JP2018151708A - 設計システムの制御方法、および設計システム - Google Patents
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Abstract
【課題】設計システムが3Dモデルに付与された注記情報を解析し、部品の加工前または加工後の特性に係る特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状を認識し配置関係を検証できるようにする。【解決手段】設計システムは、サーバー8、CAD端末9を備える。サーバー8は、例えば下記の各機能ブロックを有する。3D注記蓄積部1は、3DCADデータから注記情報を検索する。3D注記製造情報認識部3は、注記情報から部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する。配置制約比較検証部6は、認識された特性情報の形状と、部品の形状またはフィーチャー形状の配置態様との組み合わせが、所定条件に適合するか検証する。不適合が生じた場合は、通知情報をCAD端末9のディスプレイ608中の当該の不適合が生じた部品の特定部位に対応する、出力位置に出力する(通知メッセージ表示部7)。【選択図】図1
Description
本発明は、CAD端末を介して前記部品の設計支援処理を行う設計システムの制御方法、およびその設計システムに関する。
各種の工業製品の部品などの設計において、3DCADシステムが利用されている。3DCAD端末では、複雑な形状を有する部品の3Dモデルを仮想的な3D表示を用いて出力でき、また、マウスやトラックパッドなどのポインティングデバイスを用いたGUIにより、3Dモデルの一部を新たに入力したり編集したりすることができる。3Dモデルでは、一定の特性を持つ形状や部位を「フィーチャー」などと呼ばれることがある。3DCADを利用した設計支援システムでは、このような形状、フィーチャーの作成/編集機能に加え、作成、編集した3Dモデルを2Dや3Dの図面の画像情報を出力する機能を有する。
この種の設計支援システムでは、近年では、注記(アノテーションなどと呼ばれる場合もある)を付与する機能が用いられることがある。この注記(アノテーション)情報は、例えば設計者の設計意図を加工作業者などに伝達するために用いることができる。3D表示中では、注記(アノテーション)情報は、例えば寸法情報や、その他の任意の文字列などから成る記事と、当該記事と3Dモデル中の特定部位とを関連づける引き出し線などによって表現される。
一方、3DCADによる設計時に製造上の制約等が充分考慮されていない場合には、3DCADによって設計した部品の実際の加工、製造の段階において、設計者の意図をそのまま実現できない場合もある。そこで、設計を行う担当者と製造を行う担当者間において3Dモデル形状に対して製造上の問題点を解決する期間を設けるコンカレント設計の動きがとられている。このコンカレント設計を実現しようとすると、担当者間での問題点調整といった時間的なロスが生じて、3Dモデル形状の完成後直ちに製造を開始できず、開発期間が長引く問題もある。
そこで、3DCADデータの作成履歴で表わされるフィーチャーやモデル形状に対し、サイズや配置制約について製造上の制約に照らし合わせて修正方法改善案を提示する技術が知られている(例えば下記の特許文献1)。特許文献1の構成では、製造上許容される形状のサイズ制約、形状間の許容される配置距離制約、および個々の形状とモデル外形端などとの製造上許容される配置距離制約において適合しない場合に、対象個所を表示装置に表示する。
さらに、あるフィーチャーが製造上の制約により不適合と判定した場合に、適切なその形状や位置を提案する技術も提案されている(例えば下記の特許文献2)。製造上の制約に関する設計ルールデータベースを用いて、設計ルールとの不適合を解消すべく、フィーチャーの形状位置を特定し、ユーザーに配置してもよい場所を指し示し、作業誘導を行う。
また、設計者が指定した3DCADモデル上の面や線に関する後続の工程、例えば加工工程に情報伝達するシステムも提案されている(例えば下記の特許文献3)。これにより、設計者は3Dモデルの特定の形状やフィーチャーに対し上記の注記情報とほぼ同様の属性情報を付与して後工程に伝達することができる。
上述のいずれの従来技術でも、3Dモデルに付与できる注記情報や属性情報は、主に文字列によって表現され、設計者や加工作業者などのユーザーによって解釈される。例えば、特許文献3のように、3Dモデルに直接情報を付与し情報伝達を行う方法においても、注記情報の受容側のユーザーに注意喚起を促す目的での使用しか想定されていない。
例えば、他の仕様書や2D図面などの記載の参照情報や加工上の注意事項などを注記情報として3Dモデルに付与しても、システムはその内容を解釈したり、解析したりすることができない。例えば注記情報で2D図面のような他の書類の参照が指示されている場合には、その通り注記情報の受容側のユーザーが書類を参照する作業を行わなければならない。もし、注記情報の受容側のユーザーが注記情報を無視したり、注記情報に適切に対処できなければ、意図通りに工程が進まない可能性がある。
本発明の課題は、部品の設計システムが3Dモデルに付与された注記情報を解析し、注記情報から部品の加工前または加工後の特性に係る特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状を認識し、それらの配置関係を検証できるようにすることにある。
上記課題を解決するため、本発明においては、出力装置、および、部品の3Dモデルの形状またはフィーチャーを記述する3DCADデータを変更または入力する編集手段を備えたCAD端末と、前記CAD端末を介して前記部品の設計支援処理を行う制御手段と、を備えた部品設計システムの制御方法において、前記制御手段が、前記3DCADデータから注記情報を検索する注記情報検索行程と、前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報から、当該部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する特性情報認識行程と、前記特性情報認識行程で認識された特定の特性情報の形状、および、前記3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状の配置態様と、製造上の制約情報と、を比較する特性情報検証行程と、前記特性情報検証行程において、製造上の制約情報との不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた前記部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力するメッセージ出力行程と、を実行する構成を採用した。
上記構成によれば、3Dモデルに付与された注記情報を解析し、注記情報から部品の加工前または加工後の特性に係る特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状を認識し、それらの配置関係を検証することができる。そして、本発明によれば、柔軟に運用でき、拡張性の高い優れた部品設計(支援)システムを提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す各種の構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
以下に示す部品設計システムでは、出力装置(ディスプレイ608)と、編集手段(ユーザーインターフェース装置607)を備えたCAD端末(9)が用いられる。CAD端末(9)は、部品の3Dモデルの形状またはフィーチャーを記述する3DCADデータを変更または入力するために用いられる。CAD端末(9)を介して部品の設計支援処理を行う制御手段は、サーバー(8)として実装するか、あるいはスタンドアローンのCAD端末(9)に実装することもできる。設計支援処理を行う制御手段の制御主体は、具体的には例えばサーバー(8)かCAD端末(9)のCPU(601)によって構成することができる。
上記の制御手段(例えばサーバー(8)かCAD端末(9)のCPU(601))の制御機能は、次のような制御工程(または制御機能ブロック)を実行する(図1(a))。
(1)3DCADデータから注記情報を検索する注記情報検索行程(3D注記蓄積部1)。
(2)前記注記情報検索行程(1)により検索された前記注記情報から、当該部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する特性情報認識行程(3D注記製造情報認識部3)。
(3)認識された特定の特性情報の形状、および、3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された特定の形状またはフィーチャーの配置態様と、製造上の制約情報と、を比較する特性情報検証行程(配置制約比較検証部6)。あるいは、この特性情報検証行程(配置制約比較検証部6)は、認識された特定の特性情報の形状と、部品の特定の形状またはフィーチャー形状の配置態様との組み合わせが、所定条件に適合するか検証する。
(4)上記不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力するメッセージ出力行程(通知メッセージ表示部7)。
また、前記制御手段(8)は、さらに次のような制御工程(または制御機能ブロック)を実行するものであってよい(図1(a))。
(5)検索された前記注記情報から、当該部品の加工に係わるフィーチャー形状を認識するフィーチャー形状認識行程(3D注記フィーチャー形状認識部2)。
(6)認識された特定のフィーチャー形状と、3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状と、の配置距離を製造上の制約情報と比較する配置距離検証行程(配置距離比較検証部5)。
そして、メッセージ出力においては、製造上の制約情報との不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた前記部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力する。また、上記のフィーチャー形状認識行程(3D注記フィーチャー形状認識部2)、および特性情報認識行程(3D注記製造情報認識部3)は、注記情報から注記フィーチャー、あるいは特性情報を仮想的な形状情報に変換あるいは認識する。例えば、注記情報が含む文字列または形状情報を解析することにより、それぞれフィーチャー形状および特性情報を認識する。
以下では、システムによって設計される部品が、例えば金属板などの材料からプレス加工により加工されるプレス部品である。このプレス部品は例えばCAD端末(9)上で対応するプレス板金モデル(3Dモデル)を作成、編集することにより設計される。CAD端末(9)を用いて、プレス板金モデル(3Dモデル)には、上記の注記情報(3D注記)を付与し、またそれを編集することができる。
プレス板金モデル(3Dモデル)の設計においては、注記情報からプレス部品の穴あけ、刻印、面打ち、などに関する加工フィーチャーの形状を取得ないしは認識される。また、プレス板金モデル(3Dモデル)の設計においては、注記情報からプレス部品の素材の加工前の圧延方向、または加工後、摺動部として機能する部位を特定する特性情報が取得ないしは認識される。例えば、上記特性情報が圧延で形成された加工前の前記部品の材料の圧延方向である場合は、前記圧延方向と前記部品の形状に含まれる屈曲部の方向の平行性が検証される。また、例えば、上記の特性情報が加工後の摺動部として機能する部位を示す場合には、前記摺動部と前記部品の形状に含まれる屈曲部との距離の大小が検証される。また、例えば、上記の特性情報が加工により刻印または穴あけで特定形状を形成された部位である場合には、前記部位と前記部品の縁部との距離の大小が検証される。
以下、設計システムの全体構成および設計支援処理の概略を説明した後、注記情報から認識される種々の形状やフィーチャーに係る検証処理を示す実施例1〜8につき説明する。
<設計システムの全体構成および設計支援処理>
図1(a)は本実施形態の設計支援システムの構成例を示している。同図のシステムは、例えばIEEE802.3やIEEE802.11などの有線/無線ネットワーク規格によって構成されたLANなどのネットワークNW上に、サーバー8およびCAD端末、9…を配置して構成されている。サーバー8、CAD端末9は、後述の図1(b)に示すようなPC(パーソナルコンピュータ)やワークステーションのようなネットワーク端末(ホスト)のハードウェア構成を有する。
図1(a)は本実施形態の設計支援システムの構成例を示している。同図のシステムは、例えばIEEE802.3やIEEE802.11などの有線/無線ネットワーク規格によって構成されたLANなどのネットワークNW上に、サーバー8およびCAD端末、9…を配置して構成されている。サーバー8、CAD端末9は、後述の図1(b)に示すようなPC(パーソナルコンピュータ)やワークステーションのようなネットワーク端末(ホスト)のハードウェア構成を有する。
図1(a)において、1〜7で示した各々の機能ブロックは、例えば、それぞれサーバー8とは別体のネットワーク端末などから構成されたサーバーホストやデータベースホストから構成することもできる。その場合、1〜7で示した機能ブロックは、ネットワークNWあるいは他のアドレスセグメントの異なるネットワーク(不図示)によってサーバー8とそれぞれ接続される。あるいは、1〜7で示した機能ブロックは、1台のサーバー8のハードウェアおよびソフトウェアにより実装されるものであってもよい。この場合、1〜7の機能ブロックは、サーバー8の機能をブロック図示したものと考えることができる。1〜7で示した機能ブロックの実装形式は上記のいずれであってもよい。
また、図1(a)では、サーバー8とクライアント(CAD端末9)を分けた構成のシステムを図示しているが、サーバー8およびCAD端末9の機能を1台の(スタンドアローンな)例えばCAD端末9上に実装する構成としてもよい。
図1(b)は、図1(a)のサーバー8やCAD端末9を実現するネットワーク端末(ホスト)のハードウェア構成の一例を示している。図1(b)の端末600(ホスト)は、主要制御部を構成するCPU601、ROM602、RAM603、を中心に各種のインターフェース604〜606を介して周辺(外部)装置を接続して成る。この端末600のハードウェアおよびソフトウェアによって、図1(a)のサーバー8、CAD端末9ないし1〜7の機能ブロックを実現することができる。
端末600のCPU601には、ROM602、RAM603、および各種入出力方式によるインターフェース604〜606が接続される。ROM602には、BIOS等の基本プログラムの他、後述の制御手順を記述した制御プログラムを格納することができる。RAM603は、CPU601の演算処理結果を一時的に記憶する記憶装置である。CPU601は、ROM602(あるいは不図示のHDDなど)に記録(格納)されたプログラムに基づいて後述の制御手順を実行する。
インターフェース604には、HDD、SSD、光ディスクドライブ、フラッシュメモリのようなデバイスから成る記憶装置609(外部(補助)記憶装置)を接続することができる。例えばサーバー8では、記憶装置609は、上記の制御プログラムやCADデータを格納する他、例えば3D注記蓄積部1のような機能をデータベースによって実現する場合のデータ記憶手段などとして用いられる。
インターフェース606には、ユーザーインターフェース装置607、およびディスプレイ608、を接続することができる。特にCAD端末9の場合、端末600にはこのようなユーザーインターフェース手段を配置する。ディスプレイ608は、LCDその他の表示デバイスを用いた出力装置で、後述のような3DCADデータや文字データを出力することができる。ユーザーインターフェース装置607(UI)は、例えば、キーボード(KB)や、マウス、トラックボールトラックパッドなどのポインティングデバイス(PD)から成る操作入力手段を備える。
なお、CAD端末9では、ディスプレイ608に加え、音声出力装置(音声合成回路+増幅器+スピーカなど)のようなユーザーインターフェース手段を用いてもよい。これにより、ディスプレイ608で画面表示するダイアログによる通知、警告などの情報を音声によって出力することができる。さらにインターフェース606には、プリンタなどの情報出力装置を接続してもよい。また、図1(b)では、インターフェース604〜606を便宜上、1ブロックで示してあるが、実際には上記各部との通信に必要な入出力仕様に応じて、異なる回路構成のインターフェースブロックを用いて構成してもよい。
後述の測定制御手順をCPU601に実行させるプログラムをROM602(あるいはHDDなどの他の記録媒体)に記録(格納)する場合、これらの記録媒体は、本発明を実施するための制御手順を格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成する。なお、後述の制御プログラムは、ROM602のような固定的な記録媒体に格納する他、各種フラッシュメモリや光(磁気)ディスクのように着脱可能なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このような格納形態は、本実施形態の制御プログラムをインストールしたり更新したりする場合に利用できる。また、本実施形態の形状測定プログラムをインストールしたり更新したりする場合、上記のような着脱可能な記録媒体を用いる他、ネットワークNWなどを介してプログラムをダウンロードする方式を利用してもよい。
以下、図1(a)の1〜7の機能ブロックにつき説明する。
3D注記蓄積部1では、ユーザーが製造性を確認したい3DCADデータから属性情報として3DCADに記憶されているプレス板金部品のフィーチャーや形状と3Dモデルに付与された3D注記情報を検索する。検索後に3D注記蓄積部1に情報として保管を行う。本実施形態で3D注記蓄積部1により取得され、あるいは保管されるフィーチャーや形状は、例えば穴部や曲げ部、成形加工部といった形状要素である。
3D注記フィーチャー形状認識部2では、3D注記蓄積部1で取得された3D注記情報を形状として取り扱う処理を行うために、単なる情報を仮想的に3D形状またはフィーチャーに変換する処理を行う。本実施形態で3D注記フィーチャー形状認識部2により形状として取り扱われる情報は、部品の識別を行うための番号などの刻印、C面形状に加工を行う面打ちなどである。
3D注記製造情報認識部3では、3D注記フィーチャー形状認識部2で認識できなかった注記情報から、製造情報として取り扱うものを認識、抽出する。本実施形態で3D注記製造情報認識部3が認識、抽出する製造情報は、例えば他の部品と当接する摺動部や、冷間圧延鋼板などの材料の圧延方向(ロール転造された方向)などである。
3D注記形状分類部4では、3D注記フィーチャー形状認識部2および3D注記製造情報認識部3で認識されなかった残りの注記情報を格納し保管する。
配置距離比較検証部5では、3D注記蓄積部1に保管されている形状情報と、3D注記フィーチャー形状認識部2に保管されている形状として取り扱われた3D注記情報の要素間の配置距離を調査する。同検証部に保管されている製造上の制約情報と照らし合わせて不適合か適合かを判定する。例えば、上記の例では、3D注記蓄積部1の検索した穴部や曲げ部、成形加工部といった形状要素、および3D注記フィーチャー形状認識部2により形状として認識された部品の識別番号などの刻印や面打ち部の配置距離を求め、製造上の制約情報と比較する。
配置制約比較検証部6では、3D注記蓄積部1に保管されている形状情報と、3D注記製造情報認識部3に保管されている製造情報を比較する。そして、製造情報が加工を行うに問題がないかを形状情報と照らし合わして不適合か適合かを判定する。例えば、上記の例では、3D注記蓄積部1の検索した穴部や曲げ部、成形加工部といった形状要素、および他の部品と当接する摺動部や冷間圧延鋼板などの圧延方向のような製造情報の配置関係と、検証部に保管されている製造上の制約情報と、を照合する。本実施形態において、3D注記のうち配置制約比較検証部6が検証する対象である「製造情報」は、摺動部(部品の特定部位の加工後の用途に係わる特性)や、圧延方向(部品の加工前における特性)のような特性情報である。
通知メッセージ表示部7は、不適合に関する対処方法を通知メッセージとして表示出力する。通知メッセージ表示部7は、例えば下記の3Dデータの出力装置としてのディスプレイ608を用いて実装することができる。なお、後述の通知メッセージは、ディスプレイ608ではなく出力装置としてのプリンタ(不図示)によって、出力することもできる。
サーバー8では、ネットワークを介して各作業部と接続され、保管されている情報を常に取り出せる状態であり、CAD端末9からの指令に対して各CAD端末9に表示を行わせることができる。
CAD端末9のユーザーインターフェース装置607,ディスプレイ608を用いて行われる3Dモデルの作成、編集、表示に係る基本構成は従来装置と同様である。部品の設計者はCAD端末9のユーザーインターフェース装置607,ディスプレイ608を用いて特定の部品の3Dモデルを作成、編集し、出力させることができる。また、後工程、例えば加工工程の作業者もCAD端末9のユーザーインターフェース装置607,ディスプレイ608を用いて、少なくとも当該の部品の3Dモデルを参照できる。
本システムは、処理対象の3Dモデルに、その3Dモデルの形状やフィーチャーの特定部位に関連づけられた注記情報を付与できるよう構成する。この注記情報は、設計者および後工程の作業者といったユーザー間で、製造(加工)作業上の注意事項などに関する情報伝達のために用いることができる。
さらに、本実施形態では、注記情報はユーザーが書き込み、ユーザーが読み取るためだけに用いられるものではない。本実施形態では、3D注記フィーチャー形状認識部2、および3D注記製造情報認識部3によって、それぞれ注記情報を解釈、解析し、上記の形状情報、および製造情報として認識する。
これらのうち、形状情報は、部品の識別番号などの刻印や面打ち部などの仮想的な形状データとして認識される。また、製造情報は、摺動部や冷間圧延鋼板などの圧延方向などであって、少なくとも位置や面積、方向のように仮想的な形状データとして認識される。これらの形状情報および製造情報は、配置距離比較検証部5、配置制約比較検証部6によって、穴部や曲げ部、成形加工部などの形状/フィーチャーとの距離や配置関係が検証される。
もし、配置距離比較検証部5、配置制約比較検証部6によって、認識された形状情報および製造情報に関して、製造上の制約情報との不適合が発見された場合には、ディスプレイ608の3D表示中の適切な位置に通知メッセージを出力する。この通知メッセージ表示部7によって生成される通知メッセージは、3Dモデルとその注記情報に基づき、システムによって自動生成した新たな注記情報と考えてもよい。後述の実施形態では、ユーザーが入力した注記情報と、通知メッセージ表示部7によって生成された注記情報は、ほぼ同様の表示出力フォーマットを有している。
以上のように、本実施形態によれば、注意事項を解釈、解析し、形状情報、および製造情報を認識する。そして、形状/フィーチャーとの距離や配置関係を検証することができる。このため、本実施形態によれば設計者が自分の行った設計を検証したり、後工程の作業者に具体的な注意喚起を図ったりすることができる。特に、通知メッセージ表示部7による通知メッセージの発生は、配置距離比較検証部5、配置制約比較検証部6の検証を経て行われる。このため、本実施形態によれば、従来の注記情報のように、ユーザーにより書き込まれ、ユーザーにより読み取られ、解釈される利用形態とは異なり、システムが注意事項を解釈、解析して、より具体的な注意喚起が可能である。従って、設計者や後工程の作業者の経験が浅い場合でも、これらのユーザーが導出できない注意事項をより具体的に伝達することができる。これにより、従来の3DCADを利用した設計システムに比して、より適切な設計支援処理が可能となる。
図2は、ある3Dモデル(プレス板金モデル10)が本システムのCAD端末9のディスプレイ608上に3D表示された状態を示している。この表示状態は、例えば3D注記フィーチャー形状認識部2によって認識された金型番号に係る注記情報(3D注記11)に関して、通知メッセージ表示部7によって通知メッセージ12が発生された状態に相当する。図2の例では、通知メッセージ12は、注記情報(3D注記11)と同様の表示フォーマットで表示されている。
図2において、プレス板金モデル10は製造性を確認させる3DCADモデルである。プレス板金モデル10、特にその3Dの基本形状データは、CAD端末9のディスプレイ608およびユーザーインターフェース装置607を用いた適当なGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を用いて作成される。この作成操作は従来と同様で良く、詳細に説明しないが、例えば、まず外形103(の輪郭)に相当する形状を有する平板形状を作成する。さらに、この平板形状に対して穴101(丸穴)や、曲げ加工102のフィーチャーを付与することによりプレス板金モデル10の基本形状データを生成することができる。
同図の注記情報としての3D注記11は、金型番号の付与(例えば刻印による)を指定する加工情報に相当する。CAD端末9を用いて、3D注記11のプレス板金モデル10への付与操作のうち、特に「刻印・金型番号記載の事」といった文字列、矢印状の引き出し線などの入力は従来と同様の操作方式によって行えばよい。この3D注記11の付与操作でも、CAD端末9のディスプレイ608およびユーザーインターフェース装置607を用いた適当なGUIが用いられる。注記情報の入力が指定されると、例えば、ディスプレイ608にダイアログを表示し、そのテキストボックスにユーザーインターフェース装置607のキーボード(KB)から文字列を入力させる。また、ユーザーインターフェース装置607のポインティングデバイス(PD)を用いて、3D注記11の文字列の(3D)表示位置や、引き出し線の始点や終点、あるいはさらに斜線で示した金型番号を付与する矩形領域104の形状入力を行わせる。
プレス板金モデル10に関して、設計者(ないし3Dモデル作成者)が入力、ないし編集操作で作成するのは、上記のプレス板金モデル10の基本形状データの部分と、3D注記11のみである。
図2の例では、システムが例えば図3に示すような検証動作を行い、プレス板金モデル10に付与された3D注記11を利用して、通知メッセージ12を生成し、3D注記11とほぼ同様の書式によって3Dモデル中の該当個所を指定して表示する。
この通知メッセージ12は、図3に示すような検証動作によって、製造上の制約情報との適、不適を判断した結果に応じて発生される。その文字列の内容は、例えば、「刻印と曲げ(102)が近いです」、「刻印と外形(103)が近いです」、「刻印と穴(101)が近いです」のように、製造(加工)が困難であるか、注意を要する旨を表現した情報である。なお、通知メッセージ12の文字列や引き出し線の表示態様は、3D注記11と一目で区別できるように、3D注記11とは線種や表示色を異ならせたものとしてもよい。
図3は本実施形態の設計支援システムの制御手順の全体の構成例を示したフローチャート図である。
図3の手順は、例えば図1のサーバー8によって実行されるもので、図1(a)の1〜7の機能ブロックにほぼ相当する。図3の制御手順は、図1(b)のCPU601の制御プログラムとして記述することができ、ROM602や、記憶装置609に格納しておくことができる。下記の制御手順に必要な入力操作や、情報表示は、例えば、サーバー8のユーザーインターフェース装置607、ディスプレイ608を用いたGUIを介して行う。また、この入力操作や、情報表示は、ネットワークNWを介して接続されたCAD端末9のユーザーインターフェース装置607、ディスプレイ608を用いたGUIを介して行うものであってもよい。以上の事情については、後述の各フローチャート図についても同様である。
図3のステップS01では、上記のGUIでメニューやダイアログを表示して、ユーザーに製造性を確認したいプレス板金モデルの3Dモデルを選択させる。
ステップS02では、上記のGUIでメニューやダイアログを介して、ユーザーにどのような製造性を確認したいかを選択させる。ここでは、後述のステップS05、S06(図1(a)の配置距離比較検証部5、配置制約比較検証部6に相当)による形状比較を行うか否かを決定させる。ここで形状比較指示があればステップS03に移行し、形状比較指示がなければ処理を終了する。このステップS02は、具体的には後述の実施例1〜8に示すような検証処理のいずれを行うかを具体的に指定するものであってよい。また、ステップS02は、実施例1〜8に示すような検証処理の全てを3Dモデルに対して行う「総合検査」のような検証モードを指定するものであってもよい。
ステップS03では、比較を行うべき形状を選択された3Dモデルの3DCADデータから抽出する処理を行う(図1(a)の3D注記蓄積部1に相当)。ここでは、例えば、プレス抜き加工を行う穴部、プレス曲げ加工を行う曲げ部、バーリング加工を行うバーリング部、凸部を成形する成形部や、外形の輪郭などの形状ないしフィーチャーを抽出する。図2の例では、穴(101)、曲げ(102)、外形の輪郭(103)などの形状、および形状ないしフィーチャーが抽出される。
なお、ステップS03において、チェック対象の形状は3Dモデルのフィーチャーおよび形状データのいずれから取得してもよい。これらの形状ないしフィーチャーの、例えば形状認識を行うアルゴリズムは当業者が任意に実装することができる。
続いて、図3のステップS04では、3D注記(図2の11)を検索する。3D注記(11)を検索できた場合にはステップS05に移行し、3D注記(11)が付与されていないなど、検索が成功しなかった場合には処理を終了する。
ステップS05では、3D注記(図2の11)と、フィーチャーおよび形状(図2の101〜103)との間の位置関係または配置距離と、配置制約と、を照合する検証を行う。このステップS05の処理は、図1(a)の3D注記フィーチャー形状認識部2、および配置距離比較検証部5に相当する。まず、3D注記フィーチャー形状認識部2によって、3D注記(11)から、形状や加工フィーチャーに関する注記情報を抽出する。図2の例では、金型番号に関する3D注記11が抽出される。
この3D注記フィーチャー形状認識部2の認識アルゴリズムとしては、例えば、次のような構成例が考えられる。例えば、この認識アルゴリズムは、当該の3D注記中の文字列情報から「金型番号」、「刻印」のようなキーワードを検索する処理を含む。さらに、このキーワード検索に基づき検索された3D注記の引き出し線の終端の指し示す形状(図2の104)を仮想的な(仮の)形状(フィーチャー)情報として認識する。
そして、3D注記フィーチャー形状認識部2が抽出した仮想的な(仮の)形状ないしフィーチャー(図2の104)と、図2の穴(101)、曲げ(102)、外形の輪郭(103)などの配置関係を配置距離比較検証部5によって検証する。ここでは、予め配置距離比較検証部5がデータベース情報として記憶装置609に格納している配置制約データベースを参照する。そして、この配置制約と、仮想的な(仮の)形状ないしフィーチャー(図2の104)と、図2の穴(101)、曲げ(102)、外形の輪郭(103)などの配置関係と、の適合性を判断する。この配置制約との照合処理の異なる形態については、後述の実施例でも種々説明する。
ステップS05、配置制約との不適合が発見されると、後述の通知メッセージ表示(ステップS08、S09)を行うために仮想的な(仮の)形状ないしフィーチャー(図2の104)を特定可能な記憶形式で、不適合個所をRAM603などに記憶させる。
ステップS06では、3D注記から取り出した素材の加工前、または加工後の特性情報に相当する製造情報と、フィーチャーおよび形状(図2の101〜103)との位置関係または配置距離と、配置制約と、を照合する検証を行う。このステップS06の処理は、図1(a)の3D注記製造情報認識部3と、配置制約比較検証部6に相当する。ここでは、後述の例えば図8、図13などに示すような、他の部品と当接する摺動部や、冷間圧延鋼板などの材料の圧延方向といった素材の加工前、または加工後の特性情報に相当する製造情報が加工を行うに問題がないかを判定する。
3D注記を製造情報として取り扱う処理を行うために、3D注記から製造制約として扱える情報を抽出する。ここでは、上記同様に「圧延方向」(図8の場合)や、「摺動(部)」(図13の場合)のようなキーワード検索を行う。その結果に応じて、引き出し線の指し示す先の矢印(図8の22)や、斜線領域(図13の35)の3Dデータを、位置、方向ないし領域、といった仮想的な(仮の)形状情報に変換する。そして、配置制約比較検証部6が予めデータベース情報として記憶装置609に格納している配置制約データベースを参照する。そして、この配置制約と、「圧延方向」(図8の22)や、「摺動(部)」(図13の35)のような認識した仮想的な形状と、曲げ(図8の23、図13の37)のようなフィーチャーとの配置関係の適合性を判定する。
ステップS06において、配置制約との不適合が発見された場合には、後述の通知メッセージ表示(ステップS08、S09)を行うために認識した仮想的な(仮の)形状ないしフィーチャーを特定可能な記憶形式で、a不適合個所をRAM603などに記憶させる。
ステップS07では、上記のステップS05、S06で不適合と判定された個所があるか否かを判定する。この判定処理は、不適合個所を記憶させるためのRAM603などの記憶領域を参照して行う。ここで不適合がなかった場合は処理を終了し、不適合のある場合には、ステップS8に進む。
ステップS08では、ステップ07で発見された不適合を通知する通知メッセージを生成し、例えば、3DCADデータ中に3D注記と同様の形式で格納する。通知メッセージの形式は、予め定型のものを用意し記憶装置609などに登録しておくことができる。この通知メッセージは、事前に問題点に対してより具体的に改善方法をユーザーが示唆できるものが望ましい(後述の図8や図13の通知メッセージ例を参照のこと)。
ステップS09では、ステップS08で生成され、例えば3DCADデータ中に格納された通知メッセージ(図8の24、図13の36)をCAD端末9に表示させ、図3の処理を終了する。なお、この通知メッセージの表示形態は、以下でも図2、図8、図13のような3D注記11と同様の形態を用いるが、通知メッセージの出力には、表形式やテキスト形式を利用してもよい。
システム終了後、設計者のようなユーザーは、ディスプレイ608に表示されている通知メッセージに基づき、3Dモデルの再設計を行うことができる。また、加工作業者のようなユーザーは、加工作業上で必要な何らかの対策を準備することができる。
そして、例えば再設計終了後、再び本システムを起動させ、図3の処理を再度実行することにより、製造上の問題点が解決されているかを確認することができる。このようなセッションを繰り返すことにより、例えば製造上の問題のない(少ない)、良好な3Dモデルを作成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、3Dモデルに付与された注記情報を解析し、注記情報から部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状を認識し、それらの配置制約に関する適合性を検証することができる。本実施形態においては、注記情報は、テキストや引き出し線を用いて表現するとともに、上記の特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状の形状情報に関連づけて入力される。
上記の特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状は、注記情報が含む文字列、あるいはさらに形状情報を解析することにより、注記情報から検索ないし認識することができる。従って、本実施形態では、3Dモデルに関してユーザーが比較的に自由な書式で任意性の高い情報を記入できる注記情報を利用して、上記の特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状の形状情報を特定することができる。そして例えば製造上の配置制約に関する上記の特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状の形状情報の配置関係の適合性を検証し、必要な場合には通知メッセージを出力することができる。これにより、特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状に係る配置関係に不適合があれば、表示されている通知メッセージに基づき、3Dモデルの再設計を行い、また、加工作業上で必要な何らかの対策を準備することができる。
以下の実施例1〜8では、3D注記(注記情報)や、通知メッセージの主にディスプレイ上における種々の表現態様や、その注記情報の解析、検証手順に関する種々の構成例につき説明する。
<実施例1>
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル13に対して金型番号の刻印に係る注記情報が付与されており、この注記情報から変換した仮想的な形状と、3Dモデルの他の部位との配置関係をシステムが検証する例を示す。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル13に対して金型番号の刻印に係る注記情報が付与されており、この注記情報から変換した仮想的な形状と、3Dモデルの他の部位との配置関係をシステムが検証する例を示す。
図4は図2と同様の様式で、プレス板金モデル13と、それに付与された3D注記(14)、およびその検証に基づき出力された通知メッセージ(16a、16b)がディスプレイ608上に3D表示された状態を示している。
図4では、プレス板金モデル13に対して、プレス加工法の一つである刻印加工を指示する3D注記(14)が付与されている。この刻印は、プレス板金部品の板厚に対して一定量の深さで加工を行うものである。刻印の用途としては主に材料の名称の表示や、複数の金型を識別するための金型番号などが考えられる。多くの場合、このような刻印は、手作業あるいは刻印装置などによって活字をパンチすることなどにより行われる。
3D注記(14)で指示された刻印加工の領域と、3Dモデルの他の形状や加工フィーチャーとの配置、例えば両者の配置距離によっては、刻印加工を行うことにより材料表面に歪みが生じる可能性がある。例えば図4の例では、刻印加工を行うことにより穴101の部位が変形し、精度不良等を生じる可能性がある。同じ現象は、刻印加工の領域(104)とプレス板金モデル13の外形の縁部(103)の配置距離などによっても生じる可能性がある。
そこで、配置距離比較検証部5に、一般的な穴部と刻印加工の領域、外形と刻印加工の領域などに関する配置距離の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。配置距離に係る制約情報は、例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図4の例では、刻印加工を指定する3D注記(14)、特にその斜線で示した矩形の刻印領域(104)と、穴101の配置距離が近すぎるため、「刻印と穴が近いです」のような通知メッセージ(16a)を表示させている。また、刻印領域(104)と、と外形(103:縁部)との配置距離が近すぎるため、「刻印と外形が近いです」のような通知メッセージ(16b)を表示させている。
これら通知メッセージ(16a、16b)により、刻印領域(104)と穴101の配置関係ないしその距離が配置制約に関して製造上、問題があることが明示される。なお、図4では、刻印領域(104)の配置距離は、穴101に対する距離を評価しているが、3Dモデル中の曲げ加工など他の種々の形状やフィーチャーに対する距離を評価してもよい。
図5は、図3のステップS05(図1(a)の配置距離比較検証部5に相当)において、上記のような刻印に係る配置距離を検証する制御手順の実装例を示している。
図5のステップS10では、刻印に関連する3D注記(図4の14)を取得する。当該3Dモデルに関する種々の注記は、図3のステップS04で取得されている。
次に、ステップS11では、刻印の3D注記から得た形状情報と、3Dモデルの他の加工部位(101)や形状(104)との配置距離を順次比較し、制約情報との適合性を評価する。この配置距離の比較では、上述の配置距離比較検証部5が用いるデータベースに格納された配置距離に係る制約情報が用いられるのはいうまでもない。そして、ステップS12ではステップS11で不適合と判定された項目の有無を確認する。
もし、ステップS12で配置距離制約に不適合であれば、ステップS13に移行し、この問題点を保管する。ここでは、例えば図3のステップS08、S09の通知メッセージ出力で、問題のある刻印の位置、あるいはその3D表示中における対応位置を特定できるような形式でRAM603などの特定領域に不適合個所に関する情報を格納する。また、刻印に関連する3D注記(図4の14)の注記情報に関連づけして、不適合を示すフラグ情報などを含むタグ情報を生成し、RAM603などの特定領域に記憶させてもよい。ステップS12で不適合が検出されなかった場合は図5のサブルーチンを終了する。
以上のようにして、注記情報から刻印加工に係るフィーチャーを取得し、特にその形状情報(104)と3Dモデルの他の加工部位(101)や形状(104)との配置関係、特に配置距離が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、形状情報(104)と3Dモデル他の加工部位(101)や形状(104)との配置距離が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(16a、16b)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例2>
以下、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図6、図7を用いて本実施例の注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
以下、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図6、図7を用いて本実施例の注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル17に対して面打ち加工を指示する注記情報が付与されており、この注記情報から変換した仮想的な形状と、3Dモデルの他の部位との配置関係を検証する例を示す。
図6では、プレス板金モデル17に対して、面打ち加工を指示する3D注記(18)が付与されている。この3D注記(18)は、面打ちの指定、およびそのC面形状とその寸法を指定する文字列を含む。また加工位置を示すため、3D注記(18)の引き出し線の終端が示す位置に、例えば一次元の形状情報(図6の一点鎖線(18a))が3D入力されており、3D注記(18)は、この一次元の形状情報(一点鎖線(18a))も含む。
面打ち加工は、例えばプレス板金部品のエッジ部が鋭利になることを避けるため、あるいはバリ取りなどの目的で外形(17a)縁部を例えばC面状に成型する加工を行うものである。この面打ち加工を行うことによって材料表面に歪みが生じることにより、図6の例では、注記情報で指定した面打ち加工(18a)を行うことにより穴19の部分が変形し、精度不良等を生じる可能性がある。
そこで、配置距離比較検証部5に、一般的な穴部と面打ち加工の領域に関する配置距離の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置距離に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図6の例では、面打ち加工を指定する3D注記(18)、特にその一点鎖線で示した面打ち加工の位置(18a)と、穴19の配置距離が近すぎるため、「面打ちが近いです/距離を離してください」のような通知メッセージ(20)を表示させている。
この通知メッセージ(20)により、面打ちの領域(18a)と穴(19)の配置関係ないしその距離が配置制約に関して製造上、問題があることが明示される。なお、図6では、面打ちの領域(18a)の配置距離は、穴部(19)に対する距離を評価しているが、3Dモデル中の曲げ加工など他の種々の形状やフィーチャーに対する距離を評価してもよい。
図7は、図3のステップS05(図1(a)の配置距離比較検証部5に相当)において、上記のような面打ちに係る配置距離を検証する制御手順の実装例を示している。
図7のステップS14では、面打ちに関連する3D注記(図6の18)を取得する。当該3Dモデルに関する種々の注記は、図3のステップS04で取得されている。
次に、ステップS15では、面打ちの3D注記から得た形状情報と、3Dモデルの他の加工部位(例えば穴19)との配置距離を順次比較し、配置距離制約との適合性を評価する。この配置距離の比較では、上述の配置距離比較検証部5が用いるデータベースに格納された配置距離に係る制約情報が用いられるのはいうまでもない。そして、ステップS16ではステップS15で不適合と判定された項目の有無を確認する。
もし、ステップS16で配置距離制約に不適合であれば、ステップS17に移行し、この問題点を保管する。ここでは、例えば図3のステップS08、S09の通知メッセージ出力で、問題のある面打ちの位置、あるいはその3D表示中における対応位置を特定できるような形式でRAM603などの特定領域に不適合個所に関する情報を格納する。また、面打ちに関連する3D注記(図6の18)の注記情報に関連づけして、不適合を示すフラグ情報などを含むタグ情報を生成し、RAM603などの特定領域に記憶させてもよい。ステップS16で不適合が検出されなかった場合は図7のサブルーチンを終了する。
以上のようにして、注記情報から面打ち加工に係るフィーチャーを取得し、特にその形状情報(18a)と3Dモデルの他の加工部位(穴(19))との配置関係、特に配置距離が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、形状情報(18a)と3Dモデル他の加工部位(穴(19))との配置距離が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(20)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例3>
本実施例でも、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図8、図9を用いて、以下、本実施例の注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。また、以下では、曲げ加工や圧延方向などの方向に係わる処理を説明するために図10を用いる。
本実施例でも、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図8、図9を用いて、以下、本実施例の注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。また、以下では、曲げ加工や圧延方向などの方向に係わる処理を説明するために図10を用いる。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル21に対して素材の金属板の圧延方向を示す注記情報(22)が付与されている。以下では、この注記情報から変換した仮想的な形状(特にその方向の情報)と、3Dモデルの他の部位との配置関係を検証する例を示す。
図8では、プレス板金モデル21は、2つの曲げ部(23a、23b)を有する3D形状を有するモデルとして作成されている。また、図8では、プレス板金モデル21に対して素材の圧延方向を示す注記情報(22)が例えば設計者によって付与されている。図8の圧延方向を示す注記情報(22)は、例えば方向を示す矢印(22a)、「圧延方向」の文字列(22b)から構成されている。
金属材料の場合、その圧延方向は、そのプレス加工に際して注意を行わなくてはならない方向性の1つであり、プレス板金モデル21の(材料の)加工前の特性情報の1つと考えることができる。
例えば素材の圧延方向と曲げ方向の関係によって、プレスにより曲げ加工を行う場合に、加工精度や加工の難易度が変化する場合がある。例えば、直線的な曲げ加工の場合、図8の曲げ加工(23b)のように、圧延方向(22a)に直角方向に曲げ加工を行うと曲げ部のひび割れなどの問題はそれほど心配しなくてよい。これに対して図8の曲げ加工(23a)のように、曲げ加工の方向が圧延方向(22a)と平行に取られている場合、曲げ部のひび割れが起きる可能性がある。
そこで、配置制約比較検証部6に、一般的な圧延方向と曲げ加工の方向に関する配置関係の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置距離に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図8の例では、圧延方向を指定する3D注記(22)、特にその矢印で示した方向(22a)と、曲げ加工(23a)の相互の位置関係が平行である。このため、「圧延方向によりクラックが発生します/圧延方向に対する曲げ角度を修正してください」のような通知メッセージ(24)を表示させている。
この通知メッセージ(24)により、圧延方向(22a)と、曲げ加工(23a)の相互の配置関係が配置制約に関して製造上、問題があることが明示される。なお、図8では、圧延方向(22a)と、曲げ加工(23a)の相互の配置関係、特にその方向の関係を評価しているが、圧延方向(22a)と配置関係を評価するのは、3Dモデル中の他の種々の形状や加工フィーチャーであってもよい。
図9は、図3のステップS06(図1(a)の配置制約比較検証部6に相当)において、上記の圧延方向(22a)のような部品の加工前の特性情報に係る配置関係を検証する制御手順の実装例を示している。
図9のステップS18では、圧延方向(22a)に関連する3D注記(図8の22)を取得する。当該3Dモデルに関する種々の注記情報は、図3のステップS04で取得されている。また、曲げ加工(23a、23b)のような加工フィーチャーは図3のステップS03で取得済みとなっている。
図9のステップS19では、曲げ加工(23aや23b)の曲げ内Rの曲げ方向ベクトルを取得する。ここで、図10は、図8のプレス板金モデル21と同等の3Dモデルにおける曲げ加工の軸方向ベクトルの取得方法の一例を示している。図9のステップS19では、図10においては曲げ内R(23a、23b)で示された曲げ方向のベクトル(28、27)を取得する。
ステップS20では、圧延方向(22a)のベクトルを取得する。例えば、図10の3D注記22の矢印(の図形)により表現された圧延方向(22a)を認識し、圧延方向(22a)のベクトル(26)を取得する。
ステップS21では、ステップS19およびS20で取得した曲げ方向のベクトル(28、27)の、圧延方向(22a)のベクトル(26)との角度関係を検証する。ここでは、曲げ方向のベクトル(28、27)の、圧延方向(22a)のベクトル(26)との角度値の大小や平行度を検証することによって、ステップS22の問題点の保管を行うか否かを決定することができる。
例えば、図10において、曲げ方向のベクトル(27)の、圧延方向(22a)のベクトル(26)との角度(29)は、ほぼ90度の直角を示している状態であり、この場合は、ステップS21で製造上の問題はないと判断する。一方、圧延方向のベクトル(26)と曲げ方向のベクトル(28)の配置関係においては、両者のなす角度(30)は0度(あるいは180度)の平行な状態を示している状態であることから、製造上の問題があると判断し、ステップS22に移行する。ステップS22は上述のステップS13、S17などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、注記情報から加工前の部品(例えばその素材)の特性情報として、圧延方向に係る情報を取得する。そして、特にその形状(ないし方向)情報(22a、26)と、3Dモデルの加工部位(曲げ加工(23a、23b))との配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、注記情報から取得した特性情報と、加工部位(曲げ加工(23a、23b))との配置関係が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(24)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例4>
以下では、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図11、図12を用いて面打ち加工に関する注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
以下では、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図11、図12を用いて面打ち加工に関する注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル31に対して面打ち加工を指示する注記情報(32)が付与されており、この注記情報の示す加工フィーチャーと、3Dモデルの形状、特に板厚のような寸法に係る情報との配置関係を検証する例を示す。
図11では、プレス板金モデル31に対して、面打ち加工を指示する3D注記(32)が付与されている。この3D注記(32)は、面打ちの指定、およびそのC面形状(「C」)とその寸法(「0.4」)を指定する文字列を含む。また加工位置を示すため、3D注記(32)の引き出し線の終端が示す位置に、例えば一次元の形状情報(図6の一点鎖線(32a))が3D入力されており、3D注記(32)は、この一次元の形状情報(一点鎖線(32a))も含む。
一般に面打ちの寸法は、素材の金属板の板厚の制約を受ける。例えば、0.6mmの板厚に対して、0.7mm(C0.7)のように板厚の0.6mm以上のサイズで面打ち加工を行うことはできない。また、2つの方向から同量の面打ち加工を行うことも不可能である。
そこで、配置制約比較検証部6は、例えば3Dモデルの板厚と面打ち加工の寸法(32)の数値比較を行うことによって、注記情報で指定した面打ち加工の寸法(32)が適切か否かを検証することができる。なお、本実施例で用いる3Dモデルの板厚の情報は、3Dモデルの形状および寸法のフィーチャーから取得(図3のステップS03)しても良い。また、例えば「t0.4」のような文字列によって厚みを指定した3D注記から取得してもよい(図3のステップS04)。なお、この材料の板厚情報は、加工前の特性情報の1つと考えることができる。
図11の例では、例えばプレス板金モデル31の0.4mmの板厚を持つとして、その板厚に対して面打ちが0.4mmで指定されている。このため、「板厚に対する面打ち量が大きすぎます/面打ち量を小さくしてください」のような通知メッセージ33によって、注記情報(32)による指示された面打ち加工が、製造上の制約に不適合であることが示されている。
図12は、図3のステップS06(図1(a)の配置制約比較検証部6に相当)において、3D注記で指示された面打ち加工と、上記の板厚のような特性情報の適合性を検証する制御手順の実装例を示している。
図12のステップS23ではプレス板金モデル31の板厚を取得する。板厚情報は、上記の通り、3Dモデルの形状や寸法のフィーチャー取得したり、(図3のステップS03)しても良いし、また、「t0.4」のような文字列による3D注記から取得してもよい(図3のステップS04)。また、併せて、3D注記などから3Dモデルの金属材料の名称などを取得してもよい。これにより、金属材料ごとに検証条件をわずかずつ変更するような微調整を行える可能性がある。また、プレス板金モデル31の板厚の取得に際して、材料に対する金型の転写性も考慮に入れることができる。
続いてステップS24では、図3のステップS04で取得された3D注記から面打ちに関する3D注記(32、32a)を抽出する。そして、ステップS25では、上記のように板厚に対して3D注記(32、32a)で指定された面打ち量が不適合か否かを判定する。これによりステップS26の問題点の保管を行うか否かを決定することができる。ステップS26は上述の実施例のステップS13、S17、S22などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、例えば加工前の部品(例えばその素材)の特性情報の1つとして、面打ち量や素材の板厚情報を取得する。そして、これら両者の関係、例えば寸法に係わる配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、注記情報から取得した面打ち量や素材の板厚情報などの特性情報の制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(33)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例5>
以下では、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図13、図14を用いて加工後、他の部材と当接する摺動部(面)のような特性情報に関する注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
以下では、実施例1の図4、図5とそれぞれ同様の様式を有する図13、図14を用いて加工後、他の部材と当接する摺動部(面)のような特性情報に関する注記情報の検証結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル34の特定部位に対して加工後の特性情報として、摺動面(部)を指示する注記情報(35)が付与されている。本実施例では、この注記情報の示す特性情報と、他のフィーチャー、例えば曲げ加工部(37)との配置関係を検証する例を示す。
図13では、プレス板金モデル34に対して、加工後、他の部材と当接する摺動部(面)のような特性情報を指示する3D注記(35)が付与されている。この3D注記(35)は、摺動部を示す「摺動部につき傷・打痕なきこと」との文字列情報と、引き出し線、および斜線で示された摺動部の領域情報(35a)から成る。
この摺動部は当該の3Dモデルの加工後の製品の機能や特性情報を示すもので、プレス板金部品の単体で考慮しなくても良いが、加工後、他の部品と組み合わさった時に必要となる。図示の例では、3D注記(35)で指示された摺動部は平面であり、従って、完成後の平面度が損なわれないよう当該の部品が製造されなければならない。
図13の例では、摺動部(35a)が曲げ加工部(37)に近接しており、このため「摺動部が曲げの根元に近すぎます/摺動部の位置を変更してください」のような通知メッセージ(36)が表示されている。これにより、製造上で問題が生じる可能性が通知されるとともに、例えば他の場所に摺動部を移動すべきであることがユーザーにアドバイスされる。なお、この例では、摺動部(35a)と曲げ加工部(37)との配置関係を検証して通知を行っているが、加工後の特性情報としての摺動部(35a)は、曲げ加工部以外の形状や加工フィーチャーとの配置関係や距離について検証するようにしてもよい。
また、図13の例では、加工後の特性情報が摺動部であるため、文字通り摺動面として作用する領域指定(35a)を行っている。しかしながら、注記情報による加工後の特性情報の指示は、他の指示方法、たとえば、変形しても良い部位を指示したり、変形してはならない部位を示したり、美観を求める指示するなど、他の任意の手法によって行うことができる。
配置制約比較検証部6には、一般的な摺動部と曲げ加工の方向に関する配置関係の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置関係に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図14のステップS27では、摺動部(35a)に関連する3D注記(図13の35、35a)を取得する。当該3Dモデルに関する種々の注記情報は、図3のステップS04で取得されている。また、曲げ加工(37)のような加工フィーチャーは図3のステップS03で取得済みとなっている。
ステップS28では、例えば3D注記から得た特性情報(摺動部:35a)と、曲げ加工(37)との位置関係(または配置距離)と、配置制約と、の適合性を評価する。ここでは、両者の位置関係(または配置距離)に関して記憶装置609に格納されている配置制約が参照され、両者が近接しすぎていれば不適合の判定を行う。ステップS29では、このステップS28の検証において不適合が検出されたか否かを判定し、不適合が検出されている場合には製造上の問題があると判断し、ステップS30に移行する。ステップS30は上述のステップS13、S17、S22、S26などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、注記情報から加工後の部品の特性情報として、摺動部(面)として機能する部位を特定する特性情報を取得し、3Dモデルの加工部位(曲げ加工(37))との配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、注記情報から取得した特性情報と、他の加工部位(曲げ加工(37))との配置関係が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(36)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例6>
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図15、図16を用いて、他の部材と当接する摺動部(面)のあるプレス板金モデル38に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図15、図16を用いて、他の部材と当接する摺動部(面)のあるプレス板金モデル38に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル38の特定部位に対して加工後の特性情報として、摺動面(部)を指示する注記情報(39)が付与されている。本実施例では、この注記情報の示す特性情報と、他のフィーチャー、例えば曲げ加工部(40)との配置関係を検証する例を示す。
図15では、プレス板金モデル38に対して、加工後、他の部材と当接する摺動部(面)のような特性情報を指示する3D注記(39)が付与されている。この3D注記(39)は、摺動部を示す「摺動部につき傷・打痕なきこと」との文字列情報と、引き出し線、および斜線で示された摺動部の領域情報(39a)から成る。
この摺動部は当該の3Dモデルの加工後の製品の機能や特性情報を示すもので、プレス板金部品の単体で考慮しなくても良いが、加工後、他の部品と組み合わさった時に必要となる。図示の例では、3D注記(39)で指示された摺動部は平面であり、従って、完成後の平面度が損なわれないよう当該の部品が製造されなければならない。
図15の例では、3D注記(39)の摺動部の領域情報(39a)は、曲げ加工(40)の曲面上に指定されている。このような曲げ加工(40)の曲面(いわゆるR部分)の部位をプレス加工で形成する場合、肌荒れ状の表面になってしまう可能性がある。このように、加工上、面粗さがよくない部位が生成されがちな3Dモデルの形状部位に摺動部(39)の指示がされていることは製造制約上、不適合と判定すべきと考えられる。
このため、図15では、「摺動部が曲げR上に存在します/摺動部の位置を変更してください」のような通知メッセージ(41)が表示されている。これにより、製造上で問題が生じる可能性が通知されるとともに、例えば他の場所に摺動部を移動すべきであることがユーザーにアドバイスされる。なお、この例では、摺動部(39a)と曲げ加工部(40)との配置関係を検証して通知を行っているが、加工後の特性情報としての摺動部(39a)は、曲げ加工部以外の形状や加工フィーチャーとの配置関係や距離について検証するようにしてもよい。また、加工後の特性情報としての摺動部(39a)の注記情報による指示には、実施例5と同様に他の指示形態を許容するようにしてよい。
配置制約比較検証部6には、一般的な摺動部と曲げ加工の方向に関する配置関係の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この場合、実施例5では両者の配置距離を例示したが、併せて重複や離間といった位置関係に係る制約情報を格納する。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図16は、図3のステップS06(図1(a)の配置制約比較検証部6に相当)において、上記の摺動部(39a)のような加工後の特性情報に係る配置関係を検証する制御手順の実装例を示している。
図16のステップS31では、摺動部に関連する3D注記(図15の39、39a)を取得する。当該3Dモデルに関する種々の注記情報は、図3のステップS04で取得されている。また、曲げ加工(40)のような加工フィーチャーは図3のステップS03で取得済みとなっている。
ステップS32では、刻印の3D注記から得た形状情報(摺動部:39a)の存在する面を3Dモデルデータ中で検索する。そして、ステップS33において、刻印の3D注記の形状情報の存在する面の配置制約の適合性を評価する。ここでは、両者の位置関係(または配置距離)に関して記憶装置609に格納されている配置制約が参照され、摺動部(39a)に関してはそのような特性情報を有する面がプレス加工により形成されるR(曲面)と一部でも重畳していれば不適合と判定する。
ステップS34では、ステップS33の検証において不適合が検出されたか否かを判定し、不適合が検出されている場合には製造上の問題があると判断し、ステップS35に移行する。ステップS35は上述のステップS13、S17、S22、S26、S30などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、注記情報から加工後の部品の特性情報として、摺動部(面)として機能する部位を特定する特性情報を取得し、3Dモデルの加工部位(曲げ加工(40))との配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。本実施例の検証では、例えば配置距離ではなく、摺動部(39a)に関してはそのような特性情報を有する面がプレス加工により形成されるR(曲面)と一部でも重畳(重複)しているか否かの判定を行う。しかしながら同様の位置関係は、配置距離を介して行うこともできる。もし、注記情報から取得した特性情報(摺動部(39a))と、他の加工部位(曲げ加工(40))との配置関係が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(41)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例7>
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図17、図18を用いて、他の部材と当接する摺動部(面)が注記情報で指定されたプレス板金モデル42に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図17、図18を用いて、他の部材と当接する摺動部(面)が注記情報で指定されたプレス板金モデル42に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル42の特定部位に対して加工後の特性情報として、摺動面(部)を指示する注記情報(43)が付与されている。本実施例では、この注記情報の示す特性情報(摺動部)と、他の注記情報の示す特性情報、特に抜きバリの発生する側を示す特性情報との配置関係を検証する例を示す。
図17では、プレス板金モデル42に対して、加工後、他の部材と当接する摺動部(面)のような特性情報を指示する3D注記(43)が付与されている。この3D注記(43)は、摺動部を示す「摺動部につき傷・打痕なきこと」との文字列情報と、引き出し線、および斜線で示された摺動部の領域情報(43a)から成る。
本実施例で配置関係を検証する対象は、どちらも注記情報から取得した特性情報である。その注記情報の1つは、上記同様の摺動部(43、43a)であり、この特性情報は3Dモデルの加工後の用途を示す特性情報である。もう1つの注記情報(44)は、抜きバリの発生する側を示す特性情報であり、この特性情報は3Dモデルのプレス加工によって生じる抜きバリの発生する板金側を示す特性情報である。
図17の例では、抜きバリ側は、注記情報(44)によって示されるようにプレス板金モデル42の図中上面側で、この部分の周囲エッジ(42a)の上面側には不規則な形状の抜きバリが発生する可能性がある。図17の例では、プレス板金モデル42の周囲のエッジ(42a)に近接して、注記情報(43)によって矩形の摺動部領域(43a)が指定されており、プレス加工により発生した抜きバリは摺動部(43)の摺動機能に影響を与える可能性がある。このように、抜きバリが発生する可能性が大きい3Dモデルの形状部位に近接して摺動部(43a)の指示は製造制約上、不適合と判定すべきと考えられる。
このため、図17では、「摺動部が抜きバリが発生するエッジに近いです/摺動部の位置を変更してください」のような通知メッセージ(45)が表示されている。これにより、製造上で問題が生じる可能性が通知されるとともに、例えば他の場所に摺動部を移動すべきであることがユーザーにアドバイスされる。なお、この例では、摺動部(43a)と抜きバリ側(44)との配置関係を検証して通知を行っている。しかしながら、加工後の特性情報としての摺動部(43a)は、抜きバリ側(44)の表裏以外の形状や加工フィーチャーとの配置関係や距離について検証するようにしてもよい。また、加工後の特性情報としての摺動部(43a)の注記情報による指示には、実施例5、6と同様に他の指示形態を許容するようにしてよい。
配置制約比較検証部6には、例えば一般的な摺動部と、抜きバリ側の面におけるエッジ部と、の配置関係の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置距離に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図18は、図3のステップS06(図1(a)の配置制約比較検証部6に相当)において、注記情報により指定された摺動部(43a)および抜きバリ側(44)のような加工後の特性情報に係る配置関係を検証する制御手順の実装例を示している。
図18のステップS36では、3D注記から抜きバリ側に関連する3D注記を抽出し、3Dモデルの抜きバリ側に相当する面を認識する(図17の場合、プレス板金モデル42の上面)。
ステップS37では、摺動部に関連する3D注記(図17の43、43a)を取得する。なお、本実施例では、抜きバリ側の面に存在する摺動部の配置関係を評価するため、ステップS36で取得した抜きバリ側に相当する面に付与されている摺動部の3D注記のみを検索するようにしてもよい。また、当該3Dモデルに関する種々の注記情報は、図3のステップS04で取得されている。
ステップS38では、3D注記から取得した摺動部(43a)および抜きバリ側(44)の配置関係を制約情報と照合して検証する。ここでは、ステップS36で取得した抜きバリ側に相当する面に3D注記が付与されている摺動部(43a)と、抜きバリが発生するエッジ(42a)の位置関係、例えば配置距離と、記憶装置609に格納されている制約情報と、を比較する。そして、摺動部(43a)と、抜きバリが発生するエッジ(42a)の配置距離が、例えば制約情報で指定されている最低距離よりも小さい場合には、制約情報に照らして不適合、と判断する。
ステップS39では、ステップS38の検証において不適合が検出されたか否かを判定し、不適合が検出されている場合には製造上の問題があると判断し、ステップS40に移行する。ステップS40は上述のステップS13、S17、S22、S26、S30、S35などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、注記情報から加工後の部品の特性情報として、摺動部(面)として機能する部位を特定する特性情報、および抜きバリ側(の面)を特定する特性情報を取得することができる。そして、両者の特性部位の配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、注記情報から取得した特性情報(摺動部(43a))が抜きバリ側の面にあり、しかも3Dモデルのエッジとの配置関係が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(45)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
<実施例8>
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図19、図20を用いて、加工後に係る特性情報、他の部材と当接する摺動部(面)のあるプレス板金モデル46に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、実施例5の図13、図14と同様の様式を有する図19、図20を用いて、加工後に係る特性情報、他の部材と当接する摺動部(面)のあるプレス板金モデル46に関する異なる結果の出力態様、およびその制御手順につき説明する。
本実施例では、3Dモデルとしてのプレス板金モデル46の特定部位に対して加工後の特性情報として、摺動面(部)を指示する注記情報(47)が付与されている。本実施例では、この注記情報の示す特性情報(摺動部)と、他の注記情報の示す特性情報、特にせん断(剪断)加工部を示す特性情報との配置関係を検証する例を示す。
図19では、プレス板金モデル46に対して、加工後、他の部材と当接する摺動部(面)の特性情報を指示する3D注記(47)が付与されている。この3D注記(47)は、摺動部を示す「摺動部につき傷・打痕なきこと」との文字列情報と、引き出し線、および斜線で示された摺動部の領域情報(47a)から成る。
本実施例で配置関係を検証する対象の1つは、注記情報から取得した上記同様の摺動部(47、47a)の特性情報である。この特性情報は3Dモデルの加工後の用途を示す特性情報である。この注記情報から取得した特性情報との配置関係を検証する形状ないしフィーチャーは、本実施例ではせん断(剪断)加工部(46a)を示す特性情報である。
本実施例では、せん断(剪断)加工部(46a)は、図19のように鈍角の「く」の字型の溝ないしスリットの加工フィーチャーである。このような加工形状は、プレス加工の場合、金型によってせん断され、生成され、そのせん断部位では材質の破断が起きるため、例えばそのせん断面では高い平面度を得るのが難しい。従って、プレス加工によるせん断面を、整形、研磨などの後加工を行わない限り、そのまま他の部材との摺動部(面)として用いるのは適切ではない。
一般に、せん断加工部(46a)のような部位は、プレス加工では、金型によって切断されることになる全てのエッジが該当する。このため、CPU601のような制御手段は、特に注記情報で指定されていなくてもせん断加工部(46a)のような特性部位を3Dモデルの形状情報から取得、ないし認識することができる。ただし、せん断加工部(46a)が特に注記情報で指定されている場合には、その部位を該当のせん断加工部(46a)として取得、ないし認識する処理を行ってもよい。
図19の例では、せん断加工部のせん断面(46a)に直接、摺動部(47、47a)を指定する注記情報が付与されており、このような摺動部(47a)の指示は製造制約上、不適合と判定すべきと考えられる。
このため、図19では、「摺動部がせん断加工部に設定されています/摺動部の位置を確認してください」のような通知メッセージ(48)が表示されている。これにより、製造上で問題が生じる可能性が通知される。あるいは、この通知メッセージ(48)では例えば他の場所に摺動部を移動すべきであることを助言するものであってもよい。また、摺動部(47a)として指定された面に整形や研磨といった後加工が必要である旨の助言を行うものであってもよい。なお、図19の例では、摺動部(47a)とせん断加工部(46a)の配置関係を検証し、通知を行っているが、せん断加工部(46a)のような特性部位は、摺動部以外の他の形状や加工フィーチャーとの配置関係を検証するようにしてもよい。また、加工後の特性情報としての摺動部(47a)の注記情報による指示には、実施例5〜7と同様に他の指示形態を許容するようにしてよい。
配置制約比較検証部6には、例えば一般的な摺動部と、せん断加工部の配置関係の制約を制約情報としてデータベース化しておく。この制約情報は例えばHDDなどから成る記憶装置609に適当なデータベースフォーマットによって格納しておくことができる。この配置に係る制約情報は、上記同様に例えばシステム構築時にデフォルト値を用意しておくことができる。また、配置関係に係る制約情報は、製造工程の担当者が諸条件に応じて入力したり、編集したりできるようにしておいてもよい。
図20は、図3のステップS06(図1(a)の配置制約比較検証部6に相当)において、注記情報により指定された摺動部(47a)およびせん断加工部(46a)のような加工後の特性情報に係る配置関係を検証する制御手順の実装例を示している。
図18のステップS41では、摺動部(図19の47a)に関連する3D注記(同図の47)を取得する。また、ステップS42では、せん断加工部(46a)となる面をプレス板金モデル46の3D形状ないし加工フィーチャー情報から検索、取得する。あるいはさらに、この時、せん断加工部(46a)を明示的に指定している注記情報を検索し、その注記情報から該当する面を検索、取得するようにしてもよい。なお、当該3Dモデルに関する種々の注記情報は、図3のステップS04で取得されている。また、当該3Dモデルの3D形状や加工フィーチャーは図3のステップS03で取得されている。
ステップS43では、注記情報から取得した摺動部(47a)と、形状、フィーチャー情報、ないし注記情報から取得したせん断加工部(46a)の配置関係を制約情報と照合して検証する。ここでは、ステップS41、S42で取得した摺動部(47a)、せん断加工部(46a)の配置関係と、記憶装置609に格納されている制約情報と、を比較する。そして、摺動部(43a)と、せん断加工部(46a)とが、例えば同一面(平面に限定されない)を一部でも共有している場合、制約情報に照らして不適合、と判断する。
ステップS44では、ステップS43の検証において不適合が検出されたか否かを判定し、不適合が検出されている場合には製造上の問題があると判断し、ステップS45に移行する。ステップS45は上述のステップS13、S17、S22、S26、S33、S35、S40などと同等の問題点の保管処理である。
以上のようにして、注記情報から加工後の部品の特性情報として、摺動部(面)として機能する部位を特定する特性情報、を取得し、また、3Dモデルの形状ないしフィーチャー、あるいは注記情報からせん断加工部(46a)を特定する特性情報を取得する。そして、両者の特性部位の配置関係が、部品の製造上、適切であるか否かを判定することができる。もし、注記情報から取得した特性情報(摺動部(47a))と、せん断加工部(46a)との配置関係が制約情報と不適合であれば、上述の通知メッセージ(48)を出力できるよう、当該の問題点に係る情報の保管が行われる。
なお、以上に示した実施例1〜8の検証および通知メッセージの出力処理は、それぞれ単独で部品設計システムに実装されていてもよいし、また、これらの任意のいくつか、あるいは全ての組合せを順次実行するよう実装されていてもよい。また、図3のステップS02において、実施例1〜8の検証および通知メッセージの出力処理のうち、所望の1つを選択して実行させるような実装形態を取ることもできる。
以上の各実施例に示したように、本実施形態の部品設計システムでは、ユーザーが任意に文字列や、形状データ(破線、一点鎖線、矩形領域など)を用いて3D注記(注記情報)を部品の3Dモデルの任意の位置に付与することができる。そして、本システムでは、3Dモデルに付与された3D注記(注記情報)を「金型番号」、「刻印」、「圧延方向」、「摺動(面)部」…のようなキーワード(文字列)の検索、引き出し線の先の形状などを利用して仮想的な形状データに変換、ないし認識する。このようにして、3D注記(注記情報)から加工に係るフィーチャーや、部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識することができる。そして、認識した加工フィーチャーや、部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報に係る形状と、3Dモデルの他の形状、フィーチャーとの配置関係が配置制約や製造上の制約と適合しているか否かを検証することができる。
もし、配置制約や製造上の制約との不適合が生じている場合には、不適合の生じている個所をCAD端末9の出力上で特定できるように通知メッセージを出力する。この通知メッセージが出力された場合には、ユーザーは3DCADデータの形状、フィーチャー、または注記情報の変更または入力の操作を行うことができる。また、加工工程のユーザーが通知メッセージを受容した場合は、加工作業上、適当な対策を取る、などの対処が可能となる。
以上のように、本実施形態によれば、3Dモデルに付与された様々な注記情報を解析し、注記情報から部品の加工前または加工後の特性に係る特性情報や、加工に係わるフィーチャー形状を認識し、それらの配置関係を検証することができる。システムが検証すべき加工フィーチャーや、部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報、その検証内容や通知メッセージは、容易に追加、変更が可能である。例えば、注記情報の認識のためのキーワードや形状検索の条件、検証アルゴリズムと対応する通知メッセージの内容は、それらを格納させる例えば記憶装置609に容易に追加し、また検索することができる。従って、本実施形態によれば、柔軟に運用でき、拡張性の高い優れた部品設計(支援)システムを提供することができる。
1…3D注記蓄積部、2…3D注記フィーチャー形状認識部、3…3D注記製造情報認識部、4…3D注記形状分類部、5…配置距離比較検証部、6…配置制約比較検証部、7…通知メッセージ表示部、8…サーバー、9…CAD端末、10、13、17、21、31、34、38、42、46…プレス板金モデル、12、16a、16b、20、24、33、36、41、45、48…通知メッセージ、11、14、18、22、32、35、39、43、44、47…3D注記、600…端末、601…CPU、602…ROM、603…RAM、604…インターフェース、607…ユーザーインターフェース装置、608…ディスプレイ、NW…ネットワーク。
Claims (13)
- 出力装置、および、部品の3Dモデルの形状またはフィーチャーを記述する3DCADデータを変更または入力する編集手段を備えたCAD端末と、前記CAD端末を介して前記部品の設計支援処理を行う制御手段と、を備えた部品設計システムの制御方法において、
前記制御手段が、
前記3DCADデータから注記情報を検索する注記情報検索行程と、
前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報から、当該部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する特性情報認識行程と、
前記特性情報認識行程で認識された特定の特性情報の形状、および、前記3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状の配置態様と、製造上の制約情報と、を比較する特性情報検証行程と、
前記特性情報検証行程において、製造上の制約情報との不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた前記部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力するメッセージ出力行程と、
を実行する部品設計システムの制御方法。 - 請求項1に記載の部品設計システムの制御方法において、前記制御手段が、
前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報から、当該部品の加工に係わるフィーチャー形状を認識するフィーチャー形状認識行程と、
前記フィーチャー形状認識行程で認識された特定のフィーチャー形状と、前記3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状と、の配置距離を製造上の制約情報と比較する配置距離検証行程と、
を実行し、
前記メッセージ出力行程においては、前記配置距離検証行程において、製造上の制約情報との不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた前記部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力する部品設計システムの制御方法。 - 請求項2に記載の部品設計システムの制御方法において、前記フィーチャー形状認識行程、および特性情報認識行程は、前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報が含む文字列または形状情報を解析することにより、それぞれフィーチャー形状および特性情報を認識する部品設計システムの制御方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の部品設計システムの制御方法において、前記部品がプレス加工により加工されるプレス部品である部品設計システムの制御方法。
- 請求項4に記載の部品設計システムの制御方法において、前記制御手段が前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報から、当該部品の加工に係わるフィーチャー形状として、前記プレス部品の穴あけ、刻印、ないしは面打ち係るプレス加工のフィーチャー形状を認識する部品設計システムの制御方法。
- 請求項4または5に記載の部品設計システムの制御方法において、前記プレス部品の素材の加工前の圧延方向、または加工後、摺動部として機能する部位を特定する特性情報が前記特性情報認識行程により認識される部品設計システムの制御方法。
- 出力装置と、部品の3Dモデルの形状またはフィーチャーを記述する3DCADデータを変更または入力する編集手段と、制御手段と、を備えた部品設計システムの制御方法において、
前記制御手段が、
前記3DCADデータから注記情報を検索する注記情報検索行程と、
前記注記情報検索行程により検索された前記注記情報から、当該部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する特性情報認識行程と、
前記特性情報認識行程で認識された特定の特性情報の形状と、前記3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状の配置態様との組み合わせが、所定条件に適合するか検証する特性情報検証行程と、
前記特性情報検証行程において、前記所定条件への不適合が検出された場合に、当該の不適合に係わる通知情報を前記出力装置に出力させるメッセージ出力行程と、
を実行する部品設計システムの制御方法。 - 請求項7に記載の部品設計システムの制御方法において、前記特性情報が圧延で形成された加工前の前記部品の材料の圧延方向であり、前記所定条件が前記圧延方向と前記部品の形状に含まれる屈曲部の方向が平行性を有さないことである部品設計システムの制御方法。
- 請求項7または8に記載の部品設計システムの制御方法において、前記特性情報が加工後の摺動部として機能する部位を示し、前記所定条件が前記摺動部と前記部品の形状に含まれる屈曲部との距離が所定の大きさ以上である部品設計システムの制御方法。
- 請求項7から9のいずれか1項に記載の部品設計システムの制御方法において、前記特性情報が加工により刻印または穴あけで特定形状を形成された部位であり、前記所定条件が前記部位と前記部品の縁部との距離が所定の大きさ以上である部品設計システムの制御方法。
- 請求項1から10のいずれか1項に記載の各行程を前記制御手段に実行させるための制御プログラム。
- 請求項11に記載の制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 出力装置、および、部品の3Dモデルの形状またはフィーチャーを記述する3DCADデータを変更または入力する編集手段を備えたCAD端末と、前記CAD端末を介して前記部品の設計支援処理を行う制御手段と、を備えた部品設計システムにおいて、
前記制御手段が、
前記3DCADデータから注記情報を検索する注記情報検索手段と、
前記注記情報検索手段により検索された前記注記情報から、当該部品の加工前、または加工後の特性に係る特性情報を認識する特性情報認識手段と、
前記特性情報認識手段で認識された特定の特性情報の形状、および、前記3DCADデータに含まれる、または他の注記情報で指定された前記部品の特定の形状またはフィーチャー形状の配置態様と、製造上の制約情報と、を比較する特性情報検証手段と、
を備え、
前記特性情報検証手段において、製造上の制約情報との不適合が生じた場合、当該の不適合に係わる通知情報を、当該の不適合が生じた前記部品の特定部位に対応する、前記出力装置の出力位置に出力する
を備えた部品設計システム。
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