JP2018145485A - 無機材料及び無機材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素元素を含む固溶領域を有する無機材料をより低温で作製できる無機材料の製造方法及びその製造方法により作製された無機材料を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の一態様に係る無機材料は、主成分が無機材料であるコア材と、前記コア材の少なくとも一部を被覆し、ナノ結晶構造を有するナノカーボンを含むカーボン層と、を有し、前記コア材は、表面に炭素元素が固溶した固溶領域を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、無機材料及び無機材料の製造方法に関する。
金属等の材料の表面の硬度を高める表面処理技術の一つとして、浸炭処理が知られている。浸炭処理を行う方法の一つとして、ガス浸炭法が知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、ガス浸炭法は、大掛かりな装置が必要であり、かつ、900℃以上の高温での処理が必要であるという課題がある。
一方で、浸炭処理を行う別の方法として、フラーレン類を炭素源として利用して、金属内部に浸炭させる方法が提案されている(例えば、特許文献2)。この方法を用いると、低温での浸炭処理が可能となる。
特開2013−256687号公報 特開2012−12706号公報
しかしながら、特許文献2に記載の浸炭処理方法を用いても簡便に浸炭処理材を作製することができなかった。特許文献2に記載の浸炭処理方法は、特許文献1に記載の方法よりも低温で処理できる。それでも、最低でも300℃以上の温度での加熱が必要であり、好ましくは500℃以上の温度での加熱が必要である。また高温加熱及びガス置換を行うための大型かつ高温な装置が必要であるという問題もある。
本発明は、上述の課題を解決し、表面に炭素元素を含む拡散領域を有する無機材料をより低温で作製できる無機材料の製造方法及びその製造方法により作製された無機材料を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる無機材料は、主成分が無機物質であるコア材と、前記コア材の少なくとも一部を被覆し、ナノ結晶構造を有するナノカーボンを含むカーボン層と、を有し、前記コア材は、表面に炭素元素が固溶した固溶領域を有する。
上記態様にかかる無機材料は、コア材の表面に形成されたカーボン層を構成するナノカーボンがナノ結晶構造を維持している。そのため、アモルファスカーボン層により被覆された無機材料と比較して、より硬度及び耐摩耗性に優れる。そのため、摺動性に優れ、時計等の様々な製品用の部品として用いることができる。
上記の無機材料において、前記カーボン層の厚みが100μm以下であってもよい。
カーボン層の厚みが100μm以下であれば、カーボン層に亀裂等の破損や、カーボン層の剥離が生じることを抑制できる。
上記無機材料において、前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン及びグラファイトからなる群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
これらのナノカーボンは、炭素が連続的に結合した特異かつ安定な構造を有している。この特異な構造に起因し、コーティング膜の硬度、低摩擦をより高めることができる。
本発明の一態様にかかる無機材料の製造方法は、コア材の表面にナノカーボンが分散した分散液を塗布する塗布工程と、前記分散液が塗布された前記コア材に、低酸素雰囲気下で紫外線を照射するUV照射工程と、を有する。
紫外線の照射によりナノカーボンにエネルギーを与え、浸炭処理が進行する為、加熱等を行わない常温環境下でも上記無機材料を簡便に作製できる。また低酸素雰囲気下で作製するため、酸素が浸炭処理反応を阻害することも抑制できる。さらに、ガス置換型高温槽のような高価かつ大掛かりな装置が不要であり、安価に上記無機材料を作製することができる。
上記無機材料の製造方法において、前記紫外線の波長が354nm以下であってもよい。
この波長域の光は、ナノカーボンの炭素結合を開裂しやすい。紫外線によりナノカーボンにダメージを与えることで、炭素のコア材への拡散をより容易にすることができる。
上記無機材料の製造方法において、UV照射工程における雰囲気を、真空、窒素及び希ガスからなる群から選択されるいずれかの雰囲気にしてもよい。
紫外線の照射によりラジカル化し反応性が高くなったナノカーボンの一部がコア材の表面に拡散する。酸素はラジカル化したナノカーボンと反応しやすく、コア材への炭素の拡散反応を阻害する。そのため、UV照射工程における雰囲気を真空、窒素及び希ガスからなる群から選択されるいずれかの雰囲気とすることで、反応性を高めることができる。
上記無機材料の製造方法において、前記分散液に含まれる前記ナノカーボンに酸処理を施す工程と、前記酸処理に用いた酸を極性有機溶媒に置換する工程と、をさらに有してもよい。
一般に市販されているナノカーボンの分散液には、分散剤が含有されている。酸処理後に、極性有機溶媒に溶液を置換することで分散剤を除去することができる。カーボン層に不要な成分が混在することを抑制し、より高密度なカーボン層を作製できる。
本発明によれば、炭素元素を含む固溶領域を有する無機材料をより低温で作製できる。またこの製造方法により作製された無機材料を得ることができる。
本実施形態にかかる無機材料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した断面図である。 本実施形態にかかる無機材料の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した図である。 本実施形態にかかる無機材料の製造方法の一例のフロー図である。
以下、本発明の一態様にかかる無機材料及び無機材料の製造方法について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
「無機材料」
図1は、本実施形態にかかる無機材料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した断面図である。図1に示す断面は、集束イオンビーム(FIB)により切り出した。図1に示す無機材料は、コア材10と、カーボン層20とを有する。
(コア材)
コア材10は、主成分が無機物質により構成されている。コア材10を構成する無機物質は、特に限定されない。例えば、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属、シリコン及びこれらの化合物を用いることができる。
コア材10の形状も特に問わない。図1に示すコア材10は基板状であるが、この場合に限られず粒子状、不定形等でもよい。
コア材10は、表面に炭素元素が固溶した固溶領域10Aを有する。固溶領域10Aでは、コア材の主成分を構成する無機材料と炭素とが固溶している。固溶領域10Aは、後述するカーボン層20から炭素原子が、浸炭又は拡散することによって形成されている。そのため、固溶領域10Aは、浸炭領域または拡散領域と言い換えることができる。
固溶領域10Aの厚みは、本実施形態にかかる無機材料を作製する際の、処理条件を変更することで変えることができる。一方で、固溶領域10Aの厚みが厚すぎると亀裂等が生じやすくなるため、固溶領域10Aの厚みは1nm以上100μm以下であることが好ましい。
(カーボン層)
カーボン層20は、コア材10の少なくとも一部を被覆する。カーボン層20は、ナノカーボンにより構成され、ナノカーボンはナノ結晶構造を維持している。
ナノカーボンには、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン及びグラファイトからなる群から選択されるいずれか一つ以上を用いることができる。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のいずれでもよい。またフラーレンは、炭素原子が中空状の閉殻構造をなす炭素クラスタを意味し、C60に限られず、C70、C76、C78、C82等の公知の炭素クラスタを用いることができる。グラフェンは1原子の厚さのsp結合の炭素原子のシートを意味し、グラフェンが複数積層したものがグラファイトである。
図2は、本実施形態にかかる無機材料の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した図である。図2は、ナノカーボンとしてカーボンナノチューブを用いた例である。
図2に示すように、表面においてカーボンナノチューブの細線構造が維持されていることが確認できる。すなわち、カーボンナノチューブはカーボン層20においてもナノ結晶構造を維持している。
平面視においてカーボンナノチューブは、網目状のネットワーク構造を形成している。そのためカーボン層20は、内部には無数の空隙を有する。
カーボン層20の厚みは特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましい。カーボン層20の厚みが厚すぎると、カーボン層20の亀裂や剥離を生じる場合がある。
上述のように、本実施形態にかかる無機材料は、炭素が固溶した固溶領域10Aと、ナノ結晶構造を有するカーボン層20とを有する。固溶領域10Aは、炭素が浸炭しており硬度が高くなっている。またカーボン層20を構成するナノカーボンはナノ結晶構造を維持しているため、アモルファスカーボン層により被覆された無機材料と比較して、より硬度及び耐摩耗性に優れる。
このような無機材料は、摺動部品として利用できる。摺動部品は、時計等の様々な製品に用いられる。摺動部品の摺動性が高まることで、部品の摩耗による劣化を低減できる。
「無機材料の製造方法」
図3は、本実施形態にかかる無機材料の製造方法の一例のフロー図である。図3に示すように本実施形態にかかる無機材料の製造方法は、塗布工程S4と、UV照射工程S5とを有する。またこの他、準備工程S0、置換基修飾工程S1、微細化工程S2、溶媒置換工程S3を有してもよい。以下、各工程について具体的に説明する。
まず準備工程S0では、未処理のナノカーボンが分散した分散液を準備する。未処理のナノカーボンが分散した分散液は、公知の方法で作製してもよいし、市販品を購入してもよい。
準備工程S0で準備したナノカーボン分散液を、塗布工程S4及びUV照射工程S5にかけて、本実施形態にかかる無機材料を作製してもよい。一方で、市販のナノカーボン分散液の多くは分散剤が添加されているため、分散剤を除去してもよい。分散剤を除去することで、カーボン層20に不要な成分が混在することを抑制できる。
以下、分散剤を除去する手段の一つとして、置換基修飾工程S1、溶媒置換工程S3について説明する。またその途中の工程として微細化工程S2についても説明する。
置換基修飾工程S1では、準備した分散液に酸を加える。酸処理により極性有機溶媒中で静電反発する修飾基がナノカーボンに導入される。また酸処理によりナノカーボンにダメージを与える。
極性有機溶媒中で静電反発する修飾基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基と水酸基は、ナノカーボンへの導入が容易であり好ましい。添加する酸としては、硫酸と硝酸が3対1の割合で混合した混酸等を用いることができる。
混酸により酸処理を行うと、ナノカーボンの炭素結合の一部が切断され、カルボキシル基又は水酸基が導入される。カルボキシル基又は水酸基以外の修飾基を導入する場合は、用いる酸を変更するか、導入されたカルボキシル基又は水酸基を再置換するなどして、所望の置換基を導入する。
酸処理の温度、時間は特に限定されない。酸処理の温度は高い方が好ましい。混酸を用いる場合は120℃で処理を行うことが好ましい。混酸は120℃以上に上げることが難しい。処理時間は、修飾基を充分導入するために30分以上であることが好ましい。
次いで、微細化工程S2として、ナノカーボンを微細化する。ナノカーボンの微細化とは、ナノ結晶構造を保ったまま微細化することを意味し、例えばカーボンナノチューブの場合は短尺化に対応する。ナノカーボンの微細化は、酸中での超音波処理により行う。酸中で超音波処理を行うと、ナノカーボンの炭素間結合が切断され、ナノカーボンが微細化される。
微細化に用いる酸は、置換基修飾工程S1で用いた酸を用いることができる。置換基修飾工程S1で用いた酸を利用することで、微細化工程S2において新たに酸を加える必要がない。超音波処理は、超音波分散機、ホモジナイザー、高圧分散機等を用いて行うことができる。超音波処理は、ナノカーボンを充分微細化するために、30分以上行うことが好ましい。
ナノカーボンを微細化すると、後述する溶媒置換工程S3後の分散液内におけるナノカーボンの分散性を高めることができる。ナノカーボンは、置換基修飾工程S1で導入された修飾基同士の反発によって分散液中で分散する。ナノカーボンを微細化すると、一つのナノカーボンの重量が小さくなるため、分散性が高まる。また微細化工程S2でナノカーボンにダメージを与えることで、ナノカーボンの反応性を高めることができる。
次いで、溶媒置換工程S3では、酸を極性有機溶媒に置換し、修飾基の静電反発によりナノカーボンが分散した分散液を作製する。酸と極性有機溶媒は反応する為、酸を純水に置換する純水置換工程S3Aと、純水を極性有機溶媒に置換する有機溶媒置換工程S3Bとを行うことが好ましい。
まず純水置換工程S3Aでは、溶媒を酸から純水に置換する。まず微細化工程S2後の溶液をろ過し、ナノカーボンを取り除く。そして、ナノカーボンを純水中に添加することで、溶媒を酸から純水に置換する。より具体的には、ナノカーボンが分散した酸溶媒をフィルタでろ過し、ろ過後のフィルタに純水を掛け流すことで、純水置換が行われる。
次いで、有機溶媒置換工程S3Bで、溶媒を純水から極性有機溶媒に置換する。有機溶媒置換は、純水置換と同様にフィルタでろ過したナノカーボンに極性有機溶媒を掛け流して行うことができる。
極性有機溶媒は、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いることができる。有機溶媒置換後の溶媒中に含まれる水分を極力少なくするという観点から、脱水された極性有機溶媒を使用することが好ましく、脱水DMFを用いることがさらに好ましい。
溶媒を極性有機溶媒に置換すると、ナノカーボンに導入された修飾基の影響を受けて、ナノカーボン同士は極性有機溶媒中で静電反発する。そのため、分散液から分散剤を除去しても、ナノカーボン同士は凝集せず分散する。より分散性を高めるため、超音波処理などをさらに加えてもよい。
次いで、塗布工程S4を行う。塗布工程は、ナノカーボンが分散した分散液を塗布対象物である無機物質(コア材)の表面に塗布する。塗布の方法は特に限定されない。例えば、キャスト法、スプレー法、スピンコーティング法、静電塗布法、ふりかけ法等を用いてもよい。
最後に、UV照射工程S5を行う。UV照射工程では、低酸素雰囲気下で分散液が塗布されたコア材に、紫外線を照射する。
紫外線が照射されると、ナノカーボンの一部がラジカル化し、反応性が高くなる。このラジカル化した炭素原子が、コア材の表面に拡散することで、固溶領域10Aが形成される。一方、ナノカーボンは、UV照射により炭素間結合の一部が開裂するだけであり、完全に分解する訳ではない。そのため、カーボン層20を構成するナノカーボンは、ナノ結晶構造が維持される。
酸素はラジカル化したナノカーボンと反応しやすい。そのため、UV照射は、低酸素雰囲気下で行われる。ここで低酸素雰囲気下とは、大気よりも酸素分圧が小さい環境下を意味する。低酸素雰囲気下は、酸素分圧が10%以下の環境が好ましく、酸素分圧が0%である脱酸素雰囲気であることがより好ましい。
UV照射雰囲気中における酸素量を少なくすることで、反応性の高いナノカーボンが酸素と反応し、反応性を失うことを抑制できる。換言すると、UV照射雰囲気中における酸素量を少なくすることで、コア材の表面に炭素原子を浸炭又は拡散しやすくなる。
酸素分圧が0%である脱酸素雰囲気とは、雰囲気ガスが酸素以外のガスで構成されている、又は、真空雰囲気であることを意味する。例えば、UV照射工程における雰囲気を、窒素又は希ガスに置換して脱酸素雰囲気を実現してもよいし、減圧によって脱酸素雰囲気を実現してもよい。また窒素又は希ガスを用いる場合は、これらのガスが継続的にUV照射雰囲気内に供給されるフロー環境であることがより好ましい。
照射する紫外線の波長は、354nm以下であることが好ましい。この波長域の光は、ナノカーボンの炭素結合を開裂しやすい。例えば、ナノカーボンがフラーレンの場合、254nm付近の波長の光が最も炭素結合を開裂できると言われている。紫外線によりナノカーボンにダメージを与えることで、炭素のコア材への拡散をより容易にすることができる。
またUV照射工程S5において、加熱処理を同時に行ってもよい。加熱処理を同時に行うことで、固溶領域10Aの厚みや炭素濃度を調整することができる。加熱時の温度は、300℃以下の温度が好ましい。
またUV照射工程S5を行う前に、乾燥等の処理により溶媒の一部を除去してもよい。溶媒が有機溶媒の場合は、有機溶媒を構成する有機分子も紫外線を吸収する。溶媒の一部を除去することで、UV照射工程S5にかかる時間を短縮できる。なお、溶媒が完全に除去されると電荷のやりとりが阻害されるため、溶媒は完全乾燥させずに、一部残存させることが好ましい。
上述のように、紫外線の照射によりナノカーボンにエネルギーを与え、浸炭処理が進行する為、加熱等を行わない常温環境下でも上記無機材料を簡便に作製できる。また本実施形態にかかる無機材料の製造方法は、再現性が高く、安定的に所望の無機材料を作製することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(実施例1)
まず準備工程として株式会社名城ナノカーボン製の1%カーボンナノチューブ水分散液(MWWNT MTC)を4ml準備した。そして、この分散液に混酸(硫酸:硝酸=3:1)を40ml加え、120℃で1時間酸処理した。その結果、カーボンナノチューブの一部にカルボキシル基及び水酸基が導入されていることを確認した。
次いで、ポア径0.1μmのミリポアフィルターを用いて液を濾過し、純水置換、極性有機溶媒置換を行った。極性有機溶媒としてはDMFを用いた。そして、極性有機溶媒置換後の溶液に、超音波洗浄機で44kHzの超音波を1時間印加した。超音波処理後のカーボンナノチューブの長さを、粒度分布計(大塚電子製 濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000)を用いて測定したところ平均粒径が53.8nmであった。
そして得られた分散液をアルミニウム板(厚み2mm)上にキャストし、分散液をアルミニウム板上に塗布した。そして、塗布後の試料をUV照射機内に載置し、窒素置換後にUVを照射した。
UV照射機内の窒素置換は10分間行い、UV処理中のUV照射機内は窒素フロー環境にした。すなわち、UV照射機内の雰囲気は実質的に酸素濃度が0%の脱酸素雰囲気と言える。またUV照射は、低圧水銀ランプを用いた。低圧水銀ランプは、184nmと254nmの短波長を効率よく放射する。
そしてUV照射後のサンプルの表面及び断面を走査型電子顕微鏡で確認した。その結果が、図1及び図2に対応する。図1に示すように、アルミニウム板とカーボンナノチューブにより構成されたカーボン層との間に固溶領域が形成されていることを確認した。また図2に示すように、サンプルの表面にカーボンナノチューブ特有の細線構造を確認した。さらにラマンスペクトル(InVia Reflex(RENISHAW製))により炭素の六員環構造起因のGバンドピークも確認し、カーボン層がナノ結晶構造を維持していることを確認した。
またスクラッチ試験機(Micro Photonics Incsei Nanovea Scratch Tester)を用いて、実施例1に係る無機材料の摩擦係数を、場所を変えて複数回測定した。その結果、摩擦係数は約0.1〜0.6程度であった。またナノインデンテーション試験により、実施例1に係る無機材料の硬度を、場所を変えて複数回測定した。その結果、硬度は約500〜5000Hv(ビッカース硬度)程度であった。
(実施例2及び3)
実施例2及び3は、分散液に分散するナノカーボンの種類を変えた点が、実施例1と異なる。その他の条件は実施例1と同様の条件で行った。実施例2ではナノカーボンとしてフラーレンを用い、実施例3ではナノカーボンとしてグラファイトを用いた。
(実施例4及び5)
実施例4及び5では、分散液を塗布する基板の材料を変えた点が、実施例1と異なる。その他の条件は実施例1と同様の条件で行った。実施例4では基板を銅とし、実施例5では基板をシリコンとした。
(実施例6及び7)
実施例6及び7では、UV照射時の雰囲気を変更した点が、実施例1と異なる。その他の条件は、実施例1と同様の条件で行った。実施例6はUV照射機内の酸素分圧を10%とし、実施例7はUV照射機内の雰囲気をAr雰囲気とした。
(実施例8)
実施例8は、市販の株式会社名城ナノカーボン製の1%カーボンナノチューブ水分散液(MWWNT MTC)を直接アルミニウム基板に塗布した点が実施例1と異なる。その他の条件は実施例1と同じとした。
(実施例9)
実施例9は、UV照射時に加熱した点が実施例1と異なる。300℃以下であれば下地基材の結晶構造等の物性が変化することはないため、加熱温度は250℃とした。その他の条件は実施例1と同じとした。
(比較例1)
比較例1は、特許文献2と同様の方法で、フラーレン類を炭素源として利用して、金属内部に浸炭させた。具体的には、フラーレン成形体をアルミニウムの表面にこすり付け、フラーレンが付着したアルミニウムをAr雰囲気中において700℃で加熱した。
実施例1〜9及び比較例1の結果を表1にまとめる。
何れの実施例においても、実施例1と同様に、固溶領域が形成されていることを確認し、カーボン層を構成するナノカーボンがナノ結晶構造を維持していることを確認した。また何れの実施例においても、実施例1と同様に、固溶領域が形成されていることを確認し、カーボン層を構成するナノカーボンがナノ結晶構造を維持していることを確認した。
実施例9は加熱処理を行ったため、その他の実施例と比較して固溶領域の厚みが厚かった。また実施例8は無機材料としての特性は十分有しているが、実施例1〜7よりカーボン層が剥離しやすい傾向にあった。
一方で、比較例1は固溶領域が形成されていることは確認できたが、フラーレンが結晶構造を維持せず、アモルファスになっていることを確認した。その結果、比較例1は、実施例1〜9より硬度が低く、摩擦係数は大きかった。
10…コア材、10A…固溶領域、20…カーボン層

Claims (7)

  1. 主成分が無機物質であるコア材と、
    前記コア材の少なくとも一部を被覆し、ナノ結晶構造を有するナノカーボンを含むカーボン層と、を有し、
    前記コア材は、表面に炭素元素が固溶した固溶領域を有する、無機材料。
  2. 前記カーボン層の厚みが100μm以下である、請求項1に記載の無機材料。
  3. 前記ナノカーボンが、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン及びグラファイトからなる群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項1又は2のいずれかに記載の無機材料。
  4. 主成分が無機物質であるコア材の表面にナノカーボンが分散した分散液を塗布する塗布工程と、
    前記分散液が塗布された前記コア材に、低酸素雰囲気下で紫外線を照射するUV照射工程と、を有する無機材料の製造方法。
  5. 前記紫外線の波長が354nm以下である、請求項4に記載の無機材料の製造方法。
  6. 前記UV照射工程における雰囲気を、真空、窒素及び希ガスからなる群から選択されるいずれかの雰囲気にする、請求項4または5のいずれかに記載の無機材料の製造方法。
  7. 前記分散液に含まれる前記ナノカーボンに酸処理を施す工程と、
    前記酸処理に用いた酸を極性有機溶媒に置換する工程と、をさらに有する請求項4〜6のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法。
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KR20200109184A (ko) * 2019-03-12 2020-09-22 재단법인대구경북과학기술원 금속 나노입자 코어 및 그래핀 쉘을 포함하는 복합입자
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