JP2018135247A - カーボンナノファイバー複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、導電性に優れ、保存安定性が高い、カーボンナノファイバーと粘土と水のみからなる複合体を提供することを目的とする。【解決手段】前記課題は、カーボンナノファイバー、粘土および水のみからなる混合物の焼成物である複合体であり、混合物の固形分100質量部に対して、カーボンナノファイバー1〜20質量部、粘土80〜99質量部を含む複合体、また、粘土が、テラコッタ粘土、陶器用粘土および磁器用粘土からなる群より選ばれる一つ以上である前記複合体により解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノファイバー、粘土および水のみからなる混合物の焼成物である複合体に関する。
現在、カーボンナノチューブを代表とした各種のカーボンナノファイバーが開発されており、例えば、導電フィラー、熱伝導材料、発光素子、電池やキャパシターの電極材料、配線材料や配線どうしの電極接合材料、補強材料、黒色顔料などの各種用途において、多様な機能を有する材料として有望視されている。
カーボンナノファイバーは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを超えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノファイバーは様々な優れた性質を有するため、工業材料として魅力的な物質である。
これまでに、カーボンナノファイバーの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。樹脂の強化や伝導性複合材料としてカーボンナノファイバーを添加したり、走査プローブ顕微鏡の探針として利用されたりしている。また、微小電子源として、電界放出型電子素子やフラットディスプレィとしてカーボンナノファイバーが利用されている。
このように、カーボンナノファイバーは、種々の応用が考えられるが、最近では色々な材料として用いられるポリマー樹脂の充填剤(フィラー)としての応用が考えられている。従来からポリマーに導電性、力学的強度、難燃性などの機能を付与するために、さまざまなフィラーを添加させることが行われてきた。
例えば、導電性を付与させる場合、ポリカーボネートなどのポリマーやブタジエンゴムのようなエラストマーに、カーボンブラックや炭素繊維、金属酸化物等の導電性フィラーを配合することが行われてきた。高い導電性を付与するため導電性材料の配合を増加させた場合、成形性の低下や衝撃強度などの力学的特性の大幅な低下といった問題が生じていた。
これらの問題を解決するため、最近では気相成長炭素繊維やカーボンナノファイバー等を樹脂に配合することが行われている(例えば特許文献1〜2)。
しかし、粘土もしくはセラミックに直接カーボンナノファイバーを練り込んだ例は少なく、改質カーボンナノチューブを改質剤として層間挿入した層状粘土材料からなる改質粘土、および高分子材料との導電性複合体の例が報告されている(特許文献3)。また、官能基を有するカーボンナノチューブと、架橋剤からなる構造体をセラミックスの原料を含浸させ焼成することで複合材を製造する方法が報告されている(特許文献4)。
また、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂およびフェノール樹脂から構成される群から選択された1種以上のベース樹脂100重量部;メラミン系硬化剤が1−20重量部;カーボンブラックおよびカーボンナノチューブのうち1種以上3−7重量部;金属粉末1−20重量部;および有機化された粘土2.5−7.5重量部を含むコーティング剤組成物が報告されている(特許文献5)。
また、セラミックマトリックスと、カーボンナノチューブ浸出繊維材料とを含んで構成される複合材料が報告されている(特許文献6)。
特許文献3では、粘土を用いて高分子材料の難燃性を向上させる目的で、粘土の層間に改質剤としてカーボンナノチューブを挿入している。これは、高分子材料の熱分解や燃焼により生成されるフリーラジカルをカーボンナノチューブで捕捉することによる難燃性機能を目的としており、粘土とカーボンナノチューブのみからなる複合体とは異なる。同様に、特許文献4でも、官能基を有するカーボンナノチューブと架橋剤からなる架橋した構造体をセラミックスと複合させた複合体であるが、このセラミックスとは、二酸化ケイ素や二酸化チタンであるので、粘土とカーボンナノチューブのみからなる複合体とは異なる。
更に、高分子材料や架橋剤が含まれることにより、導電性が大きく低下するという問題点がある。
また、特許文献5では、導電性および耐腐食性に優れたコーティング組成物であり、これもまた粘土とカーボンナノチューブのみからなる複合体とは異なる。さらに、特許文献6におけるカーボンナノチューブ浸出繊維材料とは、カーボンナノチューブが結合した繊維材料であり、これもまた粘土とカーボンナノチューブのみからなる複合体とは異なる。
そして、これら組成物や複合材料も、高分子材料や繊維材料が含まれることにより、導電性が大きく低下するという問題点がある。
特開平7−102112号公報 特表2002−503204号公報 特開2010-006695号公報 特開2005-097046号公報 特表2012-509977号公報 特表2013−511467号公報
本発明は、導電性に優れ、保存安定性が高い、カーボンナノファイバーと粘土と水のみからなる混合物の焼成物である複合体に関することを目的とする。
すなわち本発明は、カーボンナノファイバー、粘土および水のみからなる混合物の焼成物である複合体であり、混合物の固形分100質量部に対して、カーボンナノファイバー1〜20質量部、粘土80〜99質量部を含む複合体に関する。
更に本発明は、粘土が、テラコッタ粘土、陶器用粘土および磁器用粘土からなる群より選ばれる一つ以上である前記複合体に関する。
更に本発明は、カーボンナノファイバーが、置換基を有しても良い多層カーボンナノチューブ、置換基を有しても良い単層カーボンナノチューブまたは置換基を有しても良い黒鉛である前記複合体に関する。
本発明により、導電性に優れ、保存安定性が高い、カーボンナノファイバー、もしくは置換基を有するカーボンナノファイバーと粘土と水のみからなる混合物の焼成物である複合体を提供することができた。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
カーボンナノファイバー、粘土および水のみからなる混合物の固形分100質量部における組成比は、カーボンナノファイバー1〜20質量部、粘土80〜99質量部が好ましく、水は混合物を作成するときに加えるが、乾燥により蒸発する。更に好ましい、カーボンナノファイバーと、粘土の混合物の固形分100質量部における組成比は、カーボンナノファイバー1〜10質量部、粘土90〜99質量部である。
置換基を有しても良いカーボンナノファイバーとは、無置換のカーボンナノファイバーおよび置換基を有しても良いカーボンナノファイバーを示し、置換基を有しても良いカーボンナノファイバーの代表例として、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーがある。その製造方法としては、カーボンナノファイバーにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに加熱すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。
加熱は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点以下が好ましい。例えば、濃硝酸では50〜80℃の範囲が好ましい。また、加熱の時間としては、30分〜10時間の範囲が好ましく、1時間〜8時間の範囲がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノファイバー(カーボンナノファイバーカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバーが得られる。
カーボンナノファイバーとして用いられる無機炭素材料由来の炭素粒子としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及びミディアムサーマルカーボンブラック等のカーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、黒鉛、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン及び炭素繊維等が挙げられる。
カーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブがある。
単層カーボンナノチューブは、ナノメートル領域の直径を持つ継ぎ目のない円筒状で、グラフェンシートが丸まった状態としてイメージすることができる。ナノチューブの構造は、直径とチューブの軸に対する炭素の6員環の相対的な方向で規定される。例えば、名城ナノカーボン(EC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5−P)等が挙げられる。
多層カーボンナノチューブは同心円筒状のこれらチューブから構成され、幾つかの単層チューブが入れ子になっていると考えられており、少ない場合は6層、多い場合で25層ほどの同心多層構造をとる。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7〜2.0nmに対して、10〜30nmと大きい値を示す。カーボンナノチューブの持つ優れた独特の特性によって、新たな応用開発や既存の用途における性能改善を行うことが可能となる。例えば、CNano社(FloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200)、Nanocyl社(NC7000)、Knano社(100T)、トーヨーカラー社製の特開2016−13680号公報、特開2013−166140号公報、特開2014−001083号公報記載の多層カーボンナノチューブ等が挙げられる。
本発明において、黒鉛とは、炭素原子が6角形をなす平面構造を有するグラフェンシートが、ファンデルワールス力により弱く結合した複層構造を有している。黒鉛は、欠陥の少ない平面構造を有しているため、高い電子伝導性、高い熱伝導性や高い機械的強度を示す。黒鉛には、天然の鉱物から採れる天然黒鉛と、石油石炭系の原料から作られる人造黒鉛があり、例えば伊藤黒鉛工業株式会社の、鱗片状黒鉛(XD−150、V−100、CGP−18)や土状黒鉛(CP2000M、MAC−5)、膨張化黒鉛(EC1500、EC300、EC10)等、xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる粘土の代表例としては、テラコッタ粘土、陶器用粘土または磁器用粘土が挙げられ、陶器用粘土は、混練して成形し、低温(800℃前後)で焼いくことにより素焼き状の容器が得られ、素焼き状の容器の具体例としては、赤褐色の植木鉢や赤レンガ、こんろ、濾水器などがある。また、陶器用粘土は、高温(1000〜1250℃)で焼成された場合、吸水性があるため、釉薬を施して焼きものとして使用される。焼きものの具体例としては、須恵器、楽焼などがあり、現在、茶器や食器、花器、瓦など幅広く使われている。磁器用粘土は、原材料に石英や長石を多く含み焼成すると透光性が出る。一般的には、混練して型等により成形し、高温(1200〜1400℃)で還元焼成され、食器等の日用磁器製品として使用される。具体例としては、洋食器、衛生磁器、インテリア磁器等が挙げられる。
テラコッタ粘土は、陶芸窯で焼成(一般的には800〜1100℃)することにより恒久的な強度を持つことができる焼き物用の天然粘土で、植木鉢やタイル、レンガ、建築用素材などに使われている。また、その製造販売元の代表例としては、株式会社サンワのテラコッタ粘土、ニューテラコッタ等が挙げられる。
テラコッタ粘土、陶器用粘土または磁器用粘土は、いずれも粘土と長石と珪石から出来ている天然粘土で、その種類は鉄分の含有量が多い赤色系、鉄分の含有量が少ない白色系に分けられる。赤色系は、並赤土、赤土2号土、赤1号土、赤3号土、赤5号土、赤7号土などがある。白色系には、楽白土、京白土、シノハラ土、古信楽土、磁器上土、織部土等に分けられる。また、その製造販売元は各地の粘土産地にあり、代表例を挙げると、磁器土では石丸窯業原料株式会社の白磁−100、白磁―50、SP−4、SP−10等が挙げられる。陶器土では、浅岡窯業原料株式会社の特練土B、古陶大、楽白土、特こし土等が挙げられる。
本発明の複合体を得る一例を説明する。粘土とカーボンナノファイバーと水との混合物を、混合もしくは練り込みにより調整し、成型後に水を乾燥させ、焼成等により硬化させる方法が挙げられる。また、成型された粘土表面に、カーボンナノファイバーと水とから成る組成物を塗布する事により含浸させて混合物を作製し、その後、水を乾燥させ、焼成等により硬化させる方法が挙げられる。
カーボンナノファイバーを粘土中に練り込む方法としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「ホモディスパー」「フィルミックス」等のホモジナイザー類; スキャンデックス(株式会社スキャンデックス社製)、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル( ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
粘土中にカーボンナノファイバーを練り込む方法としては、日本電産シンポ株式会社製:真空式土練機NVA−04S型、真空土練機TV−25型、真空土練機VM−05型、真空土練機VM−05S型、真空土練機VM−1型、真空土練機VM−1S型等が挙げられる。本田鐵工株式会製社:CKH型連続混練機、PM型混練機、株式会社メッツ製:粘土練り機M3型、粘土練り機M5型等がある。
また、粘土表面にカーボンナノファイバーを塗布含浸させることも可能であり、この方法で粘土の表面にカーボンナノファイバーの分散液を塗布することも有効な手段である。
ここで示すカーボンナノファイバーの分散液は、水中にカーボンナノファイバーを1〜10質量部の割合で混合し、スキャンデックス(株式会社スキャンデックス社製)で分散したものである。
カーボンナノファイバー分散液の塗工によって得る膜の厚さは、特に限定されるものではないが、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。
カーボンナノファイバー分散液を、粘土の片面または両面に塗布し、もしくは金型等を用いて成形後、必要に応じて加熱乾燥後、800〜1250℃において加熱焼結させることで目的の複合体を得ることができる。
本発明のカーボンナノファイバー複合体は、カーボンナノファイバーと粘土からなる混合物の焼成物からなる導電性複合体で、粘土中にカーボンナノファイバーを分散もしくは含浸させ、乾燥や焼成することによって、カーボンナノファイバーが擦れや摩耗によって脱落することが防げるだけでなく、強靭さ故にヒートサイクル性や導電性に優れることが期待され、耐久性や導電性に優れた複合体が提供可能であると期待できる。
本発明に用いる置換基を有しても良いカーボンナノファイバーは、炭素材料の末端および/または側面にカルボキシル基が結合した無機炭素材料由来の炭素粒子である。たとえば、カルボキシル基を有する無機炭素材料由来の炭素粒子としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及びミディアムサーマルカーボンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、黒鉛、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン及び炭素繊維等が挙げられる。
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
以下、トーヨーカラー社製の多層カーボンナノチューブの製造方法を示す。
(製造例1)[カーボンナノチューブ合成用触媒の製造]
酢酸コバルト・四水和物200部、酢酸マグネシウム・四水和物172部、七モリブデン酸六アンモニウム・四水和物3.5部をビーカーに量り取り、精製水を1488部加えて完全に溶解するまで攪拌した。耐熱性容器に移し替え、電気オーブンを用いて、雰囲気温度150±5℃の温度で60分間乾燥させ水分を蒸発させた後、乳鉢で粉砕して平均粒径(D50)20μmの触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体300部を耐熱容器に量り取り、マッフル炉にて、空気中450±5℃雰囲気下で60分間焼成した後、乳鉢で粉砕して平均粒径(D50)2μmの触媒を得た。
(製造例2)[多層カーボンナノチューブの製造]
減圧が可能で、外部ヒーターで加熱可能な横型反応管の中央部に、製造例1で得られた触媒1.0gを散布した石英ガラス製耐熱皿を設置した。横型反応管中の空気を真空ポンプにて1×103Paまで減圧後、アルゴンガスを8×104Paまで注入し、再度真空ポンプにて1×103Paまで減圧する、を2回繰り返して、横型反応管中の酸素濃度を0.1体積%以下とした。1×103Paに保ちながら外部ヒーターにて加熱し、横型反応管の中心部が850℃まで加熱した。合成温度850±5℃ に保ち、ブタン/プロパン混合ガスを注入し、3×104〜6×104Paに反応管内の圧力を維持しながら3時間反応させて多層カーボンナノチューブを製造した。合成終了後、反応管内のガスをアルゴンガスで置換し、200℃以下の温度で取り出し、多層カーボンナノチューブを得た。
以下、カルボキシル基を有するカーボンナノファイバーは、以下の方法で合成した。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸200部、濃硫酸800部、トーヨーカラー社製多層カーボンナノチューブ25部を入れ、60℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、10Lの氷水中に投入した。析出した多層カーボンナノチューブを吸引濾別し、さらに20Lのイオン交換水で洗浄して、19部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)を得た。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(2)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸100部、濃硫酸400部、アルドリッチ社製単層カーボンナノチューブ(CG100)10部を入れ、60℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、5Lの氷水中に投入した。析出した単層カーボンナノチューブを吸引濾別し、さらに10Lのイオン交換水で洗浄して、8部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(2)を得た。
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(3)の合成
攪拌機、温度計、滴下装置を備えた反応容器に、60%硝酸100部、濃硫酸400部、黒鉛(EC1500)5部を入れ、80℃で8時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、5Lの氷水中に投入した。析出した黒鉛を吸引濾別し、さらに10Lのイオン交換水で洗浄して、5部のカルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(3)を得た。
次に、カーボンナノファイバーまたはカルボキシル基を有するカーボンナノファイバーと粘土と水のみからなる混合物の焼成物である複合体を次のように作製して、導電性試験を行った。
実施例1
カーボンナノファイバー(トーヨーカラー社製多層カーボンナノチューブ)と、粘土として、陶石や長石を粉砕して製造した磁器用粘土と水を質量比が0.3:4.7:95になるように調整し、PRIMIX社「ホモディスパー」にて、60分間分散処理して混合物を作製した。この混合物を金型に流し込み、完全に水分を蒸発させた後、電気炉中で、窒素ガスを流しながら、1000℃にて1時間焼成することにより灰色の複合体を作成した。得られた複合体の抵抗値を、株式会社三菱化学アナリテック社製のロレスタGX MCP−T700を用いて測定した。結果、30000Ωの抵抗値を示した。尚、得られた粘土混合物に関し、凝集物を目視で確認し、無ければ〇、少しでも凝集物が確認出来れば△、明らかに分散していなければ×として、結果を表1に記載した。
実施例2
カルボキシル基を有するカーボンナノファイバー(1)と、粘土として陶石や長石を粉砕して製造した磁器用粘土と水を質量比が0.3:4.7:95になるように調整し、PRIMIX社「ホモディスパー」にて、60分間分散処理して混合物を作製した。この混合物を金型に流し込み、完全に水分を蒸発させた後、電気炉中で、窒素ガスを流しながら、1000℃にて1時間焼成することにより黒色の複合体を作成した。得られた複合体の抵抗値を、株式会社三菱化学アナリテック社製のロレスタGX MCP−T700を用いて測定した。結果、6000Ωの抵抗値を示した。また、得られた粘土混合物に関し、実施例1と同様にして、凝集物を目視で確認し、結果を表1に記載した。
実施例3〜8
カーボンナノファイバーと粘土は、表1に示す材料を用い、表1に示す混合方法で、表1に示す複合体の製造方法で製造した以外は、実施例1と同様に複合体を製造し、試験を行った。結果を表1に示す。
株式会社三菱化学アナリテック社製のロレスタGX MCP−T700を用いて測定した抵抗値の結果に関し、導電性良好を◎、導電性有を〇、導電性無を×として表1に記載した。
尚、抵抗値が1以上10000Ω未満を導電性良好、抵抗値が10000以上1000000Ω未満を導電性有、電気が全く流れず測定不能の場合を導電性無とした。
比較例1
メチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸とグリセリンからなる(1:1)架橋物と、粘土として、表1に示す材料を用いた以外は、実施例1と同様に複合体を製造し、試験を行った。結果を表1に示す。
比較例2
多層カーボンナノチューブとビスAタイプのエポキシ樹脂(三菱化学社製1256)を質量比5:95で混合した材料と、粘土として、表1に示す材料を用いた以外は、実施例1と同様に複合体を製造し、試験を行った。結果を表1に示す。


Figure 2018135247
置換基を有しないカーボンナノファイバーを用いた実施例1、3、5、7は、混合物の目視確認試験において少し凝集物が残った。これに対し、置換基を有するカーボンナノファイバーを用いた実施例2、4、6、8では、凝集物は全く見られなかった。これは、置換基を有しないカーボンナノファイバーが水に分散し難い為、ホモディスパーや真空土練機で粘土と混合した時、水に対して分散性の良い置換基を有するカーボンナノファイバーとの間で、粘土混合物の状態に差が出る結果となった。この結果が、導電性能にも表れ、実施例1〜8は、いずれも導電性の試験において導電性があることが確認された。特に、水に対して分散性の良い置換基を有するカーボンナノファイバーを用いた実施例2、4、6、8は、導電性が良好であった。
比較例1は、メチルエステル化した多層カーボンナノチューブカルボン酸とグリセリンからなる(1:1)架橋物を磁器土にホモディスパーを用いて分散させているが、メチルエステル化した多層カーボンナノチューブカルボン酸とグリセリンからなる(1:1)架橋物が非常に硬い膜となっているので、混合物中に凝集物が残り、粘土中で不均一な分散となった。導電性能もカーボンナノチューブが不連続なために発現しなかったと考えられる。
比較例2は、多層カーボンナノチューブとビスAタイプのエポキシ樹脂(三菱化学社製1256)を質量比5:95で混合した材料と磁器土を粘土練り機で分散しているが、エポキシ樹脂の量が多いので、混合物中に凝集物が残り、粘土中で不均一な分散となった。導電性能は、1000℃1時間焼成により、エポキシ樹脂が陶芸用粘土より蒸発した為、粘土の強度を保つことが出来ず、ロレスタGX MCP−T700での測定が不可となった。
実施例9〜16
実施例1〜8で作成した複合体の保存安定性を確認する為、1週間、100倍のイオン交換水中に浸漬させ、イオン交換水中にカーボンナノファイバーが溶出してくるか試験をした。結果、いずれもカーボンナノファイバーがイオン交換水に溶け出さないことを確認した。
比較例3
比較例1で作成した複合体の保存安定性を確認する為、1週間、100倍のイオン交換水中に浸漬させ、イオン交換水中にカーボンナノファイバーが溶出してくるか試験をした。結果、複合体の強度を保つことが出来ず、イオン交換水中に複合体が分散した。
比較例4
比較例2で作成した複合体の保存安定性を確認する為、比較例3と同様の試験をした。結果、複合体の強度を保つことが出来ず、イオン交換水中に複合体が分散した。
以上のことから、カーボンナノファイバー、もしくは置換基を有するカーボンナノファイバーと粘土と水のみからなる混合物の焼成物である複合体は、導電性能に優れことが明らかとなった。
本発明のカーボンナノファイバー複合体は導電性を有し、電気を流すことにより発熱するので、寒冷地の住宅に用いる瓦や道路に敷くタイル等として使用することができる。

Claims (3)

  1. カーボンナノファイバー、粘土および水のみからなる混合物の焼成物である複合体であり、混合物の固形分100質量部に対して、カーボンナノファイバー1〜20質量部、粘土80〜99質量部を含む複合体。
  2. 粘土が、テラコッタ粘土、陶器用粘土および磁器用粘土からなる群より選ばれる一つ以上である請求項1記載の複合体。
  3. カーボンナノファイバーが、置換基を有しても良い多層カーボンナノチューブ、置換基を有しても良い単層カーボンナノチューブまたは置換基を有しても良い黒鉛である請求項1または2記載の複合体。
JP2017031941A 2017-02-23 2017-02-23 カーボンナノファイバー複合体 Pending JP2018135247A (ja)

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CN114530335B (zh) * 2022-02-23 2023-09-29 苏州固韧纳米材料技术有限公司 超级电容器储能砖、其制备方法及超级电容器

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