JP2018141738A - 電気化学計測型マイクロアレイおよびマイクロアレイセット、ならびに電気化学計測型マイクロアレイの製造方法 - Google Patents

電気化学計測型マイクロアレイおよびマイクロアレイセット、ならびに電気化学計測型マイクロアレイの製造方法 Download PDF

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秀和 内田
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Abstract

【課題】多数の微量サンプルの全部または一部を同時に、あるいはこのようなサンプルを個別に高い自由度でかつ高速に処理し、サンプル内で起こる分子反応を可視化することが可能なマイクロアレイを提供する。
【解決手段】電気化学センサ20と、その上に接合されてなる導電性ウェルアレイプレート10とを備え、導電性ウェルアレイプレート10はウェル11に対応する複数の貫通孔12を備えると共にウェル11の内側と外側との間に電流が流れる構造を有し、電気化学センサ20は半導体層を備え、導電性ウェルアレイプレート10がウェル11の底部として機能する半導体層の一構成層23と絶縁するように絶縁性接着層30を介在して電気化学センサ20と接合して成る電気化学計測型マイクロアレイ1及びマイクロアレイセット、ならびに電気化学計測型マイクロアレイの製造方法に関する。
【選択図】図2

Description

本発明は、多数のサンプルを電気化学計測するための電気化学計測型マイクロアレイ、および電気化学計測型マイクロアレイと蛍光測定型マイクロアレイとを組み合わせて使用可能なマイクロアレイセット、ならびに電気化学計測型マイクロアレイの製造方法に関する。
従来から、創薬プロセスの初期スクリーニングを代表する手法として、マイクロプレートを用いた多数サンプルの同時蛍光測定が知られている。一方、分子機能を多点測定で並列分析可能な手法として、集光した光スポットによる励起電流から半導体の表面電位を読み取る技術(SPV法)を応用した化学センサが知られている。この化学センサは、Light Addressable Potentiometoric Sensor(LAPS)として知られている。また、光導電性有機膜を光活性層として採用することによって、検出対象が電荷密度の変化を伴わない系についても分析可能な電気化学センサも知られている(特許文献1を参照)。
一方、膨大な数の微量サンプルを取り扱う機器として、マイクロプレートやマイクロアレイが広く知られている。さらに、微量分析および多段階反応の検知に優位なMEMS(Micro−electromechanical systems)/μTAS(Micro Total Analysis Systems)デバイスも知られている。
特開2008−241335号公報
しかし、マイクロプレートを用いた多数サンプルの同時蛍光測定の場合には、分子機能を評価するには特殊な蛍光標識分子の設計が必要となる。また、LAPSは、pH測定をはじめとする電位計測によるセンサであるため、分析対象分子によっては適用困難である。マイクロプレートは、多段階反応に対して優位であるが、微量分析および並列分析については未だ課題を有する。マイクロアレイは、逆に、微量分析および並列分析については優位であるが、個別反応および多段階反応については未だ課題を有する。さらに、MEMSは、汎用性に乏しく、且つ構造が複雑であるという課題を有する。
本発明者らの知る限りにおいて、創薬プロセスのスクリーニング技術の分野において、膨大な数の微量サンプルを同時にあるいは個別に高い自由度でかつ高速に処理し、サンプル内で起こる分子反応を可視化することが可能な分析器の実現には未だ至っていないのが現状である。
本発明は、上記課題に鑑みて、多数の微量サンプルの全部または一部を同時に、あるいはこのようなサンプルを個別に高い自由度でかつ高速に処理し、サンプル内で起こる分子反応を可視化することが可能なマイクロアレイおよびマイクロアレイセットを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイは、電流計測型の電気化学センサと、その電気化学センサ上に接合されてなる導電性ウェルアレイプレートとを備え、導電性ウェルアレイプレートは、液状の分析対象物を個別に入れるウェルに対応する複数の貫通孔を備えると共に、ウェルの内側と外側との間に電流が流れる構造を有し、電気化学センサは、pn接合型半導体またはショットキー接合型半導体のいずれかの半導体層を備え、導電性ウェルアレイプレートは、導電性ウェルアレイプレートと対向する側に位置する層であってウェルの底部として機能する半導体層の一構成層と絶縁するように、絶縁性接着層を介在して電気化学センサと接合して成る。
(2)別の実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイにおいて、さらに、導電性ウェルアレイプレートは導電性フィラーを分散して成るプレートであっても良い。
(3)別の実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイにおいて、また、導電性ウェルアレイプレートは、ウェルの長さ方向のいずれかの位置に、ウェルの内側と外側との間を導通可能な導電層を備えても良い。
(4)別の実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイにおいて、また、半導体層は、pn接合型半導体の層であって、一構成層はpn接合型半導体のn型半導体の層若しくはp型半導体の層であっても良い。
(5)別の実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイにおいて、また、半導体層は、ショットキー接合型半導体の層であって、ショットキー接合型半導体は、無機半導体と、その無機半導体上に積層されてなる島状の金属層とを有し、一構成層は、島状の金属層であっても良い。
(6)本発明の一実施形態は、上述のいずれか1つの電気化学計測型マイクロアレイと、電気化学計測型マイクロアレイの各ウェルと共通する位置にそれぞれウェルを備える蛍光測定型マイクロアレイとを組み合わせで使用可能なマイクロアレイセットであって、電気化学計測型マイクロアレイおよび蛍光測定型マイクロアレイの少なくともいずれか一方のマイクロアレイは、互いの各ウェルの開口面を向かい合わせる部位を少なくともゴム状弾性体とするマイクロアレイセットである。
(7)本発明の一実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法は、上述のいずれか1つの電気化学計測型マイクロアレイを製造する方法であって、接着剤を基材の片面に塗布する塗布工程と、基材の接着剤の側を導電性ウェルアレイプレートに接触させて、接着剤を導電性ウェルアレイプレート側に転写する転写工程と、導電性ウェルアレイプレートの接着剤の側に、電気化学センサの半導体層の一構成層の側を接着する接着工程と、を含む。
(8)別の実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法において、半導体層はショットキー接合型半導体の層であって、ショットキー接合型半導体は、無機半導体と、その無機半導体上に積層されてなる島状の金属層とを有し、接着工程に先立ち、無機半導体の表面であってウェルの底面の位置に島状の金属層を形成する金属層形成工程と、島状の金属層の周囲に絶縁材を形成する絶縁材形成工程とをさらに実行しても良い。
本発明によれば、多数の微量サンプルの全部または一部を同時に、あるいはこのようなサンプルを個別に高い自由度でかつ高速に処理し、サンプル内で起こる分子反応を可視化することが可能なマイクロアレイおよびマイクロアレイセットを提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの平面図(1A)および当該平面図のA−A線で切ったときのA−A線断面図(1B)をそれぞれ示す。 図2は、図1の電気化学計測型マイクロアレイのウェル内に液状の分析対象物を入れた状態の縦断面図およびその一部Bの拡大模式図をそれぞれ示す。 図3は、第1実施形態の変形例に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図を示す。 図4は、本発明の第2実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(4A)および当該(4A)の電気化学計測型マイクロアレイのウェル内に液状の分析対象物を入れた状態の縦断面図とその一部Bの拡大模式図(4B)をそれぞれ示す。 図5は、第2実施形態の変形例1に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(5A)および変形例2に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(5B)をそれぞれ示す。 図6は、図1の電気化学計測型マイクロアレイと、別のマイクロアレイとを組み合わせたマクロアレイセットの使用を説明するための図を断面視にて示す。 図7は、図1の電気化学計測型マイクロアレイの製造方法のフローを示す。 図8は、図3の電気化学計測型マイクロアレイの電気化学センサの製造方法のフローを示す。 図9は、第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイを含む酸化還元電流測定装置の模式図を示す。 図10は、酸化還元電流の測定方法を示す。 図11は、有機半導体LAAS2を用いたときの二次元測定結果を示す。 図12は、無機半導体LAAS2を用いたときの二次元測定結果を示す。 図13は、無機半導体LAAS1を用いてシート抵抗に対する影響を検証した二次元測定結果を示す。 図14は、各ウェル内の4点の出力電流値を平均して当該ウェルの代表値とした。各ウェルの代表値をコンタクトピンからの距離に対してプロットしたグラフを示す。 図15は、出力電流値の試料溶液濃度依存性の検証結果を示す(15A,15B)。 図16は、複数の酸化還元物質濃度を測り分ける検証結果を示す。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.電気化学計測型マイクロアレイ
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの平面図(1A)および当該平面図のA−A線で切ったときのA−A線断面図(1B)をそれぞれ示す。
第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイ1は、電流計測型の電気化学センサ20と、電気化学センサ20上に接合されてなる導電性ウェルアレイプレート10とを備える。導電性ウェルアレイプレート10は、液状の分析対象物を個別に入れるウェル11に対応する複数の貫通孔12を備える。導電性ウェルアレイプレート10におけるウェル11の長さ方向(導電性ウェルアレイプレート10の厚さ方向ともいう)については、特に制約されないが、例えば、好適には0.8〜5.0mmの範囲、より好適には1.0〜3.0mmの範囲、さらにより好適には1.5〜2.5mmの範囲に設定可能である。導電性ウェルアレイプレート10は、ウェル11の内側と外側との間に電流が流れる構造を有する。かかる構造については、後ほど例示する。この実施形態では、ウェル11は、図の見やすさを優先して、縦5個×横5個の合計25個のみであるが、実際にはもっと多くの個数(例えば、縦32個×横32個の合計960個)とすることができる。ウェル11の直径については、特に制約されないが、例えば、好適には0.2〜1.0mmの範囲、より好適には0.3〜0.8mmの範囲、さらにより好適には0.4〜0.7mmの範囲に設定可能である。
電気化学センサ20は、電流計測型のセンサであり、後述するように、光活性層(光励起層)としてpn接合型半導体またはショットキー接合型半導体を備える。これにより、センサデバイスの薄膜化および高解像度化が実現される。また、光活性層の表面積を増加させることが可能となり、もってセンサデバイスの観測対象を拡げることができる。さらに、センサデバイスの低コスト化も実現できる。この点について、従来のLAPSと対比して説明する。LAPSは、センサ表面の電荷量の増減を光励起電流に置き換えて読み取ることをその基本原理とするものであり、検出対象をセンサ表面に結合させること、および検出対象が固有の電荷を有していることが前提となる。したがって、LAPSにおいては、検出対象を特異的に結合させるための感応膜が必須となるが、例えば、ある種の比較的低分子の生理活性物質について特異性の高い最適な抗体分子を設計するのは困難であった。また、その原理上、検出対象が電荷密度の変化を伴わない系については観測することができないという問題があった。
これに対し、電気化学センサ20は、光活性層としてpn接合型半導体またはショットキー接合型半導体を備えるため、検出対象が電荷密度の変化を伴わない系についても観測可能である。さらに、光を使って対象を検出する測定技術(例えば、冷却CCDカメラ)との対比において、pn接合型半導体またはショットキー接合型半導体は、分子の効き目を光に置き換える必要がなく、電気化学測定による分子機能のモニタリングが可能であるという利点を有する。また、pn接合型半導体またはショットキー接合型半導体は、測定溶液で起こる酵素反応などの酸化還元反応における電子移動を直接計測することが可能となる。
次に、電気化学センサ20の構成を説明する。電気化学センサ20は、pn接合型半導体またはショットキー接合型半導体のいずれかの半導体層を備える。この実施形態では、電気化学センサ20は、ショットキー接合型半導体の層20a(ここでは、単に、「半導体層20a」とする)を備える。ショットキー接合型半導体は、金属と半導体との間で整流作用を示す接合(「ショットキー接合」という)を有する。半導体は、n型半導体であるかp型半導体であるかを問わない。この実施形態における半導体層20aは、無機半導体(この実施形態では、n型Si半導体)22と、無機半導体22上に積層されてなる島状の金属層23(例えば、Auの層)との接合から成る。金属層23は、半導体層20aの一構成層であると同時に、電気化学計測型マイクロアレイ1における各ウェル11の底部である。この実施形態では、金属層23の数およびその形成位置は、ウェル11の数および底部の位置とそれぞれ一致する。
電気化学センサ20は、好ましくは、無機半導体22の下面(金属層23と反対側の面)に、透明導電膜21を備える。透明導電膜21は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などから構成可能である。ITO以外に、ZnO系、SnO系、TiO系などの金属酸化物も透明導電膜21の材料として用いることができる。透明導電膜21は、外部から無機半導体22に光を照射可能にするとともに、外部から配線を接続する電極として機能する。ただし、無機半導体22に別の形態の電極を接続でき、かつ金属層23の直下位置に光を照射可能であれば、透明導電膜21を無機半導体22の下面に形成しなくとも良い。
導電性ウェルアレイプレート10は、導電性ウェルアレイプレート10と対向する側に位置する層であってウェル11の底部として機能する金属層23と絶縁するように、絶縁性接着層30を介在して電気化学センサ20と接合して成る。絶縁性接着層30としては、例えば、シリコーンゴム系の接着剤を硬化して成る。絶縁性接着層30は、金属層23の側面および表側の面の縁を覆っているが、金属層23の表側の面の全面を覆っていない。金属層23と、ウェル11に入れられた液状の分析対象物とを接触可能にする必要からである。絶縁性接着層30は、できるだけ薄い方が好ましく、好適には100μm以下、より好適には50μm以下、さらにより好適には30μm以下の厚さを有する。
導電性ウェルアレイプレート10は、ウェル11の内壁と外壁との間に導電性を付与できれば、どのような材料および構造から成るものでも良い。導電性ウェルアレイプレート10としては、例えば、ステンレススチールあるいはアルミニウム等の導電性に優れた金属材料から構成されるハニカム型のプレート、ガラスエポキシ樹脂のウェルの内壁を含めた表面をAuあるいはPt等の導電性に優れた金属薄膜でコーティングしたハニカム型のプレート、シリコーンゴムに導電性フィラー(例えば、炭素、アルミニウム等の金属であって粒子、ウィスカー、繊維状の形態を有するフィラー)を分散させた導電性ゴム状弾性材料から成るハニカム型プレートを好適に例示できる。ゴム状弾性体としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を例示できるが、特に、シリコーンゴムが好ましい。この実施形態における導電性ウェルアレイプレート10は、シリコーンゴムに粒子状のグラファイトフィラーを分散させた導電性ゴム状弾性材料から成る。
図2は、図1の電気化学計測型マイクロアレイのウェル内に液状の分析対象物を入れた状態の縦断面図およびその一部Bの拡大模式図をそれぞれ示す。
電気化学計測型マイクロアレイ1は、酵素反応などの酸化還元反応における電子移動を直接計測することが可能である。なお、本願において電流計測型の電気化学センサ20をLAAS(Light Addressable Amperometric Sensor)と称することもある。導電性ウェルアレイプレート10および透明導電膜21の双方からそれぞれ配線を延ばして両配線間に電圧を印加すると、ウェル11の内側と金属層23とが分析対象物Dを介してはじめて導通可能な状況にある。導電性ウェルアレイプレート10は、絶縁性接着層30を介して金属層23および無機半導体22と接続されているからである。各ウェル11内に入れられた分析対象物Dの中には、特定の基質42が酵素41の作用によって生成物43へと変化する酵素反応が生じているものもある。その場合、酸化型メディエータ44は、電子を受け取って還元型メディエータ45となり、金属層23へ電子を放出して酸化型メディエータ44となるサイクルを繰り返すことができる。
電気化学計測型マイクロアレイ1のウェル11内に入れた液状の分析対象物Dを分析する際には、レーザー発振機40(励起光照射手段の一例)から各ウェル11の底部位置にレーザー光(励起光の一例)が照射される。レーザー光は、透明導電膜21を透過して、無機半導体22に照射される。無機半導体22と金属層23とはショットキー接合している。この接合界面では、金属層23の仕事関数と無機半導体22の持つフェルミエネルギーとの差が障壁となってショットキー障壁が形成されている。このため、通常は、無機半導体22と金属層23との間には電気が流れない。しかし、レーザー光のエネルギーを受けると、無機半導体22の内部で電子とホールが励起され、ショットキー接合の内蔵電位によりホールは金属層23へ流れ込み、電子は透明導電膜21へ流れ込む。このため、無機半導体22から金属層23に電流が流れる領域48が形成される。なお、電子の流れは電流の流れの逆である。このように、無機半導体22と金属層23とをショットキー接合した半導体層20aは、光導電性薄膜として機能すると共に光起電力を発生させる。
透明導電膜21を作用極(WE)、導電性ウェルアレイプレート10を対極(CE)とするように外部電源を接続し、接合に逆バイアスがかかるよう透明導電膜21側が負極、導電性ウェルアレイプレート10が正極となるバイアス電圧を印加した状態でウェル11ごとにレーザー光を照射すると、特定のウェル11において、電子は、分析対象物Dから金属層23、無機半導体22、透明導電膜21へと流れる。また、電子は、導電性ウェルアレイプレート10からウェル11の内側を通じて分析対象物Dへと流れる。すなわち、分析対象物D中の電子の移動を介して、絶縁性接着層30により電気的に非接続とされた半導体層20aと導電性ウェルアレイプレート10とが電気的に接続される。一方、他のウェル11において酵素反応が生じていない場合には、分析対象物Dが電子伝達媒体として機能しないので、上記のような電子の流れは生じない。このように、電気化学計測型マイクロアレイ1によれば、電気化学センサ20に励起光が照射され、かつ、特定のウェル11内の分析対象物D中においてある種の酸化還元反応が起こった場合には、透明導電膜21、半導体層20a、分析対象物Dおよび導電性ウェルアレイプレート10が電気的に接続される。したがって、電子の流れから電流値という形で酵素反応の有無を調べることができる。なお、印加するバイアス電圧はゼロであっても、接合の内蔵電位により生じる光起電力で電流を生成することが可能であり、より単純な回路で測定が可能である。
半導体層20aは、励起光が照射されない暗状態の部分ではキャリア密度が低く、高抵抗状態となって、スイッチのOFFに相当する状態となる一方で、励起光が照射された部分(領域48)ではキャリア密度が増加し、低抵抗状態となってスイッチのONに相当する状態となる。上述のスイッチング特性を光の照射位置を移動することで制御して、アンペロメトリックによる化学種濃度の2次元測定を行うことが可能となる。励起光照射手段から細く集光した励起光を照射することによって、各ウェル11直下の領域48のみを電子移動の容易なON状態にして、その周囲をOFF状態にできる。このため、励起光の照射位置を移動させてウェル11ごとに測定を行うことができる。しかも、作用極(WE)を透明導電膜21とし、対極(CE)を導電性ウェルアレイプレート10とする電気回路を構築するだけで簡単に分析対象物Dの計測を行うことができる。
この実施形態は、メディエータ型酵素センサと呼ばれるもので、可逆的な酸化還元反応を起こす物質をメディエータとして用いて、酸化酵素により基質42が生成物43に変化する際に生成する電子を酸化型メディエータ44が受け取って還元型メディエータ45となり、半導体層20aへ受け渡すことで検出する手法である。このような手法によって、たとえば、フェロセンをメディエータ、グルコースオキシダーゼを酵素として、基質42であるグルコースの濃度を選択的に測定することが可能となる。また、酵素41及び基質42の濃度を一定とすることで酵素41の活性を測定することも可能である。酵素阻害剤などの混入により酵素41の活性が低下した場合、酵素反応の副生産物として生成される還元型メディエータの量も減少するため、観測される酸化還元電流の低下として測定される。このような手法によって、たとえば、フェリシアン化物イオンをメディエータ、アルコールデヒドロゲナーゼを酵素として、ピラゾールなどの酵素阻害剤の阻害率を測定することが可能となる。メディエータにはフェロセンのほか、フェリシアン化カリウム/フェロシアン化カリウム、ベンゾキノン、ジクロロフェノールインドフェノールなども利用可能であり、これらを介した化学反応の測定が可能である。この実施形態におけるセンサが動作する溶液の最小の構成は、次の2種類の内のいずれかである。1つは還元型メディエータ45と支持塩であり、もう1つは還元型メディエータ45と酸化型メディエータ44である。還元型メディエータ45は作用極23側で、支持塩または酸化型メディエータ44は対極10側で電流を維持するために必要になる。支持塩または酸化型メディエータ44が十分に含まれる状態であることを条件に、回路全体の電流値を決める要件として還元型メディエータ45の濃度xの冪乗に比例した酸化還元電流iが流れる。これを式で表すと、i=a・x(a及びbは定数)となる。
さらに、別の応用としてイオンチャネルの構造をセンサ表面に導入することによって、電気化学活性をまったく持たない検出対象についても検出が可能になる。例えば、半導体層20aの表面に電気化学活性を持たない検出対象の受容体を末端に持つ脂質によって単分子膜を形成したうえで、観測系にたとえばフェロセンなどの酸化還元物質を加えておく。検出対象が存在しないときには脂質の間隙を通って酸化還元物質がセンサ表面へ出入りすることで酸化還元電流が流れる。検出対象が存在する場所では半導体層20a表面の受容体に検出対象が結合し、半導体層20aの表面を塞ぐ形となる。このため、酸化還元物質がブロッキングされて酸化還元電流が流れなくなる。このような構成のもと、光スポットを掃引することによって、検出対象が存在する位置を特定することが可能となる。
上記イオンチャネル構造によって、例えば、半導体層20aの表面の受容体を相補的DNAとして所望のDNAを検出するセンサ、半導体層20aの表面の受容体をグルタミン酸受容体としてグルタミン酸を検出するセンサ、あるいは半導体層20aの受容体をプロタミンとしてヘパリンを検出するセンサ等を実現することができる。電気化学計測型マイクロアレイ1は、これら多種類の相補的DNAや受容体をセンサ表面の導電性ウェルアレイプレート10のウェル11に個別に固定化することができるため、多種類の検出対象を1枚のセンサで測定するシステムの構築が可能となる。
図3は、第1実施形態の変形例に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図を示す。
図3に示す電気化学計測型マイクロアレイ1aは、図1に示す電気化学計測型マイクロアレイ1の島状に分布する複数の金属層23の周囲に、シリカ等の絶縁材24(絶縁層24ともいう)を形成している点で、電気化学計測型マイクロアレイ1と異なる。絶縁性接着層30と無機半導体22との間に、絶縁性接着層30より電気抵抗の高い絶縁材24を形成することにより、絶縁性接着層30の絶縁性が低い場合においても、より確実に、導電性ウェルアレイプレート10と無機半導体22との絶縁性を保持できる。また、絶縁材24は無機半導体22(22a)の表面を保護するパッシベーション膜としても機能する。このような絶縁材24の形成は、第2実施形態でも同様に行うことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する部分については、同じ符号を用いて、適宜、その説明を省略する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(4A)および当該(4A)の電気化学計測型マイクロアレイのウェル内に液状の分析対象物を入れた状態の縦断面図とその一部Bの拡大模式図(4B)をそれぞれ示す。
第2実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイ1bは、pn接合型半導体の層20b(ここでは、単に、「半導体層20b」という)を備えた電気化学センサ20を備える。この実施形態において、電気化学センサ20は、半導体層20bの下面(ウェル11と反対側の面)に、透明導電膜26、ガラス層25をその順に積層して成る。半導体層20bは、透明導電膜26側から、p型半導体層27、n型半導体層28の順に積層されている。p型半導体層27とn型半導体層28とを積層させた半導体層20bは、第1実施形態のショットキー接合を持つ半導体層20aと同様の機能を有する。すなわち、レーザー発振機40(励起光照射手段の一例)から各ウェル11の底部位置にレーザー光(励起光の一例)を照射すると、半導体内部でキャリアが生成してpn接合の内蔵電位により光励起電流が生成するため、p型半導体層27からn型半導体層28に電流が流れる領域48が生じる。このように、p型半導体層27とn型半導体層28とをpn接合した半導体層20bは、光導電性薄膜として機能すると共に光起電力を生成する。なお、ガラス層25は、必ずしも設けなくとも良い。また、p型半導体層27に別の形態の電極を接続でき、かつn型半導体層28の直下位置に光を照射可能であれば、透明導電膜26をp型半導体層27の下面に形成しなくとも良い。
この実施形態では、導電性ウェルアレイプレート10と対向する側に位置する層であってウェル11の底部として機能する半導体層20bの一構成層はn型半導体層28である。ただし、半導体層20bのp型半導体層27とn型半導体層28とを上下逆に積層した場合には、上記一構成層はp型半導体層27となる。ここで、p型半導体およびn型半導体は、ともに有機半導体であっても良く、あるいは無機半導体であっても良い。有機半導体および無機半導体としては、本発明の範囲を逸脱しない範囲において公知のものを用いることができる。p型有機半導体の例としては、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物(PTCDA)などが挙げられ、n型有機半導体の例としては、銅フタロシアニン(CuPc)などが挙げられる。また、p型無機半導体の例としてはp型Siなど、n型無機半導体の例としては、n型Siなどが挙げられる。
図5は、第2実施形態の変形例1に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(5A)および変形例2に係る電気化学計測型マイクロアレイの図1(1B)と同様のA−A線縦断面図(5B)をそれぞれ示す。
図5に示す変形例1に係る電気化学計測型マイクロアレイ1cおよび変形例2に係る電気化学計測型マイクロアレイ1dは、導電性ウェルアレイプレート10c,10dの全体を導電性材料で構成するのではなく、ウェル11の長さ方向の一部に導電層14を備えて、ウェル11の内側から外側へと導通可能に構成している点で、図4に示す電気化学計測型マイクロアレイ1bと異なる。
変形例1に係る電気化学計測型マイクロアレイ1cは、導電性ウェルアレイプレート10cを構成するハニカム本体の上部15と下部13との間に導電層14を備える。導電層14は、ハニカム本体を薄くスライスした形態を有しており、全てのウェル11に対して底部から同一の高さに位置する。
一方、変形例2に係る電気化学計測型マイクロアレイ1dは、導電性ウェルアレイプレート10dを構成するハニカム本体16の下部に導電層14を備える。導電層14は、ハニカム本体16を薄くスライスした形態を有しており、全てのウェル11に対して底部から同一の高さに位置する。
このように、電気化学計測型マイクロアレイ1c,1dは、導電性ウェルアレイプレート10c,10dにおける複数の貫通孔12を備えたハニカム本体におけるウェル11の長さ方向のいずれかの位置に、ウェル11の内側と外側との間を導通可能な導電層14を備える。ウェル11内の分析対象物Dの量を少なくできる点では、導電層14を導電性ウェルアレイプレート10dの下部に設けている変形例2の方が優位である。一方、導電層14とn型半導体層28との短絡を防止できる点では、導電層14を導電性ウェルアレイプレート10cの厚さ方向の途中に設けている変形例1の方が優位である。導電層14の形成高さは、ウェル11内の分析対象物Dの量と短絡リスクとを勘案して決めるのが望ましい。
2.マイクロアレイセット
次に、本発明の実施形態に係るマイクロアレイセットについて説明する。この実施形態において、前述の各実施形態と共通する部分については、同じ符号を用いて、適宜、その説明を省略する。
図6は、図1の電気化学計測型マイクロアレイと、別のマイクロアレイとを組み合わせたマクロアレイセットの使用を説明するための図を断面視にて示す。
図6に示すマイクロアレイセット3は、第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイ1と、当該電気化学計測型マイクロアレイ1の各ウェル11と共通する位置にそれぞれウェル71を備える蛍光測定型マイクロアレイ2とを組み合わせで使用可能なマイクロアレイセットである。電気化学計測型マイクロアレイ1および蛍光測定型マイクロアレイ2は、ともに、互いの各ウェル11,71の開口面を向かい合わせる部位を少なくともゴム状弾性体で構成する。ゴム状弾性体は、第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイ1の導電性ウェルアレイプレート1にて挙げた選択肢と同様のものを用いることができる。なお、電気化学計測型マイクロアレイ1および蛍光測定型マイクロアレイ2の少なくともいずれか一方のマイクロアレイにおける互いの各ウェル11,71の開口面を向かい合わせる部位を少なくともゴム状弾性体にて構成するようにしても良い。
蛍光測定型マイクロアレイ2は、ガラス、樹脂あるいはゴム状弾性体からなる透明基板50に対して、ウェル71に対応する貫通孔を複数備えたウェルアレイプレート70を、接着層60を介して接合した構造を有する。ウェルアレイプレート70の構成材料には特に制約は無い。ただし、ウェル71,71間の光の透過を防止すべく、ウェル71の少なくとも内壁を遮光し、あるいはウェルアレイプレート70全体を遮光材料で構成する必要がある。蛍光測定型マイクロアレイ2は、透明基板50の底部側から照射して、ウェル71内の蛍光標識を発光させて、反応の有無を調べる器具である。
電気化学計測型マイクロアレイ1にて測定した分析対象物Dを、蛍光測定型マイクロアレイ2にて測定する際には、両者1,2のウェル11,71の開口面同士を向かい合わせ(a)、両者1,2を密着させ(b)、分析対象物Dの移動方向に力を及ぼす方法(例えば、遠心力を利用する方法)にて、分析対象物Dをウェル71内に移動させる(c)。従来の電気化学計測型マイクロアレイ1および蛍光測定型マイクロアレイ2は、ウェル11,71の開口面の平滑度が低いので、分析対象物Dの移動の際に、両ウェル11,71の合わせた隙間から漏れるという問題があった。この問題を解決するために、上述の開口面の平滑度を高める方法も考えられる。しかし、その方法を採用すると、電気化学計測型マイクロアレイ1および蛍光測定型マイクロアレイ2の製造コストが高くなる。
図6に示す電気化学計測型マイクロアレイ1および蛍光測定型マイクロアレイ2は、導電性ウェルアレイプレート10およびウェルアレイプレート70のいずれか一方、しかもそれら10,70の少なくとも開口先端部のみをゴム状弾性体で構成することにより、各ウェル11,71の開口面を隙間なく密着させることができる。この結果、貴重な分析対象物Dの漏れによる損失を低減できる。
なお、図6に示すマイクロアレイセット3は、電気化学計測型マイクロアレイ1と蛍光測定型マイクロアレイ2の組み合わせであるが、電気化学計測型マイクロアレイ1,1同士の組み合わせでも良い。
3.電気化学計測型マイクロアレイの製造方法
<第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法について説明する。この実施形態において、前述の電気化学計測型マイクロアレイの各実施形態と共通する部分については、同じ符号を用いて、適宜、その説明を省略する。
図7は、図1の電気化学計測型マイクロアレイの製造方法のフローを示す。
(a)塗布工程
まず、ガラス板に代表される平滑性に富む基材80の片面に、接着剤30aを塗布する(ステップS100)。接着剤30aは、硬化後に良好な絶縁性を示す硬化性組成物であり、好ましくはシリコーンゴム系硬化性組成物である。接着剤30aの基材80の表面に均一性の高い厚さで塗布するために、スピンコート法による塗布を行うのが好ましい。ただし、接着剤30aを、インクジェット法、スプレー法などの他の方法で塗布しても良い。
(b)次に、導電性ウェルアレイプレート10の貫通孔12の長さ方向の一開口側に、接着剤30aを対向させるように基材80を配置する。
(c)転写工程
次に、基材80の接着剤30aを導電性ウェルアレイプレート10の厚さ方向片面に接触させて、接着剤30aの一部を導電性ウェルアレイプレート10側に転写する(ステップS200)。
(d)接着工程
次に、予め製造した電気化学センサ20の金属層23側の面に、接着剤30aを介して導電性ウェルアレイプレート10を接着する(ステップS300)。
(e)こうして、接着剤30aは硬化して接着層30となり、各貫通孔12の底部を金属層23によって封鎖した各ウェル11を備えた電気化学計測型マイクロアレイ1が完成する。
このように、この実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法は、接着剤30aを基材80の片面に塗布する塗布工程(ステップS100)と、基材80の接着剤30aの側を導電性ウェルアレイプレート10に接触させて、接着剤30aを導電性ウェルプレート10側に転写する転写工程(ステップS200)と、導電性ウェルアレイプレート10の接着剤30aの側に、電気化学センサ20の半導体層20aの一構成層(金属層23)の側を接着する接着工程(ステップS300)と、を含む。この製造方法では、接着剤30aを、直接、導電性ウェルアレイプレート10に塗布せず、一旦、基材80に塗布した後、導電性ウェルアレイプレート10に転写させている。このため、必要以上の接着剤30aを導電性ウェルアレイプレート10に供することなく、金属層23をウェル11の底面として広い面積で露出させた電気化学計測型マイクロアレイ1を歩留まり良く製造できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法について説明する。この実施形態において、前述の電気化学計測型マイクロアレイの各実施形態およびその製造方法と共通する部分については、同じ符号を用いて、適宜、その説明を省略する。
図8は、図3の電気化学計測型マイクロアレイの電気化学センサの製造方法のフローを示す。
この実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法は、第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法(図7参照)と共通の塗布工程(ステップS100)、転写工程(ステップS200)および接着工程(ステップS300)を含む。ここでは、図7に基づいて説明していない電気化学センサの製造工程のみを説明する。
(a)〜(b)金属層形成工程
まず、透明導電膜21と無機半導体22との積層体の無機半導体22側の面に、島状の金属層23を形成する(ステップS250)。金属層23は、最終的に、電気化学計測型マイクロアレイ1aの各ウェル11の底面を形成する。金属層23の形成方法は、例えば、導電性ウェルアレイプレート10あるいはそれと同型のガラス製のウェルプレートなどをマスク材として用いて、そこにAu等の金属を蒸着する。なお、金属層23の形成は、当該金属のターゲット板をスパッタして行うPVD法の他、CVD法によっても実現できる。その後、マスク材を除去すると、マスク材の各貫通孔の位置に金属層23を形成できる。金属層23の上記方法以外の形成方法としては、インクジェット等のプリント技術を例示できる。
(c)絶縁材形成工程
次に、金属層23の周囲に絶縁層24を形成する(ステップS260)。絶縁層24(絶縁材24といっても良い)は、無機半導体22が例えばSiであれば、酸化雰囲気にてSiを熱酸化することによって容易に形成できる。金属層23の酸化を防止するために、金属層23の表面をマスクした後に熱酸化を行うのが好ましい。ただし、金属層23がAuから成る場合には、Auが高い耐酸化性を有することから、必ずしも金属層23の表面をマスクしなくとも良い。
このように、この実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイの製造方法は、半導体層をショットキー接合型半導体の層とし、そのショットキー接合型半導体を無機半導体22と島状の金属層23とから構成する場合において、図7の接着工程(ステップS300)に先立ち、無機半導体22の表面であってウェル11の底面の位置に島状の金属層23を形成する金属層形成工程(ステップS250)と、島状の金属層23の周囲に絶縁材24を形成する絶縁材形成工程(ステップS260)と、を実行する方法である。金属層23の形成と、絶縁材24の形成とは、上記順番の他、逆順にしても良く、さらには同時に行っても良い。絶縁材24は、電気化学センサ20側と導電性ウェルアレイプレート10とを、分析対象物Dを介在せずに通電してしまうリスクを低減するのに寄与する。
4.酸化還元電流測定装置
図9は、第1実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイを含む酸化還元電流測定装置の模式図を示す。
本発明の各実施形態に係る電気化学計測型マイクロアレイ1は、図6に示す酸化還元電流測定装置(以後、単に、測定装置とも称する)の一部に接続される。これは、他の電気化学計測型マイクロアレイ1a,1b,1c,1dについても同様である。測定装置は、電気化学計測型マイクロアレイ1と、電流/電圧変換増幅器81と、コンピュータ82と、励起光照射手段としてのレーザー発振装置86(図2および図4のレーザー発振機40と同様の装置)と、レーザー発振装置86を制御するレーザー制御装置85と、ガルバノミラー87と、レンズ88と、ミラー制御装置89とを備える。測定に際し、電流/電圧変換増幅器81に接続される作用極(WE)は透明導電膜21に接続される。また、電流/電圧変換増幅器81に接続される対極(CE)は導電性ウェルアレイプレート10に接続される。レーザー発振装置86から、電気化学計測型マイクロアレイ1の無機半導体22の裏面に、ガルバノミラー87を制御しながらレンズ88で集光した励起光を照射することにより、局所的な酸化還元電流を二次元画像として測定可能である。ガルバノミラー87は、コンピュータ82を通じてミラー制御装置89により制御可能である。コンピュータ82は、A/D変換器83およびD/A変換器84を備える。A/D変換器83は、電流/電圧変換増幅器81からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。
次に、本発明について、実施例を用いてより具体的に説明を行う。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)電気化学センサの作製
ガラス基板、ITO膜、p型有機半導体膜およびn型有機半導体膜をこの順に積層して図4に示すような有機半導体LAASの電気化学センサを作製した。p型有機半導体の材料としてペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、n型有機半導体の材料として銅フタロシアニン(CuPc)を用いた。p型有機半導体の膜厚は10nm、n型有機半導体の膜厚は20nmとした。
(2)電気化学計測型マイクロアレイの作製
上記の電気化学センサと導電性ウェルアレイプレートとを図7に例示する製法によって接着し、電気化学計測型マイクロアレイを作製した。導電性ウェルアレイプレートの主材料として、電子回路用ユニバーサル基板(材料:ガラスエポキシ樹脂、ウェル直径:0.9mm、容量:1.2μl、ウェルピッチ:1.27mm)を用いた。電子回路用ユニバーサル基板は、ウェルごとにスルーホール電極を有しており、通常は個別に絶縁状態であるが、本実施例では基板表面全体を金属膜で覆うことで導電性を付与し、全ウェル共有の対極として使用した。具体的には、基板表面にAuを真空蒸着法によって被覆したものと、Ptをスパッタリング法によって被覆したものを用いた。また、接着剤として、弾性接着剤スーパーXクリア(セメダイン社製)を用いた。
まず、接着剤をスピンコート法によりガラス基材に塗布して、接着層を形成した。スピンコートの時間と回転数は、500rpm×10s、および4500rpm×90sとした。次に、接着層をガラス基材から導電性ウェルアレイプレートの片面に転写して、導電性ウェルアレイプレート上に接着層を積層させた。次に、導電性ウェルアレイプレートと接着層とからなる積層体の接着層を電気化学センサとの間に介在させて、電気化学計測型マイクロアレイを作製した。この実施例では、導電性ウェルアレイプレートとして、Auを被覆した電子回路用ユニバーサル基板を備えたものを有機半導体LAAS1、Ptを被覆した電子回路用ユニバーサル基板を備えたものを有機半導体LAAS2と称する。
有機半導体LAAS1および有機半導体LAAS2において、各ウェルは、n型半導体上に設けられている。このため、ウェルの底部は有機半導体LAAS1,LAAS2の表面となっている。一方、導電性ウェルアレイプレートのウェル以外の部分は、n型半導体上に設けられた絶縁性接着層上に設けられている。このため、上記ウェル以外の部分と有機半導体LAAS1,LAAS2とは電気的に接続されていない。
有機半導体LAAS1,LAAS2において、その裏面から励起光が照射された場合、pn接合部の空乏層に生じる内蔵電位による光起電力により、励起キャリアはpn接合型半導体内を移動可能となる。これにより、透明導電膜と、有機半導体LAAS1,LAAS2の各表面とが電気的に接続される。また、ウェル内の分析対象物の溶液中で酸化還元反応が起こった場合、この溶液に含まれる酸化還元物質を介して、溶液と、有機半導体LAAS1,LAAS2の各表面とが電気的に接続される。また、溶液と導電性ウェルアレイプレートの導電部分とが電気的に接続される。すなわち、電気化学センサに励起光が照射され、かつ、ウェル内の溶液中で酸化還元反応が起こった場合、透明導電膜、有機半導体LAAS1,LAAS2、溶液および導電性ウェルアレイプレートが連続的に電気的に接続される。その結果、電気的に接続された透明導電膜と導電性ウェルアレイプレートにおいて、透明導電膜を作用極(WE)、導電性ウェルアレイプレートを対極(CE)とし、これらを接続した回路を構成することにより、酸化還元反応で生じる酸化還元電流が二次元画像として測定可能となる。以上のように、電気化学センサを用いると、有機半導体LAAS1,LAAS2と導電性ウェルアレイプレートへの2本の電気的配線を行うだけで、多数のサンプルを個別に測り分けることが可能となる。
(実施例2)
(1)電気化学センサの作製
基板としてn型Siを用意し、ウェルプレートなどをフォトマスクとして用いてフォトリソグラフィを行い、ウェルの配置に合わせたAu電極をn型Si基板表面にアレイ状に形成した。また、電極外のn型Si基板表面にはSiOを形成した。このようにして、無機半導体LAASの電気化学センサを作製した。この種の電気化学センサは、図3に例示する構造を有する。
(2)電気化学計測型マイクロアレイの作製
無機半導体LAASと導電性ウェルアレイプレート(2種類)とを図7および図8に例示する製法によって接着し、2種類の電気化学計測型マイクロアレイを作製した。導電性ウェルアレイプレートの主材料として、電子回路用ユニバーサル基板(材料:ガラスエポキシ樹脂、ウェル直径:0.9mm、容量:1.2μl、ウェルピッチ:1.27mm)と、穴あけ加工済みステンレス板(コーケン化学製)を用いた。電子回路用ユニバーサル基板として、この基板表面にAuを真空蒸着法によって被覆したものと、Ptをスパッタリング法によって被覆したものを用いた。穴あけ加工済みステンレス板は、約2.0mm×2.0mmの方形ウェルの底面に直径約0.5mmの貫通孔を有する。なお、このステンレス板は電子回路用ユニバーサル基板と比べ導電性に優れており、またウェル内の洗浄が容易であるといった利点を有する。また、接着剤として、弾性接着剤スーパーXクリア(セメダイン社製)を用いた。
電子回路用ユニバーサル基板を用いた電気化学計測型マイクロアレイについて、まず、接着剤をスピンコート法によりガラス基材に塗布して、接着層を形成した。スピンコートの時間と回転数は、500rpm×10s、および4500rpm×120sとした。次に、接着層をガラス基材から導電性ウェルアレイプレートに転写して、ウェルアレイプレート上に接着層を積層させた。次に、ウェルアレイプレートと接着層とからなる積層体の接着層を電気化学センサに接着して、電気化学計測型マイクロアレイを作製した。なお、この実施例では、電子回路用ユニバーサル基板として、Auを被覆した基板を備えたものを無機半導体LAAS1、Ptを被覆した基板を備えたものを無機半導体LAAS2と称する。
導電性ウェルアレイプレートの主材料として穴あけ加工済みステンレス板を用いた電気化学計測型マイクロアレイ(無機半導体LAAS3と称する)の製法について、スピンコートの時間と回転数を500rpm×10s、および3600rpm×60sとした以外は、無機半導体LAAS1,LAAS2と同じ条件とした。
無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3において、導電性ウェルアレイプレートのウェルの底部は、金属層であるAu層となっている。一方、上記ウェル以外の部分は、無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3のSiO上に設けられた絶縁性接着層上に設けられている。このため、ウェル以外の部分と無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3とは電気的に接続されていない。
電気化学センサの裏面へ励起光が照射された場合、ショットキー接合部の空乏層に生じる内蔵電位による光起電力により、励起キャリアはショットキー接合型半導体内を移動可能となる。これにより、透明導電膜と、無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3の表面とが電気的に接続される。また、ウェル内の分析対象物の溶液中で酸化還元反応が起こった場合、この溶液に含まれる酸化還元物質を介して、溶液と金属層(Au)とが電気的に接続されるとともに、溶液と導電性ウェルアレイプレートの導電部とが電気的に接続される。以上より、電気化学センサに励起光が照射され、かつ、ウェル内の溶液中で酸化還元反応が起こった場合、透明導電膜、無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3、溶液および導電性ウェルアレイプレートが連続的に電気的に接続される。その結果、透明導電膜を作用極(WE)、導電性ウェルアレイプレートを対極(CE)とし、これらが接続された(外部)回路により、酸化還元反応で生じる酸化還元電流が二次元画像として測定される。
(酸化還元電流の測定)
測定装置の構成図は、図9に例示したとおりである。励起光照射手段(レーザー発振装置)から、有機半導体LAAS1,LAAS2および無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3の各裏面に、ガルバノミラーを制御しながら、集光した励起光を照射した。これにより、局所的な酸化還元電流を二次元画像として測定した。有機半導体LAAS1,LAAS2には、波長635nm、光源出力2.5mW、スポット径44.8μmの励起光を照射した。無機半導体LAAS1,LAAS2,LAAS3には、波長980nm、光源出力15mW、スポット径34.0μmの励起光を照射した。
ウェル内には、フェリシアン化カリウム(K[Fe(CN)])とフェロシアン化カリウム(K[Fe(CN)])を酸化還元物質として含み、支持塩として0.1M硫酸ナトリウム(NaSO)を含む水溶液を入れた。溶液のウェルへの充填量は、電子回路用ユニバーサル基板の場合は1.2μl、ステンレス板の場合は3.0μlとした。ウェル内の溶液中では、下記式(1)に示す反応が生じ、反応した分子数に応じた酸化還元電流が外部回路で出力電流として観測された。
[Fe(CN)3−+e ⇔ [Fe(CN)4−・・・(1)
酸化還元電流の濃度依存性を測定するために、K[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]の濃度は0.01μM、0.1μM、0.001mM、0.01mM、0.1mM、1mM、10mMとした。同一の電気化学計測型マイクロアレイで複数回測定する場合には、測定後にウェルを純水で洗浄して乾燥後に、次の測定を行った。
酸化還元電流の測定は、パルスボルタメトリに準拠した測定手順により行った。パルスボルタメトリは、ステップ状の電位を印加して非ファラデー電流を回避して測定する手法であるが、本実施例では外部印加バイアスをゼロとしてLAASの内部起電力(すなわち、pn接合またはショットキー接合の内蔵電位による光起電力)のみで測定を行った。このため、矩形波制御した励起光のON−OFFの切り替えに同期して測定を行った。
図10は、酸化還元電流の測定方法を示す。
励起光を照射すると電気二重層の充放電による過渡応答が生じることがわかっているため、励起光照射から40ms経過した後の20ms間で平均化し、ON期とOFF期の差分を酸化還元電流とした。
(測定結果)
(1)有機半導体LAASと無機半導体LAASの比較
図11は、有機半導体LAAS2を用いたときの二次元測定結果を示す。
画像の解像度は21×21点の測定点で構成され、画像内に点線で示す9個のウェルが存在する。9個のウェルに同一濃度(10mM)のK[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]溶液を充填して測定した。各ウェル内の観測値の上位3点を平均して当該ウェルの代表値とした。導電性ウェルアレイプレートを装着することによりアレイ測定が可能となることが確認された。
図12は、無機半導体LAAS2を用いたときの二次元測定結果を示す。
画像の解像度は21×21点の測定点で構成され、画像内に点線で示す8個のウェルが存在する。8個のウェルに同一濃度(10mM)のK[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]溶液を充填して測定した。各ウェル内の9点の観測値を平均して当該ウェルの代表値とした。有機半導体LAAS2を用いた場合(図11を参照)と同様に、導電性ウェルアレイプレートを装着することによりアレイ測定が可能となることが確認された。出力電流が観測できた6か所のウェルでは、ウェルごとの出力のばらつきが有機半導体LAAS2を用いた場合と比較して1/6程度に小さくなった。これは主に量子効率に依存して、無機半導体LAAS2の方が供給できるキャリア量が大きく、電流値も大きいことによるものと考えられる。有機半導体LAAS2には、表面構造が均一で、空間的に連続した二次元測定が可能であるとの利点がある。ただし、マイクロアレイでは測定箇所が離散的に限定されているため、表面電極をアレイ状に形成する無機半導体LAAS2でも機能は同等であり、マイクロアレイ化には無機半導体LAAS2の方がより適していると考えられる。
(シート抵抗の影響)
図9に示すように、本実施例で用いた測定装置では、導電性ウェルアレイプレートからコンタクトピンを用いて外部測定回路に接続している。コンタクトピンと測定対象のウェルと間の距離が変わると、ウェルの導電体のシート抵抗により出力電流値が変化する可能性が考えられた。そこで、無機半導体LAAS1を備えた電気化学計測型マイクロアレイを用いて、シート抵抗の影響を検証した。
図13は、無機半導体LAAS1を用いてシート抵抗に対する影響を検証した二次元測定結果を示す。図14は、各ウェル内の4点の出力電流値を平均して当該ウェルの代表値とした。各ウェルの代表値をコンタクトピンからの距離に対してプロットしたグラフを示す。
コンタクトピンで接点をとった位置を図13中に点線で示す。測定は16か所のウェルに同一濃度(10mM)のK[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]溶液を充填して行った。図14に示すように、コンタクトピンから測定対象のウェルまでの距離が増加しても、電流値の低下は見られなかった。よって、導電性ウェルアレイプレートのシート抵抗が電流値に与える影響はないものと考えられる。
(溶液濃度依存特性)
無機半導体LAAS3を用いた電気化学計測型マイクロアレイの8か所のウェルに溶液を充填して80×80点の解像度で二次元測定を行った。ウェル内の観測電流値の上位16点を平均し、当該ウェルの代表値とした。溶液には、濃度0.01μM、0.1μM、0.001mM、0.01mM、0.1mM、1mMのK[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]水溶液を用いた。同一の濃度の試料溶液を8点のウェルに充填し、濃度ごとに測定を行うことにより出力電流値の試料溶液濃度依存性について検証した。
図15は、出力電流値の試料溶液濃度依存性の検証結果を示す(15A,15B)。
すべての測定は同じ8か所のウェルを用いて行った。(15A)の測定を複数回繰り返してまとめた結果が(15B)の結果である。試料となる溶液の濃度が低下するごとに出力電流値も低下した。これにより、電流値に濃度依存性があることが確認された。一方、溶液濃度0.01mMよりも低濃度領域において、観測された出力電流値の減少が鈍化し検出感度が不足する結果となった。低濃度領域における感度不足の主な原因として、酸化還元電流の評価方法が考えられる。本実施例の測定では、励起光照射後40ms間の出力電流を観測しない待機時間がある。その間に試料溶液中の酸化還元物質を消費することにより、濃度に依存する出力電流が観測できていないことが考えられる。待機時間を調整することにより低濃度領域における検出感度を改善する必要性が示唆された。
次に、1度の測定で複数の酸化還元物質濃度を測り分ける検証を行った。ドラッグスクリーニングなどへの実用を考慮した場合、複数の測定対象を個別のウェルで測り分ける必要がある。そこで、K[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]の濃度が0.01μM、0.1μM、0.001mM、0.01mM、0.1mM、1mM、10mMの試料溶液を個別のウェルに充填し、80×80点の解像度で二次元測定を行った。
図16は、複数の酸化還元物質濃度を測り分ける検証結果を示す。
出力電流値は、測定対象のウェル内の出力上位16点を平均したものとした。図16に示すように、この検証では、溶液中のK[Fe(CN)]/K[Fe(CN)]濃度に依存した出力電流値を観測することができた。一方、濃度0.01μM、0.1μMの出力電流値が濃度0.001mM、0.01mMの出力電流値を上回った。図15の結果と異なり、ウェルごとの素子のばらつきが平均化されないため、低濃度側での依存性が得られていないと考えられる。また、別の要因として作用極と対極が近接することにより、不必要なレドックス系が形成されている可能性が考えられる。対極に不要な酸化還元反応が起こらないようイオンブロッキング膜を形成することで低濃度領域での信頼性が向上したという知見が得られていることから、導電性ウェルアレイプレートにイオンブロッキング膜を形成して低濃度領域での信頼性を改善する必要があると考えられる。
1,1a,1b,1c,1d・・・電気化学計測型マイクロアレイ(マイクロアレイ)、2・・・蛍光測定型マイクロアレイ(マイクロアレイ)、3・・・マイクロアレイセット、10,10c,10d・・・・導電性ウェルアレイプレート、11・・・ウェル、12・・・貫通孔、14・・・導電層、20・・・電気化学センサ、20a・・・半導体層(ショットキー型半導体の層)、20b・・・半導体層(pn接合型半導体の層)、21・・・透明導電膜、22・・・無機半導体、23・・・金属層(一構成層)、24・・・絶縁材、26・・・透明導電膜、27・・・p型半導体層(一構成層)、28・・・n型半導体層(一構成層)、30・・・絶縁性接着層、30a・・・接着層、71・・・ウェル、80・・・基材、D・・・分析対象物。

Claims (8)

  1. 電流計測型の電気化学センサと、当該電気化学センサ上に接合されてなる導電性ウェルアレイプレートとを備え、
    前記導電性ウェルアレイプレートは、液状の分析対象物を個別に入れるウェルに対応する複数の貫通孔を備えると共に、前記ウェルの内側と外側との間に電流が流れる構造を有し、
    前記電気化学センサは、pn接合型半導体またはショットキー接合型半導体のいずれかの半導体層を備え、
    前記導電性ウェルアレイプレートは、前記導電性ウェルアレイプレートと対向する側に位置する層であって前記ウェルの底部として機能する前記半導体層の一構成層と絶縁するように、絶縁性接着層を介在して前記電気化学センサと接合して成る電気化学計測型マイクロアレイ。
  2. 前記導電性ウェルアレイプレートは、導電性フィラーを分散して成るプレートである請求項1に記載の電気化学計測型マイクロアレイ。
  3. 前記導電性ウェルアレイプレートは、前記ウェルの長さ方向のいずれかの位置に、前記ウェルの内側と外側との間を導通可能な導電層を備える請求項1に記載の電気化学計測型マイクロアレイ。
  4. 前記半導体層は、前記pn接合型半導体の層であって、
    前記一構成層は、前記pn接合型半導体のn型半導体の層若しくはp型半導体の層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学計測型マイクロアレイ。
  5. 前記半導体層は、前記ショットキー接合型半導体の層であって、
    前記ショットキー接合型半導体は、無機半導体と、当該無機半導体上に積層されてなる島状の金属層とを有し、
    前記一構成層は、前記島状の金属層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学計測型マイクロアレイ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学計測型マイクロアレイと、
    前記電気化学計測型マイクロアレイの各ウェルと共通する位置にそれぞれウェルを備える蛍光測定型マイクロアレイと、
    を組み合わせで使用可能なマイクロアレイセットであって、
    前記電気化学計測型マイクロアレイおよび蛍光測定型マイクロアレイの少なくともいずれか一方のマイクロアレイは、互いの各ウェルの開口面を向かい合わせる部位を少なくともゴム状弾性体とするマイクロアレイセット。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学計測型マイクロアレイの製造方法であって、
    接着剤を基材の片面に塗布する塗布工程と、
    前記基材の前記接着剤の側を前記導電性ウェルアレイプレートに接触させて、前記接着剤を前記導電性ウェルアレイプレート側に転写する転写工程と、
    前記導電性ウェルアレイプレートの前記接着剤の側に、前記電気化学センサの前記半導体層の一構成層の側を接着する接着工程と、
    を含む電気化学計測型マイクロアレイの製造方法。
  8. 前記半導体層は、前記ショットキー接合型半導体の層であって、
    前記ショットキー接合型半導体は、無機半導体と、当該無機半導体上に積層されてなる島状の金属層とを有し、
    前記接着工程に先立ち、
    前記無機半導体の表面であって前記ウェルの底面の位置に、前記島状の金属層を形成する金属層形成工程と、
    前記島状の金属層の周囲に絶縁材を形成する絶縁材形成工程と、
    を実行する請求項7に記載の電気化学計測型マイクロアレイの製造方法。
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