JP2018158367A - 炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】アークが安定してスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性及びビード形状や外観が良好で、かつ、適正な強度及び靭性を有する溶接金属が得られる炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、C:0.05〜0.10%、Si:0.7〜2.0%、Mn:1.3〜3.0%、Ti:0.01〜0.3%、Cu:0.05〜0.45%を含有し、Al:0.10%以下であり、さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中にSiO2換算値の合計:0.21〜0.60%、Al23換算値の合計:0.10〜0.35%、Mg:0.05〜0.20%、Na2O換算値とK2O換算値の合計:0.03〜0.25%を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、建築、橋梁、造船などにおける各種鋼構造物の溶接に用いる炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤに関し、アークが安定してスパッタ発生量が少なくスラグ剥離性が良好であるなど、溶接作業性に優れるとともに溶接金属の機械的性能の良好な炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤに関する。
ガスシールドアーク溶接用ワイヤにはソリッドワイヤとフラックス入りワイヤがあり、用途に応じて使い分けがされている。ソリッドワイヤは使用目的に応じて成分調整がなされた各種のワイヤが開発され、JIS Z3312等に規格化されて一般的に使用されている。また、フラックス入りワイヤはスラグ系と総称されるスラグ成分を主としたフラックスを充填したワイヤと、メタル系と総称される金属成分を主としたフラックスを充填したワイヤが多数開発されており、JIS Z3313等に規格化されている。
建築鉄骨分野においては、溶接施工の能率向上を図るため、ソリッドワイヤを用いた高電流域でのガスシールドアーク溶接が行われている。ソリッドワイヤでの高電流溶接では、1層毎の溶着量が多いので溶接の高能率化が可能であるが、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、ビード形状やビード外観が不良であるなど溶接作業性が悪いという問題点がある。また、スパッタが大粒になるため、鋼板表面に付着したスパッタを除去する作業も困難となり作業効率も不良であった。
一方、フラックス入りワイヤ中のメタル系フラックス入りワイヤは、充填するフラックスにアーク安定剤を添加できるため、ソリッドワイヤと比較して、大粒のスパッタ発生量が少なく、ビード形状が良好になるといった特長がある。また、MnやSiなどの合金剤や脱酸剤の調整によりスラグ生成量を少なくすることができ、さらに、溶接金属の低酸素化によって溶接金属の靱性向上にも有効であるので広く適用されている。
高電流域で使用されるメタル系フラックス入りワイヤは、これまで種々の開発が進められている。例えば、特許文献1には、ヒューム発生量及びスパッタ発生量の少ないガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤが開示されている。しかし、特許文献1に記載のメタル系フラックス入りワイヤは、溶接作業性は良好であるが、溶接金属の機械的性能が不十分であった。
また、特許文献2には、小パス大入熱の片面溶接において、溶接作業性及び機械的性質が良好なメタル系フラックス入りワイヤが開示されている。しかし、特許文献2に記載のメタル系フラックス入りワイヤは、酸化物の含有量が少なすぎるので良好な溶接作業性を確保することができないという問題点がある。
さらに、特許文献3には、フラックスを低充填率とすることにより、ソリッドワイヤの高溶着性とフラックス入りワイヤのアーク安定性を両立させたメタル系フラックス入りワイヤが開示されている。しかし、特許文献3に記載のメタル系フラックス入りワイヤは、フラックスの充填率が低いので、フラックス入りワイヤの生産性が劣化するという問題点がある。また、特許文献3においてもフラックス中の酸化物が少なすぎるので、良好な溶接作業性を得ることができないという問題点があった。
特開平7−276078号公報 特開平11−151592号公報 特開2008−49357号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、鋼構造物などの炭酸ガスシールドアーク溶接にあたり、高電流の溶接条件においてアークが安定してスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性、ビード形状やビード外観が良好で、耐割れ性にも優れ、さらに、溶接金属の強度及び靭性が良好な炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した問題点を解決する目的から、高電流での炭酸ガスシールドアーク溶接において、強度及び靭性を確保でき、耐割れ性に優れ、かつ、アークが安定してスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性及びビード形状やビード外観が良好などの溶接作業性に優れた炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの組成成分を得るべく、様々な検討を行った。
その結果、フラックス中に含有させることで溶接作業性を向上させる反面、靭性を劣化させる原因でもあったSi酸化物の含有量を適正にすることで、アークを安定にし、スパッタ発生量を低減するのみでなく、靭性をも向上させるのに有効であることを見出した。
また、ワイヤ中のC、Si、Mn、Ti及びCuの含有量を適正にすることで、溶接金属の強度確保と靭性の向上を同時に達成し、かつ、Mg、Al酸化物、Na化合物及びK化合物の含有量を適正にすることで、溶接作業性をより向上できることを見出した。
さらに、Ni及びMoの含有量を適正にすることで、溶接金属の更なる靭性の改善及び高強度化が可能であることを見出した。
すなわち、本発明に係る炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの要旨は、鋼製外皮にフラックスを充填してなる炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、C:0.05〜0.10%、Si:0.7〜2.0%、Mn:1.3〜3.0%、Ti:0.01〜0.3%、Cu:0.05〜0.45%を含有し、Al:0.10%以下であり、さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中にSi酸化物のSiO2換算値の合計:0.21〜0.60%、Al酸化物のAl23換算値の合計:0.10〜0.35%、Mg:0.05〜0.20%、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計:0.03〜0.25%を含有し、残部が鋼製外皮のFe、鉄粉、鉄合金粉のFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする。
また本発明に係る炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの要旨は、更にワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、Ni及びMoの1種または2種の合計:0.1〜2.0%を更に含有することも特徴とする。
本発明を適用した炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤによれば、高電流の溶接条件においてアークが安定性してスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性、ビード形状やビード外観が良好で、耐割れ性にも優れ、さらに強度及び靭性が良好な溶接金属が得られるなど、溶接能率及び溶接部の品質向上を図ることが可能となる。
以下、本発明を適用した炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの成分組成と、その成分組成の限定理由について説明する。なお、各成分組成の含有量は、フラックス入りワイヤ全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときには単に%と記載して表すこととする。
[鋼製外皮とフラックスの合計でC:0.05〜0.10%]
Cは、溶接金属の強度向上の効果がある。しかし、Cが0.05%未満では、この効果が得られず、十分な溶接金属の強度が得られない。一方、Cが0.10%を超えると、Cが溶接金属中に過剰に歩留まることにより、溶接金属の強度が過剰に高くなって靱性が低下する。またCが0.10%を超えると、アークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.05〜0.10%とする。なお、Cは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属粉及び合金粉などから添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でSi:0.7〜2.0%]
Siは、溶接金属の強度及び靭性を向上させる効果があるとともに溶融金属の粘性を大きくしてビード形状を整える効果がある。しかし、Siが0.7%未満では、溶接金属の強度及び靭性が低下する。またSiが0.7%未満では、溶融金属の粘性が不足してビード形状が凸状になる。一方、Siが2.0%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなって靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.7〜2.0%とする。なお、Siは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Si、Fe−Si、Fe−Si−Mnなどの合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でMn:1.3〜3.0%]
Mnは、溶接金属に歩留まることにより、溶接金属の強度と靱性を高める効果がある。また、溶接金属中にMnSを生成して溶接金属の耐高温割れ性を高める効果がある。しかし、Mnが1.3%未満では、これらの効果が得られず、十分な溶接金属の強度及び靭性が得られない。またMnが1.3%未満では、耐高温割れ性も低下する。一方、Mnが3.0%を超えると、Mnが溶接金属中に過剰に歩留まり、溶接金属の強度が過剰に高くなって靱性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは、1.3〜3.0%とする。なおMnは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mnなどの合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でTi:0.01〜0.3%]
Tiは、脱酸剤として作用するとともに溶接金属中にTiの微細酸化物を生成し溶接金属の靭性を向上させる。Tiが0.01%未満であると、溶接金属の靭性が安定して得られない。一方、Tiが0.3%を超えると、溶接金属中の固溶Tiが過剰になることで、強度が過剰に高くなって靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でTiは0.01〜0.3%とする。なお、Tiは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ti、Fe−Tiなどの合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でCu:0.05〜0.45%]
Cuは、析出強化作用を有し、変態温度を低下させ溶接金属の組織を微細化して靭性を安定させる。しかし、Cuが0.05%未満であると、その効果が得られず、安定した溶接金属の靭性が得られない。一方、Cuが0.45%を超えると、析出脆化が生じて溶接金属の靭性が低下し、また高温割れが発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCuは0.05〜0.45%とする。なお、Cuは、鋼製外皮に含まれる成分及び鋼製外皮表面に施したCuめっき分の他、フラックスからの金属Cu、Fe−Si−Cuなどの合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でAl:0.10%以下]
Alは、酸化物として溶接金属に残留して溶接金属の靭性を低下させる。特にこのAlが0.10%を超えると、溶接金属の靭性が低下してしまう。従って、Alは0.10%以下とする。なお、Alは、必須の元素ではなく、含有率が0%とされていてもよい。
[フラックス中のSi酸化物のSiO2換算値の合計:0.21〜0.60%]
Si酸化物は、ビード止端部のなじみを良好にしてビード形状やビード外観を良好にするだけでなく、溶接金属に残留した酸化物が核生成を促して微細な組織を形成することで靭性を向上させる効果がある。しかし、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.21%未満であると、ビード止端部のなじみが不良になり、ビード形状や外観が不良となり、スラグ剥離性も不良となる。さらにSi酸化物のSiO2換算値の合計が0.21%未満であると、溶接金属の靭性が低下する。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.60%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が低下する。従って、フラックス中のSi酸化物のSiO2換算値の合計は0.21〜0.60%とする。なお、Si酸化物は、フラックスからの珪砂、珪酸ソーダ及び珪酸カリからなる水ガラスの固質成分などから添加できる。
[フラックス中のAl酸化物のAl23換算値の合計:0.10〜0.35%)]
Al酸化物は、アークを安定させるとともに、スパッタ発生量を少なくする効果がある。しかし、Al酸化物のAl23換算値の合計が0.10%未満であると、アークが不安定となりスパッタ発生量が多くなり、ビード形状や外観も不良となる。一方、Al酸化物のAl23換算値の合計が0.35%を超えると、アークが不安定となりビード形状や外観が不良となる。またAl酸化物のAl23換算値の合計が0.35%を超えると、溶接金属中にAl23が過剰に歩留り、靭性が低下する。従って、フラックス中のAl酸化物のAl23換算値の合計は0.10〜0.35%とする。なお、Al酸化物は、フラックスからのアルミナ、カリ長石などから添加できる。
[フラックス中のMg:0.05〜0.20%]
Mgは、アークの集中性を高めてビード形状やビード外観を良好にし、スパッタ発生量を少なくする効果がある。しかし、Mgが0.05%未満であると、アークが集中せずに不安定となり、ビード形状やビード外観が悪くなる。一方、Mgが0.20%を超えると、溶融池に溶接スラグが過剰に生成することでアークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。従って、フラックス中のMgは0.05〜0.20%とする。なお、Mgは、フラックスからの金属Mg、Al−Mgなどの合金粉末から添加できる。
[フラックス中のNa化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計:0.03〜0.25%]
Na化合物及びK化合物は、アークをソフトにして安定にする効果がある。しかし、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.03%未満であると、アークが不安定になりスパッタ発生量が多くなる。一方、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.25%を超えると、アークが強くなりスパッタ発生量が多くなる。また、ビード止端部のなじみが悪くなりビード形状やビード外観が不良となる。従って、フラックス中のNa化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計は0.03〜0.25%とする。なお、Na化合物及びK化合物は、フラックスからの珪酸ソーダ及び珪酸カリからなる水ガラスの固質成分、カリ長石、弗化ソーダ、珪弗化カリウムなどの粉末から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でNi及びMoの1種または2種の合計:0.1〜2.0%]
Ni及びMoは、溶接金属の靭性を良好にするとともに、溶接金属の焼入れ性を向上させて強度を上昇させる。しかし、Ni及びMoの1種または2種の合計が0.1%未満では、その効果が十分に得られず、溶接金属の強度及び靭性を向上させる効果が得られない。一方、Ni及びMoの1種または2種が2.0%を超えると、溶接金属の強度が過度に上昇して靭性が低下する。従って、フラックス中のNi及びMoの1種または2種の合計は0.1〜2.0%とする。なお、Niは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ni、Fe−Niなどの金属粉末から添加できる。また、Moは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mo、Fe−Moなどの合金粉から添加される。
本発明の炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤの残部は、鋼製外皮のFe、成分調整のために添加する鉄粉、Fe−Mn、Fe−Si合金等の鉄合金粉のFe分及び不可避不純物である。
また、本発明の炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤは、鋼製外皮をパイプ状に成形し、その内部にフラックスを充填した構造である。ワイヤの種類としては、成形した鋼製外皮の合わせ目を溶接して得られる鋼製外皮に継目の無いワイヤと、鋼製外皮の合わせ目の溶接を行わないままとした鋼製外皮に継目を有するワイヤとに大別できる。鋼製外皮に継目が無いワイヤは、ワイヤ中の全水素量を低減することを目的とした熱処理が可能であり、また製造後のフラックスの吸湿が無いため、溶接金属の拡散性水素量を低減し、耐低温割れ性の向上を図ることができるので好ましい。
フラックス充填率は特に規定しないが、生産性の観点から、ワイヤ全質量に対して8〜20%とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
まず、鋼製外皮にJIS G3141 SPCC帯鋼を使用し、該鋼製外皮をU字型にして成形した後、鋼製外皮の合わせ目を溶接した継目が無いワイヤを造管、伸線して表1に示すワイヤ径1.6mmの各種成分のメタル系フラックス入りワイヤを試作した。なお、フラックス充填率は10〜18%とした。
Figure 2018158367
これら試作ワイヤで、JIS G 3106 SM490Bに規定される鋼板を用い、溶接作業性の調査及び溶着金属試験を実施した。
溶接作業性の評価は、表2に示す溶接条件で下向すみ肉溶接を行い、アークの安定性、スパッタ発生量、スラグ剥離性及びビード形状やビード外観について調査した。
溶着金属試験は、JIS Z 3111に準じて溶接し、表2に示す溶接条件で溶接を実施し、溶着金属の板厚方向の中心部から引張試験(A0号)及び衝撃試験(Vノッチ試験片)を採取して、機械試験を実施した。引張試験の評価は、引張強さが500〜640MPaを良好とした。靭性の評価は、0℃でシャルピー衝撃試験を行い、各々繰返し3本の吸収エネルギーの平均が70J以上を良好とした。この際、初層溶接時に高温割れの有無を目視確認で調査した。これらの結果を表3にまとめて示す。
Figure 2018158367
Figure 2018158367
表1及び表3中ワイヤ記号A1〜A11が本発明例、ワイヤ記号B1〜B15は比較例である。本発明例であるワイヤ記号.A1〜A11は、C、Si、Mn、Ti、Cu、Alの各含有量、SiO2換算値の合計、Al23換算値の合計、Mg及びNa2O換算値とK2O換算値の合計が適正であるので、アークが安定してスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性及びビード形状やビード外観が良好であるなど溶接作業性が良好であるとともに、高温割れが発生せず、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーも良好であった。また、ワイヤ記号A3、A4及びA7〜A9は、Ni及びMoの1種または2種の合計を適量含んでいるので、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーの向上効果が得られるなど極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤ記号B1は、Cが多いので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B2は、Cが少ないので、溶着金属の引張強さが低値であった。また、Al23換算値の合計が多いので、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B3は、Siが多いので、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。また、Na2O換算値とK2O換算値の合計が多いので、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、ビード形状やビード外観が不良であった。
ワイヤ記号B4は、Siが少ないので、ビード形状やビード外観が不良で、溶着金属の引張強さが低く、吸収エネルギーが低値であった。また、Ni及びMoの1種または2種が少ないので、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーの向上効果は得られなかった。
ワイヤ記号B5は、Na2O換算値とK2O換算値の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、Ni及びMoの1種または2種の合計が多いので、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B6は、Mnが少ないので、クレータ割れが生じ、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーが低値であった。また、Ni及びMoの1種または2種が少ないので、溶着金属の引張強さ及び吸収エネルギーの向上効果は得られなかった。
ワイヤ記号B7は、Tiが多いので、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B8は、Mnが多いので、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。また、Al23換算値の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、ビード形状やビード外観が不良であった。
ワイヤ記号B9は、Tiが少ないので、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。また、Mgが少ないので、アークが不安定であった。
ワイヤ記号B10は、Alが多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B11は、Cuが多いので、クレータ割れが生じ、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B12は、Cuが少ないので、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B13は、SiO2換算値の合計が多いので、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B14は、Mgが多いので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。また、Ni及びMoの1種または2種が多いので、溶着金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低値であった。
ワイヤ記号B15は、SiO2換算値の合計が少ないので、スラグ剥離性が不良で、ビード形状やビード外観も不良であった。また、溶着金属の吸収エネルギーが低値であった。

Claims (2)

  1. 鋼製外皮にフラックスを充填してなる炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤにおいて、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
    C:0.05〜0.10%、
    Si:0.7〜2.0%、
    Mn:1.3〜3.0%、
    Ti:0.01〜0.3%、
    Cu:0.05〜0.45%を含有し、
    Al:0.10%以下であり、
    さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に
    Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.21〜0.60%、
    Al酸化物のAl23換算値の合計:0.10〜0.35%、
    Mg:0.05〜0.20%、
    Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計:0.03〜0.25%を含有し、
    残部が鋼製外皮のFe、鉄粉、鉄合金粉のFe分及び不可避不純物からなることを特徴とする炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、Ni及びMoの1種または2種の合計:0.1〜2.0%を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ。
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