JP2018141741A - 香料化合物のレトロネーザルアロマにおける貢献度の評価方法 - Google Patents

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【課題】飲食の過程における香料化合物のレトロネーザルアロマにおける貢献度の評価方法を提供する。【解決手段】飲食品を嚥下後に感じる香料化合物の貢献度を評価する方法であって、閾値濃度の水溶液を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値に対する飲食品を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値の比率を香料化合物の貢献度とする。【選択図】図1

Description

本発明は、飲料或いは食料品などの可食性製品に添加することのできる各種香料化合物のレトロネーザルアロマにおける貢献度の評価方法に関する。
また、本発明は当該評価方法に基づいて位置づけられた貢献度に基づきレトロネーザルアロマの発現が制御された飲食品用香料、並びに、当該飲食品用香料が配合された飲食品に関する。
消費者の飲食品に対する嗜好の多様化により、その多様性に応えるような飲食品の開発が求められている。そのような時代の流れに伴い、飲食品の原料の一つである香料に対しても多様性が求められている。
一般的に、フレーバリストが調合香料を開発する際には、目標の香りに近づけるように容器内で各種香料化合物を混ぜ合わせる。混ぜ合わせた調合香料を匂い紙につけ、前鼻孔を経て鼻腔に抜ける香気(オルソネーザルアロマ)を確認する。さらに調合した香料を水や最終商品に近い飲食品に添加して、飲食の過程において飲食物から放出される香気が後鼻孔を経て鼻腔に抜ける際に知覚される香気(レトロネーザルアロマ)を確認する。この際、口腔内における香料化合物の反応による変化等によって、オルソネーザルアロマとレトロネーザルアロマに差異が生じるので、混ぜ合わせる量の微調整を行う。この作業を繰り返し、飲食品を消費者が喫食した際に目標とする香りが発揮される調合香料を開発する。
このように調合香料の各香料化合物が、飲食時にどの程度感覚に貢献しているかを評価し、嗜好性の高い調合香料を開発することが香料業界において重要な課題となっている。しかしながら、この貢献度の評価方法は、熟練したフレーバリストの感性に頼らざるを得なく、また、香料化合物ごとに貢献度を数値化する事は困難である。
これまでも調合香料の各香料化合物がどの程度感覚に貢献しているかをオルソネーザルアロマから評価し、嗜好性の高い調合香料の開発が行われている。
例えば、各香料化合物が飲食品の香りにどの程度寄与しているのかを推定する概念として、Odor Activity Value(OAV)と呼ばれる飲食品中の香料化合物の濃度を閾値で除した値を用いることもある(非特許文献1参照)。しかし、従来のOAVの求め方では、経時変化する飲食時の各香料化合物の貢献度を評価することはできない。
また、ガスクロマトグラフィーを用いた貢献度の評価方法として、分析対象物中の匂い物質の定性分析を行うとともに、Aroma Extract Dilution Analysis(AEDA)により各匂い物質のFlavor Dilution Factor(FDファクター:Fn)を算出し、これらを各匂い物質の固有閾値(Tn)で乗じてFD値(Fn×Tn)を求めて、各匂い成分の量を算出することを特徴とする香気成分分析方法(特許文献1参照)も知られてはいるが、このFDファクターは飲食時の各香料化合物の貢献度を評価することはできない。
また、飲食時のレトロネーザルアロマに関して、飲食開始時の香気拡散性が良い香料を初発性香料と位置付け、適度な持続性を発現する香料を持続性香料と位置付け、それらを評価する方法(特許文献2参照)も開示されてはいるが、この評価方法では飲食時の各香料化合物の貢献度を評価することはできない。
また、機器計測によってレトロネーザルアロマを検出する手法は幾つもあるが、どの機器にも検出限界は存在し、飲食品に含まれている香料化合物の全てを検出することは出来ないため、飲食時の計測において検出限界以下となり実測値を得られない香料化合物は、レトロネーザルアロマの貢献度を評価することが難しい。
特開 2004−325116号公報 特開 2009−31138号公報
Lebensm.−Wiss.u.−Technol.(1993),26,347−356
本発明の課題は、従来の問題点を解消し、飲食の過程における香料化合物の貢献度を評価する方法を提供し、かつ当該方法により評価された貢献度を考慮することでレトロネーザルアロマの発現が制御された飲食品用調合香料および当該飲食品用調合香料を配合した飲食品を提供することにある。
本発明者らは、飲食中のレトロネーザルアロマの濃度積算値(C)を算出し、飲食時において閾値となる時のレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を推算し、それらを用いて貢献度を示す値(C/C)を求める検討を行った。
飲食品から漂う香りと飲食中に知覚する香りは感覚的な印象が異なる場合もある。従って、飲食中に口から鼻に抜ける香料化合物を計測すれば実際に飲食する時の感覚に関連性の高い分析が可能となる。
具体的には、PTR−MS(Proton Transfer Reaction - Mass Spectrometry:プロトン移動反応質量分析計)を用いることで、飲食中に鼻から排出されるレトロネーザルアロマの各香料化合物の濃度を経時的かつ連続的に得ることができた。
レトロネーザルアロマを機器計測(具体的にはPTR−MS)で検出し、得られる各香料化合物の濃度変化を解析する際、呼吸サイクルのピークトップ濃度を用いることもできるが、再現性のある結果が得られ、被験者間のバラつきが抑制される、呼吸ごとの曲線下面積値(濃度積算値)を用いた。
飲食品を一定量飲み込んだ後、レトロネーザルアロマの濃度積算値は経時的に減少し、時間または呼吸数に対する濃度積算値の減衰は累乗関数で近似することができる。累乗関数(C=a*t-b)の係数のうち、tは呼吸数、aは初期量(1呼吸目の濃度積算値)、bは減衰係数であり、香料化合物の添加量と初期量はほぼ比例関係にあり、減衰係数は添加量にほぼ依存しない。その関係性を利用することによって、機器計測(具体的にはPTR−MS)で検出限界となってしまう添加量であっても飲食時のレトロネーザルアロマの濃度積算値を推算することが可能となった。
飲食品を一定量飲み込んだ時、検知できる添加量(閾値濃度)を評価し、上記の関係性を応用することで、閾値の試料を飲み込んだ時に鼻孔から排出されるレトロネーザルアロマの濃度積算値を計算することができる。また、飲み込んだ直後に放出される濃度(1呼吸目の濃度)が最大であるため、その1呼吸目の濃度積算値を飲食時におけるレトロネーザル閾値濃度積算値とした。
発明者らは、上記知見に基づき、以下のとおり本発明を完成するに至った。
[1]
飲食品を嚥下後に感じる香料化合物の貢献度を評価する方法であって、
1)閾値濃度の水溶液を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値
に対する
2)飲食品を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値
の比率を香料化合物の貢献度とすることを特徴とする評価方法。
[2]
[1]記載の香料化合物の濃度又は香気濃度積算値がリアルタイム分析装置によって計測される結果に基づいたものである[1]記載の評価方法。
[3]
[1]記載の2)が、呼吸ごとの減衰を近似した累乗関数によって推算された、各呼吸数における香気濃度積算値である[1]乃至[2]記載の評価方法。
[4]
[1]記載の1)が、1呼吸目の濃度又は香気濃度積算値であることを特徴とする[1]乃至[3]記載の評価方法。
[5]
[1]乃至[4]記載の方法により貢献度を評価し、香りバランスを評価する方法。
[6]
[1]乃至[5]記載の方法により評価された貢献度又は香りバランスに基づき、調製を行った調合香料組成物。
[7]
[6]記載の調合香料組成物を添加した飲食品。
すなわち、本発明は、香気を発する香料化合物を含有する飲食品の飲食中に口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物をリアルタイム分析装置によって計測し、呼吸ごとに香料化合物の濃度積算値を算出し、累乗関数によって近似することで、経時的に変化するレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)を呼吸ごとに推測することができ、また、閾値濃度の時に1呼吸目に排出されるレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を推算したとき、C/Cが各香料化合物の貢献度を示し、呼吸サイクルにおける感覚的な貢献度を呼吸数ごとに求めることができ、香りバランスを評価することを特徴とする飲食品用香料化合物のレトロネーザルアロマ貢献度の評価方法である。
本発明の評価方法によれば、各種香料化合物の鼻腔内での貢献度をこれまでのようにフレーバリストの経験に頼ることなく、客観的に評価することができる。また、飲食後に経時的に変化する貢献度の評価を行うことができる。さらには、当該評価方法に基づき算出される貢献度を利用することによって、飲食後に感じる香りのバランスを予測することができるため、調合香料組成物を開発する前に目的に応じた香気強度の調整を検討する事ができ、調合香料組成物を効率的に開発することができる。
図1は、実施例3においてコーヒー用基本調合香料組成物(参考品3)を0.1%賦香した水に関して、各香調に対し嚥下直後に官能評価及び貢献度の評価を行った時の、官能評価の平均値と貢献度を対数化処理した値(香りバランス予測)との関係性を示す散布図である。 図2は、実施例3においてコーヒー用基本調合香料組成物(参考品3)を0.1%賦香した水に関して、各香調に対し嚥下後30秒後に官能評価及び貢献度の評価を行った時の、官能評価の平均値と貢献度を対数化処理した値(香りバランス予測)との関係性を示す散布図である。
本発明における飲食品のうち、飲料としては、特に限定されないが、緑茶、抹茶または紅茶などの茶飲料、コーヒー、ココア、炭酸飲料、果汁飲料、スポーツドリンクおよびフレーバーウォーター(ニアウォーター)などの清涼飲料水、ジン、ウォッカ、ウィスキー、ワイン、チューハイ、サワー、焼酎および日本酒などのアルコール飲料、ビール、発泡酒、低アルコールビールおよびノンアルコールビールなどのビール類といった飲料類が挙げられる。
特に香料を添加することができる飲料が好ましく、具体的にはコーヒー、果汁飲料、スポーツドリンク、フレーバーウォーター、サワー、チューハイ、ビール類などが好ましく、特にコーヒーが好ましい。
また食品としてはアイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓;和・洋菓子類、ジャム類、キャンディー類、ゼリー類、ガム類、パン類、カレー、シチュー、和風スープ、洋風スープ及び中華スープの如きスープ類、風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類、介護食品類などが挙げられる。好ましくは冷菓、スープ類及びゼリー類が挙げられる。
本発明における香料化合物は、特に限定されるものではないが、飲食品の原料となる動植物が含むもの、食品添加物として添加することができる香料であればよい。例えば、特許庁公報周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料(日本国特許庁)、天然香料基原物質集(日本香料工業会)および合成香料(化学工業日報社)に記載の香料などが挙げられる。
貢献度と香調を関連付けることで、飲食品を嚥下後に一斉に感じる様々な香りを各々の香調に分割して評価することができ、香りのバランスを予測することもできる。そのバランスは特に喉越し感、後味感を評価する際や、マスキング効果を評価する際にも利用できる。また、グラフ等を用いてそのバランスを視覚化することもできる。
以下、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
本発明において閾値濃度とは、単一の香料化合物を水に賦香した飲料水を多段階の濃度で調製し、賦香した飲料水を飲み込んだとき、認識できた下限濃度を示す。
また本発明において、レトロネーザル閾値濃度積算値(C)とは、閾値濃度の香料化合物を含有する飲料を嚥下後1呼吸目に、口から鼻に抜けて鼻より排出していると推定される濃度積算値を示す。
本発明において嚥下後とは、1呼吸目以降の任意の呼吸数であればよい。
本発明において累乗関数を得るには、連続して1〜100呼吸目の間を測定するのが好ましく、1〜20呼吸目の間を測定するのがさらに好ましく、1〜10呼吸目までの間を測定するのが最も好ましい。
複数の香料化合物を適量添加した飲食品を嚥下し、PTR−MSを用いて鼻孔から放出される各香料化合物をリアルタイムに計測し、各香料化合物の呼吸ごとのレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)を算出する。そして、呼吸(t)ごとに変化するレトロネーザルアロマ濃度積算値の減衰を累乗関数(C=a*t-b)によって近似し、初期量(a)(1呼吸目の濃度積算値)と減衰係数(b)を得る。同測定を複数回行い、初期量(a)と減衰係数(b)を測定回数で平均化する。
香料化合物の添加量と初期量はほぼ比例関係にあるため、添加量に応じて初期量(a)を計算する。減衰係数(b)は添加量にほぼ依存しないため上記で得られた値をそのまま用いる。このようにして、添加量に応じた累乗関数式を得て、各香料化合物の呼吸ごとのレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)を算出することができる。
香料化合物の閾値濃度の初期量は上述した関係から推算し、その初期量をレトロネーザル閾値濃度積算値(C)とする。
2種のレトロネーザルアロマ濃度積算値の比(C/C)によって、各香料化合物の任意の呼吸数における貢献度を示すことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
飲食品の嚥下後に鼻孔から排出された呼気を、揮発性有機化合物を検出することができるプロトン移動反応質量分析計PTR‐MS(IONICON Analytik)に導入し、指定したイオンの絶対濃度を得た。反応チャンバ及び導入部に対するPTR−MSパラメータを表1に示す。
Figure 2018141741
[実施例1]
コーヒーに含有される香料化合物で構成されたモデル配合処方に基づきコーヒー用基本調合香料組成物(参考品1)を調合した。参考品1の配合処方を表2に示す。
Figure 2018141741
参考品1を水に0.1%添加し、試料とした。この試料を5℃に冷却し、試料を10ml飲んだ後の鼻孔から放出される香料化合物をPTR−MSによって測定した。測定時間は喫飲後およそ1分間とした。
計測結果として得られた連続的に変化する濃度を呼吸ごとの濃度積算値として解析し、その値を累乗関数(C=a*t-b)で近似した。同測定を複数回行い、係数(a,b)を測定回数で平均化した。参考品1の構成香料化合物に関する、呼吸数(t)に対するレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)の関係を導く累乗関数の係数(a,b)を表3に示す。
Figure 2018141741
参考品1を構成する各香料化合物7成分のそれぞれを水に添加し、試料とした。添加濃度を1%から10倍刻みに希釈し多段階調製した。検知できない低濃度の試料から順に評価を行い、10ml飲み込んだときに検知できた添加濃度を閾値濃度とした。その閾値濃度となる添加量の時に鼻孔から放出されていると考えられる初期量、つまりレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を算出した。参考品1の構成香料化合物の閾値濃度とレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を表4に示す。
Figure 2018141741
参考品1に関して、表3に示した関数から1呼吸目と10呼吸目のレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)を算出し、レトロネーザル閾値濃度積算値(C)で除することで得られる貢献度の値を表5に示す。
Figure 2018141741
貢献度が1.0より大きい、つまりC/C>1.0となる場合、閾値以上の濃度が鼻孔から放出されていることを示し、人がその香料化合物を知覚することができていると考えられ、その数値が大きい程より貢献度が高いと位置づけられる。貢献度が1.0より小さい、つまりC/C<1.0となる場合、閾値未満の濃度が鼻孔から放出されていることを示し、人がその香料化合物を知覚できていないと位置づけられる。この貢献度は香料組成物の処方中の配合量と飲料への添加濃度を調整する事で変更することができる。
[実施例2]
グレープに含有される香料化合物で構成されたモデル配合処方に基づきグレープ用基本調合香料組成物(参考品2)を調合した。参考品2の配合処方を表6に示す。
Figure 2018141741
グラニュー糖15g、果糖ぶどう糖液糖8g、ゼラチン2g、クエン酸0.25gを含む水溶液100mlを80℃に加熱し、参考品2をそのゼリー生地に0.2%添加し、冷却して試料のゼリーとした。この試料を5℃に冷却し、試料10gを咀嚼し飲みこんだ後の鼻孔から放出される香料化合物をPTR−MSによって測定した。測定時間は喫食後およそ1分間とした。
計測結果として得られた連続的に変化する濃度を呼吸ごとの濃度積算値として解析し、その値を累乗関数(C=a*t-b)で近似した。同測定を複数回行い、係数(a,b)を測定回数で平均化した。参考品2の構成香料化合物に関する、呼吸数(t)に対するレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)の関係を導く累乗関数の係数(a,b)を表7に示す。
Figure 2018141741
参考品2を構成する各香料化合物5成分のそれぞれを水に添加し、試料とした。添加濃度を1%から10倍刻みに希釈し多段階調製した。検知できない低濃度の試料から順に評価を行い、10ml飲み込んだときに検知できた添加濃度を閾値濃度とした。その閾値濃度となる添加量の時に鼻孔から放出されていると考えられる初期量、つまりレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を算出した。参考品2の構成香料化合物の閾値濃度とレトロネーザル閾値濃度積算値(C)を表8に示す。
Figure 2018141741
参考品2に関して、表7に示した関数から1呼吸目と10呼吸目のレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)を算出し、レトロネーザル閾値濃度積算値(C)で除することで得られる貢献度の値を表9に示す。
Figure 2018141741
[実施例3]
レトロネーザル香気貢献度の有効性を検証するために以下の試験を行った。
コーヒーに含有される香料化合物で構成されたモデル配合処方に基づきコーヒー用基本調合香料組成物(参考品3)を調合した。参考品3の配合処方及び代表的な香調表現を表10に示す。
Figure 2018141741
参考品3を構成する各香料化合物中の香気貢献度の高い11成分については、その香りの質を表す代表的な香調表現を併記した。尚、上記11成分以外の香料化合物をフレーバーベースAとしてまとめて示した。
[参考例1]
(経時的な香りバランス予測)
コーヒー用基本調合香料組成物を調整し、その香料を0.1%賦香した水を飲んだ後に被験者が感じると推測される1呼吸目及び10呼吸目の香りバランスの予測を行った。ここで1呼吸目は嚥下直後にあたり、10呼吸目は嚥下してから約30秒後を想定している。賦香した水を飲んだ時に鼻から出てくると予測される1呼吸目及び10呼吸目のレトロネーザルアロマ濃度積算値(C)は、各香料化合物の添加量と累乗関数より導き出した。更に各香料化合物のレトロネーザル閾値濃度積算値(C)より、レトロネーザル香気貢献度(C/C)を算出した。各香料化合物のレトロネーザル香気貢献度の値と香調ごとに数値を合算した値を表11に示す。
Figure 2018141741
(官能評価)
上記の予測結果と感覚との関係性を明らかにするために官能評価を行った。
上記コーヒー用基本調合香料組成物(参考品3)を0.1%配合した水を飲んだ後の香気について、7名の熟練したパネリストが官能評価を行った。評価項目は、発酵様、バター様、ナッツ様、ロースト、生豆様、黒糖様、スモーキーの7項目で、各項目の強度を7段階で評価した。その評価基準を以下に示す。

評価基準
点数
6点:とても強く感じる
5点:強く感じる
4点:やや強く感じる
3点:やや弱く感じる
2点:弱く感じる
1点:とても弱く感じる
0点:全く感じない

評価するタイミングは、嚥下直後及び30秒後とし、用意された評価用紙に0〜6点で記入する方式をとった。評価者7名の単純平均値を表12に示した。
Figure 2018141741
(香りバランス予測と官能評価の比較)
表11に示した各香調のレトロネーザル香気貢献度の値は数値の幅が大きい為、対数化処理を行った値を用いた。得られた香調ごとの貢献度予測と官能評価の結果を比較したところ、嚥下直後の関係性を示す散布図(図1)において、高い相関が見られた。また30秒後の関係性を示す散布図(図2)においても、相関が見られた。この事から、本評価方法によって得られたレトロネーザルアロマにおける貢献度が香りバランスを予測する方法として有用である事が示された。

Claims (7)

  1. 飲食品を嚥下後に感じる香料化合物の貢献度を評価する方法であって、
    1)閾値濃度の水溶液を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値
    に対する
    2)飲食品を嚥下後の口から鼻に抜けて鼻より排出される香料化合物の濃度又は香気濃度積算値
    の比率を、香料化合物の貢献度とすることを特徴とする評価方法。
  2. 請求項1記載の香料化合物の濃度又は香気濃度積算値がリアルタイム分析装置によって計測される結果に基づいたものである請求項1記載の評価方法。
  3. 請求項1記載の2)が、呼吸ごとの減衰を近似した累乗関数によって推算された、各呼吸数における香気濃度積算値である請求項1乃至2記載の評価方法。
  4. 請求項1記載の1)が、1呼吸目の濃度又は香気濃度積算値であることを特徴とする請求項1乃至3記載の評価方法。
  5. 請求項1乃至4記載の方法により貢献度を評価し、香りバランスを評価する方法。
  6. 請求項1乃至5記載の方法により評価された貢献度又は香りバランスに基づき、調製を行った調合香料組成物。
  7. 請求項6記載の調合香料組成物を添加した飲食品。
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