JP2018155549A - 耐久性推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋根下地として木質の下地材を使用する場合にその下地材の耐久性の推定精度を向上させる方法を提供することを主たる目的とする。【解決手段】ステップS1では、複数の温度条件と複数の加熱時間条件とを設定しておき、各温度条件において複数の加熱時間で加熱された前記下地材の試験体をそれぞれ取得し、それら試験体の強度を測定する。ステップS2では、ステップS1における測定結果から経過時間と強度との関係を温度条件毎に特定する。ステップS3では、実際の建物の屋根部から取り出された下地材の強度を測定する。ステップS4では、ステップS3における測定結果から経過時間と強度との関係を特定する。ステップS6では、ステップS4にて特定された関係に基づいて、ステップS2にて特定された関係の中から建物の屋根下地として使用される木質の下地材の耐久性の推定に用いる関係を選定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、建物の屋根下地として使用される木質の下地材の耐久性推定方法に関する。
住宅等の建物には、木製の板材からなる屋根下地の上に瓦材等の屋根パネル(屋根葺材)が配設されることで屋根部が形成されているものがある。屋根下地についてはJIS規格等によって試験方法等が規定されており、必要強度にある程度の目安が設けられている。近年では、更なる品質(例えば耐久性)の向上等を図るべく上記試験方法以外の試験方法、例えば屋根部が曝される環境に配慮して酸性の水溶液を用いた試験を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3881357号公報
ここで、建物内部においては木製の板材に代えてパーティクルボード等の木質のボード材(木質下地材)が使用される機会が増えている。木質のボード材については、木製の板材と比べて安価であり、反り等の変形が生じにくい等の利点がある。この種の部材を屋根下地として適用すれば、建物の性能向上やコスト削減等が期待できる。但し、屋根部については建物内部と比べて外部からの熱の影響を受けやすく、その屋根部にこの種の部材を適用した場合にどの程度の影響が生じるかについては不明である。
木質系ボード材が屋根下地として活用され始めたのは近年であり且つ建物の長寿命化が進んでいる現状では、過去の実績から経年劣化に配慮して耐久性を精度よく推定することは困難である。そして、上記試験方法等は熱による長期の経年劣化に配慮したものではないため、それらの試験方法を活用したとしても耐久性を精度よく推定することは困難なのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋根下地として木質の下地材を使用する場合にその下地材の耐久性の推定精度を向上させる方法を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.建物(建物10)の屋根下地として使用される木質の下地材(下地材15)について所定年数での耐久性を推定する耐久性推定方法であって、
加熱試験装置における複数の温度条件と複数の加熱時間条件とを設定しておき、各温度条件において前記複数の加熱時間条件で加熱された前記下地材の試験体をそれぞれ取得する第1工程(ステップS1における試験体の取得)と、
前記第1工程にて取得した各試験体について強度を測定する第2工程(ステップS1における強度の測定)と、
前記第2工程における測定結果から加熱時間と強度との関係を前記温度条件毎に特定する第3工程(ステップS2)と、
施工からの経過年数が前記所定年数よりも前の時点において実際の建物の屋根部(屋根部13)から前記下地材(下地材15)を取り出し、その下地材の強度を測定する第4工程(ステップS3)と、
前記第4工程における測定結果に基づいて、前記第3工程にて特定された前記温度条件毎の前記関係のうち前記所定年数での耐久性推定に用いる関係を選定する第5工程(ステップS4〜S6)と
を有していることを特徴とする耐久性推定方法。
手段1によれば、加熱試験装置において試験体を過酷な条件下に配して意図的に劣化させ、その上で実際の環境とのマッチングがよい試験条件(温度条件)を選定することができるため、強度の予測精度を好適に向上させることができる。具体的には、仮に施工後に耐久性の評価を行う年数を経過した下地材の現物が存在しない場合であっても、将来的な強度変化を好適に予測し得るため、下地材の耐久性を精度よく推定できる。故に、例えば屋根部(下地材)のメンテナンスを行うべき時期等を好適に把握することが可能となる。
手段2.前記第5工程は、
前記屋根部から取り出された下地材について経過年数と強度との関係を特定する工程と、
前記下地材について特定された経過年数と強度との関係から、実際の経過年数よりも長い特定の年数が経過した場合の強度を推定する工程と、
前記特定の年数が経過した場合の推定強度に基づいて前記選定を行う工程と
を有していることを特徴とする手段1に記載の耐久性推定方法。
手段1に示したように試験体を加熱して劣化を促進させる場合には、初期と比べてある程度の時間が経過した後の方が強度の変化率(下がり幅)は小さくなる。つまり、試験開始直後は変化率が大きいため試験結果のばらつきも大きくなりやすく、僅かな加熱時間の差であっても強度が大きく変わる。そこで、本手段に示すように、実際の建物から得られたデータをそのまま用いるのではなく、それらデータを用いて実際の経過年数(築年数)よりも長い特定の年数(例えば上記所定年数)を経過した場合の強度を推定し、その推定強度を踏まえて温度条件毎の上記関係から耐久性の推定に用いる関係を選定することにより、当該選定における確からしさを高めることができる。これにより、上記耐久性の推定精度の向上に寄与できる。
手段3.前記第5工程においては、前記温度条件毎の前記関係の各々について前記試験体の強度が前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度となる際の強度の変化率を特定し、前記選定を行う場合に前記変化率が小さいものを優先的に選ぶようにして前記選定を行うことを特徴とする手段1又は手段2に記載の耐久性推定方法。
試験結果に基づいて特定された経過時間と強度変化との関係については必ずしも変化率が一定とはならない。変化率の大きい部分を利用して上記推定を行う場合には、誤差も大きくなり得る。そこで、本手段に示すように、上記選定を行う場合には、変化率の小さい関係を優先して選ぶ構成とすれば、上記誤差の影響を抑え、耐久性の推定精度を好適に向上させることができる。
なお、手段2との組み合わせにおいては「前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度」を「前記特定の年数が経過した場合の強度に対応する強度」としてもよい。
手段4.前記第5工程においては、前記温度条件毎の前記関係の各々について前記試験体の強度が前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度となるまでの所要時間を特定し、前記選定を行う場合に前記所要時間が短いものを優先的に選ぶようにして前記選定を行うことを特徴とする手段1又は手段2に記載の耐久性推定方法。
試験時間(経過時間)と強度との関係を特定する上では、サンプル数が多い方が当該関係の確からしさが高くなる。しかしながら、試験条件が多岐にわたる場合には、サンプル数を稼ぐことが困難になると想定される。そこで、本手段に示すように所要時間が短いものを優先して選ぶ構成とすれば、例えば選定された関係に基づいて再試験等を行う場合の試験期間を短くすることができる。これにより、耐久性の推定精度の向上を図りつつそれに起因して試験等の作業負担が無駄に増加することを抑制できる。
なお、手段2との組み合わせにおいては「前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度」を「前記特定の年数が経過した場合の強度に対応する強度」としてもよい。
手段5.前記複数の温度条件と前記複数の加熱時間条件とは建物の経過年数に対応付けられて定められており、
その対応付けられた経過年数には、前記第4工程にて実際の建物の屋根部から前記下地材を取り出す時点よりも後の時点が想定されていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つに記載の耐久性推定方法。
温度条件を現実の温度を超える温度となるように設定し経過年数よりも短い時間で実際の建物における下地材の劣化を模擬する場合には、実際の建物(屋根部)から下地材を取り出す時点よりも後の時点を想定して経過年数(加熱時間条件)を設定することにより上記選定を行う際の確からしさを高めることができる。これにより、上記耐久性の推定精度の向上が期待できる。
手段6.前記木質の下地材はパーティクルボードであることを特徴とする手段1乃至手段5のいずれか1つに記載の耐久性推定方法。
パーティクルボードが屋根下地として活用され始めたのは近年であり且つ建物の長寿命化が進んでいる現状では、過去の実績から経年劣化に配慮して耐久性を精度よく推定することは困難である。そこで、本手段に示す構成に上記手段1に示した推定方法を適用すれば、パーティクルボードを使用した場合の耐久性を推定する上で熱による長期の経年劣化に好適に配慮することができ、耐久性の推定精度を好適に向上させることができる。
一実施の形態における耐久性推定の流れを示すブロック図。 建物を示す概略図。 経過時間と強度との関係を示す概略図。 経過時間と強度との関係を示す概略図。 経過時間と強度との関係を示す表。
以下、本発明を具体化した一実施の形態について説明する。本実施の形態では、住宅等の建物の屋根下地として木質の下地材を使用した場合における当該下地材の耐久性の推定方法について具体化されている。以下の説明では、先ず図2の概略図を参照して建物10の概要について説明する。
建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた屋根部13とを備えている。屋根部13は、木質の下地材15からなる屋根下地と、屋根下地の上に配設された瓦材16からなる屋根パネルとを有してなる。下地材15は、木質の板材、詳しくは木材の小片を結合材で熱圧成形した板材(詳しくはパーティクルボード)である。パーティクルボードは、例えば木製の板材等と比べて安価であり、反り等の変形が生じにくい等の利点がある。この種の部材を下地材15として用いることにより、建物10の性能向上やコスト削減等の各種効果が期待できる。
但し、屋根部13については太陽光等による熱の影響を受けやすく、この種の部材を適用した場合にその影響がどの程度になるかは不明である。例えば、建物内部にてパーティクルボードが使用されている事例はあるものの、配置される環境が大きく異なるため、その実績からどの程度の経年劣化が生じるかを予測することも困難である。また、パーティクルボードが屋根下地として活用され始めたのは近年であり且つ建物の長寿命化が進んでいる現状では、過去の実績から経年劣化に配慮して耐久性を精度よく推定することは困難である。
本実施の形態においては、熱の影響による長期の経年劣化に配慮してパーティクルボードからなる下地材15の耐久性を推定することを特徴の1つとしている。以下、図1のブロック図を参照して耐久性の推定の流れについて説明する。
本実施の形態に示す耐久性の推定の流れは、下地材15の試験体を用いた加熱試験の結果から経過時間(試験時間)と強度との関係を特定する工程Aと、実際の建物10から取り出した下地材15から経過時間(築年数)と強度との関係を特定する工程Bと、それら工程A,Bにて特定された各種関係を用いて耐久性を推定する工程Cとに大別される。なお、本実施の形態に示す試験体は屋根下地を構成する下地材15と同じ材質の板材(詳しくは12mm×50mm×230mmの大きさとなるように形成された板材)である。
工程Aにおいては、試験体を用いて加熱試験(熱劣化試験)を行う。この加熱試験では、恒温恒湿器(「加熱試験装置」に相当)に試験体を収容し、それら試験体を予め設定された温度湿度となっている雰囲気下にて所定時間に亘って曝露する。所定時間経過後は試験体を恒温恒湿器から取り出して強度測定装置によりその強度を測定し、試験開始前の強度を100%とした場合の強度の残存率を算出する(ステップS1)。強度測定装置による測定項目については、(1)曲げ強さ、(2)曲げヤング係数、(3)剥離強さとなっている。以下の説明では、これら測定項目のうち(1)曲げ強さを対象として耐久性の推定を行う場合について例示しているが、同様の方法にて(2)曲げヤング係数や(3)剥離強さを対象とした耐久性の推定を行ってもよい。
加熱試験における試験条件においては、温度条件及び時間条件については可変パラメータとなっており、湿度条件については固定パラメータとなっている。これらの試験条件毎に試験体が用意されており、強度測定の対象になった試験体が再び加熱及び強度測定の対象になることが回避されている。
ステップS2においては、ステップS1にて算出された残存率及び加熱時間(経過日数)に基づいて経過時間と強度との関係、具体的には残存率(Y1)と経過日数(X1)とを変数とした対数近似式「Y1=−α1×ln(X1)+β1」を特定する。例えば、図5の表1に示す例では、100°Cで4日間加熱された試験体Aの強度の残存率が94.2%、100°Cで8日間加熱された試験体Bの強度の残存率が90.2%、・・・、100°Cで336日間加熱された試験体Nの強度の残存率が62.6%となっている。これらの情報に基づいて特定された試験結果用の対数近似式については、「強度の残存率=−7.334×ln(経過日数)+109.8」となる。
本実施の形態においては、温度条件が複数(80°C、90°C、100°C、130°C)設定されており、それら温度条件毎に上記関係を特定する。つまり80°Cで加熱した場合の経過時間と強度との関係、90°Cで加熱した場合の経過時間と強度との関係、100°Cで加熱した場合の経過時間と強度との関係、130°Cで加熱した場合の経過時間と強度との関係を各々特定する。
図4のグラフにおいては各関係(対数近似式)を近似線で示している。これら近似線については、設定された加熱温度が高いものほど時間の経過に伴う強度の低下が顕著になっている。なお、下地材15については、木材の小片を結合する上で高分子材料である接着剤が使用されている。この高分子材料については雰囲気温度が10°C上昇することで劣化が2倍進む傾向にある。このような事情から、上記各近似線の勾配についても温度が10°上昇する毎におよそ2倍となっている。
再び図1を参照し、工程Bにおいては、屋根下地として下地材15が使用され且つ築年数の異なる複数の建物10(解体物件)から下地材15を取り出した後、強度測定装置(詳しくは引張圧縮試験機)を用いてそれら下地材15の強度を測定し、新築時の強度を100%とした場合の強度の残存率を算出する(ステップS3)。
ステップS4においては、ステップS3にて算出された残存率と各解体物件の築年数(経過日数)とに基づいて経過時間と強度との関係、具体的には残存率(Y2)と経過日数(X2)とを変数とした対数近似式「Y2=−α2×ln(X2)+β2」を特定する。例えば、図5の表2に示す例では、築年数が5.3年となっている解体物件Aでは下地材15Aの強度の残存率が78%、築年数が6.6年となっている解体物件Bでは下地材15Bの強度の残存率が89%、築年数が9.9年となっている解体物件Cでは下地材15Cの強度の残存率が85%である場合となっている。これあの情報に基づいて特定された解体物件用の対数近似式については、「残存率=−2.407×ln(経過日数)+103」となる。
ここで、本実施の形態に示す建物10については耐久性の目安となる基準年数(「特定の年数」又は「所定年数」に相当)として60年が設定されており、工程Cにおいては先ず、工程S2にて特定した関係に基づいて当該基準年数を経過した際の下地材15の強度の残存率を算出する。詳しくは、解体物件用の対数近似式に基準年数を代入して残存率(以下、仮想残存率という)を算出する(工程S5)。例えば、上記解体物件用の対数近似式「残存率=−2.407×ln(経過日数)+103」を用いた場合には、基準年数経過時の強度の残存率は78.9%となる。この解体物件用の対数近似式から導かれた仮想残存率についてはメンテナンスの目安となる基準値Y(例えば75%)を超えている。
続く工程S6では、工程S4にて特定された各種関係について仮想残存率に対応する(詳しくは同等となる)残存率となるまでの加熱時間、すなわち試験時間を特定する。図3の概略図に示すように、加熱温度を80°C又は90°Cとして設定した場合の近似線については、試験期間内(加熱開始後の最初の測定日(4日)〜最後の測定日(336日))ではその全域にて仮想残存率を上回っており、この仮想残存率に対応する値になることがない。つまり、仮想残存率と同等の残存率とするには加熱時間が不測している。また、加熱温度を130°Cとして設定した場合の近似線については、試験期間内(加熱開始後の最初の測定日(4日)〜最後の測定日(336日))ではその全域にて仮想残存率を下回っており、仮想残存率に対応する値となることがない。つまり、仮想残存率と同等の残存率とするには加熱温度が過剰となっている。
図4の概略図に示すように、加熱温度を100°Cとして設定した場合の近似線については、試験時間内で仮想残存率に対応した値となる。詳しくは、60日を経過した時点の残存率が仮想残存率と同等となっている。つまり、100°Cにて60日間の加熱を行うことが実際の建物にて下地材15を使用した場合の60年分に相当すると推測される。そこで、工程S6においては、各種関係のうち温度条件が100°Cに対応するものを選定する。これにより、解体物件用の対数近似式と加熱温度100°Cの対数近似式との対応付けがなされる。なお、このようにして選定された温度条件=100°Cについて試験のサンプル数を追加等すれば、作業時間が無駄に嵩むことを抑制しつつ対数近似式や仮想線の確からしさを好適に向上させることができる。
次に、選定した関係を用いてメンテナンスが必要になる時期を推定する。具体的には、強度の残存率が耐久性の基準となる上記基準値Yになるまでの加熱時間Xを算出する。そして、この加熱時間Xを実際の建物10における経過時間に換算することにより、下地材15について交換等のメンテナンスが必要になる時期を推定する。
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
加熱試験により温度条件毎に特定された経過時間と強度との関係を建物10に配設されていた下地材15の強度に基づいて選定すれば、試験体を過酷な条件下において意図的に劣化を促進する上で、実際の環境下における強度変化とのマッチングがよい試験条件(温度条件)を特定できる。このような方法によれば、例えば施工後に十分に長い時間を経過している下地材15の現物が存在しない場合であっても、将来的な強度変化を予測して、下地材15の耐久性を精度よく推定できる。故に、例えば屋根部13(下地材15)のメンテナンスを行うべき時期等を好適に把握することが可能となる。
試験体を加熱して劣化を促進させる場合には、初期と比べて、ある程度の時間の経過した後の方が強度の変化率(下がり幅)は小さくなる。つまり、試験開始直後は変化率が大きいため試験結果のばらつきも大きくなりやすく、僅かな加熱時間の差であっても強度が大きく変わる。そこで、本実施の形態に示したように、実際の建物から得られたデータをそのまま用いるのではなく、それらデータを用いて耐久基準時間を経過した場合の強度を推定し、その推定結果を踏まえて温度条件毎の上記関係から耐久性の推定に用いる関係を選定することにより、当該選定における確からしさを高めることができる。これにより、上記耐久性の推定精度の向上が期待できる。
下地材15の現物を取得可能な解体物件については数がそれほど多くなく且つ経過時間(建物の築年数)の幅についても極めて限定的になると想定される。そして、サンプルとなる建物の築年数と基準耐久年数との乖離が大きくなることは、メンテナンス時期を推定する場合の確からしさを高める上で妨げになると想定される。この点、ステップS6にて選定した関係においては基準強度(上記基準値Y)となるまでに必要な加熱時間Xが試験条件(時間条件)の範囲内となっているため、実態からの乖離を小さくすることができる。これにより、推定に必要なデータの取得に要する待ち時間を短縮しつつ下地材15のメンテナンス時期を推定する場合の確からしさを向上することができる。
本実施の形態に示すように、少なくとも試験体の加熱時間よりも下地材15を取得する建物10の築年数を長くすることにより上記選定を行う際の確からしさを高めることができる。これにより、上記耐久性の推定精度の向上が期待できる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、屋根下地としてパーティクルボードを用いる場合の耐久性の推定方法について例示したが、この推定方法についてはOSB(Oriented Strand Board)、合板、MDF(Medium Density Fiberboard)等の他の木質下地材における耐久性の推定に利用することも可能である。
(2)上記実施の形態では、解体物件用の対数近似式に耐久基準年数を代入して仮想残存率を算出し、その仮想残存率に基づいて選定を行う構成とした。つまり、解体物件用の対数近似式を用いて解体物件の築年数の範囲を超える耐久基準年数における仮想残存率を算出した上で、当該仮想残存率に基づいて選定を行う構成とした。これを以下のように変更してもよい。すなわち、解体物件用の対数近似式を用いて解体物件の築年数の範囲内で所定の残存率を設定し、その所定の残存率から上記選定を行う構成としてもよい。
(3)上記実施の形態では、試験体を加熱する場合の恒温槽の温度(加熱温度)が一定となるように温度条件を設定したが、これに限定されるものではない。例えば、試験期間中に加熱温度が変化するように温度条件を設定してもよい。
(4)各種温度条件から1の温度条件を選択する上で、複数の温度条件について推定の基準を満たしている場合には、基準となった強度に達した際の変化率が小さいものを優先的に選択する構成としてもよい。試験結果に基づいて特定された経過時間と強度変化との関係については必ずしも変化率が一定とはならない。変化率の大きい部分を利用して上記推定を行う場合には、誤差も大きくなり得る。そこで、上述の如く変化率の小さい関係を優先して選ぶ構成とすれば、上記誤差の影響を抑え、耐久性の推定精度を好適に向上させることができる。
また、加熱時間が短いものを優先的に選択する構成としてもよい。試験時間(経過時間)と強度との関係を特定する上では、サンプル数が多い方ほど当該関係の確からしさが高くなる。しかしながら、試験条件が多岐にわたる場合には、サンプル数を稼ぐことが困難になると想定される。そこで、所要時間が短いものを優先して選ぶ構成とすれば、例えば選定された関係に基づいて再試験等を行う場合の試験期間を短くすることができる。これにより、耐久性の推定精度の向上を図りつつそれに起因して試験等の作業負担が無駄に増加することを抑制できる。
(5)上記実施の形態では、加熱温度を100°Cとして設定した場合の近似線にて仮想残存率が同等となる加熱時間を特定する構成としたが、これに限定されるものではない、加熱温度を100°Cとして設定した場合の近似線にて仮想残存率と同一となる加熱時間を特定する構成としてもよい。
(6)上記実施の形態では、湿度を一定(固定パラメータ)としたが、湿度についても温度同様に可変パラメータとしてもよい。例えば、各温度について湿度を55%,65%,75%で分けて試験を行う構成としてもよい。
(7)上記実施の形態においては、基準年数経過後の仮想残存量が強度の基準値Yを上回る場合について例示した。基準値Yを下回る場合であっても、上記推定方法を用いてメンテナンス時期を算出することにより、建物10の機能保全に貢献できる。
(8)上記実施の形態においては、「所定年数」と「特定の年数」とをともに60年としたが、耐久性の評価基準となっている「所定年数」と、実際の建物から取得された下地材の強度から将来の強度を推定する際の基準としている「特定の年数」とが異なる構成としてもよい。例えば、「特定の年数」を「所定年数」よりも短くすることも可能である。
10…建物、13…屋根部、15…下地材。

Claims (6)

  1. 建物の屋根下地として使用される木質の下地材について所定年数での耐久性を推定する耐久性推定方法であって、
    加熱試験装置における複数の温度条件と複数の加熱時間条件とを設定しておき、各温度条件において前記複数の加熱時間条件で加熱された前記下地材の試験体をそれぞれ取得する第1工程と、
    前記第1工程にて取得した各試験体について強度を測定する第2工程と、
    前記第2工程における測定結果から加熱時間と強度との関係を前記温度条件毎に特定する第3工程と、
    施工からの経過年数が前記所定年数よりも前の時点において実際の建物の屋根部から前記下地材を取り出し、その下地材の強度を測定する第4工程と、
    前記第4工程における測定結果に基づいて、前記第3工程にて特定された前記温度条件毎の前記関係のうち前記所定年数での耐久性推定に用いる関係を選定する第5工程と
    を有していることを特徴とする耐久性推定方法。
  2. 前記第5工程は、
    前記屋根部から取り出された下地材について経過年数と強度との関係を特定する工程と、
    前記下地材について特定された経過年数と強度との関係から、実際の経過年数よりも長い特定の年数が経過した場合の強度を推定する工程と、
    前記特定の年数が経過した場合の推定強度に基づいて前記選定を行う工程と
    を有していることを特徴とする請求項1に記載の耐久性推定方法。
  3. 前記第5工程においては、前記温度条件毎の前記関係の各々について前記試験体の強度が前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度となる際の強度の変化率を特定し、前記選定を行う場合に前記変化率が小さいものを優先的に選ぶようにして前記選定を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐久性推定方法。
  4. 前記第5工程においては、前記温度条件毎の前記関係の各々について前記試験体の強度が前記第4工程の測定結果に基づいて設定された所定の強度となるまでの所要時間を特定し、前記選定を行う場合に前記所要時間が短いものを優先的に選ぶようにして前記選定を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐久性推定方法。
  5. 前記複数の温度条件と前記複数の加熱時間条件とは建物の経過年数に対応付けられて定められており、
    その対応付けられた経過年数には、前記第4工程にて実際の建物の屋根部から前記下地材を取り出す時点よりも後の時点が想定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の耐久性推定方法。
  6. 前記木質の下地材はパーティクルボードであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の耐久性推定方法。
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