JP2018157229A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた放熱性及び電磁波抑制効果を有する半導体装置を提供する。【解決手段】上記課題を解決するべく、本発明の半導体装置1は基板50上に形成された半導体素子30と、開口部21を有し、前記半導体素子30の少なくとも一部を覆うように設けられ、グラウンド60に接続された導電シールドカン20と、該導電シールドカン20の上部に設けられた冷却部材40と、少なくとも前記導電シールドカン20の開口部21を通して、前記半導体素子30と、前記冷却部材40との間に形成された電磁波吸収熱伝導シート10と、備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた放熱性及び電磁波抑制効果を有する半導体装置に関するものである。
近年、電子機器は、小型化の傾向をたどる一方、アプリケーションの多様性のために電力消費量をそれほど変化させることができないため、機器内における放熱対策がより一層重要視されている。
上述した電子機器における放熱対策として、銅やアルミ等といった熱伝導率の高い金属材料で作製された放熱板や、ヒートパイプ、ヒートシンク等が広く利用されている。これらの熱伝導性に優れた放熱部品は、放熱効果又は機器内の温度緩和を図るため、電子機器内における発熱部である半導体パッケージ等の電子部品に近接するようにして配置される。また、これらの熱伝導性に優れた放熱部品は、発熱部である電子部品から低温の場所に亘って配置される。
ただし、電子機器内における発熱部は、電流密度が高い半導体素子等の電子部品であり、電流密度が高いということは、不要輻射の成分となり得る電界強度又は磁界強度が大きいことが考えられる。このため、金属で作製された放熱部品を電子部品の近辺に配置すると、熱の吸収を行うとともに、電子部品内を流れる電気信号の高調波成分をも拾ってしまうという問題があった。具体的には、放熱部品が金属材料で作製されているため、それ自体が高調波成分のアンテナとして機能したり、高調波ノイズ成分の伝達経路として働いてしまうような場合である。
そのため、放熱性と電磁波抑制効果の両立が図られた技術の開発が望まれている。
例えば特許文献1には、フィン用穴を有するプリント基板に実装された電子部品を覆うシールドケースと、放熱フィンとを備え、前記フィン用穴から放熱フィンの一部をシールドケースの外側に露出させる、という技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、ある程度の放熱性を確保できるものの、シールドケースにフィン用穴が設けられていることによって、電磁波抑制効果を十分に得ることができず、放熱性と電磁波抑制効果の両立を図ることはできないと考えられる。
特開2011−155056号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、優れた放熱性及び電磁波抑制効果を有する半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく検討を重ね、グラウンドに接続された導電シールドカンを、半導体素子を覆うように設けることによって、優れた電磁波吸収性能を実現できることに着目した。ただし、シールドカンを設けただけでは十分な放熱性を得ることができないことから、さらに鋭意研究を重ねた結果、導電シールドカンに開口部を設けるとともに、少なくともその開口部を通るように電磁波吸収熱伝導シートを形成して、半導体素子と冷却部材とを繋ぐことによって、電磁波吸収性能を低下させることなく、放熱性についても向上させることができることを見出した。その結果、本発明の半導体装置は、従来にはない高いレベルで放熱性及び電磁波抑制効果を両立できる。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
(1)基板上に形成された半導体素子と、開口部を有し、前記半導体素子の少なくとも一部を覆うように設けられ、グラウンドに接続された導電シールドカンと、前記導電シールドカンの上部に設けられた冷却部材と、を備えた半導体装置において、少なくとも前記導電シールドカンの開口部を通して、前記半導体素子と前記冷却部材との間に形成された電磁波吸収熱伝導シートであって、
前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面及び/又は下面の一部を覆っており、該電磁波吸収熱伝導シートによる被覆面積が、前記導電シールドカンの開口部の面積よりも大きいことを特徴とする、電磁波吸収熱伝導シート。
上記構成によって、優れた放熱性及び電磁波抑制効果を実現できる。
(2)前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面の一部を覆っていることを特徴とする、上記(1)に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(3)前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面及び下面の一部を覆っていることを特徴とする、上記(1)に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(4)前記電磁波吸収熱伝導シートが、複数枚のシートから構成されることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(5)前記電磁波吸収熱伝導シートが、繊維状の熱伝導性充填剤を含むことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(6)前記繊維状の熱伝導性充填剤が、炭素繊維であることを特徴とする、上記(5)に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(7)前記電磁波吸収熱伝導シートが、磁性金属粉をさらに含むことを特徴とする、前記(5)又は(6)に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
(8)前記電磁波吸収熱伝導シートは、シート中心部の熱伝導率が、シート外周部の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
本発明によれば、優れた放熱性及び電磁波抑制効果を有する半導体装置を提供することが可能となる。
本発明の半導体装置の一実施形態について、断面の状態を模式的に示した図である。 本発明の半導体装置の他の実施形態について、断面の状態を模式的に示した図である。 本発明の半導体装置の他の実施形態について、断面の状態を模式的に示した図である。 本発明の半導体装置の一実施形態について、組立状態を模式的に示した斜視図である。 実施例における周波数特性の解析に用いた半導体装置のモデルを模式的に示した図であり、(a)は半導体装置のモデルの表面側から見た状態、(b)は半導体装置のモデルの裏面側から見た状態を示す。 実施例1から得られた、条件を変えた電磁波吸収熱伝導シートごとの、周波数に応じた電界強度を示すグラフである。 実施例2から得られた、条件を変えた電磁波吸収熱伝導シートごとの、周波数に応じた電界強度を示すグラフである。 実施例3から得られた、条件を変えた電磁波吸収熱伝導シートごとの、周波数に応じた電界強度を示すグラフである。 従来技術の半導体装置について、断面の状態を模式的に示した図である。 導電シールドカン及び電磁波吸収熱伝導シートの上面の状態を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を用いて具体的に説明する。
ここで、図1〜3は、本発明の半導体装置の3つの実施形態について、断面を模式的に示した図である。なお、各図面については、説明の便宜のため、各部材の形状やスケールが実際のものとは異なる状態で示されている。各部材の形状やスケールについては、本明細書の中で規定されていること以外は、半導体装置ごとに適宜変更することが可能である。
本発明の半導体装置1は、図1〜3に示すように、半導体素子30と、導電シールドカン20と、冷却部材40と、電磁波吸収熱伝導シート10と、を備える。
そして、本発明の半導体装置1では、前記導電シールドカン20が開口部21を有し、該開口部21を通して、前記電磁波吸収熱伝導シート10が、前記半導体素子30と、前記冷却部材40との間に形成されていることを特徴とする。
前記半導体素子30は、熱及び電磁波の発生源となるが、該半導体素子30を覆うように導電シールドカン20を設けることによって、電磁波遮蔽が可能となるため、優れた電磁波抑制効果が得られる。さらに、前記導電シールドカン20に開口部21を設け、少なくともその開口部21を通して、電磁波吸収性能を有し且つ熱伝導性の高いシート部材(電磁波吸収熱伝導シート10)を半導体素子30と冷却部材40との間に設けることによって、開口部21を設けた場合であっても電磁波抑制効果を有し、冷却部材40への熱伝導が大きく改善される結果、優れた放熱性についても実現できる。
なお、図9は、従来技術による電磁波吸収熱伝導シートを備えた半導体装置の一例を示したものである。従来の半導体装置100では、半導体素子30と冷却部材40との間に電磁波吸収熱伝導シート10を設けているため、優れた熱導伝導性、電磁波吸収効果が得られる。しかしながら、本発明の半導体装置1のシールドカン20のような電磁波遮蔽材を備えていないことから、電磁波抑制効果が十分なレベルに達しない場合がある。
次に、本発明の半導体装置を構成する各部材について説明する。
(半導体素子)
本発明の半導体装置1は、図1〜3に示すように、基板50上に形成された半導体素子30を備える。
ここで、前記半導体素子については、半導体による電子部品であれば特に限定されるものではない。例えば、ICやLSI等の集積回路、CPU、MPU、グラフィック演算素子、イメージセンサなどが挙げられる。
前記半導体素子30が形成される基板50についても、特に限定はされず、半導体装置の種類に応じて、適したものを使用することができる。前記基板50には、グラウンド(GND)60が設けられている。グラウンド60は、基板50の内層、あるいは裏面(図1〜3では基板の裏面)に形成される。
図1〜3では、説明の便宜のために、導電シールドカン20が前記基板50を貫通して前記グラウンド60に直接接続するように示されている。ただし、一般的な実用に際しては、図4に示すように、前記基板50の面上に、前記半導体素子30の周りを囲むように、全周あるいは部分的にランド51を設け、この部分に前記導電シールドカン20を半田等により接続する。前記ランド51は、前記基板50に形成されたスルーホール(図示せず)により前記グラウンド60と電気的に接続されており、これにより前記導電シールドカン20はグラウンド60と電気的に接合される。
(シールドカン)
本発明の半導体装置1は、図1〜3に示すように、開口部21を有し、前記半導体素子30の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記グラウンド60に接続された導電シールドカン20を備える。
前記グラウンド60に接続された導電シールドカン20によって、電磁波のシールドが可能となり、本発明の半導体装置1の電磁波抑制効果を向上できる。
ここで、前記シールドカン20を構成する材料としては、電磁波のシールド効果が高いものであれば特に限定はされない。例えば、アルミ、銅、ステンレス等の導電率の高い金属や、導電性の高い磁性体等を用いることができる。該導電性の高い磁性体材料としては、パーマロイ、センダスト、Fe系若しくはCo系のアモルファス材料、微結晶材料等が挙げられる。前記シールドカン20を構成する材料として、上述のような磁性体材料を用いた場合には、電気的シールド効果のほかに、磁気的シールド効果及び磁気的吸収効果についても期待できる。
前記シールドカンに設けられた開口部21は、前記シールドカンに設けられた貫通孔のことである。なお、前記開口部21は、内部に後述する電磁波吸収熱伝導シート10が充填され、半導体素子30と冷却部材と40との間を繋ぐため、図1〜3に示すように、前記半導体素子30と前記冷却部材40とを結ぶ方向(図1〜3では各部材の積層方向)に形成される。
前記、前記開口部21の大きさについては、特に限定はされず、半導体素子30の大きさ等に応じて適宜変更することができる。前記開口部21は、開口面積が小さい方が、電磁波の放出を少なくでき、放射電磁界を小さくすることが可能である。ただし、半導体素子30からの熱を逃がすという観点からは、前記開口部21を大きくして大きな電磁波吸収熱伝導シート10を用いることが好ましい。そのため、開口部21の大きさは、本発明の半導体装置1に要求される熱伝導性や電磁ノイズ抑制効果に応じて適宜変更することになる。
(冷却部材)
本発明の半導体装置1は、図1〜3に示すように、前記導電シールドカン20の上部に冷却部材40を備える。
ここで、前記冷却部材40は、前記熱源(半導体素子30)から発生する熱を吸収し、外部に放散させるための部材である。後述する電磁波吸収熱伝導シート10を介して、前記半導体素子30と接続されることによって、半導体素子30が発生した熱を外部に拡散させ、半導体装置の放熱性を確保できる。
前記冷却部材40の種類については、特に限定はされず、本発明の半導体装置1の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、放熱器、冷却器、ヒートシンク、ヒートスプレッダ、ダイパッド、冷却ファン、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。これらの放熱部材の中でも、より優れた放熱性が得られる点からは、放熱器、冷却器又はヒートシンクを用いることが好ましい。
なお、前記冷却部材40は、図1〜3に示すように、前記導電シールドカン20の上部に設けられるが、前記導電シールドカンとは接しておらず、一定の距離を開けて設けられることが好ましい。後述する電磁波吸収熱伝導シート10が、前記導電シールドカン20の上面20aと、前記冷却部材40との間に充填されることがあるためである。
(電磁波吸収熱伝導シート)
本発明の半導体装置1は、図1〜3に示すように、少なくとも前記導電シールドカン20の開口部21を通して、前記半導体素子30と、前記冷却部材40との間に形成された電磁波吸収熱伝導シート10を備える。
電磁波吸収性能を有し且つ熱伝導性の高い電磁波吸収熱伝導シート10が、半導体素子30と冷却部材40との間に設けられることで、電磁波抑制効果を低下させることなく、放熱性についても向上させることが可能となる。
前記電磁波吸収熱伝導シート10のサイズについては、特に限定はされないが、図1〜3に示すように、前記シールドカン20の開口部21内に充填されるため、少なくとも開口部の面積と同等以上の被覆面積を有する必要がある。ここで、図10は、電磁波吸収熱伝導シート及び導電シールドカンを上から見た状態を示す図であるが、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積とは、図10に示すように、前記電磁波吸収熱伝導シート10によって覆われた前記シールドカン20(開口部21も含む)の面積(図10の斜線部の面積S)のことであり、前記導電シールドカンの上面20a及び下面20bのいずれも覆っている場合には、合計面積ではなく、それぞれの面での被覆面積のことを意味する。
ここで、前記電磁波吸収熱伝導シート10は、図2又は図3に示すように、前記導電シールドカン20の上面20a及び/又は下面20bの一部を覆っている(言い換えれば、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積が、前記導電シールドカン20の開口部21の面積よりも大きい)ことが好ましい。より優れた放熱性及び電磁波抑制効果が得られるためである。
なお、図1〜3に示すように、前記導電シールドカン20の上面20aとは、前記導電シールドカン20の冷却部材40側の面のことを示し、前記導電シールドカン20の下面20bとは、前記導電シールドカン20の半導体素子30側の面のことを示す。
また、さらに優れた放熱性及び電磁波抑制効果が得られる点からは、前記電磁波吸収熱伝導シート10が、図3に示すように、前記導電シールドカン20の上面20aの一部を覆っていること(つまり、前記導電シールドカン20の冷却部材40側における前記電磁波吸収熱伝導シートの被覆面積が、前記導電シールドカン20の開口部21の面積よりも大きいこと)が好ましい。
そして、特に優れた電磁波抑制効果が得られる点からは、前記電磁波吸収熱伝導シート10が、図2に示すように、前記導電シールドカン20の上面20a及び下面20bの一部を覆っていること(つまり、前記導電シールドカン20の冷却部材40側及び半導体素子30側における前記電磁波吸収熱伝導シートの被覆面積が、いずれも前記導電シールドカン20の開口部21の面積よりも大きいこと)が好ましい。
さらに、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積については、より優れた放熱性及び電磁波抑制効果が得られる点から、前記導電シールドカン20の開口部21の面積に対して110%以上であることが好ましく、120%以上であることがより好ましく、140%以上であることがさらに好ましい。なお、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積の上限値については特に限定はないが、実質的には、シールドカン20の全体の面積が上限値になる。
なお、前記電磁波吸収熱伝導シート10は、一層のシートから構成しても良いし、複数枚のシートから構成することもできる。
例えば、図1に示すように、前記電磁波吸収熱伝導シート10が前記シールドカン20の上面20a又は下面20bを覆わない場合(つまり、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積が前記開口部21の面積と同一の場合)には、前記電磁波吸収熱伝導シート10を一層のシートにより構成することができる。ただし、シートの厚さを調整しやすい等の観点から、複数のシートから構成することもできる。
また、図2及び3に示すように、前記電磁波吸収熱伝導シート10が前記シールドカン20の上面20aや下面20bの一部を覆う場合(つまり、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積が前記シールドカン20の開口部21の面積よりも大きい場合)には、前記電磁波吸収熱伝導シート10を一層のシートにより構成してもよいし、複数のシートにより構成することもできる。前記電磁波吸収熱伝導シート10を一層のシートから構成する場合には、電磁波吸収熱伝導シート10と部材(図2及び3では、半導体素子30及び冷却部材40)とを圧着することによって、シートの一部が押し出され、前記シールドカン20の上面20aや下面20bの一部を覆うことができる。前記電磁波吸収熱伝導シート10を複数枚のシートから構成する場合には、大きさが異なるシートを組み合わせることによって、所望の形状の電磁波吸収熱伝導シート10を得ることができる。
ただし、図2及び3に示すように、前記電磁波吸収熱伝導シート10が前記シールドカン20の上面20aや下面20bの一部を覆う場合(つまり、前記電磁波吸収熱伝導シート10の被覆面積が前記シールドカン20の開口部21の面積よりも大きい場合)には、前記電磁波吸収熱伝導シート10を複数のシートから構成することが好ましい。圧着等の工程がないため、後述する繊維状の熱伝導性充填材を配向させた状態で前記電磁波吸収熱伝導シート10を形成することができる結果、より優れた放熱性及び電磁波抑制効果を得ることができる。
また、前記電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTについては、特に限定はされず、半導体素子30と冷却部材40との距離や、が前記シールドカン20のサイズ等に応じて適宜変更することができる。ただし、放熱性及び電磁波抑制効果をより高いレベルで実現できる点からは、前記電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTが50μm〜4mmであることが好ましく、100μm〜4mmであることがより好ましく、200μm〜3mmであることが特に好ましい。前記電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTが4mmを超えると、前記半導体素子30と前記冷却部材40との距離が長くなるため、伝熱特性が低下するおそれがあり、一方、前記電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTが50μm未満の場合には、電磁波抑制効果が小さくなるおそれがある。
ここで、前記電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTは、図1〜3に示すように、前記電磁波吸収熱伝導シート10の最も厚さが大きな部分の厚さTのことを意味し、一層のシートから形成されるか、複数のシートから形成されるかには関わらない。
また、前記電磁波吸収熱伝導シート10は、表面にタック性を有することが好ましい。電磁波吸収熱伝導シート10と他の部材との接着性を向上できるからである。さらに、前記電磁波吸収熱伝導シート10が複数のシートから構成される場合には、シート同士の接着性についても向上できる。
なお、前記電磁波吸収熱伝導シート10の表面にタック性を付与する方法については特に限定はされない。例えば、後述する電磁波吸収熱伝導シート10を構成するバインダ樹脂の適正化を図ってタック性を持たせることもできるし、該電磁波吸収熱伝導シート10の表面にタック性のある接着層を別途設けることもできる。
さらに、前記電磁波吸収熱伝導シート10は、シート中心部の熱伝導率が、シート外周部の熱伝導率に比べて大きくなることで、半導体素子30と接する部分について熱伝導性を高めることができる。一方、前記半導体素子30と接する面積が小さいシート外周部については、熱伝導性よりも電磁波吸収性能を優先させることができる。その結果、本発明の半導体装置1は、より優れた放熱性及び電磁波抑制効果を実現できる。
ここで、前記電磁波吸収熱伝導シート10のシート中心部とは、電磁波吸収熱伝導シート10が前記半導体素子30と接する部分であり、その中でも特に、発熱量の多い部分(一般的にホットスポットといわれる部分)に相当する部分のことをいう。また、シート外周部とは、前記中心部以外の部分のことをいう。
なお、前記電磁波吸収熱伝導シート10の熱伝導率を変更させる方法としては特に限定はされないが、後述するように、シート中心部とシート外周部とで、繊維状の熱伝導性充填材の材料、配合量及び配向方向等を変えることによって、熱伝導率を変更することが可能である。
また、前記電磁波吸収熱伝導シート10を構成する材料については、優れた電磁波吸収性能及び熱伝導性を有するものであれば特に限定はされない。
例えば、高いレベルで、電磁波吸収性能及び熱伝導性を実現できる点からは、前記電磁波吸収熱伝導シートとして、バインダ樹脂と、熱伝導性充填剤とを含む、電磁波吸収熱伝導シートを用いることができる。
以下、電磁波吸収熱伝導シート10を構成する材料について記載する。
・バインダ樹脂
前記電磁波吸収熱伝導シートを構成するバインダ樹脂とは、熱伝導シートの基材となる樹脂成分のことである。その種類については、特に限定されず、公知のバインダ樹脂を適宜選択することができる。例えば、バインダ樹脂の一つとして、熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、架橋性ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記架橋性ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上述した熱硬化性樹脂の中でも、成形加工性及び耐候性に優れるとともに、電子部品に対する密着性及び追従性の点から、シリコーンを用いることが好ましい。シリコーンとしては、特に制限はなく、目的に応じてシリコーンの種類を適宜選択することができる。
上述した成形加工性、耐候性、密着性等を得る観点からは、前記シリコーンとして、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とから構成されるシリコーンであることが好ましい。そのようなシリコーンとしては、例えば、付加反応型液状シリコーン、過酸化物を加硫に用いる熱加硫型ミラブルタイプのシリコーン等が挙げられる。
前記付加反応型液状シリコーンとしては、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを主剤、Si−H基を有するポリオルガノシロキサンを硬化剤とした、2液性の付加反応型シリコーン等を用いることが好ましい。
なお、前記液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤との組合せにおいて、前記主剤と前記硬化剤との配合割合としては、質量比で、主剤:硬化剤=35:65〜65:35であることが好ましい。
また、前記電磁波吸収熱伝導シートにおける前記バインダ樹脂の含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シートの成形加工性や、シートの密着性等を確保する観点からは、前記電磁波吸収熱伝導シートの20体積%〜50体積%程度であることが好ましく、30体積%〜40体積%であることがより好ましい。
・熱伝導性充填剤
前記電磁波吸収熱伝導シートは、前記バインダ樹脂内に熱伝導性充填剤を含む。該熱伝導性充填剤は、シートの熱伝導性を向上させるための成分である。
ここで、熱伝導性充填剤の種類については、特に限定はされないが、より高い熱伝導性を実現できる点からは、繊維状の熱伝導性充填剤を用いることが好ましい。
なお、前記繊維状の熱伝導性充填剤の「繊維状」とは、アスペクト比の高い(およそ6以上)の形状のことをいう。そのため、本発明では、繊維状や棒状等の熱導電性充填剤だけでなく、アスペクト比の高い粒状の充填材や、フレーク状の熱導電性充填剤等も繊維状の熱導電性充填剤に含まれる。
ここで、前記繊維状の熱伝導性充填剤の種類については、繊維状で且つ熱伝導性の高い材料であれば特に限定はされず、例えば、銀、銅、アルミニウム等の金属、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、グラファイト等のセラミックス、炭素繊維等が挙げられる。
これらの繊維状の熱伝導性充填剤の中でも、より高い熱伝導性を得られる点からは、炭素繊維を用いることがより好ましい。
なお、前記熱伝導性充填剤については、一種単独でもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、二種以上の熱伝導性充填剤を用いる場合には、いずれも繊維状の熱伝導性充填剤であってもよいし、繊維状の熱伝導性充填剤と別の形状の熱伝導性充填剤とを混合して用いてもよい。
前記炭素繊維の種類について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ピッチ系、PAN系、PBO繊維を黒鉛化したもの、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成されたものを用いることができる。これらの中でも、高い熱伝導性が得られる点から、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、ピッチ系炭素繊維がより好ましい。
また、前記炭素繊維は、必要に応じて、その一部又は全部を表面処理して用いることができる。前記表面処理としては、例えば、酸化処理、窒化処理、ニトロ化、スルホン化、あるいはこれらの処理によって表面に導入された官能基若しくは炭素繊維の表面に、金属、金属化合物、有機化合物等を付着あるいは結合させる処理等が挙げられる。前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
さらに、前記繊維状の熱伝導性充填剤の平均繊維長(平均長軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、50μm〜300μmの範囲であることが好ましく、75μm〜275μmの範囲であることがより好ましく、90μm〜250μmの範囲であることが特に好ましい。
さらにまた、前記繊維状の熱伝導性充填剤の平均繊維径(平均短軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、4μm〜20μmの範囲であることが好ましく、5μm〜14μmの範囲であることがより好ましい。
前記繊維状の熱伝導性充填剤のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)については、確実に高い熱伝導性を得る点から、6以上であるものが用いられ、7〜30であることが好ましい。前記アスペクト比が小さい場合でも熱伝導率等の改善効果はみられるが、配向性が低下するなどにより大きな特性改善効果が得られないため、アスペクト比は6以上とする。一方、30を超えると、電磁波吸収熱伝導シート中での分散性が低下するため、十分な熱伝導率を得られないおそれがある。
ここで、前記繊維状の熱伝導性充填剤の平均長軸長さ、及び平均短軸長さは、例えばマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)等によって測定し、複数のサンプルから平均を算出することができる。
また、前記電磁波吸収熱伝導シートにおける前記繊維状の熱伝導性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4体積%〜40体積%であることが好ましく、5体積%〜30体積%であることがより好ましく、6体積%〜20体積%であることが特に好ましい。前記含有量が4体積%未満であると、十分に低い熱抵抗を得ることが困難になるおそれがあり、40体積%を超えると、前記熱伝導シートの成型性及び前記繊維状の熱伝導性充填剤の配向性に影響を与えてしまうおそれがある。
さらに、前記電磁波吸収熱伝導シートでは、前記熱伝導性充填剤が一方向又は複数の方向に配向していることが好ましい。前記熱伝導性充填剤を配向させることによって、より高い熱伝導性や電磁波吸収性を実現できるためである。
例えば、前記電磁波吸収熱伝導シートによる熱伝導性を高め、本発明の半導体装置の放熱性を向上させたい場合には、前記熱伝導性充填剤をシート面に対して略垂直状に配向させることができる。一方、前記電磁波吸収熱伝導シートによる電磁波シールド性能を高め、本発明の半導体装置の電磁波抑制効果を向上させたい場合には、前記熱伝導性充填剤をシート面に対して略平行状に配向させることができる。
ここで、前記シート面に対して略垂直状や、略平行の方向は、前記シート面方向に対してほぼ垂直な方向やほぼ平行な方向を意味する。ただし、前記熱伝導性充填剤の配向方向は、製造時に多少のばらつきはあるため、本発明では、上述したシート面の方向に対して垂直な方向や平行な方向から±20°程度のズレは許容される。
なお、前記熱伝導性充填剤の配向角度を整える方法については、特に限定はされない。例えば、前記電磁波吸収熱伝導シートの元になるシート用成形体を作製し、繊維状の熱伝導性充填剤を配向させた状態で、切り出し角度を調整することによって、配向角度の調整が可能となる。
・無機物フィラー
また、前記電磁波吸収熱伝導シートは、上述したバインダ樹脂及び熱伝導性繊維に加えて、無機物フィラーをさらに含むことができる。電磁波吸収熱伝導シートの熱伝導性をより高め、シートの強度を向上できるからである。
前記無機物フィラーとしては、形状、材質、平均粒径等については特に制限がされず、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、球状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、針状等が挙げられる。これらの中でも、球状、楕円形状が充填性の点から好ましく、球状が特に好ましい。
前記無機物フィラーの材料としては、例えば、窒化アルミニウム(窒化アルミ:AlN)、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素(シリコン)、酸化珪素、酸化アルミニウム、金属粒子等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカが好ましく、熱伝導率の点から、アルミナ、窒化アルミニウムが特に好ましい。
また、前記無機物フィラーは、表面処理が施されたものを用いることもできる。前記表面処理としてカップリング剤で前記無機物フィラーを処理すると、前記無機物フィラーの分散性が向上し、電磁波吸収熱伝導シートの柔軟性が向上する。
前記無機物フィラーの平均粒径については、無機物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記無機物フィラーがアルミナの場合、その平均粒径は、1μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましく、4μm〜5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が1μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがある。一方、前記平均粒径が10μmを超えると、前記熱伝導シートの熱抵抗が大きくなるおそれがある。
さらに、前記無機物フィラーが窒化アルミニウムの場合、その平均粒径は、0.3μm〜6.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.0μmであることがより好ましく、0.5μm〜1.5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が、0.3μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがあり、6.0μmを超えると、前記熱伝導シートの熱抵抗が大きくなるおそれがある。
なお、前記無機物フィラーの平均粒径については、例えば、粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
・磁性金属粉
さらに、前記電磁波吸収熱伝導シートは、上述したバインダ樹脂、繊維状の熱伝導性繊維及び無機物フィラーに加えて、磁性金属粉をさらに含むことが好ましい。該磁性金属粉を含むことで、電磁波吸収熱伝導シートの電磁波吸収性を向上させることができる。
前記磁性金属粉の種類については、電磁波吸収性有すること以外は、特に限定されず、公知の磁性金属粉を適宜選択することができる。例えば、アモルファス金属粉や、結晶質の金属粉末を用いることができる。アモルファス金属粉としては、例えば、Fe−Si−B−Cr系、Fe−Si−B系、Co−Si−B系、Co−Zr系、Co−Nb系、Co−Ta系のもの等が挙げられ、結晶質の金属粉としては、例えば、純鉄、Fe系、Co系、Ni系、Fe−Ni系、Fe−Co系、Fe−Al系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Ni−Si−Al系のもの等が挙げられる。さらに、前記結晶質の金属粉としては、結晶質の金属粉に、N(窒素)、C(炭素)、O(酸素)、B(ホウ素)等を微量加えて微細化させた微結晶質金属粉を用いてもよい。
なお、前記磁性金属粉については、材料が異なるものや、平均粒径が異なるものを二種以上混合したものを用いてもよい。
また、前記磁性金属粉については、球状、扁平状等の形状を調整することが好ましい。例えば、充填性を高くする場合には、粒径が数μm〜数十μmであって、球状である磁性金属粉を用いることが好ましい。このような磁性金属粉末は、例えばアトマイズ法や、金属カルボニルを熱分解する方法により製造することができる。アトマイズ法とは、球状の粉末が作りやすい利点を有し、溶融金属をノズルから流出させ、流出させた溶融金属に空気、水、不活性ガス等のジェット流を吹き付けて液滴として凝固させて粉末を作る方法である。アトマイズ法によりアモルファス磁性金属粉末を製造する際には、溶融金属が結晶化しないようにするために、冷却速度を1×106(K/s)程度にすることが好ましい。
上述したアトマイズ法により、アモルファス合金粉を製造した場合には、アモルファス合金粉の表面を滑らかな状態とすることができる。このように表面凹凸が少なく、比表面積が小さいアモルファス合金粉を磁性金属粉として用いると、バインダ樹脂に対して充填性を高めることができる。さらに、カップリング処理を行うことで充填性をより向上できる。
なお、前記電磁波吸収熱伝導シートは、上述した、バインダ樹脂、繊維状の熱伝導性充填剤、無機物フィラー及び磁性金属粉に加えて、目的に応じてその他の成分を適宜含むことも可能である。
その他の成分としては、例えば、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、微粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、3次元電磁界シミュレータANSYS HFSS(アンシス社製)を用いて、図5(a)及び(b)に示すような半導体装置の解析モデルを作製し、電磁波抑制効果の評価を行った。
ここで、半導体装置のモデルに用いた電磁波吸収熱伝導シート10は、樹脂バインダとして2液性の付加反応型液状シリコーンを用い、磁性金属粉として平均粒径5μmのFe-Si-B-Crアモルファス磁性粒子を用い、繊維状熱伝導性充填剤として平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維(「熱伝導性繊維」 日本グラファイトファイバー株式会社製)を用い、2液性の付加反応型液状シリコーン:アモルファス磁性粒子:ピッチ系炭素繊維=35vol%:53vol%:12vol%の体積比となるように分散させて、シリコーン組成物(シート用組成物)を調製したものを用いた。得られた電磁波吸収熱伝導シートは、垂直方向の平均熱伝導率(界面の熱抵抗と内部の熱抵抗を合わせて算出している)が、ASTM D5470に準拠した測定で9.2 W/m.Kを示し、該シートの磁気特性及び誘電特性については、Sパラメータ法で測定した値を用いた。なお、電磁波吸収熱伝導シート10の厚さTは、0.7mmとした。
また、半導体装置のモデルに用いたヒートシンク40は、アルミ板を材料として用い、大きさは60×120mmで、厚さは、0.3mmとした。
さらに、シールドカン20は、肉厚0.2mmのステンレスであり、外径寸法は、20mm×20mm×1.2mmとして中央に開口部21を設けた。開口部21の大きさは、□10mm:10mm×10mmとした。
図5(a)及び(b)は、半導体装置の解析モデルを示したものであり、それぞれ上面部側(表面側)から、下面部側(裏面側)から見た状態を示したものである。なお、図5(a)及び(b)では、半導体装置を構成する各部材の位置関係がわかるように、透過させて描いている。なお、前記解析モデルの断面構造は、図1〜3と同様であり、半導体素子30は、図5(a)及び(b)に示すように、マイクロストリップライン(MSL)31を樹脂モールドで覆ったものとし、該MSL31については、誘電体基板50(基板サイズ:60 mm×120 mm×0.65 mm)表面側に銅の信号線(信号線サイズ:1mm×14 mm×0.02 mm)、裏面側にグラウンド60を配したものとした。半導体素子30の信号源は、このMSL31で簡略化し両端を信号の入出力端に設定している。なお、上述の半導体素子30の本体(樹脂でモールドした部分)は、比誘電率4、誘電正接0.01の誘電体とした。なお、半導体素子30の本体の大きさは16mm×16mm×0.7mmとした。
そして、電磁波抑制効果の評価については、半導体装置から3m離れた位置における最大電界強度を算出し、周波数に応じた電界強度(dBμV/m)として表記した。得られた電界強度算出結果を図6に示す。
図6では、図1に示すような構成の半導体装置となるように、開口部21と同じ10mm×10mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□10mmとして示している。また、図1に示すような構成の半導体装置であり、10mm×10mmの被覆面積を有するが、電磁ノイズ抑制熱伝導シートの代わりに、電磁波吸収効果が低い熱伝導シート(比誘電率6、誘電正接0.01)を用いたものを、□10mm(熱伝導シート)として示している。
さらに、図2に示すような構成の半導体装置となるように、開口部21よりも大きな12mm×12mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□12mmとして示し、14mm×14mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□14mmとして示している。
図6の結果から、本発明の範囲に含まれる□10mm、□12mm及び□14mmの解析モデルでは、□10mm(熱伝導シート)の解析モデルに比べて、良好な電磁波抑制効果(電界強度低減)が確認された。特に、図2に示すような、電磁波吸収熱伝導シート10が導電シールドカン20の上面20a及びは下面20bの一部を覆う構成(□12mm及び□14mmの解析モデル)については、さらに優れた電磁波抑制効果を確認できた。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様の条件で、前記3次元電磁界シミュレータを用いて、図5(a)及び(b)に示すような半導体装置の解析モデルを作製し、電磁波抑制効果の評価を行った。
そして、電磁波抑制効果の評価は、実施例1と同様に、周波数に応じた電界強度(dBμV/m)を算出した。算出結果を図7に示す。
図7では、図2に示すような構成の半導体装置となるように、開口部21よりも大きな14mm×14mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□14mmの解析モデルとして示した。
また、図3に示すような構成の半導体装置となるように、2枚のシート(14mm×14mmの被覆面積を有するシート(導電シールドカン20の上面20aを覆うシート)+10mm×10mmの被覆面積を有するシート1枚(開口部内に充填されるシート))を組み合わせて構成した電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□10mm+□14mmの解析モデルとして示している。
図7の結果から、□10mm+□14mm及び□14mmの解析モデルについては、いずれも優れた電磁波抑制効果が確認された。そのため、1枚のシートから電磁波吸収熱伝導シート10を構成した場合も、複数枚のシートから電磁波吸収熱伝導シート10を構成した場合も、同様に優れた電磁波抑制効果が得られることがわかる。
(実施例3)
実施例3では、実施例1と同様の条件で、前記3次元電磁界シミュレータを用いて、図5(a)及び(b)に示すような半導体装置の解析モデルを作製し、電磁波抑制効果の評価を行った。ただし、導電シールドカン20の開口部21の大きさについては、□10mm:10mm×10mm及び□14mm:14mm×14mmの二種類を準備した。
そして、電磁波抑制効果の評価は、周波数に応じた電界強度(dBμV/m)を算出した。算出結果を図8に示す。
図8では、図1に示すような構成の半導体装置となるように、開口部21と同じ10mm×10mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□10mmの解析モデルとして示し、開口部21と同じ14mm×14mmの被覆面積を有する電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□14mmの解析モデルとして示した。
また、図3に示すような構成の半導体装置となるように、2枚のシート(14mm×14mmの被覆面積を有するシート(導電シールドカン20の上面20aを覆うシート)+10mm×10mmの被覆面積を有するシート1枚(□10mmの開口部内に充填されるシート))を組み合わせて構成した電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□10mm+□14mmの解析モデルとして示し、2枚のシート(18mm×18mmの被覆面積を有するシート(導電シールドカン20の上面20aを覆うシート)+14mm×14mmの被覆面積を有するシート1枚(□14mmの開口部内に充填されるシート))を組み合わせて構成した電磁波吸収熱伝導シート10を用いたものを、□14mm+□18mmの解析モデルとして示している。
図8の結果から、導電シールドカン20の開口部21の大さが□10mmの場合と□14mmの場合とでは、電磁波抑制効果について大きな差は見られなかった。一方、図3に示す半導体装置の解析モデルであって、□10mm+□14mm及び□14mm+□18mmの解析モデルが、□10mm及び□14mmのものよりも優れた電磁波抑制効果を示すことから、少なくとも導電シールドカン20の上面20aの一部を覆うように電磁波吸収熱伝導シート10を設けることが重要であると考えられる。
本発明によれば、優れた放熱性及び電磁波抑制効果を有する半導体装置を提供することが可能となる。
1 半導体装置
10 電磁波吸収熱伝導シート
20 導電シールドカン
20a 導電シールドカンの上面
20b 導電シールドカンの上面
21 開口部
30 半導体素子
31 MSL
40 冷却部材
50 基板
51 ランド
60 グラウンド
100 従来の半導体装置
S 電磁波吸収熱伝導シートの被覆面積
T 電磁波吸収熱伝導シートの厚さ

Claims (8)

  1. 基板上に形成された半導体素子と、開口部を有し、前記半導体素子の少なくとも一部を覆うように設けられ、グラウンドに接続された導電シールドカンと、前記導電シールドカンの上部に設けられた冷却部材と、を備えた半導体装置において、少なくとも前記導電シールドカンの開口部を通して、前記半導体素子と前記冷却部材との間に形成された電磁波吸収熱伝導シートであって、
    前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面及び/又は下面の一部を覆っており、該電磁波吸収熱伝導シートによる被覆面積が、前記導電シールドカンの開口部の面積よりも大きいことを特徴とする、電磁波吸収熱伝導シート。
  2. 前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面の一部を覆っていることを特徴とする、請求項1に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  3. 前記電磁波吸収熱伝導シートが、前記導電シールドカンの上面及び下面の一部を覆っていることを特徴とする、請求項1に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  4. 前記電磁波吸収熱伝導シートが、複数枚のシートから構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  5. 前記電磁波吸収熱伝導シートが、繊維状の熱伝導性充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  6. 前記繊維状の熱伝導性充填剤が、炭素繊維であることを特徴とする、請求項5に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  7. 前記電磁波吸収熱伝導シートが、磁性金属粉をさらに含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
  8. 前記電磁波吸収熱伝導シートは、シート中心部の熱伝導率が、シート外周部の熱伝導率に比べて大きいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波吸収熱伝導シート。
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