以下、本発明の硬化性組成物について、好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性有機物質(A)及びカチオン重合開始剤(B)を含有し、カチオン重合性有機物質(A)として、上記一般式(I)で表される化合物を必須成分とする。以下、各成分について順に説明する。
上記一般式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18で表されるアルキル基及びアルコキシ基を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18で表される、ハロゲン原子で置換されている場合もある炭素原子数1〜7のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、等が挙げられ、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18で表される、ハロゲン原子で置換されている場合もある炭素原子数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物に用いられるカチオン重合性有機物質(A)としては、上記一般式(I)で表される化合物の他、光照射又は加熱により高分子化または、架橋反応を起こす化合物であればどのような化合物でもよく特に限定されるものではないが、一例を挙げると以下の通りである。
例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物、ビニル化合物などであり、これらの1種または2種以上使用することができる。中でも入手するのが容易であり、取り扱いに便利なエポキシ化合物が適している。該エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが適している。
前記芳香族エポキシ樹脂の具体例としては、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテルやエポキシノボラック樹脂などが挙げられる。
前記芳香族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としてはエピコート801、エピコート828、エピコートYX−4000、YDE−305、871、872(ジャパンエポキシレジン社製)、KRM−2720、EP−4100、EP−4000、EP−4080、EP−4088、EP−4900(ADEKA社製)、エポライト3002(共栄社化学社製)、サントートST0000、YD−716、YH−300、PG−202、PG−207、YD−172、YDPN638(新日鐵化学社製)、EPPN−201、EOCN−1020、EPPN−501H(日本化薬社製)などを挙げることができる。
前記脂環族エポキシ樹脂の具体例としては、上記一般式(I)で表される化合物の他、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシー2−2エポキシエチルシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、等が挙げられる。
前記脂環族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としてはUVR−6100、UVR−6105、UVR−6110、UVR−6128、UVR−6200(以上、ユニオンカーバイド社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、セロキサイド2000、セロキサイド3000、サイクロマーA200、サイクロマーM100、サイクロマーM101、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリード401、エポリード403、ETHB、エポリードHD300(以上、ダイセル(株)製)、KRM−2110、KRM−2199(以上、ADEKA(株)製)などを挙げることができる。
前記脂環族エポキシ樹脂の中でも、シクロヘキセンオキシド構造を有するエポキシ樹脂は硬化性(硬化速度)の点で好ましい。
前記脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記脂肪族エポキシ樹脂の中でも、下記一般式(II)或いは下記一般式(III)で表されるものが、硬化物の耐黄変性が高いので好ましい。
(式中、Z2は脂肪族環状構造を有する炭化水素基を表す。)
上記一般式(II)におけるZ2で表される脂肪族環状構造としては、シクロヘキサン環、ジシクロペンタジエン環、ジシクロペンテン環、アダマンタン環、デカヒドロナフタレン環、トリシクロデカン環等が挙げられ、シクロヘキサン環、ジシクロペンテン環、ジシクロペンタジエン環、トリシクロデカン環が、入手容易なので好ましく、特にトリシクロデカン環が好ましい。Z2で表される脂肪族環状構造は、これらの環1つのみからなるものであってもよい。その場合、当該1つの環に2つのグリシジルエーテル基が結合する。或いは、Z2で表される脂肪族環状構造は、これらの環2つ以上が連結基で連結されている構造であってもよい。環2つ以上が連結基で連結されている構造である場合、2つのグリシジルエーテル基の両方が、Z2中の複数の環の1つに結合していてもよく、2つのグリシジルエーテル基がZ2中の異なる環にそれぞれ結合していてもよい。Z2で表される脂肪族環状構造が環2つ以上が連結基で連結されている構造である場合、連結されている環同士は、同種の環である場合もあり、異なる種類の環である場合もある。連結基としては、2価のものが好ましく、その場合、例えば、上記一般式(I)におけるZ1で表される基と同様の基が挙げられる。環2つ以上が連結基で連結されている構造としては、例えば2つのシクロヘキサン環同士が、上記一般式(I)におけるZ1で表される基と同様の基で連結されている構造が好ましく挙げられる。
(式中、R19は、炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、該炭化水素基は直鎖または分岐している場合もあり、Rxは直接結合又は炭素原子数1〜10の二価の炭化水素基であり、nは、1〜30の数であり、mは1〜4の数である。)
前記一般式(II)で表される脂肪族エポキシ化合物としては、具体的には、下記式で表される化合物が、入手容易なので好ましい。
前記一般式(III)で表される脂肪族エポキシ化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。
前記脂肪族エポキシ樹脂として好適に使用できる市販品としてはED−505、ED−506(ADEKA社製)、エポライトM−1230、エポライトEHDG−L、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF、エポライト4000、エポライトFR−1500(共栄社化学社製)、サントートST0000、YD−716、YH−300、PG−202、PG−207、YD−172、YDPN638(新日鐵化学社製)デナコールEX321、デナコールEX313、デナコール314、デナコールEX−411、EM−150(ナガセケムテックス社製)、EPPN−201、EOCN−1020、EPPN−501H(日本化薬社製)、EHPE−3150、EHPE−3150CE(ダイセル社製)などを挙げることができる。
前記オキセタン化合物の具体例としては、例えば以下の化合物を挙げることができる。3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを例示することができる。
前記オキセタン化合物として好適に使用できる市販品としては具体的な製品名としては、アロンオキセタンOXT−101,OXT−121,OXT−221,OXT−212,OXT−211(以上、東亞合成(株)製)、エタナコールEHO,OXBP,OXTP,OXMA(以上、宇部興産(株)製)などが挙げられる。これらは1種単独或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら、オキセタン化合物は特に可撓性を必要とする場合に使用すると効果的であり好ましい。オキセタン化合物は、脂環、芳香族環、又はオキセタン環を除く複素環を有する場合もあり、脂環、芳香族環又は該複素環を有さない場合もある。脂環、芳香族環又は該複素環を有さない場合としては脂環、芳香族環又は該複素環を有さない脂肪族鎖にオキセタン環が結合した構造が挙げられる。オキセタン化合物は、ハロゲン原子を構造中に有する場合もあり、ハロゲン原子を構造中に有しない場合もある。ハロゲン原子としては上記一般式(I)のR1等で表されるアルキル基を置換できるハロゲン原子の例として上記の説明で挙げたものが挙げられる。またオキセタン化合物は、低粘度の点から、分子量1000以下が好ましく、500以下がより好ましい。またオキセタン化合物は単官能である場合もあり多官能である場合もある。多官能である場合は、2個以上10個以下のオキセタン環を持つオキセタン化合物が好ましく、2個以上4個以下のオキセタン環を持つオキセタン化合物がより好ましい。
その他のカチオン重合性有機物質(A)としては、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランなどのオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサンシクロオクタンなどの環状アセタール化合物、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトンなどの環状ラクトン化合物、エチレンスルフィド、チオエピクロルヒドリンなどのチイラン化合物、1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンなどのチエタン化合物、テトラヒドロチオフェン誘導体などの環状チオエーテル化合物、エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレングリコールのプロペニルエーテルなどのビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物、スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエンなどのエチレン性不飽和化合物及び上記誘導体などが挙げられる。
本発明においては、カチオン重合性有機物質(A)として、上記一般式(I)で表される化合物の他、上述したカチオン重合性有機物質のうち1種または2種以上を配合して使用することができる。
カチオン重合性有機物質(A)において、上記一般式(I)で表される化合物の割合は、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し40〜90質量部が、耐熱性及び耐黄変性が高いので好ましい。
また硬化性組成物が、脂肪族エポキシ化合物(A2)、上記一般式(I)で表される化合物を除く脂環族エポキシ化合物(A3)及びオキセタン化合物(A4)からなる群から選択される一種以上の化合物を含有する場合、耐熱性及び耐黄変性の点から、当該化合物の割合は、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し20〜70質量部がより好ましく、30〜60質量部が特に好ましい。ここでいう化合物の割合とはカチオン重合性有機物質(A)が、脂肪族エポキシ化合物(A2)、上記一般式(I)で表される化合物を除く脂環族エポキシ化合物(A3)及びオキセタン化合物(A4)からなる群から選択される1種のみの化合物を含有する場合は、その量であり、2種以上の化合物を含有する場合は、それらの合計量である。
硬化性組成物が脂肪族エポキシ化合物(A2)を含有する場合は、脂肪族エポキシ化合物(A2)の量が、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
硬化性組成物が式(II)で表される化合物を含有する場合、当該式(II)で表される化合物の量は、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
硬化性組成物が式(III)で表される化合物を含有する場合、当該式(III)で表される化合物の量は、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との合計量の好ましい範囲としては、上記脂肪族エポキシ化合物(A2)の好ましい含有量の範囲と同様の範囲が挙げられる。
また硬化性組成物が上記一般式(I)で表される化合物を除く脂環族エポキシ化合物(A3)を含有する場合は、該脂環族エポキシ化合物(A3)の量が、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
更に硬化性組成物がオキセタン化合物(A4)を含有する場合は、オキセタン化合物(A4)の量が、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。
カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対し、芳香族エポキシ化合物の含有量は80質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。カチオン重合性有機物質(A)は芳香族エポキシ化合物を非含有であってもよい。
カチオン重合性有機物質(A)が硬化性組成物に占める割合は、80〜99質量%であるのが、硬化性が高いので好ましい。硬化性組成物が溶媒を含む場合、ここでいう割合は、溶媒を含まない硬化組成物中のカチオン重合性有機物質(A)の量を指す。
本発明の硬化性組成物に用いられるカチオン重合開始剤(B)とは、光照射又は加熱により活性化することが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、紫外線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、[A]m+[B]m-で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]m+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、[(R20)aQ]m+で表すことができる。
更にここで、R20は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR20は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子或いは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、[LXb]m-で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式の陰イオン[LXb]m-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(B(C6F5)4)-、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]m-は、下記一般式、[LXb-1(OH)]m-で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4)-、テトラフルオロほう酸イオン(BF4)−、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6)−等の無機イオン;フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;テトラアリールほう酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸イオン等のほう酸イオン;メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p−トルエンカルボン酸イオン等のカルボン酸イオン;トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、メチル硫酸イオン(CH3OSO3)−、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等を挙げることができる。
本発明において、カチオン重合開始剤は、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(B(C6F5)4)-等のボレート系アニオンの塩であってもよく、ボレート系アニオン以外のアニオンの塩であってもよい。ボレート系アニオン以外の塩であると、硬化物の黄変がより一層抑制されやすいため好ましい。しかしながら、本発明は、ボレート系アニオンの塩を有していても、優れた黄変防止効果が得られるものである。
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
また、その他好ましいものとしては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(V)で表される芳香族スルホニウム塩が、感度の点からさらに好ましい。
(式中、R101、R102、R103、R104、R105、R106、R107、R108、R109及びR110は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R115は、下記(α)〜(γ)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq−はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。)
(式中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R45、R46、R47、R48及びR49は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R31、R32、R33、R34、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
上記一般式(V)で表される化合物において、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48及びR49で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48及びR49で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R45、R46、R47、R48及びR49で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R45、R46、R47、R48及びR49で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
上記カチオン重合開始剤(B)としては市販品を用いることもでき、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6976、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6992、サイラキュアUVI−950(米国ユニオンカーバイド社製)、イルガキュア250、イルガキュア261、イルガキュア270、イルガキュアPAG103、イルガキュアPAG121、イルガキュアPAG203、イルガキュアPAG290、イルガキュア725、イルガキュアCGI1380、イルガキュアCGI1907及びイルガキュアGSID26−1(BASF社製)、SP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(ADEKA社製)、DAICATII(ダイセル社製) 、UVAC1591( ダイセル・オルネクス社製)、CI−2481、CI−2734、CI−2823、CI−2758(日本曹達社製)、FFC509(3M社)、サンエイドSI−45L、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−150L及びサンエイドSI−180L(三新化学社製)、BBI−102、BBI−103、BBI−105、BBI−106、BBI−109、BBI−110、BBI−201、BBI、301、BI−105、DPI−105、DPI−106、DPI−109、DPI− 201、DTS−102、DTS−103、DTS−105、NDS−103、NDS−105、NDS−155、NDS−159、NDS−165、TPS−102、TPS−103、TPS−105、TPS−106、TPS−109、TPS−1000、MDS−103、MDS−105、MDS−109、MDS−205、MPI−103、MPI−105、MPI−106、MPI−109、DS−100、DS−101、MBZ−101、MBZ−201、MBZ−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NB−101、NB−201、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001、PI−105、PI−106、PI−109、PYR−100、SI−101 、SI−105、SI−106及びSI−109(みどり化学社製)、カヤキュアーPCI−204、カヤキュアーPCI−205、カヤキュアーPCI−615、カヤキュアーPCI−625、Kayarad 220及びKayarad 620、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記カチオン重合性有機物質(A)に対するカチオン重合開始剤(B)の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、カチオン重合性有機物質(A)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部とすることができる。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の強度に悪影響を与える場合がある。
本発明の硬化性組成物には、さらに、酸化防止剤(C)を加えることができる。酸化防止剤(C)としては、特に制限なく従来公知のものを使用することができるが、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等を挙げることができる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−メチル−4,6−ビス(オクチルスルファニルメチル)フェノール、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、2,2’−オキサミド−ビス[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−エチルヘキシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸及びC13−15アルキルのエステル、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、ヒンダードフェノールの重合物(アデカパルマロール社製商品名AO.OH998)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフォビン、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネートカルシウム塩、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2(3H)−ベンゾフラノンとo−キシレンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、DL−a−トコフェノール(ビタミンE)、2,6−ビス(α−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−フェニル)ブタン酸]グリコールエステル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’―tert−三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、パルミチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ミリスチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド、ラウリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド等の3−(3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸誘導体等が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、ヘプタキストリホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジオレイルヒドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)ホスファイト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト、テトラフェニルジプロピルグリコールジホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールとステアリン酸カルシウム塩との混合物、アルキル(C10)ビスフェノールAホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニル−テトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2―tert−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、(1−メチル−1―プロパニル−3−イリデン)トリス(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン)ヘキサトリデシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスフェススピロ[5,5]ウンデカン、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスファイト、ポリ4,4’−イソプロピリデンジフェノールC12−15アルコールホスファイト等が挙げられる。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、テトラキス[メチレン−3−(ラウリルチオ)プロピオネート]メタン、ビス(メチル−4−[3−n−アルキル(C12/C14)チオプロピオニルオキシ]5−tert−ブチルフェニル)スルファイド、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル/ステアリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、ジステアリル−ジサルファイドが挙げられる。
本発明において、酸化防止剤(C)の好ましい使用量は、カチオン重合性有機物質100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.01〜0.5質量部である。
本発明の硬化性組成物には、通常、必要に応じて前記各成分を溶解または分散しえる溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノールを加えることができる。
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系の紫外線吸収剤;カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、フッ素樹脂又は金属酸化物、(ポリ)リン酸メラミン、(ポリ)リン酸ピペラジン等の難燃剤;炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、脂肪族アマイド系又は金属石けん系の滑剤;顔料、カーボンブラック等の着色剤;フュームドシリカ、微粒子シリカ、けい石、珪藻土類、クレー、カオリン、珪藻土、シリカゲル、珪酸カルシウム、セリサイト、カオリナイト、フリント、長石粉、蛭石、アタパルジャイト、タルク、マイカ、ミネソタイト、パイロフィライト、シリカ等の珪酸系無機添加剤;ガラス繊維、炭酸カルシウム等の充填剤;造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、シランカップリング剤、可撓性ポリマー等のゴム弾性付与剤、増感剤、他のモノマー、消泡剤、増粘剤、レべリング剤、可塑剤、重合禁止剤、静電防止剤、流動調整剤、カップリング剤、接着促進剤等の各種添加剤を添加することができる。これらの各種添加剤の使用量は、本発明の硬化性組成物中、合計で、50質量%以下とする。
本発明の硬化性組成物は、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3 本ロール等の混合機を用いて上記各成分を混合した後、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
本発明の硬化性組成物は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより通常は0.1秒〜数分後に指触乾燥状態或いは溶媒不溶性の状態に硬化することができる。適当なエネルギー線としては、光酸発生剤の分解を誘発する限りいかなるものでもよいが、好ましくは、超高、高、中、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、エキシマーランプ、殺菌灯、エキシマーレーザー、窒素レーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、YAGレーザー、発光ダイオード、CRT光源等から得られる2000オングストロームから7000オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電子線、X線、放射線等の高エネルギー線を利用する。
エネルギー線への暴露時間は、エネルギー線の強度、塗膜厚やカチオン重合性有機化合物によるが、通常は0.1秒〜10秒程度で十分である。しかし、比較的厚い塗装物についてはそれ以上の照射時間をかけたほうが好ましい。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には、ほとんどの組成物はカチオン重合により指触乾燥するが、カチオン重合を促進するため加熱やサーマルヘッド等による熱エネルギーを併用することも場合によっては好ましい。
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる場合の条件は、70〜250℃で1〜100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。
加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃ 、好ましくは200〜250℃ で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
本発明の硬化性組成物の具体的な用途としては、光学フィルタ、塗料、コーティング剤、ライニング剤、接着剤、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光学素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料、印刷インク、歯科用組成物、光造形用樹脂、液状及び乾燥膜の双方、微小機械部品、ガラス繊維ケーブルコーティング、ホログラフィ記録用材料の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
本発明の硬化性組成物を封止剤として用いる場合、上記の方法により混合、被封止物が設けられた支持体(支持基板)上に塗布し、光照射又は加熱により硬化することにより、被封止物の表面及び/又は該支持体における被封止物の表面に、硬化性組成物の硬化物からなる封止部が形成された積層体を形成する。封止部の形状としては、積層体における被封止物を外気から保護しうる形状であれば特に限定されず、該被封止物を完全に被覆する形状であってもよいし、該被封止物の周辺部に閉じたパターンを形成してもよいし、該被封止物の周辺部に一部開口部を設けた形状のパターンを形成してもよい。また、支持体上に本発明の硬化性組成物を塗布した後に、ガスバリアフィルム等の本発明の硬化性組成物とは別の組成物から形成された封止用フィルムを積層させ、その後に硬化を行うことで、封止用フィルムと被封止物及び/又は支持体との間が本発明の硬化性組成物の硬化物により接着された積層体を形成してもよい。被封止物としては後述する有機EL素子や光半導体素子等の各種の素子等が挙げられる。
本発明の封止剤は、照明や自動車のヘッドライトなどの高輝度が求められる用途、高温高湿や大きな温湿度変化のある環境に曝される用途や屈曲などの変形が加わる用途、例えば有機EL素子等の光学素子のほか、LED 、フォトダイオードをはじめとする光半導体素子、プリント配線板上のチップなどに好適に用いられる。
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[実施例1〜10及び比較例1〜3]組成物No.1〜No.10及び比較組成物No.1〜No.3の調製
[表1]に示す配合で各成分を混合し、不溶物が無くなるまで撹拌し、組成物No.1〜No.10及び比較組成物No.1〜No.3を得た。尚、表中の配合割合の単位は質量部である。
A−1:2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン(上記一般式(I)で表されるカチオン重合性有機物質)
A−2:EP−4080E(ADEKA社製)(上記一般式(II)で表されるカチオン重合性有機物質)
A−3:セロキサイド2021P(ダイセル社製)
A−4:EHPE−3150(ダイセル社製)(上記一般式(III)で表されるカチオン重合性有機物質)
A−5:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
A−6:アロンオキセタンOXT−221(東亞合成社製)
A−7:EP−4088S(上記一般式(II)で表されるカチオン重合性有機物質)
A−8:EX−216L(ナガセケムテックス)(上記一般式(II)で表されるカチオン重合性有機物質)
B−1:SP−170(上記一般式(V)で表されるカチオン重合開始剤)
B−2:(上記一般式(V)で表されるカチオン重合開始剤)
B−3:SI−100(三新化学)
B−4:SI−B3(三新化学)
C−1:AO−60(ADEKA社製フェノール系酸化防止剤)
[評価例1〜9及び比較評価例1〜3]
実施例1〜9で得られた組成物No.1〜No.9及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、離型処理済みのガラス板に厚さ500μmで塗布した。高圧Hgランプで5000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して単膜を得た。また実施例10で得られた組成物No.10に関しては、離型処理済みのガラス板に厚さ500μmで塗布した後、光照射せず150℃で1時間加熱して単膜を得た。
得られた単膜について7002(イリノイ社製)を用いて測定開始から4時間後の水蒸気透過率を測定し、ガスバリア性とした。測定結果を[表2]に示す。
[評価例1〜10及び比較評価例1〜3]
実施例1〜9で得られた組成物No.1〜No.9及び比較例1〜3で得られた比較組成物No.1〜No.3をそれぞれ、ガラス板に厚さ50μmで塗布し、もう一枚のガラスを貼り合わせて高圧Hgランプで1000mJ/cm2のエネルギーを照射し、150℃で1時間加熱して試験片を得た。また実施例10で得られた組成物No.10に関しては、ガラス板に厚さ50μmで塗布し、もう一枚のガラスを貼り合わせた後、光照射せず150℃で1時間加熱して試験片を得た。得られた試験片のb*を紫外可視近赤外分光光度計V−670(日本分光社製)を用いて測定した。その後、得られた試験片を200℃、85℃×85%Rhの環境に500時間入れた後にb*の測定を行った。b*の結果を[表3]に示す。
以上の結果より、上記カチオン重合性有機物質(A)、カチオン重合開始剤(B)、及び必要に応じて酸化防止剤(C)を含有する本発明の硬化性組成物は、ガスバリア性及び耐熱性が高いことが明らかである。よって、本発明の硬化性組成物は封止剤に有用である。