JP2018154976A - 作業機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】予め定めた計測動作中の荷重計測が失敗しても、作業効率を著しく低下させることなく運搬物の荷重を計測可能にすること。
【解決手段】荷重計測部35は、フロント作業装置12が計測動作をしていると判定されたときに運搬物の荷重を計測する。再計測判定部36は、フロント作業装置12の計測動作の継続した時間に基づいて運搬物の荷重の再計測の要否を判定する。荷重再計測部38は、運搬物の荷重の再計測が必要であると判定され、かつ、フロント作業装置の動作が停止していると判定されたとき、ブームシリンダの圧力とフロント作業装置の姿勢とに基づいて運搬物の荷重を計測する。表示装置31は、運搬物の荷重の再計測が必要であると判定されたときに、オペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促す表示をする。
【選択図】 図2

Description

本発明は運搬物の荷重計測が可能な作業機械に関する。
作業機械である油圧ショベルは、油圧シリンダによって駆動される作業腕(フロント作業装置)を用いてバケット内に運搬物を取得・保持し、その運搬物をダンプトラックなどの運搬車両に積込む積込作業を行うことがある。積込作業での運搬車両への過積載を防止する等の目的で、作業腕の油圧シリンダの負荷圧と作業腕の姿勢によってモーメントの釣り合いを演算し、運搬物の荷重を計測する技術が開発されている。
作業効率の観点からは、積込作業を阻害しない形式で運搬物の荷重が計測されることが好ましい。この点に鑑み、特許文献1では、作業腕で運搬物を取得してから作業腕を運搬車両の上方に移動させて積込(放土)を開始するまでの運搬動作中に、作業腕の先端に位置するツール(バケット)の速度が略一定となる期間に運搬物の荷重を計測することで、積込作業を阻害しない運搬物の荷重計測を実現している。
特許第5406223号公報
ここで運搬物の荷重計測が行われる動作として予め規定されている所定の動作を「計測動作」と定義すると、特許文献1の計測動作は、作業腕による運搬動作(より具体的には運搬物を作業腕に保持した状態での旋回動作)である。ところで、特許文献1の荷重計測は常に成功するわけではなく、例えば計測動作中にツールの速度が略一定となる期間が無い場合には荷重計測に失敗することがある。荷重計測が失敗した場合には計測動作を再度行う必要があるが、引用文献1の技術には荷重計測が失敗したことを作業機械のオペレータに報知する手段がないため、オペレータ主導で再計測を行うことは難しい。仮に「報知」が可能でオペレータが荷重計測の失敗を認識できたとしても、作業腕による運搬動作を計測動作としている特許文献1の方法では、失敗を認識した時点では運搬動作は既に完了直前又は完了していると想定されるので、荷重計測だけの目的で運搬動作(旋回動作)を再度行う必要がある。このような再度の運搬動作の実施は、積込作業では無駄な動作となるので、積込作業の作業効率を著しく低下させる。
本発明の目的は、運搬物の荷重計測が行われる計測動作が決まっている場合、その計測動作中の荷重計測が失敗しても、作業効率を著しく低下させることなく運搬物の荷重を計測可能にすることにある。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、流体圧シリンダで駆動され、運搬物を運搬する作業腕と、前記流体圧シリンダの圧力を検出する圧力検出装置と、前記作業腕の姿勢を検出する姿勢検出装置と、前記作業腕の姿勢に基づいて前記作業腕が所定の計測動作をしているか否かを判定する計測動作判定部、及び、前記計測動作判定部により前記作業腕が前記所定の計測動作をしていると判定されたときに前記流体圧シリンダの圧力と前記作業腕の姿勢に基づいて前記運搬物の荷重を計測する荷重計測部を有する制御装置とを備えた作業機械において、前記制御装置は、前記計測動作判定部により前記作業腕が前記所定の計測動作をしている状態から前記所定の計測動作をしていない状態に遷移したと判定されたときに、前記作業腕が前記所定の計測動作をしていた状態が継続した時間に基づいて前記運搬物の荷重の再計測の要否を判定する再計測判定部と、前記作業腕の姿勢に基づいて前記作業腕の動作が停止しているか否かを判定する停止判定部と、前記再計測判定部により再計測が必要であると判定され、かつ、前記停止判定部により前記作業腕の動作が停止していると判定されたときに、前記流体圧シリンダの圧力と前記作業腕の姿勢とに基づいて前記運搬物の荷重を計測する荷重再計測部とをさらに備え、前記再計測判定部により再計測が必要であると判定されたときに、オペレータに前記作業腕の動作の停止を促す旨報知する報知装置をさらに備える。
本発明によれば、計測動作中の荷重計測が失敗しても、作業腕を停止させるだけで運搬物の荷重を計測できるので、荷重の再計測に伴う作業効率の低下を抑制できる。
本発明の実施形態に係る油圧ショベル1の側面図である。 第1実施形態に係る油圧ショベルに搭載された荷重計測システムの概略構成図である。 コントローラ24の計測動作判定部34で行われる処理のフローチャートである。 コントローラ24の荷重計測部35で行われる処理のフローチャートである。 コントローラ24の再計測判定部36で行われる処理のフローチャートである。 コントローラ24の停止判定部37で行われる処理のフローチャートである。 コントローラ24の荷重再計測部38で行われる処理のフローチャートである。 第1実施形態に係る表示装置31の表示画面の遷移の一例を示す図である。 第2実施形態に係る油圧ショベルに搭載された荷重計測システムの概略構成図である。 第2実施形態に係る表示装置31の表示画面の遷移の一例を示す図である。
便宜上、本稿では作業機械による「運搬作業」を、A)運搬物を取得する動作である「取得動作」、B)取得した運搬物を目的地までの運搬する動作である「運搬動作」、C)目的地で運搬物を解放する動作である「解放動作」、という連続した3つの動作を含む作業と定義する。以下では作業機械の代表格たる油圧ショベルを例に挙げて説明する。油圧ショベルによる運搬作業は「積込作業」と称されることもある。この場合、運搬物は土砂であることが多く、A)の取得動作にはバケットへの積込動作だけでなく掘削動作も含まれる。B)の運搬動作は多くの場合旋回ブーム上げによって行われ、その目的地はダンプトラックの荷台の直上が含まれる。C)の解放動作は、多くの場合バケットダンプによって行われ、ダンプトラックへの積込動作もこれに含まれる。本発明が対象とする作業機械は、アタッチメントとしてバケットを有する油圧ショベルに限られず、グラップルやリフティングマグネット等、運搬物の保持・解放が可能なものを有する油圧ショベルも含まれる。また、油圧ショベルのような旋回機能の無い作業腕を備えるホイールローダ等にも本発明は適用可能である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[油圧ショベルの構成]
図1は本発明の実施形態に係る油圧ショベルの側面図である。この油圧ショベル1は,クローラ式の下部走行体10と、下部走行体10の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体11と、上部旋回体11の前方に取り付けられ油圧シリンダ16,17,18により駆動される多関節型のフロント作業装置(作業腕)12と、上部旋回体11を旋回させる旋回油圧モータ21と,操作者が乗り込みショベルを操作するための操作室(キャブ)22と、下部走行体10、上部旋回体11及びフロント作業装置12を操作するために操作室22内に設けられた操作レバー23と、フロント作業装置12のバケット15内に保持された運搬物の荷重算出や、油圧ショベル1の動作制御を含む各種処理を実行するためのコンピュータであるコントローラ(制御装置)24と、操作室22の前方に設置され運搬物の荷重の計測結果を含む各種情報を表示画面を介してオペレータに報知する表示装置31を備えている。
フロント作業装置12は、上部旋回体11の前方に回動可能に設けられたブーム13と、ブーム13の先端に回動可能に設けられたアーム14と、アーム14の先端に回動可能に設けられたバケット15と、ブーム13を駆動するブームシリンダ16と,アーム14を駆動するアームシリンダ17と、バケット15を駆動するバケットシリンダ18と、バケットシリンダ18とアーム14を連結するリンク19と、バケットシリンダ18とバケット15を連結するリンク20とを備えている。オペレータは操作レバー23を操作することで、フロント作業装置12の動作を制御する。オペレータのレバー操作に基づいて、フロント作業装置12は、その先端に位置するバケット15内に運搬物を保持し、旋回ブーム上げ動作により当該運搬物を所定の目的地(例えばダンプトラックの荷台の直上)まで運搬する。
ブーム13,アーム14,リンク19にはそれぞれブームIMU25,アームIMU26,バケットIMU27が取り付けられている。IMUとは、Inertial Measurement Unit(慣性計測装置)の略称で、3軸の角度(または角速度)と加速度を検出することができ、本実施の形態ではフロント作業装置12及びこれを構成する各リンク13,14,15並びに上部旋回体11の姿勢検出装置32として機能する。IMU25,26,27は、ブーム13,アーム14,バケット15それぞれの回動角度および角速度を取得できる。上部旋回体11には車体IMU28が取り付けられている。車体IMU28は、上部旋回体11の旋回角速度と上部旋回体11の前後方向および左右方向の傾斜角度を取得できる。
ブームシリンダ16には、ブームシリンダ16の内部圧力を検出する圧力検出装置33として、ボトム側の圧力値を検出するブームボトム圧センサ29と、ロッド側の圧力値を検出するブームロッド圧センサ30が取り付けられている。
<第1実施形態>
[荷重計測システムの構成]
図2は第1実施形態の油圧ショベルに搭載された荷重計測システムの概略構成図である。荷重計測システムはいくつかのソフトウェアの組み合わせとして油圧ショベル1のコントローラ24、表示装置31に実装されている。
コントローラ(制御装置)24は、入力部と、プロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))と、記憶装置(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)やランダムアクセスメモリ(RAM))と、出力部(いずれも図示せず)とを有するコンピュータである。コントローラ24は、4つのIMU25−28で構成される姿勢検出装置32と、2つの圧力センサ29,30で構成される圧力検出装置33と、表示装置31とそれぞれ接続されており、姿勢検出装置32及び圧力検出装置33から入力される情報に基づいてバケット15に保持された運搬物の荷重を演算し、その演算結果やオペレータへの指示を表示装置31に表示するように構成されている。
コントローラ(制御装置)24は、姿勢検出装置32の出力から算出されるフロント作業装置12の姿勢に基づいてフロント作業装置12が所定の計測動作をしているか否かを判定する計測動作判定部34と、計測動作判定部34によりフロント作業装置12が所定の計測動作をしていると判定されたとき、圧力検出装置33の出力から算出されるブームシリンダ16のボトム圧及びロッド圧と、姿勢検出装置32の出力から算出されるフロント作業装置12の姿勢に基づいて運搬物の荷重を計測する荷重計測部35と、計測動作判定部34によりフロント作業装置12が所定の計測動作をしている状態から当該所定の計測動作をしていない状態に遷移したと判定されたとき、フロント作業装置12が当該所定の計測動作をしていた状態が継続した時間に基づいて運搬物の荷重の再計測の要否を判定する再計測判定部36と、姿勢検出装置32の出力から算出されるフロント作業装置12の姿勢に基づいてフロント作業装置12の動作が停止しているか否かを判定する停止判定部37と、再計測判定部36により再計測が必要であると判定され、かつ、停止判定部37によりフロント作業装置12の動作が停止していると判定されたとき、ブームシリンダ16のボトム圧及びロッド圧とフロント作業装置12の姿勢とに基づいて運搬物の荷重を計測する荷重再計測部38とを備えている。
表示装置31は、再計測判定部36により再計測が必要であると判定されたとき、オペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促す旨を表示するように構成されている。表示装置31を介してオペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促す手段としては、その旨を意味する文字、図形、記号を表示画面中の所定の場所(再計測報知部39)に表示するものがある(後述の図8,10参照)。
次に、コントローラ24内の各部の処理について図3から図7のフローチャートを用いて説明する。
[計測動作判定部34の処理]
図3は計測動作判定部34のフローチャートである。図3のフローチャートは、姿勢検出装置32の出力を入力として、あらかじめ設定されたサンプリング周期で実行される。
ステップS100では、計測動作判定部34は、現在の計測動作判定を前回計測動作判定として記憶装置に格納する。計測動作判定とは、計測動作(運搬物の荷重計測が行われる動作として予め規定されている所定の動作)が行われているか否かを示す指標値であり、その値はTrueまたはFalseである。具体的には後述のステップS101で決定される。現在の計測動作判定とは、1周期前の処理が終了した際の計測動作判定であり、1周期前の処理が存在しない起動時の計測動作判定のデフォルト値はFalseとする。
ステップS100が終了したらステップS101に移動し、計測動作判定部34は、姿勢検出装置32の出力に基づいて現在のフロント作業装置12の動作が計測動作か否かを判定する。本実施形態の計測動作は運搬動作中の動作とし、より具体的には、姿勢検出装置32の出力からバケット15の開口面の対地角とブーム13の持ち上げ速度(ブーム上げ速度)を算出し、バケット15内の運搬物がこぼれないように設定した所定の範囲内にバケット15の開口面の対地角があり、かつ、ブーム上げ速度が所定値以上であった場合に計測動作であると判定している。ブーム上げ速度の所定値は、ショベルの車体規模にも依るが、例えば、運搬動作の開始後間もなく達成される値(例えば、操作レバー23をブーム上げ方向にフル操作した場合に間もなく達成される値)に設定できる。ステップS101で計測動作であると判定された場合には、ステップS102に進み、そうでない場合はステップS104に進む。
ステップS102では計測動作判定をTrueに設定し計測時間カウントをインクリメントし、ステップS103に進む。計測時間カウントは、フロント作業装置12が計測動作をしていた状態が継続した時間を示す。
ステップS104では計測動作判定をFalseに設定しステップS105に進む。ステップS105ではS100で格納した前回計測動作判定がTrueか否かを判定する。その判定結果がTrueの場合にはステップS106に進み、Falseの場合にはステップS103に進む。
ステップS106では、前回の周期でTrueだった計測動作判定が今回の周期でFalseに遷移したため、動作遷移判定をTrueに設定し、ステップS103に進む。
ステップS103では、姿勢検出装置32の出力に基づいて現在のフロント作業装置12の動作が解放動作(ダンプトラックへの運搬物の積込動作)か否かを判定する。解放動作か否かの判定は、フロント作業装置12の動作が予め設定した動作か否かに基づいて行い、本実施形態では、バケットダンプの動作又は姿勢が検知された場合に解放動作であると判定する。ここで解放動作と判定された場合には、ステップS107に進み、動作遷移判定をFalseに設定するとともに計測時間カウントをゼロにリセットして処理を終了する。一方、ステップS103で解放動作でないと判定された場合は、そのまま処理を終了する。
[荷重計測部35の処理]
図4に荷重計測部35のフローチャートを示す。図4のフローチャートはコントローラ24の荷重計測部35においてあらかじめ設定されたサンプリング周期で実行される。
ステップS200では、荷重計測部35は、姿勢検出装置32と圧力検出装置33の出力を用いて運搬物の荷重値を演算する。以下にステップS200での演算の一例を示す。
本実施形態の荷重計測部35は、姿勢検出装置32と圧力検出装置33の出力を用いて、ブーム13、ブームシリンダ16及びアームシリンダ17を含むブームアセンブリと、アーム14、バケットシリンダ18、リンク19及びリンク20を含むアームアセンブリと、バケット15と、上部旋回体11の4リンクに関して、ニュートン・オイラー法により下記の式(1)に従って運搬物の荷重値(後述の「運搬物の重量Mpayload」)の演算を行う。
τ=M(q)α+h3(q,ω)+g(q) …(1)
ここでτは4×1のベクトルで[τbody,τboom,τarm,τbucket]と表される。左から順に車体、ブームアセンブリ、アームアセンブリ、バケット15を回転するトルクを表す。
M(q)は4×4の正則対象行列である慣性行列であり、各アセンブリの加速度αによりそのピン自体に発生するトルク並びに他のアセンブリの加速度によって発生する干渉トルクを示す。
h(q,ω)は4×1のベクトルであり、各アセンブリの速度ωと各アセンブリの相対角度qから算出される遠心力およびコリオリ力によって生じるトルクを示す。
g(q)はそれぞれの機構パラメータと各アセンブリの相対角度qから算出される重力負荷である。機構パラメータとは各アセンブリの重量、重心位置、慣性テンソル、および長さを含む。これらのパラメータは、フロント作業装置12の機構や、ブーム13、アーム14、バケット15,リンク19およびリンク20(これらに上部旋回体11を含めても良い)、並びに、油圧シリンダ16,17,18の形状や材質などに基づいて予め求めておくことが可能な既知の固定値であり、コントローラ24の記憶装置などに予め記憶しておくことができる。
これらの値に基づいたM(qa)、h(qa,ωa)およびg(qa)の算出方法は既知であるため、説明を省略する。
シリンダの推力Fcylは、ブームシリンダ16のボトム側の圧力センサ29の検出値をPbtm、ロッド側の圧力センサ30の検出値をProd、ブームシリンダ16内部のボトム室の受圧面積をAbtm、ロッド室の受圧面積をArodとして、下記の式(2)のように表される。
cyl=Pbtm・Abtm−Prod・Arod …(2)
ブームシリンダ16の推力Fcylはブームボトム圧センサ29の出力信号とブームロッド圧センサ30の出力信号のそれぞれにブームシリンダ16の受圧面積を乗じた後、それらの差をとることで算出される。
ブームシリンダ16が発生するトルクτcylは、ブーム13の回動軸とブームシリンダ16の推力の作用点を結んだ線分の長さをLbm、ブームシリンダ16の推力Fcylと線分Lbmと推力の方向が成す角度をθbmcylとして、下記の式(3)で算出される。
τcyl=Fcyl・Lbm・sin(θbmcyl) …(3)
τのうちブーム13の回動軸まわりの回転トルクであるτboomとブームシリンダの推力によって発生するτcylの差分から、運搬物の発生するτpayloadは下記の式(4)によって得られる。
τpayload =τcyl―τboom …(4)
これとτboomのうちブーム13の回動軸まわりのバケット15による回転トルクτbobkとバケットの重量Mbucketから、運搬物の重量Mpayloadは下記の式(5)によって得られる。
payload = Mbucket×τpayload/τbobk …(5)
次にステップS201に進み、計測動作判定部34においてフロント作業装置12の動作が計測動作であると判定されている場合(すなわち、計測動作判定=Trueの場合)にはステップS202に進み、そうでない場合(すなわち、計測動作判定=Falseの場合)にはそのまま処理を終了する。なお、ステップS201でフロント作業装置12の動作が計測動作ではないと判定された場合には、ステップS200で算出した荷重値をリセット(記憶装置に記憶することなく破棄)しても良い。
ステップS202では、荷重計測部35は、ステップS200で演算された荷重値の平均荷重値Maveを算出する。ステップS200で演算されたMpayloadと、計測動作判定部34において演算された計測時間カウント(以下では「dCNT」と称することがある)に対して平均荷重値Maveは下記の式(6)で算出される。
ave=(Mave・dCNT)/(dCNT+1)+Mpayload/((dCNT+1))…(6)
次にステップS203で、荷重計測部35は、計測動作が所定時間継続したことで荷重計測部35による荷重演算が成功したか否かを判定する。本実施形態では、計測動作判定部34による計測時間カウントの値が所定の基準値T1を超えているか否かを判定することで荷重演算の成否を判断している。所定の基準値T1は、例えば、運搬動作の全体のうち一部が行われる時間(例えば、ショベルの車体規模にも依るが、数秒前後の値)に設定できる。計測時間カウントが所定の基準値T1を超えている場合には荷重演算が成功したとみなしてステップS204に進み、ステップS204で出力荷重値を平均荷重値Maveに更新し終了する。反対に、所定の基準値T1を超えていない場合には荷重演算が失敗したとみなしてそのまま処理を終了する。
[再計測判定部36の処理]
図5に再計測判定部36のフローチャートを示す。図5のフローチャートはコントローラ24の再計測判定部36においてあらかじめ設定されたサンプリング周期で実行される。
ステップS300で、再計測判定部36は、計測動作判定部34によりフロント作業装置12が計測動作をしている状態から計測動作をしていない状態に遷移したか否かを判定する。この判定に際し、本実施形態の再計測判定部36は、計測動作判定部34による動作遷移判定を参照し、動作遷移判定がTrueであればステップS301に進み、反対にFalseであればステップS303に進む。
ステップS301では、再計測判定部36は、フロント作業装置12が計測動作をしていた状態が継続した時間に基づいて運搬物の荷重の再計測の要否を判定する。この判定に際し、本実施形態の再計測判定部36は、計測動作判定部34で算出される計測時間カウントを参照する。そして、計測時間カウントが所定の基準値T1(図4のステップS203で利用した値と同じ)以下であれば、ステップS302に進み再計測判定をTrue(つまり、再計測の「要」の判定)に設定して処理を終了する。反対に、計測時間カウントが基準値T1を超える場合にはS303に進み、再計測判定部36は再計測判定をFalse(つまり、再計測の「不要」の判定)に設定して処理を終了する。
[停止判定部37の処理]
図6に停止判定部37のフローチャートを示す。図6のフローチャートはコントローラ24の停止判定部37においてあらかじめ設定されたサンプリング周期で実行される。
ステップS400で、停止判定部37は、姿勢検出装置32の出力から演算されるフロント作業装置12の姿勢に基づいてフロント作業装置12の動作が停止しているか否かを判定する。この判定に際して、本実施形態の停止判定部37は、姿勢検出装置32の出力からフロント作業装置12のうちブーム13、アーム14及びバケット15それぞれの所定時間における姿勢変化量を算出し、その姿勢変化量が所定値以内であるか否かを判定する。ブーム13、アーム14及びバケット15の全ての姿勢変化量が所定値以内の場合には、停止判定部37はフロント作業装置12が静止していると判定しステップS401に進む。反対に、ブーム13、アーム14、バケット15の姿勢変化量のいずれか1つでも所定範囲を超えている場合には、停止判定部37はフロント作業装置12が静止していないと判定してステップS402に進む。
ステップS401では停止判定部37は静止時間カウンタをインクリメントして処理を終了する。一方、ステップS402では静止時間カウンタをリセットして処理を終了する。静止時間カウンタはフロント作業装置12の静止が継続している時間を示す。
[荷重再計測部38の処理]
図7に荷重再計測部38のフローチャートを示す。図7のフローチャートはコントローラ24の荷重再計測部38においてあらかじめ設定されたサンプリング周期で実行される。
ステップS500では、荷重再計測部38は、姿勢検出装置32と圧力検出装置33の出力を用いて運搬物の荷重値(後述の「運搬物の重量Mpayloadst」)を演算する。以下にステップS500での演算の一例を示す。
まず、荷重再計測部38は、荷重計測部35と同様に、姿勢検出装置32と圧力検出装置33の出力を用いて式(1)に従ってトルクτ を算出する。
シリンダの推力Fcylstは、ブームシリンダ16のボトム側の圧力センサ29の検出値をPbtm、ロッド側の圧力センサ30の検出値をProd、ブームシリンダ16内部のボトム室の受圧面積をAbtm、ロッド室の受圧面積をArod、ブームシリンダ16に発生する静止摩擦力としてあらかじめ設定されている値μを用いて下記の式(7)のように表される。
cylst=Pbtm・Abtm−Prod・Arod−μ…(7)
ブームシリンダ16の推力Fcylstはブームボトム圧センサ29の出力信号とブームロッド圧センサ30の出力信号のそれぞれにブームシリンダ16の受圧面積を乗じた後、それらの差をとることで算出される。
ブームシリンダ16が発生するトルクτcylstは、ブーム13の回動軸とブームシリンダ16の推力の作用点を結んだ線分の長さをLbm、ブームシリンダ16の推力Fcylstと線分Lbmと推力の方向が成す角度θbmcylとして、下記の式(8)で算出される。
τcylst=Fcylst・Lbm・sin(θbmcyl) …(8)
τのうちブーム13の回動軸まわりの回転トルクであるτboomとブームシリンダの推力によって発生するτcylstの差分から、運搬物の発生するτpayloadは下記の式(9)によって得られる。
τpayload =τcyl―τboom …(9)
これとτboomのうちブーム13の回動軸まわりのバケット15による回転トルクτbobkとバケットの重量Mbucketから、運搬物の重量Mpayloadstは下記の式(10)によって得られる。
payloadst = Mbucket×τpayload/τbobkt …(10)
次に荷重再計測部38はステップS501に進み、再計測判定部36による再計測判定がTrueの場合(すなわち、再計測が「要」の場合)にはステップS502に進む。一方、再計測判定がFalseの場合には、ステップS507に進み再計測荷重をゼロにリセットして処理を終了する。
ステップS502では、荷重再計測部38は、停止判定部37において算出された停止時間カウンタが正の値である場合はS503に進み、そうでない場合(つまり、停止時間カウンタがゼロの場合)はそのまま処理を終了する。
ステップS503では、油圧シリンダ16,17,18の動作が停止しても慣性でフロント作業装置12に生じる振動の影響を除去するために、荷重再計測部38はステップS500で演算した運搬物の重量Mpayloadstに対してローパスフィルタを適用してMFilteredを求める。
次にステップS504では、ステップ503で演算されたフィルタ処理済み荷重値の平均荷重値Maveを算出する。ステップS503で演算されたMFilteredと、計測動作判定部34において演算された停止時間カウント(以下では「sCNT」と称することがある)に対して平均荷重値Mavestは下記の式(11)で算出される。
avest=(Mavest・sCNT)/(sCNT+1)+MFiltered/((sCNT+1)) …(11)
次にステップS505で、荷重再計測部38は、フロント作業装置12の振動が収まっているか否かを判定する。本実施形態では、停止判定部37で算出される停止時間カウントsCNTが所定の基準値T2以上か否かを判定することで振動の有無を判断している。所定の基準値T2は、ショベルの車体規模にも依るが、例えば数秒程度の値に設定できる。停止時間カウントsCNTが所定の基準値T2以上の場合には、フロント作業装置12の振動が収まった後に荷重値の演算がされた(すなわち、荷重演算は成功した)とみなしてステップS506に進み、ステップS506で出力値を平均荷重値Mavestに更新し終了する。反対に、所定の基準値T2を未満の場合にはフロント作業装置12の振動中に荷重値が演算された(すなわち、荷重演算は失敗した)とみなしてそのまま処理を終了する。
なお、本実施形態では、荷重再計測部38に演算される荷重値の精度を上げるために、ステップS503のフィルタ処理と、ステップS505の判定処理を行っているが、両処理は省略してもよい。
[表示装置31の表示画面]
図8は、第1実施形態において、荷重計測部35の荷重計測が失敗した後に荷重再計測部38の荷重計測がされた場合の表示装置31の画面遷移図である。
コントローラ24は、再計測判定部36による再計測判定がFalseからTrueに変化した場合、オペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促すメッセージ(図8の例では「フロント静止」)を表示装置31の表示画面50上に設けられた再計測報知部39に表示させる信号を表示装置31に出力する。その後、コントローラ24は、停止判定部37で演算される停止時間カウントが正になった場合、または、計測動作判定部34により解放動作中であると判定された場合、再計測報知部39に表示したメッセージを隠す信号を表示装置31に出力する。
このようなコントローラ24の処理により、表示装置31の画面表示は図8に示すようにイベントと連動して遷移する。つまり、再計測判定部36により再計測が必要であると判定された場合には、「フロント静止」というメッセージが表示装置31に表示されるので、これを見たオペレータは、荷重計測部35による運搬動作中の荷重値の計測が失敗し、解放動作の前にフロント作業装置12を一旦停止させて荷重再計測部38により荷重値を再計測する必要があることを認識できる。
なお、再計測報知部39を介したオペレータへの報知は、上記のメッセージに代えてアイコン等の図形や記号を表示してもよいしブザーや音声等で行ってもよい。また、これらを適宜組み合わせて報知してもよい。
[作用・効果]
上記の実施形態では、油圧シリンダ16,17,18で駆動され、運搬物を運搬するフロント作業装置12と、油圧シリンダ16の圧力を検出する圧力検出装置33と、フロント作業装置12の姿勢を検出する姿勢検出装置32と、フロント作業装置12の姿勢に基づいてフロント作業装置12が所定の動作(計測動作)をしているか否かを判定する計測動作判定部34、及び、計測動作判定部34によりフロント作業装置12が計測動作をしていると判定されたときに油圧シリンダ16,17,18の圧力とフロント作業装置12の姿勢に基づいて運搬物の荷重を計測する荷重計測部35を有するコントローラ24とを備えた油圧ショベルにおいて、コントローラ24は、計測動作判定部34によりフロント作業装置12が計測動作をしている状態から計測動作をしていない状態に遷移したと判定されたときに、フロント作業装置12が計測動作をしていた状態が継続した時間(計測時間カウント)に基づいて運搬物の荷重の再計測の要否を判定する再計測判定部36と、フロント作業装置12の姿勢に基づいてフロント作業装置12の動作が停止しているか否かを判定する停止判定部37と、再計測判定部36により再計測が必要であると判定され、かつ、停止判定部37によりフロント作業装置12の動作が停止していると判定されたときに、油圧シリンダ16,17,18の圧力とフロント作業装置12の姿勢に基づいて運搬物の荷重を計測する荷重再計測部38とをさらに備え、再計測判定部36により再計測が必要であると判定されたときに、オペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促す旨報知する表示装置31をさらに備えることとした。
上記のように構成した油圧ショベルでは、計測動作の継続時間(計測時間カウント)が基準値T1に到達せず荷重計測部35による運搬動作中の荷重計測が失敗した場合、オペレータに対してフロント作業装置12の動作の停止を促すメッセージ(「フロント停止」)が表示装置31に速やかに表示される。これにより、このメッセージを見たオペレータは荷重計測部35による荷重計測が失敗したことを認識できる。本実施形態では、運搬動作の開始後間もなく計測動作が開始され(図3のステップS101参照)、基準値T1を運搬動作に要する時間より短い時間に設定しているので(図4のステップS203参照)、通常、フロント作業装置12の停止を促すメッセージは運搬動作中に表示される。すなわち、本実施形態によれば、フロント作業装置12の停止を促すメッセージを解放動作の開始前にオペレータに提示できる。さらに、このメッセージに従ってオペレータがフロント作業装置12を停止させた場合には、荷重再計測部38により荷重の再計測が行われる。荷重再計測部38は、フロント作業装置12を停止させるだけで荷重の再計測が可能である。そのため、計測動作を再度行う場合と比較して無駄な動作の発生を抑制でき、運搬作業が中断する時間の増加を抑制できる。したがって、本実施形態によれば、計測動作中の荷重計測が失敗しても、フロント作業装置12を停止させるだけで運搬物の荷重を計測できるので、荷重の再計測に伴う作業効率の低下を抑制できる。
<第2実施形態>
[荷重計測システムの構成]
図9は第2実施形態の油圧ショベルに搭載された荷重計測システムの概略構成図である。本実施形態は表示装置31の表示形態が第1実施形態と異なるが、他の部分はコントローラ24内の構成を含め第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略し、第1実施形態と異なる部分について説明する。
荷重計測部35は、図4のフローチャートにおけるステップS204で、ステップS202で算出した荷重値(平均荷重値Mave)を荷重情報提示部40に表示させる信号を表示装置31に出力する。一方、ステップS204を通過しない場合(つまり、荷重計測部35による荷重計測が失敗した場合)には、荷重計測部35は荷重値を荷重情報提示部40に表示させない。この場合、荷重情報提示部40の表示は図10における画面50Aの荷重情報提示部40のようになる。
荷重再計測部38は、図7のフローチャートにおけるステップS506で、ステップS504で算出した荷重値(平均荷重値Mavest)を荷重情報提示部40に表示させる信号を表示装置31に出力する。この場合の荷重値は、図10における画面50Cのように、「フロント停止」というメッセージの表示後に荷重情報提示部40に表示される。一方、ステップS506を通過しない場合(つまり、荷重計測部35による荷重計測が成功した場合)には、荷重再計測部38は荷重値を荷重情報提示部40に表示させない。この場合、荷重情報提示部40には荷重計測部35で演算された荷重値が表示される。
図10は、第2実施形態において、荷重計測部35の荷重計測が失敗した後に荷重再計測部38の荷重計測がされた場合の表示装置31の画面遷移図である。図10に示すように、表示装置31の表示画面50(50A,50B,50C)には、コントローラ24の荷重計測部35又は荷重再計測部38により演算された運搬物の荷重が表示される荷重情報提示部40と、荷重計測部35又は荷重再計測部38により演算された運搬物の荷重の積算値が表示される積算情報提示部42が設けられている。
ここで図10を参照し、第2実施形態において、荷重計測部35の荷重計測が失敗した後に、荷重再計測部38の荷重計測がされた場合の画面遷移について説明する。運搬作業中、コントローラ24は荷重計測部35と荷重再計測部38による荷重計測を所定の制御周期で繰り返す(図4のステップS200,図7のステップS500)。この時点では、計測動作判定部34により計測動作が検出されない、又は、計測動作が検出されても計測時間カウントが基準値T1未満なので、図10の画面50Aが示すように荷重情報提示部40にはいずれの荷重値も表示されない。
その後、運搬動作中に計測動作が中断し、計測時間カウント(計測動作の継続時間)が基準値T1以下と判断された場合には、再計測判定部36による再計測判定がTrueになり、コントローラ24は、フロント作業装置12の動作の停止をオペレータに促すメッセージ(「フロント停止」)を再計測推奨部39に表示する(図10の画面50B参照)。
その後、オペレータがメッセージに従って操作レバー23の操作を中断し、停止時間カウント(フロント作業装置12の停止時間)が基準値T2以上に達した場合には、荷重再計測部38は、ステップS504で算出した荷重値(平均荷重値Mavest)を荷重情報提示部40に表示する(図10の画面50C参照)。これにより、荷重計測部35での荷重計測が失敗しても、荷重再計測部38で算出した荷重値を表示装置31に表示してオペレータに提示することができる。上記の構成によれば、オペレータは運搬中の運搬物の荷重を認識でき、ダンプトラックなどへの運搬物の積込時に積込量を調整できる。
<その他>
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本実施形態の説明に用いた油圧ショベル1は上部旋回体11、ブーム13、アーム14、バケット15を有しているが、作業機械の構成はこれに限らず,例えばバケット15の代わりにリフティングマグネットやグラップルなどを備えた構成の作業機械にも本発明は適用可能である。
また、本発明の適用対象は、上記構成のフロント作業装置12を具備した油圧ショベルに限らず、流体圧シリンダとフロント作業装置のモーメントに基づいて運搬荷重が計測可能な作業機械(例えばホイールローダやクレーンなど)であれば、関節数や関節が油圧ショベルと異なっても良い。
上記では油圧シリンダで作業腕12を駆動する油圧ショベルを例に挙げて説明したが、水圧シリンダや空圧シリンダ等の流体圧シリンダで作業腕を駆動する作業機械に適用することも可能である。
コントローラ24の各部は、図2のように1台のコンピュータに搭載する必要は無く、相互通信可能な複数のコンピュータに分散しても良い。この場合、コンピュータの設置場所は作業機械上に限定されない。
姿勢検出装置32は上記のIMU25−28に限らず、油圧シリンダのストロークを検出する測距センサや、関節同士の相対角を取得するポテンショメータやロータリエンコーダ、角速度や加速度を検出するジャイロセンサ、加速度センサ等、姿勢を検出することが可能なデバイスであればいずれを使用してもよい。
圧力検出装置33はブームシリンダ16の圧力を取得する圧力センサ29,30に限らず、アームシリンダ17、バケットシリンダ18及び上部旋回体用の旋回油圧モータ21等のような、作業機械に備え付けられた流体シリンダ及び流体圧モータの駆動圧を取得する圧力センサを必要に応じて利用してもよい。
計測動作判定部34が判定する計測動作は荷重計測中に外乱が少ない動作であり、運搬物が落下しない姿勢であること、計測精度を担保できる姿勢であることが望ましい。そのため計測動作は作業機械の構成によって異なる。本発明を油圧ショベルに適用した場合を説明した上記では、計測動作を、フロント作業装置12に保持した運搬物を油圧シリンダ(ブームシリンダ16)を駆動することにより持ち上げる動作とした。より具体的には、バケット開口面の対地角が運搬物である土砂のこぼれない角度範囲であること、かつ、ブームの持ち上げ速度が一定値以上であることの2つを計測動作の条件としたが、後者の条件の代わりに車体旋回角速度が一定速以上であることを条件としてもよい。また、これら3つすべてを計測動作の条件としても良い。また、バケットの代わりに電磁石(リフティングマグネット)を装備した油圧ショベル(マグネット機)であれば、バケット開口面の対地角の条件の代わりに、電磁石が吸着状態であることを運搬物が落下しない条件してもよい。ホイールローダのような走行中に計測する作業機械であれば、外乱が少ない走行加速度一定範囲内を所定動作に追加してもよい。なお、計測動作の判定に際し、運搬物が車体近傍に位置する場合は、姿勢推定誤差の影響が拡大して精度が低下することから、上記の2又は3条件を満たしている場合でも計測動作から除外してもよい。
計測動作判定部34による解放動作の判定(図3のステップS103)に際しては、バケット15を操作するための操作信号だけでなく、バケット15の対地角や、バケット15を操作するための操作信号の積分値や操作時間、マグネット機であれば磁力で保持した運搬物の解放する際に入力される信号を利用しても良い。
荷重計測部35及び荷重再計測部38による運搬物の荷重演算は、上記の式(1)から(11)を利用するモデルに限定されるものではなく、他の演算式を用いても良い。例えば、ブーム13、アーム14、バケット15それぞれの角度と、ブームシリンダ16の圧力に対する荷重のマップを保持しておき、そのマップと圧力値から荷重を演算してもよい。また、ブーム13,アーム14,バケット15により構成されるフロント作業装置12の運動方程式に含まれる一部の項を除いたものを用いて荷重を演算してもよい。また、シリンダの推力式の補正係数は、気温や気圧、作動油の特性、エンジン回転数など姿勢によらない物理量で補正したものであってもよい。さらに、上記では、荷重値の精度を向上する目的で、ステップS200又はステップS500で演算された複数の荷重値の平均(ステップS202)を最終的な荷重値としたが(ステップS204,S)、この平均化処理は省略しても良い。また、上記の荷重計測部35及び荷重再計測部38は、常に荷重値を演算するように構成されているが、荷重計測部35は計測動作判定がTrueのとき、また、荷重再計測部38は再計測判定がTrueのときに荷重値を演算するように構成しても良い。
再計測判定部36で再計測「要」と判定されたときにフロント作業装置12の動作の停止をオペレータに促す手段は、表示装置31に限られず、音声・ブザーの出力や、ランプの点灯が可能な警報装置など、オペレータにフロント作業装置12の動作の停止を促す旨を報知可能な装置(報知装置)であれば利用可能である。
図8では、操作室22にオペレータが搭乗している場合を想定して、荷重計測部35による運搬動作中の荷重計測が失敗した場合には、フロント作業装置12の停止を促すメッセージを表示装置31に提示する場合を説明したが、遠隔制御や自律制御等により操作室22が無人の場合には、荷重計測の失敗が検出されたら速やかにフロント作業装置12を停止させ、計測部38による計測を完了してから運搬作業に復帰するように油圧ショベルの動作をプログラムしても良い。また、荷重計測が失敗した時刻及び個体の識別情報を外部の端末(例えば管理サーバー)に出力し、油圧ショベルの制御プログラムの改善等に活用しても良い。
図10では、荷重計測部35と荷重再計測部38が算出した荷重値をともに荷重情報提示部40に表示する構成としたが、荷重計測部35と荷重再計測部38が算出した荷重値を画面上に個別に表示しても良い。この場合の具体的な表示画面としては、荷重情報提示部40には荷重計測部35による算出荷重値のみを表示し、荷重再計測部38による算出荷重値が表示される荷重情報再提示部(図示せず)を画面上に追加するものがある。
1…油圧ショベル、10…下部走行体、11…上部旋回体、12…フロント作業装置(作業腕)、13…ブーム、14…アーム、15…バケット、16…ブームシリンダ(流体圧シリンダ)、17…アームシリンダ(流体圧シリンダ)、18…バケットシリンダ(流体圧シリンダ)、24…コントローラ(制御装置)、29…ブームボトム圧センサ、30…ブームロッド圧センサ、31…表示装置(報知装置)、32…姿勢検出装置、33…圧力検出装置、34…計測動作判定部、35…荷重計測部、36…再計測判定部、37…停止判定部、38…荷重再計測部、39…再計測報知部、40…荷重情報提示部、41…積算情報提示部、50…表示画面

Claims (4)

  1. 流体圧シリンダで駆動され、運搬物を運搬する作業腕と、
    前記流体圧シリンダの圧力を検出する圧力検出装置と、
    前記作業腕の姿勢を検出する姿勢検出装置と、
    前記作業腕の姿勢に基づいて前記作業腕が所定の計測動作をしているか否かを判定する計測動作判定部、及び、前記計測動作判定部により前記作業腕が前記所定の計測動作をしていると判定されたときに前記流体圧シリンダの圧力と前記作業腕の姿勢に基づいて前記運搬物の荷重を計測する荷重計測部を有する制御装置とを備えた作業機械において、
    前記制御装置は、
    前記計測動作判定部により前記作業腕が前記所定の計測動作をしている状態から前記所定の計測動作をしていない状態に遷移したと判定されたときに、前記作業腕が前記所定の計測動作をしていた状態が継続した時間に基づいて前記運搬物の荷重の再計測の要否を判定する再計測判定部と、
    前記作業腕の姿勢に基づいて前記作業腕の動作が停止しているか否かを判定する停止判定部と、
    前記再計測判定部により再計測が必要であると判定され、かつ、前記停止判定部により前記作業腕の動作が停止していると判定されたときに、前記流体圧シリンダの圧力と前記作業腕の姿勢とに基づいて前記運搬物の荷重を計測する荷重再計測部とをさらに備え、
    前記再計測判定部により再計測が必要であると判定されたときに、オペレータに前記作業腕の動作の停止を促す旨報知する報知装置をさらに備える
    ことを特徴とする作業機械。
  2. 請求項1の作業機械において、
    前記報知装置は、前記荷重計測部及び前記荷重再計測部で計測された前記運搬物の荷重を表示する表示装置であり、
    前記表示装置は、前記再計測判定部により再計測が必要であると判定され、かつ、前記停止判定部により前記作業腕の動作が停止していると判定されたとき、前記荷重再計測部で計測された前記運搬物の荷重を表示することを特徴とする作業機械。
  3. 請求項1の作業機械において、
    前記所定の計測動作は、前記作業腕に保持した前記運搬物を前記流体圧シリンダを駆動することにより持ち上げる動作であることを特徴とする作業機械。
  4. 請求項1の作業機械において、
    前記荷重再計測部は、前記流体圧シリンダの圧力と、前記作業腕の姿勢と、前記流体圧シリンダに発生する静止摩擦力とに基づいて、前記運搬物の荷重を計測することを特徴とする作業機械。
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