JP2018150819A - 空気圧縮装置及び発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】瞬間的に大きな力を継続して発生することができ、長期間、無電力、無人で運転することできる空気圧縮装置及び発電装置を提供する。【解決手段】海面に浮遊し、潮位に応じて上昇し又は下降する第1浮遊体2と、海中から浮力により上昇し、又は海上から自重により下降する第2浮遊体3と、上下方向に所定間隔で係合部14が設けられた固定体5とを備える。また、第2浮遊体に設けられ、固定体の係合部に係合して第2浮遊体を固定する固定位置と、係合部から離脱して第2浮遊体を解放する解放位置とに移動可能で、固定位置に向かって付勢されたロック部材21と、第1浮遊体の上昇に応じて固定体の係合部とロック部材との係合を解除するロック解除機構22と、シリンダ32が第1浮遊体に設けられ、プランジャ33が第2浮遊体により駆動されるエアーポンプ23と、エアーポンプで圧縮された空気を貯留する圧力タンク13とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、潮の干満による潮位の変動を利用した空気圧縮装置及び発電装置に関する。
従来、潮の干満による潮位の変動を利用して、動力を発生したり、発電を行う装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、浮力体に油圧シリンダを設置し、該油圧シリンダのピストンの一端を海底に固定して、海水の干満差でシリンダが上下し、シリンダからの油圧を回転運動に変換する動力発生装置が記載されている。また、特許文献2には、上ローラと下ローラに張架されたエンドレスロープに浮子が設けられ、該浮子の上昇又は下降によりエンドレスロープを介して回転する上ローラが回転軸を回す回転力発生装置が記載されている。さらに、特許文献3には、両螺子加工された可動軸に海中浮力体を設けて、海中浮力体に上昇又は下降により可動軸を回転させ、発電機を駆動する潮汐発電装置が記載されている。
海面の潮汐は通常1日2回あり、満潮から次の満潮まであるいは干潮から次の干潮までの潮位の変動は約12時間の長い周期であるため、瞬間的な動力を取り出せないという問題があった。また、可動部分が海中に没しているため、藻類やフジツボ等の生物が付着したり、錆が発生して動作不能になる等の問題があった。
特開平9−119370号公報 特開2009−156204号公報(特許第5173401号明細書) 特開2014−132157号公報(特許第5815171号明細書)
本発明は斯かる従来の問題点に鑑みてなされたもので、瞬間的に大きな力を継続して発生することができ、長期間、無電力、無人で運転することできる空気圧縮装置及び発電装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の空気圧縮装置は、
海面に浮遊し、潮位に応じて上昇し又は下降する第1浮遊体と、
海中から浮力により上昇し、又は海上から自重により下降する第2浮遊体と、
前記第2浮遊体の上昇又は下降する方向に沿って配置され、上下方向に所定間隔で係合部が設けられた固定体と、
前記第2浮遊体に設けられ、前記固定体の前記係合部に係合して前記第2浮遊体を固定する固定位置と、前記係合部から離脱して前記第2浮遊体を解放する解放位置とに移動可能で、前記固定位置に向かって付勢されたロック部材と、
前記第1浮遊体の上昇に応じて前記固定体の前記係合部と前記ロック部材との係合を解除するロック解除機構と、
シリンダが前記第1浮遊体に設けられ、プランジャが前記第2浮遊体により駆動されるエアーポンプと、
前記エアーポンプで圧縮された空気を貯留する圧力タンクとを備える。
本発明の空気圧縮装置では、満ち潮時に、第1浮遊体が潮位に応じて所定高さ上昇する毎に、エアーポンプのプランジャを引張り、ロック解除機構が固定体の係合部とロック部材との係合を解除することにより、第2浮遊体が浮力により上昇して上向きの動力を発生し、該動力によりエアーポンプのプランジャを圧縮し、ロック部材が固定体の係合部に係合する。また、引き潮時に、第1浮遊体が潮位に応じて所定高さ下降する毎に、エアーポンプのプランジャを引張り、ロック解除機構が固定体の係合部とロック部材との係合を解除することにより、第2浮遊体が自重により下降して下向きの動力を発生し、該動力によりエアーポンプのプランジャを圧縮し、ロック部材が前記固定体の前記係合部に係合する。
前記第1浮遊体は、浮子と、該浮子から垂直に延びる柱部とからなり、
前記第2浮遊体は、浮子と、該浮子から垂直に延びる中空の柱部とからなり、
前記ロック部材は、前記第2浮遊体の前記柱部に嵌入する固定軸からなり、
前記ロック解除機構は、前記第2浮遊体の柱部に設けられた1対のプーリと、該1対のプーリの対向する外周溝間に挿通されたワイヤとからなり、ワイヤの一端が前記第1浮遊体の柱部に連結され、他端が前記第2浮遊体の前記ロック部材に連結されていることが好ましい。
前記第1浮遊体の柱部に上下方向に延びるラックが設けられ、
前記第2浮遊体の柱部に、前記ラックに噛み合う第1歯車と、該第1歯車に噛み合う第2歯車とが設けられ、
前記エアーポンプは、前記第1浮遊体と前記第2浮遊体が浮遊状態にあるときに、前記シリンダが水平で、前記プランジャが圧縮状態で、前記プランジャの一端が前記第2歯車の中心よりも前記ラック側で前記第2歯車の側面に連結されていることが好ましい。
前記エアーポンプのシリンダは、前記第1浮遊体の柱部に固定して設けられ、
前記エアーポンプは、プランジャのピストンが中間に位置し、上シリンダと下シリンダを有し、
前記上シリンダと前記下シリンダにそれぞれ吐出口と吸込口が設けられ
前記プランジャは前記上シリンダ又は前記下シリンダのヘッドを貫通して突出し、前記第2浮遊体の柱部に連結されていることが好ましい。
前記第1浮遊体の浮子が前記第1浮遊体を囲むように環状に形成され、
前記第1浮遊体の柱部に前記第2浮遊体の柱部と同芯の前記シリンダが形成され、
前記シリンダの上端と下端に上ヘッドと下ヘッドが設けられ、
前記第2浮遊体の柱部は、前記上ヘッドと前記下ヘッドを貫通して前記プランジャを形成し、前記シリンダの中間においてピストンが取り付けられ、
前記上ヘッドと前記下ヘッドにそれぞれ吐出口と吸込口が設けられていることが好ましい。
前記空気圧縮装置が複数台設けられ、
前記複数の空気圧縮装置のそれぞれの前記第2浮遊体3の高さが所定高さずれて設置されていることが好ましい。
前記複数の空気圧縮装置の前記第2浮遊体の高さを調整する高さ調整装置が設けられていることが好ましい。
前記課題を解決するために、本発明の発電装置は、
前記空気圧縮装置と、
前記空気圧縮装置の圧力タンクに貯留された圧縮空気により回転する回転機と、
前記回転機の回転力を電力に変換する発電機とを備える。
前記回転機はスパイラルタービンであることが好ましい。
本発明の空気圧縮装置及び発電装置によれば、第1浮遊体が潮位に応じて所定高さ上昇又は下降する毎に、第2浮遊体が浮力により上昇又は自重により下降して、瞬間的に大きな力により、潮の干満の間に継続してエアーポンプを作動することができる。また、浮力のみで作動するので、電力の供給、潮位の測定、機構の制御等を行うことなく、無電力、無人で動力を発生し、空気を圧縮して貯留し、電力を発生することができる。さらに、機構部分は海上にあるため、海中没することがないため、藻類やフジツボ等の生物の付着や、錆の発生により、動作不能になることがなく、長期間使用することができる。
本発明の第1実施形態の空気圧縮装置の正面図。 図1のII−II線拡大断面図。 図1のIII−III線拡大断面図。 図1の空気圧縮装置の満ち潮時の動作を示す正面図。 図1の空気圧縮装置の引き潮時の動作を示す正面図。 本発明の第2実施形態の空気圧縮装置の正面図。 本発明の第3実施形態の空気圧縮装置の正面図。 図1の空気圧縮装置を複数台設けた変形例を示す正面図。 本発明の発電装置の正面図。
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の空気圧縮装置1を示す。空気圧縮装置1は、第1浮遊体2と、第2浮遊体3と、架台4と、固定体5とを備えている。
第1浮遊体2は、浮子6と、柱部7とから構成されている。浮子6は、海上に浮遊し、潮位に応じて上昇又は下降する構造を有する。浮子6は、金属製、強化プラスチック製若しくはゴム製の中空タンク又は船体等を使用するこができ、立方体、円柱、球形、錐体、環状体等の任意の形状にすることができる。柱部7は、浮子6の上面中央に垂直に延びるように設けられている。柱部7は、円形、矩形、H形等の中実又は中空の断面形状を有し、金属、樹脂、木材、竹等で形成することができる。
第2浮遊体3は、第1浮遊体2と同様に、浮子8と、柱部9とから構成されている。浮子8は、海上に浮遊し、海中から浮力により上昇し、又は自重により下降する構造を有する。浮子8は、金属製、強化プラスチック製若しくはゴム製の中空タンク又は船体等を使用するこができ、立方体、円柱、球形、錐体、環状体等の任意の形状にすることができる。柱部9は、浮子8の上面中央に垂直に延びるように設けられている。柱部9は、円形又は矩形の管からなり、金属、樹脂等で形成することができる。
架台4は、海底に設けられた土台10と、該土台10に固定された4つの脚部11と、海上のプラットフォーム12とからなる。架台4の高さは、干潮時の潮位L1より下方に土台が位置し、満潮時の潮位L2より上方にプラットフォーム12が位置するように決められている。プラットフォーム12には、圧力タンク13が設置されている。なお、架台4は、岸壁に固定し、プラットフォーム12を海上に突き出すように設置してもよい。
固定体5は、第2浮遊体3の上昇又は下降する方向に沿って、すなわち、図1の実施形態では第2浮遊体3の柱部9の中心線上に配置され、上端は架台4のプラットフォーム12に固定され、下端は満潮時の潮位L2より上方にあり、第2浮遊体3の柱部9に上端から挿入されている。固定体5は、円形、矩形、H形等の中実又は中空の断面形状を有する棒状で、金属、樹脂等で形成することができる。固定体5には、上下方向に所定間隔で複数の係合部14が設けられている。図1の実施形態では、干満差(L2−L1)が900mmであると想定して、150mm間隔で7箇所に係合部14が設けられている。係合部14は貫通孔であってもよいし凹部でもよい。
図1と図3を参照すると、第1浮遊体2と第2浮遊体3は、相互の間隔を維持したまま相対的に上昇又は下降するように、第2浮遊体3の柱部9から第1浮遊体2の柱部7に向かって突出する垂直板15に上下方向に延びるガイド溝16が設けられ、第2浮遊体3の柱部9から第1浮遊体2の柱部7に向かって突出する突片17の先端にガイド溝16に摺動可能に嵌合するスライダ18が設けられている。また、図1に示すように、第1浮揚体2の柱部に、固体体7と同様に、第1浮遊体2の上昇又は下降する方向に沿って、すなわち、第1浮遊体2の柱部7の中心線上にガイド棒7´を設けてもよい。ガイド棒7´は、上端が架台4のプラットフォーム12に固定され、下端は満潮時の潮位L2より上方にあり、第2浮遊体3の柱部9に上端から挿入されている。さらに、図2に示すように、第1浮遊体2と第2浮遊体3が波や風雨で傾くのを防止するために、架台4の脚部11から突出するアーム19の先端に、第2浮遊体3の柱部9の周囲を部分的に囲むガイド部材20を設けてもよい。
第1浮遊体2と第2浮遊体3の間には、ロック部材21及びロック解除機構22、エアーシポンプ23及びポンプ駆動機構24が設けられている。
ロック部材21は、棒状の金属からなり、第2浮遊体3の柱部9に設けられたL字形の支持部材26aに水平に設けられている。ロック部材21の一端は、図2に示すように、第2浮遊体3の柱部9に設けられた貫通孔25を貫通して、固体体5の係合部14に係合可能になっている。ロック部材21の他端は、支持部材26aを貫通して後述するワイヤ31bに連結されている。ロック部材21の中間には、コイルばね27が外装されている。コイルばね27の一端は、ロック部材21の中間に固定した止め板28に当接し、他端は支持部材26aに当接している。これにより、ロック部材21は、固定体5の係合部14に係合して第2浮遊体3を昇降しないように固定する固定位置と、係合部14から離脱して第2浮遊体3を昇降可能に解放する解放位置とに移動可能で、コイルばね27により固定位置に向かって付勢されている。
ロック解除機構22は、上下1対のプーリ29,30と、第1と第2のワイヤ31a,31bとで構成されている。上プーリ29と下プーリ30は、第2浮遊体3の柱部9に設けられた支持部材26bに取り付けられている。上プーリ29は、図2に示すように、大径プーリ29aと小径プーリ29bからなる2段プーリである。下プーリ30は、上プーリ29の大径プーリ29aと同径である。第1ワイヤ31aは、上プーリ29と下プーリ30の対向する外周溝間に挿通され、その一端は第1浮遊体2の柱部7に連結され、他端は上プーリ29の大径プーリ29aの周溝に架け回されて当該周溝の一部に固定されている。第2ワイヤ31bは、上プーリ29の小径プーリ29bの外周溝に架け回されて、その一端が当該周溝の一部に固定され、他端はロック部材21に連結されている。上プーリ29を大径プーリ29aと小径プーリ29bの段付きにすることで、第1ワイヤ31aの移動量に対して第2ワイヤ31bの移動量、すなわち、ロック部材21の移動量を小さくすることができる。ロック部材21の移動量を小さくする必要がないときは、上プーリ29を単一のプーリにして、単一のワイヤ31の一端を第1浮遊体2の柱部7に連結し、他端をロック部材21に連結すればよい。
エアーポンプ23は、シリンダ32とプランジャ33とで構成されている。シリンダ32の一端のヘッド部分は、第1浮遊体2の柱部7に設けられた突出部34に回動可能に連結されている、プランジャ33はシリンダ32の開口端から突出している。シリンダ32の吐出口は、逆止弁35を有する配管36を介してプラットフォーム12の圧力タンク13の空気入口に接続されている。
ポンプ駆動機構24は、ラック37と、第1歯車38と、第2歯車39とから構成されている。ラック37は、第2浮遊体2の柱部7に上下方向に延びるように設けられている。第1歯車38は、ラック37と噛み合うように、第2浮遊体3の柱部9の垂直板15に回転可能に設けられている。第2歯車39は、第1歯車38と噛み合うように、第2浮遊体3の柱部9の垂直板15に回転可能に設けられている。第2歯車39の側面には、エアーポンプ23のプランジャ33の先端が回動可能に連結されている。
第1浮遊体2と第2浮遊体3が同じレベルで浮遊状態にあるとき、エアーポンプ23は、シリンダ32が水平で、圧縮状態にあり、プランジャ33の一端が第2歯車39の中心よりもラック37側に位置するように取り付けられている。
次に、第1実施形態の空気圧縮装置1の動作について説明する。
図4は、満ち潮時の空気圧縮装置1の動作を示す。図4(a)に示すように、干潮時には、第1浮遊体2と第2浮遊体3が海面に同じレベルで浮遊状態にある。また、ロック部材21は固定体5の係合部14に係合して固定位置にあり、エアーポンプ23は水平状態になっている。
満ち潮が始まり、潮位が上がり始めると、図4(b)に示すように、第1浮遊体2が潮位に応じて上昇する。また第2浮遊体3は、ロック部材21が固定体5の係合部14に係合してロック状態にあるので、上昇せずに海中に没する。第1浮遊体2の上昇に伴い、ロック解除機構22の第1ワイヤ31aが上プーリ29の大径プーリ29aを図において反時計回りに回動させ、小径プーリ29bが第2ワイヤ31bを図において右方向に引き寄せる結果、ロック部材21はコイルばね27の付勢力に抗して図において右方の解放位置に向かって移動する。一方、ラック37に噛み合う第1歯車38は図において反時計回りに回動し、第1歯車38に噛み合う第2歯車39は図において時計回りに回動する。この結果、エアーポンプ23のシリンダ32は開口端が下方に傾き、プランジャ33は第2歯車39の回転に伴って引っ張られる。エアーポンプ23は、シリンダ32の内面とプランジャ33のピストンの外周との隙間からシリンダ32内に外気が吸い込まれ、吸入状態となる。
第1浮遊体2が所定高さに上昇すると、ロック部材21が解放位置に達し、ロック部材21が固定体5の係合部14から外れる。これにより、今まで海中に没していた第2浮遊体3が浮力により急激に上昇する。第2浮遊体3の上昇に伴い、ロック解除機構22の第1ワイヤ31aと第2ワイヤ31bが緩まる結果、図4(c)に示すように、ロック部材21はコイルばね27の付勢力により図において左方の固定位置に向かって移動し、上プーリ29は図において時計回りに回動する。一方、ラック37に噛み合う第1歯車38は図において時計回りに回動し、第1歯車38に噛み合う第2歯車39は図において反時計回りに回動する。この結果、エアーポンプ23のシリンダ32は水平に戻り、プランジャ33は第2歯車39の回転に伴って圧縮される。エアーポンプ23は、プランジャ33により内部の空気を圧縮し、逆止弁35、配管36を通って圧力タンク13に吐出される。第2浮遊体3が所定高さに上昇すると、ロック部材21が固定位置に達し、固定体5の係合部14に係合し、第2浮遊体3の上昇が停止する。
この動作は満潮になるまで、6回繰り返される。このように、満ち潮時に、第1浮遊体2が潮位に応じて所定高さ上昇する毎に、エアーポンプ23のプランジャ33を引張り、ロック解除機構22が固定体5の係合部14とロック部材21との係合を解除することにより、第2浮遊体3が浮力により上昇して上向きの動力を発生し、該動力により、エアーポンプ23のプランジャ33を圧縮し、ロック部材21が固定体5の係合部14に係合する。
図5は、引き潮時の空気圧縮装置1の動作を示す。図5(a)に示すように、満潮時には、第1浮遊体2と第2浮遊体3が海面に同じレベルで浮遊状態にある。また、ロック部材21は固定体5の係合部14に係合して固定位置にあり、エアーポンプ23は水平状態になっている。
引き潮が始まり、潮位が下がり始めると、図5(b)に示すように、第1浮遊体2が潮位に応じて下降する。また第2浮遊体3は、ロック部材21が固定体5の係合部14に係合してロック状態にあるので、下降せずに海上に留まる。第1浮遊体2の下降に伴い、ロック解除機構22の第1ワイヤ31aが下プーリ30を介して上プーリ29を図において反時計回りに回動させ、小径プーリ29bが第2ワイヤ31bを図において右方向に引き寄せる結果、ロック部材21はコイルばね27の付勢力に抗して図において右方の解放位置に向かって移動する。一方、ラック37に噛み合う第1歯車38は図において時計回りに回動し、第1歯車38に噛み合う第2歯車39は図において反時計回りに回動する。この結果、エアーポンプ23のシリンダ32は開口端が下方に傾き、プランジャ33は第2歯車39の回転に伴って引っ張られる。エアーポンプ23は、シリンダ32の内面とプランジャ33のピストンの外周との隙間からシリンダ32内に外気が吸い込まれ、吸入状態となる。
第1浮遊体2が所定高さに下降すると、ロック部材21が解放位置に達し、ロック部材21が固定体5の係合部14から外れる。これにより、今まで海上に留まっていた第2浮遊体3が自重により急激に下降する。第2浮遊体3の下降に伴い、ロック解除機構22の第1ワイヤ31aと第2ワイヤ31bが緩まる結果、図5(c)に示すように、ロック部材21はコイルばね27の付勢力により図において左方の固定位置に向かって移動し、上プーリ29は図において時計回りに回動する。一方、ラック37に噛み合う第1歯車38は図において反時計回りに回動し、第1歯車38に噛み合う第2歯車39は図において時計回りに回動する。この結果、エアーポンプ23のシリンダ32は水平に戻り、プランジャ33は第2歯車39の回転に伴って圧縮される。エアーポンプ23は、プランジャ33により内部の空気を圧縮し、逆止弁35、配管35を通って圧力タンク13に吐出される。第2浮遊体3が所定高さに下降すると、ロック部材21が固定位置に達し、固定体5の係合部14に係合し、第2浮遊体3の下降が停止する。
この動作は干潮になるまで、6回繰り返される。このように、引き潮時に、第1浮遊体1が潮位に応じて所定高さ下降する毎に、エアーポンプ23のプランジャ33を引張り、ロック解除機構22が固定体5の係合部14とロック部材21との係合を解除することにより、第2浮遊体3が自重により下降して下向きの動力を発生し、該動力により、エアーポンプ23のプランジャ33を圧縮し、ロック部材21が固定体5の係合部14に係合する。
圧力タンク13に貯留された圧縮空気は、空圧機械、空気圧制御機器、洗浄、発電等様々な用途に利用できる
図6は、本発明の第2実施形態の空気圧縮装置1Aを示す。空気圧縮装置1Aでは、エアーポンプ23は第1浮遊体2の柱部7に固定して設けられている。エアーポンプ23は、プランジャ33のピストンが中間に位置し、上シリンダ32aと下シリンダ32bを有している。上シリンダ32aには吐出口40と逆止弁付きの空気吸込口41が設けられ、下シリンダ32bにも吐出口40と逆止弁付きの空気吸込口41が設けられている。プランジャ33は上シリンダ32aのヘッドを気密シール状態で貫通して上方に突出し、第2浮遊体3の柱部9から突出するリブ42に連結されている。
満ち潮時には、第1浮遊体2の上昇に伴ってエアーポンプ23のシリンダ32a、32bが上昇し、プランジャ33が相対的に下降するため、上シリンダ32aと下シリンダ32bの空気がプランジャ33のピストンとシリンダ32a、32bの間の隙間を介して入れ換わる。第2浮遊体3が上昇すると、上シリンダ32aは吸込口41が閉じてプランジャ33により圧縮され、吐出口40から圧縮空気が吐出される一方、下シリンダ32bには吸込口41から空気が吸引される。
同様に、引き潮時には、第1浮遊体2の下降に伴ってエアーポンプ23のシリンダ32a、32bが下降し、プランジャ33が相対的に上昇するため、上シリンダ32aと下シリンダ32bの空気がプランジャ33のピストンとシリンダ32a、32bの間の隙間を介して入れ換わる。第2浮遊体3が下降すると、下シリンダ32bは吸込口41が閉じてプランジャ33により圧縮され、吐出口40から圧縮空気が吐出される一方、上シリンダ32aには吸込口41から空気が吸引される。
図7は、本発明の第3実施形態の空気圧縮装置1Bを示す。空気圧縮装置1Bは、第1浮遊体2の浮子6が第2浮遊体3の浮子8を囲むように環状に形成されている。また、第1浮遊体2の柱部7は、環状の浮子6の上に複数(好ましくは3本)設けられている。複数の柱部7に内接するように、第2浮遊体2の柱部9と同芯のシリンダ23が取り付けられている。シリンダ23の上端と下端には、上ヘッド43と下ヘッド44が設けられている。第2浮遊体3の柱部9は上ヘッド43と下ヘッド44を貫通してプランジャ33を形成し、シリンダ23の中間においてピストン45が取り付けられている。上ヘッド43には吐出口40と吸込口41が設けられ、下ヘッド44にも吐出口40と吸込口41が設けられている。
代案として、環状の浮子6に柱部7を複数設ける代わりに、環状の浮子6と同芯の筒状に形成して、その一部をシリンダとしてもよい。
第3実施形態の空気圧縮装置1Bのエアーポンプ23の動作は、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図8は、図1の空気圧縮装置1を複数台設けた変形例を示す。第1空気圧縮装置1a、第2空気圧縮装置1b、第3空気圧縮装置1cは、同一構造であるが、第2浮遊体3の高さが50mmずつずれている。すなわち、第2空気圧縮装置1aの第2浮遊体3は第1空気圧縮装置1aの第2浮遊体3より50mm低く設けられ、第3空気圧縮装置1cの第2浮遊体3は第1空気圧縮装置1aの第2浮遊体3より100mm低く設けられている。第2浮遊体3の高さは、各プラットフォーム12に設けられた高さ調整装置46により固定体5の上端を引き下げて調整することができる。
図8の状態から、満ち潮が始まると、第3空気圧縮機1c、第2空気圧縮機1b、第1空気圧縮機1aの順で、それぞれのエアーポンプ23が作動する。このように、複数台の空気圧縮装置1a、lb、1cを設けることで、満ち潮時及び引き潮時に、エアーポンプ23が作動する位相をずらし、圧力タンク12への蓄圧の効率を高めることができる。
図9は、図1の空気圧縮装置1を用いた発電装置50を示す。発電装置50は、図1の空気圧縮装置1と同じ構成の空気圧縮装置1のプラットフォーム12に、回転機51と、発電機52とを搭載したものである。
回転機51は、空気圧縮装置1の圧力タンク13に貯留された圧縮空気により回転する種々の構造のタービンを用いることができるが、同図に示すように、螺旋状の羽根を備えたスパイラルタービンが好ましい。発電機52は、回転機51の回転力を電力に変換するものである。
本発明は以上の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、修正し変形することができる。例えば、第1浮遊体2、第2浮遊体3の構造は任意に変更することができる。また、ロック部材21のロック解除機構22や、エアーポンプ23のポンプ駆動機構24は種々の機構を採用することができる。
1,1A,1B…空気圧縮装置
2…第1浮遊体
3…第2浮遊体
4…架台
5…固定体
6…浮子
7…柱部
8…浮子
9…柱部
10…土台
11…土台
12…プラットフォーム
13…圧力タンク
14…係合部
15…垂直板
16…ガイド溝
17…突片
18…スライダ
19…アーム
20…ガイド板
21…ロック部材
22…ロック解除機構
23…エアーポンプ
24…ポンプ駆動機構
25…貫通孔
26…支持板
27…コイルばね
28…止め板
29…上プーリ
30…下プーリ
31a…第1ワイヤ
31b…第2プーリ
32…シリンダ
33…プランジャ
34…突出部
35…逆止弁
36…配管
37…ラック
38…第1歯車
39…第2歯車
40…吐出口
41…吸込口
42…リブ
43…上ヘッド
44…下ヘッド
45…ピストン
46…高さ調整装置
50…発電装置
51…回転機
52…発電機

Claims (8)

  1. 海面に浮遊し、潮位に応じて上昇し又は下降する第1浮遊体と、
    海中から浮力により上昇し、又は海上から自重により下降する第2浮遊体と、
    前記第2浮遊体の上昇又は下降する方向に沿って配置され、上下方向に所定間隔で係合部が設けられた固定体と、
    前記第2浮遊体に設けられ、前記固定体の前記係合部に係合して前記第2浮遊体を固定する固定位置と、前記係合部から離脱して前記第2浮遊体を解放する解放位置とに移動可能で、前記固定位置に向かって付勢されたロック部材と、
    前記第1浮遊体の上昇に応じて前記固定体の前記係合部と前記ロック部材との係合を解除するロック解除機構と、
    シリンダが前記第1浮遊体に設けられ、プランジャが前記第2浮遊体により駆動されるエアーポンプと、
    前記エアーポンプで圧縮された空気を貯留する圧力タンクとを備えることを特徴とする空気圧縮装置。
  2. 前記第1浮遊体は、浮子と、該浮子から垂直に延びる柱部とからなり、
    前記第2浮遊体は、浮子と、該浮子から垂直に延びる中空の柱部とからなり、
    前記ロック部材は、前記第2浮遊体の前記柱部に嵌入する固定軸からなり、
    前記ロック解除機構は、前記第2浮遊体の柱部に設けられた1対のプーリと、該1対のプーリの対向する外周溝間に挿通されたワイヤとからなり、ワイヤの一端が前記第1浮遊体の柱部に連結され、他端が前記第2浮遊体の前記ロック部材に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮装置。
  3. 前記第1浮遊体の柱部に上下方向に延びるラックが設けられ、
    前記第2浮遊体の柱部に、前記ラックに噛み合う第1歯車と、該第1歯車に噛み合う第2歯車とが設けられ、
    前記エアーポンプは、前記第1浮遊体と前記第2浮遊体が浮遊状態にあるときに、前記シリンダが水平で、前記プランジャが圧縮状態で、前記プランジャの一端が前記第2歯車の中心よりも前記ラック側で前記第2歯車の側面に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の空気圧縮装置。
  4. 前記エアーポンプのシリンダは、前記第1浮遊体の柱部に固定して設けられ、
    前記エアーポンプは、プランジャのピストンが中間に位置し、上シリンダと下シリンダを有し、
    前記上シリンダと前記下シリンダにそれぞれ吐出口と吸込口が設けられ
    前記プランジャは前記上シリンダ又は前記下シリンダのヘッドを貫通して突出し、前記第2浮遊体の柱部に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の空気圧縮装置。
  5. 前記第1浮遊体の浮子が前記第1浮遊体を囲むように環状に形成され、
    前記第1浮遊体の柱部に前記第2浮遊体の柱部と同芯の前記シリンダが形成され、
    前記シリンダの上端と下端に上ヘッドと下ヘッドが設けられ、
    前記第2浮遊体の柱部は、前記上ヘッドと前記下ヘッドを貫通して前記プランジャを形成し、前記シリンダの中間においてピストンが取り付けられ、
    前記上ヘッドと前記下ヘッドにそれぞれ吐出口と吸込口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の空気圧縮装置。
  6. 前記空気圧縮装置が複数台設けられ、
    前記複数の空気圧縮装置のそれぞれの前記第2浮遊体3の高さが所定高さずれて設置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の空気圧縮装置。
  7. 前記複数の空気圧縮装置の前記第2浮遊体3の高さを調整する高さ調整装置が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の空気圧縮装置。
  8. 前記請求項1から7のいずれかに記載の空気圧縮装置と、
    前記空気圧縮装置の圧力タンクに貯留された圧縮空気により回転する回転機と、
    前記回転機の回転力を電力に変換する発電機とを備えることを特徴とする発電装置。

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