図1は、単に製品100ともいう履物製品100の実施形態の模式的な等角図を示す。製品100は、ハイキングブーツ、サッカーシューズ、フットボールシューズ、スニーカー、ランニングシューズ、クロストレーニングシューズ、ラグビーシューズ、バスケットボールシューズ、野球靴、および他の種類の靴を含むが、これだけに限定されないさまざまな種類の履物とともに使用するように構成してもよい。また、いくつかの実施形態では、製品100は、スリッパ、サンダル、ハイヒール、ローファーならびに他のあらゆる種類の履物、衣料、および/またはスポーツ用具(例、グローブ、ヘルメット等)を含むが、これだけに限定されない、さまざまな種類の非スポーツ関連の履物とともに使用するために構成されていてもよい。
図1を参照すると、参照のために、製品100は足先部10、中足部12およびかかと部14に分割してもよい。足先部10はつま先および中足骨を指骨に連結する関節に大略的に関連してもよい。中足部12は足のアーチに大略的に関連してもよい。同様に、かかと部14は、踵骨を含めて、足のかかとに大略的に関連してもよい。くわえて、製品100は外側側部16および内側側部18を含んでもよい。特に、外側側部16および内側側部18は製品100の対向する側部であってもよい。また、外側側部16および内側側部18はともに足先部10、中足部12およびかかと部14を通って延びていてもよい。
足先部10、中足部12およびかかと部14は説明のためのものにすぎず、製品100の厳密な領域を区切ることを意図していないことは理解されるであろう。同様に、外側側部16および内側側部18は、製品100を2つの半体に厳密に区切るのではなく、一構成要素の2つの側部を大略的に表すことを意図している。
一貫性と便宜上のために、本詳細な説明を通して、方向を表す形容詞は図示する実施形態に対応して採用する。本詳細な説明および請求項を通して使用する「長手」とは、一構成要素の長さが延びている方向をいう。いくつかの場合には、長手方向は製品の足先部からかかと部まで延びていてもよい。また、本詳細な説明および請求項を通して使用する「側方」とは、製品などの一構成要素の幅が延びている方向をいう。たとえば、側方方向は、靴型部材の内側側部と外側側部との間に延びていてもよい。さらに、本詳細な説明および請求項を通して使用される「垂直」とは、長手方向および側方方向のどちらにも直角な方向をいう。製品が地面に置かれている状況では、上方垂直方向は地面から離れる向きであるのに対し、下方垂直方向は地面に向かう向きである。これら方向を表す形容詞はそれぞれ同様に製品100の個々の構成要素にも適用されることは理解されるであろう。
製品100はアッパー102とソール構造110とを含むことができる。一般に、アッパー102はあらゆる種類のアッパーであってもよい。特に、アッパー102はあらゆるデザイン、形状、サイズおよび/または色を有していてもよい。たとえば、製品100がバスケットボールシューズの実施形態では、アッパー102は足首に高いサポートを与えるような形状にされているハイトップアッパーとすることができるであろう。製品100がランニングシューズの実施形態では、アッパー102はロートップアッパーとすることができるであろう。
いくつかの実施形態では、ソール構造110は製品100にトラクション力を与えるように構成してもよい。トラクション力を与えることに加えて、ソール構造110は、歩いているとき、走っているときまたは他の歩行活動中に足と地面との間で圧縮されるときに、地面の反力を弱めてもよい。ソール構造110の構成は、多様な従来の構造または従来にない構造を含む異なる実施形態において大幅に変えてもよい。いくつかの場合には、ソール構造110の構成は、ソール構造110を使用してもよい1つ以上の種類の地面に応じて構成することができる。地表面の例には、天然芝、人工芝、土、および他の表面を含むが、これだけに限定されない。
ソール構造110はアッパー102に固定されて、製品100を履いたときに足と地面との間に延びる。異なる実施形態では、ソール構造110は異なる構成要素を含んでもよい。たとえば、ソール構造110はアウトソール、ミッドソールおよび/またはインソールを含んでもよい。いくつかの場合には、これらの構成要素のうちの1つ以上を任意としてもよい。
いくつかの実施形態は、衝撃吸収、反発力、クッション性および/または快適性の装備を含むことができる。いくつかの実施形態では、履物製品は適応サポートシステムを設けて構成してもよく、適応サポートシステムは製品のサポートを適応的に変えるための装備を含んでいていてもよい。いくつかの実施形態では、適応サポートシステムは、可変サポート特徴を有する1つ以上のサポート部材を含むことができる。
図2は、適応サポートシステム115を設けて構成されている製品100の実施形態の模式的な平面図を示す。特に、適応サポートシステム115のいくつかの構成要素が図1で確認できる。ここで図1および図2を参照すると、適応サポートシステム115は、たとえば、衝撃吸収、反発力および/またはクッション性を促進する1つ以上のサポート部材を含んでもよい。一実施形態では、ソール構造110は、第1サポート部材121、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124をさらに備える複数のサポート部材120を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、複数のサポート部材120は互いに離間している個別の部材を備える。特に、第1サポート部材121、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124は、上部プレート130と下部プレート132との間に延びている柱状の部材として構成されている。この構成により、複数のサポート部材120は、一般に製品100の上部プレート130の上に配置される足のかかとにサポートを提供してもよい。
図2には、以下詳細に説明する適応サポートシステム115のさまざまな追加構成要素も示している。しかし、これらの構成要素および製品100内におけるそれぞれの位置は任意であることは理解されるであろう。
いくつかの実施形態では、1つ以上のサポート部材は適応サポートを提供するように、または使用者の足、地表面および考えられる他の源によって製品100にかけられる力に反応するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のサポート部材は、適応的な衝撃吸収性、反発力性および/またはクッション性を設けて構成することができる。一実施形態では、1つ以上のサポート部材は、衝撃吸収性、クッション性、剛性および他の特性が変わる部分を含むことができる。
図3および図4は、第1サポート部材121(単にサポート部材121ともいう)と、変動する衝撃吸収性、クッション性および/またはサポート部材121の他の特性を提供するためにサポート部材121の動作を促進させる追加構成要素とを含む適応サポートアセンブリ199の分離図を示す。特に、図3は適応サポートアセンブリ199の模式的な等角図を示すのに対し、図4は適応サポートアセンブリ199のいくつかの構成要素の模式的な断面図を示す。明確にするために、適応サポートアセンブリ199の構成要素の多くは模式的に示しており、これらの構成要素は他の実施形態ではあらゆる他の形状、サイズ、また、おそらく追加特徴も有することができることは理解されるべきである。
一般に、以下詳細に説明するように、サポート部材は実質的に圧縮可能な外部部分と、外部部分によって少なくとも部分的に仕切られている内部部分とを設けて構成することができる。いくつかの実施形態では、外部部分は実質的に一定の圧縮性または剛性を有してもよいが、内部部分の圧縮性または剛性は可変とすることができるであろう。いくつかの実施形態において、内部部分の可変圧縮性は、可変粘性を有する流体または構造的な特徴を用いて得ることができる。一実施形態では、内部部分は、たとえば、電気粘性流体または磁気粘性流体を含めた粘性流体が充填されている空腔であってもよい。
図3および図4を参照すると、サポート部材121は外部チャンバ174および内部チャンバ176を有するブラダ160として構成することができる。いくつかの実施形態では、流体が外部チャンバ174と内部チャンバ176内との間で行き来できないように、外部チャンバ174は内部チャンバ176から封止してもよい。
構造的に、いくつかの実施形態では、サポート部材121は、中央領域を囲んでいる外環状(またはドーナツ状)部材161を設けて構成してもよい。部材161によって取り囲まれている領域は、上部ブラダ壁180および下部ブラダ壁182によって上下もさらに仕切られていてもよい。この構成は密封内部チャンバ176を作る。
上部ブラダ壁180および下部ブラダ壁182は、一般に、部材161と上部ブラダ壁180および/または下部ブラダ壁182との間で流体が漏出するのを防止するように、部材161に装着されていてもよい。いくつかの実施形態では、上部ブラダ壁180および/または下部ブラダ壁182は接着剤、熱接着、およびブラダの層を合わせて接合するために業界で周知の他のあらゆる方法を用いて部材161に接着してもよい。また、他の実施形態では、上部ブラダ壁180および/または下部ブラダ壁182は部材161と一体的に形成することができるであろう。
いくつかの実施形態では、気体または液体の形態の第1流体189は外部ブラダ壁170と内部ブラダ壁172との間の外部チャンバ174内に封止してもよい。さらに、第2流体190は内部チャンバ176を充填してもよい。いくつかの実施形態では、第1流体189および第2流体190は実質的に同様とすることができるであろう。他の実施形態では、第1流体189および第2流体190は実質的に異なるものにすることができるであろう。一実施形態では、第1流体189は空気としてもよく、第2流体190は磁気粘性流体としてもよい。そのため、第1流体189は実質的に圧縮可能な気体としてもよいのに対し、第2流体190は実質的に非圧縮可能な流体としてもよい。
いくつかの実施形態は、第2流体190を内部チャンバ176に流入させるおよび/または内部チャンバ176から流出させる装備を含んでもよい。いくつかの実施形態では、下部ブラダ壁182は、流体口198の形態の穴または開口を含んでもよく、これが、内部チャンバ176に第2流体190を進入させてもよいし、内部チャンバ176から第2流体190を流出させてもよい。くわえて、いくつかの実施形態は流体口198とリザーバ194との流体連通を容易にする流体ライン196をさらに含む。この実施形態では流体口198は下部ブラダ壁182に示されているが、他の実施形態は流体口を、たとえば、上部ブラダ壁180を含むあらゆる他の部分に組み込むことができるであろう。
図面で模式的に示すリザーバ194は、第2流体190の総量のうちいくらかを収容してもよく、第2流体190は流体ライン196によってリザーバ194と内部チャンバ176との間を流れることができる。リザーバ194の形状、サイズおよび構造特性は第2流体190の総量、内部チャンバ176の容量、流体ライン196の容量、リザーバ194内に意図する位置、製造上の考慮事項、また、おそらく他の要因も含むが、これだけに限定されない要因に従って変えてもよいことが理解されるであろう。
適応サポートアセンブリ199の可能な動作モードを図5に模式的に示している。ここで図5を参照すると、第1サポート部材121にかかる下方の力200は、略垂直方向にサポート部材121を圧縮する作用をする。この状況において、空気などの圧縮可能な気体を充填されている外部チャンバ174は、下方の力200の下で一時的に変形または偏向してもよい。くわえて、一般に非圧縮可能な流体である第2流体190は流体ライン196に押し流されてリザーバ194に入り、それにより内部チャンバ176を外部チャンバ174に沿って変形または偏向させる。さらに、外部チャンバ174内の気体の圧縮は潜在的な運動エネルギを蓄積して、下方の力200が減少しおよび/または完全になくなると、外部チャンバ174(およびこれとともに内部チャンバ176)を膨張させる。この構成により、第1サポート部材121は衝撃吸収材として作用するとともに、いくらかの反発力を提供する。
再び図3および図4を参照すると、第1サポート部材121の全体的な圧縮性は、外部チャンバ174内の第1流体189の材料特性と、内部チャンバ176内の第2流体190の材料特性との組み合わせによるものである。外部チャンバ174が封止されているので第1流体189の材料特性は一般には変化しないため、外部チャンバ174の圧縮性は一般に一定で変化しない。しかし、第2流体190は粘性を含め可変な材料特性を有しているため、内部チャンバ176の圧縮性、ひいては第1サポート部材121の全体的な圧縮性を変えることが可能である。
図3に図示するように、適応サポートアセンブリ199は第2流体190の材料特性(粘性など)を制御する装備を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アセンブリ199は電磁石デバイスを含んでいてもよい。電磁デバイスの実施例は、コンデンサなどの電気デバイスおよび電磁石などの磁気デバイスを含む。いくつかの実施形態では、電磁石デバイスは永久磁石も備えてもよい。使用される電磁デバイスの種類は第2流体190の材料特性に従って選択してもよい。たとえば、電気粘性流体を使用する場合、電磁デバイスはコンデンサまたは電界を生成することのできる他の電気デバイスとしてもよい。磁気粘性流体を使用する場合、電磁デバイスは電磁石としてもよい。
一実施形態では、適応サポートアセンブリ199は電磁石186を含んでもよい。一般に、業界で周知のあらゆる種類の電磁石または電磁デバイスを使用することができるであろう。また、使用する電磁石の種類は、必要な場の強さ、必要な製品内の位置、耐久性、電力要件、また、おそらく他の要因も含むが、これだけに限定されない要因に従って選択することができるであろう。
図面では模式的に示しているが、電磁石186は、必要な磁力の範囲を第2流体190にかけることができるように大略的に位置付けてもよい。いくつかの実施形態では、電磁石186は、磁界が主に内部チャンバ176内に配されている第2流体190の容量と相互に作用するように位置付けることができる。他の実施形態では、電磁石186は、電界が主に流体ライン196内、特に流体口198付近に配されている第2流体190の容量と相互に作用するように位置付けてもよい。さらに他の実施形態では、電磁石186は、磁界が主にリザーバ194内に配されている第2流体190の容量と相互に作用するように位置付けてもよい。さらに他の実施形態では、電磁石186は、磁界がリザーバ194、流体ライン196および内部チャンバ176のそれぞれに配されている第2流体190の容量の一部と相互に作用するように位置付けてもよい。
電磁石186は第2流体190の領域に磁界を印加して、第2流体190の見かけ粘性を含めた材料特性を改変してもよい。第2流体190の領域の粘性を変えることで、内部チャンバ176とリザーバ194との間の流体の流量を変化させてもよい。第2流体190のある領域で粘性が大幅に高くなる場合には、流れは実質的に停止する。磁界に反応して粘性が変わり、それによって流体の流れを制限し、または完全に防止すると、内部チャンバ176の(そのため、第1サポート部材121の)圧縮性もそれに応じて変わる。たとえば、第2流体190の粘性が、流体口198を通る第2流体190の流れを停止させるほど高い場合には、内部チャンバ176は第2流体190が充填されたままであり、そのため変形、偏向することができず、またはその他形状および/もしくは容量が変わることができない。また、粘性を変えることにより、第2流体190の流量は、内部チャンバ176の変形率または偏向率、ひいては圧縮性をそれに応じて変えることができるように変化することができる。
特に、第2流体190の全体的な非圧縮性は、内部チャンバ176の圧縮性が内部チャンバ176の内部部分および外部部分の両方に生じる流体の粘性の変化によって影響を受けることを意味する。したがって、内部チャンバ176の圧縮性は、リザーバ194、流体ライン196および/または内部チャンバ176のいずれかにおける第2流体190の粘性を変更することによって調整することが可能である。一実施形態では、たとえば、電磁石186を流体口198付近に位置付けて、電磁石186により生じる磁界が流体口198における、また、おそらく内部チャンバ176内の第2流体190の粘性を変化させることができるようにしてもよい。この結果、流体口198が実質的に閉鎖して(つまり、塞がって)内部チャンバ176から流体が流れないようにしてもよい。
電磁石186を制御するために、いくつかの実施形態は電子制御ユニット150をさらに含んでもよく、これを以下単にECU150という。ECU150を以下詳細に説明する。
本実施形態はECU150によって駆動される電磁石を使用するが、他の実施形態は第2流体190の粘性を変えるために永久磁石を使用することができるであろう。別の実施形態では、永久磁石は第2流体190の領域に対して変動する位置にして構成することができるであろう。永久磁石が第2流体190に近づくと、磁界の強度の上昇により第2流体190の粘性が上がる。これは、たとえば、磁石と第2流体190の関連領域との間に圧縮可能な材料を配置して、圧縮可能な材料が押しつぶされると(例、接地中に)、磁石と第2流体190との間の相対距離が小さくなるようにすることによって実現することができるであろう。さらに他の実施形態では、永久磁石は、第2流体190の対応する領域に対して磁石の相対位置を自動的に調整する駆動部材に関連付けることができるであろう。
図6および図7は、適応サポートアセンブリ199の2つの追加動作モードの模式図を示す。図6を参照すると、電磁石186を実質的に最大磁界強度210で動作させる。このモードでは、内部チャンバ176内および内部チャンバ176に隣接する流体ライン196の部分の第2流体190の粘性は、下方の力200が加わっても実質的に流体の流れが不可能な点まで大幅に上昇するであろう。この高粘性状態では、第2流体190は内部チャンバ176に閉じ込められたままで、それにより第1サポート部材121が圧縮するのを防止する。次に図7を参照すると、電磁石186を、最大磁界強度210よりも小さい中間磁界強度212で動作させる。このモードでは、内部チャンバ176内および内部チャンバ176に隣接する流体ライン196の部分の第2流体190の粘性は、流体の流れが減少するが、完全には停止しない点まで上昇するであろう。したがって、この状態では、第2流体190は実質的に減少した流量で内部チャンバ176から流れることができ、第1サポート部材121をある程度圧縮させることができる。しかし、図7を図5と比較すると分かるように、電磁石186が部分的に活性化される場合(図7)にサポート部材121が受ける圧縮量は、電磁石186がオフの場合(図5)にサポート部材121が受ける圧縮量よりも実質的に少ない。
内部チャンバ176を圧縮前状態に戻す装備は、異なる実施形態で変わっていてもよい。一実施形態では、リザーバ194は圧縮可能な気体で一部充填されていてもよく、第2流体190がリザーバ194を満たすとこの圧縮可能な気体が圧縮してもよい。下方の力200が減少すると、リザーバ194内で圧縮された気体は膨張して、第2流体190を内部チャンバ176に押し戻すであろう。他の実施形態では、リザーバ194は、第2流体190をリザーバ194から押し出して、内部チャンバ176に押し込む1つ以上の駆動システム(例、リザーバ194の容量を減らすピストン)をさらに含んでいてもよい。
図面に図示し、ここで述べる実施形態は単に例示的なものであることを意図している。適応サポートアセンブリのさらに他の実施形態は、第2流体190の流れを制御する追加装備を含むことができるであろう。たとえば、他の実施形態は、さまざまな圧縮力に反応して流体の流れを所望の方向に、所望の流量で促進する追加の弁または他の流体制御装備を含むことができるだろう。
図8は、複数のサポート部材120および各サポート部材の材料特性を制御する装備を含んでもよい適応サポートシステム115の実施形態の模式図を示す。前述したように、複数のサポート部材120は第1サポート部材121、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124を含んでもよい。各サポート部材は、圧縮、衝撃吸収等を適応的に制御するために、第1サポート部材121と同様な装備を設けて構成することができる。たとえば、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124のそれぞれは、第2リザーバ302、第3リザーバ304および第4リザーバ306それぞれと、関連流体ラインとに関連付けられていてもよい。同様に、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124のそれぞれは、第2電磁石310、第3電磁石312および第4電磁石314にそれぞれ関連付けられていてもよい。
いくつかの実施形態では、各電磁石は1つ以上の電子制御ユニットを用いて制御してもよい。一実施形態では、各電磁石はECU150に関連付けることができる。さらに他の実施形態は2つ以上の個別の制御ユニットを利用することができるであろう。ECU150はマイクロプロセッサ、RAM、ROMおよびソフトウェアを含んでもよく、すべて適応サポートシステム199のさまざまな構成要素および製品100の他の構成要素またはシステムを監視し、制御する役割を果たす。たとえば、ECU150は適応サポートシステム199に関連付けられている複数のセンサ、デバイスおよびシステムからの信号を受信することができる。さまざまなデバイスの出力はECU150に送信されて、そこでデバイス信号はRAMなどの電子記憶装置に格納されてもよい。電流および電子的に格納した信号はともに中央処理装置(CPU)により、ROMなどの電子メモリに格納されているソフトウェアに従って処理してもよい。
ECU150は情報と電力の入出力を促進する複数のポートを含んでもよい。本詳細な説明および請求項を通して使用する「ポート」とは、2つの導体間のインターフェースまたは共有される境界をいう。いくつかの場合には、ポートは導体の抜き差しを容易にすることができる。これらの種類のポートの例には機械的なコネクタが含まれる。他の場合には、ポートは一般に容易に抜き差しをさせないインターフェースである。これらの種類のポートの例には回路基板上の半田付けまたは電子トレースが含まれる。
ECU150に関連する以下のポートおよび装備のすべては任意である。いくつかの実施形態は所定のポートまたは装備を含んでもよいが、他の実施形態はそれがなくてもよい。以下の説明は使用することのできる潜在的なポートおよび装備の多くを開示するが、所定の実施形態にすべてのポートまたは装備を使用し、または含まなければならないわけではないことに留意するべきである。
いくつかの実施形態では、ECU150は、第1電磁石186、第2電磁石310、第3電磁石312および第4電磁石314とそれぞれ通信するためのポート351、ポート352、ポート353およびポート354を含んでもよい。また、いくつかの実施形態では、ECU150はセンサ320、センサ322およびセンサ324とそれぞれ通信するためのポート355、ポート356およびポート357をさらに含んでもよい。センサ320、センサ322およびセンサ324は履物および/または衣料とともに使用するように構成されているあらゆるセンサとすることができるであろう。いくつかの実施形態では、センサ320、センサ322およびセンサ324は圧力センサ、力センサまたは歪みセンサおよび加速度計としてもよい。しかし、他の実施形態では、さらに他のセンサを使用することができるであろう。たとえば、いくつかの実施形態は、GPSアンテナを介してGPS情報を受信する装備も含むことができるであろう。履物製品に組み込むことのできるさまざまなセンサおよびセンサの位置の実施例は、2012年2月17日に出願され、「センサシステムを有する履物」と題するMolyneux他の特許文献1、現在米国特許出願第13/399,786号に開示されており、参照によりその全体をこれに組み込む。
ここに示す構成は、ECU150からの命令により各サポート部材を独立して駆動することのできるシステムを提供する。特に、この構成は、加速度情報、角度または回転情報、速度情報、垂直高さ情報、圧力情報および他の種類の情報を含む様々な感知情報に反応して、各サポート部材の材料特性(つまり、封入されている磁気粘性流体の粘性)を独立して変えられる。これにより、履物製品は多様な異なる状況に対して、の適正なタイプおよび量の衝撃吸収、クッション性、反発力および快適性で適応的に反応することができる。
図9は、可変材料特性を有するように構成されているサポート部材400の別の可能な実施形態を示す。図9を参照すると、サポート部材400は、実質的に圧縮可能な材料を備える外部部分402と内部部分404とを含む。いくつかの実施形態では、内部部分404は流体406を封入している外部バリア層405を備えてもよい。
いくつかの実施形態では、流体406は、電気粘性流体または磁気粘性流体などの可変粘性流体である。前の実施形態と同様に、流体406の粘性は、印加される磁界に反応して変わってもよい。また、ここに図示してはいないが、層405は内部部分404と何らかの種類の外部リザーバとの流体連通を提供する流体口409を含んでもよい。この構成により、流体406は、内部チャンバ176に出入りする第2流体190の流れ(図5を参照)と同様に、内部部分404に流入し、また内部部分404から流出することができる。
いくつかの実施形態では、外部部分402は、気体充填ブラダではなく、実質的に固体材料を備える。使用できるであろう固体の圧縮可能な材料の例は、発泡体、圧縮可能なプラスチック、また、おそらく他の材料も含むが、これだけに限定されない。外部部分402に使用される材料の種類は、製造上の制約、所望の圧縮性、耐久性、重量、また、おそらく他の要因を含むが、これだけに限定されない要因に従って選択してもよい。しかし、さらに他の実施形態では、外部部分402は、前の実施形態の部材161などのブラダを備えていてもよい。
再び図2を参照すると、製品100内の適応サポートシステム115の構成要素の可能な一構成が模式的に示されている。この場合、第1サポート部材121、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124はそれぞれ、各外部部分および内部部分を設けて構成されている。たとえば、第1サポート部材121は外部チャンバ174を含む外部部分と、内部チャンバ176を含む内部部分を含む。同様に、別の実施例として、第2サポート部材122は外部チャンバ220を含む外部部分と、内部チャンバ222を含む内部部分を含む。これらの内部部分のそれぞれは、磁気粘性流体が充填されている内部チャンバを有する。また、前述したように、各サポート部材は、第1リザーバ194、第2リザーバ302、第3リザーバ304および第4リザーバ306を含む流体リザーバと流体連通している。各リザーバは製品100のあらゆる領域に配置することができる。いくつかの場合には、各リザーバはソール構造110の部分に取り付けることができるであろう。他の場合には、各リザーバはアッパー102の部分(図示せず)に取り付けることができるであろう。さらに他の場合には、各リザーバは製品100のあらゆる他の部分または場所に位置付けて取り付けることができるであろう。
さらに、サポート部材のそれぞれは、第1電磁石186、第2電磁石310、第3電磁石312および第4電磁石314を含め、対応するサポート部材に隣接して位置付けられている電磁石を含む。電磁石は、ソール構造110および/またはアッパー102を含めて製品100のあらゆる部分に配置することができるであろう。
図2に図示するように、第1サポート部材121、第2サポート部材122、第3サポート部材123および第4サポート部材124は、ソール構造110の異なる部分へのサポートを促進するように一般に離間している。この間隔は多様な衝撃吸収を促進し、あるサポート部材が他のサポート部材とは異なる動作状態またはモードで動作するさまざまな構成を可能にする。このような構成は、たとえば、側傾中に生じることがある。
図10は、地表面502上に側傾している製品500の別の実施形態を示す。製品500はアッパー512とソール構造510とを含む。ここで、垂直方向は軸520によって示されるのに対して、地表面502に直角な方向は軸522で示される。図10で分かるように、アッパー512およびソール構造510はともに軸522に沿った向きになっている。すなわち、アッパー512およびソール構造510はともに、正確な垂直方向からある角度に向けられまたは傾斜している。
図11は、同様に傾斜した地表面602上に側傾している製品100の実施形態を示しており、これは製品100が表面の特徴(表面の向き、角度または形状)の変化にどのように適応的に反応するかを示している。ここで、垂直方向は軸620で示されている。ここで、ソール構造110の下部プレート132は地表面602に沿って傾斜している。しかし、この実施形態では、第3サポート部材123内の磁気粘性流体の粘性を変化させるために電磁石312が起動されており、それによって第3サポート部材123の完全な圧縮を防止している。いくつかの実施形態では、この電磁石312の起動は、加速度計および/またはジャイロスコープから感知した情報など、感知情報に反応して生じてもよい。対して、第2サポート部材122は、電磁石310からの磁力を受けておらず、第3サポート部材123よりも大きく圧縮されている。この圧縮のばらつきにより、ソール構造110の上部プレート130を略水平位置に留まらせて、上部プレート130およびアッパー102がともに垂直軸620とほぼ並んだままであるようにすることができる。このように、適応サポートシステム199は、本来なら側傾中に起こるおそれのある傾きまたは傾斜なく、アッパー102を略直立したままにさせることができる。これは、斜面または不均一な表面を移動するとき、使用者にとって安定性およびバランスを高める一助となるであろう。
図12および図13は、平坦な表面上での側傾を受ける履物の図を示しており、これは使用者が振れる、または同様な側方への動きをすると起こることがある(たとえば、トラックまたはバスケットボールのコート)。図12は、使用者が実質的に平坦な地表面702で側方に振れるときの履物製品700を示す。製品700はアッパー712とソール構造710とを含む。使用者が振れると、足は外部外側側壁704に押し当たりやすい(力720として模式的に示す)。これは製品700を下部外側周辺部706を中心に回転または傾斜させやすいであろう。
図13は、使用者が側方に振れている履物製品100の実施形態を示す。また、図13は、振れまたは側方への動きなどのさまざまな種類の動きに適応的に反応して、履物製品100がどのようにこれらの動きの間に安定性の改善に役立てられるかを示す。図12と同様に、この振れの動きの間、足は外部外側側壁804に押し当てられやすい(力820として模式的に示す)。しかし、この場合、適応サポートシステム115は、第3サポート部材123を第2サポート部材122よりも実質的に多く圧縮させることにより、この重量のシフトに反応する。この結果、製品100が下部外側周辺部806を中心に側方方向に回転する傾向を阻止し、それによって安定性の改善に役立つソール構造110の楔状の構成になる。また、側方への動きの間(または一連の側方への動きの間)および他の種類の動きへの移行時に体重の分布が変化し続けるとき、それに応じて適応サポートシステム115は各サポート部材の圧縮特性を調整し続けてもよい。
さまざまな実施形態を説明してきたが、説明は制限ではなく例示的なものであることを意図しており、実施形態の範囲内で他に多くの実施形態および実施態様が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、実施形態は添付の請求項およびその均等物を踏まえた場合を除き制限されるべきではない。また、さまざまな修正および変更を添付の請求項の範囲内で行ってもよい。