JP2018140165A - 医用画像生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイノグラムドメインと画像ドメインとの両方に実行された物質弁別の個々の欠点を同時に解消する医用画像生成装置を提供する。
【解決手段】医用画像生成装置は、複数のエネルギー成分を有し且つ複数の検出素子で検出された放射線の強度に対応する投影データを収集する収集部と、基底関数の第一のセットに基づいて前記収集された投影データを弁別することで、ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データを生成する投影データ生成部と、基底関数の第二のセットと前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データとを用いて、ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を再構成する画像再構成部と、前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を対応する物質成分へと弁別する物質弁別処理を実行し、個別の物質成分画像を生成する物質成分画像生成部と、を具備する。
【選択図】図3

Description

本実施形態は、医用画像生成装置に関する。
コンピュータ断層撮影(CT)システムおよび方法は、特に医用撮像および医用診断の為に幅広く使用されている。CTシステムは、一般的に被検体の身体を通して一枚以上の部分的なスライスの画像を作成する。X線管などの放射源は、一側面から身体にX線を照射する。身体と反対側にある少なくとも一つの検出器は、身体を通過した放射線を受け取る。身体を通過した放射線の減衰は、検出器から受け取った電気信号を処理することで計測される。
CTサイノグラムは、様々な投影計測に対する、検出器アレイに沿った位置の関数として、またX線源と検出器アレイとの間の投影角の関数として、身体を通過した減衰を示す。サイノグラムにおいて、空間的次元とは、X線検出器のアレイに沿った位置を参照する。時間/角度次元は、CTスキャンの間の時間の関数として変化するX線の投影角を参照する。画像化された対象(例えば椎骨)の部分から生じる減衰は、縦軸の周辺に正弦波を描くだろう。回転軸から更に遠い被検体の部分は、より大きな振幅での正弦波に一致し、当該正弦波の位相は、回転軸周辺の被検体の角度位置に一致する。逆ラドン変換―また任意のその他の画像再構成法―を実行することは、サイノグラムによって表された投影データから画像を再構成することである。
スペクトラルCTにおいて、様々なエネルギーを有するX線が、患者を透過し、それからエネルギー分解検出器を使用して検出され、当該検出されたX線強度/減衰を表す投影データから再構成画像が生成される。例えば、個別の再構成画像は、エネルギー分解検出器のエネルギービンに一致することがある。
代わりに、エネルギー分解された投影データは、高Z原子と低Z原子とに対応する物質成分へと弁別することが出来る。再構成画像は、それから物質成分サイノグラムに対して生成することが出来る。よく、二つの物質成分は骨成分および水成分のことがあるが、ここで水成分は主に水から成る組織と液体とを含む(例えば、血液と柔組織)。
個別の物質のスペクトラル的な特徴は、各レイについての対応する物質投影距離を決定するのに使用される。投影距離とは、レイがX線源からX線検出器までの経路を通過する間の、各物質成分の量を表す。ここで所定の強さとスペクトラル形状は、X線吸収係数のために使用される。この様にして、投影データまたは画像データに表された吸収は、物質成分へと変換することが出来る。
X線減衰におけるスペクトラル差分を決定する能力がある、様々なタイプのCTスキャナ構成を使用して、物質弁別は達成することが可能である。様々なタイプのCTスキャナ構成の使用とは、例えば、異なるX線スペクトルを選択的に生成出来るX線源と組み合わせた状態でエネルギー積分型検出器を使用して、または異なるX線エネルギー帯を選択的に検出する検出器と組み合わせた状態で広いバンド幅X線源を使用することを含む。例えば、光子計数検出器は、検出されたX線をエネルギービンへと分解して、検出器アレイの各検出器素子に沿ったそれぞれのビンにおけるX線数を数えることで、異なるエネルギーを有するX線間の高低を弁別する。
異なる物質は、X線に対して異なるスペクトラル減衰特徴を呈する(つまり、物質は高Z原子および低Z原子をそれぞれ有している)ので、スペクトラルCT投影データは、物質弁別法を使用して物質成分へと弁別することが可能である。物質弁別は、サイノグラムドメインかまたは画像ドメインに実行することが出来る。各ドメインがそれぞれに物質弁別に対する長所短所を有する。
一方においてサイノグラムドメイン物質弁別は、精確なビームハードニング効果を有利に表すが、画像ドメインに表される画像化された被検体についての先験的情報の利用に乏しい状態にある。他方において画像ドメイン物質弁別は、例えば平滑度やボリューム拘束などの先験的情報を有利に使用出来るものの、不都合なことに、画像ドメイン物質弁別が様々な物理的影響(例えばビームハードニングやX線散乱)について明らかにしないため、確度で少し劣ることがある。
米国特許出願公開第2011/0085719A1号明細書
現在存在する物質弁別方法および画像再構成方法は、サイノグラムドメインと画像ドメインとの両方に実行された物質弁別の個々の欠点を同時に解消するものではない。
本実施形態は、上記課題に鑑み、サイノグラムドメインと画像ドメインとの両方に実行された物質弁別の個々の欠点を同時に解消する医用画像生成装置を提供することである。
実施形態に係る医用画像生成装置は、複数のエネルギー成分を有し且つ複数の検出素子で検出された放射線の強度に対応する投影データを収集する収集部と、基底関数の第一のセットに基づいて前記収集された投影データを弁別することで、ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データを生成する投影データ生成部と、基底関数の第二のセットと前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データとを用いて、ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を再構成する画像再構成部と、前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を対応する物質成分へと弁別する物質弁別処理を実行し、個別の物質成分画像を生成する物質成分画像生成部と、を具備する。
図1は、一実施形態に従う、CTスキャナについてのX線源とX線検出器との配置の実行の概要を描いている。 図2Aは、X線エネルギーの関数として、水におけるX線減衰に寄与するコンプトンと光電子とのプロットを示す。 図2Bは、X線エネルギーの関数として、骨におけるX線減衰に寄与するコンプトンと光電子とのプロットを示す。 図3は、一実施形態に従う、組み合されたサイノグラムドメインと画像ドメインとの物質弁別の方法のフロー概要図を示す。 図4は、一実施形態に従う、主要ビーム、第一の散乱ビーム、多重散乱ビームのX線検出器で検出されたX線への寄与を示す。 図5は、物質弁別を実行するためのコスト関数の実行のフロー概要図を示す。 図6は、物質弁別を実行するための分離ステップの実行のフロー概要図を示す。 図7は、ビームハードニング補正を用いる投影ドメイン物質弁別プロセスの実行のフロー概要図を示す。 図8は、一実施形態に従う、第三世代幾何学的配置を使用するCTスキャナの実行の概要を示す。 図9は、一実施形態に従う、第三世代幾何学的配置におけるエネルギー積分型検出器アレイと、第四世代幾何学的配置における光子計数検出器とを使用するCTスキャナの実行の概要を示す。
以下、本実施形態に係る医用画像生成装置について説明する。なお、本医用画像生成装置は、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)を用いて得られた投影データを用いて、例えば図3、5、6、7に示す処理を実行するものである(詳細は後述する)。本医用画像生成装置は、典型的には医用ワークステーションによって実現されるものであり、専用のソフトウェアを起動して実現する構成、専用ハードウェアによって実現される構成、これらの組み合わせによる構成のいずれであってもよい。また、例えば図8、図9に示すCTスキャナが、本実施形態に係る医用画像生成装置の機能を有する構成としてもよい。
スペクトラルコンピュータ断層撮影(CT)において、物質弁別は、サイノグラムドメイン或いは画像ドメインに実行することが出来る。サイノグラムドメイン物質弁別は、投影データのスペクトラル成分を投影データの物質成分へと変換することを含む。画像ドメイン物質弁別は、他方で、再構成画像の物質成分について分解することを含む(つまり、再構成画像のスペクトラル成分の、物質成分への変換)。以前まで、物質弁別は、サイノグラムドメイン或いは画像ドメインに実行されていたが、スペクトラルCTデータの単一のスキャンに対し、そのドメイン両方に同時には実行されてこなかった。これらのドメインの一方に物質弁別を実行することは、もう他方のドメインに物質弁別を実行する必要性を排除するため、両方のドメインに物質弁別が同時に行われるということは、全く反直観的なものであったことだろう。
一方で、サイノグラムドメイン物質弁別は、物質成分画像が再構成されることになる、物質成分サイノグラムを生み出す。これらの物質成分画像は、物質成分として既に表されており、更なる画像ドメイン弁別は不要なので意味を成さない。
他方で、画像ドメイン物質弁別は、スペクトラル成分画像から物質成分画像を生成し、これらのスペクトラル成分画像は、スペクトラル成分サイノグラムから再構成される。この様にして、物質成分サイノグラムが画像再構成プロセスにおいて使用されることは無いので、サイノグラムドメイン物質弁別は、この状況において意味を成さない。
物質弁別に対する上述の標準的な場合のどちらにおいても、サイノグラムドメイン物質弁別と画像ドメイン物質弁別とを組み合わせる恩恵は、係る組み合わせが明確且つ顕著な恩恵も無く更なる計算的負荷を招きかねないので、手軽に従うものではない。実際に、標準的な物質弁別法を考慮しても、如何にサイノグラムドメイン物質弁別と画像ドメイン物質弁別とを組み合わせることが出来るのかが、やはり釈然としない。しかし、本実施形態の見識に基づくことにより、個別のサイノグラムドメインと画像ドメインとにおける物質弁別の優れた利点が、本実施形態に説明される新たな物質弁別法を使用して、驚くほどまた思いがけず、同時に実現することが出来る。係る新たな物質弁別法では、組み合わされた物質弁別がサイノグラムドメインと画像ドメインとにおいて実行される。
サイノグラムドメイン物質弁別と画像ドメイン物質弁別とは、それぞれに長所短所がある。画像ドメイン弁別は、物質弁別の確度がビームハードニング補正と散乱補正とに依存するため、定量的な精確さにやや劣っている短所がある。しかし、画像ドメイン弁別は、例えば平滑度制約やボリューム制約を適用することで、撮像被検体に関する先験的情報を組み込む能力に長けているという長所がある。
画像ドメイン弁別とは対照的に、サイノグラムドメイン弁別は、補正がビームハードニングや散乱について精確に明らかにする能力があるので、定量的により精確である。更に、その他の補正は、検出器の非線形反応について明らかに出来るが、パイルアップやその他の非線形効果が表れる場合に顕著なことがある。しかし、サイノグラムドメインにおいて物質弁別を実行する場合に、被検体に関する先験的情報を組み込むことは、困難なことがある。
本実施形態に説明される方法は、ここに説明される様な方法で組み合わせることにより、サイノグラムドメイン物質弁別と画像ドメイン物質弁別との両方の長所を達成する。例えば、ビームハードニングや散乱補正は、サイノグラムドメインにおいて厳密に対処することが出来るし、また平滑度制約やボリューム制約などの先験的情報は、画像ドメインにおいて対処することが出来る。
加えて、本実施形態に説明される方法は、検出器反応のキャリブレーションやX線スペクトラムにおける誤りに対して強い。標準的な物質弁別法に対し、精確なサイノグラムドメイン物質弁別は、精確な検出器反応やスペクトルの知識に頼ることが出来る。本実施形態に説明される方法は、検出器反応とスペクトラムとに関する精確な知識が必須という必要条件を緩和する。このキャリブレーションに関する必要条件の緩和は、画像ドメイン弁別のキャリブレーションを通してサイノグラム弁別における小さなエラーについて補正することによって、達成することが出来る。
本実施形態に説明される方法は、ビームハードニングの影響を受けないサイノグラムや再構成画像を、物質弁別の二つのタイプを繋ぐための媒介(手段)として使用することで、サイノグラムドメイン物質弁別法と画像ドメイン物質弁別法を組み合わせる。本記述は、ビームハードニングの影響を受けないサイノグラムや再構成画像の例として、単一エネルギーサイノグラムと再構成画像とを使用するが、本実施形態に説明される方法は、任意のビームハードニングの影響を受けないサイノグラムと再構成画像とを用いて使用することが出来る。本実施形態に説明される方法は、物質弁別がサイノグラムドメインにおいて実行された後、物質成分サイノグラムをビームハードニングの影響を受けないサイノグラムへと変換することで、その方法の有益な結果を達成する。それから、物質成分画像を取得するための画像ドメインにおける物質弁別の実行前に、ビームハードニングの影響を受けない画像を再構成するためのビームハードニングの影響を受けないサイノグラムを使用する。
投影データの、ビームハードニングの影響を受けない基底特定成分(単一エネルギー投影データ又は基底特定投影データ)への弁別は、各基底(例えば、物質成分基底または減衰メカニズム基底)に対するスペクトラル減衰を表している、基底関数の完全なセットを使用して実行することが出来る。例えば、種々の基底関数の完全なセットを使用して、スペクトル投影データ、単一エネルギー投影データを分解することができる。また、例えば、以下に説明の通り、コンプトン散乱と光電子減衰とが原因のX線のスペクトル的に依存した減衰は、臨床的なX線撮像アプリケーションでの典型的な状況である、低Z原子で構成している物質を通過する低エネルギーX線が原因のX線減衰を表す基底ベクトル/基底関数の完全なセットを提供することが出来る。また、例えば骨や水など、二つの物質成分のX線減衰スペクトルは、低Z原子と低エネルギーX線についての上での条件が満たされた場合に、Kエッジの回避を確保しながら、完全な基底を形作ることも出来る。成分への基底特定弁別は、線形変換を用いて、別の基底へと変換することが出来る。サイノグラムと画像とのビームハードニングの影響を受けない表現は、ビームハードニングの影響を受けない個別の表現を決定するために、様々な基底成分についての既知のX線減衰スペクトルを使用することで、生成することが出来る。このプロセスは、単一エネルギーサイノグラムと単一エネルギー画像とをビームハードニングの影響を受けないサイノグラムとビームハードニングの影響を受けない画像として使用し、また物質成分を基底特定成分として使用する具体例を考慮すると、より明らかになってくる。
例えば、本実施形態に説明される方法は、単一エネルギーサイノグラム(または単一エネルギー投影とも呼ばれる)を決定するために、物質成分サイノグラムを個別の物質成分に対する減衰のエネルギー依存曲線と併せて使用することで、サイノグラムドメイン物質弁別法と画像ドメイン物質弁別法とを組み合わせることが出来る。有限のスペクトラル幅を有し、且つそれによりビームハードニングの影響を受けやすいという実際問題を有する、スペクトル的に分解した投影とは違い、これらの単一エネルギーサイノグラムは、個別に単一のエネルギーでのX線投影を表し、且つビームハードニングに影響されない。結果的に、画像再構成は、これらの単一エネルギーサイノグラムについて実行することが出来、ビームハードニングの影響も受けない単一エネルギー画像を生成する。次に、第二の物質弁別が実行出来るが、今回は画像ドメインにおいて、物質成分画像を生成する。当該第二の物質弁別は、その場合に画像ドメイン再構成の有効性に寄与する、画像化された被検体の先験的情報を活用することが出来る。この様にして、サイノグラムドメインと画像ドメインとの物質弁別の恩恵は、サイノグラムドメインから画像ドメインへの変換を表す単一エネルギーの表現を使用することで、実行出来る。
サイノグラムと画像との単一エネルギーの表現を使用して、サイノグラムから画像ドメインへの変換の中間ステップを適用することに加え、本実施形態に説明される方法は、再構成画像の画質を改良するために、様々なその他の追加特徴も有利に組み込む。例えば、本実施形態に説明さえる方法は、散乱補正を含むことが可能である。更に、投影データ(例えばサイノグラム)は、X線源の検出器反応およびX線スペクトラム(例えば、X線源がボウタイフィルタを使用する場合に、X線スペクトラムは、X線がボウタイフィルタを通過した伝播後に計測されるだろう)についての格納情報を使用して、予め調整し、処理し、キャリブレーションすることが出来る。
本実施形態に説明される方法で、単一エネルギーサイノグラムは、個別の物質成分に対するX線減衰に依存する既知エネルギーと併せて物質成分サイノグラムを使用して、決定することが出来る。結果として生じる単一エネルギーサイノグラムに基づいて、単一エネルギー画像は、任意の既知のCT画像再構成法を使用して再構成することが出来る。
次に、画像ドメイン物質弁別は、単一エネルギー画像について実行が出来る。係る弁別は、平滑度制約やボリューム制約などの先験的情報を組み込むことが出来る。また画像ドメインキャリブレーションは、係る弁別の確度を上げるために使用することも出来る。
最後に、特定の実施形態において、上記に説明された全体的なプロセスは、逐次ループとして繰り返すことが出来る。係る全体的なプロセスにおいて、物質成分画像は、散乱補正が各逐次で改善される様に、散乱補正に対するモデルを提供し、物質成分画像の改善された決定という結果になっている。
それによって後続の散乱補正は物質成分画像への改良によって改善され、またその逆も然りで、物質成分は後続の散乱補正への改良によって改善される。この様にして、画像ドメイン物質成分は、X線を散乱させる被検体の、より精確なモデルを提供するための散乱補正ステップへと提供することが出来、結果的に散乱補正の確度が改善される。この様な具合で、画像再構成は、散乱補正に対するより改良された再構成画像を使用することで、再構成画像を改良するために逐次することが出来る。従って、方法は、画像ドメイン物質成分を散乱補正モデルへと収束するまでフィードバックすることによって、逐次的に繰り返すことが出来る。
参照番号が数枚の図にわたって同一または対応する部分を指し示す、図面を次に参照する。図1は、第三世代幾何学的配置に配列されたエネルギー積分型検出器と第四世代幾何学的配置に配列された光子計数検出器との両方を有する、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナの線源と検出器部分とを示している。
図1に描かれているのは、CTスキャナシステムにおいて所定の第三世代幾何学的配置における検出器103と組み合わせて、所定の第四世代幾何学的配置における光子計数検出器(PCD)を配置するための実施形態である。概略図は、スキャンされる予定の被検体OBJが寝台/天板116に横たわっており、X線源112、コリメータ/フィルタ114、X線検出器103、そして光子計数PCD1からPCDNまでの相対関係を描いている。
一実施形態において、X線源112とコリメータ/フィルタ114とは、ガントリに回転可能に接続されている環状回転枠110に固定して接続され、PCDは当該ガントリに固定して接続されている円形コンポーネント120に固定して接続されている。CTスキャナのガントリは、被検体OBJがX線源からX線の投影面に位置されることが可能なように、開口アパーチャ115も含む。X線検出器103は、当該ガントリに回転可能に接続されている環状回転枠130に固定して接続されている。環状回転枠120と環状回転枠130とは、投影角の進行で被検体OBJの投影データを取得するために、X線検出器103がX線源112と正反対に位置した状態を維持しながら共に回転することが出来る。サイノグラムは、一軸に沿って配置された投影角での投影データと、その他の軸に沿って配置された投影角の空間的次元とを配置することで作り出される。
スペクトラルCTにおいて、多重エネルギー成分を有する放射線が、被検体OBJの投影計測を行うために使用される。これらの投影計測は、スペクトラルでないCTと同様の従来的なCT画像再構成法を可能にする一連の角度で行われる。しかし、スペクトラルでないCTとは違い、スペクトラルCTは、投影計測を物質成分、通常は二つの物質成分へと弁別を可能とする、追加情報(つまり、スペクトラル減衰情報)を生成する。画像化された被検体OBJを横断するX線ビームの減衰を引き起こす、二つの支配的な相互作用メカニズムが存在するので、物質弁別は二つの物質成分という結果になる。これらの相互メカニズムとは、コンプトン散乱と光電子吸収である。スペクトラルドメインから物質ドメインへの投影データをマッピングすることは、画像再構成プロセスの前または後かのどちらかに実行することが出来る。
生体物質におけるX線の減衰は、二つの物理的プロセス(つまり、光電子吸収とコンプトン散乱)によって占められている。この様にして、エネルギーの関数としての減衰関数は、以下の式(1)に従う弁別によって近似することが出来る。
ここでμPE(E,x,y)は光電子減衰であり、μ(E,x,y)はコンプトン減衰である。代わりにこの減衰係数は、次の式(2)となるように、高Z物質(つまり物質1)と低Z物質(つまり物質2)との弁別へと再整理することができる。
ここでc(x,y)およびc(x,y)は、第一と第二の物質成分にそれぞれ対応する。
図2Aおよび2Bは、筋肉(水)μ(E)および骨μ(E)にそれぞれ対する吸収係数の例を示している。
検出されたスペクトラルは以下の式(3)ように与えられる。
ここで減衰係数μとμとは、X線エネルギーの公知の関数であり、X線吸収性のある被検体OBJがない空間を通過して伝播するX線に対応するSairスペクトルは、例えば以前のキャリブレーションに基づき既に公知である。この検出されたスペクトラルは、X線エネルギービンへと粗い粒子(coarse grained)(例えば、五つのエネルギービンを使用することが出来、係る五つのエネルギービンは約20KeVから約160KeVまでのエネルギースペクトラムである、組み合わせられたエネルギービン範囲のように、五つのエネルギービンそれぞれが個別のエネルギーサブ帯にわたっている)。m番目エネルギービンのカウント値Nmは、以下の式(4)で与えることが出来る。
ここで、w(E)はm番目エネルギービンのエネルギーサブ帯に対応する窓関数である。
少なくとも二つのエネルギービンが各ピクセルに対して検出される場合、投影画像の各ピクセルに対する投影の長さL(X)とL(X)とは、各エネルギービンにおける検出されたエネルギースペクトラムとカウント数とに対する上の式を使用して、推定することが出来る。第一および第二の物質成分に対応するエネルギー分解されたX線カウントから投影の長さへの変換は、物質弁別と呼ばれる。物質成分サイノグラムは、各物質成分の投影の長さが三次元データアレイとして個別に配置されている様に、二次元検出器アレイの個別のピクセルに対応する投影の長さによって表すことが出来、三つの次元の内の二つがX線検出器アレイの二本の軸に対応し、第三の次元は投影角に対応する。
図3は、サイノグラムドメイン物質弁別と画像ドメイン物質弁別とを実行するための方法300のフロー概要図が図示されている。
方法300のステップ310において、スペクトラル投影データが取得される。スペクトラル投影データは、一連の投影角で投影画像を計測するために、CTスキャンを実行することで取得することが出来る。投影画像は、例えば、X線放射から直接光電子を生成する直接X線検出器を使用してエネルギー幅へと分解することが出来る。更に、エネルギー統合型検出器と切り替わる高速kVp、スペクトラル/エネルギーフィルタ、「サンドウィッチ」シンチレーション検出器、エネルギー高感度二重レイヤ検出器、二重線源システムなどを含む、任意の公知のスペクトラルCT法を使用することが出来る。
方法300のステップ320において、物質成分へのサイノグラム弁別が実行される。例えば、物質弁別は、次の四つの文献の方法に従って、実行することが出来る。米国出願番号15/017,310(“Apparatus and Method for Material Decomposition of Spectrally Resolved Projection Data Using Singles Counts”)、米国出願番号14/593,818(“More Efficient Method and Apparatus For Detector Response Correction and Material Decomposition of Projection Data Obtained Using Photon−Counting Detectors”、米国出願番号14/603,135(“A Cost−Function Based Method And Apparatus For Projection−Domain Basis Decomposition In Spectral Computed Tomography”)、米国出願番号14/676,594(“A Pre−Reconstruction Calibration, Data Correction, And Material Decomposition Method And Apparatus For Photon−Counting Spectrally−Resolving X―Ray Detectors And X―Ray Imaging”)。前述した特許出願のそれぞれは、ここに言及することにより、当該文献の全ての内容を参考として組み入むものとする。物質弁別は、検出器反応に対するキャリブレーション、ビームハードニング補正、そして様々なその他のキャリブレーションや補正を含むことが出来る。投影データのこれらの様々な準備により、再構成画像から生成された再構成画像の画質を改善し、また再構成画像におけるアーチファクトを減らすための、X線カウントを様々に前もって調整しデノイズすることが出来る。投影データの事前調整は、X線源の検出器反応322とキャリブレーションされたスペクトル324とを使用して実行することが出来る。係るX線源の検出器反応322とキャリブレーションされたスペクトル324とは、例えば、キャリブレーション間に前もって計測され且つコンピュータ読み取り可能メモリに格納されたデータであって良い。物質弁別は、以下で説明される通り、様々な物質成分に対する投影の長さを生成する。
方法300のステップ330において、投影データは、単一エネルギー投影画像へと変換(convert)される。物質弁別は、投影データをスペクトラル成分から物質成分へと変換(transform)する。しばしば、投影データは、スペクトラル成分で表された場合、減衰の次元の無い単位で提供され、各ピクセルは、検出器によって計測された各エネルギー幅に対する減衰値を有するようになる。物質成分として表された場合、投影データは、長さの次元で投影の長さとして表すことが可能で、ここで、各ピクセルに対し、個別の投影の長さは、物質成分(例えば骨と水)のそれぞれに対して取得される。各物質成分は、所定のX線エネルギーについて、ピクセルの個別の投影長さをに定のX線エネルギーでの対応する減衰係数を積算することで、任意のピクセルに対するX線の減衰を決定することが出来るように、X線エネルギーの関数である所定の減衰を有し且つ逆の長さ(inverse length)の次元を有する。このことは、例えば図2Aおよび2Bで示された水と骨に対するX線減衰スペクトルを使用して達成することが出来る。この様にして、単一エネルギー投影データ(つまり、サイノグラム)は、ステップ320におけるサイノグラムドメイン物質弁別の投影の長さから導出することが出来るのである。
方法300のステップ340において、単一エネルギー画像は、単一エネルギー投影データから再構成される。画像再構成には、任意の既知の方法を使用出来る。例えば、画像再構成処理は、フィルタ補正逆投影法、逐次画像再構成法(例えば全変分最小化正則化項)、フーリエに基づく再構成法、または確率論的画像再構成法の任意のものを使用して、実行することが出来る。再構成画像は、単一エネルギーサイノグラムの離散エネルギーに対して、生成される。
方法300のステップ350において、単一エネルギー画像は、物質成分画像を生成するために物質成分へと弁別される。物質弁別には、任意の既知の方法を使用することが出来る。ステップ320に適用される大半の方法は、例えば、当業者によって理解される様な、画像ドメインにおける物質弁別へと直接的に適用することが出来る。
特定の実行において、先験的情報352は、X線エネルギー弁別を決定するために使用することが出来る。例えば、先験的情報352は、画像化されており且つ再構成画像の統計的特徴が見込まれる臓器を含むことがある。別の例では、先験的情報352は、二つの物質成分に関連することもある。骨は通常、筋肉など水成分を基調とした(water-based)臓器よりも高い減衰密度を有することを思い返してみる。結果的に、予め定めた減衰閾値は、画像ドメインにおいてボリュームピクセルについて確立することが出来、減衰閾値を超える減衰を有するボリュームピクセルは、骨であると推定される。
その上、物質弁別は、所定の特徴に一致させる画像ドメイン物質弁別の投影の長さという制約を強制する全変分(TV)最小化項または平滑化項の様な、正則化項を含むことが出来る。この正則化制約は、例えば、投影の長さが両方の制約を同時に満たす解に収束するまで、物質制約に代替的に一致させ(つまり、個別の物質成分の減衰スペクトル)、且つ正則化制約に一致させ、投影の長さを逐次的に最適化することで、強要することが出来る。
代わりに、物質制約と正則化制約との両方を表すコスト関数は、両方の制約を同時に満たす投影の長さを取得するために、最適化することが出来る。
更に、ステップ350は、物質弁別を改善するためのキャリブレーション354を使用出来る。例えば、キャリブレーション354は、既知の減衰特性を有するファントムのスキャンを含むことが出来、係るファントムのスキャンは、物質弁別に対する物質成分の減衰スペクトルをキャリブレーションするために、使用することが出来る。この様にして、CTスキャナにおける逸脱(drift)またはその他の変更は、キャリブレーションすることも出来る。
キャリブレーション354は、以前に格納されたキャリブレーションデータであることがあり、先験的情報352は、どのように画像再構成が実行されるかについての選択を示す信号/フラグであることがある。
方法300のステップ355において、停止基準が満たされたかについて任意の問い合わせが実行される。特定の実行において、当該ステップは省略することが出来、また方法300は単一パス(single pass)の後に完了することも出来る。しかし、方法300が逐次ループとして実行された場合に、ステップ355は停止基準が満たされたかどうかの問い合わせを実行する。これらの停止基準は、収束閾値を含むことが出来、特定の実行において、以前の再構成画像と現在の再構成画像との間の差の所定のノルムが収束閾値よりも小さいかどうかを決定することで、実行することが出来る。差のノルムが閾値よりも小さければ、その場合収束基準は満たされている。加えて、停止基準(停止条件)は、収束基準に加えて最大逐次基準を含むことも出来る。逐次数が所定の最大数を超えれば、最大逐次数基準は満たされている。特定の実行において、停止基準は、収束基準か或いは最大逐次数基準かが満たされていれば、満たされていることがある。停止基準が満たされれば、方法300は完了である。そうでない場合は、方法300はステップ360へと進む。
方法300のステップ360において、散乱補正は、散乱ビームからX線の主要ビームを分離するために実行出来る。ステップ320における物質弁別は、主要ビームについて実行され、散乱ビームは減衰のために損失として無視される。
方法300のステップの様々な置換が、物質弁別再構成画像を生成するために使用することが出来る。例えば、特定の実行において、ステップ320における物質弁別が主要ビームについて実行することが出来るように、初期画像はステップ310において再構成し、散乱補正はステップ310において実行することが出来る。例えば、初期画像は、フィルタ補正逆投影法またはフェルドカンプ−デイビス−クレス再構成アルゴリズムを使用して、ステップ310において再構成することが出来る。更に、初期画像は、閾値法を使用して物質成分へと分けることが出来る。
特定の非限定実施形態において、各投影ピクセルについてスペクトル的に分解された強度/減衰は、エネルギー積分型データを作り出すために全てのエネルギービンにわたって蓄積することが出来、また特定の実施形態において、エネルギー積分型データ(つまり、非スペクトラルデータ)は、ビームハードニングに対して補正することが出来る。その場合、再構成画像は、非スペクトラルCT投影データから決定することが出来る。
減衰画像を再構成したら、再構成画像の領域は、第一および第二の物質の物質成分へと弁別され、ここで物質1と物質2との濃度を表す空間関数は、以下の式(5−1)、(5−2)のようにそれぞれ与えられる。
ここでHUとHUとは、(i)第一の物質から混合物質へと完全に変換している、(ii)混在物質から第二の物質へと完全に変換していること、をそれぞれ表している閾値である。
再構成画像を物質成分へと分けたら、投影の長さは、空間関数c(x,y)とc(x,y)とについての順投影を実行することで取得することが出来る(例えば、ラドン変換―検出されたX線の軌道に沿った線積分)。
画像再構成問題、また順投影問題も、マトリクス方程式として公式化することが出来る。
ここでgは被検体OBJを含む被検体空間を通過したX線の投影計測であり、Aは被検体空間を通過したX線の離散化した線積分(つまり、ラドン変換)を表すシステムマトリクス、fは被検体OBJ(つまり、システムマトリクス方程式を解くことで求められた量)の画像である。画像fは、位置の関数としての減衰のマップである。この様にして、投影推定は、以下の式(7)によって与えられる。
ここでcおよびcは、それぞれ物質濃度c(x,y)およびc(x,y)の列ベクトル形式である。これらの値LとLとは、投影の長さの初期推定としてステップ320に供給することが出来る。その上、散乱補正は、初期再構成画像を使用して実行することが出来る。
散乱補正は、画像化された被検体OBJに対するモデルと、画像化された被検体OBJからの散乱を計算する方法とを使用して実行出来る。その場合P(X,Y)は、計測された合計信号T(X,Y)から散乱ビームS(X,Y)を差分することで、決定することが出来る。散乱被検体の存在下でのX線ビームは、主要X線ビームP(X,Y)と散乱したX線ビームS(X,Y)としてモデル化することが出来、ここで投影データT(X,Y)は、これら二つのビームの組み合わせであり、以下の式(8)により与えられる。
ここでXとYとは、X線検出器のアレイについての直交空間座標を表す。散乱ビームから主要ビームを分けるために、異なるモデルを使用することが出来る。
例えば、カーネル法は、被検体OBJのモデルが無くても使用することが出来る。順散乱モデルを使用して、散乱した放射線S(X,Y)は、次の式(9)で与えられる。
ここでSF(X)に対する可能性のある一モデルは、式(10−1)、(10−2)で与えられる。
式(10−1)、(10−2)は、コヒーレント(レイリー)散乱を表す一項と、非コヒーレント(コンプトン)散乱を表すその他の項とを伴う二重ガウスカーネルである平滑度関数とを含む。“*”の記号は、畳み込み演算子である。係数Aでの項はレイリー散乱をモデルとすることで、また係数Aでの項はコンプトン散乱をモデルとすることで、取得される。
散乱について補正するために、散乱シミュレーションは、散乱に関与する介在する物体の情報に基づいて、散乱を計算するために使用することが出来る。シミュレーションした散乱を考慮して、計測された投影データは、シミュレーションされた散乱を差分することで、補正出来る。
上の式を考慮して、合計ビームT(X,Y)は、既知の主要ビームP(X,Y)から直接計算出来るが、主要ビームP(X,Y)は、既知の合計ビームT(X,Y)からは解析的に計算出来ない。これを受けて、連続的な近似法を使用して、次の式(11)を最小化することで、主要ビームP(X,Y)の推定を計算する。
ここでT(X,Y)はP(X,Y)に基づいて計算された組み合わせ画像であり、以下の式(12)のように表すことが出来る。
ここで、S(X,Y)は、次の式(13)を満たす。
上で説明されたカーネルに基づいた散乱補正法は、散乱を生じさせる被検体OBJのモデルを必要としない。しかし、散乱する被検体OBJのモデルに基づく散乱補正法は、カーネルに基づいた散乱補正法に優る利点を有することがある。例えば、被検体OBJに対するモデルを使用して、散乱ビームは、モンテカルロ法または放射変換方程式を使用して決定することが出来る。モンテカルロ法は、シミュレーションされた光子数を減らし、シミュレーションされたデータを適合させることで、速度を増すことが出来る。代わりに、決定性放射変換方程式(RTE)での散乱シミュレーションは、散乱補償に対する速いシミュレーションでノイズの影響を受けない解を提供する見込みがある。RTEを使用する散乱シミュレーションは、GPU加速を使用して数秒のうちに実行出来るが、RTEを使用する離散的縦座標実行は、シミュレーションの確度に悪影響を与えるレイ効果を生じさせかねない。これらは、代わりに球面調和を使用して軽減出来る。
図4は、主要X線束がファントムなど被検体を通過し、検出器で検出された散乱プロセスのダイヤグラムを図示している。主要X線束(つまり、主要ビーム)は、散乱しないX線を含む。主要X線束に加えて、検出器は、散乱イベントを一回経験したX線を含む第一の散乱X線束と複数回散乱したX線を含む多重散乱フラックスとも検出する。
散乱は、精確な物理的モデルを表すために、図4に図示されたような第一の散乱X線束と多重散乱X線束との両方を含むことにより、精確にシミュレーションすることが出来る。この物理的モデルは、RTEを使用して次の式(14)の様に表すことが出来る。
境界条件は、以下の式(15)に従う。
ここでψは地点rでの光子X線束の特定の強度であり、Eはエネルギー、Ωは光子X線束の方向における単位ベクトルである。境界条件において、強度ψは、X線源と(仮にボウタイフィルタがX線源をコリメートするために使用されたとしたら)ボウタイ散乱とに依存する。ベクトルrは、被検体の表面上にある地点を指し、nは境界表面への法線ベクトルであり、fはX線CTに対するコンプトン散乱とレイリー散乱との両方を含む散乱横断面である。最後に、変数μは、地点rとエネルギーEとでのX線に対する合計減衰係数を表す。
本実施形態に説明される方法は、CT散乱補償に対する精確な散乱解を得るために、上のRTEを解く。これは、RTEを積分方程式として第一に表すことで達成され、以下の式(16)のように与えられる。
図4に示されている様に、X線束は、三つの成分へとグループ分け出来る。つまり(i)主要X線束、(ii)第一の散乱X線束、(iii)多重散乱X線束である。
次に、半導体に基づいたPCDの検出器モデルが述べられる。当該モデルは、コスト関数法と分割ステップ法との両方に様々に適用する。
米国特許出願13/866,965に議論されている様に、放射線検出器の応答関数は、改善された結果を提供するためにキャリブレーションすることが出来、ここに当該文献の番号を記載することにより全ての内容を参考として組み込むものとする。一実行において、各所定の放射線検出器のカウント数に対する検出器モデルは、次の式(17)で与えられる。
ここで各積分期間T、線形応答関数R、非線形応答関数R、そして不感時間τとは、OBJについての投影計測前に実行されるキャリブレーションの結果として、各放射線検出器とエネルギー成分について公知である。上の非線形検出器モデルにおいては、第一のオーダー非線形項のみが含まれる。一般的に、高いオーダー非線形項もカウント数に対する検出器に含まれることがある。各積分は、m番目のエネルギービンに対するスペクトラル範囲にわたって統合される。この様にして、各検出器の各エネルギービン/成分に対する固有カウントが存在するのである。
検出されたスペクトラムは、次の式(18)で与えられる。
ここで減衰係数μおよびμとは、X線エネルギーの既知関数であり、被検体OBJ(Sairによって指定されている)がないスペクトラムも既知関数である。
同様に、各検出器に対するX線束nは、式(19)によって与えられる。
airは既知である。一実施形態において、上の式は、ここに当該文献の番号を記載することにより全ての内容を参考として組み込むものとする米国特許出願14/103,137により徹底的に議論されており、nairの値は、次の式(20)によって与えられる。
ここでAは被検体OBJについての投影計測前に決定される各検出器に固有のキャリブレーション項であり、Irefは参照検出器信号である。
投影の長さLとLとは、上で述べられたようなモデル等の検出器応答モデルを使用して、PCD N’=N(means) の計測されたカウントを、計算されたカウントN=N(model) と比較するコスト関数φ(L1,L2)を最小化することで、計算することが出来る。同一の技術用語は、合計カウント投影データと単一カウント投影データとの両方に対して使用されるが、それぞれの場合における技術用語の正しい解釈は、コンテクストに基づいて当業者にとっては明らかである。単一カウント投影データに対するモデルは、より高いオーダー項が欠如した合計カウント投影データと同じである。
コスト関数φ(L1,L2)のいくつか異なる定義は、計測されたカウントN′とモデル化されたカウントNとの間の計測の差を表すために、使用出来る。一実行において、コスト関数は、計測されたカウントN′とモデル化されたカウントNとの間の差の最小二乗であって、つまり次の式(21)によって与えられる。
一実施形態において、コスト関数は、計測されたカウントN′とモデル化されたカウントNとの間の差の重み付けられた最小自乗であって、つまり次の式(22)で与えられる。
ここでσはN′の標準偏差である。
一実施形態において、コスト関数は、ポアソン尤度関数であって、つまり次の式(23)で与えられる。
コスト関数物質弁別法は、一組の投影の長さを取得するために、次の式(24)に従って、任意の最適化法を使用することで実行することが出来る。
物質弁別が制約された最適化法に比べて検索領域に制約された場合に、使用することが出来る。
これらの局所的最小値を見つけ出すために、任意の局所的最適化法を使用することが出来る。例えば、局所的最小値は、ネルダ−ミードシンプレックス法(Nelder−Mead simplex method)、勾配降下法、ニュートン法、共役勾配法、シューティング法、またはその他の任意の局所的最適化法を含む、任意の局所的最適化法を使用して、取得することが出来る。
コスト関数が一つ以上の局所的最小値を有する場合、全体的な最小値とコスト関数の局所的最小値の全てとを見つけ出すには、ロバスト確率論的最適化プロセスが都合良い。例えば、遺伝的アルゴリズム、シミュレーションされたアニーリング、徹底捜査(exhaustive searches:全数検索)、間隔法、そしてその他の決定論的、確率論的、発見的、そして超発見的(metaheuristic)法などを含む、全体的な最小値を見つけるための既知の方法は、沢山存在する。
一実施形態において、図4に図示された方法400は、コスト関数の最小値を見つけ出すために使用することが出来る。方法400は、乱数値がL(0)=(L (0),L (0))に対する初期推測として選択されたら開始である。次に、ステップ410でループ変数nがインクリメントされる。
次に続くステップ410で、方法400は、新たなサンプル地点L′が投影の長さの現在のセットL(n−1)=(L (n−1),L (n−1))を囲むサンプル空間からランダムで選択される、ステップ420へと進む。
ステップ430へと進んで、方法400は、コスト関数φ(L(n−1))か、または(L’)かの値のどちらが小さいかについて問い合わせる。ステップ440そして450において、コスト関数のより小さい値に対応する独立変数は、次のループ逐次に対する投影の長さL(n)=(L (n),L (n))の次のセットとして割り当てられる。
方法400のステップ460は、ループ停止基準が満たされているかどうかを評価する。異なる停止基準を使用することが出来るが、図5には、ループ逐次の最大数nmaxが所定の閾値に達しているか、またはコスト関数が所定の閾値εを下回っているか、どちらかの場合にループが停止する実行を図示している。停止基準が満たされていれば、方法400は、460でループを抜け、現在の投影の長さL(n)=(L (n),L (n))を最終投影の長さとして報告する。そうでない場合は、ステップ460からステップ410へと逆戻りすることにより、ループは継続する。
上で説明されたコスト関数法に加えて、物質弁別を実行する分割ステップ法が米国出願番号14/593,818において議論されているが、ここに当該文献の番号を記載することにより全ての内容を参考として組み込むものとする。この分割ステップ法は、PCDの非線形応答に対する計測されたカウントを補正するための投影の長さの推定を使用することと、その場合に新たな投影の長さの推定を生成するための補正されたカウントとを使用すること、との間を切り替えることにより、物質弁別問題を解く。
図6は、分割ステップ法500のある実行を図示したものである。図6において、物質弁別問題を解決するための分割ステップ法は、全カウント投影データの場合に対し例証されている。この方法は、投影の長さL(Final)=(L,L)を解く。
図6に図示される通り、方法500は、投影の長さの初期推定LとLとが、逐次ループの第一のステップ520に入力されて、開始となる。520から560までのステップを含む大きなループの第一の逐次の後、投影の長さLとLとは、プロセス550における物質弁別から、大きな逐次ループの第一のステップ520へとフィードバックされる。プロセス550における物質弁別によって計算された投影の長さを使用する後続のループ逐次とは対照的に、第一の逐次は、ステップ510からの投影の長さの初期推定を使用する。
投影の長さの推定を受け取って、大きなループは、次の式(25)によって表されるX線束率と非線形スペクトラム項SNonlin.(E)とを既に説明されたように計算することにより、開始する。
図6に図示された実行で、非線形スペクトラムは、次の式(26)によって与えられる。
上記式(26)で与えられる第一のオーダーパイルアップのみを含む。ここで、Sin(E)は次の式(27)で与えられる。
方法500のステップ530で、補正された検出器スペクトラムは、次の式(28)によって与えられる。
式(28)によって与えられる通り、パイルアップに対して補正するために計算され、ここでSRaw(E)は検出器応答補正前の生の計測されたスペクトラムである。補正されたエネルギーカウントは、次の式(29)によって与えられる。
ここでTは積分期間である。単一カウントの投影データに対し、パイルアップと関連付けられたより高いオーダー補正は、省略することが出来る。
一実施形態において、光子計数検出器のm番目のエネルギービンの補正されたカウントは、次の式(30)によって与えられる。
ここでNCarr は光子計数検出器のm番目のエネルギービンの補正されたカウント値であり、NRaw は検出器から記録された生カウント値、NNonlin は非線形検出器応答からの計算されたカウント値ある。非線形カウント値は、次の式(31)に従って計算される。
実施形態の中には、非線形スペクトラム補正は、第一のオーダーパイルアップのみを含むものがある。一方その他の実行では、非線形スペクトラム補正は、より高いオーダーパイルアップ項を含む。例えば、より高いオーダー項は、単一のカウント投影データに対して省略することが出来る。
方法500は、次にステップ540に進む。ステップ540では、物質弁別に対する準備において、検出器カウントを高エネルギー成分と低エネルギー成分とに分けることで、ノイズバランシングが実行される。カウントを高エネルギー成分および低エネルギー成分に割り当てるノイズバランシング処理は、米国特許出願番号13/906,110に説明されているが、ここに当該文献の番号を記載することにより全ての内容を参考として組み込むものとする。ステップ540におけるノイズバランシングは、式(32)に従う。
この式(32)により、エネルギービンからカウントを高エネルギー成分と低エネルギー成分と区切るという結果になる。ここで、Σ(H) =1,Σ(L) =1である。また、a(H) とa(L) との値は、ノイズバランシングプロセスによって決定される。
方法500は、プロセス550へと進む。プロセス550で、物質弁別が実行され、ここで投影の長さLとLとに対する新たな値が計算される。
最後に、ステップ560で、停止基準が満たされているかどうかの問い合わせがなされる。停止基準は、投影の長さLとLとの収束と、ループ逐次の最大数に達しているかと、に依存することが出来る。
物質弁別プロセス550は、逐次プロセス―図7に図示されるような―それ独自の停止基準を伴うものとすることが出来る。当該逐次プロセスは、ステップ555から560までを含む大きなループとは対照的に、小さなループとして呼んでも良い。
一実施形態において、図7に示された方法に従って、プロセス550は実行される。図7の方法は、米国特許番号8,194,961に説明されている通りであり、ここに当該文献の番号を記載することにより全ての内容を参考として組み込むものとする。高エネルギー成分と低エネルギー成分とに対する検出器カウントと同様に、高および低スペクトルは、式(33)によって与えることが出来る。
ここでS(E)とS(E)とはそれぞれ、被検体OBJがない場合(つまり、被検体OBJは空気である)における、検出された高および低スペクトルであり、ここでS(E)とS(E)とは、次の式(34)の様に正規化されている。
検出器カウントの自然対数を取ることにより、対数投影データは、以下の式(35)ように取得出来る。
一実施形態において、LとLとは、減衰係数μ(E)とμ(E)との平均回りの変化(variations around the mean)を摂動として扱うことで、置換理論(perturbation、摂動論)を使用して、見つけ出される。第一に、高および低エネルギースペクトルに対する中間減衰は、次の式(36)で与えられる。
平均周りの変化は、次の式(37)によって与えられる。
この様にして、対数投影データは、次の式(38)の様に表すことが出来る。
これらの数式を簡略化して、対数投影データは、次の式(39)の様に表すことができる。
ここで、ビームハードニング摂動は次の式(40)で与えられる。
プロセス550の第一のステップ551は、逐次変数をn=0へと初期化し、投影の長さLとLとの値も初期化する。一実施形態において、投影の長さの初期値は、ステップ555における検出器応答補正計算に対して使用された値と同じである。もう一つの実施形態において、投影の長さの初期値は、マトリクス方程式(41)を解く。
上記マトリクス方程式(41)を解くことで、以下の式(42)が与えられる。
計算されたゼロ番目のオーダー摂動である。ここでDは行列式(determinant)であり、次の式(43)で与えられる。
プロセス550の、逐次ループにおける第一のステップでもある第二のステップ552は、方程式(44)におけるn番目のオーダー摂動を使用して、ビームハードニング摂動値を更新する。
プロセス550の第三のステップ553は、マトリクス方程式(45)を解く。
上記マトリクス方程式(45)を解くことで、次の式(46)を獲得する。
n+1番目の摂動について解くことにより、LとLとの値を更新するステップである。
ステップ554の後に、プロセス550のステップ555は、停止基準が満たされているかの問い合わせをする。一実施形態において、LとLとのそれぞれ現在の値と過去の値との間の差が所定の閾値よりも小さいかどうかの様に、LとLとの値が所定の収束基準を満たした場合に、停止基準は満たされる。当該停止基準は、最大逐次数に達しているかについてを条件として設定されていることがある。停止基準が満たされていない場合に、その場合ループ変数nは、ステップ554でインクリメントされて、ステップ552からループを再開する。そうでない場合は、最終の投影の長さがプロセス550のステップ556で出力される。
ステップ320、340、350、そして360における様々な段階で、サイノグラムデータと画像データとは、再構成画像の画質を改善するために、線形平滑フィルタ、異方性拡散、非局所平均、そして非線形フィルタを含む、様々にデノイズされて良い。
線形平滑フィルタは、オリジナル画像を、ローパスフィルタまたは平滑操作を表すマスクで畳み込むことで、ノイズを除去する。例えば、ガウスのマスクは、ガウス関数によって決定される要素を具備する。この畳み込みは、各ピクセルの値を、そのピクセルに近傍するピクセルの値により近づけるようにするものである。一般的に、平滑フィルタは、各ピクセルを、そのピクセル自体およびそのピクセルに近傍するピクセルの、平均値、または重み付けられた平均に設定する。例えば、ガウシアンフィルタは、正に可能な重みのセットであると言える。不都合なことに、平滑フィルタは、画像をぼやかす傾向がある。それは、周囲に近傍するピクセルより明らかに高い値または低い値を持つピクセルが、それらに接するピクセルと合わさって、不鮮明になったり、平均化されたりするからである。そのため鮮明な境界が不鮮明になってしまう。一般的に、局所線形フィルタ法は、局所近傍に見受けられる均一性が均一であると仮定し、従って病変や臓器境界など、均一でない特徴を曖昧にして画像上に均一性を強いる傾向がある。
異方性拡散は、熱伝導方程式と同様の平滑化偏微分方程式の下で、画像を展開させることにより、鮮明な境界を維持しながらノイズを除去する。仮に、拡散係数が空間的に不変ならば、この平滑は線形ガウシアンフィルタリングと等しくてもよいが、拡散係数が境界の存在に従って異方性の場合、ノイズは画像の境界をぼやかすことなく除去することが出来る。
メジアンフィルタは非線形フィルタの一例であり、もし適切に設計されれば、非線形フィルタも境界を保ち、ぼかしを避けられるかもしれない。メジアンフィルタは、例えば、画像における各ピクセルを評価することで、輝度に従って近傍するピクセルを分類し、ピクセルのオリジナル値をオーダー付られた輝度の表から中央値と置き換える操作をする。メジアンフィルタは、階数条件ランク選択(RCRS)フィルタの一例である。例えば、メジアンフィルタとその他のRCRSフィルタは、明らかなぼかしアーチファクトを取り込むことなく、画像から塩および胡椒ノイズを除去するために適用することが出来る。
更に全変分(TV)最小化正則化項を使用するフィルタは、画像化されるべき複数のエリアがそれらの間の比較的鮮明な境界を持つ離散的領域に渡って均一であると仮定される箇所に、使用されてもよい。TVフィルタは、非線形フィルタの別例として使用されてもよい。
非局所的平均フィルタリングにおいて、ピクセルは、ピクセルの空間的近似に従ってピクセルの重みづけ平均化を実行するよりも、画像におけるパッチ間の類似性に従う重みづけ平均となるように決定される。この様にして、ノイズは画像における、全てのピクセルの非局所的平均化に基づいて、除去される―近傍するピクセルだけが除去されるのではない。特に、ピクセルに対する重みの量は、あるピクセル近くに中心がある小さなパッチと、デノイズされるピクセル周辺に中心がある別の小さなパッチと、の間の類似の程度に基づいている。
図8は、CT装置またはCTスキャナに含まれる放射線ガントリの実装1000を描いている。図8に図示されるように、放射線ガントリ1000は側面から見て描かれており、X線管1001、環状フレーム1002、そして多列または2次元アレイ型X線検出器1003を更に含む。X線管1001およびX線検出器1003は、環状フレーム1002上に被検体OBJを横切って正反対に取り付けられ、環状フレーム1002は、回転軸RAの回りに回転可能に支持される。被検体OBJが図示された頁の奥の方向または手前の方向の軸RAに沿って移動されながら、回転ユニット1007は環状フレーム1002を0.4秒/回転もの高速で回転させる。
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影(CT)装置の第一の実施形態は、付随する図面を参照しながら以下に説明される。X線CT装置は、様々なタイプの装置を含んでいることに留意されたい。具体的には、X線管とX線検出器とが検査される予定の被検体の周辺を一緒に回る回転/回転型機構と、そして多数の検出器素子がリング状または水平状に配置されており、X線管のみが検査される被検体の周辺を回る固定/回転型機構とがある。本開示は、いずれのタイプにも適用可能である。今回は、現在の主流である回転/回転型機構が例示される。
マルチスライスX線CT装置は高電圧発生器1009を更に含み、X線管1001がX線を生成するように、高電圧発生器1009はスリップリング1008を通してX線管1001に印加される管電圧を生成する。X線は、被検体OBJに向かって照射され、被検体OBJの断面領域が円で表される。例えば、第一のスキャンの間の平均的なX線エネルギーを有するX線管1001は、第二のスキャンの間の平均的なX線エネルギーよりも小さい。この様にして、二回以上のスキャンが異なるX線エネルギーに対応して取得することができる。X線検出器1003は、被検体OBJを通り抜けて伝播してきた照射されたX線を検出するために、被検体OBJを挟んでX線管1001から反対側に位置する。X線検出器1003は、個々の検出器素子または検出器を更に含む。
CT装置は、X線検出器1003から検出された信号を処理するための、その他のデバイスを更に含む。データ取得回路またはデータ取得システム(DAS)1004は、各チャンネルに対するX線検出器1003からの出力信号を電圧信号に変換し、その電圧信号を増幅し、更にその電圧信号をデジタル信号へと変換する。X線検出器1003およびDAS1004は、1回転当たりの所定全投影数(TPPR)を処理するように構成されている。
上述のデータは、非接触データ送信装置1005を通して、放射線ガントリ1000外部のコンソール内に収容された、前処理デバイス1006に送られる。前処理デバイス1006は、ローデータに関する感度補正など、特定の補正を実行する。メモリ1012は、再構成処理直前のステージで、投影データとも呼ばれる結果データを格納する。メモリ1012は、再構成デバイス1014、入力デバイス1015、ディスプレイ1016と共に、データ/制御バス1011を通して、処理回路1010に接続されている。処理回路1010は、CTシステムを駆動させるのに十分なレベルに達するまで電流を制限する、電流調整器1013を制御する。
検出器は、どんな世代のCTスキャナシステムであっても、患者に対して、回転されるおよび/または固定される。一実施形態において、上述のCTシステムは、第三世代幾何学的配置システムと第四世代幾何学的配置システムとが組み合わせられた例であってもよい。第三世代幾何学的配置システムにおいて、X線管1001とX線検出器1003とは、環状フレーム1002上に正反対に取り付けられ、環状フレーム1002が回転軸RAの周りを回転する時に、被検体OBJの周りを回転する。第四世代幾何学的配置システムにおいて、検出器は患者の周辺に固定して取り付けられており、X線管は患者の周辺を回る。代替的な実施形態において、放射線ガントリ1000は、Cアームおよびスタンドによって支持されている、環状フレーム1002上に配置された多数の検出器を有する。
メモリ1012は、X線検出器1003でX線照射量を示す計測値を格納することが出来る。更に、メモリ1012は、方法300、400、500を実行するための専用プログラムを格納していてもよい。
再構成デバイス1014は、本開示で述べられた方法300、400、500の様々なステップを実行することが出来る。更に、再構成デバイス1014は、必要に応じボリュームレンダリング処理や画像差分処理など、前再構成処理画像処理を実行することが出来る。
前処理デバイス1006によって実行された投影データの前再構成処理は、例えば検出器キャリブレーション、検出器非直線性、極性効果に対する補正を含むことが出来る。更に、前再構成処理は、方法300、400、500の様々なステップを実行することが出来る。
再構成デバイス1014によって実行される後再構成処理は、画像フィルタリングや画像スムージング、ボリュームレンダリング処理、そして画像差分処理を、必要に応じて含んで良い。画像再構成プロセスは、方法300、400、500の様々なステップを実行することが出来る。再構成デバイス1014は、メモリを使って、例えば投影データ、再構成画像、キャリブレーションデータおよびパラメータ、そしてコンピュータプログラムを格納することが出来る。
再構成デバイス1014は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)など、個々の論理ゲートとして実行可能なCPU(処理回路)を含むことが出来る。FPGAまたはCPLD実行は、VHDL、ベリログ、またはその他ハードウェア記述言語でコード化されていても良く、そしてそのコードはFPGAまたはCPLDにおいて直接電子メモリ内に格納されても良いし、あるいは個別の電子メモリとして格納されても良い。更に、メモリ1012は、ROM、EPROM、EEPROM(登録商標)、またはFLASHメモリなど、不揮発性メモリであっても良い。メモリ1012は、静的または動的RAMなど揮発性で、マイクロコントローラやマイクロプロセッサなどプロセッサであっても良く、FPGAまたはCPLDと、メモリとの間の相互作用と同様、電子メモリを管理するために提供されていてもよい。
代替的に、再構成デバイス1014内のCPUは、本開示で説明された機能を実行するコンピュータ読み取り可能命令のセットを含んでいるコンピュータプログラムを実行することが出来、そのコンピュータプログラムは、任意の上述の非一時的電子メモリおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASHドライブ、またはその他任意の既知の格納媒体に格納されている。更に、コンピュータ読み取り可能命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせで提供されてもよく、所定のプロセッサと、所定のオペレーティングシステムや、当業者にとっては既知のその他オペレーティングシステムがプロセッサと一体となって実行する。更に、CPUは、指示を実行するために並行して協同的に動く、マルチプルプロセッサとして実行されても良い。
一実行において、再構成された画像は、ディスプレイ1016上に映し出されて良い。ディスプレイ1016は、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、または当業者にとって既知のその他ディスプレイであっても良い。
メモリ1012は、ハードディスクドライブ、CD―ROMドライブ、DVDドライブ、FLASHドライブ、RAM、ROM、または当業者にとって既知のその他格納メディアであっても良い。
図9は、第三世代幾何学的配置に配列されたエネルギー積分型検出器および第四世代幾何学的配置に配列されたPCD両方のコンピュータ断層(CT)スキャナを示している。図9に描かれているのは、CTスキャナシステムにおける所定の第三世代幾何学的配置における検出器1003と組み合わせた、所定の第四世代幾何学的配置におけるPCDを配列するための実施形態である。ダイヤグラムは、X線源112の中に、コリメータ/フィルタ114、X線検出器103、そして光子計数PCD1からPCDNまでの相対位置を描いている。
図9に示す、X線源112と検出器103且つPCDを含む検出器との構成に加えて、X線検出器とX線源のその他のタイプや組み合わせが、投影データを取得するために使用することが出来る。例えば、検出器103またはPCDのどちらかが図9に示されたスキャナから省略されて良いし、またスキャナはそれでもやはり投影データを取得することが出来るだろうし、その様な場合になっても、投影データとは異なる図9に示された完全なシステムを使用して取得される。更に、kV切り換えは、エネルギー積分型検出器またはPCDと一緒に使用することが出来るだろう。特定の実施形態において、まずシンチレーション光子を生成することなく、半導体がX線を光電子に直接変換(convert)することを使用して、PCDは直接X線検出器の可能性がある。加えて、特定の実行において、ブロードバンドX線源がスペクトラル的に分解するX線検出器と共に使用出来る。これらのスペクトラル的に解決するX線検出器は、任意の構造(例えば、所定の三次元幾何学的配置または所定の四次元幾何学的配置)におけるPCDと、または個別のスペクトラルフィルタに先行してエネルギー積分型検出器と、を含むことが出来る。特定の実施形態において、X線源は二重線源CTスキャナなど、多重の狭帯域X線源を含むことがある。一般的に、検出器タイプと、X線源の組み合わせ又はあらゆる公知のタイプと、一緒になった構成は、投影データを生成するために使用されて良い。
図9に戻って、図9は、X線投影データを収集し、格納し、処理し、分配するための回路およびハードウェアも示す。回路とハードウェアは、プロセッサ1470、ネットワークコントローラ1480、メモリ1478、そしてデータ収集システム1476を含む。
代わりの実施形態において、CTスキャナは、PCDを含むがエネルギー積分型検出器103を含まない。
X線源112と検出器103とはガントリ1440に格納され、個別に円軌道110と130との周りを回転することにより、光子計数検出器PCDと検出器103とは、データ収集の間に送られたX線を個別に検出する。PCD1からPCDNまでの光子計数検出器は、所定のエネルギービンのそれぞれに対して、送られたX線放射線を断続的に検出し、光子の数を表すカウント値を個別に出力する。他方で、検出器103における検出器素子は、送られたX線放射線を継続して検出し、検出器103が回転しながら検出された信号を継続して出力する。一実施形態において、検出器103は、検出器表面上に所定のチャンネルとセグメント方向とにおいて、エネルギー積分型検出器を密に配置(placing)している。
一実施形態において、X線源112と、PCDおよび検出器103とは、半径の異なる三つの所定の円軌道をまとめて形作る。光子計数検出器が第二の円軌道120に沿って疎に設置されている一方で、少なくとも一つのX線源112は第一の円軌道110に沿って回転する。更に、検出器103は、第三の円軌道130に沿って移動する。第一の円軌道110と、第二の円軌道120と、第三の円軌道130とは、ガントリ1440も回転可能に取り付けられた環状リングによって、決定することが出来る。
更に、代わりの実施形態は、所定の第四世代幾何学的配置をCTスキャナにおける所定の第三世代幾何学的配置における検出器と組み合わせて、光子計数検出器を設置するために使用することが出来る。
一実施形態において、X線源112は、選択的に単一のエネルギー線源である。また別の一実施形態において、X線源112は、所定の高レベルのエネルギーでまたは所定の低レベルのエネルギーでのX線放射線を発するためのkV−切り換え機能を実行するよう構成されている。また更に別の実行において、X線源112はX線エネルギーの幅広いスペクトルを発する単一の線源である。また別の実施形態において、X線源112は、空間的且つスペクトル的に異なるそれぞれの放射物を伴う多重X線放射器を含む。
検出器103は、シンチレータ素子と相互作用するX線放射線から結果として生じるシンチレーションイベントからのシンチレーション光子の結果を検出するために、光電子倍増管またはアバランシェフォトダイオードを用いたシンチレーション素子などのエネルギー積分型検出器を使用出来る。係るシンチレータ素子は、結晶構造、有機液体、プラスチック、またはその他の公知の可能性がある。
PCDは、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、シリコン(Si)、ヨウ化水銀(HgI)やガリウムヒ素(GaAs)など、半導体に基づいたX線放射線検出器を直接使うことが出来る。
CTスキャナは、データチャンネルも含む。当該データチャンネルは、光子計数検出器および検出器103からの投影計測結果を、データ収集システム1476、プロセッサ1470、メモリ1478、ネットワークコントローラ1480に送る。データ収集システム1476は、検出器からの投影データの収集、デジタル化、ルーティング(routing)を制御する。データ収集システム1476は、環状回転枠110および130の回転を制御する放射線制御回路も含む。一実施形態において、データ収集システム1476は、寝台116の移動やX線源112の操作、そしてX線検出器103の操作も制御するだろう。データ収集システム1476は、集中型システムかまたは代替的に分散型システムであって良い。一実施形態において、データ収集システム1476は、プロセッサ1470に統合されている。プロセッサ1470は、投影データからの画像の再構成、投影データの前再構成処理、そして画像データの後再構成処理を含む機能を実行する。
投影データの前再構成処理は、検出器キャリブレーション、検出器非線形性、極性効果、ノイズバランシング、そして物質弁別に対する補正を含むことが出来る。加えて、当該前再構成処理は、方法300、400、500の様々なステップを含むことが出来る。
後再構成処理は、必要に応じ、画像のフィルタリングやスムージング、ボリュームレンダリング処理、画像差分処理を含むことが出来る。加えて、方法300、400、500の様々なステップを含むことが出来る。
画像再構成プロセスは、フィルタ補正逆投影法、逐次画像再構成方法、または確率論的画像再構成法を使用して、実行することが出来る。更に、画像再構成処理は、方法300、400、500を使用して再構成画像の再構成やデノイジングの組み合わせられたプロセスを含んでも良い。
プロセッサ1470とデータ収集システム1476との両方は、例えば投影データ、再構成画像、キャリブレーションデータやパラメータ、そしてコンピュータプログラムを記憶するために、メモリ1478を利用出来る。
プロセッサ1470は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)など、個々の論理ゲートとして実行可能な、CPUを含むことが出来る。FPGAまたはCPLDとしての実施形態は、VHDL、ベリログ、またはその他のハードウェア記述言語でコード化されていても良く、そして当該コードはFPGAまたはCPLDにおける電子メモリ内に直接格納されても良いし、または個別の電子メモリとして格納されても良い。更に、メモリ1478は、ROM、EPROM、EEPROM、またはFLASHメモリなど、不揮発性メモリであっても良い。メモリは、静的または動的RAMなど揮発性とすることも出来、電子メモリだけでなくFPGAまたはCPLDとメモリとの間相互作用を管理するためのマイクロコントローラやマイクロプロセッサなどプロセッサが提供されていても良い。
代わりに、再構成プロセッサにおけるCPUは、本開示で説明された機能を実行するコンピュータ読み取り可能命令のセットを含んでいるコンピュータプログラムを実行することが出来、当該コンピュータプログラムは、任意の上述の非一時的電子メモリおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASHドライブ、またはその他任意の既知の格納媒体に格納されている。更に、係るコンピュータ読み取り可能命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせで提供されても良く、所定のプロセッサと、所定のオペレーティングシステムや、当業者にとっては既知のその他オペレーティングシステムがプロセッサと一体となって実行する。更に、CPUは、命令を実行するために並行して協同的に動く、マルチプルプロセッサとして実行されても良い。
一実施形態において、再構成画像は、ディスプレイ516上に映し出すことが出来る。ディスプレイ516は、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、または当業者にとって既知のその他ディスプレイであっても良い。
メモリ1478は、ハードディスクドライブ、CD―ROMドライブ、DVDドライブ、FLASHドライブ、RAM、ROM、または当業者にとって既知のその他の格納メディアであっても良い。
ネットワークコントローラ1480は、CTスキャナの様々な部分間と相互作用することが出来る。加えて、ネットワークコントローラ1180は、外部ネットワークと相互作用も出来る。理解されている通り、外部ネットワークは、公衆ネットワークや、LANまたはWANネットワークなど私的ネットワークや、或いはこれらの任意の組み合わせでもよく、PSTNまたはISDNサブネットワークを含んでも良い。外的なネットワークは、有線で接続されていても良いし、またはEDGE、3Gや4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークの様な無線でも良い。無線ネットワークは、任意の公知の通信の無線形式のこともある。
以上述べた構成によれば、スペクトラルコンピュータ断層撮影において、サイノグラムドメインおよび画像ドメインを組み合わせた物質弁別を実行することができる。その際、例えばビームハードニング補正、散乱補正、検出器応答等についてはサイノグラムドメインにおいて実行し、先験的情報の利用等(平滑性、連続性、ボリューム制約、形状に関する情報)については、画像ドメインにおいて実行する。また、各ドメインにおいて、種々のキャリブレーション等を適切に行うことができる。その結果、サイノグラムドメインおよび画像ドメインのいずれかを択一的に選択して行った物質弁別を実行することとは対照的に、両方のドメインでの物質弁別それぞれの制約を解消することができる。
特定の実施形態が本開示で述べられてきた一方で、これらの実施形態は例として提示されたに過ぎず、開示の範囲を限定する意図はない。実に、本開示で述べられた新たな方法、装置やシステムは、他の様々な形態で具体化されてよく、更には、本開示の精神から乖離することなく、本開示に述べられた方法、装置やシステムの形式で省略、置き換え、変更がなされても良いだろう。
103…検出器
110…環状回転枠
112…X線源
114…コリメータ/フィルタ
115…開口アパーチャ
116…寝台/天板
120…環状回転枠
516…ディスプレイ
550…プロセス
1000…放射線ガントリ
1001…X線管
1002…環状フレーム
1003…X線検出器
1004…データ取得システム
1005…非接触データ送信装置
1006…前処理デバイス
1007…回転ユニット
1008…スリップリング
1009…高電圧発生器
1010…処理回路
1011…データ/制御バス
1012…メモリ
1013…電流調整器
1014…再構成デバイス
1015…入力デバイス
1016…ディスプレイ
1180…ネットワークコントローラ
1440…ガントリ
1470…プロセッサ
1476…データ収集システム
1478…メモリ
1480…ネットワークコントローラ

Claims (12)

  1. 複数のエネルギー成分を有し且つ複数の検出素子で検出された放射線の強度に対応する投影データを収集する収集部と、
    基底関数の第一のセットに基づいて前記収集された投影データを弁別することで、ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データを生成する投影データ生成部と、
    基底関数の第二のセットと前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データとを用いて、ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を再構成する画像再構成部と、
    前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像を対応する物質成分へと弁別する物質弁別処理を実行し、個別の物質成分画像を生成する物質成分画像生成部と、
    を具備する医用画像生成装置。
  2. 前記投影データ生成部は、投影データドメインでの物質弁別処理を実行し、
    前記物質成分画像生成部は、画像データドメインでの前記物質弁別処理を実行する
    請求項1記載の医用画像生成装置。
  3. 前記投影データ生成部は、前記物質弁別処理後の前記投影データを用いて、前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データを生成する請求項2記載の医用画像生成装置。
  4. 前記基底特定画像に基づいて、収集された前記投影データに対して散乱補正を行う散乱補正部をさらに具備する請求項2記載の医用画像生成装置。
  5. 前記基底関数の前記第一のセットは物質成分基底関数であり、
    前記投影データ生成部は、ビームハードニング補正を含む物質弁別法と、前記基底関数の前記第一のセットとしての物質成分基底関数のセットと、を用いて前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定投影データを生成する請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  6. 前記投影データ生成部は、
    複数の放射線エネルギーに対応し且つ前記基底関数の第一のセットの基底成分に対応する個別の減衰係数を決定し、
    前記基底成分に対応する投影距離によって前記個別の減衰係数を乗じることを用いて、前記基底特定投影データを生成する、
    請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  7. 前記投影データ生成部は、キャリブレーションされた検出器応答とキャリブレーションされた放射線スペクトルとを用いて、前記基底特定投影データを生成する請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  8. 前記物質成分画像生成部は、前記物質弁別処理において、減衰係数が予め設定された物質を有する第一の対象を用いてキャリブレーションを実行する請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  9. 前記物質成分画像生成部は、先験的情報を用いて前記物質弁別処理を実行する請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  10. 前記ビームハードニングの影響を受けない基底特定画像は前記放射線の離散的エネルギーのそれぞれに対応する複数の単一エネルギー画像であり、
    前記基底関数の第二のセットは前記物質成分に対応する基底関数のセットである
    請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  11. 生成された前記基底特定画像に基づいて、収集された前記投影データに対して散乱補正を行う散乱補正部をさらに具備し、
    前記投影データ生成部は、前記散乱補正された前記投影データに基づいて、前記散乱補正後の前記基底特定投影データを生成し、
    前記画像再構成部は、前記散乱補正後の前記基底特定投影データに基づいて、散乱補正後の前記基底特定画像を生成し、
    前記画像生成部は、前記散乱補正後の前記基底特定画像に基づいて前記物質弁別処理を行なうことで、前記物質成分画像を生成すること、を繰り返す逐次処理を実行する、
    請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の医用画像生成装置。
  12. 前記逐次処理は、前記物質成分画像の隣接逐次間の差分の所定のノルムを基準とする停止条件を満たすまで繰り返し実行される請求項11記載の医用画像生成装置。
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