JP2018145332A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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智彦 小竹
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抗太 岩永
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Abstract

【課題】断熱性に優れ、樹脂の浸透が抑制できるエアロゲルパウダーを含有する樹脂組成物及び成形体を提供すること。【解決手段】本発明の樹脂組成物及び成形体は、エアロゲル成分及びシリカ粒子を有するエアロゲルパウダー、又は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物及び該加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であるエアロゲルパウダーと、樹脂とを含む。【選択図】なし

Description

本開示は、エアロゲルを含有する樹脂組成物及び成形体に関する。
熱伝導率が小さく断熱性を有する材料としてシリカエアロゲルが知られている。シリカエアロゲルは、優れた機能性(断熱性等)、特異な光学特性、特異な電気特性などを有する機能素材として有用なものであり、例えば、シリカエアロゲルの超低誘電率特性を利用した電子基板材料、シリカエアロゲルの高断熱性を利用した断熱材料、シリカエアロゲルの超低屈折率を利用した光反射材料等に用いられている。
このようなエアロゲルは、表面に存在するシラノール基を、例えば、シリル化剤等の疎水性有機基を用いてエンドキャッピングすることで、疎水化処理等の表面処理がされている。エアロゲルをパウダー化したエアロゲルパウダーの場合も、同様に疎水化処理されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2001−504756号公報
ところで、エアロゲルパウダーを熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂成分と混合して成形体を作製することが検討されている。しかしながら、従来のエアロゲルパウダーの場合、表面処理をしていないエアロゲルパウダーを樹脂と混合すると、樹脂がエアロゲルの細孔に浸透してしまい、成形体の断熱性が低下してしまう。
本開示は上記の事情に鑑みてなされたものであり、断熱性に優れ、樹脂の浸透が抑制できるエアロゲルパウダーを含有する樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本開示は、エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲルパウダーと、樹脂とを含む樹脂組成物を提供する。本開示はまた、当該樹脂組成物から形成された成形体を提供する。本開示に係るエアロゲルパウダーは、断熱性に優れ、樹脂の浸透を抑制できることから、当該エアロゲルパウダーを含む樹脂組成物から作製される成形体は優れた断熱性を有している。
エアロゲルパウダーは、エアロゲル成分及びシリカ粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有することができる。これにより、断熱性を更に向上し易くなり、樹脂組成物を作製する際の樹脂の浸透が抑制され易くなる。
エアロゲルパウダーが、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であってもよい。このようなエアロゲルパウダーは、断熱性により一層優れる共に、エアロゲルパウダーへの樹脂の浸透を更に抑制することができる。
シリカ粒子の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができる。また、シリカ粒子は、非晶質シリカ粒子であってもよい。さらに、非晶質シリカ粒子は、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。これにより、断熱性を更に向上し易くなる。
本開示はまた、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であるエアロゲルパウダーと、樹脂とを含む樹脂組成物を提供する。このようなエアロゲルパウダーは、断熱性に優れ、樹脂の浸透を抑制できることから、当該エアロゲルパウダーを含む樹脂組成物から作製される成形体は優れた断熱性を有している。
エアロゲルパウダーは、一般式(1)で表される構造を有していてもよい。式(1)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。
また、エアロゲルパウダーは、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、橋かけ部は下記一般式(2)で表される構造を有していてもよい。式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。
さらに、エアロゲルパウダーは、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。
本開示において、エアロゲルパウダーの平均粒子径D50は1〜1000μmとすることができる。これにより、良好な分散性と取り扱い性を達成することができる。
本開示によれば、断熱性に優れ、樹脂の浸透が抑制できるエアロゲルパウダーを含有する樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーの微細構造を模式的に表す図である。 粒子の二軸平均一次粒子径の算出方法を示す図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。「A又はB」とは、A及びBのいずれか一方を含んでいればよく、両方を含んでいてもよい。本実施形態で例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[エアロゲル含有樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲルパウダーと、樹脂とを含むことができる。また、本実施形態の樹脂組成物は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であるエアロゲルパウダーと、樹脂とを含むことができる。以下、本実施形態に係るエアロゲルパウダー及び樹脂について、詳細に説明する。
<エアロゲルパウダー>
狭義には、湿潤ゲルに対して超臨界乾燥法を用いて得られた乾燥ゲルをエアロゲル、大気圧下での乾燥により得られた乾燥ゲルをキセロゲル、凍結乾燥により得られた乾燥ゲルをクライオゲルと称するが、本実施形態においては、湿潤ゲルのこれらの乾燥手法によらず、得られた低密度の乾燥ゲルを「エアロゲル」と称する。すなわち、本実施形態においてエアロゲルとは、広義のエアロゲルである「Gel comprised of a microporous solid in which the dispersed phase is gas(分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲル)」を意味するものである。一般的にエアロゲルの内部は網目状の微細構造となっており、2〜20nm程度のエアロゲル粒子(エアロゲルを構成する粒子)が結合したクラスター構造を有している。このクラスターにより形成される骨格間には、100nmに満たない細孔がある。これにより、エアロゲルは、三次元的に微細な多孔性の構造をしている。なお、本実施形態におけるエアロゲルは、例えば、シリカを主成分とするシリカエアロゲルである。シリカエアロゲルとしては、例えば、有機基(メチル基等)又は有機鎖を導入した、いわゆる有機−無機ハイブリッド化されたシリカエアロゲルが挙げられる。なお、本実施形態に係るエアロゲルパウダー(粉末状(パウダー状)エアロゲル、ということもできる)は、上記エアロゲルの特徴であるクラスター構造を有しており、三次元的に微細な多孔性の構造を有するパウダーである。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、エアロゲル成分及びシリカ粒子を含有するエアロゲル(以下、場合により「エアロゲル複合体」という)であってもよい。なお、必ずしもこれと同じ概念を意味するものではないが、本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、三次元網目骨格を構成する成分としてシリカ粒子を含有するものである、と表現することも可能である。本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、後述するとおり断熱性と柔軟性とに優れている。特に、柔軟性が優れていることにより圧縮等の応力がかかっても破損しない柔軟なエアロゲルパウダーを提供することができる。なお、このようなエアロゲルパウダーは、エアロゲルの製造環境中にシリカ粒子を存在させることにより得られるものである。そしてシリカ粒子を存在させることによるメリットは、エアロゲルパウダー自体の断熱性、柔軟性等を向上できることのみならず、後述する湿潤ゲル生成工程の時間短縮、あるいは洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能であることにもある。なお、この工程の時間短縮及び工程の簡略化は、柔軟性が優れるエアロゲルパウダーを作製する上で必ずしも求められることではない。
本実施形態において、エアロゲル成分とシリカ粒子との複合化態様は様々である。例えば、エアロゲル成分は膜状等の不定形であってもよく、粒子状(エアロゲル粒子)であってもよい。いずれの態様においても、エアロゲル成分が様々な形態になりシリカ粒子間に存在しているため、エアロゲルの骨格に柔軟性が付与されていると推察される。
まず、エアロゲル成分とシリカ粒子の複合化態様としては、不定形のエアロゲル成分がシリカ粒子間に介在する態様が挙げられる。このような態様としては、具体的には、例えばシリカ粒子が膜状のエアロゲル成分(シリコーン成分)により被覆された態様(エアロゲル成分がシリカ粒子を内包する態様)、エアロゲル成分がバインダーとなりシリカ粒子同士が連結された態様、エアロゲル成分が複数のシリカ粒子間隙を充填している態様、これらの態様の組み合わせの態様(クラスター状に並んだシリカ粒子がエアロゲル成分により被覆された態様等)、など様々な態様が挙げられる。このように、本実施形態においてエアロゲルパウダーは、三次元網目骨格がシリカ粒子とエアロゲル成分(シリコーン成分)から構成されることができ、その具体的態様(形態)に特に制限はない。
一方、後述するように、本実施形態においてエアロゲル成分は、不定形ではなく図1のように明確な粒子状となってシリカ粒子と複合化していてもよい。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーにおいてこのような様々な態様が生じるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、ゲル化工程におけるエアロゲル成分の生成速度が関与していると推察している。例えば、シリカ粒子のシラノール基数を変動させることによってエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。また、系のpHを変動させることによってもエアロゲル成分の生成速度が変動する傾向がある。
このことは、シリカ粒子のサイズ、形状、シラノール基数、系のpH等を調整することにより、エアロゲルパウダーの態様(三次元網目骨格のサイズ、形状、化学構造等)を制御できることを示唆する。したがって、エアロゲルの密度、気孔率等の制御が可能となり、エアロゲルの断熱性、柔軟性、樹脂の耐浸透性等を制御することができると考えられる。なお、エアロゲルパウダーの三次元網目骨格は、上述した様々な態様の一種類のみから構成されていてもよいし、二種以上の態様から構成されていてもよい。
以下、図1を例にとり、本実施形態に係るエアロゲルパウダーについて説明するが、上述のとおり本開示は図1の態様に限定されるものではない。ただし、上記いずれの態様にも共通する事項(シリカ粒子の種類、サイズ、含有量等)については、以下の記載を適宜参照することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るエアロゲルパウダーの微細構造を模式的に表す図である。図1に示されるように、エアロゲル複合体10は、エアロゲル成分を構成するエアロゲル粒子1が部分的にシリカ粒子2を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格と、当該骨格に囲まれた細孔3とを有する。この際、シリカ粒子2はエアロゲル粒子1間に介在し、三次元網目骨格を支持する骨格支持体として機能していると推察される。したがって、このような構造を有することにより、エアロゲルとしての断熱性及び柔軟性を維持しつつ、適度な強度がエアロゲルに付与されることになると考えられる。すなわち、本実施形態において、エアロゲルパウダーは、シリカ粒子がエアロゲル粒子を介して三次元的にランダムに連なることにより形成される三次元網目骨格を有していてもよい。また、シリカ粒子はエアロゲル粒子により被覆されていてもよい。なお、上記エアロゲル粒子(エアロゲル成分)はケイ素化合物から構成されるため、シリカ粒子への親和性が高いと推察される。そのため、本実施形態においてはエアロゲルの三次元網目骨格中にシリカ粒子を導入することに成功したと考えられる。この点においては、シリカ粒子のシラノール基も、両者の親和性に寄与していると考えられる。
エアロゲル粒子1は、複数の一次粒子から構成される二次粒子の態様を取っていると考えられており、概ね球状である。エアロゲル粒子1の平均粒子径(すなわち二次粒子径)は2nm〜50μmとすることができるが、5nm〜2μmであってもよく、又は10nm〜200nmであってもよい。エアロゲル粒子1の平均粒子径が2nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなり、一方平均粒子径が50μm以下であることにより、断熱性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。なお、エアロゲル粒子1を構成する一次粒子の平均粒子径は、低密度の多孔質構造の2次粒子を形成し易いという観点から、0.1nm〜5μmとすることができるが、0.5nm〜200nmであってもよく、又は1nm〜20nmであってもよい。
シリカ粒子2としては特に制限なく用いることができ、例えば、非晶質シリカ粒子が挙げられる。非晶質シリカ粒子としては、溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカ粒子は単分散性が高く、ゾル中での凝集を抑制し易い。なお、シリカ粒子2としては、中空構造、多孔質構造等を有するシリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子2の形状は特に制限されず、球状、繭型、会合型等が挙げられる。これらのうち、シリカ粒子2として球状の粒子を用いることにより、ゾル中での凝集を抑制し易くなる。シリカ粒子2の平均一次粒子径は1〜500nmとすることができるが、5〜300nmであってもよく、又は20〜100nmであってもよい。シリカ粒子2の平均一次粒子径が1nm以上であることにより、適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。一方、平均一次粒子径が500nm以下であることにより、シリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。
エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とシリカ粒子2とは、水素結合又は化学結合の態様を取って結合していると推測される。この際、水素結合又は化学結合は、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)のシラノール基又は反応性基と、シリカ粒子2のシラノール基により形成されると考えられる。そのため、結合の態様が化学結合であると、適度な強度をエアロゲルに付与し易いと考えられる。このことから考えると、エアロゲル成分と複合化させる粒子として、シリカ粒子に限らず、粒子表面にシラノール基を有する無機粒子又は有機粒子も用いることができる。
シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数は、10×1018〜1000×1018個/gとすることができるが、50×1018〜800×1018個/gであってもよく、又は100×1018〜700×1018個/gであってもよい。シリカ粒子2の1g当りのシラノール基数が10×1018個/g以上であることにより、エアロゲル粒子1(エアロゲル成分)とのより良好な反応性を有することができ、耐収縮性に優れるエアロゲルパウダーを得易くなる。一方、シラノール基数が1000×1018個/g以下であることにより、ゾル作製時における急なゲル化を抑制し易くなり、均質なエアロゲルパウダーが得易くなる。
本実施形態において、粒子の平均粒子径(エアロゲル粒子の平均二次粒子径及びシリカ粒子の平均一次粒子径)は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を用いてエアロゲル複合体の断面を直接観察することにより得ることができる。例えば、三次元網目骨格からは、その断面の直径に基づきエアロゲル粒子又はシリカ粒子個々の粒子径を得ることができる。ここでいう直径とは、三次元網目骨格を形成する骨格の断面を円とみなした場合の直径を意味する。また、断面を円とみなした場合の直径とは、断面の面積を同じ面積の円に置き換えたときの当該円の直径のことである。なお、平均粒子径の算出に当たっては、100個の粒子について円の直径を求め、その平均を取るものとする。
なお、シリカ粒子については原料から平均粒子径を測定することが可能である。例えば、二軸平均一次粒子径は、任意の粒子20個をSEMにより観察した結果から、次のようにして算出される。すなわち、通常水に分散している固形分濃度が5〜40質量%のコロイダルシリカ粒子を例にすると、コロイダルシリカ粒子の分散液にパターン配線付きウエハを2cm角に切ったチップを約30秒浸した後、当該チップを純水にて約30秒間すすぎ、窒素ブロー乾燥する。その後、チップをSEM観察用の試料台に載せ、加速電圧10kVを掛け、10万倍の倍率にてシリカ粒子を観察し、画像を撮影する。得られた画像から20個のシリカ粒子を任意に選択し、それらの粒子の粒子径の平均を平均粒子径とする。この際、選択したシリカ粒子が図2に示すような形状であった場合、シリカ粒子2に外接し、その長辺が最も長くなるように配置した長方形(外接長方形L)を導く。そして、その外接長方形Lの長辺をX、短辺をYとして、(X+Y)/2として二軸平均一次粒子径を算出し、その粒子の粒子径とする。
エアロゲルパウダーに含まれるエアロゲル成分の含有量は、エアロゲルパウダーの総量100質量部に対し、4〜25質量部とすることができるが、10〜20質量部であってもよい。エアロゲル成分の含有量が4質量部以上であることにより適度な強度を付与し易くなり、25質量部以下であることにより良好な断熱性を得易くなる。
エアロゲルパウダーに含まれるシリカ粒子の含有量は、エアロゲルパウダーの総量100質量部に対し、1〜25質量部とすることができるが、3〜15質量部であってもよい。シリカ粒子の含有量が1質量部以上であることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、25質量部以下であることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなる。
エアロゲルパウダーは、これらエアロゲル成分及びシリカ粒子の他に、熱線輻射抑制等を目的として、カーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等のその他の成分を更に含んでいてもよい。その他の成分の含有量は特に制限されないが、エアロゲルの所期の効果を十分に確保する観点から、エアロゲルパウダーの総量100質量部に対し、1〜5質量部とすることができる。
(パウダーの形状)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーの形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状であってよい。本実施形態におけるエアロゲルパウダーは、後述の通りパウダー化するために粉砕を行っているため、通常、パウダーの形状は表面に凹凸のある不定形の形状となる。もちろん、球状等のパウダーでもよい。また、パネル状、フレーク状、繊維状であってもよい。パウダー形状は、SEMを用いてエアロゲルパウダーを直接観察することにより得ることができる。
(パウダーの平均粒子径)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーの平均粒子径D50は、1〜1000μmとすることができるが、3〜700μmであってもよく、又は5〜500μmであってもよい。エアロゲルパウダーの平均粒子径D50が1μm以上であることにより、分散性及び取り扱い性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。一方、平均粒子径D50が1000μm以下であることにより、分散性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。パウダーの平均粒子径は、粉砕方法及び粉砕条件、ふるい又は分級の仕方により適宜調整することができる。
パウダーの平均粒子径D50は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。例えば、溶媒(エタノール)に、エアロゲルパウダーを濃度0.05〜5質量%の範囲内で添加し、50Wの超音波ホモジナイザーで15〜30分振動することによって、パウダーを分散する。その後、分散液の約10mL程度をレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置に注入して、25℃で、屈折率1.3、吸収0として粒子径を測定する。そして、この粒子径分布における積算値50%(体積基準)での粒径を平均粒子径D50とする。測定装置としては、例えばMicrotrac MT3000(日機装株式会社製、製品名)を用いることができる。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーにおいて、細孔3のサイズ、すなわち平均細孔径は5〜1000nmとすることができるが、25〜500nmであってもよい。平均細孔径が5nm以上であることにより、柔軟性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなり、また、1000nm以下であることにより、断熱性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなり、樹脂組成物における樹脂の浸透が抑制され易くなる。
エアロゲルパウダーの25℃における密度は、0.05〜0.25g/cmとすることができるが、0.1〜0.2g/cmであってもよい。密度が0.05g/cm以上であることにより、より優れた強度及び柔軟性を得ることができ、また、0.25g/cm以下であることにより、より優れた断熱性を得ることができる。
エアロゲルパウダーの25℃における気孔率は、85〜95%とすることができるが、87〜93%であってもよい。気孔率が85%以上であることにより、より優れた断熱性を得ることができ、また、95%以下であることにより、より優れた強度及び柔軟性を得ることができる。
エアロゲルパウダーについての、3次元網目状に連続した細孔(通孔)の平均細孔径、密度及び気孔率は、DIN66133に準じて水銀圧入法により測定することができる。測定装置としては、例えば、オートポアIV9520(株式会社島津製作所製、製品名)を用いることができる。
(熱伝導率)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーの熱伝導率は、大気圧下、25℃で0.035W/(m・K)以下とすることができるが、0.03W/(m・K)以下であってもよく、又は0.025W/(m・K)以下であってもよい。熱伝導率が0.035W/m・K以下であることにより、高性能断熱材であるポリウレタンフォーム以上の断熱性を得ることができる。熱伝導率の下限値は特に限定されないが、例えば、0.01W/m・Kとすることができる。
熱伝導率は、定常法により測定することができる。測定装置としては、例えば、定常法熱伝導率測定装置「HFM436Lambda」(NETZSCH社製、製品名、HFM436Lambdaは登録商標)を用いることができる。
(圧縮弾性率)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーの圧縮弾性率は、25℃で3MPa以下とすることができるが、2.5MPa以下であってもよく、2MPa以下であってもよく、又は1.5MPa以下であってもよい。圧縮弾性率が3MPa以下であることにより、取り扱い性が優れるエアロゲルパウダーとし易くなる。圧縮弾性率の下限値は特に限定されないが、例えば、0.05MPaとすることができる。
(変形回復率)
本実施形態のエアロゲルパウダーの変形回復率は、25℃で90%以上とすることができるが、94%以上であってもよく、又は98%以上であってもよい。変形回復率が90%以上であることにより、優れた強度、変形に対する優れた柔軟性等をより得易くなる。なお、変形回復率の上限値は特に限定されないが、例えば、100%又は99%とすることができる。
(最大圧縮変形率)
本実施形態のエアロゲルパウダーの最大圧縮変形率は、25℃で80%以上とすることができるが、83%以上であってもよく、又は86%以上であってもよい。最大圧縮変形率が80%以上であることにより、優れた強度、変形に対する優れた柔軟性等をより得易くなる。なお、最大圧縮変形率の上限値は特に限定されないが、例えば、90%とすることができる。
圧縮弾性率、変形回復率及び最大圧縮変形率は、小型卓上試験機「EZTest」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いて測定することができる。
これら熱伝導率、圧縮弾性率、変形回復率及び最大圧縮変形率は、後述するエアロゲルパウダーの製造条件、原料等を変更することにより適宜調整することができる。なお、エアロゲルパウダーの熱伝導率、圧縮弾性率、変形回復率及び最大圧縮変形率は、パウダー形態で測定することが困難であるため、後述する粉砕前のエアロゲルブロックを用いて測定することにより得られる。
<エアロゲル成分の具体的態様>
本実施形態のエアロゲルパウダーは、シロキサン結合(Si−O−Si)を含む主鎖を有するポリシロキサンを含有することができる。エアロゲルは、構造単位として、下記M単位、D単位、T単位又はQ単位を有することができる。
上記式中、Rは、ケイ素原子に結合している原子(水素原子等)又は原子団(アルキル基等)を示す。M単位は、ケイ素原子が1個の酸素原子と結合した一価の基からなる単位である。D単位は、ケイ素原子が2個の酸素原子と結合した二価の基からなる単位である。T単位は、ケイ素原子が3個の酸素原子と結合した三価の基からなる単位である。Q単位は、ケイ素原子が4個の酸素原子と結合した四価の基からなる単位である。これらの単位の含有量に関する情報は、Si−NMRにより得ることができる。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーにおけるエアロゲル成分としては、以下の態様が挙げられる。これらの態様を採用することにより、エアロゲルパウダーの断熱性及び柔軟性を所望の水準に制御することが容易となる。
(第一の態様)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、下記一般式(1)で表される構造を有することができる。本実施形態のエアロゲルパウダーは、式(1)で表される構造を含む構造として、下記一般式(1a)で表される構造を有することができる。

式(1)及び式(1a)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。ここで、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が挙げられる。なお、置換フェニル基の置換基としては、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。pは1〜50の整数を示す。式(1a)中、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。式(1a)中、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に、2個のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)又は式(1a)で表される構造をエアロゲル成分としてエアロゲルパウダーの骨格中に導入することにより、柔軟なエアロゲルパウダーとなる。このような観点から、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(1)及び式(1a)中、R及びRとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。式(1a)中、pは2〜30とすることができ、5〜20であってもよい。
(第二の態様)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、かつ橋かけ部が下記一般式(2)で表される構造を有することができる。このようなラダー型構造をエアロゲル成分としてエアロゲルパウダーの骨格中に導入することにより、耐熱性と機械的強度を向上させることができる。なお、本実施形態において「ラダー型構造」とは、2本の支柱部(struts)と支柱部同士を連結する橋かけ部(bridges)とを有するもの(いわゆる「梯子」の形態を有するもの)である。本態様において、エアロゲルの骨格がラダー型構造からなっていてもよいが、エアロゲルパウダーが部分的にラダー型構造を有していてもよい。
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(2)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記の構造をエアロゲル成分としてエアロゲルパウダーの骨格中に導入することにより、例えば、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有する(すなわち、下記一般式(X)で表される構造を有する)エアロゲルよりも優れた柔軟性を有するエアロゲルパウダーとなる。シルセスキオキサンは、組成式:(RSiO1.5を有するポリシロキサンであり、カゴ型、ラダー型、ランダム型等の種々の骨格構造を有することができる。下記一般式(X)にて示すように、従来のラダー型シルセスキオキサンに由来する構造を有するエアロゲルでは、橋かけ部の構造が−O−(構造単位として上記T単位を有する)であるが、本実施形態に係るエアロゲルパウダーでは、橋かけ部の構造が上記一般式(2)で表される構造(ポリシロキサン構造)である。ただし、本態様のエアロゲルパウダーは、一般式(2)で表される構造に加え、さらにシルセスキオキサンに由来する構造を有していてもよい。
式(X)中、Rはヒドロキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
支柱部となる構造及びその鎖長、並びに橋かけ部となる構造の間隔は特に限定されないが、耐熱性と機械的強度とをより向上させるという観点から、ラダー型構造としては、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有していてもよい。
式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(3)中、bが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のRも各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(3)中、aが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよく、同様にcが2以上の整数の場合、2個以上のRは各々同一であっても異なっていてもよい。
なお、より優れた柔軟性を得る観点から、式(2)及び(3)中、R、R、R及びR(ただし、R及びRは式(3)中のみ)としては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としてはメチル基等が挙げられる。また、式(3)中、a及びcは、それぞれ独立に6〜2000とすることができるが、10〜1000であってもよい。また、式(2)及び(3)中、bは、2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
(第三の態様)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物(ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥して得られるもの:ゾル由来の湿潤ゲルの乾燥物)であってもよい。なお、これまで述べてきたエアロゲルパウダーも、このように、シリカ粒子と、ケイ素化合物等を含有するゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥することで得られるものであってもよい。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、後述のポリシロキサン化合物以外のケイ素化合物(シリコン化合物)を用いることができる。すなわち、上記ゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(以下、場合により「ケイ素化合物群」という)を含有することができる。ケイ素化合物における分子内のケイ素数は1又は2とすることができる。
加水分解性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルキルケイ素アルコキシドが挙げられる。アルキルケイ素アルコキシドは、耐水性を向上する観点から、加水分解性の官能基の数を3個以下とすることができる。アルキルケイ素アルコキシドとしては、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアルキルジアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルモノアルコキシシラン、ジアルキルモノアルコキシシラン、トリアルキルモノアルコキシシラン等が挙げられ、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びエチルトリメトキシシランが挙げられる。加水分解性の官能基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基などが挙げられる。
縮合性の官能基を有するケイ素化合物としては、特に限定されないが、例えば、シランテトラオール、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、フェニルシラントリオール、フェニルメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、n−プロピルシラントリオール、ヘキシルシラントリオール、オクチルシラントリオール、デシルシラントリオール及びトリフルオロプロピルシラントリオールが挙げられる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。反応性基としては、例えば、エポキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアミノ基が挙げられる。エポキシ基は、グリシドキシ基等のエポキシ基含有基に含まれていてもよい。
加水分解性の官能基の数が3個以下であり、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等も用いることができる。
また、縮合性の官能基を有し、反応性基を有するケイ素化合物として、ビニルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルシラントリオール、3−グリシドキシプロピルメチルシランジオール、3−メタクリロキシプロピルシラントリオール、3−メタクリロキシプロピルメチルシランジオール、3−アクリロキシプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルシラントリオール、3−メルカプトプロピルメチルシランジオール、N−フェニル−3−アミノプロピルシラントリオール、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルシランジオール等も用いることができる。
さらに、分子末端の加水分解性の官能基が3個以下のケイ素化合物であるビストリメトキシシリルメタン、ビストリメトキシシリルエタン、ビストリメトキシシリルヘキサン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等も用いることができる。
加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物(ポリシロキサン化合物を除く)、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーを作製するにあたり、ケイ素化合物は、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物を含むことができる。すなわち、上記のケイ素化合物を含有するゾルは、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種(以下、場合により「ポリシロキサン化合物群」という)を更に含有することができる。
ポリシロキサン化合物等における官能基は、特に限定されないが、同じ官能基同士で反応するか、又は、他の官能基と反応する基とすることができる。加水分解性の官能基としては、例えば、アルコキシ基が挙げられる。縮合性の官能基としては、水酸基、シラノール基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。水酸基は、ヒドロキシアルキル基等の水酸基含有基に含まれていてもよい。なお、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物は、加水分解性の官能基及び縮合性の官能基とは異なる前述の反応性基(加水分解性の官能基及び縮合性の官能基に該当しない官能基)を更に有していてもよい。これらの官能基及び反応性基を有するポリシロキサン化合物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。これらの官能基及び反応性基のうち、例えば、エアロゲルパウダーの柔軟性を向上する基としては、アルコキシ基、シラノール基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基はゾルの相溶性をより向上することができる。また、ポリシロキサン化合物の反応性の向上の観点から、アルコキシ基及びヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜6とすることができるが、エアロゲルパウダーの柔軟性をより向上する観点から2〜4であってもよい。
ヒドロキシアルキル基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(A)で表される構造を有する化合物が挙げられる。下記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、上記一般式(1)及び式(1a)で表される構造をエアロゲルパウダーの骨格中に導入することができる。
式(A)中、R1aはヒドロキシアルキル基を示し、R2aはアルキレン基を示し、R3a及びR4aはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えば、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えばアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(A)中、2個のR1aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR2aは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(A)中、2個以上のR3aは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR4aは各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲルパウダーをさらに得易くなる。このような観点から、式(A)中、R1aとしては炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられ、当該ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、式(A)中、R2aとしては炭素数が1〜6のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(A)中、R3a及びR4aとしてはそれぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(A)中、nは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としては、市販品を用いることができ、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等の化合物(いずれも、信越化学工業株式会社製)、XF42−B0970、Fluid OFOH 702−4%等の化合物(いずれも、モメンティブ社製)などが挙げられる。
アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物としては、例えば、下記一般式(B)で表される構造を有するものが挙げられる。下記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物を使用することにより、上記一般式(2)で表される橋かけ部を有するラダー型構造をエアロゲルパウダーの骨格中に導入することができる。
式(B)中、R1bはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示し、R2b及びR3bはそれぞれ独立にアルコキシ基を示し、R4b及びR5bはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜50の整数を示す。ここで、アリール基としては、例えばフェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基及びシアノ基が挙げられる。なお、式(B)中、2個のR1bは各々同一であっても異なっていてもよく、2個のR2bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個のR3bは各々同一であっても異なっていてもよい。また、式(B)中、mが2以上の整数の場合、2個以上のR4bは各々同一であっても異なっていてもよく、同様に2個以上のR5bも各々同一であっても異なっていてもよい。
上記構造のポリシロキサン化合物又はその加水分解生成物を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルを用いることにより、柔軟なエアロゲルパウダーをさらに得易くなる。このような観点から、式(B)中、R1bとしては、炭素数が1〜6のアルキル基、炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルキル基又はアルコキシ基としては、メチル基、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R2b及びR3bとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、式(B)中、R4b及びR5bとしては、それぞれ独立に炭素数が1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。また、式(B)中、mは2〜30とすることができるが、5〜20であってもよい。
上記一般式(B)で表される構造を有するポリシロキサン化合物は、例えば、特開2000−26609号公報、特開2012−233110号公報等にて報告される製造方法を適宜参照して得ることができる。
なお、アルコキシ基は加水分解するため、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物はゾル中にて加水分解生成物として存在する可能性があり、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物とその加水分解生成物とは混在していてもよい。また、アルコキシ基を有するポリシロキサン化合物において、分子中のアルコキシ基の全てが加水分解されていてもよいし、部分的に加水分解されていてもよい。
これらの加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ゾルに含まれるケイ素化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物の含有量の総和)は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。5質量部以上にすることにより良好な反応性を得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性を得易くなる。
上記ゾルが、ポリシロキサン化合物を更に含有する場合、ケイ素化合物群の含有量及びポリシロキサン化合物群の含有量(加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物の含有量、及び、加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物の含有量の総和)の総和は、ゾルの総量100質量部に対し、5〜50質量部とすることができるが、10〜30質量部であってもよい。含有量の総和を5質量部以上にすることにより良好な反応性をさらに得易くなり、また、50質量部以下にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなる。この際、ケイ素化合物群の含有量とポリシロキサン化合物群の含有量との比は、0.5:1〜4:1とすることができるが、1:1〜2:1であってもよい。これらの化合物の含有量の比を0.5:1以上とすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、4:1以下とすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
上記ゾルに含まれるシリカ粒子の含有量は、ゾルの総量100質量部に対し、1〜20質量部とすることができるが、4〜15質量部であってもよい。シリカ粒子の含有量を1質量部以上にすることにより適度な強度をエアロゲルに付与し易くなり、乾燥時の耐収縮性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなり、含有量を20質量部以下にすることによりシリカ粒子の固体熱伝導を抑制し易くなり、断熱性に優れるエアロゲルパウダーが得易くなる。
(その他の態様)
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、下記一般式(4)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、下記一般式(4)で表される構造を有していてもよい。
式(4)中、Rはアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては、炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、下記一般式(5)で表される構造を有することができる。本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、下記一般式(5)で表される構造を有していてもよい。
式(5)中、R10及びR11はそれぞれ独立にアルキル基を示す。ここで、アルキル基としては、炭素数が1〜6のアルキル基等が挙げられ、当該アルキル基としては、メチル基等が挙げられる。
本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、下記一般式(6)で表される構造を有することができる。本実施形態のエアロゲルパウダーは、シリカ粒子を含有すると共に、下記一般式(6)で表される構造を有しいてもよい。
式(6)中、R12はアルキレン基を示す。ここで、アルキレン基としては、炭素数が1〜10のアルキレン基等が挙げられ、当該アルキレン基としては、エチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
<エアロゲルパウダーの製造方法>
次に、エアロゲルパウダーの製造方法について説明する。エアロゲルパウダーの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
すなわち、本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、ゾル生成工程と、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換する洗浄及び溶媒置換工程と、洗浄及び溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥する乾燥工程と、乾燥により得られたエアロゲルブロックを粉砕するブロック粉砕工程とを主に備える製造方法により製造することができる。
また、ゾル生成工程と、前記湿潤ゲル生成工程と、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する湿潤ゲル粉砕工程と、前記洗浄及び溶媒置換工程と、前記乾燥工程とを主に備える製造方法により製造してもよい。
得られたエアロゲルパウダーは、ふるい、分級等によって大きさを更に揃えることができる。パウダーの大きさが整うと、取り扱い性を高めることができる。なお、「ゾル」とは、ゲル化反応が生じる前の状態であって、本実施形態においては上記ケイ素化合物群と、場合によりポリシロキサン化合物群と、シリカ粒子とが溶媒中に溶解又は分散している状態を意味する。また、湿潤ゲルとは、液体媒体を含んでいながらも、流動性を有しない湿潤状態のゲル固形物を意味する。
以下、本実施形態に係るエアロゲルパウダーの製造方法の各工程について説明する。
(ゾル生成工程)
ゾル生成工程は、上述のケイ素化合物と、場合によりポリシロキサン化合物と、シリカ粒子又はシリカ粒子を含む溶媒とを混合し、加水分解させてゾルを生成する工程である。本工程においては、加水分解反応を促進させるため、溶媒中にさらに酸触媒を添加してもよい。また、特許第5250900号公報に示されるように、溶媒中に界面活性剤、熱加水分解性化合物等を添加することもできる。さらに、熱線輻射抑制等を目的として、溶媒中にカーボングラファイト、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、銀化合物、チタン化合物等の成分を添加してもよい。
溶媒としては、例えば、水、又は、水及びアルコール類の混合液を用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、ゲル壁との界面張力を低減させる点で、表面張力が低くかつ沸点の低いアルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば溶媒としてアルコール類を用いる場合、アルコール類の量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量1モルに対し、4〜8モルとすることができるが、4〜6.5であってもよく、又は4.5〜6モルであってもよい。アルコール類の量を4モル以上にすることにより良好な相溶性をさらに得易くなり、また、8モル以下にすることによりゲルの収縮をさらに抑制し易くなる。
酸触媒としては、フッ酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、臭素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等の無機酸類;酸性リン酸アルミニウム、酸性リン酸マグネシウム、酸性リン酸亜鉛等の酸性リン酸塩類;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、アゼライン酸等の有機カルボン酸類などが挙げられる。これらの中でも、得られるエアロゲルパウダーの耐水性をより向上する酸触媒としては有機カルボン酸類が挙げられる。当該有機カルボン酸類としては酢酸が挙げられるが、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸等であってもよい。これらは単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
酸触媒を用いることで、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の加水分解反応を促進させて、より短時間でゾルを得ることができる。
酸触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.001〜0.1質量部とすることができる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤等を用いることができる。これらは単独で、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物、ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物などを使用できる。ポリオキシエチレン等の親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを含む化合物としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシプロピレン等の親水部を含む化合物としては、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、アミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤としては、例えば、アシルグルタミン酸等が挙げられる。ベタイン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アミンオキシド系界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらの界面活性剤は、後述する湿潤ゲル生成工程において、反応系中の溶媒と、成長していくシロキサン重合体との間の化学的親和性の差異を小さくし、相分離を抑制する作用をすると考えられている。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、あるいはケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の種類並びに量にも左右されるが、例えば、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、1〜100質量部とすることができる。なお、同添加量は5〜60質量部であってもよい。
熱加水分解性化合物は、熱加水分解により塩基触媒を発生して、反応溶液を塩基性とし、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を促進すると考えられている。よって、この熱加水分解性化合物としては、加水分解後に反応溶液を塩基性にできる化合物であれば、特に限定されず、尿素;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド;ヘキサメチレンテトラミン等の環状窒素化合物などを挙げることができる。これらの中でも、特に尿素は上記促進効果を得られ易い。
熱加水分解性化合物の添加量は、後述する湿潤ゲル生成工程でのゾルゲル反応を十分に促進することができる量であれば、特に限定されない。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合、その添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対して、1〜200質量部とすることができる。なお、同添加量は2〜150質量部であってもよい。添加量を1質量部以上とすることにより、良好な反応性をさらに得易くなり、また、200質量部以下とすることにより、結晶の析出及びゲル密度の低下をさらに抑制し易くなる。
ゾル生成工程の加水分解は、混合液中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子、酸触媒、界面活性剤等の種類及び量にも左右されるが、例えば20〜60℃の温度環境下で10分〜24時間行ってもよく、50〜60℃の温度環境下で5分〜8時間行ってもよい。これにより、ケイ素化合物及びポリシロキサン化合物中の加水分解性官能基が十分に加水分解され、ケイ素化合物の加水分解生成物及びポリシロキサン化合物の加水分解生成物をより確実に得ることができる。
ただし、溶媒中に熱加水分解性化合物を添加する場合は、ゾル生成工程の温度環境を、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制してゾルのゲル化を抑制する温度に調節してもよい。この時の温度は、熱加水分解性化合物の加水分解を抑制できる温度であれば、いずれの温度であってもよい。例えば、熱加水分解性化合物として尿素を用いた場合は、ゾル生成工程の温度環境は0〜40℃とすることができるが、10〜30℃であってもよい。
(湿潤ゲル生成工程)
湿潤ゲル生成工程は、ゾル生成工程で得られたゾルをゲル化し、その後熟成して湿潤ゲルを得る工程である。本工程では、ゲル化を促進させるため塩基触媒を用いることができる。
塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ炭酸水素塩;水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物;メタ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム、ポリ燐酸ナトリウム等の塩基性燐酸ナトリウム塩;アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の脂肪族アミン類;モルホリン、N−メチルモルホリン、2−メチルモルホリン、ピペラジン及びその誘導体、ピペリジン及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環状化合物類などが挙げられる。これらの中でも、水酸化アンモニウム(アンモニア水)は、揮発性が高く、乾燥後のエアロゲルパウダー中に残存し難いため耐水性を損ない難いという点、さらには経済性の点で優れている。塩基触媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
塩基触媒を用いることで、ゾル中のケイ素化合物、ポリシロキサン化合物及びシリカ粒子の脱水縮合反応又は脱アルコール縮合反応を促進することができ、ゾルのゲル化をより短時間で行うことができる。また、これにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。特に、アンモニアは揮発性が高く、エアロゲルパウダー中に残留し難いので、塩基触媒としてアンモニアを用いることで、より耐水性の優れたエアロゲルパウダーを得ることができる。
塩基触媒の添加量は、ケイ素化合物群及びポリシロキサン化合物群の総量100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることができるが、1〜4質量部であってもよい。0.5質量部以上とすることにより、ゲル化をより短時間で行うことができ、5質量部以下とすることにより、耐水性の低下をより抑制することができる。
湿潤ゲル生成工程におけるゾルのゲル化は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。ゲル化温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。ゲル化温度を30℃以上とすることにより、ゲル化をより短時間に行うことができ、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができる。また、ゲル化温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
湿潤ゲル生成工程における熟成は、溶媒及び塩基触媒が揮発しないように密閉容器内で行ってもよい。熟成により、湿潤ゲルを構成する成分の結合が強くなり、その結果、乾燥時の収縮を抑制するのに十分な強度(剛性)の高い湿潤ゲルを得ることができる。熟成温度は、30〜90℃とすることができるが、40〜80℃であってもよい。熟成温度を30℃以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、熟成温度を90℃以下にすることにより、溶媒(特にアルコール類)の揮発を抑制し易くなるため、体積収縮を抑えながらゲル化することができる。
なお、ゾルのゲル化終了時点を判別することは困難な場合が多いため、ゾルのゲル化とその後の熟成とは、連続して一連の操作で行ってもよい。
ゲル化時間と熟成時間は、ゲル化温度及び熟成温度により異なるが、本実施形態においてはゾル中にシリカ粒子が含まれていることから、従来のエアロゲルの製造方法と比較して特にゲル化時間を短縮することができる。この理由は、ゾル中のケイ素化合物群、ポリシロキサン化合物群が有するシラノール基又は反応性基が、シリカ粒子のシラノール基と水素結合又は化学結合を形成するためであると推察する。なお、ゲル化時間は10〜120分間とすることができるが、20〜90分間であってもよい。ゲル化時間を10分間以上とすることにより均質な湿潤ゲルを得易くなり、120分間以下とすることにより後述する洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能となる。なお、ゲル化及び熟成の工程全体として、ゲル化時間と熟成時間との合計時間は、4〜480時間とすることができるが、6〜120時間であってもよい。ゲル化時間と熟成時間の合計を4時間以上とすることにより、強度(剛性)のより高い湿潤ゲルを得ることができ、480時間以下にすることにより熟成の効果をより維持し易くなる。
得られるエアロゲルパウダーの密度を下げたり、平均細孔径を大きくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で高めたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で長くしてもよい。また、得られるエアロゲルパウダーの密度を上げたり、平均細孔径を小さくするために、ゲル化温度及び熟成温度を上記範囲内で低くしたり、ゲル化時間と熟成時間の合計時間を上記範囲内で短くしてもよい。
(湿潤ゲル粉砕工程)
湿潤ゲル粉砕工程を行う場合、湿潤ゲル生成工程で得られた湿潤ゲルを粉砕する。粉砕は、例えば、ヘンシャル型ミキサーに湿潤ゲルを入れるか、又はミキサー内で湿潤ゲル生成工程を行い、ミキサーを適度な条件(回転数及び時間)で運転することにより行うことができる。また、より簡易的には密閉可能な容器に湿潤ゲルを入れるか、又は密閉可能な容器内で湿潤ゲル生成工程を行い、シェイカー等の振盪装置を用いて、適度な時間振盪することにより行うことができる。なお、必要に応じて、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル等を用いて、湿潤ゲルの粒子径を調整することもできる。
(洗浄及び溶媒置換工程)
洗浄及び溶媒置換工程は、前記湿潤ゲル生成工程又は前記湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する工程(洗浄工程)と、湿潤ゲル中の洗浄液を乾燥条件(後述の乾燥工程)に適した溶媒に置換する工程(溶媒置換工程)を有する工程である。洗浄及び溶媒置換工程は、湿潤ゲルを洗浄する工程を行わず、溶媒置換工程のみを行う形態でも実施可能であるが、湿潤ゲル中の未反応物、副生成物等の不純物を低減し、より純度の高いエアロゲルパウダーの製造を可能にする観点からは、湿潤ゲルを洗浄してもよい。なお、本実施形態においては、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合、後述するように洗浄工程後の溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。
洗浄工程では、前記湿潤ゲル生成工程又は前記湿潤ゲル粉砕工程により得られた湿潤ゲルを洗浄する。当該洗浄は、例えば水又は有機溶媒を用いて繰り返し行うことができる。この際、加温することにより洗浄効率を向上させることができる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸、ギ酸等の各種の有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
後述する溶媒置換工程では、乾燥によるゲルの収縮を抑制するため、低表面張力の溶媒を用いることができる。しかし、低表面張力の溶媒は、一般的に水との相互溶解度が極めて低い。そのため、溶媒置換工程において低表面張力の溶媒を用いる場合、洗浄工程で用いる有機溶媒としては、水及び低表面張力の溶媒の双方に対して高い相互溶解性を有する親水性有機溶媒が挙げられる。なお、洗浄工程において用いられる親水性有機溶媒は、溶媒置換工程のための予備置換の役割を果たすことができる。上記の有機溶媒の中で、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。なお、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等は経済性の点で優れている。
洗浄工程に使用される水又は有機溶媒の量としては、湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換し、洗浄できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。洗浄は、洗浄後の湿潤ゲル中の含水率が、シリカ質量に対し、10質量%以下となるまで繰り返すことができる。
洗浄工程における温度環境は、洗浄に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、メタノールを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
溶媒置換工程では、後述する乾燥工程における収縮を抑制するため、洗浄した湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒に置き換える。この際、加温することにより置換効率を向上させることができる。置換用溶媒としては、具体的には、乾燥工程において、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥する場合は、後述の低表面張力の溶媒が挙げられる。一方、超臨界乾燥をする場合は、置換用溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ジクロロジフルオロメタン、二酸化炭素等、又はこれらを2種以上混合した溶媒が挙げられる。
低表面張力の溶媒としては、20℃における表面張力が30mN/m以下の溶媒が挙げられる。なお、当該表面張力は25mN/m以下であっても、又は20mN/m以下であってもよい。低表面張力の溶媒としては、例えば、ペンタン(15.5)、ヘキサン(18.4)、ヘプタン(20.2)、オクタン(21.7)、2−メチルペンタン(17.4)、3−メチルペンタン(18.1)、2−メチルヘキサン(19.3)、シクロペンタン(22.6)、シクロヘキサン(25.2)、1−ペンテン(16.0)等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン(28.9)、トルエン(28.5)、m−キシレン(28.7)、p−キシレン(28.3)等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン(27.9)、クロロホルム(27.2)、四塩化炭素(26.9)、1−クロロプロパン(21.8)、2−クロロプロパン(18.1)等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル(17.1)、プロピルエーテル(20.5)、イソプロピルエーテル(17.7)、ブチルエチルエーテル(20.8)、1,2−ジメトキシエタン(24.6)等のエーテル類;アセトン(23.3)、メチルエチルケトン(24.6)、メチルプロピルケトン(25.1)、ジエチルケトン(25.3)等のケトン類;酢酸メチル(24.8)、酢酸エチル(23.8)、酢酸プロピル(24.3)、酢酸イソプロピル(21.2)、酢酸イソブチル(23.7)、エチルブチレート(24.6)等のエステル類が挙げられる(かっこ内は20℃での表面張力を示し、単位は[mN/m]である)。これらの中で、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)は、低表面張力でありかつ作業環境性に優れている。また、これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン等の親水性有機溶媒を用いることで、上記洗浄工程の有機溶媒と兼用することができる。なお、これらの中でも、さらに後述する乾燥工程における乾燥が容易な点で、常圧での沸点が100℃以下の溶媒を用いてもよい。上記の溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶媒置換工程に使用される溶媒の量としては、洗浄後の湿潤ゲル中の溶媒を十分に置換できる量とすることができる。当該量は、湿潤ゲルの容量に対して3〜10倍の量とすることができる。
溶媒置換工程における温度環境は、置換に用いる溶媒の沸点以下の温度とすることができ、例えば、ヘプタンを用いる場合は、30〜60℃程度の加温とすることができる。
なお、本実施形態においては、ゲル中にシリカ粒子が含まれている場合、上述のとおり溶媒置換工程は必ずしも必須ではない。推察されるメカニズムとしては次のとおりである。すなわち、従来であれば乾燥工程における収縮を抑制するため、湿潤ゲルの溶媒を所定の置換用溶媒(低表面張力の溶媒)に置き換えていたが、本実施形態においてはシリカ粒子が三次元網目状の骨格の支持体として機能することにより、当該骨格が支持され、乾燥工程におけるゲルの収縮が抑制される。そのため、洗浄に用いた溶媒を置換せずに、ゲルをそのまま乾燥工程に付すことができると考えられる。このように、本実施形態においては、洗浄及び溶媒置換工程から乾燥工程の簡略化が可能である。ただし、本実施形態は溶媒置換工程を行うことを何ら排除するものではない。
(乾燥工程)
乾燥工程では、上記のとおり洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを乾燥させる。これにより、エアロゲルブロック又はパウダーを得ることができる。すなわち、上記ゾルから生成された湿潤ゲルを乾燥してなるエアロゲルを得ることができる。
乾燥の手法としては特に制限されず、公知の常圧乾燥、超臨界乾燥又は凍結乾燥を用いることができる。これらの中で、低密度のエアロゲルブロック又はパウダーを製造し易いという観点からは、常圧乾燥又は超臨界乾燥を用いることができる。また、低コストで生産可能という観点からは、常圧乾燥を用いることができる。なお、本実施形態において、常圧とは0.1MPa(大気圧)を意味する。
エアロゲルブロック又はパウダーは、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、乾燥に用いられる溶媒の臨界点未満の温度にて、大気圧下で乾燥することにより得ることができる。乾燥温度は、置換された溶媒(溶媒置換を行わない場合は洗浄に用いられた溶媒)の種類により異なるが、特に高温での乾燥が溶媒の蒸発速度を速め、ゲルに大きな亀裂を生じさせる場合があるという点に鑑み、20〜150℃とすることができる。なお、当該乾燥温度は60〜120℃であってもよい。また、乾燥時間は、湿潤ゲルの容量及び乾燥温度により異なるが、4〜120時間とすることができる。なお、本実施形態において、生産性を阻害しない範囲内において臨界点未満の圧力をかけて乾燥を早めることも、常圧乾燥に包含されるものとする。
エアロゲルブロック又はパウダーは、また、洗浄及び(必要に応じ)溶媒置換した湿潤ゲルを、超臨界乾燥することによっても得ることができる。超臨界乾燥は、公知の手法にて行うことができる。超臨界乾燥する方法としては、例えば、湿潤ゲルに含まれる溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にて溶媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、超臨界乾燥する方法としては、湿潤ゲルを、液化二酸化炭素中に、例えば、20〜25℃、5〜20MPa程度の条件で浸漬することで、湿潤ゲルに含まれる溶媒の全部又は一部を当該溶媒より臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素を単独で、又は二酸化炭素及び溶媒の混合物を除去する方法が挙げられる。
このような常圧乾燥又は超臨界乾燥により得られたエアロゲルブロック又はパウダーは、さらに常圧下にて、105〜200℃で0.5〜2時間程度追加乾燥してもよい。これにより、密度が低く、小さな細孔を有するエアロゲルを更に得易くなる。追加乾燥は、常圧下にて、150〜200℃で行ってもよい。
(ブロック粉砕工程)
ブロック粉砕工程を行う場合、乾燥により得られたエアロゲルブロックを粉砕することによりエアロゲルパウダーを得る。例えば、ジェットミル、ローラーミル、ビーズミル、ハンマーミル等にエアロゲルを入れ、適度な回転数と時間で運転することにより行うことができる。
以上の工程により得られるエアロゲルパウダーは、その断熱性及び柔軟性を活かし、様々な用途に適用することができる。エアロゲルパウダーは、後述する樹脂と混合して、例えば、断熱材として利用することができる。
樹脂組成物中のエアロゲルパウダーの含有量は、1〜99質量%とすることができるが、1〜97質量%でもよく、1〜95質量%であってもよい。エアロゲルパウダーの含有量を1質量%以上とすることで、断熱性が向上し、99質量%以下とすることで、樹脂組成物中のエアロゲルパウダーの分散性、樹脂組成物の成形性及び取り扱い性を向上することができる。
<樹脂>
本実施形態に係る樹脂は、特に限定されず、目的に応じて選択できる。樹脂として、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。樹脂の形状は、特に限定されず、固体、半固体又は液体であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、含塩素樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等)、スルホン樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン等)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、液晶性ポリエステル、芳香族ポリエーテルケトン(ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等)、熱可塑性ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の種類に応じた硬化剤を更に含んでもよい。
樹脂組成物中の樹脂の含有量は、樹脂の種類によるため特に限定されないが、樹脂組成物の成形性の観点から、例えば、1〜99質量%であってもよい。
<樹脂組成物の製造方法>
次に、樹脂組成物の製造方法について説明する。樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により製造することができる。
樹脂組成物は、例えば、エアロゲルパウダーを樹脂等と混合する方法を用いて製造することができる。混合方法としては、特に限定されず、混合する材料の形態(粉粒体、スラリー、液体等)に応じて適宜選択できる。混合には、例えば、マグネチックスターラー、自転公転式撹拌機、ホモジナイザー、プロペラ撹拌機、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、プラネタリーミキサー、V型ブレンダー、W型ブレンダー、ロッキングミル、ビーズミル、ボールミル、ラボプラストミル、二軸混練押出機、三本ロールミル、ニーダー混練機等を用いることができる。樹脂組成物を作製する際の温度及び時間は、混合する樹脂等により適宜、選択することができる。
樹脂組成物を作製する際に、水又は有機溶媒を混合してもよい。有機溶媒としては、エアロゲルパウダー及び樹脂に対して反応せず、これらを溶解又は分散可能であれば特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、ヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸及びギ酸が挙げられる。有機溶媒は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒドロキノン、ホスファイト化合物等)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、離型剤(例えば、モンタン酸、モンタン酸塩、モンタン酸エステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ポリエチレンワックス等)、着色剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、分散剤、流動化剤、ドリッピング防止剤、抗菌剤等を混合して、所定の特性を付与してもよい。
樹脂組成物は、例えば、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等の樹脂成形に適した各種の成形方法により成形することができる。また、基材上に樹脂組成物からなる被膜を形成する場合には、スピンコーター、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター等の塗工装置を用いてもよく、エアスプレー、エアレススプレー、液体静電スプレー等のスプレー塗装装置を用いてもよい。また、樹脂組成物を溶解又は分散した液に基材を浸漬して基材上に被膜を形成してもよい。成形方法は、樹脂組成物に含まれる樹脂の種類又は基材により選択できる。樹脂組成物の成形条件は必要に応じて適宜調整することができる。樹脂組成物の成形時又は成形後に、加熱処理、真空脱泡等を行ってもよい。
[成形体]
本実施形態の成形体は、上記樹脂組成物を用いて形成することができる。本実施形態に係るエアロゲルパウダーは、断熱性に優れ、樹脂の浸透を抑制できることから、当該エアロゲルパウダーを含む樹脂組成物から作製される成形体は優れた断熱性を有している。
本実施形態の成形体は、エアロゲルの細孔への樹脂の浸透が抑制され、優れた断熱性を有する。本実施形態の樹脂組成物においてこのように樹脂の浸透が抑制されるメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者は、エアロゲルパウダーの態様(三次元網目骨格のサイズ、形状、化学構造等)が関与していると推察している。
成形体の熱伝導率は、大気圧下、25℃で0.18W/(m・K)以下とすることができるが、0.16W/(m・K)以下であってもよく又は0.15W/(m・K)以下であってもよい。熱伝導率の下限値は特に限定されないが、例えば、0.01W/m・Kとすることができる。成形体の熱伝導率は、上述した定常法により測定することができる。
成形体の25℃における密度は、特に限定されないが、エアロゲルパウダーを含まないことを除いて同一の樹脂組成物から形成された成形体の密度に対して、99%以下とすることができるが、98%以下であってもよい。99%以下であることにより、エアロゲルパウダーの細孔への樹脂の浸透が抑制され、良好な断熱性を得ることができる。
成形体の密度は、JIS K7112に記載の方法に準じてアルキメデス法により測定することができる。測定装置としては、例えば、電子比重計SD−200L(アルファーミラージュ株式会社製、製品名)を用いることができる。
本実施形態の成形体は、その断熱性を活かし、様々な用途に適用することができ、例えば、極低温分野(超伝導、極低温容器等)、宇宙分野、建築分野、自動車分野、家電製品、半導体分野、産業用設備等における断熱材として適用できる。また、本実施形態の樹脂組成物は、断熱材としての用途の他に、撥水材料、吸音材料、静振材料等として利用することができる。
次に、下記の実施例により本開示をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本開示を制限するものではない。
(実施例1)
[エアロゲルパウダー]
ケイ素化合物としてメチルトリメトキシシランLS−530(信越化学工業株式会社製、製品名:以下『MTMS』と略記)を60.0質量部及びジメチルジメトキシシランLS−520(信越化学工業株式会社製、製品名:以下『DMDMS』と略記)を40.0質量部、並びにシリカ粒子含有原料としてPL−2L(PL−2Lの詳細については表1に記載。シリカ粒子含有原料について以下同様。)を100.0質量部、水を40.0質量部及びメタノールを80.0質量部混合し、これに酸触媒として酢酸を0.10質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル1を得た。ゾル1に、塩基触媒として5質量%濃度のアンモニア水を40.0質量部加え、60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル1を得た。
次いで、湿潤ゲル1をプラスチック製ボトルに移し、密閉後、エクストリームミル(アズワン株式会社製、MX−1000XTS)を用いて、27000rpmで10分間粉砕し、粒子状の湿潤ゲル1を得た。得られた粒子状の湿潤ゲル1をメタノール2500.0質量部に浸漬し、25℃で24時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら合計3回行った。次に、洗浄した粒子状の湿潤ゲルを、低表面張力溶媒であるヘプタン2500.0質量部に浸漬し、25℃で24時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいヘプタンに交換しながら合計3回行った。洗浄及び溶媒置換された粒子状の湿潤ゲルを、常圧下にて、40℃で96時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥した。最後に、ふるい(東京スクリーン株式会社製、目開き45μm、線径32μm)にかけ、上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー1を得た。
[エアロゲルブロック]
湿潤ゲル1をメタノール2500.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら3回行った。次に、洗浄した湿潤ゲルを、低表面張力溶媒であるヘプタン2500.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しいヘプタンに交換しながら3回行った。洗浄及び溶媒置換された湿潤ゲルを、常圧下にて、40℃で96時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥することで、上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルブロック1を得た。
[樹脂組成物及び成形体]
エアロゲルパウダー1を12質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER(登録商標)828(三菱化学株式会社製、製品名)を100質量部、トリエチレンテトラミン(和光純薬工業株式会社製)を10質量部、自転公転式攪拌機ARV−930TWIN(株式会社シンキー製、製品名)を用いて、公転速度1800rpm、自転速度900rpm、真空度60kPa、の条件で10分間混合して、樹脂組成物1を得た。次いで、樹脂組成物1を型に流し込み、150℃2時間で硬化することで成形体1を得た。
(実施例2)
ケイ素化合物としてMTMSを60.0質量部及びビストリメトキシシリルへキサン「KBM−3066」(信越化学工業株式会社製、製品名)を40.0質量部、並びにシリカ粒子含有原料としてST−OZL−35を57.0質量部、水を83.0質量部及びメタノールを80.0質量部混合し、これに酢酸を0.10質量部、カチオン系界面活性剤として臭化セチルトリメチルアンモニウム(和光純薬工業株式会社製:以下『CTAB』と略記)を20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル2を得た。得られたゾル2に、塩基触媒として5%濃度のアンモニア水を40.0質量部加え、60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル2を得た。
湿潤ゲル2を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(4)及び(6)で表される構造を有するエアロゲルパウダー2及びエアロゲルブロック2を得た。また、エアロゲルパウダー2を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物2及び成形体2を得た。
(実施例3)
PL−2Lを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを70.0質量部及びDMDMSを30.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル3を得た。得られたゾル3を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル3を得た。
得られた湿潤ゲル3を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー3及びエアロゲルブロック3を得た。また、エアロゲルパウダー3を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物3及び成形体3を得た。
(実施例4)
シリカ粒子含有原料としてST−OXSを200.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部及びDMDMSを40.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル4を得た。得られたゾル4を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル4を得た。
湿潤ゲル4を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー4及びエアロゲルブロック4を得た。また、エアロゲルパウダー4を用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物4及び成形体4を得た。
(実施例5)
シリカ粒子含有原料としてPL−2L―Dを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び熱加水分解性化合物として尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部及びDMDMSを40.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル5を得た。得られたゾル5を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル5を得た。
湿潤ゲル5を用いた以外は実施例1と同様にして上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー5及びエアロゲルブロック5を得た。
エアロゲルパウダー5を100質量部、ポリプロピレン樹脂PPW−5(株式会社セイシン企業製、製品名)を50質量部混合して、樹脂組成物5を得た。次いで、樹脂組成物5を200℃、0.3MPa、1時間の条件で加圧成形して成形体5を得た。
(実施例6)
シリカ粒子含有原料としてPL−7を87.0質量部、水を113.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部及びDMDMSを40.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル6を得た。得られたゾル6を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル6を得た。
湿潤ゲル6を用いた以外は実施例1と同様にして上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー6及びエアロゲルブロック6を得た。また、エアロゲルパウダー6を用いた以外は実施例5と同様にして、樹脂組成物6及び成形体6を得た。
(実施例7)
シリカ粒子含有原料としてPL−1を167.0質量部、水を33.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部及びDMDMSを40.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル7を得た。得られたゾル7を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル7を得た。
湿潤ゲル7を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー7及びエアロゲルブロック7を得た。また、エアロゲルパウダー7を用いた以外は実施例5と同様にして、樹脂組成物7及び成形体7を得た。
(実施例8)
シリカ粒子含有原料としてST−OYLを100.0質量部、水を100.0質量部、酸触媒として酢酸を0.10質量部、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体であるF−127(BASF社製、製品名)を20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを80.0質量部及び上記一般式(A)で表される構造を有するポリシロキサン化合物としてX−22−160ASを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル8を得た。得られたゾル8を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル8を得た。
湿潤ゲル8を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(1)及び(4)で表される構造を有するエアロゲルパウダー8及びエアロゲルブロック8を得た。また、エアロゲルパウダー8を用いた以外は実施例5と同様にして、樹脂組成物8及び成形体8を得た。
(実施例9)
PL−06Lを200.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを80.0質量部及び上記一般式(B)で表される構造を有する両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(以下、「ポリシロキサン化合物A」という)を20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル9を得た。得られたゾル9を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル9を得た。
なお、上記「ポリシロキサン化合物A」は次のようにして合成した。まず、撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、両末端にシラノール基を有するジメチルポリシロキサンXC96−723(モメンティブ社製、製品名)を100.0質量部、メチルトリメトキシシランを181.3質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端2官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物A)を得た。
湿潤ゲル9を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(3)及び(4)で表される構造を有するエアロゲルパウダー9及びエアロゲルブロック9を得た。
エアロゲルパウダー9を100質量部、シリコーン樹脂KR−480(信越化学工業株式会社製、製品名)を100質量部混合して、樹脂組成物9を得た。次いで、樹脂組成物9を200℃、0.3MPa、1時間の条件で加圧成形することで成形体9を得た。
(実施例10)
PL−2Lを100.0質量部、水を100.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部、DMDMSを20.0質量部及びポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル10を得た。得られたゾル10を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル10を得た。湿潤ゲル10を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(3)、(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー10及びエアロゲルブロック10を得た。
エアロゲルパウダー10を用いた以外は実施例9と同様にして、樹脂組成物10及び成形体10を得た。
(実施例11)
ST−OZL−35を143.0質量部、水を57.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部、DMDMSを20.0質量部及びポリシロキサン化合物Bを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル11を得た。得られたゾル11を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル11を得た。
なお、上記「ポリシロキサン化合物B」は次のようにして合成した。まず、撹拌機、温度計及びジムロート冷却管を備えた1リットルの3つ口フラスコにて、XC96−723を100.0質量部、テトラメトキシシランを202.6質量部及びt−ブチルアミンを0.50質量部混合し、30℃で5時間反応させた。その後、この反応液を、1.3kPaの減圧下、140℃で2時間加熱し、揮発分を除去することで、両末端3官能アルコキシ変性ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン化合物B)を得た。
湿潤ゲル11を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(2)、(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー11及びエアロゲルブロック11を得た。また、エアロゲルパウダー11を用いた以外は実施例9と同様にして、樹脂組成物11及び成形体11を得た。
(実施例12)
PL−2Lを100.0質量部、ST−OZL−35を50.0質量部、水を50.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部、DMDMSを20.0質量部及びポリシロキサン化合物Aを20.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル12を得た。得られたゾル12を60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル12を得た。
湿潤ゲル12を用いた以外は実施例1と同様にして、上記一般式(3)、(4)及び(5)で表される構造を有するエアロゲルパウダー12及びエアロゲルブロック12を得た。また、エアロゲルパウダー12を用いた以外は実施例9と同様にして、樹脂組成物12及び成形体12を得た。
(比較例1)
エアロゲルパウダー1を混合しなかった以外は、実施例1の樹脂組成物の作製方法と同様にして、樹脂組成物1C及び成形体1Cを得た。
(比較例2)
水を200.0質量部、酢酸を0.10質量部、CTABを20.0質量部及び尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを100.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル2Cを得た。得られたゾル2Cを60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル2Cを得た。
湿潤ゲル2Cを用いた以外は実施例1と同様にして、エアロゲルパウダー2C及びエアロゲルブロック2Cを得た。また、エアロゲルパウダー2Cを用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物2C及び成形体2Cを得た。
(比較例3)
湿潤ゲル2Cをメタノール2500.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら3回行った。次に、洗浄した湿潤ゲル3Cを、2−プロパノール2500.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて溶媒置換を行った。この溶媒置換操作を、新しい2−プロパノールに交換しながら3回行った。次に、溶媒置換した湿潤ゲル3Cの超臨界乾燥を行った。オートクレーブ内を2−プロパノールで満たし、溶媒置換した湿潤ゲルを入れた。そして、オートクレーブ内に液化炭酸ガスを送り、オートクレーブ内を分散媒である2−プロパノール及び二酸化炭素の混合物で満たした。その後、オートクレーブ内の環境が80℃、14MPaとなるように加熱及び加圧して、超臨界状態の二酸化炭素をオートクレーブ内に十分に流通させた後、減圧し、ゲルに含まれる2−プロパノールと二酸化炭素を除去した。このようにして、エアロゲルブロック3Cを得た。
実施例1と同様にして作製した粒子状の湿潤ゲル2Cに対しても、上記と同様にして超臨界乾燥を行い、エアロゲルパウダー3Cを得た。また、エアロゲルパウダー3Cを用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物3C及び成形体3Cを得た。
(比較例4)
水を200.0質量部、酸触媒として酢酸を0.10質量部、カチオン系界面活性剤としてCTABを20.0質量部及び熱加水分解性化合物として尿素を120.0質量部混合し、これにMTMSを60.0質量部及びDMDMSを40.0質量部加え、25℃で2時間反応させてゾル4Cを得た。得られたゾル4Cを60℃でゲル化した後、80℃で24時間熟成して湿潤ゲル4Cを得た。
湿潤ゲル4Cを用いた以外は実施例1と同様にしてエアロゲルパウダー4C及びエアロゲルブロック4Cを得た。また、エアロゲルパウダー4Cを用いた以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物4C及び成形体4Cを得た。
(比較例5)
エアロゲルパウダーを混合しなかった以外は、実施例5の樹脂組成物の作製方法と同様にして、樹脂組成物5C及び成形体5Cを得た。
(比較例6)
エアロゲルパウダーを混合しなかった以外は、実施例9の樹脂組成物の作製方法と同様にして、樹脂組成物6C及び成形体6Cを得た。
各実施例で用いたシリカ粒子含有原料の態様を表1に示す。また、各実施例及び比較例における、Si原料(ケイ素化合物及びポリシロキサン化合物)の種類及び添加量、並びにシリカ粒子含有原料の添加量を表2にまとめて示す。
[各種評価]
各実施例及び各比較例で得られた湿潤ゲル、エアロゲルパウダー、エアロゲルブロック及び成形体について、以下の条件に従って測定又は評価をした。結果を表3に示す。
(1)ゲル化時間の測定
各実施例及び比較例で得られたゾル30mLを、100mLのPP製密閉容器に移し、測定サンプルとした。次に、60℃に設定した定温乾燥機「DVS402」(ヤマト科学株式会社製、製品名)を用い、測定サンプルを投入してからゲル化するまでの時間を計測した。
(2)メタノール置換ゲルの常圧乾燥におけるエアロゲルブロックの状態
各実施例及び比較例で得られた湿潤ゲル30.0質量部を、メタノール150.0質量部に浸漬し、60℃で12時間かけて洗浄を行った。この洗浄操作を、新しいメタノールに交換しながら3回行った。次に、洗浄された湿潤ゲルを、刃角約20〜25度の刃を用いて、100×100×100mmのサイズに加工し、乾燥前サンプルとした。得られた乾燥前サンプルを安全扉付き恒温器「SPH(H)−202」(エスペック株式会社製、製品名)を用い、60℃で2時間、100℃で3時間乾燥し、その後さらに150℃で2時間乾燥することで乾燥後サンプルを得た(特に溶媒蒸発速度等は制御していない)。ここで、サンプルの乾燥前後の体積収縮率SVを次式より求めた。そして、体積収縮率SVが5%以下であるときを「収縮なし」と評価し、5%以上であるときを「収縮」と評価した。
SV=(V−V)/V×100
式中、Vは乾燥前サンプルの体積を示し、Vは乾燥後サンプルの体積を示す。
(3)平均粒子径D50の測定
エタノールに、エアロゲルパウダーを濃度0.5質量%となるように添加し、50Wの超音波ホモジナイザーで20分振動した。その後、分散液10mLをMicrotrac MT3000(日機装株式会社製、製品名)に注入し、25℃で、屈折率1.3、吸収0として粒子径を測定した。そして、この粒子径分布における積算値50%(体積基準)での粒径を平均粒子径D50とした。
(4)熱伝導率の測定
150×150×100mmのサイズにカットしたエアロゲルブロックを、面の平行を確保するために、必要に応じて#1500以上の紙やすりで整形した。整形したエアロゲルブロックを、定温乾燥機「DVS402」(ヤマト科学株式会社製、製品名)を用いて、大気圧下、100℃で30分間乾燥した後、デシケータ中に移し、25℃まで冷却して、熱伝導率測定用の測定サンプルを得た。また、300×300×100mmのサイズに成形した成形体に対して、エアロゲルブロックと同様の処理を行い、成形体の熱伝導率測定用の測定サンプルを得た。
熱伝導率の測定は、定常法熱伝導率測定装置「HFM436Lambda」(NETZSCH社製、製品名)を用いて行った。測定条件は、大気圧下、平均温度25℃とした。測定サンプルを0.3MPaの荷重にて上部及び下部ヒーター間に挟み、温度差ΔTを20℃とし、ガードヒーターによって一次元の熱流になるように調整しながら、測定サンプルの上面温度、下面温度等を測定した。そして、測定サンプルの熱抵抗Rを次式より求めた。
=N((T−T)/Q)−R
式中、Tは測定サンプル上面温度を示し、Tは測定サンプル下面温度を示し、Rは上下界面の接触熱抵抗を示し、Qは熱流束計出力を示す。なお、Nは比例係数であり、較正試料を用いて予め求めておいた。
得られた熱抵抗R及び測定サンプルの厚さdより、測定サンプルの熱伝導率λを次式より求めた。
λ=d/R
(5)圧縮弾性率の測定
刃角約20〜25度の刃を用いて、エアロゲルブロックを7.0mm角の立方体(サイコロ状)に加工し、測定サンプルとした。次に、面の平行を確保するために、必要に応じて#1500以上の紙やすりで測定サンプルを整形した。得られた測定サンプルを、測定前に、定温乾燥機「DVS402」(ヤマト科学株式会社製、製品名)を用いて、大気圧下、100℃で30分間乾燥した。次いで測定サンプルをデシケータ中に移し、25℃まで冷却した。これにより、圧縮弾性率測定用の測定サンプルを得た。
測定装置としては、小型卓上試験機「EZTest」(株式会社島津製作所製、製品名)を用いた。なお、ロードセルとしては500Nを使用した。また、ステンレス製の上圧盤(φ20mm)及び下圧盤(φ118mm)を圧縮測定用冶具として用いた。平行に配置した上圧盤及び下圧盤の間に測定サンプルをセットし、1mm/minの速度で圧縮を行った。測定温度は25℃とし、測定は、500N超の負荷をかけた時点又は測定サンプルが破壊した時点で終了とした。ここで、ひずみεは次式より求めた。
ε=Δd/d1
式中、Δdは負荷による測定サンプルの厚みの変位(mm)を示し、d1は負荷をかける前の測定サンプルの厚み(mm)を示す。
また、圧縮応力σ(MPa)は、次式より求めた。
σ=F/A
式中、Fは圧縮力(N)を示し、Aは負荷をかける前の測定サンプルの断面積(mm)を示す。
圧縮弾性率E(MPa)は、0.1〜0.2Nの圧縮力範囲において、次式より求めた。
E=(σ−σ)/(ε−ε
式中、σは圧縮力が0.1Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、σは圧縮力が0.2Nにおいて測定される圧縮応力(MPa)を示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示し、εは圧縮応力σにおいて測定される圧縮ひずみを示す。
(6)密度及び気孔率の測定
エアロゲルブロックの密度及び気孔率は、DIN66133に準じて水銀圧入法により測定した。なお、測定温度を室温(25℃)とし、測定装置としては、オートポアIV9520(株式会社島津製作所製、製品名)を用いた。
成形体の密度は、JIS K7112に記載の方法に準じてアルキメデス法により測定した。測定装置としては、電子比重計SD−200L(アルファーミラージュ株式会社製、製品名)を用いた。
表3から、実施例の樹脂組成物から作製された成形体は、エアロゲルパウダーを含まない比較例1、比較例5及び比較例6の成形体よりも密度が低下しており、熱伝導率も低減していた。一方、本発明に係るエアロゲルパウダーを含まない比較例2〜4の樹脂組成物から形成された成形体は、密度が低下せず、熱伝導率も低減しなかった。よって、実施例の樹脂組成物から作製された成形体は、エアロゲル細孔への樹脂の浸透が抑制され、良好な断熱特性を発現することが確認できる。
1…エアロゲル粒子、2…シリカ粒子、3…細孔、10…エアロゲル複合体、L…外接長方形。

Claims (12)

  1. エアロゲル成分及びシリカ粒子を有するエアロゲルパウダーと、樹脂とを含む、樹脂組成物。
  2. 前記エアロゲルパウダーが、前記エアロゲル成分及び前記シリカ粒子より形成された三次元網目骨格と、細孔とを有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記エアロゲルパウダーが、シリカ粒子と、加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するケイ素化合物、及び、前記加水分解性の官能基を有するケイ素化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種と、を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記シリカ粒子の平均一次粒子径が1〜500nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記シリカ粒子が非晶質シリカ粒子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記非晶質シリカ粒子が溶融シリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子及びコロイダルシリカ粒子からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 加水分解性の官能基又は縮合性の官能基を有するポリシロキサン化合物、及び、前記加水分解性の官能基を有するポリシロキサン化合物の加水分解生成物からなる群より選択される少なくとも一種を含有するゾルの縮合物である湿潤ゲルの乾燥物であるエアロゲルパウダーと、樹脂とを含む、樹脂組成物。
  8. 前記エアロゲルパウダーが、一般式(1)で表される構造を有する、請求項7に記載の樹脂組成物。

    [式(1)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、R及びRはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。]
  9. エアロゲルパウダーが、支柱部及び橋かけ部を備えるラダー型構造を有し、前記橋かけ部が下記一般式(2)で表される、請求項7又は8に記載の樹脂組成物。

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、bは1〜50の整数を示す。]
  10. 前記エアロゲルパウダーが、下記一般式(3)で表されるラダー型構造を有する、請求項9に記載の樹脂組成物。

    [式(3)中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を示し、a及びcはそれぞれ独立に1〜3000の整数を示し、bは1〜50の整数を示す。]
  11. 前記エアロゲルパウダーの平均粒子径D50が1〜1000μmである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の樹脂組成物から形成された、成形体。
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