JP2018146738A - ワイヤグリッド偏光分離素子およびそれを有する投射型表示装置 - Google Patents

ワイヤグリッド偏光分離素子およびそれを有する投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、従来よりも簡易な構造のワイヤグリッド偏光分離素子及びそれを有する投射型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板と、前記基板上あるいは前記基板内に設けられ、格子周期方向に沿って配列された金属格子と、を有するワイヤグリッド偏光分離素子であって、前記ワイヤグリッド偏光分離素子への入射光の主波長λに対する前記基板の屈折率をnとし、前記金属格子の格子高さをdとし、前記格子周期方向と平行な偏光を有する前記主波長λの光に対する実効的な屈折率nTMとするとき、所定の条件式を満足する。
【選択図】 図1

Description

本発明はワイヤグリッド偏光分離素子およびそれを有する投射型表示装置に関するものである。
近年、投射型表示装置(プロジェクタ)用の偏光分離素子として、使用波長(入射光の波長)以下の間隔で所定の方向に並べられた金属格子で構成される微細構造を用いたワイヤグリッド偏光分離素子が開発されている。このようなワイヤグリッド偏光分離素子として特許文献1に記載のワイヤグリッド偏光分離素子が知られている。特許文献1に記載のワイヤグリッド偏光分離素子では、前述の微細構造と基板との間に複数の薄膜層を設け、微細構造の上に複数の薄膜層及び誘電体格子構造を設けることで、金属格子と直交する方向の偏光光の反射を低減して偏光分離性能を高めている。
特表2008−523422号公報
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤグリッド偏光分離素子は偏光分離性能を高めることができるが、材質の異なる複数の格子層や複数の薄膜層からなる複雑な構造を必要とする。
そこで本発明は、従来よりも簡易な構造のワイヤグリッド偏光分離素子及びそれを有する投射型表示装置を提供することを目的とする。
本発明のワイヤグリッド偏光分離素子は、
基板と、
前記基板上あるいは前記基板内に設けられ、格子周期方向に沿って配列された金属格子と、を有するワイヤグリッド偏光分離素子であって、
前記ワイヤグリッド偏光分離素子への入射光の主波長λに対する前記基板の屈折率をnbとし、前記金属格子の格子高さをdとし、前記格子周期方向と平行な偏光を有する前記主波長λの光に対する実効的な屈折率nTMとするとき、
1.10≦n≦1.25
Figure 2018146738
を満足し、
前記屈折率nTMは、nを前記金属格子の複素屈折率、nを前記金属格子間の媒質の屈折率、Reを複素数の実部、ffを前記金属格子の格子周期Pに対する前記金属格子の格子幅Wの比率とするとき、
Figure 2018146738
であることを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも簡易な構造のワイヤグリッド偏光分離素子及びそれを有する投射型表示装置を提供することができる。
第1実施例の偏光分離素子の構成図 偏光分離素子の分光反射率の金属格子厚み依存性を示す図 第2実施例の偏光分離素子の構成図 偏光分離素子の分光反射率 偏光分離素子の分光透過率 偏光分離素子の分光反射率 偏光分離素子の分光透過率 第3実施例の投射型表示装置の構成概略図 第4実施例の投射型表示装置の構成概略図
以下に、本発明の実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施例〕
(偏光分離素子100の構成及び機能)
図1(a)は本発明の偏光分離素子100(ワイヤグリッド偏光分離素子)の構成の斜視図であり、図1(b)は図1(a)の偏光分離素子100の格子周期方向(図1(a)中のTM方向)と板面法線方向に平行な面での断面図を表している。偏光分離素子100は透明基板1(基板)上に周期(格子周期)Pで格子幅Wの金属格子2を有する金属格子層3が形成されている。また入射光の主たる波長帯域(あるいは主波長)に対して周期Pは充分小さい。ここで主たる波長帯域(あるいは主波長)とは、可視光全域の場合500〜560nm(あるいは540nm)とすることが望ましい。また、各色光については、青色光の場合は430〜490nm(あるいは450nm)、緑色光の場合は500〜560nm(あるいは540nm)、赤色光の場合は610〜670nm(あるいは640nm)とすることが望ましい。また、近赤外光を用いる場合は例えば850〜900nm(880nm)とする。
偏光分離素子100に光が入射すると、入射光のうち金属格子の長手方向(図1(a)中TE方向)と平行に振動する偏光成分は反射し、金属格子の周期方向(図1(a)中TM方向)と平行に振動する偏光成分を透過する。この金属格子層3は、長手方向に伸びた複数の線状部材を、短手方向(格子の周期方向)に沿って配置することによって構成される層である。つまり、前述の金属格子2とは、周期方向に沿って配置された複数の線状部材の総称のことである。
ここでいう入射光の主たる波長帯域あるいは主波長は次のように定義してもよい。すなわち、偏光分離素子100の入射光の強度分布のうち50%強度となる波長帯域(半値全幅の波長帯域)を主たる波長帯域としてもよい。あるいは、偏光分離素子100の入射光の強度分布のうち最大強度となるピーク波長を主波長としてもよい。
(偏光分離素子100が満たす各条件式)
偏光分離素子100は次に示す条件式を満足するように構成されている。すなわち、偏光分離素子100への入射光の主波長λに対する基板1の屈折率をnbとする。このとき、
1.10≦nb≦1.25 ・・・(1)
を満足するように偏光分離素子100は構成されている。条件式(1)を満足している構成は、基板1の屈折率が金属格子2(金属格子層3)の格子周期方向の実効的な屈折率nTMよりも基板1の屈折率nが小さい構成と言い換えることもできる。
偏光分離素子100は次に示す条件式も満足するように構成されている。金属格子2の高さ(基板と垂直な方向の高さ)をdとし、金属格子2の長手方向の実効的な屈折率をnTEとし、金属格子2が配列されている格子周期方向の実効的な屈折率をnTMとする。このとき、
Figure 2018146738
を満足するように偏光分離素子100は構成されている。
ただし、各方向に対する実効的な屈折率は下記式で与えられる。
Figure 2018146738
Figure 2018146738
は金属格子2の複素屈折率、nは金属格子2の各々の間の媒質の屈折率を表し、カッコ内のReは複素屈折率の実部を表す。またffは金属格子2の占有率を表し、格子周期Pに対する格子幅Wの比率からff=W/Pで与えられる。Reは複素数の実部を表す。またここで言う実効的な屈折率nTE及び、nTMとは、図1に示した金属格子のTE、TM方向と平行に振動する偏光に対する屈折率のことである。詳細は後述の通りであるが、偏光分離素子100が式(2)を満たす構成であることによって、所定の波長帯域においてTM方向の反射率を低く抑える事が可能となる。
一般的に、微細な周期構造において波長λに対して格子周期Pが充分小さいとき、その微細な構造により誘電率に異方性が生じることが知られている。誘電体格子の場合には格子のTE方向とTM方向で屈折率異方性を生じるが、格子が金属の場合は屈折率だけでなく消衰係数にも異方性が生じると考えることができる。
例えば、ff0.5の金属格子の材質にアルミニウムを用いた場合、式(3)(4)を計算するとλ550nmにおいてnTEは約0.68、nTMは約1.43となる。また消衰係数kは式(3)(4)の虚数部から表現でき、同様に見積もるとkTEは約4.67、kTMは約0.004となる。この見積もりから金属格子はTE方向である格子長手方向と平行な偏光に対してはより金属的に振る舞い、TM方向である格子短手方向に対してはより誘電体的に振る舞うことが判る。
なお、式(3)(4)はあくまで近似式である。実際には金属格子の周期の大きさ等のパラメータによりズレが生じるため、詳細な設計については厳密結合波解析(RCWA)等の手法を用いて計算を行う必要があるが、定性的な理解や概算には用いることができる。
さらに、偏光分離素子100は、以下の式(2´)も満足する構成であるとより好ましい。
Figure 2018146738
(従来よりも簡易な構造のワイヤグリッド偏光分離素子を実現できる理由)
ここでTM方向の偏光の反射率について考える。例えば図1の金属格子層3のTM方向の実効的な屈折率nTMは前述の見積もりから1.4程度であるため、基板の屈折率を屈折率nTMと同程度に抑えることにより基板界面と金属格子界面での反射を抑制できると考えられる。しかし、金属格子表面側での反射が残存し数%の反射が生じてしまう。また、金属格子層3の上面に反射防止構造を設けることは製造難度が高くなる。
そこで、本発明の偏光分離素子においては金属格子層自体を干渉層として用い、金属格子の上下面での干渉を用いて反射を低減させる。そのためにまず金属格子の上面と下面で生じる反射光の強度を近付けるため、低屈折率の基板、実質的に使用波長における屈折率が1、10以上1.25以下の基板の上部に金属格子を形成する。このような低屈折率基板を用いることにより上下面での反射率の強度を揃え、その上で上下面での反射光を干渉させることにより格子全体の反射率を小さく抑える事が出来る。そのとき金属格子の高さdは、その光学膜厚nTM・dがλ/2(=0.5λ)程度となるようにすることが望ましい。光学膜厚λ/2となるのは本発明の偏光子では基板の屈折率が非常に低く、通常の反射防止膜のように金属格子の屈折率が基板と入射媒質の間の屈折率とならないためである。
図2は基板屈折率n1.15の基板上に格子周期Pが10nmで金属格子の占有率ff0.5のアルミニウム格子を形成した構造におけるTM方向の偏光の分光反射率を0degから50degまでRCWAにより計算した結果を示している。また図2の(a)(b)(C)は格子高さを145nm、165nm、220nmと変えて計算した結果である。図2(a)(b)(c)から、反射率の極小値は金属格子の厚みによって変化しており、金属格子層の干渉膜厚により所定の波長における反射率が低下していると考えられる。また入射角度の変化に対して反射率極小値の変化が極めて小さいことが見て取れる。このことから例えば偏光分離素子として45deg入射を中心に用いる場合でも(2)(3)式の実効的な屈折率を基に光学膜厚nTM・dをλ/2程度とすれば良い結果が得られる。
図2の結果から格子周期Pが波長λに対して1/5以下(少なくとも主波長未満、或いは主波長の半分以下)と小さく、かつ入射角度が50degを超えない範囲では条件式(2)、近似式(3)を目安にすれば良い。実際の金属格子においては光線の入射角度に依存して実効的な屈折率、消衰係数が変化し、入射角度や格子周期によっては反射率の極小値が長波長側へ若干シフトすることが考えられる。しかしその場合であっても金属格子の占有率や格子高さを微小に調整すれば良い。
このように、条件式(1)を満たす低屈折率基板1の上に設けられた金属格子層3を干渉層と考えたときの金属格子層3の光学膜厚nTM・dが条件式(2)に示す条件を満足することで、従来よりも簡易な構成で所定の帯域で低反射な偏光分離素子が得られる。
ここで、条件式(2)中に入射角度に関する項が含まれていない理由について説明する。以後の説明では、図1(a)や後述の図3に示すように、ある程度の高さを有する金属格子が配列された金属格子層の各方向に対する実効的な屈折率について考える。
図1(a)に示されるTM方向(金属格子の格子周期方向)と平行な偏光を有する光(TM方向の偏光光)に対する実効的な屈折率は前述のnTMであり、その数値は約1.4〜1.5程度である。このとき、偏光分離素子100はTM方向の偏光光に対しては誘電体媒質的にふるまう。これに対してTE方向(金属格子の長手方向)と平行な偏光を有する光(TE方向の偏光光)に対する実効的な屈折率は前述のnTEであり、その数値は約0.4〜0.7程度である。このとき、偏光分離素子100はTE方向の偏光光に対して金属的にふるまう。さらに、図1(a)や後述の図3に示すように、ある程度の高さを有する金属格子が配列された金属格子層においては、TM方向及びTE方向と直交する方向(図1(b)における紙面上下方向)に対する実効的な屈折率はnTEと同じ程度になる。
上記モデルにおいて、偏光分離素子100に対する入射光の入射角θによって変化するTM方向に対する実効的な屈折率をnTM(θ)としてシミュレーションを行った。その結果、nTM(θ)/cоs(θ)の値はほぼ一定であり、nTMの値とほぼ等しいことが分かった。そこで、本発明の各実施例においては、条件式(2)に示すように、入射角θを含まない条件式としている。
(本実施例の構成によって得られるその他の効果)
さらに、画像表示素子からの光が、本実施例で示したワイヤグリッド偏光分離素を透過して投射光学系に導くような構成の投射型表示装置において、従来に比べ非点収差の影響を軽減出来るという利点もある。実際には、基板の厚みが0.1mm程度であっても非点収差自体の影響は無視できないため、何らかの補正手段を設ける必要があるが、基板厚みや配置角度等による変動の敏感度を軽減できるため、透過側でより使用しやすくなる。
このような構成は非点収差の補正手段の追加などにより複雑な構成となる。しかしながら、本実施例で示すワイヤグリッド偏光分離素子は高い消光比が期待できるため、偏光分離素子の投射光学系側に不要な偏光成分をカットするための偏光板を使用せずに済む。このため、本実施例で示すワイヤグリッド偏光分離素子を用いれば、従来よりも簡易な構成でありつつ、画像のコントラストや長期の信頼性が向上した投射型表示装置を実現することが期待できる。もちろん、ワイヤグリッド偏光分離素子を搭載した投射型表示装置に、いわゆるクサビ形状の光学素子を設けても良い。クサビ形状の光学素子とは、言い換えれば、投射光学系の光軸に対して互いに異なる角度で傾いた入射面と出射面を有する光学素子である。このクサビ形状の光学素子は、画像表示素子から投射光学系までの間あるいは投射光学系の内部に設ければよい。
(低屈折率基板に適した材料)
本実施例のワイヤグリッド偏光分離素子に用いる低屈折率基板を構成するものとしては、例えば相分離ガラスやシリカエアロゲル等の微細な多孔を有する誘電体媒質を用いることができる。これらは入射波長以下の微細な空孔を多数有した誘電体媒質であり、その実効的な屈折率は誘電体媒質と空気の占有率に基づく平均値となる。このような構造は例えばシリカ(SiO2)と空気で構成され、シリカの空間占有率が0.5以下であれば実質的にほぼ1.25以下の屈折率となる。基板の実効的な屈折率は小さい方が望ましく、誘電体媒質はシリカが主成分である事が望ましい。なお、ここでいうシリカ(二酸化ケイ素あるいは二酸化ケイ素によって構成される物質)が主成分であるとは、基板1を構成するシリカとそれ以外の材料との合計100質量部(質量%)に対してシリカを80質量部以上含む構成のことをいう。つまり、基板1は、シリカを含み、基板1に対する入射光の主波長λ以下の径の複数の空孔を有する多孔質の媒質であり、基板質量に占めるシリカの質量が80%かそれ以上であることを満足する基板である。
ただし屈折率を下げるためにシリカの占有率を低減しすぎると格子を保持する基板としての役割を保つことが難しくなるため、占有率0.25以上とし、屈折率1.10以上とすることが望ましい。
またそれ以外にもある方向に一様に配向した微細な構造体を用いることで、低い屈折率と同時に金属格子の下地として金属格子を形成する際の型や基本構造に利用することが可能となる。例えばメソポーラスシリカ、ブロックコポリマなどの自己組織化による微細な周期構造を利用することで微小周期の配向構造を形成できる。このような層を基板もしくは基板と金属格子の間に下地層(異方性層)として追加することで、その上部の金属格子の構造形成が容易になる等の効果が期待できる。その場合、1方向に配向した構造体の周期方向と金属格子の周期方向が略平行になるように構成されることが望ましい。またその際反射を極力抑制するために基板1と下地層の、金属格子のTM方向に対する屈折率はほぼ同一とすることが望ましく、より具体的には両者の屈折率差が0.05以下であることが望ましい。また、下地層の平均屈折率は1.25以下であることを好ましい。また、この下地層(異方性層)に含まれる複数の構造体(線状部材)の周期方向における周期は、主波長の半分未満(好ましくは1/5以下)であることが望ましい。なお、ここでいう平均屈折率とは、主波長に対するnTMとnTEの平均値のことをいう。
(金属格子に適した材料)
また金属格子の材質としては特に限定はなく、高い消衰係数を有する金属を格子として用いれば良い。偏光分離素子として用いる場合は、TE偏光の反射率は高く(損失を低く)、かつTM偏光の反射率を低く抑制したいため、高い消衰係数と低い屈折率を合わせ持つ材質を選択することが望ましい。例えば可視領域で偏光分離素子として用いる場合には、アルミニウムや銀などが特に望ましい。
(第1数値実施例)
次に第1数値実施例として、本実施例で示す偏光分離素子の各パラメータの設定例について説明する。本数値実施例においては屈折率1.15程度の基板上にアルミニウム格子がff0.55で形成されている。本数値実施例で示す偏光分離素子の各パラメータおよび条件式の計算結果をまとめたものを表1に示す。
表1には格子高さの異なる3つの構成が示されているが、これらは青(B)、緑(G)、赤(R)の3つの設計波長に対応している。表1の偏光分離素子のnTM・dの値はいずれも約0.46λとなっており、条件式(2)を満たしていることが判る。また、条件式(2)の計算結果は表1に示すようにそれぞれ約0.52となっており、RGB用いずれの偏光分離素子も条件式(2)を満足していることがわかる。
表1の偏光分離素子のTM偏光の反射率を図4(a)(b)(c)に、透過率を図5(a)(b)(c)に示す。線種の違いは入射角度を表し、空気換算で40deg、45deg、50degの場合を示している。特に図4の反射率に着目すると、表1のλの近傍で反射率が極小値を持ち、非常に低い反射率となっていることがわかる。
Figure 2018146738
〔第2実施例〕
次に、図3を用いて第2実施例としての偏光分離素子200について説明する。前述の第1実施例で示した偏光分離素子100は、基板1上に金属格子2を設けた構成であった。これに対して、図3本実施例の偏光分離素子200は、基板内に形成された金属格子2の間を誘電体媒質5で埋め込んだ金属格子層6を有する構造である。このような構成であれば、前述の金属格子層の上下界面での反射強度を媒質の屈折率に依らずほぼ同一に揃える事が可能である。
しかしながら、樹脂や蒸着膜などの一般的な(屈折率1.35以上の)誘電体媒質を金属格子の間を埋め込んだ場合、光吸収の増大など光学特性が劣化する。これは金属格子間を誘電体で埋め込むことにより、金属格子層6の実効的な屈折率、消衰係数が増大するためである。例えばアルミニウム−空気(na=1.0)(ff0.5)のときの(3)式の値を計算すると、n(TM)は1.43、k(TM)は0.004程度であった。これに対して、アルミニウム−SiO2(na=1.48)(占有率0.5)のときのn(TM)は2.14、k(TM)は0.015となり、消衰係数が増大する。
一方、屈折率1.15の媒質で格子間を充填した場合に(3)式を計算すると、n(TM)は1.649、k(TM)は0.007となり、消衰係数はSiO2の時の半分以下に抑制できる。つまり、誘電体媒質5を基板と同様に低屈折率の媒質とすることで、金属格子の間を誘電体媒質5で埋め込んだ図3のような構成であってもTM偏光の反射率と同時に光吸収を抑えた偏光分離素子を得ることが出来る。なお、図3では誘電体媒質5を基板と同一としているが、低屈折率であれば基板と必ずしも同一でなくてもよい。
(第2数値実施例)
次に第2数値実施例として、本実施例で示す偏光分離素子の各パラメータの設定例について説明する。本数値実施例においては屈折率1.15程度の基板上にアルミニウム格子がff0.5で形成され、さらにその金属格子間および格子上面を基板と同質の媒質で充填されている。本数値実施例の偏光分離素子の各パラメータおよび条件式の計算結果をまとめたものを表2に示す。
表2も表1と同様に格子高さの異なる3つの構成が示されているが、これらは青(B)、緑(G)、赤(R)の3つの設計波長に対応している。また本数値実施例では設計波長ごとに格子周期Pを変えて設計している。表2の偏光分離素子のnTM・dの値は0.47λ、0.50λ、0.51λとなっており、条件式(5)を満たしていることが判る。また、条件式(2)の計算結果は表2に示すようにそれぞれ0.54〜0.58となっており、RGB用いずれの偏光分離素子も条件式(2)を満足していることがわかる。
表2の偏光分離素子のTM偏光の反射率を図6(a)(b)(c)に、透過率を図7(a)(b)(c)に示す。線種の違いは入射角度を表し、空気換算で40deg、45deg、50degの場合を示している。図6の反射率に着目すると、表2のλの近傍で反射率が極小値を持ち、非常に低い反射率となっていることがわかる。
Figure 2018146738
〔第3実施例〕
(投射型表示装置300の構成)
図8を用いて本発明の第3実施例として前述の各実施例で示す偏光分離素子を搭載した投射型表示装置の構成について説明する。図8は本発明の第3実施例の投射型表示装置300の構成を示す概略図の一例であり、後述の偏光分離素子20r、20g、20bが前述の第1あるいは第2数値実施例で示した各色用の偏光分離素子である。
図8中10g、10b、10rは緑、青、赤の各色に対応したLEDあるいはLD光源であり、光源から発せられた緑色光12g、青色光、12b、赤色光12rはクロスダイクロイックプリズム11により光路を合成され、偏光変換素子13に入射する。この緑、青、赤色光それぞれは、図8上ではクロスダイクロイックプリズム11後も便宜上空間的に分離して記載しているが、この3つの光はこの段階で空間的に分離されている訳ではない。なお、本実施例及び後述の第4実施例において、偏光変換素子13以外に第1フライアイレンズ、第2フライアイレンズ、コンデンサーレンズを備える照明光学系を設けても良い。
各色の光は偏光変換素子13により一様な偏光光に変換された後、クロスダイクロイックミラー15、16により青色照明光14bと、緑、赤色照明光14g、14rに分離される。ここで緑、赤色照明光14g、14rはミラー17aで反射した後にダイクロイックミラー18により色分離される。緑色照明光14gはダイクロイックミラー18反射後に偏光分離素子20g、位相補償板21gを透過して反射型画像表示素子22bに導かれる。赤色照明光14rはダイクロイックミラー18透過後に偏光分離素子20r、位相補償板21rを透過して反射型画像表示素子22rに導かれる。
また青色照明光14bはミラー17bにより反射された後に偏光分離素子20b、位相補償板21bを透過して反射型画像表示素子22bに導かれる。ここで反射型画像表示素子22g、22b、22rは画像に応じて偏光状態を変えて画像光として反射する素子であり、より具体的には反射型液晶パネルである。反射型画像表示素子により反射された画像光23g、23b、23rは再び位相補償板を透過した後に各偏光分離素子20r、20g、20bにより反射される。合成プリズム25で各色合成された後に投射レンズ(投射光学系)30によりスクリーン等に投射される。
ここで本実施例の投射型表示装置では、偏光分離素子20g、20b、20rに第1あるいは第2実施例の偏光分離素子を用いる。このような構成で用いることにより、所定の帯域に対してTM方向の反射率が低く抑えられ、合成プリズム25と偏光分離素子20の間にフィルムなどの偏光板を必ずしも用いる必要がなくなる。そのため、輝度低下を最低限に抑え、かつ長期に渡って安定した特性を得ることができる。
(ワイヤグリッド偏光分離素子を投射型表示装置に適用した際の効果)
ここで、本実施例のようにワイヤグリッド偏光分離素子を投射型表示素子に適用した際の効果について説明する。
前述のようにワイヤグリッド偏光分離素子は、金属格子の長手方向と平行に振動する偏光を反射し、それと直交する偏光を透過する作用を有し、反射型の偏光分離素子として作用する。このような偏光分離素子は高い消光比と良好な波長特性、角度特性を有し、一般的に無機材料で構成されるため耐熱性が高いという利点がある。
反射型画像表示素子を搭載した投射型表示装置に用いられる偏光分離素子は、光源からの高い光密度の照明光を画像表示素子へ導き、画像表示素子からの画像光を投射光学系側へ導く役割を持つ素子である。投射型表示装置において偏光分離素子の特性は光学系のサイズや画像の明るさ、コントラストに影響する。このため、投射型表示装置の偏光板や偏光分離素子にワイヤグリッド構造を適用することで、高輝度環境下であっても長期間、安定した画質が得られる。
しかしながら、ワイヤグリッド偏光板を偏光分離素子として用いた場合、以下のような懸念がある。ワイヤグリッド偏光板は一般的に透過偏光の消光比に比べて反射偏光の消光比が低い。すなわち、透過光についてはほぼ金属格子と直交する方向に振動する直線偏光だけが透過するが、反射光については、格子と平行な方向に振動する直線偏光に加えて、それと直交する偏光も数%反射する。
このため、ワイヤグリッド偏光板を偏光分離素子として用いる際には、上記の所望しない偏光をカットする偏光板を併用する必要があるが、偏光板の追加により輝度が低下するという課題がある。また、板状であるワイヤグリッド偏光板を偏光分離素子として用いる場合には、投射画像への非点収差の影響を考慮して偏光分離素子で画像光を反射してスクリーンに導くような素子配置が一般的である。
このとき、前述の偏光分離素子の反射側の消光比確保のため偏光分離素子とスクリーンに投射されるまでの光路に偏光板を置く必要がある。偏光板による反射は光学系内での迷光の原因となるため、反射の低い吸収型の偏光板を用いることが望ましいが、染料等を用いた一般的な吸収型の偏光フィルムは高い光密度での長時間使用において信頼性や耐熱性の点で懸念がある。
このような偏光フィルムに対して、前述の第1及び第2実施例で示すワイヤグリッド偏光分離素子は、吸収型の偏光フィルムと比較して長時間使用における信頼性や耐熱性の点で有利であり、かつ従来よりも簡易な構成とすることができる。
〔第4実施例〕
(投射型表示装置400の構成)
図9を用いて本発明の第4実施例として前述の各実施例で示す偏光分離素子を搭載した投射型表示装置の構成について説明する。図9は本発明の第4実施例の投射型表示装置400の構成を示す概略図の一例であり、後述の偏光分離素子20r、20g、20bが前述の第1あるいは第2数値実施例で示した各色用の偏光分離素子である。
図9の投射型画像表示装置400は図8の構成とほぼ同一であるが、反射型画像表示素子22g、22b、22rの偏光分離素子20g、20b、20rに対する配置が、透過側と反射側とで異なっている。この場合、偏光分離素子から反射される画像光に対しては検光性能が高いため、出側のフィルム偏光分離素子等は不要となる。
一方で、反射型画像表示素子と投射レンズとの間に非点収差補正機構(24g、24b、24r)が必要となり、かつ非点収差補正機構の厚みによって色分離合成系が大型化する恐れがある。また、このような非点収差補正機構は配置敏感度も高い。しかし、前述の第1及び第2実施例に記載の偏光分離素子であれば基板自体の屈折率が低いため、偏光分離素子の基板厚みを薄く抑えることで配置・製造ばらつき等の敏感度を低減することができる。
なお、前述の第3実施例及び本実施例の投射型表示装置用の光源については各波長に応じた光を発するレーザーダイオード(LD)やLED等の固体発光光源が望ましい。さらに、図4、図6に示した偏光分離素子の分光反射率からその発光波長帯域がより狭いものを用いることが望ましい。しかし本発明はこのような構成に限定されるものではなく、光源10、クロスダイクロイックプリズム11の代わりに従来の高圧水銀ランプ等の白色光源とリフレクタとしても良い。
また、偏光分離素子に入射する偏光の偏光度や色純度を高めるために、偏光分離素子20とダイクロイックミラー14、15、16との間の任意の光路に、偏光板や不要な波長帯域の光をカットするカラーフィルタ等を追加しても良い。
1 基板
2 金属格子
3 金属格子層
5 誘電体格子層
6 金属格子層
10 光源
11 クロスダイクロイックプリズム
13 偏光変換素子
15、16、18 ダイクロイックミラー
20g、20b、20r 偏光分離素子
21g、21b、21r 位相補償板
22g、22b、22r 反射型画像表示素子
24 補正機構
25 合成プリズム
30 投射レンズ
100 偏光分離素子
200 偏光分離素子
300 投射型表示装置
400 投射型表示装置

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上あるいは前記基板内に設けられ、格子周期方向に沿って配列された金属格子と、を有するワイヤグリッド偏光分離素子であって、
    前記ワイヤグリッド偏光分離素子への入射光の主波長λに対する前記基板の屈折率をnbとし、前記金属格子の格子高さをdとし、前記格子周期方向と平行な偏光を有する前記主波長λの光に対する実効的な屈折率nTMとするとき、
    1.10≦n≦1.25
    Figure 2018146738

    を満足し、
    前記屈折率nTMは、nを前記金属格子の複素屈折率、nを前記金属格子間の媒質の屈折率、Reを複素数の実部、ffを前記金属格子の格子周期Pに対する前記金属格子の格子幅Wの比率とするとき、
    Figure 2018146738

    であることを特徴とするワイヤグリッド偏光分離素子。
  2. 前記基板はシリカを含み、前記主波長λ以下の径の複数の空孔を有する多孔質の媒質である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光分離素子。
  3. 前記金属格子の各々の間の媒質の屈折率と、前記基板の屈折率nとの差が0.05以下である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤグリッド偏光分離素子。
  4. 前記格子周期は前記波長λの1/5以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光分離素子。
  5. 前記基板と金属格子との間に設けられた異方性層をさらに備え、
    前記異方性層の平均屈折率は1.25以下であり、
    前記異方性層は前記主波長λ以下の格子周期の周期構造を有し、
    前記金属格子の前記格子周期方向と、前記異方性層の前記周期構造の周期方向が平行である、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光分離素子。
  6. 前記基板の屈折率nと、前記異方性層における前記金属格子の前記格子周期方向と平行な偏光に対する屈折率差が0.05以下である、
    ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤグリッド偏光分離素子。
  7. 光源と、
    画像表示素子と、
    前記光源からの光を前記画像表示素子へ導く照明光学系と、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載のワイヤグリッド偏光分離素子を有し、前記照明光学系からの光を前記画像表示素子に導くとともに、前記画像表示素子からの光を投射光学系に導く色分離合成系と、
    を有する、ことを特徴とする投射型表示装置。
  8. 前記画像表示素子から前記投射光学系までの間あるいは前記投射光学系の内部に設けられ、前記投射光学系の光軸に対して互いに異なる角度で傾いた入射面及び出射面を有する光学素子をさらに備える、ことを特徴とする請求項7に記載の投射型表示装置。
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