JP2018154744A - 液晶組成物及び液晶素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧OFF時のヘーズが低く、ON時のヘーズが高く、駆動電圧の低い高性能液晶素子の提供。【解決手段】少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板を有し、基板間に、カイラルネマチック液晶相と高分子樹脂相を含む複合体を含む液晶調光層を有する液晶素子。カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性が正であり、一対の電極付き基板間の距離(d)が、2〜100μmであり、かつカイラルネマチック液晶相のカイラルピッチ長(p)と距離(d)の比(d/p)が1以上である液晶素子。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶組成物及び液晶素子と、この液晶素子を用いたスクリーン、ディスプレイ及び窓に関する。詳しくは、偏光板を使用せずに、光透過状態と光散乱状態の切り替えができる液晶素子に用いることのできる液晶組成物及び液晶素子と、この液晶素子を用いたスクリーン、ディスプレイ及び窓に関する。
近年、液晶素子の中でも、液晶と透明な高分子樹脂とを複合して、高分子と液晶又は液晶ドメインと液晶ドメイン間の屈折率差を利用した透過−散乱型液晶素子は、偏光板を必要としないため可視光の利用効率が高く、注目されている。
透過−散乱型液晶素子としては、高分子安定化液晶(PSLC:Polymer−Stabilized Liquid Crystals)及び高分子分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystals)が広く知られている。前者は連続的に広がった液晶相中に、5重量%程度の微量のポリマーが網目状のネットワークとして連なっている。後者は高分子膜中に液晶相の液滴が分散した構造をしている(非特許文献1)。
これらの液晶素子は、電車、自動車等の車両、ビジネスビル、病院等の建物の窓、扉、間仕切り等において、意匠性やプライバシーの保護等を目的とした調光シャッターとして実用化されている。また、文字や図形を表示する表示装置としても用いられている。
このような装置においては、一般に透明状態での使用時間が圧倒的に長いため、省電力の観点から、電圧無印加時に透明で、電圧印加時に散乱状態となるよう動作するリバースモードの電気光学効果を有することが望まれる。
このリバースモードの透過−散乱型液晶素子を実現するためには、一般に、重合性モノマーを添加した液晶組成物を、ホモジニアス、プレナー、ホメオトロピック等の透明状態を保持したまま光硬化させて、液晶と高分子樹脂の複合体を形成する方法が知られている。このような液晶素子として、PSLCとしては誘電率異方性(Δε)が正のカイラルネマチック液晶の相変化による可視光の透過散乱を利用するPSCT(Polymer Stabilized Cholesteric Texture)と、PDLCとしては誘電異方性が負の液晶を使用する方法が知られている。後者は、光透過率の温度依存性が大きい、視野角依存性が大きい、又は液晶が高価である等の問題がある。一方、前者は、光透過率の温度依存性が小さく光透過率の視野角依存性も小さく、また素子の応答速度も速い利点を有しており、有望視されている。
特許文献1〜3には、特定の重合性モノマーを適用することで、電源OFF時の高透明性、電源ON時の高散乱性、高速応答を示す透過−散乱型液晶素子が開示されている。また一般に、PSLC、PDLCともに、液晶組成物を長期保存したり、液晶素子を製造する際に、固形分が析出する等の組成分離が生じると、液晶素子の外観・均一性を損なう不具合を生じるため、ホスト液晶への溶解性が高い重合性モノマーが選択される。
PSLCと類似の技術として、高分子配向維持(PSA:Polymer Sustained Alignment)が知られている。PSA技術では、1重量%以下のごく微量の重合性モノマーを添加した液晶組成物を、液晶素子中で光硬化させて高分子膜を配向膜面に生成し、液晶配向を安定化する。この技術を用いることで、液晶素子の高速応答及び高い電気信頼性が得られることが知られている。特許文献4には、特定の重合性モノマーを適用することで、高速応答を示す液晶素子が開示されている。また、特許文献5には、特定の重合性モノマーを適用することで、重合性モノマーの高いホスト液晶溶解性、高速応答及び高い電気信頼性を示す液晶素子が開示されている。
液晶組成物としては、重合性モノマーの高いホスト液晶溶解性が求められる。また、透過−散乱型液晶素子としては、直流電圧及び/又は交流電圧無印加時(電源OFF時と表すことがある。)の高透明性、直流電圧及び/又は交流電圧印加時(電源ON時と表すことがある。)の高散乱性、高速応答、高い電気信頼性等の特性が求められる。従来、これら特性を個々に改良する方法は示されていたが、これらをすべてバランスよく満たす方法は示されていなかった。
特許文献1〜3で用いられている透過−散乱型液晶素子は長時間に渡って通電を行うと、通電を停止した後も液晶配向が元に戻らず、液晶素子の透明性が損なわれるという電気信頼性の問題があった。
特許文献4及び特許文献5は、PSA技術に最適化されたものであり、散乱モードへのスイッチングはできず、ディスプレイとして使用するには偏光板等の部材を要するため、光利用効率が悪くなる問題があった。これらを透過−散乱型液晶素子へ適用しようとすると、重合性モノマーの高いホスト液晶溶解性、液晶素子の電源OFF時の高透明性、電源ON時の高散乱性、高速応答及び高い電気信頼性のいずれか、又はいずれも不十分であった。
特許文献6には、重合性モノマーのホスト液晶への溶解性に優れた液晶組成物により、電気信頼性に優れ、同時に電源OFF時の高透明性、電源ON時の高散乱性及び高速応答に優れた液晶素子を提供すること目的として、特定の液晶及び重合性モノマーを用いた液晶組成物、液晶調光層中に特定の高分子樹脂を含有する液晶素子を用いたものが提案されているが、駆動電圧が高いために、消費電力が大きく、また高電圧を発生させる電源装置が必要であったり、調光装置の設置時に高電圧を発生させる電源装置の施工が必要であるという課題があった。スクリーンやディスプレイ、更には、建築物の窓等への液晶素子の実用化のためには、電源のOFF/ON時のコントラストの向上のみならず、駆動電圧の低減が望まれる。
国際公開WO2012/133445 特開2014−81630号公報 国際公開WO2014/051002 国際公開WO2004/033584 国際公開WO2011/092973 特開2016−110148号公報
Dierking, I. Adv Mater 2000, 12, 167
特許文献1,2,3,6の方法では、素子製造時における重合性モノマーの重合誘起相分離に伴い、架橋によって透明時のカイラルネマチック液晶のプレナー構造を転写した高分子ネットワーク構造を形成し、同時に高分子樹脂相界面に数十〜数百nmの微細な凹凸構造を形成する。透明時のカイラルネマチック液晶のプレナー構造を転写した高分子ネットワーク構造を形成することで、高分子樹脂相とカイラルネマチック液晶相との界面のアンカリングを由来としてプレナー構造が安定化され、繰り返しスイッチした後も、電源をOFFにすれば低ヘーズ状態に復元する。また、高分子樹脂相界面に数十〜数百nmの微細な凹凸構造を形成することで、電源をONにしてカイラルネマチック液晶相をフォーカルコニック構造にした場合に、液晶ドメインが可視光の散乱に最適なサイズの数百nm〜数千nmへと分散化し、高ヘーズを実現する。一方で、高分子の架橋の密度が十分ではないために、高分子樹脂相界面近傍では高分子中に自由体積が存在し、その中に液晶分子の取りこまれが生じる。高分子に取り込まれた液晶分子は、高電圧を印加しないと配向を変化できなくなるため、駆動電圧が高かった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、電圧OFF時のヘーズがより低く、ON時のヘーズがより高く、かつ、駆動電圧の低い高性能液晶素子と、この液晶素子を有するスクリーン、ディスプレイ及び窓を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カイラルネマチック液晶成分に対し、特定の3官能重合性モノマーと2官能重合性モノマーとを併用した液晶組成物、並びに液晶調光層中にカイラルネマチック液晶成分とこの3官能重合性モノマーと2官能重合性モノマーによる高分子樹脂相を含む複合体を含有する液晶素子を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
[1] 下記式(1)で表される重合性化合物(A)、下記式(2)で表される重合性化合物(B)及びカイラルネマチック液晶成分を含み、誘電率異方性が正であり、かつカイラルピッチ長(p)が0.3μm以上2μm以下である液晶組成物。
Figure 2018154744
[式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、Aは、下記(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)から選ばれる基を表す。
(A−1) 置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基
(A−2) 置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基
(A−3) 置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基
(A−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基
(A−5) 下記式(3)で表される3価の基
Figure 2018154744
[式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)から選ばれる基を表し、Cは水素原子又は任意の置換基を示す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基
(B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基]]
Figure 2018154744
[式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、
及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)〜(B−4)から選ばれる基を表し、m及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表し、n及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基]
[2] 重合性化合物(A)と重合性化合物(B)の合計量に対し、重合性化合物(A)を1〜90重量%含む、[1]に記載の液晶組成物。
[3] 液晶組成物全体に対し、カイラルネマチック液晶成分を50〜99.5重量%含む、[1]又は[2]に記載の液晶組成物。
[4] 少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板を有し、前記基板間に、カイラルネマチック液晶相と高分子樹脂相を含む複合体を含む液晶調光層を有する液晶素子であって、該高分子樹脂相が、下記式(4)で表される構造(a)及び下記式(5)で表される構造(b)を含有し、該カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性が正であり、該一対の電極付き基板間の距離(d)が、100μm以下、2μm以上であり、かつ該カイラルネマチック液晶相のカイラルピッチ長(p)と該距離(d)の比(d/p)が1以上である液晶素子。
Figure 2018154744
[式(4)において、S、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Aは、下記(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)から選ばれる基を表す。
(A−1) 置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基
(A−2) 置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基
(A−3) 置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基
(A−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基
(A−5) 下記式(3)で表される3価の基
Figure 2018154744
[式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)から選ばれる基を表し、Cは水素原子又は任意の置換基を示す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基
(B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基]]
Figure 2018154744
[式(5)において、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、X及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)〜(B−4)から選ばれる基を表し、m及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表し、n及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基]
[5] 前記カイラルネマチック液晶の液晶−等方相転移温度が80℃以上である、[4]に記載の液晶素子。
[6] 前記液晶調光層が高分子安定化液晶である、[4]又は[5]に記載の液晶素子。
[7] 透過−散乱型素子である、[4]乃至[6]のいずれかに記載の液晶素子。
[8] 液晶素子が、偏光板を用いないものである、[4]乃至[7]のいずれかに記載の液晶素子。
[9] 前記液晶素子において、直流電圧及び/又は交流電圧印加時の可視光透過率が、電圧無印加時の可視光透過率よりも低下する領域が存在する、[4]乃至[8]のいずれかに記載の液晶素子。
[10] 直流電圧及び/又は交流電圧印加時のヘーズが70%以上であり、電圧無印加時のヘーズが15%以下である、[4]乃至[9]のいずれかに記載の液晶素子。
[11] [4]乃至[10]のいずれかに記載の液晶素子を用いたスクリーン。
[12] [4]乃至[10]のいずれかに記載の液晶素子を用いたディスプレイ。
[13] [4]乃至[10]のいずれかに記載の液晶素子を用いた窓。
本発明によれば、電圧OFF時のヘーズがより低く、ON時のヘーズがより高く、かつ駆動電圧の低い高性能液晶素子が提供される。
本発明の液晶素子は、少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板と、該基板間にカイラルネマチック液晶相と高分子樹脂相の複合体からなる液晶調光層を挟持する。前記高分子樹脂相が、特定の3官能重合性モノマーに由来する構造(a)と、特定の2官能重合性モノマーに由来する構造(b)とを含有することにより、特許文献1,2,3,6の方法と同様、透明時のカイラルネマチック液晶のプレナー構造を転写した高分子ネットワーク構造を形成し、同時に高分子樹脂相界面に数十〜数百nmの微細な凹凸構造を形成し、電源ON時の高散乱性(高ヘーズ)と電源OFF時の高透明性(低ヘーズ)のコントラストを高くすることができる。さらに、特定の3官能重合性モノマーに由来する構造(a)より、高分子の架橋が密になることで自由体積が減少し、液晶分子の取りこまれを防ぐことができるため、上記コントラストを高く維持した上で、駆動電圧を下げることができる。
本発明の液晶素子は、上記の特性から、スクリーン、ディスプレイ、窓等に有用である。例えば、建物および乗り物の窓、パーテーション等に視野遮断素子として用いることができる。また、公告板、ショーウインドウ、コンピューター端末、プロジェクション等のディスプレイとして利用することができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
〔液晶組成物〕
本発明の液晶組成物は、下記式(1)で表される重合性化合物(A)(以下、「本発明の3官能重合性モノマー(A)」と称す場合がある。)、下記式(2)で表される重合性化合物(B)(以下、「本発明の2官能重合性モノマー(B)」と称す場合がある。)、及びカイラルネマチック液晶成分を含み、誘電率異方性が正であり、かつカイラルピッチ長(p)が0.3μm以上2μm以下であることを特徴とする。
Figure 2018154744
[式(1)において、R、R及び、Rは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、Aは、下記(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)から選ばれる基を表す。
(A−1) 置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基
(A−2) 置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基
(A−3) 置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基
(A−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基
(A−5) 下記式(3)で表される3価の基
Figure 2018154744
[式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)から選ばれる基を表し、Cは水素原子又は任意の置換基を示す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基
(B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基]]
Figure 2018154744
[式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、
及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表し、
及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、
、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)〜(B−4)から選ばれる基を表し、
及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表し、
及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。
(B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
(B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
(B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
(B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基]
[3官能重合性モノマー(A)]
<R、R及びR
前記式(1)で表される本発明の3官能重合性モノマー(A)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表す。不飽和アシル基が有する不飽和結合の種類や数は特に限定されない。また、炭素数も特に限定されないが、3以上が好ましく、また、10以下が好ましく、5以下が更に好ましい。炭素数がこの範囲であることで、重合時の反応性が向上する傾向にある。
、R及びRの不飽和アシル基としては、具体的には、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
これらの中でも、重合時の反応性が向上する点から、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましい。
<A>
前記式(1)で表される本発明の3官能重合性モノマー(A)において、Aは、前述の(A−1)〜(A−5)から選ばれる3価の基である。
以下に、(A−1)〜(A−5)の3価の基について例示するが、これらの基が置換基を有する場合、当該置換基としては、本発明の効果を損なわないものであればよく、特に制限はなく、例えば、フッ素置換されていてもよいアルキル基、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基が、液晶への溶解性の観点から好ましい。また、屈折率または誘電率を調整する観点から、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子も好ましい。
((A−1)置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基)
Aの芳香族炭化水素基としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。3価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環の単環、あるいはこれが2〜4個縮合してなる縮合環から、水素原子を3個除いて得られる3価の基である。
3価の芳香族炭化水素基の炭素数は、6以上であることが好ましく、一方、炭素数は30以下であることが好ましく、26以下がより好ましく、18以下であることが更に好ましい。炭素数がこの範囲であることで、可視光透過率が高く、液晶溶解性が高く、また重合時の反応性が向上する傾向にある。
3価の芳香族炭化水素基の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等から水素原子を3個除いて得られる基が挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高く、液晶への溶解性向上の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、又はトリフェニレン環から水素原子を3個除いて得られる基が好ましい。
3価の芳香族炭化水素基の結合手の位置は、重合反応時に立体障害を及ぼさないよう、互いに隣接しない原子に結合していることが好ましく、例えば、ベンゼン環であれば、1位、3位、5位に、ナフタレン環であれば、1位、3位、6位にあるいは1位、3位、7位に結合手を有することが好ましい。
また、Aの芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては、炭素数1〜4のフッ素化されていてもよいアルキル基、炭素数1〜4のフッ素化されていてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子が好ましく、その置換数についても特に制限はないが、重合時に立体障害を及ぼさない位置に置換基を有することが好ましい。
((A−2)置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基)
Aの芳香族複素環基としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定はされない。3価の芳香族複素環基は、芳香族複素環の単環、あるいはこれが2〜4個縮合してなる縮合環から、水素原子を3個除いて得られる3価の基である。
3価の芳香族複素環基の芳香族複素環を構成する原子数(員数)は、5以上であることが好ましい。一方、芳香族複素環を構成する原子数は30以下であることが好ましく、26以下が更に好ましく、18以下であることが特に好ましい。芳香族複素環を構成する原子数がこの範囲であることで、可視光透過率が高く、液晶溶解性が高く、また重合時の反応性が向上する傾向にある。
3価の芳香族複素環基の具体例としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環等から水素原子を3個除いて得られる基が挙げられる。ここれらの中でも、液晶への溶解度の点から、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環又はオキサジアゾール環から水素原子を3個除いて得られる基が好ましい。
これら3価の芳香族複素環基の結合手の位置は、重合反応時に立体障害を及ぼさないよう、互いに隣接しない原子に結合していることが好ましい。
((A−3)置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基)
Aの3価の脂肪族炭化水素環基としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。3価の脂肪族炭化水素環は、脂肪族炭化水素環の単環、あるいはこれが2〜4個縮合してなる縮合環から、水素原子を3個除いて得られる3価の基である。
3価の脂肪族炭化水素環基の炭素数は、4以上が好ましく、5以上が更に好ましい、また、8以下が好ましく、7以下が更に好ましい。炭素数がこの範囲であることで、液晶との配向の阻害が起こりにくくなるために好ましい。
3価の脂肪族炭化水素環の具体例としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、デカヒドロナフタレン環、ヒドリンダン環、テトラヒドロジシクロペンタジエン環、アダマンタン環から水素原子を3個除いて得られる基が挙げられるが、重合反応時に立体障害を及ぼさないよう、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環が好ましく、その結合手は、互いに隣接しない原子に結合していることが好ましく、シクロヘキサン環であれば1,3,5位、シクロヘプタン環であれば1,3,5位あるいは1,3,6位、シクロオクタン環であれば1,3,5位あるいは1,3,6位が好ましい。
((A−4)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基)
Aの芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基(ただし、上記(A−1)置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基、(A−2)置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基、(A−3)置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基に含まれるものを除く。)としては、これらの環の2以上が縮合したものであればよく、縮合環を構成する環の組み合わせ等には特に制限はないが、好ましくは、2〜4個縮合してなるものである。
((A−5)式(3)で表される3価の基)
Aの前記式(3)で表される3価の基のうち、Cが任意の置換基である場合、その置換基としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。具体的には、炭素数1〜9のフッ素化されていてもよいアルキル基、炭素数1〜9のフッ素化されていてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子が好ましく、重合時に立体障害を及ぼさず、かつ液晶溶解性を確保する観点から水素原子またはメチル基が好ましいが、Cは、特に水素原子であることが重合時に立体障害を及ぼさない観点から好ましい。
式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、前記(B−1)〜(B−5)から選ばれる基を表すが、(B−1)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、(B−2)置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環、(B−3)置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基、(B−4)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基としては、Aの3価の基として例示した芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、脂肪族炭化水素環基、縮合環基に対応する2価の基(即ち、水素原子を3個ではなく、2個除いた基)が挙げられ、好ましい基、これらの基が置換基を有する場合の置換基の種類や好ましい置換基も同様である。
(B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基としては、例えば、ビフェニレン基、ターフェニレン基、フェニレンシクロヘキシレン基、ビシクロヘキシレン基等が挙げられる。
本発明の3官能重合性モノマー(A)としては、R、R及びRが、それぞれ独立に、アクリロイル基又はメタクリロイル基、好ましくはR、R及びRが同一であり、Aがベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環の3価の基であるか、前記式(3)で表される基であって、Cが水素原子で、B、B及びBがいずれも、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、或いは芳香族複素環基であるものが好ましい。
本発明の3官能重合性モノマー(A)の具体的な化合物を以下に例示するが、本発明の3官能重合性モノマー(A)は何ら以下の例示化合物に限定されるものではない。
以下において、「Me」はメチル基である。
Figure 2018154744
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本発明の液晶組成物は、これらの本発明の3官能重合性モノマー(A)の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
[2官能重合性モノマー(B)]
<R及びR
前記式(2)で表される本発明の2官能重合性モノマー(B)において、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基であり、その不飽和アシル基としては、前記式(1)におけるR、R及びRの不飽和アシル基として例示したものが挙げられ、好ましいものも同様である。
<X及びX
前記式(2)で表される本発明の2官能重合性モノマー(B)において、X及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基であり、直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1,2−シクロブタンジイル基、1,3−シクロブタンジイル基、1,2−シクロペンタンジイル基、1,3−シクロペンタンジイル基、1,4−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基、1,2−シクロヘキサンジイル基、1,3−シクロヘキサンジイル基、1,4−シクロヘキサンジイル基、1,1−シクロヘプタンジイル基、1,2−シクロヘプタンジイル基、1,3−シクロヘプタンジイル基、1,4−シクロヘプタンジイル基等が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、1,3−シクロブタンジイル基、1,3−シクロペンタンジイル基、1,4−シクロペンタンジイル基、1,4−シクロヘキサンジイル基、1,3−シクロヘキサンジイル基、1,3−シクロヘプタンジイル基、1,4−シクロヘプタンジイル基である。
上記アルキレン基の炭素数は4以上が好ましく、5以上が更に好ましい。また、8以下が好ましく、7以下が更に好ましい。アルキレン基の炭素数が、この範囲であることで、液晶との配向を阻害しない傾向にある。
及びXの組合せは特に限定されず、同一でも、異なっていてもよいが、製造方法の容易さから、同一であることが好ましい。X及びXが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でも炭素数が1〜6のアルキル基及びアルコキシ基が、液晶への溶解性の観点から好ましい。
<Y及びY
前記式(2)で表される本発明の2官能重合性モノマー(B)において、Y及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、可視光透過率および液晶溶解性の観点から、好ましくは直接結合、−CH−、−C−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、であり、より好ましくは直接結合、−COO−、−OCO−である。
また、これらのうち、水素原子を有する基の水素原子が、置換基で置換されている場合、その置換基としては、フッ素置換されていてもよいアルキル基、フッ素置換されていてもよいアルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中でもフッ素置換されていてもよい炭素数が1〜4のアルキル基及びフッ素置換されていてもよい炭素数が1〜4のアルコキシ基が、液晶への溶解性の観点から好ましい。
<B、B及びB
前記式(2)で表される本発明の2官能重合性モノマー(B)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、前記(B−1)、(B−2)、(B−3)、及び(B−4)から選ばれる基を表し、これらの基としては、前記式(3)におけるB、B及びBの(B−1)置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、(B−2)置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基、(B−3)置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基、(B−4)置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基として例示したものが挙げられ、好ましいものも同様である。
<m及びm
及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表す。これらの中でも、液晶への溶解性向上の点から、0、1又は2が好ましく、特に、m及びmは0であることが、重合時の反応性が向上する傾向となるため、好ましい。
<n及びn
及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。これらの中でも、液晶への溶解性向上の点から、n及びnは、0、1又は2が好ましい。
特に、n及びnは0であることが、重合時の反応性が向上する傾向となるため、好ましい。
本発明の2官能重合性モノマー(B)の具体的な化合物を以下に例示するが、本発明の2官能重合性モノマー(B)は何ら以下の例示化合物に限定されるものではない。
以下において、「Me」はメチル基である。
Figure 2018154744
Figure 2018154744
Figure 2018154744
Figure 2018154744
本発明の液晶組成物は、これらの本発明の2官能重合性モノマー(B)の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
<他の重合性モノマー>
本発明の液晶組成物は、本発明の3官能重合性モノマー(A)及び2官能重合性モノマー(B)以外の他の重合性モノマーを含んでいてもよい。
本発明の液晶組成物が含んでもよい他の重合性モノマーとしては、例えば、特開平9−90328号公報に記載の1官能(メタ)アクリルモノマー、2官能(メタ)アクリルモノマー、3官能以上の多官能(メタ)アクリルモノマー等の重合性モノマー、(メタ)アクリルオリゴマー等の重合性のオリゴマー等が使用できる。
ビニルモノマーとしては、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
本発明の液晶組成物は、これらの他の重合性モノマーの1種のみを含むものであってもよく、2種類以上含むものであってもよい。
[カイラルネマチック液晶成分]
本発明の液晶組成物は、誘電率異方性が正であり、かつカイラルピッチ長(p)が0.3μm以上2μm以下のものであり、従って、本発明の液晶組成物に用いるカイラルネマチック液晶成分としては、この条件を満たすことができるものが使用される。
<誘電率異方性・カイラルピッチ長(p)>
本発明の液晶組成物及び本発明の液晶組成物に用いるカイラルネマチック液晶成分は、誘電率異方性が正である。本発明のカイラルネマチック液晶成分の誘電率異方性が正であることで、リバースモード、ノーマルモード及びメモリモードの透過−散乱型素子として使用することができる。
本発明において、誘電率異方性の値(Δε)は正であれば特に限定されないが、5以上であることが好ましく、8以上であることが、液晶素子の駆動電圧低減のために好ましい。また、本発明の液晶組成物に後述の重合開始剤を使用する場合、カイラルネマチック液晶成分を構成する個々の分子が重合開始剤の吸収波長に重なる波長の吸収を持たないことが、重合性モノマーの重合時間を短くする点で好ましい。
カイラルネマチック液晶成分としては、液晶自体がコレステリック相を示す液晶性化合物の集合体であってもよく、ネマチック液晶にカイラル剤を添加することでカイラルネマチック液晶としたものであってもよい。液晶組成物設計の観点では、目的に応じてネマチック液晶にカイラル剤を添加し、カイラルピッチ長(p)及び液晶−等方相転移温度(Tni)を制御することが好ましい。
例として、リバースモードのPSCT素子として使用する場合を説明する。
立ち上がりの応答時間τを短くするためには、液晶調光層の電極基板間へなるべく高い電圧を印加した方が有利である。ところが印加電圧が高すぎると、ホメオトロピック相へと相転移してしまい、十分な光散乱が得られなくなるというジレンマがある。この課題を解決するためには、カイラルネマチック液晶のカイラルピッチ長(p)と、対向して配置される一対の電極付き基板の基板間の距離(d)の関係d/pが1以上であることが好ましい。更に好ましくは2以上、特に好ましくは4以上である。また、20以下であることが好ましく、12以下であることが特に好ましい。
d/pが大きいほど、駆動時の散乱が大きくなり、遮光特性が向上する。またd/pが大きいほど、フォーカルコニック構造からホメオトロピック構造への閾値電圧が高くなり、高電圧を印加しても光透過状態へ相転移せず、光散乱状態を維持することができる。そのため立ち上がりの応答時間τを短くすることができる。一方で液晶素子の駆動電圧(プレナー構造からフォーカルコニック構造への閾値電圧)も同時に増加するため、遮光特性と省エネや安全性の両立の観点から、上記の範囲内に収めることが好適である。
本発明の液晶組成物及び本発明のカイラルネマチック液晶成分のカイラルピッチ長(p)は、0.3μm以上であり、0.8μm以上が好ましい。一方、2μm以下であり、1.5μm以下が好ましい。
pが上記下限値以上であることで、液晶素子の駆動電圧が低く抑えられる傾向があり、上記上限値以下であることで、コントラストが高くなる傾向となる。
一般にpはカイラル剤の濃度に反比例するので、必要なpの値から逆算してカイラル剤の濃度を決定すればよい。なお、p×n(nはカイラルネマチック液晶の屈折率)が可視光波長(380nm〜800nm)の範囲内にある場合、最終的に得られる液晶素子は電圧無印加時に有色となり、可視光範囲外にある場合は電圧無印加時に無色透明になるので、目的に応じてpを選択すればよい。
また、後述の本発明の、液晶素子の対向して配置される一対の電極付き基板の基板間の距離(d)は、使用するカイラルネマチック液晶のp以上である必要があり、2μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、100μm以下であり、20μm以下が好ましい。
電圧を印加していない状態での液晶素子の光透過率は、dの増加に対して減少し、また、表示素子の応答時間も長くなる場合がある。一方で、dが小さすぎることで、駆動時の遮光特性が低減し、また大面積の液晶素子の場合、液晶素子が短絡してしまう場合がある。dが上記範囲であることで、これらの要求性能をバランスよく満足することができる。
カイラルネマチック液晶のTniは、液晶素子の動作可能な温度上限がカイラルネマチック液晶のTniにより決定されることから50℃以上が好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上が特に好ましい。一方、Tniが高くなると粘度が高くなる傾向があるので、200℃以下が好ましく、150℃以下が更に好ましい。
なお、カイラルネマチック液晶の誘電率異方性の値(Δε)、液晶−等方相転移温度(Tni)、カイラルピッチ長(p)は後述の実施例の項に記載の方法に従って測定される。また、Δεは液晶組成物または液晶相に含まれる各構成分子それぞれの誘電率異方性から、加成則で算出することもできる。
<カイラルネマチック液晶化合物>
カイラルネマチック液晶化合物としては、公知のいずれでもよく、構成分子の分子骨格、置換基、分子量に制限は特になく、合成品でも市販品でもよい。ネマチック液晶の誘電率異方性は正で大きいことが、液晶素子のカイラルネマチック液晶相及び液晶組成物のカイラルネマチック液晶の誘電率異方性を正とするために好ましい。また、前述の通り、重合開始剤を用いる場合、構成分子が構成する個々の分子が開始剤の吸収波長に重なる波長の吸収を持たないことが、重合性モノマーの重合時間を短くする点で好ましい。また、2色性色素等、液晶素子の光学・電気特性を妨害しない範囲で種々の添加物を含んでいてもよい。
公知の液晶性物質を用いる場合、具体的には日本学術振興会第142委員会編;「液晶デバイスハンドブック」日本工業新聞社(1989年)、第152頁〜第192頁及び液晶便覧編集委員会編;「液晶便覧」丸善株式会社(2000年)、第260頁〜第330頁に記載されているようなビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサン系、ハロゲン化アルキル系、トラン系等の各種低分子系の化合物又は混合物を使用することができる。また、液晶便覧編集委員会編;「液晶便覧」丸善株式会社(2000年)、第365頁〜第415頁に記載されているような高分子系化合物又は混合物を使用することもできる。ネマチック液晶を構成する他の化合物としては例えば、以下の化合物等が挙げられる。なお、本発明において、液晶化合物とは、25℃、1気圧下で液晶状態をとる化合物を指す。また、本発明において液晶状態とは、化合物の集合体において、並進対称性が失われているが、配向規則性が保たれている状態を意味し、低分子で構成される液晶化合物であれば、一般に流動性と異方性を有する状態を意味する。液晶の定義に関しては、「液晶便覧」丸善株式会社(2000年)、第1頁〜第7頁に詳しく記載されている。
Figure 2018154744
また、本発明で用いるカイラルネマチック液晶化合物は、下記式(6)、(7)、又は(8)で表される化合物であってもよい。
Figure 2018154744
[式(6)、(7)、(8)において、
〜Sは、それぞれ独立に、水素原子、或いは置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルコキシル基を表し、
〜Yは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、シアノ基のいずれかを表し、Y〜Yのいずれか一つはフッ素原子であり、Y〜Yのいずれか一つはフッ素原子であり、
〜Bは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、下記(9a)〜(9h)のいずれかの基を表し、
〜nは、それぞれ独立に、0又は1を表す。]
Figure 2018154744
以下に式(6)、(7)又は(8)で表される化合物について説明する。
(式(6)で表される化合物)
上記式(6)において、Sは水素原子、或いは置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルコキシル基であり、Sとしては特に炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシル基であることが、Δn、Δε、及びTniの値を高いものとし、さらに重合性モノマーの溶解性を良好なものとする観点から好ましく、とりわけ炭素数2〜6の直鎖アルキル基であることが好ましい。なお、Sが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δε、Tniのそれぞれを高い値とし、さらに重合性モノマーの溶解性を良好なものとする観点から、Sは置換基を有さないことが好ましい。
また、上記式(6)において、Y〜Yはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シアノ基のいずれかであり、Y〜Yのうちのいずれか一つはフッ素原子であるが、Y〜Yのうち、水素原子の数が0または1であることがΔnの値を大きく、Δεの値を高いものとし、また、良好な耐光性を得る観点から好ましく、特に、シアノ基の数が0または1であることが好ましい。
(式(7)で表される化合物)
上記式(7)において、Sは水素原子、或いは置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルコキシル基であり、Sとしては特に炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシル基であることが、Δn、Δε、Tniのそれぞれを高い値とし、さらに重合性モノマーの溶解性を良好なものとする観点から好ましく、とりわけ炭素数2〜6の直鎖アルキル基であることが好ましい。なお、Sが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δε、及びTniのそれぞれを高い値とし、さらに重合性モノマーの溶解性を良好なものとする観点から、Sは置換基を有さないことが好ましい。
また、上記式(7)において、Y〜Yはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シアノ基のいずれかであり、Y〜Yのうちのいずれか一つはフッ素原子であるが、Y〜Yのうち、水素原子の数が0または1であることがΔn及びΔεの値を大きなものとし、さらに耐光性を良好なものとする観点から好ましく、特に、シアノ基の数が0または1であることが好ましい。
また、式(7)において、前記(9a)〜(9h)のいずれかの基のうち、Bは、(9a)、(9b)、(9g)、(9h)のいずれかであることが好ましく、特に(9b)、(9g)、(9h)のいずれかであることが液晶温度範囲の観点から好ましい。Bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δεを高い値とし、耐光性を良好なものとする観点からBは置換基を有さない方が好ましい。
また、Bは、前記(9a)〜(9h)のいずれかの基のうち、(9a)、(9b)、(9c)、(9d)、(9e)、(9f)のいずれかであることがΔn、Δε、及びTniのそれぞれを高い値とし、さらに耐光性を良好なものとする観点から好ましく、特に(9c)、(9d)、(9e)、(9f)のいずれかであることが好ましい。Bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δεを高い値とし、耐光性を良好なものとする観点からBは置換基を有さない方が好ましい。
また、Bは、前記(9a)〜(9h)のいずれかの基のうち、(9a)又は(9b)であることが好ましく、特に(9a)であることがΔn、Δε、Tni、のそれぞれを高い値とし、かつ良好な耐光性を得る観点からの観点から好ましい。Bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、高Δn、高Δε、高耐光性の観点からBは置換基を有さない方が好ましい。
式(7)において、nは0又は1であるが、好ましくはn=0である。
(式(8)で表される化合物)
上記式(8)において、S,Sは、それぞれ独立に、水素原子、或いは置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数1以上、10以下のアルコキシル基であり、Sとしては特に炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルコキシル基であることが、Δn、Δε、Tniのそれぞれを大きな値とし、さらに重合性モノマーの溶解性の観点から好ましく、とりわけ炭素数2〜6の直鎖アルキル基であることが好ましい。なお、Sが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δε、Tniのそれぞれを高い値とし、さらに重合性モノマーの溶解性の観点から、Sは置換基を有さないことが好ましい。また、Sとしては特に炭素数2〜8のアルキル基、又はアルコキシ基であることが、Δn、Δε、Tniを大きな値とし、さらに重合性モノマーの溶解性の観点から好ましく、とりわけ炭素数2〜6の直鎖アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。なお、Sが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δε、Tniのそれぞれを高い値とし、さらに重合性モノマーの溶解性の観点から、Sは置換基を有さないことが好ましい。
また、式(8)において、Bは、前記(9a)〜(9h)のいずれかの基のうち(9a)又は(9b)であることが好ましく、特に(9b)であることが液晶温度範囲の観点から好ましい。Bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、高Δn、高Δε、高耐光性の観点からBは置換基を有さない方が好ましい。
また、Bは、前記(9a)〜(9h)のいずれかの基のうち(9a)又は(9b)であることが好ましく、特に(9b)であることが液晶温度範囲の観点から好ましい。Bが有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、フッ素原子であるが、Δn、Δεを高い値とし、耐光性を良好なものとする観点からBは置換基を有さない方が好ましい。
式(8)において、n,nは0又は1であるが、好ましくはn=0、n=0である。
本発明の液晶組成物は、上記の液晶化合物の1種のみを含むものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
[カイラル剤]
カイラル剤としては、光学活性を示す化合物であればいずれでもよく、合成品でも市販品でよく、また、自身が液晶性を示すものでもよいし、更には重合性の官能基を有していてもよい。また、右旋性でも左旋性でもよく、右旋性のカイラル剤と左旋性のカイラル剤を併用してもよい。ただし、本発明に用いるカイラル剤としては上記液晶化合物に該当する化合物は除くものとする。
また、カイラル剤としては、それ自身の誘電異方性が正に大きく、粘度の低いものが液晶素子の駆動電圧低減及び応答速度の観点から好ましく、カイラル剤が液晶をねじる力の指標とされるHelical Twisting Powerが大きいほうが好ましい。また、重合開始剤を用いる場合には、開始剤の吸収波長に重なる波長の吸収を持たないことが好ましい。
カイラル剤の市販品としては、例えばCB15(商品名 メルク社製)、C15(商品名 メルク社製)、S−811(商品名 メルク社製)、R−811(商品名 メルク社製)、S−1011(商品名 メルク社製)、R−1011(商品名 メルク社製)等が挙げられる。
[重合開始剤]
本発明の重合性モノマーを重合させるために、本発明の液晶組成物は重合開始剤を含むことが好ましい。従って、重合開始剤は特に限定されないが、重合性モノマーとの重合反応性、化学構造、分子量、開始剤効率等を選択、調整することで、前記高分子樹脂相のピーク面積比を特定の範囲とし、本発明の効果を得ることができる。
重合開始剤には光や熱等の種々の物理的な要因で分子内開裂したり、他分子から水素を引き抜いてラジカルを発生したりするラジカル重合開始剤があるが、中でも熱をかけることなく液晶の相転移温度以下で重合させることができるラジカル系光重合開始剤が、液晶に対する熱影響が小さい点で好ましい。
<ラジカル系光重合開始剤>
ラジカル系光重合開始剤としては、分子構造には特に制限はないが、ホスト液晶であるカイラルネマチック液晶への溶解可能な化合物を選択するのが好ましい。また、本発明の液晶組成物を構成する分子は典型的に波長350nm以下の紫外光吸収を持つため、ラジカル系光重合開始剤自体は波長350nm以上の光でラジカル化するものを選択することが好ましい。
ラジカル系光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイド系、アルキルフェノン系、チタノセン系、多ハロゲン化合物、シアニン色素のアルキルホウ素塩、トリアリールビイミダゾール等が挙げられ、中でも、アシルホスフィンオキサイド系、アルキルフェノン系のラジカル系光重合開始剤が好ましく、中でもアシルホスフィンオキサイド系のラジカル系光重合開始剤が重合効率の点から特に好ましい。
アシルホスフィンオキサイド系のラジカル系光重合開始剤としては、例えば、公知のモノアシルフォスフィンオキサイド誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド誘導体、トリスアシルフォスフィンオキサイド誘導体等を用いることができる。市販品としては、Lucirin TPO(商品名、BASF社製)、IRGACURE 819(商品名、BASF社製)等のモノアシルフォスフィン誘導体が挙げられる。
[液晶組成物中の成分化合物の含有量]
本発明の液晶組成物中の重合性モノマー、即ち、本発明の3官能重合性モノマー(A)及び2官能重合性モノマー(B)と必要に応じて用いられる他の重合性モノマーの合計の含有割合は、好ましくは0.1重量%以上、10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、特に好ましくは6.5重量%以下である。また、より好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1重量%以上である。重合性モノマーの含有量が上記下限以上であることで十分量の高分子ネットワーク構造を形成することができるため電源OFF時のヘーズが下がり、上記上限以下であることで高分子樹脂相界面に数十〜数百nmの微細な凹凸構造を形成することができるために電源ON時のヘーズを高くすることができる。
なお、本発明の液晶組成物は、本発明の3官能重合性モノマー(A)と2官能重合性モノマー(B)とを併用することによる効果をより一層有効に得る観点から、液晶組成物中の全重合性モノマー中に占める本発明の3官能重合性モノマー(A)及び2官能重合性モノマー(B)の割合は、30重量%以上であることが好ましく、この割合は、より好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%である。
また、本発明の3官能重合性モノマー(A)による駆動電圧低減の効果と、本発明の2官能重合性モノマー(B)による高コントラストの効果を有効に得るために、本発明の液晶組成物は、本発明の3官能重合性モノマー(A)と本発明の2官能重合性モノマー(B)との合計100重量%中に3官能重合性モノマー(A)を1〜90重量%、2官能重合性モノマー(B)を99〜10重量%含むことが好ましく、3官能重合性モノマー(A)を2〜80重量%、2官能重合性モノマー(B)を98〜20重量%含むことがより好ましく、3官能重合性モノマー(A)を5〜70重量%、2官能重合性モノマー(B)を95〜30重量%含むことがさらに好ましく、3官能重合性モノマー(A)を10〜50重量%、2官能重合性モノマー(B)を90〜50重量%含むことが最も好ましい。3官能重合性モノマー(A)の含有量が上記下限以上で2官能重合性モノマー(B)の含有量が上記上限以下であると高分子樹脂相の架橋密度を大きくすることができるために駆動電圧がより低下する傾向があり、3官能重合性モノマー(A)の含有量が上記上限以下で2官能重合性モノマー(B)の含有量が上記下限以上であると高分子樹脂相の分子量が十分大きくなるため、高分子ネットワーク構造が形成されやすくなり高コントラスト化する傾向がある。
また、本発明の液晶組成物中のカイラルネマチック液晶成分の含有割合は、液晶組成物中、通常好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であり、一方、好ましくは99.5重量%以下、より好ましくは99.0重量%以下、さらに好ましくは98.0重量%以下である。カイラルネマチック液晶成分の含有割合が、この範囲であることで、液晶素子の透明性や光学応答特性のバランスが得られる傾向にある。
カイラル剤は、カイラルネマチック液晶成分の合計量に対して1〜50重量%程度用いることが好ましい。
なお、ここで、カイラルネマチック液晶成分とは、前述の液晶化合物と、カイラル剤との合計に該当する。
本発明の液晶組成物が重合開始剤を含む場合、液晶組成物中の重合開始剤の含有割合は、液晶組成物中、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上であり、一方、通常5重量%以下、好ましくは、1重量%以下である。この範囲であることで、重合が十分に進行し、液晶組成物から得られる液晶素子の繰り返し使用に対する耐久性及び透明時のヘーズが良好となる傾向がある。
[その他成分]
本発明の液晶組成物は、光安定剤、抗酸化剤、増粘剤、重合禁止剤、光増感剤、接着剤、消泡剤、界面活性剤等を含有していてもよい。
[液晶組成物の製造方法]
本発明の液晶組成物の製造方法は特に限定はないが、公知の攪拌機や振盪機等で液晶組成物の成分化合物を混合させることで製造することができる。混合の際には、加熱を行ってもよい。加熱する場合、加熱温度は、成分化合物が熱反応を起こさない温度であれば、特に制限はない。
[液晶組成物の物性]
<カイラルピッチ長(p)>
前述の通り、本発明の液晶組成物のカイラルピッチ長(p)は、0.3μm以上であり、0.8μm以上が好ましく、0.9μm以上がより好ましい。一方、2μm以下であり、1.5μm以下が好ましく、1.2μm以下がより好ましい。
pが上記下限値以上であることで、得られる液晶素子の駆動電圧が低く抑えられる傾向があり、上記上限値以下であることで、コントラストが高くなる傾向となる。
<液晶−等方相転移温度(Tni)>
本発明の液晶組成物は室温(25℃)でコレステリック相を示すように設計され、その液晶−等方相転移温度(Tni)は40℃以上が好ましく、更に60℃以上が好ましく、特に80℃以上が好ましい。本発明の液晶組成物のTniが上記下限未満では、重合時の光源や反応熱に由来する温度上昇で、液晶構造が破壊される場合があることが懸念される。一方、Tniが高くなると粘度が高くなる傾向があるので、200℃以下が好ましく、150℃以下が更に好ましい。
[液晶組成物の使用]
本発明の液晶組成物は、その硬化物を含む層を、後述の通り、液晶素子の対向配置された一対の基板間に存在させることで、液晶材料として使用される。
〔液晶素子〕
本発明の液晶素子は、光透過状態と光散乱状態とで切り替えが可能(透過−散乱型)である。光透過状態と光散乱状態の切り替えは、液晶素子に含まれる少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板を有し、前記基板間に、液晶相と高分子樹脂相を含む複合体を含む液晶調光層を電気駆動することで実現できる。液晶調光層としては、光透過状態と光散乱状態を電気駆動により切り替えることのできる透過−散乱型の液晶相と高分子樹脂相の複合体を使用することができる。
高分子樹脂相が後述の式(4)で表される特定の構造(a)と式(5)で表される特定の構造(b)とを有することにより、電圧OFF時はヘーズが低く、ON時はヘーズが高くなり、かつその駆動電圧が低くなる。即ち、式(4)で表される構造(a)により、高分子樹脂相の架橋密度が大きくなり、駆動電圧が低下し、式(5)で表される構造(b)により、透明時のカイラルネマチック液晶のプレナー構造を転写した高分子ネットワーク構造を形成し、同時に高分子樹脂相界面に数十〜数百nmの微細な凹凸構造を形成するため電源OFF時のヘーズが低下し、電源ON時のヘーズが上昇する。
本発明の液晶素子は、少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板を有し、前記基板間に、カイラルネマチック液晶相と高分子樹脂相を含む複合体を含む液晶調光層を有する液晶素子であって、該高分子樹脂相が、下記式(4)で表される構造(a)及び下記式(5)で表される構造(b)を含有し、該カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性が正であり、該一対の電極付き基板間の距離(d)が、100μm以下、2μm以上であり、かつ該カイラルネマチック液晶相のカイラルピッチ長(p)と該距離(d)の比(d/p)が1以上であることを特徴とする。
Figure 2018154744
[式(4)において、S、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Aは、式(1)におけるAと同義であり、好ましいものも同じである。]
Figure 2018154744
[式(5)において、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、X、X、Y、Y、B、B、B、m、m、n及びnは、それぞれ、式(2)におけるX、X、Y、Y、B、B、B、m、m、n及びnと同義であり、好ましいものも同じである。]
[基板]
基板の材質としては、例えば、ガラスや石英等の無機透明物質、金属、金属酸化物、半導体、セラミック、プラスチック板、プラスチックフィルム等の無色透明或いは着色透明、又は不透明のものが挙げられる。
電極は、その基板の上に、例えば、金属酸化物、金属、半導体、有機導電物質等の薄膜を基板全面或いは部分的に、既知の塗布法や印刷法やスパッタ等の蒸着法等により形成される。また、導電性の薄膜形成後に部分的にエッチングしたものでもよい。特に大面積の液晶素子を得るためには、生産性及び加工性の面からPET等の透明高分子フィルム上にITO(酸化インジウムと酸化スズの混合物)電極をスパッタ等の蒸着法や印刷法等を用いて形成した電極基板を用いることが望ましい。なお、基板上に電極間或いは電極と外部を結ぶための配線が設けられていてもよい。例えば、セグメント駆動用電極基板やマトリックス駆動用電極基板、アクティブマトリックス駆動用電極基板等であってもよい。
更に、基板上に設けられた電極面上が、ポリイミドやポリアミド、シリコン、シアン化合物等の有機化合物、SiO、TiO、ZrO等の無機化合物、又はこれらの混合物よりなる保護膜や配向膜で全面或いは一部が覆われていてもよい。なお、基板は、液晶を基板面に対して配向させるよう配向処理されていてもよく、配向処理されている場合、接触する液晶組成物がプレナー構造をとるならば、いずれの配向処理を用いても構わない。例えば、2枚の基板ともホモジニアス配向であってもよいし、一方がホモジニアス配向で、他方がホメオトロピック配向である、いわゆるハイブリッドであっても構わない。これらの配向処理には、電極表面を直接ラビングしてもよく、TN液晶、STN液晶等に用いられるポリイミド等の通常の配向膜を使用してもよい。
また、配向膜の製造法に、基板上の有機薄膜に直線偏光等の異方性を有する光を照射して膜に異方性を与える、いわゆる光配向法を用いることもできる。なお、液晶素子の製造時に、未重合の液晶組成物の配向を基板面に対して制御できれば必ずしも基板の配向処理は必要としない。すなわち、後述の本発明の液晶組成物は光重合させる前に、液晶組成物を流動させたり、せん断応力をかけたりする等の方法により、液晶組成物が配向してプレナー構造をとらせることができる。
対向する基板は、周辺部に適宜、基板を接着支持する樹脂体を含む接着層を有してもよい。
本発明における液晶素子の端面あるいは液晶組成物の注入口を、粘着テープ、熱圧着テープ、熱硬化性テープ等のテープ類、又は/及び、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化型樹脂、室温硬化型接着剤、嫌気性接着剤、エポキシ系接着剤、シリコ−ン系接着剤、フッ素樹脂系接着剤、ポリエステル系接着剤、塩化ビニル系接着剤等の硬化性樹脂類や熱可塑性樹脂類等で封止することで、内部の液晶等の染み出しを防ぐことができる。また、この封止により、液晶素子の劣化を防ぐ効果が得られる場合もある。その際の端面の保護法としては、端面を全体に覆ってもよいし、端面から液晶素子内部に硬化性樹脂類や熱可塑性樹脂類を流し込み固化させてもよく、更にこの上をテープ類で覆ってもよい。
対向配置される基板間には、球状又は筒状のガラス、プラスチック、セラミック、あるいはプラスチックフィルム等のスペーサーを存在させてもよい。スペーサーは、本発明の液晶組成物の成分として含有させることで、基板間の液晶調光層中に存在させてもよく、液晶素子組み立ての際に基板上に散布したり、接着剤と混合して接着層の中に存在させたりしてもよい。
[液晶調光層]
本発明の液晶素子に含まれる液晶調光層(以下、「本発明の液晶調光層」と称す場合がある。)は、カイラルネマチック液晶相及び高分子樹脂相を含む複合体を含む、好ましくは高分子安定化液晶(連続的に広がった液晶相中に、前記重合性モノマーに由来するポリマーが網目状のネットワークが形成されているもの)である。
本発明の液晶調光層は、閾値以上の実効値を持つ、直流電圧、交流電圧、パルス電圧又はそれらの組み合わせによって光透過状態と光散乱状態とを切り替えることができる。液晶調光層としては、電圧無印加時に光透過状態で電圧印加状態に光散乱状態になるリバースモードの駆動をするものでもよいし、電圧無印加時に光散乱状態で電圧印加状態に光透過状態になるノーマルモードの駆動をするものでもよい。また、光透過状態と光散乱状態の切り替え時のみ電圧印加を行うメモリモードの駆動をするものでもよい。
このように本発明の液晶組成物はリバースモード、ノーマルモード及び、メモリモードのいずれの液晶素子にも適用することができる。リバースモードの液晶素子を製造する方法は、例えば特表平06−507505号等に開示されている。また、ノーマルモードの液晶素子を製造する方法は、例えば特表平06−507505号や特開平07−043690号等に開示されている。本発明の液晶組成物を用いてメモリモードの液晶素子を製造する方法は、例えば、特表平7−507083号等に開示されている。
液晶調光層として、PSCTを用い、リバースモードで使用する場合、液晶素子への電圧が無印加の時、液晶らせん軸がほぼ全て基板に対して垂直方向を向くプレナー構造となり、光透過状態をとる。一方、液晶調光層の電極基板間に電圧を印加することで、誘電異方性が正である液晶らせん軸が、ランダムな方向を向くフォーカルコニック構造へと相転移し、光散乱状態となる。この2つの相をスイッチングすることで、液晶素子のヘーズを制御することができる。
液晶調光層として、PDLCを用い、ノーマルモードで使用する場合、液晶素子への電圧が無印加の場合、高分子樹脂相に分散された液晶相の液晶らせん軸は、高分子樹脂相による強い束縛によりランダムな方向を向くフォーカルコニック構造となり、光散乱状態となる。一方、液晶調光層の電極基板間に電圧を印加することで、誘電異方性が負である液晶分子長軸が、基板と垂直な方向を向くホメオトロピック相となり、光透過状態となる。
本発明の液晶調光層は、カイラルネマチック液晶相と特定の分子構造を持つ高分子樹脂相を含むものであれば、PSLC及びPDLC等の素子方式に制限は無く、これらを用いることで、高い電気信頼性、並びに電源OFF時の高透明性、電源ON時の高散乱性、高速応答等を達成することができる。
本発明の液晶調光層は、PSLCであることがより好ましい。PSLCの特徴としては、高分子樹脂相が網目状のポリマーネットワーク構造をしており、また、液晶相と高分子樹脂相の合計に対する高分子樹脂相の割合が10重量%以下であり、液晶調光層中で液晶相が連続的に繋がった構造であることが挙げられる。PSLCは液晶相と高分子樹脂相との界面での弾性相互作用が大きく、液晶素子の立ち下がりの応答速度が他方式に比べて速い利点がある。また、液晶素子への電圧無印加時の透明性と電圧印加時の散乱強度を十分に高めることができる。
液晶調光層中の液晶相と高分子樹脂相の割合は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。高分子樹脂相が液晶相と高分子樹脂相の合計に対し、10重量%以下であることが好ましく、7重量%以下であることが更に好ましい。また、0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることが更に好ましい。液晶相と高分子樹脂相の合計に対する高分子樹脂相の割合が0.1重量%以上であることで、高分子樹脂相が機械的に強靭となり、液晶素子の繰り返し耐久性に優れる傾向となる。また、液晶分子が十分な界面相互作用を受けられるため、液晶素子の透過散乱のコントラスト及び応答速度が向上する場合がある。一方で、液晶相と高分子樹脂相の合計に対する高分子樹脂相の割合が10重量%以下であることで、駆動電圧の上昇が抑えられ、液晶素子の透明性が高くなる傾向にある。
本発明の液晶調光層は、液晶相と高分子樹脂相以外にも他の成分を含んでもよい。例えば色素を含んでいてもよい。具体的には、液晶に2色性の色素を添加し溶解させた状態で用いることができる。
液晶に色素を添加した場合、色素の分子配向に基づく固有の吸収波長、すなわち、2色比に応じた特定波長の光の吸収、透過及び散乱の各特性を液晶分子の動きに応じて電気的に制御できる調光・光学素子部材として用いることが可能となる。具体的には、色素を有することで、特定波長の成分だけを強く吸収したり、散乱を強めたりすることが可能となることで、波長異方性を補完することができる。これにより、素子の応用先に応じて目的の演色効果を設計することが可能となる。
[高分子樹脂相]
本発明の液晶調光層に含まれる高分子樹脂相(以下、「本発明の高分子樹脂相」と称す場合がある。)は、前記式(4)で表される構造(a)(以下、単に「構造(a)」と称す。)と前記式(5)で表される構造(b)(以下、単に「構造(b)」と称す。)を含有するものであり、好ましくは前述の本発明の液晶組成物を用いて、3官能重合性モノマー(A)と2官能重合性モノマー(B)を重合させることにより構成される。
本発明の高分子樹脂相は、構造(a)と構造(b)による前述の効果をより有効に得る観点から、構造(a)と構造(b)の合計に対して、構造(a)を1〜90重量%、構造(b)を100〜99重量%含むことが好ましく、構造(a)を5〜70重量%、構造(b)を95〜30重量%含むことがより好ましく、構造(a)を10〜50重量%、構造(b)を90〜50重量%含むことがさらに好ましい。
構造(a)の含有量が上記下限以上で、構造(b)の含有量が上記上限以下であると高分子樹脂相の架橋密度を大きくすることができるために駆動電圧がより低下する傾向があり、構造(a)の含有量が上記上限以下で、構造(b)の含有量が上記下限以上であると高分子樹脂相の分子量が十分大きくなるため、高分子ネットワーク構造が形成されやすくなるため高コントラスト化する傾向がある。
<他の成分>
本発明の高分子樹脂相は、前述の3官能重合性モノマー(A)と2官能重合性モノマー(B)を重合させた高分子樹脂を含むものであり、構造(a)及び(b)以外にも本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の成分及び構造を含んでもよい。
本発明の高分子樹脂相が構造(a)及び(b)以外の他の構造を含む場合、本発明の高分子樹脂相に含まれる構造(a)及び(b)と他の構造の比率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、構造(a)及び(b)が30重量%以上であるのが好ましく、更に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは80重量%以上である。
本発明の高分子樹脂相中の構造(a)及び(b)の割合が適当な範囲であることで、短時間での液晶素子製造、高いコントラスト、低い駆動電圧等が十分に得られる傾向にある。本発明の高分子樹脂相中の構造(a)及び(b)の含有量の上限は、100重量%である。
本発明の高分子樹脂相が含んでいてもよい、構造(a)及び(b)以外の他の構造の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2018154744
上記式において、R100〜R109は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、X100は、任意の1価の置換基を表し、X101は、任意の2価の連結基を表し、X102は、任意の3価の連結基を表し、
103は、任意の4価の連結基を表す。
100の例としては、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭素数6〜20の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、炭素数5〜20の置換基を有していてもよい芳香族複素環基、炭素数3〜20の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素環等が挙げられる。X101の例としては、−O−、−S−、炭素数1〜20の置換基を有していてもよく、炭素原子が酸素原子または硫黄原子に置き換わってもよく、炭素−炭素単結合が炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合に置き換わってもよい2価のアルキレン基等が挙げられる。
102の例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2018154744
上記式において、Cは前記式(3)におけるCと同義であり、Dは炭素原子またはケイ素原子を表し、Eは窒素原子またはリン原子を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよく、炭素原子が酸素原子または硫黄原子に置き換わってもよく、炭素−炭素単結合が炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合に置き換わってもよい2価のアルキレン基、前記式(3)におけるB〜B等が挙げられ、このうちZ〜Zの全てがB〜Bの場合を除く。
103の例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2018154744
上記式において、Dは炭素原子またはケイ素原子を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜20の置換基を有していてもよく、炭素原子が酸素原子または硫黄原子に置き換わってもよく、炭素−炭素単結合が炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合に置き換わってもよい2価のアルキレン基、前記式(3)におけるB〜B等が挙げられる。
なお、本発明の高分子樹脂相が有する高分子樹脂が共重合体である場合、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
[カイラルネマチック液晶相]
本発明の液晶素子に含まれるカイラルネマチック液晶相は、本発明の液晶組成物のカイラルネマチック液晶成分の説明において記載したカイラルネマチック液晶成分と同義であり、具体例、好ましい範囲等も同義である。
本発明の液晶素子のカイラルネマチック液晶相は、誘電率異方性が正である。カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性が正であることで、リバースモード、ノーマルモード及びメモリモードの透過−散乱型素子として使用することができる。
カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性の値(Δε)は正であれば特に限定されないが、5以上であることが好ましく、8以上であることが、液晶素子の駆動電圧低減のために好ましい。
前述の通り、カイラルネマチック液晶相としては、液晶自体がコレステリック相を示す液晶性化合物の集合体であってもよく、ネマチック液晶にカイラル剤を添加することでカイラルネマチック液晶としたものであってもよい。液晶組成物設計の観点では、目的に応じてネマチック液晶にカイラル剤を添加し、カイラルピッチ長(p)及び液晶−等方相転移温度(Tni)を制御することが好ましい。
また、カイラルネマチック液晶相のカイラルピッチ長(p)と、対向して配置される一対の電極付き基板の基板間の距離(d)の関係d/pが1以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは4以上である。一方、d/pは20以下であることが好ましく、12以下であることが特に好ましい。
d/pが大きいほど、駆動時の散乱が大きくなり、遮光特性が向上する。またd/pが大きいほど、フォーカルコニック構造からホメオトロピック構造への閾値電圧が高くなり、高電圧を印加しても光透過状態へ相転移せず、光散乱状態を維持することができる。そのため立ち上がりの応答時間τを短くすることができる。一方で液晶素子の駆動電圧(プレナー構造からフォーカルコニック構造への閾値電圧)も同時に増加するため、遮光特性と省エネや安全性の両立の観点から、上記の範囲内に収めることが好適である。
カイラルネマチック液晶相のpは、0.3μm以上が好ましく、0.8μm以上が更に好ましい。一方、2μm以下が好ましく、1.5μm以下が更に好ましい。
pが上記下限値以上であることで、液晶素子の駆動電圧が低く抑えられる傾向があり、上記上限値以下であることで、コントラストが高くなる傾向となる。
一般にpはカイラル剤の濃度に反比例するので、必要なpの値から逆算してカイラル剤の濃度を決定すればよい。なお、p×n(nはカイラルネマチック液晶の屈折率)が可視光波長(380nm〜800nm)の範囲内にある場合、最終的に得られる液晶素子は電圧無印加時に有色となり、可視光範囲外にある場合は電圧無印加時に無色透明になるので、目的に応じてpを選択すればよい。
本発明の液晶素子の対向して配置される一対の電極付き基板の基板間の距離(d)は、使用するカイラルネマチック液晶のp以上である必要があり、2μm以上が好ましく、3μm以上が更に好ましく、5μm以上が特に好ましい。また、100μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。
電圧を印加していない状態での液晶素子の光透過率は、dの増加に対して減少し、また、表示素子の応答時間も長くなる場合がある。一方で、dが小さすぎることで、駆動時の遮光特性が低減し、また大面積の液晶素子の場合、液晶素子が短絡してしまう場合がある。dが上記範囲であることで、これらの要求性能をバランスよく満足することができる。
カイラルネマチック液晶相のTniは、液晶素子の動作可能な温度上限がカイラルネマチック液晶のTniにより決定されることから50℃以上が好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上が特に好ましい。一方、Tniが高くなると粘度が高くなる傾向があるので、200℃以下が好ましく、150℃以下が更に好ましい。
なお、カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性の値(Δε)、液晶−等方相転移温度(Tni)、カイラルピッチ長(p)は、後述の実施例の項に記載の液晶組成物の誘電率異方性の値(Δε)、液晶−等方相転移温度(Tni)、カイラルピッチ長(p)の測定方法と同様に測定される。また、Δεは液晶組成物または液晶相に含まれる各構成分子それぞれの誘電率異方性から、加成則で算出することもできる。
[液晶素子の製造方法]
本発明の液晶素子の液晶調光層は、例えば、スペーサーを介して対向配置される一対の電極付き基板周辺部を光硬化性接着剤等で接着層を形成して封止セルとし、あらかじめ1つ以上設けた接着層の切り欠きに常圧又は真空中で、前述の本発明の液晶組成物に浸して注入するか、或いは、一方の基板上にコーターを使用して前述の本発明の液晶組成物を塗布し、その上に他方の基板を重ねる等の公知の方法で挟持させた後、紫外光、可視光、電子線等の放射線によって重合・硬化することで形成することができる。
プラスチックフィルム基板の場合、連続で供給される電極付き基板を2本のゴムロール等で挟み、その間に、スペーサーを含有分散させた本発明の液晶組成物を供給して挟み込み、その後連続で光硬化させることで、連続生産が可能であり、生産効率を高めることができる。
いずれの方法においても、基板に配向処理が施されていない場合は、未硬化の液晶組成物を光硬化させる前に液晶組成物を流動させたり、せん断応力をかけたりする等の方法により、液晶組成物が配向してプレナー構造をとらせる必要がある。具体的には、配向処理されていない封止セル中に本発明の液晶組成物を注入することで、液晶組成物にプレナー構造をとらせることができる。
本発明の液晶組成物中の重合性モノマーを重合させる方法は光重合が好ましい。この中でも、紫外線による重合が特に好ましい。また、光重合の光源としては、用いるラジカル光重合開始剤の吸収波長にスペクトルを有するものならいずれでもよく、典型的には220nm以上450nm以下の波長の光を照射可能な光源ならばいずれでもよい。例としては高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、UV−LED、青色LED、白色LED等が挙げられる。そのほか、熱線カットフィルタ、紫外線カットフィルタ、可視光カットフィルタ等を併用してもよい。光は液晶素子の透明基板上から少なとも一面に照射すればよく、液晶組成物を挟持する基板が両方とも透明である場合には、両面とも光照射してもよい。光照射は一度に行ってもよいし、数回に分割して行ってもよい。光の放射照度を液晶素子の厚み方向に分布を持たせ、高分子樹脂相の密度を連続的に変化させた、いわゆるPSCOF(Phase Separated Composite Organic Film)(V. Vorflusevand S. Kumar, Science 283, 1903 (1999))としてもよい。
光重合の場合に、基板間の液晶組成物に照射される光の放射照度は、通常0.01mW/cm以上、好ましくは1mW/cm以上、さらに好ましくは10mW/cm以上、特に好ましくは30mW/cm以上である。放射照度が小さすぎると重合が十分進行しない傾向となる。また、液晶組成物の光重合には、通常、2J/cm以上、好ましくは3J/cm以上の積算照射量を与えればよい。
光照射時間は光源の放射強度に応じて決定すればよいが、生産性を高める観点から通常200sec以内、好ましくは60sec以内に光照射を完了するのがよく、一方、10sec以上光照射するのが好ましい。光照射時間が短すぎると液晶素子の繰り返し耐久性が劣る場合がある。プラスチックフィルム基板を用いて大面積のシート状液晶素子を製造する場合は、光源又はシートを移動させながら連続で光照射する方法をとることもでき、光源の放射照度に応じてその移動速度を調節すればよい。
液晶組成物を重合させる際の温度は、通常0℃以上、40℃以下であることが好ましい。温度が上記下限以上であると、重合反応が進みやすくなる傾向にある。一方、温度が上記上限以下であると、重合反応に伴って蓄積した熱による素子の温度上昇を抑制することができ、液晶の相転移温度以下で重合することが可能となる。従って、液晶配向に局所的に乱れを生じさせず、液晶素子の光学特性や駆動耐久性等に影響を与えにくくなる。
上記のようにして形成される液晶調光層は、薄膜状の透明高分子中にカイラルネマチック液晶が粒子状に分散又は連続層を形成しているが、最も良好なコントラストを示すのは連続層を形成している場合である。
[液晶素子の駆動]
本発明の液晶素子は、電圧を印加するか、又は、電圧印加状態から電圧無印加状態に戻すことで、透明状態から散乱状態(不透明状態)へスイッチングすることができる。本発明の液晶素子は、リバースモードで使用可能な液晶素子であるため、電圧印加時の可視光透過率が電圧無印加時の可視光透過率よりも低下する領域が存在する。
また、本発明の液晶素子は、光学変調を光散乱のスイッチングで行うため、偏光板を用いずに表示を行うことができる。従って、本発明の液晶素子は透過率が50%を上回ることができ、光の利用効率が高いものである。
なお、ここでの電圧は、交流及び/又は直流の電圧を指す。
本発明の実施形態の1つとして、透明体として光透過状態と光散乱状態を切り替え可能な液晶素子を用いたスクリーンを使用し、スクリーンが光散乱状態の時にプロジェクター等で投影した映像を結像させ、視認可能にするシースルー表示をすることが挙げられる。具体的には、スクリーンが光散乱状態である時又は光透過状態から光散乱状態となる間に、プロジェクター等が液スクリーンの一部又は全体に対して画像を投影し、前記スクリーン子が光透過状態の時に、プロジェクター等による画像の投影を行わないように、スクリーンと画像投影機の同期を行なうものである。
この同期切り替えを、人間の目では追随できない速度で繰り返すことによって、スクリーンに画像が投影された時に、画像が浮き出て見えるのである。これらの用途において、液晶素子には高応答性、高コントラスト、特定のヘーズ値が求められ、本発明の液晶素子は好適に用いることができる。
本発明のリバースモードの液晶素子を透明状態から散乱状態へスイッチングするには、カイラルネマチック液晶相がプレナー構造からフォーカルコニック構造へ相転移するだけの電圧を電極間に印加すればよい。印加波形は直流、交流、パルス、あるいはそれらの合成波等、特に制限はない。直流電圧の場合、好ましくは0.5msec以上、交流電圧の場合、正弦波、矩形波、三角波、又はそれらの合成波のいずれでもよく、好ましくは100kHz以下の周波数で0.5msec以上、パルス波の場合、好ましくはパルス幅0.5msec以上を印加することでスイッチングできる。
なお、液晶素子の駆動電圧は、直流電圧では通常、60V以下、好ましくは30V以下であり、交流電圧では通常、120Vp−p以下、好ましくは90Vp−p以下、パルス電圧では最大値が60V以下、好ましくは最大値が30V以下である。
本発明の液晶素子の動作温度上限はカイラルネマチック液晶相のTniであるが、低温では応答時間が長くなる傾向があるため、動作温度範囲としては、好ましくは−10℃以上、更に好ましくは0℃以上である。また、好ましくは60℃以下であり、更に好ましくは40℃以下である。
[液晶素子の調光性能]
<液晶素子のヘーズ・平行光線透過率>
本発明の液晶素子のヘーズは、直流電圧及び/又は交流電圧無印加時(電源OFF時)に15%以下であるのが好ましく、直流電圧及び/又は交流電圧印加時(電源ON時)に70%以上であることが好ましい。特に電源OFF時10%以下で電源ON時90%以上であるのが特に好ましい。室内、蛍光灯のもとでは、ヘーズが15%を超えると曇りが目立ち、70%未満では液晶素子向こう側のシルエットが見えてくる傾向がある。
また、本発明の液晶素子の平行光線透過率は、好ましくは電源OFF時75%以上、電源ON時15%以下が好ましく、電源OFF時80%以上、電源ON時10%以下が特に好ましい。室内、蛍光灯のもとでは75%未満では薄暗く、15%を超えると正面にある物体が見えてしまう傾向がある。
なお、本発明において、液晶素子のヘーズの測定及び平行光線透過率の測定は、JIS K7136(2000年)に従って測定される。
<液晶素子の駆動電圧>
本発明の液晶素子の駆動電圧は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される駆動電圧として、100Vp−p以下であることが好ましく、70Vp−p以下であることが好ましい。駆動電圧の下限については特に制限はないが、通常10Vp−p以上である。
[液晶素子の用途]
本発明の液晶組成物及び液晶素子は、液晶素子及びディスプレイ等に用いることができる。例えば、建物の窓、パーテーション及びショーウインドウ等の視野遮断のための液晶素子や、高速応答性を以って電気的に表示を切り替えることによって、公告板等のディスプレイやプロジェクションのパネルとして利用することができる。
プロジェクションのシステムは、フロントプロジェクション、リアプロジェクション等が挙げられ、特に限定されない。例えば、特開平6−82748号公報又は国際公開WO2009/150579号で示されているリアプロジェクションシステムや、特開2010−217291号公報で示されているコヒーレント光を光源とするプロジェクションシステムを挙げることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
<液晶組成物の液晶−等方相転移温度(Tni)の測定方法>
液晶組成物を一旦相溶させ、温度上昇による相転移を、偏光顕微鏡によって観察することにより得た。
<液晶組成物の誘電率異方性(Δε)の測定方法>
液晶の誘電率異方性(Δε)は、Δε=ε−εで求めた。εは、液晶分子の長軸方向の誘電率であり、εは、液晶分子の単軸方向の誘電率である。
誘電率ε(ε及びε)は、ε=Cd/S(Cは液晶の静電容量を表す。dは液晶相の厚さを表す。Sは2枚の電極基板の電極の重なり部分の面積を表す。)により求めた。
<液晶組成物のピッチ長(p)の測定方法>
液晶組成物をホモジニアス配向処理された電極層付き透明ガラス基板から成るギャップ12μmの空セルに注入し、分光光度計で測定される選択反射波長λからp=λ/n(ただし、nは液晶組成物の屈折率)により求めた。
<液晶素子の駆動電圧の測定方法>
液晶セルに100Hzの矩形波を印加し、ヘーズが飽和値まで上昇した電圧を駆動電圧と定義した。ヘーズの測定法は下記<液晶素子のヘーズの測定方法>と同様である。
<液晶素子のヘーズの測定方法>
液晶素子のヘーズは、JIS K7136に従い、室温(25℃)で、ヘーズメータ NDH5000SP(日本電色社製)により測定した。液晶の駆動は100Hzの矩形波を印加し、測定電圧は各例毎に後述の値として測定を行った。
[実施例1]
表−1に示す液晶組成物L1を調製した。液晶組成物L1はΔε=10.1、p=1.2μm、Tni=88℃であった。
この液晶組成物L1を、2枚のホモジニアス配向処理された電極層付き透明ガラス基板がギャップ12.0μm隔て(d/p=10)、それぞれの電極が内向きに対向するように配置したセルに注入法で挟み込み、接着剤で封口した。25℃で12時間静置した後、25℃で、波長365nmのUV露光を照射量2400mJ/cm行い、液晶素子E1−Iとした。液晶素子E1のカイラルネマチック液晶相は、Tni=94℃、Δε=10.7、p=1.2μmであった。
液晶素子E1は駆動電圧が55Vp−p、OFF時のヘーズが2.5%、ON時(60Vp−p印加)のヘーズが97.4%であった。
Figure 2018154744
[実施例2]
表−2に示す液晶組成物L2を調製した。液晶組成物L2はΔε=10.1、p=1.2μm、Tni=88℃であった。
この液晶組成物L2を用い、実施例1と同様の方法で液晶素子E−2を作成した。液晶素子E−2のカイラルネマチック液晶相は、Tni=94℃、Δε=10.7、p=1.2μmであった。
液晶素子E−2は駆動電圧が60Vp−p、OFF時のヘーズが3.8%、ON時(70Vp−p印加)のヘーズが97.6%であった。
Figure 2018154744
[比較例1]
表−3に示す液晶組成物L3を調製した。液晶組成物L3はΔε=10.1、p=1.2μm、Tni=89℃であった。
この液晶組成物L3を用い、実施例1と同様の方法で液晶素子E−2を作成した。液晶素子E−2のカイラルネマチック液晶相は、Tni=94℃、Δε=10.7、p=1.2μmであった。
液晶素子E−2は駆動電圧が70Vp−p、OFF時のヘーズが3.1%、ON時(80Vp−p印加)のヘーズが97.7%であった。
Figure 2018154744
[実施例3]
表−4に示す液晶組成物L4を調製した。液晶組成物L4はΔε=10.1、p=1.2μm、Tni=90℃であった。
この液晶組成物L4を用い、実施例1と同様の方法で液晶素子E−4を作成した。液晶素子E−4のカイラルネマチック液晶相は、Tni=94℃、Δε=10.7、p=1.2μmであった。
液晶素子E−4は駆動電圧が70Vp−p、OFF時のヘーズが1.2%、ON時(80Vp−p印加)のヘーズが97.6%であった。
Figure 2018154744
[比較例2]
表−5に示す液晶組成物L5を調製した。液晶組成物L5はΔε=10.1、p=1.2μm、Tni=92℃であった。
この液晶組成物L5を用い、実施例1と同様の方法で液晶素子E−5を作成した。液晶素子E−5のカイラルネマチック液晶相は、Tni=94℃、Δε=10.7、p=1.2μmであった。
液晶素子E−5は駆動電圧が80Vp−p、OFF時のヘーズが1.6%、ON時(90Vp−p印加)のヘーズが96.1%であった。
Figure 2018154744
上記の実施例1,2,3及び比較例1,2の結果を表−6にまとめて示す。
Figure 2018154744
表−6より、本発明の液晶組成物を用いて作成した液晶素子は、駆動電圧が低く、電圧OFF時のヘーズが低く、一方で、電圧ON時のヘーズが高く、調光素子としての性能に優れたものであることが分かる。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される重合性化合物(A)、下記式(2)で表される重合性化合物(B)及びカイラルネマチック液晶成分を含み、誘電率異方性が正であり、かつカイラルピッチ長(p)が0.3μm以上2μm以下である液晶組成物。
    Figure 2018154744
    [式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、Aは、下記(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)から選ばれる基を表す。
    (A−1) 置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基
    (A−2) 置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基
    (A−3) 置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基
    (A−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基
    (A−5) 下記式(3)で表される3価の基
    Figure 2018154744
    [式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)から選ばれる基を表し、Cは水素原子又は任意の置換基を示す。
    (B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
    (B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
    (B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
    (B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基
    (B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基]]
    Figure 2018154744
    [式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、不飽和アシル基を表し、
    及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表し、
    及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、
    、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)〜(B−4)から選ばれる基を表し、
    及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表し、
    及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。
    (B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
    (B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
    (B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
    (B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基]
  2. 重合性化合物(A)と重合性化合物(B)の合計量に対し、重合性化合物(A)を1〜90重量%含む、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 液晶組成物全体に対し、カイラルネマチック液晶成分を50〜99.5重量%含む、請求項1又は2に記載の液晶組成物。
  4. 少なくとも一方が透明な基板であり、対向して配置される一対の電極付き基板を有し、前記基板間に、カイラルネマチック液晶相と高分子樹脂相を含む複合体を含む液晶調光層を有する液晶素子であって、
    該高分子樹脂相が、下記式(4)で表される構造(a)及び下記式(5)で表される構造(b)を含有し、
    該カイラルネマチック液晶相の誘電率異方性が正であり、
    該一対の電極付き基板間の距離(d)が、100μm以下、2μm以上であり、かつ
    該カイラルネマチック液晶相のカイラルピッチ長(p)と該距離(d)の比(d/p)が1以上である液晶素子。
    Figure 2018154744
    [式(4)において、S、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、Aは、下記(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)及び(A−5)から選ばれる基を表す。
    (A−1) 置換基を有していてもよい3価の芳香族炭化水素基
    (A−2) 置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基
    (A−3) 置換基を有していてもよい3価の脂肪族炭化水素環基
    (A−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される3価の縮合環基
    (A−5) 下記式(3)で表される3価の基
    Figure 2018154744
    [式(3)において、B、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)及び(B−5)から選ばれる基を表し、Cは水素原子又は任意の置換基を示す。
    (B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
    (B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
    (B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
    (B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基
    (B−5) 上記(B−1)〜(B−4)のうちのいずれか2以上の基を単結合で連結してなる2価の基]]
    Figure 2018154744
    [式(5)において、S及び、Sは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、
    及びXは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を表し、
    及びYは、それぞれ独立に、直接結合、或いは、それぞれ水素原子が置換されていてもよい、−CH−、−C−、−CH=CH−、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH−、−C≡C−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−、−OCH−、−CHO−、−S−、−SCH−、又は−CHS−を表し、
    、B及びBは、それぞれ独立に、下記(B−1)〜(B−4)から選ばれる基を表し、
    及びmは、それぞれ独立に、0以上、6以下の整数を表し、
    及びnは、それぞれ独立に、0以上、4以下の整数を表す。
    (B−1) 置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基
    (B−2) 置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基
    (B−3) 置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素環基
    (B−4) 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環及び脂肪族炭化水素環のうちのいずれか1種以上で構成される2価の縮合環基]
  5. 前記カイラルネマチック液晶の液晶−等方相転移温度が80℃以上である、請求項4に記載の液晶素子。
  6. 前記液晶調光層が高分子安定化液晶である、請求項4又は5に記載の液晶素子。
  7. 透過−散乱型素子である、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の液晶素子。
  8. 液晶素子が、偏光板を用いないものである、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の液晶素子。
  9. 前記液晶素子において、直流電圧及び/又は交流電圧印加時の可視光透過率が、電圧無印加時の可視光透過率よりも低下する領域が存在する、請求項4乃至8のいずれか1項に記載の液晶素子。
  10. 直流電圧及び/又は交流電圧印加時のヘーズが70%以上であり、電圧無印加時のヘーズが15%以下である、請求項4乃至9のいずれか1項に記載の液晶素子。
  11. 請求項4乃至10のいずれか1項に記載の液晶素子を用いたスクリーン。
  12. 請求項4乃至10のいずれか1項に記載の液晶素子を用いたディスプレイ。
  13. 請求項4乃至10のいずれか1項に記載の液晶素子を用いた窓。
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