製造方法は、天然木をスライスした突き板の裏面に紙または不織布を主材とする裏打ちシートを色素原料を含有させた接着剤からなる色素含有樹脂で接着する貼合せ・色付け工程と、前記突き板の裏打ちシートを研削・研磨機で研磨することにより厚さを0.05〜0.1mmの極薄突き板にする研削・研磨工程とからなることを特徴とする。
第1発明の天然木薄紙によれば、極薄突き板の道管に色素含有樹脂が浸透しているので、木材そのものが色彩を備える外観を呈する。また、木目を構成する早材にも晩材にも色素含有樹脂が浸透しているので、木目のコントラストが変化せずに色彩を備えることになり、天然木の形質を保ちながら、任意の色彩をもつ化粧板に仕上げることができる。
第2発明の天然木薄紙によれば、極薄突き板の裏面から色素含有樹脂が染み込み道管内によく充填され、色彩が明瞭に外観に表われる。
第3発明によれば、極薄突き板が非常に薄いことから曲げたときの内部応力が小さくなり、弱い糊でも貼付できる。つまり、従来のビニールクロスと同じ接着剤と同じ施工法で壁紙施工が可能である。
第4発明の製法によれば、突き板の表面を研削・研磨することによって突き板を損傷することなく刃物によるスライスでは不可能だった極薄の0.05〜0.1mmの厚さにすることができ、その厚み公差も小さくできる。しかも、突き板と裏打ちシートを接着させる色素含有樹脂が突き板の道管内に浸透するので、天然木薄紙に色彩を付与でき、その色彩は明瞭な外観を呈する。
第2発明の天然木薄紙によれば、極薄突き板の裏面から色素含有樹脂が染み込み道管内によく充填され、色彩が明瞭に外観に表われる。
第3発明によれば、極薄突き板が非常に薄いことから曲げたときの内部応力が小さくなり、弱い糊でも貼付できる。つまり、従来のビニールクロスと同じ接着剤と同じ施工法で壁紙施工が可能である。
第4発明の製法によれば、突き板の表面を研削・研磨することによって突き板を損傷することなく刃物によるスライスでは不可能だった極薄の0.05〜0.1mmの厚さにすることができ、その厚み公差も小さくできる。しかも、突き板と裏打ちシートを接着させる色素含有樹脂が突き板の道管内に浸透するので、天然木薄紙に色彩を付与でき、その色彩は明瞭な外観を呈する。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
(本発明の製造方法)
図5は本発明に係る天然木薄紙の製造方法の工程図である。同図に示すように、本発明に係る天然木薄紙の製法は、突き板1Aの裏面に裏打ちシートを接着する貼合せ・色付け工程Iと、突き板1Aを研削・研磨することにより厚さを0.05〜0.1mm極薄突き板にする研削・研磨工程IIと、極薄突き板1Aの表面に塗装する塗装工程IIIとからなる。
前記接着・色付け工程Iと研削・研磨工程IIはその順とすることが好ましいが、突き板1Aの研削・研磨を先に行い、その後で裏打ちシート8を接着する貼合せ・色付け工程を行ってもよい。
(本発明の製造方法)
図5は本発明に係る天然木薄紙の製造方法の工程図である。同図に示すように、本発明に係る天然木薄紙の製法は、突き板1Aの裏面に裏打ちシートを接着する貼合せ・色付け工程Iと、突き板1Aを研削・研磨することにより厚さを0.05〜0.1mm極薄突き板にする研削・研磨工程IIと、極薄突き板1Aの表面に塗装する塗装工程IIIとからなる。
前記接着・色付け工程Iと研削・研磨工程IIはその順とすることが好ましいが、突き板1Aの研削・研磨を先に行い、その後で裏打ちシート8を接着する貼合せ・色付け工程を行ってもよい。
以下、図5および図6を参照しながら説明する。
なお、図5および図6に示す符号1Aは、突き板であるが、ロール状に巻取ったロール1R3の形態か、あるいは1枚の長い突き板1Aの形態で製造工程に供される。突き板1Aを得るまでの工程は、従来工法が制限なく使用され、それ以降の工程が本発明にしたがって実行される。
なお、図5および図6に示す符号1Aは、突き板であるが、ロール状に巻取ったロール1R3の形態か、あるいは1枚の長い突き板1Aの形態で製造工程に供される。突き板1Aを得るまでの工程は、従来工法が制限なく使用され、それ以降の工程が本発明にしたがって実行される。
I:貼合せ・色付け工程
図1に示す貼合せ・色付け工程Iでは、突き板1Aに裏打ちシート8が接着されるが、この工程Iの実行には図6に示す貼合せ機10が用いられる。貼合せ機10は、接着剤塗布部11、1次乾燥器12、プレス13、加熱ロール14、および2次乾燥器15からなる。
図6に示すように、裏打ちシート8は接着剤塗布部11、1次乾燥器12にその順で通される。ついで、突き板1Aと裏打ちシート8が合わされて、プレス13で加圧され、加熱ロール14で加熱され、2次乾燥器15で乾燥される。このようにして得られた薄紙はロール状に巻き取られる。
図1に示す貼合せ・色付け工程Iでは、突き板1Aに裏打ちシート8が接着されるが、この工程Iの実行には図6に示す貼合せ機10が用いられる。貼合せ機10は、接着剤塗布部11、1次乾燥器12、プレス13、加熱ロール14、および2次乾燥器15からなる。
図6に示すように、裏打ちシート8は接着剤塗布部11、1次乾燥器12にその順で通される。ついで、突き板1Aと裏打ちシート8が合わされて、プレス13で加圧され、加熱ロール14で加熱され、2次乾燥器15で乾燥される。このようにして得られた薄紙はロール状に巻き取られる。
つぎに、接着剤塗布部11の詳細を説明する。
裏打ちシート8はロール状に巻いた状態で接着剤塗布部11に供給される。接着剤塗布部11は2本のローラで構成されている。色素含有樹脂3Aは2本のローラの谷間に入れられており、この2本のローラの間を通る裏打ちシート8の表面に塗布される。なお、接着剤塗布部11は図示するように2本ローラで構成したものに限らず、どのような構成の塗布部であってもよい。
裏打ちシート8はロール状に巻いた状態で接着剤塗布部11に供給される。接着剤塗布部11は2本のローラで構成されている。色素含有樹脂3Aは2本のローラの谷間に入れられており、この2本のローラの間を通る裏打ちシート8の表面に塗布される。なお、接着剤塗布部11は図示するように2本ローラで構成したものに限らず、どのような構成の塗布部であってもよい。
接着剤塗布部11にはタンク16が接続されていて、このタンク16には、接着剤3に色素原料21を混合した色素含有樹脂3Aが貯えられている。
接着剤3には、無機系接着剤および有機系接着剤のいずれも使用できるが、有機系接着剤が好ましい。
有機系接着剤としては、天然系接着剤および合成系接着剤のいずれも使用可能である。
接着剤3には、無機系接着剤および有機系接着剤のいずれも使用できるが、有機系接着剤が好ましい。
有機系接着剤としては、天然系接着剤および合成系接着剤のいずれも使用可能である。
色素原料21は、顔料、染料、またはそれらの混合物からなる。すなわち、色素原料21は水や油に不溶の顔料のほか、水や油に溶ける染料と称されるもの、または顔料と染料の混合物のいずれを用いてもよい。
顔料には、無機顔料と有機顔料とがあり、どちらも使用可能である。無機顔料には、天然鉱物顔料と合成無機顔料とがあり、白色、赤色、青色、黄色、黒色などがある。
有機顔料は、有機化合物を成分とする顔料であり、黄、橙、赤、紫、青、緑などがある。
顔料には、無機顔料と有機顔料とがあり、どちらも使用可能である。無機顔料には、天然鉱物顔料と合成無機顔料とがあり、白色、赤色、青色、黄色、黒色などがある。
有機顔料は、有機化合物を成分とする顔料であり、黄、橙、赤、紫、青、緑などがある。
接着剤3と色素原料21の混合割合は任意であり、とくに制限はない。色素含有樹脂3A全体における接着剤3の割合は、突き板1Aと裏打ちシート8とが充分に接着するものであればよい。色素含有樹脂3A全体に対する色素原料の割合は、突き板1Aの道管内に充填するに足りる量であればよく、その量は実験的に定めればよい。もちろん、道管内に色素原料が充分に浸透し充填されれば、突き板全体の色彩が濃くなり、色素の量が少ないと、突き板全体の色彩が薄くなる。
貼合せ機10における上記接着剤塗布部11以降の構成部品を説明する。
12は1次乾燥器で、色素含有樹脂3Aが塗布された裏打ちシート8が通過する間に色素含有樹脂3Aが適度に乾燥される。
12は1次乾燥器で、色素含有樹脂3Aが塗布された裏打ちシート8が通過する間に色素含有樹脂3Aが適度に乾燥される。
13はプレスで、このプレス13の入側に色素含有樹脂3Aが塗布された裏打ちシート8と既述の突き板1Aが共に挿入され、互いに接合される。
14はヒータが内蔵された加熱ロールであって、プレス13を通過した突き板1Aと裏打ちシート8との間の色素含有樹脂3Aが加熱ロール14で加熱されることによって、接合強度を高めることになる。
15は2次乾燥器であって、色素含有樹脂3Aを温風により水分蒸発させ硬化促進しながら、突き板1Aと裏打ちシート8の接合を確実にする。
2次乾燥器15を出て巻き取ったものを半製品ロール1R2として示す。
14はヒータが内蔵された加熱ロールであって、プレス13を通過した突き板1Aと裏打ちシート8との間の色素含有樹脂3Aが加熱ロール14で加熱されることによって、接合強度を高めることになる。
15は2次乾燥器であって、色素含有樹脂3Aを温風により水分蒸発させ硬化促進しながら、突き板1Aと裏打ちシート8の接合を確実にする。
2次乾燥器15を出て巻き取ったものを半製品ロール1R2として示す。
接着剤塗布部11に通されるとき裏打ちシート8の片面には、色素含有樹脂3Aが塗布される。そして、片面に色素含有樹脂3Aが付着した裏打ちシート8は、1次乾燥器12に通され、つぎに別途送られてくる突き板1Aと接合され、このとき裏打ちシート8と突き板1Aとが接着される。このようにして接着された裏打ちシート8と突き板1Aは、プレス13で圧着され、加熱ロール14で加熱され、2次乾燥器で乾燥される。
上記の貼合せ・色付け工程Iを実行している間に、色素含有樹脂3Aが極薄突き板1Aの道管内に浸透していく。この浸透による充填は、主として毛細管現象によるものであるが、ロールによる加圧にも助けられて生ずる。
このようにして、道管内に色素含有樹脂3Aが充填された極薄突き板1Aが得られる。
このようにして、道管内に色素含有樹脂3Aが充填された極薄突き板1Aが得られる。
II:研削・研磨工程
図5に示す研磨工程IIでは、特許文献1に記載された研削・研磨機が用いられる。
この研削・研磨機は、上下2本のローラにサンドペーパを巻き掛けたものである。一方のローラを駆動輪として回転させると、サンドペーパがローラの間を巡回する。突き板1Aを下から支える下支えローラも有している。
図5に示す研磨工程IIでは、特許文献1に記載された研削・研磨機が用いられる。
この研削・研磨機は、上下2本のローラにサンドペーパを巻き掛けたものである。一方のローラを駆動輪として回転させると、サンドペーパがローラの間を巡回する。突き板1Aを下から支える下支えローラも有している。
半製品ロール1R2を繰り出しながら突き板1Aをサンドペーパで研削・研磨していくと、突き板1Aの厚さを無理なく薄くすることができる。薄くなった突き板を符号1を付した極薄突き板1として以下に説明する。
この研削・研磨工程では、目の粗いサンドペーパで厚さを薄くしていく研削と、目の細かいサンドペーパで表面をみがく研磨の両方が含まれるが、この両方は別工程として分けて行ってもよく、一つの工程としてまとめて行ってもよい。また、研削もサンドペーパの目の粗さを順に変えて複数工程で行ってもよく、一工程で行ってもよい。このように、研削と研磨を行うと、効率よく厚さを薄くしながら、表面粗さを緻密に仕上げていくことができる。
突き板1Aの厚さは、一般的な突き板と同じく約0.5〜0.15mm位であるが、本工程IIによると、0.05〜0.1mm位の極薄突き板1に仕上げることができる。この薄さは、刃物によるスライスでは得ることができない極薄の厚さである。しかも、研削・研磨により仕上げた厚さは、厚み公差をかなり小さくすることができる。突き板をスライスした場合は、厚み公差にどうしてもバラツキが生ずるが、研削・研磨による場合は厚み公差を極少にできる点が特有の効果である。
この工程IIで得られたものは、いったん半製品ロールとして巻き取られる。
この工程IIで得られたものは、いったん半製品ロールとして巻き取られる。
III:塗装工程
図5に示す塗装工程では、公知の塗装機が用いられる。
塗装機によって塗料が極薄突き板1の表面に塗工され塗膜9となる。塗膜9には、様々な塗料を制限なく用いることができる。たとえば、自然塗料も撥水性塗料も使用可能である。
これにより、様々な風合いをもっていたり、木材の木肌がありながら撥水性も有する薄紙を得ることができる。塗膜9が形成された極薄突き板1は天然木薄板Aとして巻き取られる。
図5に示す塗装工程では、公知の塗装機が用いられる。
塗装機によって塗料が極薄突き板1の表面に塗工され塗膜9となる。塗膜9には、様々な塗料を制限なく用いることができる。たとえば、自然塗料も撥水性塗料も使用可能である。
これにより、様々な風合いをもっていたり、木材の木肌がありながら撥水性も有する薄紙を得ることができる。塗膜9が形成された極薄突き板1は天然木薄板Aとして巻き取られる。
(本発明の薄紙)
本発明の天然木薄紙Aを説明する前に、まず木材の道管に係わる構造を説明する。
図3は、木材を角材に切ったものを示しており、上側面と左側面と、前面の木口面が見えている。
いわゆる年輪を表す濃い太線は、晩材(夏材)を示し、隣り合う濃い太線の間の色の薄い部分は早材(春材)である。晩材と晩材の間は1年を示している。
本発明の天然木薄紙Aを説明する前に、まず木材の道管に係わる構造を説明する。
図3は、木材を角材に切ったものを示しており、上側面と左側面と、前面の木口面が見えている。
いわゆる年輪を表す濃い太線は、晩材(夏材)を示し、隣り合う濃い太線の間の色の薄い部分は早材(春材)である。晩材と晩材の間は1年を示している。
図4に示すように、形成層の活動が盛んな春〜夏に形成された早材(そうざい)の仮道管には,樹木が成長するために必要な水分を根から葉へと円滑に移動させるためにたくさんのすき間があいている。一方,夏〜秋に形成された晩材(ばんざい)の仮道管は,壁を厚く,すき間を少なくすることで,樹木自身の重みを支えるようになっている。つまり,年輪はすき間の多い仮道管が集まった早材部と,すき間の少ない仮道管が集まった晩材部との組み合わせによってできている。
北海道大学の文献「平成2年(1990年)3月北海道大学農学部 深違和三教授 編著「樹木の年輪が持つ情報」(解析技術と林業への応用)P28〜P29」では、スギの早・晩材の密度は、早材の平均は、0.23g/cm3、晩材の平均は、0.66g/cm3と報告されている。
本発明の天然木薄紙は、木材が上記のごとき道管を有することを応用したものである。
本発明の構成要素である天然木の極薄突き板は、厚さが薄くとも木材の形質を備えている。そして、道管には毛細管現象によって色素原料21を浸透させることが可能であり、そうすることによって、極薄突き板に色彩を付与することができる。
本発明の構成要素である天然木の極薄突き板は、厚さが薄くとも木材の形質を備えている。そして、道管には毛細管現象によって色素原料21を浸透させることが可能であり、そうすることによって、極薄突き板に色彩を付与することができる。
また、早材と晩材の多重年輪によって形作られる木目も色付きながらそのまま反映させることができる。
たとえば、スギの場合、以下のような色素の濃淡が生ずる。
1.早材の平均密度が、0.23g/cm3と低いため、色素含有樹脂3A、ひいては色素原料21の染み込み量が多くなり、晩材より顔料の色が濃くなる。
2.晩材の平均密度が、0.66g/cm3と高いため、色素含有樹脂3A、ひいては色素原料21の染み込み量が少なくなり、早材より顔料の色が薄くなる。
たとえば、スギの場合、以下のような色素の濃淡が生ずる。
1.早材の平均密度が、0.23g/cm3と低いため、色素含有樹脂3A、ひいては色素原料21の染み込み量が多くなり、晩材より顔料の色が濃くなる。
2.晩材の平均密度が、0.66g/cm3と高いため、色素含有樹脂3A、ひいては色素原料21の染み込み量が少なくなり、早材より顔料の色が薄くなる。
本発明(請求項1)の天然木薄紙Aは、天然木の極薄突き板の裏面に裏打ちシートを接着しており、前記極薄突き板の道管内に色素含有樹脂を浸透させたものである。色素含有樹脂はどのような手法で含有させてもよいが、本発明の製法(請求項4)を用いると効率よく製造できる。
本発明の製法により得られた天然木薄紙Aは、図1に示すように、突き板1中の無数の道管に色素含有樹脂3Aを浸透させたものとなっている。そして、早材の道管と晩材の道管には、その密度に応じた量の色素含有樹脂3Aが染み込むため、突き板1の木目をそのまま活かした状態で、色目が付いて見えることになる。なお、裏打ちシート8を構成する紙にも不規則な隙間があるので、その内部にも色素含有樹脂3Aが浸透することになる。
このため、本発明の天然木薄紙Aは、図2に示すように、天然木そのものを染色したような外観となる。
このため、本発明の天然木薄紙Aは、図2に示すように、天然木そのものを染色したような外観となる。
図2は本発明の実施形態に係る3色の天然木薄紙(A)、(B)、(C)の平面図である。
(A)図は木地色の色素含有樹脂3Aを用いたもので、当然ながら元の天然木と同様の色調を示している。
(B)図は黒色の色素含有樹脂3Aを用いたもので、(C)図は赤色の色素含有樹脂3Aを用いたものである。黒白写真では色彩は分らなくなっているが、黒色の(B)図は赤色の(C)図よりも全体に色調が濃く、とくに早材部分の濃淡の差が表われている。
(A)図は木地色の色素含有樹脂3Aを用いたもので、当然ながら元の天然木と同様の色調を示している。
(B)図は黒色の色素含有樹脂3Aを用いたもので、(C)図は赤色の色素含有樹脂3Aを用いたものである。黒白写真では色彩は分らなくなっているが、黒色の(B)図は赤色の(C)図よりも全体に色調が濃く、とくに早材部分の濃淡の差が表われている。
図1に示す天然木薄紙Aの厚さの好ましい範囲は、下記のとおりである。
天然木薄紙A全体の厚さ:0.08〜0.2mm
極薄突き板1:0.05〜0.1mm
裏打ちシート8:0.03〜0.1mm
天然木薄紙A全体の厚さ:0.08〜0.2mm
極薄突き板1:0.05〜0.1mm
裏打ちシート8:0.03〜0.1mm
とくに、色彩を外観的に明瞭にするには、突き板1の厚さを0.05〜0.1mmとすることが重要となる。このように極薄にすることで、天然木独自の杢理を活かしたままで、同一の種類の天然木であっても様々な色調を表現可能で自然な外観を得る事ができる。
上記のごとき天然木薄紙Aは、一枚の薄紙を壁紙として使用することができる。しかし、2枚の薄紙の裏面同士を貼り合わせて、両面が木目の天然木薄紙としてもよい。こうした2枚合せの天然木薄紙としては、文具、雑貨、建築用素材製品など種々用途がある。
また、2枚合せの天然木薄紙に打ち抜き加工をすると、しおり、ブックマークなどの文具や雑貨その他種々な用途に使うことができる。
また、2枚合せの天然木薄紙に打ち抜き加工をすると、しおり、ブックマークなどの文具や雑貨その他種々な用途に使うことができる。
本発明の天然木薄紙Aは、つぎの利点がある。
a)天然木をそのまま使っているので、住宅の木材と共に呼吸する。このため、室内の湿度調整が薄紙を通じてできるので住環境が良くなる。
b)厚さが非常に薄いので曲面部分にも接着することができる。このため、適用範囲が広いという利点がある。
c)任意の色彩が付与されており、しかも木目模様はそのまま活かされているので、天然木の風合いを残しながら着色された化粧材とすることができる。
a)天然木をそのまま使っているので、住宅の木材と共に呼吸する。このため、室内の湿度調整が薄紙を通じてできるので住環境が良くなる。
b)厚さが非常に薄いので曲面部分にも接着することができる。このため、適用範囲が広いという利点がある。
c)任意の色彩が付与されており、しかも木目模様はそのまま活かされているので、天然木の風合いを残しながら着色された化粧材とすることができる。
つぎに、本発明の天然木薄紙の施工方法を説明する。
施工方法には、二種類があり、第1は現場工法で、第2は工業用資材の工法である。
(現場工法)
従来より建物の壁にビニルクロスを貼付する方法と同様の施工法が使える点が、本発明の一つの利点である。
接着剤には、でんぷん系の糊が使用でき、現場で下地処理を行い、刷毛やローラーで接着剤を壁面に塗布し、乾燥する前に本発明の天然木薄紙を貼付することでよい。
施工方法には、二種類があり、第1は現場工法で、第2は工業用資材の工法である。
(現場工法)
従来より建物の壁にビニルクロスを貼付する方法と同様の施工法が使える点が、本発明の一つの利点である。
接着剤には、でんぷん系の糊が使用でき、現場で下地処理を行い、刷毛やローラーで接着剤を壁面に塗布し、乾燥する前に本発明の天然木薄紙を貼付することでよい。
(工業用資材の工法)
本発明の天然木薄紙の裏面、すなわち裏打ちシート8の裏面と、合板などの基材の表面に張り付ける事ができる。
貼り付けるには、酢酸ビニール系接着剤などを基材の表面に塗布して仮合わせを行い、平板状の熱プレスなどで圧着させる。
圧着させた製品は、プリント合板のように取り扱うことができる。
本発明の天然木薄紙の裏面、すなわち裏打ちシート8の裏面と、合板などの基材の表面に張り付ける事ができる。
貼り付けるには、酢酸ビニール系接着剤などを基材の表面に塗布して仮合わせを行い、平板状の熱プレスなどで圧着させる。
圧着させた製品は、プリント合板のように取り扱うことができる。
本発明の天然木薄紙は、住宅や施設の壁紙として利用できる外、家具や柱、天井、建具、あらゆる種類の造作材などの表面材として貼付することもできる。この場合、付与する色彩を自由に選定できるので、換言すれば任意の色彩の天然木薄紙を選択できるので、既存の柱や建具等との色彩や風合いのコーディネートが容易に行える。また、文具や雑貨の素材としても利用でき、極薄の性格を利用して紙の代替品となりうる。この場合、通常は紙製品であるところ、木質の感覚を楽しめる製品となる。
1 突き板
3A 色素含有樹脂
8 裏打ちシート
11 接着剤塗布部
16 タンク
21 色素原料
3A 色素含有樹脂
8 裏打ちシート
11 接着剤塗布部
16 タンク
21 色素原料
Claims (4)
- 天然木の極薄突き板の裏面に裏打ちシートを接着しており、
前記極薄突き板の道管内に色素含有樹脂を浸透させている
ことを特徴とする天然木薄紙。 - 前記色素含有樹脂が、前記極薄突き板と前記裏打ちシートを接着する接着剤に顔料、染料またはそれらの混合物である色素原料を混合したものである
ことを特徴とする請求項1記載の天然木薄紙。 - 前記極薄突き板の厚さが0.05〜0.1mmである
ことを特徴とする請求項1記載の天然木薄紙。 - 天然木をスライスした突き板の裏面に紙または不織布を主材とする裏打ちシートを色素原料を含有させた接着剤からなる色素含有樹脂で接着する貼合せ・色付け工程と、
前記突き板の裏打ちシートを研削・研磨機で研磨することにより厚さを0.05〜0.1mmの極薄突き板にする研削・研磨工程とからなる
ことを特徴とする天然木薄紙の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2017057765A JP2018158542A (ja) | 2017-03-23 | 2017-03-23 | 天然木薄紙、およびその製法 |
PCT/JP2018/011260 WO2018174120A1 (ja) | 2017-03-23 | 2018-03-22 | 天然木薄紙、およびその製法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017057765A JP2018158542A (ja) | 2017-03-23 | 2017-03-23 | 天然木薄紙、およびその製法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2018158542A true JP2018158542A (ja) | 2018-10-11 |
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JP2017057765A Pending JP2018158542A (ja) | 2017-03-23 | 2017-03-23 | 天然木薄紙、およびその製法 |
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WO (1) | WO2018174120A1 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021168771A (ja) * | 2020-04-15 | 2021-10-28 | 株式会社ファムプロダクツ | お守りの製造方法 |
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JPS6327250A (ja) * | 1986-07-18 | 1988-02-04 | 株式会社 木紙 | シ−ト状素材及びその製造方法 |
JP2010089506A (ja) * | 2008-10-03 | 2010-04-22 | Bigwill Co Ltd | 天然木薄紙、その製法、その施工方法および金属化粧板 |
JP2012213903A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Tokushima Prefecture | 天然木薄板シートの製造方法 |
-
2017
- 2017-03-23 JP JP2017057765A patent/JP2018158542A/ja active Pending
-
2018
- 2018-03-22 WO PCT/JP2018/011260 patent/WO2018174120A1/ja active Application Filing
Patent Citations (4)
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