以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形物の造形方法(造形物の製造方法)を実行する造形システム10の一例を示す。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、造形装置12及び制御PC14を備える。
造形装置12は、立体的な造形物の造形を実行する装置であり、制御PC14の制御に応じて、造形物を造形する。本例において、造形装置12で行う造形の動作は、造形実行段階の動作の一例である。また、より具体的に、造形装置12は、例えば、少なくとも表面が着色される立体的な造形物を造形する造形装置であり、造形しようとする造形物の断面の構成を示すデータであるスライスデータを制御PC14から受け取り、スライスデータに基づいて、造形物を造形する。また、この場合、造形装置12は、造形しようとする造形物における互いに異なる位置の断面をそれぞれ示す複数のスライスデータを制御PC14から受け取る。
制御PC14は、造形装置12の動作を制御する造形制御装置(ホストPC)である。本例において、制御PC14は、造形装置12により造形しようとする造形物を所定の形式で示す造形データを外部から受け取り、この造形データに基づいて、造形物50の各位置の断面に対応するスライスデータを生成する。また、制御PC14は、生成した複数のスライスデータを造形装置12へ供給することにより、造形装置12による造形の動作を制御する。
尚、造形データとしては、例えば、造形装置12の機種等に依存しない汎用の3Dデータ等を好適に用いることができる。また、制御PC14は、造形データについて、外部から取得するのではなく、例えばユーザの操作に応じて、制御PC14内で生成してもよい。また、上記のように、本例において、造形システム10は、複数の装置(造形装置12及び制御PC14)により構成されている。しかし、造形システム10の変形例において、造形システム10は、一台の装置により構成されてもよい。この場合、例えば、制御PC14の機能を含む一台の造形装置12により造形システム10を構成すること等が考えられる。
続いて、造形装置12の具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形装置12の要部の構成の一例を示す。本例において、造形装置12は、ヘッド部102、造形台104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。
尚、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置12は、例えば、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形装置12は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形や着色等に必要な各種構成を更に備えてよい。また、本例において、造形装置12は、積層造形法により立体的な造形物50を造形する造形装置(3Dプリンタ)である。この場合、積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法である。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。
ヘッド部102は、造形物50の材料を吐出する部分である。また、本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体のことである。また、より具体的に、ヘッド部102は、造形物50の材料として、複数の吐出ヘッドの一例である複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成して、積層造形法で造形物を造形する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。
また、ヘッド部102は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。また、これにより、造形装置12は、造形物50の周囲に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の外周を囲むことで造形物50を支持する積層構造物のことである。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。また、ヘッド部102のより具体的な構成については、図1(c)を用いて、後に更に詳しく説明をする。
造形台104は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50を上面に載置する。また、本例において、造形台104は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部106に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向とは、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向のことである。また、より具体的に、本例において、積層方向は、主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
走査駆動部106は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部102に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台104に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部102に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部102が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部106は、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査(Z走査)をヘッド部102に行わせる。
主走査動作とは、例えば、主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、走査駆動部106は、主走査方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102の側を移動させることにより、ヘッド部102に主走査動作を行わせる。また、走査駆動部106は、例えば、主走査方向におけるヘッド部102の位置を固定して、例えば造形台104を移動させることにより、造形物50の側を移動させてもよい。
副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作のことである。また、より具体的に、副走査動作は、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台104に対して相対的に移動する動作である。本例において、走査駆動部106は、主走査動作の合間に、副走査方向におけるヘッド部102の位置を固定して、造形台104を移動させることにより、ヘッド部102に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部106は、副走査方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102を移動させることにより、ヘッド部102に副走査動作を行わせてもよい。
積層方向走査とは、例えば、積層方向へヘッド部102又は造形台104の少なくとも一方を移動させることで造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部102を移動させる動作のことである。また、走査駆動部106は、造形の動作の進行に合わせてヘッド部102に積層方向走査を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。また、より具体的に、本例において、走査駆動部106は、積層方向におけるヘッド部102の位置を固定して、造形台104を移動させる。走査駆動部106は、積層方向における造形台104の位置を固定して、ヘッド部102を移動させてもよい。
制御部110は、例えば造形装置12のCPUであり、造形装置12の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作を制御する。また、より具体的に、本例において、制御部110は、制御PC14から受け取るスライスデータに基づき、造形装置12の各部の動作を制御する。本例によれば、造形物50を適切に造形できる。
続いて、ヘッド部102のより詳細な構成について、説明をする。図1(c)は、ヘッド部102のより詳細な構成の一例を示す。本例において、ヘッド部102は、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源204、及び平坦化ローラ206を有する。また、複数のインクジェットヘッドとして、図中に示すように、インクジェットヘッド202s、インクジェットヘッド202w、インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k、及びインクジェットヘッド202tを有する。これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッドは、造形台104と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。また、本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
また、これらのインクジェットヘッドのうち、インクジェットヘッド202sは、サポート層52の材料を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。
インクジェットヘッド202wは、白色(W色)のインクを吐出するインクジェットヘッドであり、造形物50の内部を構成する領域である内部領域を、白色のインクで形成する。また、本例において、白色のインクは、光反射性のインクの一例でもあり、例えば造形物50において光を反射する性質の領域(光反射領域)を形成する場合に用いられる。この場合、光反射領域とは、例えば、造形物50表面に対してフルカラー表現での着色を行う場合に、造形物50の外部から入射する光を反射する。フルカラー表現とは、例えば、プロセスカラーのインクによる減法混色法の可能な組み合わせで行う色の表現のことである。また、本例においては、内部領域を白色のインクで形成することにより、内部領域が光反射領域としても機能する。
尚、造形装置12の動作の変形例においては、内部領域と光反射領域とを分けて形成してもよい。この場合、内部領域について、白色のインク以外のインクを用いて形成してもよい。また、ヘッド部102は、内部領域を形成するためのインクジェットヘッドとして、造形材インク(Moインク)を吐出するインクジェットヘッド等を更に有してもよい。この場合、造形材インクとは、例えば、造形物50の内部領域の造形に用いる造形専用のインクである。
インクジェットヘッド202y、インクジェットヘッド202m、インクジェットヘッド202c、インクジェットヘッド202k(以下、インクジェットヘッド202y〜kという)は、造形物50に対する着色用のインクジェットヘッド(着色用ヘッド)であり、着色用の材料の一例である有彩色のインクを吐出する。より具体的に、インクジェットヘッド202yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド202cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド202kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、この場合、YMCKの各色は、減法混色法によるフルカラー表現に用いるプロセスカラーの一例である。また、インクジェットヘッド202tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。クリアインクとは、例えば、無色の透明色(T)であるクリア色のインクのことである。
複数の紫外線光源204は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。また、本例において、複数の紫外線光源204のそれぞれは、間にインクジェットヘッドの並びを挟むように、ヘッド部102における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源204としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源204として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。
平坦化ローラ206は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ206は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。
以上のような構成のヘッド部102を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。
尚、ヘッド部102の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部102は、着色用のインクジェットヘッドとして、上記以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
続いて、造形物50の造形に用いるスライスデータを生成する動作等について、更に詳しく説明をする。図2は、スライスデータを生成する動作の一例を示す図であり、造形装置12により造形しようとする造形物50の構成の一例と、スライスデータを生成する動作の一部とを模式的に示す。図2(a)は、造形装置12により造形しようとする造形物50の構成の一例を示す断面図である。図中に示すように、図示した断面は、Z方向(積層方向)と垂直なX−Y断面である。また、本例において、Y方向やZ方向と垂直な造形物50のZ−X断面やX−Y断面の構成も、同様の構成になる。
上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、インクジェットヘッド202y〜k(図1参照)等を用いて造形物50を造形する。また、これにより、例えば、表面が着色された造形物50を造形する。この場合、造形物50の表面が着色されるとは、例えば、造形物50において外部から色彩を視認できる領域の少なくとも一部が着色されることである。また、図中に示すように、本例において、表面が着色された造形物50を造形する場合、造形装置12は、内部領域152及び着色領域154を有する造形物50を造形する。また、必要に応じて、造形物50の周囲にサポート層を形成する。
内部領域152は、造形物50の形状を構成する造形物50の内部の領域である。本例において、ヘッド部102は、インクジェットヘッド202wから吐出する白色のインクを用いて内部領域152を形成する。また、これにより、上記においても説明をしたように、内部領域152について、光反射領域としても機能させる。
着色領域154は、インクジェットヘッド202y〜kから吐出する着色用のインクにより着色がされる領域である。また、図中に示すように、本例において、着色領域154は、造形物50の表面形状に沿った層状の領域である。ヘッド部102は、インクジェットヘッド202y〜kから吐出する各色の着色用のインクと、インクジェットヘッド202tから吐出するクリアインクとを用いて、内部領域152の周囲に着色領域154を形成する。この場合、各位置への各色の着色用のインクの吐出量を調整することにより、様々な色を表現する。また、色の違いによって生じる着色用のインクの量の変化を一定の量に合わせるように補填をするために、クリアインクを用いる。このように構成すれば、例えば、着色領域154の各位置を所望の色で適切に着色できる。また、これにより、例えば、表面が着色された造形物50を適切に形成できる。
尚、造形物50の構成の変形例においては、造形物50の具体的な構成について、上記と異ならせることも考えられる。より具体的には、例えば、内部領域152と区別して、内部領域152と着色領域154との間に、光反射領域を形成すること等が考えられる。この場合、内部領域152について、白色のインク以外のインクを用いて形成してもよい。例えば、内部領域152について、サポート層52の材料以外の任意のインクを用いて形成することが考えられる。また、例えば、光反射領域と着色領域154との間に、分離領域を形成すること等も考えられる。この場合、分離領域とは、光反射領域を構成する白色のインクと着色領域154における着色用のインクとが混ざることを防ぐための領域であり、例えばクリアインクで形成される。また、例えば、着色領域154の外側に、インクジェットヘッド202tから吐出するクリアインクを用いて、保護領域を形成すること等も考えられる。この場合、保護領域とは、例えば、造形物50の外面を保護するための透明な領域である。
また、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置12は、制御PC14から受け取るスライスデータに基づき、造形物50を造形する。また、制御PC14は、造形しようとする造形物50を示す造形データに基づき、スライスデータを生成する。
図2(b)は、制御PC14(図1参照)においてスライスデータを生成する動作の一部を模式的に示す図であり、造形物50における一つの断面に対応するスライスデータを生成する動作の一例を模式的に示す。
本例において、制御PC14は、Z方向(積層方向)へ一定の間隔で並ぶ複数の断面位置を設定し、それぞれの断面位置に対応するスライスデータを生成する。この場合、断面位置の間隔は、例えば、積層造形法において積層するインクの層の厚さに合わせて設定される。また、制御PC14は、造形に使用するそれぞれのインクに対応するデータである分版断面データを造形データに基づいて生成する。そして、生成した分版断面データに基づき、スライスデータを生成する。この場合、例えば、それぞれの分版断面データを造形装置12の仕様等に合わせて変換することにより、それぞれの分版断面データに対応する変換後のデータを含むスライスデータを生成する。また、この場合、この変換において、例えば、分版断面データを2値化する処理等を行うことが考えられる。
また、より具体的に、分版断面データを生成する動作において、制御PC14は、先ず、造形しようとする造形物50を示す造形データに基づき、それぞれの断面位置における造形物50の断面の構成を示すデータであるカラー断面データ302を生成する。この場合、カラー断面データ302は、断面位置における造形物50の断面の形状と、その断面の各位置における造形物50の色を少なくとも示すデータである。また、断面の形状とは、積層方向と直交する面内における断面の平面形状のことである。断面の各位置における造形物50の色とは、例えば、フルカラーにより表現される各位置の色である。また、カラー断面データ302については、例えば、断面の平面形状と色とを示すカラー画像(スライスカラー画像)と考えることもできる。
また、更に具体的に、本例において、制御PC14は、各断面位置でのカラー断面データ302を生成する前に、造形データに基づき、内部領域152及び着色領域154等の造形物50における各領域を含む立体データ(3Dデータ)を生成する。そして、この立体データを一定の間隔で輪切り状にすることで、各断面位置におけるカラー断面データ302を生成する。そのため、図中に示すように、カラー断面データ302は、図2(a)に示した造形物50の構成と同様に、内部領域152に対応する領域と、着色領域154に対応する領域とを有している。また、図示は省略したが、造形物50の周囲にサポート層を形成する場合、制御PC14は、例えば、上記の立体データに対し、必要に応じて、サポート層に対応する領域を更に追加する。この場合、カラー断面データ302は、例えば、サポート層に対応する領域を更に有する。
また、カラー断面データ302を生成した後、制御PC14は、造形物50の造形に使用するインクの色毎にカラー断面データ302を色分解することにより、各色のインクにそれぞれが対応する複数の分版断面データを生成する。また、より具体的に、本例において、制御PC14は、少なくとも、白色のインクに対応する分版断面データ304w、YMCKの各色のインクに対応する分版断面データ304y、304m、304c、304k(以下、分版断面データ304y〜kという)、及びクリアインクに対応する分版断面データ304tを生成する。また、図示は省略したが、制御PC14は、必要に応じて、例えば、サポート層の材料となるインクに対応する分版断面データを更に生成する。また、上記以外の色のインクを更に用いる場合、制御PC14は、その色に対応する分版断面データを更に生成する。
また、この場合、カラー断面データ302を色分解するとは、例えば、カラー断面データ302においてフルカラーで表現されている色を造形に使用するインクの色に分解することである。また、この場合、例えば公知のインクジェットプリンタにおいてフルカラーの画像を印刷する場合に行う分版処理と同一又は同様にして、各色のインクに対応する分版断面データを生成することが考えられる。また、各色に対応する分版断面データは、例えば、グレースケール画像のデータであり、各位置におけるグレースケール濃度により、断面の各位置へ吐出すべきインクの量を示す。また、制御PC14の動作の変形例については、例えば、グレースケール画像に対してハーフトーン処理を行った2値画像を分版断面データとして用いること等も考えられる。
また、このようにして分版断面データを生成することにより、分版断面データ304wは、例えば、造形物50における内部領域152に対応する部分が塗りつぶされたデータになる。また、分版断面データ304y〜k及び分版断面データ304tは、造形物50における着色領域154の各位置に対するインクの吐出量に応じた濃度が設定されたデータになる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、このような分版断面データに対して2値化等の所定の処理を行うことにより、スライスデータを生成する。このように構成すれば、例えば、造形装置12における各色用のインクジェットヘッドに対し、各色のインクを適切に吐出させることができる。また、これにより、例えば、表面が着色された造形物50を造形装置12に適切に造形させることができる。
また、本例においては、造形時に生じるインクの着弾位置のズレ等の影響を低減するために、色分解により生成した分版断面データの少なくとも一部に対し、データの変更(調整)を更に行う。分版断面データに対して行うデータの変更については、後に更に詳しく説明をする。
ここで、造形時に生じるインクの着弾位置のズレ等の影響について、更に詳しく説明をする。図3は、インクの着弾位置のズレ等の影響について説明をする図である。図3(a)は、主走査方向(Y方向)において着弾位置のズレ(Y着誤差)が生じている状態の一例を示す図であり、シアン色のインクのドット402c、及びマゼンタ色のインクのドット402mについて、少なくとも一方に着弾位置のズレが生じた状態の一例を示す。この場合、ドット402cとドット402mとは、例えば、一部が重なった状態で、主走査方向においてずれた状態で着弾する。また、その結果、二つのドットが重なることで形成される色について、完全に均一にはならず、主走査方向の位置によって差が生じることになる。より具体的に、図示のように着弾位置のズレが生じた場合、主走査方向において、シアン色の部分、シアン色とマゼンタ色とが混ざった部分、及びマゼンタ色の部分とが並ぶことになる。
これに対し、このような着弾位置のズレが生じたとしても、実際の画像の観察時には、通常、周囲のドットも含めて平均化された状態が観察される。そのため、例えば造形物50の上面等の場合、このような着弾位置のズレが生じたとしても、面の色への影響は少ないと考えられる。
しかし、立体的な造形物50において、側面は、積層される複数のインクの層の端部が重なることで形成される。そのため、側面等の場合、このような着弾位置のズレにより、面の色味の変化が生じる場合がある。
図3(b)は、造形物50の側面における色味の変化について説明をする図であり、造形時に積層される複数のインクの層について、インクの着弾位置のズレの影響を模式的に示す。この場合、例えば図3(a)に示すような着弾位置のズレが生じると、主走査方向における一方側及び他方側の側面において、シアン色又はマゼンタ色のいずれか一方が強く現れることになる。より具体的に、例えば、矢印410aで示す側の側面においては、シアン色が強く表れた色味に着色されることが考えられる。また、矢印410bで示す側の側面においては、マゼンタ色が強く表れた色味に着色されることが考えられる。また、その結果、造形物50における主走査方向の一方側及び他方側(造形物50の左右)において、色味に差が生じることになる。
また、着弾位置のズレの影響は、主走査方向以外の方向で生じる場合もある。図3(c)は、副走査方向(X方向)において着弾位置のズレ(X着誤差)が生じている状態の一例を示す図であり、シアン色のインクのドット402c、及びマゼンタ色のインクのドット402mについて、少なくとも一方に着弾位置のズレが生じた状態の一例を示す。この場合も、二つのドットが重なることで形成される色について、完全に均一にはならず、副走査方向の位置によって差が生じることになる。また、その結果、造形物50の側面のうち、副走査方向における一方側及び他方側の側面において、シアン色又はマゼンタ色のいずれか一方が強く現れることになる。そして、造形物50における副走査方向の一方側及び他方側(造形物50の前後)において、色味に差が生じることになる。
これに対し、本例においては、上記においても説明をしたように、造形時に生じるインクの着弾位置のズレ等の影響を低減するために、色分解により生成した分版断面データの少なくとも一部に対し、データの変更(調整)を行う。以下、分版断面データに対して行う変更の例について、更に詳しく説明をする。
図4は、分版断面データの変更の仕方の一例を模式的に示す図であり、制御PC14の動作において分版断面データを変更する段階である分版断面データ変更段階の動作の一例を示す。また、図4に示す動作は、例えば、積層される少なくとも一部の層の形成に用いる複数の分版断面データの一部に対して変更を行う場合の動作の例である。この場合、少なくとも一部の層の形成に用いる複数の分版断面データの一部とは、例えば、積層する各層に対応して制御PC14において形成するカラー断面データ302(図3参照)のうちの少なくとも一部に対応する複数の分版断面データのうちの一部のことである。また、カラー断面データ302に対応する分版断面データ304とは、例えば、そのカラー断面データ302を色分解することで生成される分版断面データ304のことである。
また、図4に示す動作は、分版断面データに応じてインクが吐出される範囲(色版のサイズ)が変わるように分版断面データを変更(調整)する動作の例でもある。また、より具体的に、図4に示す動作では、各層に対応する複数の分版断面データについて、いずれかの色に対応する分版断面データに応じてインクが吐出される範囲を他の色に対応する範囲よりも大きくする。
図4(a)は、分版断面データに応じてインクが吐出される範囲の変え方の一例を示す図であり、Y(イエロー)色に対応する分版断面データ304yに応じてインクが吐出される範囲をC(シアン)色、M(マゼンタ)色、及びK(ブラック)色のそれぞれに対応する範囲よりも大きくする場合の例を示す。また、図中においては、図示の便宜上、Y色に対応する分版断面データ304yと、C色に対応する分版断面データ304cのみを図示している。M色及びK色に対応する分版断面データに応じてインクが吐出される範囲は、例えば、C色に対応する範囲と同一又は同様である。
また、より具体的に、図示した場合において、分版断面データ304yに対応する範囲の主走査方向及び副走査方向における幅は、LYy及びLXyになっている。分版断面データ304yにおいて着色領域154(図2参照)に対応する幅は、Dyになっている。また、分版断面データ304cに対応する範囲の主走査方向及び副走査方向における幅は、LYc及びLXcになっている。分版断面データ304cにおいて着色領域154に対応する幅は、Dcになっている。そして、この場合、それぞれの幅は、LXy>LXc、LYy>LYc、Dy>Dcを満たす関係になっている。
尚、図示の便宜上、図4においては、分版断面データ304y及び分版断面データ304cについて、位置をずらして図示している。しかし、分版断面データの位置を管理する座標上において、分版断面データ304y及び分版断面データ304cは、例えば図4(b)に示すように、中心の位置を揃えて重なる。また、図4(b)は、分版断面データ304yとカラー断面データ302cとを重ねた状態の一例を示す。
また、本例において、制御PC14は、Y色に対応する分版断面データ304、及びY色以外の着色用のインクの色(M、C、K色)に対応する分版断面データの少なくとも一方を変化させることにより、少なくとも一部の分版断面データに対応する範囲を変化させる。より具体的に、この場合、例えば図中に示すように、分版断面データの変更を行った後の状態において、分版断面データ304yの範囲を、分版断面データ304c等の範囲よりも大きくする。また、この場合、例えば図4(b)に示すように、造形物の外側に対応する外縁部分について、分版断面データ304cの範囲の外縁は、分版断面データ304cの範囲の外縁よりも外側になる。
このように構成した場合、造形装置12(図1参照)における造形物の造形時において、造形物の最も外側(最外部)は、一定の色(Y色)で形成されることになる。そして、この場合、例えば着色用のインクの着弾位置にズレが生じた場合にも、色味の変化を生じ難くすることができる。そのため、このように構成すれば、例えば、インクの着弾位置のズレにより造形物の色の見え方が変化すること等を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、着色された造形物を高い精度でより適切に造形することができる。
ここで、インクの着弾位置のズレについて、例えばズレの量が造形の解像度よりも大きい場合には、上記のような分版断面データの変更ではなく、例えばインクを吐出するタイミングの調整等により、ズレを小さくすることが好ましい。そのため、分版断面データの変更については、例えば、造形の解像度に応じた吐出位置の最小間隔(最小のドット間ピッチ)分だけ、範囲の変更を行うことが好ましい。この場合、吐出位置の最小間隔とは、他例えば、造形の解像度の1ドット分のことである。このように構成すれば、例えば、過度に分版断面データを変更することなく、インクの着弾位置のズレの影響を適切に抑えることができる。
また、より具体的に、この場合、例えば、分版断面データ304yのように他の色に対応する分版断面データよりも範囲を大きくする分版断面データについて、外縁部分を1ドット分だけ拡張することが考えられる。外縁部分を1ドット分だけ拡張するとは、例えば、分版断面データの外縁の各位置の外側に1ドット分のデータを追加することである。また、この場合、例えば、予め設定された一定のグレースケール濃度(例えば、最大の濃度)のドットを追加することが考えられる。
また、分版断面データの変更については、分版断面データ304yを変更するのではなく、分版断面データ304c等の範囲を小さくすることも考えられる。この場合、分版断面データ304c等について、外縁部分を1ドット分だけ縮小することが考えられる。外縁部分を1ドット分だけ縮小するとは、例えば、分版断面データの外縁の各位置の1ドット分のデータを削除することである。
また、図4を用いて説明をした動作において、Y色は、第1の色の一例である。分版断面データ304yに応じてインクが吐出される範囲は、第1範囲の一例である。また、M、C、Kの各色は、第2の色の一例である。M、C、Kの各色に対応する分版断面データに応じてインクが吐出される範囲は、第2範囲の一例である。また、この場合、上記において説明をした分版断面データの変更の仕方について、より一般化して考えた場合、第2範囲が第1範囲よりも造形物の外側へはみ出さなくなるように、第1の色及び第2の色の少なくともいずれかに対応する分版断面データを変更する動作と考えることができる。
また、第1の色及び第2の色については、上記以外の色に設定すること等も考えられる。この場合、第1の色について、第2の色よりも明るい色にすることが好ましい。明るい色とは、例えば、光の吸収率がより小さい色のことである。このように構成すれば、例えば、着色用のインクの着弾位置にズレが生じた場合にも、濃い色のインクが造形物の外側にズレ出すことを適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、色の見え方の変化をより適切に抑えることができる。
また、第1の色及び第2の色の設定については、例えば、積層する層毎に異ならせること等も考えられる。この場合、例えば、層毎に第1の色を設定して、着色用のインクの色における第1の色以外の色を第2の色に設定する。また、この場合、例えば、積層方向において連続して重なる層の間で第1の色の設定が異なるように、第1の色を設定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、各層における色の変化の生じ方を層毎に異ならせ、面全体で平均化することができる。また、これにより、例えば、着弾位置のズレによる色味の変化を適切に抑えることができる。また、第1の色の選択について、層毎にランダムに選択すること等も考えられる。
また、分版断面データの変更については、上記のような範囲の拡大や縮小以外の変更を行うことも考えられる。図5は、分版断面データの変更の仕方の他の例を模式的に示す図であり、それぞれの分版断面データに対応する範囲の大きさは変化させず、位置をずらすことで分版断面データに対応する範囲を変化させる場合の動作の例を示す。
この場合、分版断面データについて、位置をずらすとは、例えば、少なくとも一部のカラー断面データ302に対応する少なくとも一部の分版断面データについて、積層方向と直交する面内(XY面内)における分版断面データの位置をずらすことである。また、分版断面データの位置とは、例えば、造形時にその分版断面データに応じてインクを吐出する位置のことである。また、分版断面データの位置をずらすことについては、例えば、分版断面データの位置を管理する座標上において、その分版断面データの基準位置をずらすこと等と考えることもできる。
図5(a)は、分版断面データの位置のずらし方の一例を示す図であり、C色に対応する分版断面データ304cの位置をずらした状態の一例を示す。図5(a)において、上側の図は、位置をずらす前の分版断面データ304cである。また、下側の図は、主走査方向へ所定の距離dyだけ分版断面データ304cをずらした状態を示す。このように分版断面データ304cの位置をずらすことにより、例えば、分版断面データ304cに応じてインクが吐出させる範囲を変化させることができる。
また、この場合、一つの分版断面データ304に対応する各色の分版断面データのうち、一部の色の分版断面データの位置をずらすことが好ましい。また、分版断面データのずらし方について、積層する層毎に異ならせることが好ましい。また、位置をずらす分版断面データの色について、層毎に異ならせてもよい。この場合、例えば、積層方向において連続して重なる層の間で互いに異なる色の分版断面データをずらすことが考えられる。また、各層において、ランダムに選択した色に対応する分版断面データをずらすこと等も考えられる。
図5(b)は、一部の分版断面データの位置をずらしつつ複数のインクの層を形成した状態を模式的に示す図であり、連続して重なる2つの層である第n層及び第n+1層について、XY面内における分版断面データ304cの位置の例を示す。また、図示した例においては、第n+1層での分版断面データ304cの位置について、第n層での位置と比べ、主走査方向(Y方向)へ所定の距離dyだけずらしている。
このようにして一部の分版断面データの位置をずらした場合、例えば、造形物の側面を構成するインクの層の端部において、インクのドットの重なり方が変化する。また、この場合、位置のずらし方を層毎に異ならせることにより、例えば、着色領域154の端部の色味が層毎に変化することになる。
そのため、このように構成した場合、例えば、着色領域154を構成する着色用のインクの着弾位置にズレが生じた場合にも、ズレの影響を分散して平均化することができる。また、これにより、例えば、造形物の側面等について、個々の層での色の見え方の影響を抑え、それぞれの面の色味を均一化できる。そのため、このように構成すれば、造形物の各面について、所望の色(色味)を適切に表現することができる。
尚、図5に示す動作については、例えば、分版断面データの位置をあえて層毎にずらすことで、面として同一の色味になるように誤差を与える構成等と考えることもできる。また、分版断面データのずらし方については、例えば、予め設定された色に対応する分版断面データについて、積層する層毎に順番に、図中の左右や前後に交互にずらすことが考えられる。この場合、図中の左右に交互にずらすとは、主走査方向における一方及び他方の向きに交互にずらすことである。また、前後に交互にずらすとは、副走査方向における一方及び他方の向きに交互にずらすことである。
また、分版断面データのずらし方については、例えば、積層する層毎にランダムにずらすこと等も考えられる。また、位置をずらす分版断面データについては、一定の色の分版断面データに限らず、例えば層毎に色の選択を変更して、選択した色に対応する分版断面データの位置をずらしてもよい。
また、分版断面データの位置をずらす場合においても、ずらす量については、造形の解像度に応じた吐出位置の最小間隔分である1ドット分にすることが好ましい。この場合、分版断面データの位置を1ドット分ずらすとは、主走査方向及び副走査方向の一方又は両方について1ドット分だけ位置をずらすことである。このように構成すれば、例えば、過度に分版断面データを変更することなく、着色用の材料の着弾位置のズレの影響を適切に抑えることができる。
続いて、制御PC14においてスライスデータを生成する動作の全体について、更に詳しく説明をする。図6は、制御PC14においてスライスデータを生成する動作の一例を示すフローチャートである。また、本例において、このフローチャートに示す動作は、スライスデータ生成段階の動作の一例である。
本例において、スライスデータを生成する場合、制御PC14は、先ず、例えばネットワークや記憶媒体等を通じて制御PC14の外部から、造形データを取得する(S102)。そして、例えば図2を用いて上記において説明をしたように、造形データに基づき、それぞれの断面位置におけるカラー断面データを生成する(S104)。本例において、ステップS104の動作は、カラー断面データ生成段階の動作の一例である。また、ステップS104の動作に続いて、制御PC14は、それぞれのカラー断面データに基づき、各色用の分版断面データを生成する(S106)。本例において、ステップS106の動作は、分版データ生成段階の動作の一例である。
そして、ステップS106の動作に続いて、制御PC14は、例えば図4又は図5等を用いて上記において説明をしたように、少なくとも一部の分版断面データに対する変更(調整)を行う(S108)。また、これにより、一部の分版断面データに対応する範囲を変化させて、分版断面データに応じてインクが吐出される位置の少なくとも一部を変化させる。本例において、ステップS108の動作は、分版断面データ変更段階の動作の一例である。
また、ステップS108の動作に続いて、制御PC14は、ステップS108での変更後の分版断面データに基づき、スライスデータを生成する。この場合、制御PC14は、例えば、分版断面データの2値化や、造形装置12の機種に合わせたデータの形式の変更等を行うことにより、分版断面データに基づいてスライスデータを生成する。そして、生成したスライスデータを、造形装置12(図1参照)へ出力する(S110)。本例によれば、例えば、分版断面データの変更を行いつつ、造形データに基づいてスライスデータを適切に生成できる。
また、この場合、造形装置12は、制御PC14から受け取るスライスデータに従って、積層造形法で造形物を造形する。造形装置12において行う造形の動作は、造形実行段階の動作の一例である。また、この場合、変更後の分版断面データに基づいて生成されたスライスデータに従って造形を行うことにより、上記においても説明をしたように、着色用のインクの着弾位置のズレの影響を適切に抑えることができる。また、これにより、着色された造形物を高い精度で適切に造形することができる。
続いて、分版断面データを変更する動作の更なる変形例等について、説明をする。上記においては、分版断面データの変更について、主に、分版断面データに応じてインクが吐出される範囲を変化させる場合の動作について、説明をした。しかし、分版断面データを変更する動作の更なる変形例については、例えば、分版断面データの範囲を変えずに、分版断面データ内の構成を変更すること等も考えられる。
より具体的に、この場合、例えば、分版断面データにおいて着色領域154(図2参照)に対応する部分の幅(厚み)の中で色の濃さを変化させ、グラデーション状にすること等が考えられる。また、この場合、例えば、造形物の内側の色が濃くなり、外側の色が薄くなるように、色の濃さを変化させることが好ましい。このように構成すれば、例えば、着色用のインクに着弾位置のズレが生じた場合にも、造形物の最外面の色への影響を低減することができる。また、これにより、側面等の面の色味の変化を適切に抑えることができる。
また、このようにして分版断面データを変更する動作については、例えば、少なくとも一部のカラー断面データに対応する少なくとも一部の分版断面データに対し、インクが吐出される位置の密度について、造形物の外側の領域での密度を減らす構成と考えることもできる。また、この場合、造形物の内側の領域での密度について、外側に対して減らした分だけ増加させることが好ましい。また、このように密度を変化させることについては、例えば、外側の色が薄く、内側の色が濃くなるように色の濃度に勾配をつける構成と考えることもできる。
また、上記においては、例えば、着色用のインクの色であるYMCKの各色の分版断面データを変更する場合の動作について、説明をした。しかし、分版断面データの変更については、例えば、クリアインクに対応する分版断面データを変化させること等も考えられる。また、この場合、例えば、造形物の最外面付近に吐出するクリアインクの量を増加させることで、YMCKの各色のインクをクリアインクにより滲ませること等が考えられる。
このように構成すれば、例えば、各色のインクのドットの着弾位置が離れた場合にも、クリアインクで滲ませて、色をより均一にすることができる。また、これにより、例えば、側面等の面の色味の変化を適切に抑えることができる。また、この場合、より具体的には、例えば、クリアインクに対応する分版断面データについて、図4に示した分版断面データ304yと同一又は同様にして、他の色に対応する分版断面データよりも範囲を大きくすること等が考えられる。
また、YMCKの各色のインクをクリアインクにより滲ませる構成については、例えば、分版断面データを変更させる以外の方法で実現すること等も考えられる。この場合も、造形物の最外面付近においてYMCKの各色のインクをクリアインクにより滲ませることにより、例えば、各色のインクのドットの着弾位置が離れた場合にも、色をより均一にすることができる。
また、上記においては、分版断面データを変更することで得られる効果について、主に、インクの着弾位置のズレの影響を抑える点に着目して説明をした。しかし、より一般化して考えた場合、着弾位置のズレに限らず、その他の原因による色味の変化等に対しても、分版断面データを変更することで影響を抑えることが考えられる。例えば、着弾により形成されるインクのドットのサイズ(ドットゲイン)について、インクの色による違い(色間ドットゲイン差)が生じている場合等において、分版断面データを変更することで影響を抑えること等も考えられる。また、このような色間ドットゲイン差は、例えば、使用するインクジェットヘッドの機差や、各ノズルの癖、使用するインクのロット間での特性差等の影響で生じる。そのため、この場合、分版断面データを変更することにより、このような事項の影響を抑えることができるとも考えられる。