JP2018125614A - オーディオ回路、それを用いた電子機器および車載オーディオシステム、異常検出方法 - Google Patents

オーディオ回路、それを用いた電子機器および車載オーディオシステム、異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】DC出力を検出可能なオーディオ回路を提供する。
【解決手段】PWM信号生成回路110は、デジタルオーディオ信号SINをPWM信号SPWMに変換する。パルス幅測定回路120は、PWM信号SPWMのパルス幅TPWを測定する。異常判定回路130は、測定されたパルス幅TPWが、デューティ比50%に対応するパルス幅を含むセンターレンジより上側に設けられる上側レンジおよびセンターレンジより下側に設けられる下側レンジの一方に含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、スピーカやヘッドホンを駆動するオーディオアンプ回路に関する。
スピーカやヘッドホンなどの電気音響変換素子を駆動するパワーアンプとして、高効率なD級アンプが用いられる。図1は、D級アンプを用いたオーディオシステムのブロック図である。オーディオシステム300は、フルブリッジ型D級アンプを備え、負荷312である電気音響変換素子に対して、BTL(Bridged Transless)接続された1対のD級アンプ308P,308Nを備える。このようなD級アンプは差動方式とも称される。
PWM信号発生回路306は、入力されたデジタルオーディオ信号を、パルス幅変調された信号(PWM信号)に変換し、2つのD級アンプ308P,308Nに対して、相補的なPWM信号SPWM,#SPWMを出力する。D級アンプ308P,308Nの出力は、LCフィルタ310P,310Nによって平滑化され、負荷312に供給される。
図1のフルブリッジ型D級アンプの駆動回路では、負荷312とパワーアンプの出力の間に、DCブロックキャパシタが不要であるという利点がある。この利点と裏腹に、もしD級アンプ308P,308Nの差動出力にDC成分が含まれると、負荷312に直流電流が流れ続け、信頼性が損なわれるという問題がある。
この問題を解決するために、PWM信号発生回路306の前段にハイパスフィルタ304が設けられる。ハイパスフィルタ304は、PWM信号発生回路306に入力されるオーディオ信号からDC成分を除去する。これにより、負荷312の両端間にDC電圧が印加されるのを防止できる。
特開2008−17353号公報
本発明者は、図1のオーディオシステム300について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。すなわち、図1のオーディオシステム300において、PWM信号発生回路306の内部において不具合が生じた場合、たとえその入力にDC成分が含まれていなかったとしても、負荷312の両端間にDC信号が印加される状況が生じうる。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、DC出力を検出可能なオーディオ回路の提供にある。
本発明のある態様はオーディオ回路に関する。オーディオ回路は、デジタルオーディオ信号をパルス幅変調(PWM)信号に変換するPWM信号生成回路と、PWM信号のパルス幅を測定するパルス幅測定回路と、測定されたパルス幅が、デューティ比50%に対応するパルス幅を含むセンターレンジと隣接する第1レンジに含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定する異常判定回路と、を備える。
この態様によると、DC信号が出力される異常状態を検出できる。
前記異常判定回路はさらに、測定された前記パルス幅が、センターレンジに対して第1レンジと反対側に隣接する第2レンジに含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定してもよい。
パルス幅測定回路は、PWM信号の前記パルス幅をクロック信号を利用してカウントするパルス幅カウンタを含んでもよい。異常判定回路は、PWM信号の周期ごとに、測定されたパルス幅が第1レンジを維持したときにカウントを進め、それ以外のときにリセットされる異常検出カウンタを含んでもよい。異常判定回路は、異常検出カウンタのカウント値が所定値に達すると、異常状態と判定してもよい。
センターレンジの上限および下限は、外部から設定可能であってもよい。また判定時間は外部から設定可能であってもよい。
PWM信号生成回路は、デジタルオーディオ信号をオーバーサンプリングするオーバーサンプリング回路と、オーバーサンプリング回路の出力をΔΣ変調するΔΣ変調器と、ΔΣ変調器の出力をPWM信号に変換するPWM変換回路と、を含んでもよい。
オーディオ回路は、PWM信号生成回路の前段に設けられたハイパスフィルタをさらに備えてもよい。これにより、PWM信号生成回路からDC成分を除去できるとともに、ハイパスフィルタに不具合が生じた場合は、異常判定回路によってその異常を検出でき、2重の保護が図られる。
オーディオ回路は、異常状態と判定されると、動作を停止してもよい。
オーディオ回路は、異常状態と判定されると、異常状態を示す信号を外部に出力してもよい。これにより外部のプロセッサに異常を通知し、適切な処理を促すことができる。
オーディオ回路は、ひとつの基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが基板の外部に設けられていてもよい。
回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、上述のいずれかのオーディオ回路を備える。
本発明の別の態様は車載オーディオシステムに関する。車載オーディオシステムは、上述のいずれかのオーディオ回路を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
本発明のある態様によれば、DC出力を検出できる。
D級アンプを用いたオーディオシステムのブロック図である。 実施の形態に係るオーディオ回路を備えるオーディオシステムのブロック図である。 図2のオーディオ回路の動作を示す波形図である。 図2のオーディオ回路の動作を示す別の波形図である。 図2のオーディオ回路の動作を示すさらに別の波形図である。 図2のオーディオ回路のさらに別の波形図である。 オーディオ回路の一実施例を示す回路図である。 図7のオーディオ回路における異常検出のフローチャートである。 オーディオ回路の一実施例を示すブロック図である。 実施の形態に係るオーディオ回路を利用した車載オーディオシステムのブロック図である。 図11(a)〜(c)は、実施の形態に係るオーディオ回路を利用した電子機器を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図2は、実施の形態に係るオーディオ回路100を備えるオーディオシステム200のブロック図である。オーディオシステム200は、BTL形式(差動形式)の出力段を有し、具体的にはオーディオ回路100、D級アンプ202P,202N、フィルタ204P,204N、電気音響変換素子206を備える。
電気音響変換素子206は、スピーカやヘッドホンなどであり、アナログオーディオ信号を音響信号に変換する。
オーディオ回路100は、デジタルオーディオ信号SINを受け、パルス幅変調(PWM)信号SPWMに変換する。D級アンプ202PおよびD級アンプ202Nには、相補的なデューティ比(パルス幅TPW)を有するPWM信号SPWMおよび#SPWMが供給される。D級アンプ202P,202Nはそれぞれ、PWM信号SPWMおよび#SPWMに応じたパルス信号を発生する。フィルタ204P,204Nは、対応するD級アンプ202P,202Nの出力を平滑化する。電気音響変換素子206の両端には、差動のアナログ駆動信号VDRVP,VDRVNが印加される。
オーディオ回路100は、PWM信号生成回路110、パルス幅測定回路120および異常判定回路130を備える。PWM信号生成回路110は、デジタルオーディオ信号SINを受け、PWM信号SPWMに変換する。パルス幅測定回路120は、PWM信号SPWMの周期毎のパルス幅TPWを測定し、測定したパルス幅TPWを示すパルス幅データDPWを出力する。
パルス幅測定回路120は、D級アンプ202Pに供給されるPWM信号SPWM(もしくは202Nに供給される#SPWM)のパルス幅TPWを測定してもよいし、PWM信号SPWM(#SPWM)のパルス幅TPWに応じたパルス幅(TPW’とする)を有するPWM信号生成回路110の内部信号のパルス幅TPW’を測定してもよい。また、測定するパルス幅TPW(もしくはTPW’)は、ハイレベル区間の長さであってもよいし、ローレベル区間の長さであってもよい。
異常判定回路130は、測定されたパルス幅TPW’が、図3に示すデューティ比50%に対応するパルス幅T50%を含むセンターレンジRNGCENTERと隣接する第1レンジに含まれる状態が所定の判定時間τDET1持続すると異常状態と判定する。
また異常判定回路130は、測定されたパルス幅TPWが、センターレンジRNGCENTERに対して第1レンジと反対側に隣接する第2レンジに含まれる状態が所定の判定時間τDET2持続すると異常状態と判定する。
以下、第1レンジ、第2レンジのうち、センターレンジRNGCENTERの上側の一方を上側レンジRNGUPPER、下側の一方を下側レンジRNGLOWERと称する。また本実施の形態では、2つの判定時間τDET1,τDET2は等しいものとする。
異常判定回路130は、DC出力の異常状態を検出すると、異常検出信号DCOUT_ERRをアサートする。オーディオシステム200は、異常検出信号DCOUT_ERRのアサートに応答して、動作停止する。たとえば異常検出信号DCOUT_ERRのアサートに応じて、PWM信号生成回路110およびD級アンプ202の動作を完全に停止させてもよい。またオーディオ回路100は、異常状態を検出すると、フラグ信号FLGをアサートし、外部のプロセッサ等に通知する。これによりシステム全体として保護処理を実行することができる。
以上がオーディオシステム200の構成である。続いてその動作を説明する。図3は、図2のオーディオ回路100の動作を示す波形図である。SAUDIOは、デジタルオーディオ信号SINに応じたアナログオーディオ波形を表す。パルス幅TPWは、デューティ比に換算した値で表される。
時刻tより前において回路は正常に動作しており、PWM信号生成回路110が生成するPWM信号SPWM,#SPWMは、SAUDIOの波形に応じたパルス幅(デューティ比)TPWを有する。
時刻tにPWM信号生成回路110において異常が発生し、PWM信号SPWMのデューティ比がオーディオ波形SAUDIOと無関係の一定値となる。この例では、パルス幅TPWは、デューティ比30%に対応する値T×0.3となっている。TはPWM周期である。
時刻t以降、パルス幅測定回路120が測定するパルス幅TPWは、センターレンジRNGCENTERを横切ることなく下側レンジRNGLOWERに含まれる状態を維持する。この状態が判定時間τDET持続すると、時刻tにDC出力の異常検出信号DCOUT_ERRがアサートされる。
以上がオーディオ回路100の動作波形図である。このオーディオ回路100によれば、オーディオ再生中に、PWM信号生成回路110の異常に起因するDC出力異常を検出できる。
また、パルス幅TPWが上側レンジRNGUPPERにとどまり続けた場合にもDC出力の異常状態と判定できる。
図4は、図2のオーディオ回路100の動作を示す別の波形図である。図4は、無音状態の動作であり、時刻tより前は正常状態を、時刻tより後ろは異常状態を示す。無音状態では、デジタルオーディオ信号SINに応じたアナログオーディオ波形は、一定値を維持している。このとき、正常なPWM信号生成回路110が生成するPWM信号SPWMのデューティ比は50%となる。このときパルス幅TPWMはセンターレンジRNGCENTERに含まれる。
時刻tにおいて、PWM信号生成回路110に異常が発生すると、PWM信号SPWMのパルス幅TPWが、デューティ比50%の相当値T×0.5からオフセットする。この例では、TPW=T×0.6にオフセットしている。時刻t以降、パルス幅TPWは、上側レンジRNGUPPERに含まれる状態を維持する。この状態が判定時間τDET持続すると、時刻tにDC出力の異常検出信号DCOUT_ERRがアサートされる。
このオーディオ回路100によれば、無音状態において、PWM信号生成回路110の異常に起因するDC出力異常を検出できる。
図5は、図2のオーディオ回路100の動作を示すさらに別の波形図である。図5は無音状態を表しており、時刻tより前は正常状態を、時刻tより後ろは異常状態を示す。
時刻tより前に、PWM信号生成回路110の前段の回路は正常であり、オーディオ信号SINが表すオーディオ波形は、センターレベル(DC値)を維持している。
時刻tに、PWM信号生成回路110の前段の回路に異常が発生すると、オーディオ信号SINが表すオーディオ波形は、センターレベル(DC値)から逸脱し、別の値に固定される。このとき、PWM信号SPWMのパルス幅TPWが、デューティ比50%の相当値T×0.5からオフセットする。この例では、TPW=T×0.6にオフセットしている。時刻t以降、パルス幅TPWは、上側レンジRNGUPPERに含まれる状態を維持する。この状態が判定時間τDET持続すると、時刻tにDC出力の異常検出信号DCOUT_ERRがアサートされる。
このオーディオ回路100によれば、無音状態において、PWM信号生成回路110の前段の回路で生ずるDCオフセットに起因するDC出力異常を検出できる。
図6は、図2のオーディオ回路100のさらに別の波形図である。時刻t以降、オーディオ波形には、本来、含まれるべきでない、可聴周波数帯域より低い超低周波数成分(<20Hz)が含まれている。超低周波成分の周波数をfとするとき、パルス幅TPWは1/(2f)ごとに、センターレンジRNGCENTERを横切ることなる。オーディオ回路100は、τDET<1/(2f)である場合に、異常状態と判定する。言い換えれば、オーディオ回路100は、f<1/2τDETの周波数成分が発生したときに、DC出力異常状態と判定することができる。たとえば10Hz以下の周波数成分を異常とする場合、τDET=50msとすればよく、20Hz以下の周波数成分を異常とする場合、τDET=25msとすればよい。
本発明は、図2の回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を容易、明確化するために、より具体的な構成例を説明する。
図7は、オーディオ回路100の一実施例を示す回路図である。パルス幅測定回路120は、パルス幅カウンタ122を含む。パルス幅カウンタ122は、PWM信号SPWMのパルス幅TPWをクロック信号CLKを利用してカウントする。このクロック信号CLKは、PWM信号生成回路110と共用され、PWM信号生成回路110は、クロック信号CLKの周期を単位として、PWM信号SPWMのパルス幅を制御する。
一例としてデジタルオーディオ信号SINは、48kHz、16ビットである。PWM信号生成回路110は、このオーディオ信号SINを、384kHz、8ビットのPWM信号SPWMに変換する。つまりPWM信号SPWMの周期Tは、1/384kHzであり、PWM信号SPWMのパルス幅TPWの1階調(1LSB)は、T/2=T/256となる。クロック信号CLKの周期は、PWM信号SPWMのパルス幅TPWの1階調と等しい。
パルス幅測定回路120の出力DPWは、PWM信号SPWMのパルス幅TPWを、8ビット256階調で表したカウント値(0〜255)となる。
異常判定回路130は、カウンタコントローラ132、異常検出カウンタ134、レジスタ136を含む。異常検出カウンタ134は、たとえばアップカウンタであり、カウンタコントローラ132からのアップ信号に応じてカウントアップし、カウンタコントローラ132からのリセット信号に応じてリセットされる。
カウンタコントローラ132は、PWM信号の周期ごとに、測定されたパルス幅TPW(DPW)が上側レンジRNGUPPERを維持したとき、または下側レンジRNGLOWERを維持したときに、アップ信号UPを出力して異常検出カウンタ134のカウントを進め、それ以外のときにリセット信号RESETを出力して異常検出カウンタ134をリセットする。
センターレンジRNGCENTERの上限値および下限値は、外部から設定可能であり、レジスタ136は、上限値および下限値の設定値UPPER_LIMおよびLOWER_LIMを保持する。たとえばレジスタ136には、IC(Inter IC)バスを介して外部のマイコンから、設定値が書き込み可能となっている。
カウンタコントローラ132は、パルス幅データDPWがセンターレンジ、上側レンジ、下側レンジのいずれに含まれるかを判定する。そして、(i)センターレンジに含まれるとき、(ii)上側レンジから別のレンジへの遷移を検出したとき、(iii)下側レンジから別のレンジへの遷移を検出したときに、リセット信号RESETを出力する。
カウンタコントローラ132はそれ以外の場合、つまり、直前のパルス幅データDPWと現在のパルス幅データDPWが両方、上側レンジに含まれるとき、または、直前のパルス幅データDPWと現在のパルス幅データDPWが両方、下側レンジに含まれるとき、アップ信号UPを出力する。
たとえば、カウンタコントローラ132は、パルス幅データDPWがいずれのレンジに含まれるかを示す判定値Dを、次のサイクルまで保持するメモリを含む。このデータDは、パルス幅データDPWがセンターレンジに含まれるとき値aを、上側レンジに含まれるときbを、下側レンジに含まれるときcをとる。そして、カウンタコントローラ132は、(i)メモリに格納される直前のサイクルの判定値D’がbであり、現在のサイクルの判定値Dがbであるとき、または(ii)直前のサイクルの判定値D’がcであり、現在のサイクルの判定値Dがcであるときに、アップ信号UPを出力する。
異常判定回路130は、異常検出カウンタ134のカウント値が、判定時間τDETに応じた所定値TDETに達すると、異常状態と判定する。判定時間τDETは外部から設定可能であり、レジスタ136は、判定時間τDETの設定値TDETを保持する。たとえばレジスタ136には、IC(Inter IC)バスを介して外部のマイコンから、設定値TDETが書き込み可能となっている。
図8は、図7のオーディオ回路100における異常検出のフローチャートである。サイクルごとにパルス信号SPWMのパルス幅TPWが測定され(S100)、いずれのレンジに含まれるか判定される(S102)。そしてセンターレンジに含まれる場合(S104のY)、異常検出カウンタ134がリセットされ(S106)、S100に戻る。
センターレンジに含まれない場合(S104のN)、上側レンジに含まれるか否かが判定される(S108)。そして現在のサイクルにおいて上側レンジに含まれ(S108のY)、かつ直前のサイクルも上側レンジに含まれる場合(S110のY)、異常検出カウンタ134のカウント値がインクリメント(カウントアップ)される(S112)。
現在のサイクルにおいて上側レンジに含まれる場合であって(S108のY)、直前のサイクルは上側レンジに含まれない場合(S110のN)、異常検出カウンタ134のカウント値がリセットされる(S106)。
現在のサイクルにおいて上側レンジに含まれない場合(S108のN)は、下側レンジに含まれるものとされる。この場合、直前のサイクルが下側レンジに含まれる場合(S114のY)、異常検出カウンタ134のカウント値がインクリメント(カウントアップ)される(S112)。直前のサイクルが下側レンジに含まれない場合(S114のN)、異常検出カウンタ134のカウント値がリセットされる(S106)。
異常検出カウンタ134のインクリメント(S112)の結果、異常検出カウンタ134のカウント値が設定値TDETに達すると(S116のY)、異常判定S118がなされる。カウント値が設定値TDETに達していないとき(S116のN)、ステップS100に戻る。
図9は、オーディオ回路100の一実施例を示すブロック図である。オーディオ回路100は、オーディオIC(Integrated Circuit)150に集積化されている。オーディオIC150は、オーディオ回路100に加えて、オーディオインタフェース回路152、DSP(Digital Signal ProcessorあるいはDigital Sound Processor)154、ハイパスフィルタ156を備える。オーディオインタフェース回路152は、外部の音源210から、デジタルオーディオ信号を受信する。DSP154は、オーディオインタフェース回路152が受信したデジタルオーディオ信号に、さまざまなデジタル信号処理を施す。たとえばデジタル信号処理は、デジタルボリューム制御、マルチバンドイコライジング処理、マルチバンドトーンコントロール処理、ラウドネス処理、バスブースト処理などが例示されるがその限りではない。ハイパスフィルタ156は、DSP154の出力信号から、直流成分を除去する。なお図9には、1チャンネル分の構成が示されるが、実際には、チャンネル数分、同様の構成が設けられる。
プロセッサ212は、オーディオシステム200を統括的に制御するコントローラである。プロセッサ212は、ICバスなどのシリアルバスを介して、オーディオIC150のインタフェース回路158と接続されている。プロセッサ212は、DSP154の処理を指定する制御データ(再生、停止、早送りなどのコマンド、イコライザの周波数特性の設定値、ボリュームの設定値)などをオーディオIC150のレジスタ160に書き込む。また異常判定回路130における各種設定値も、プロセッサ212によってレジスタ160に書き込まれる。レジスタ160の一部は、図7のレジスタ136に対応する。
PWM信号生成回路110は、オーバーサンプリング回路112、ΔΣ変調器114、PWM変換回路116を含む。オーバーサンプリング回路112は、デジタルオーディオ信号SINをオーバーサンプリングする。ΔΣ変調器114は、オーバーサンプリング回路112の出力をΔΣ変調する。PWM変換回路116は、ΔΣ変調器114の出力をPWM信号SPWMに変換する。
オーディオIC150にはフラグ出力端子(ピン)FLGが設けられており、異常が検出されると、フラグ出力端子FLGの電気的状態(オープン/プルダウン)を変化させる。フラグ出力端子FLGには、外部のプロセッサ212が接続される。フラグ出力端子FLGが異常を示す状態となると、オーディオシステム200の動作を停止させる。またオーディオIC150自身は、異常判定回路130が異常を検出すると、その動作を停止する。
(用途)
オーディオ回路100の用途を説明する。
図10は、実施の形態に係るオーディオ回路を利用した車載オーディオシステムのブロック図である。
車載オーディオシステム500Aは、4個のスピーカ240FL,240FR,240RL,240RRを備える。スピーカ240は、上述の電気音響変換素子206に相当する。
音源502は、左右(LR)2チャンネルあるいはマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を出力する。オーディオ信号処理回路504は、図9のオーディオIC150に相当し、音源502からデジタルオーディオ信号を受信し、PWM信号(SPWM/#SPWM)を出力する。各パワー出力段230は、D級アンプ202P,202Nおよびフィルタ204P,204Nを含み、PWM信号に応じて、対応するスピーカ240を駆動する。
車載機器には、特に厳しい安全性、信頼性が要求されるところ、実施の形態に係るオーディオ回路100によるDC出力異常の検出機能によって、車載オーディオシステムのさらなる安全性、信頼性の向上が図られる。
図11(a)〜(c)は、実施の形態に係るオーディオ回路100を利用した電子機器を示す図である。図11(a)の電子機器はディスプレイ装置600である。ディスプレイ装置600は、ディスプレイパネル602に加えて、オーディオ信号処理回路604、パワー出力段230L,230R、スピーカ240L,240Rを備える。オーディオ信号処理回路604は、図9のオーディオIC150に対応する。
図11(b)の電子機器は、持ち運び可能な小型端末700であり、スマートホン、タブレットPC(Personal Computer)、ラップトップコンピュータ、オーディオプレイヤなどである。小型端末700は、ディスプレイ702、オーディオ信号処理回路704、ヘッドホン端子706、パワー出力段230L,230R、231L,231R、スピーカ240L,240Rを備える。パワーアンプ231L,232Rの出力はヘッドホン端子706を介して、ヘッドホン710と接続される。オーディオ信号処理回路704は、図9のオーディオIC150に対応する。
図11(c)の電子機器は、オーディオコンポーネント装置800である。オーディオコンポーネント装置800は、オーディオ信号処理回路804、パワー出力段230L,230Rを備える。パワー出力段230L,230Rは、スピーカケーブルを介して接続されるスピーカ240L,240Rを駆動する。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(変形例1)
パルス幅測定回路120は、D級アンプ202Pの出力SOUTP(もしくは202Nの出力SOUTN)のパルス幅を測定してもよい。この場合、D級アンプ202P,202Nに起因するDC出力異常を検出できる。
(変形例2)
図9において、オーディオIC150は、D級アンプ202Pおよび202Nと一体に集積化されてもよい。またオーディオIC150は、ハイパスフィルタ156より後段の回路を含み、DSP154は別のICであってもよい。
(変形例3)
図9のオーディオIC150において、オーディオ回路100がDC出力異常を検出できるため、ハイパスフィルタ156は省略してもよい。この場合、回路面積を小さくできる。
(変形例4)
実施の形態では、測定したパルス幅が上側レンジを持続した場合、下側レンジを持続した場合の両方を、DC出力異常と判定したがその限りではない。より処理を簡素化して、パルス幅が上側レンジを持続した場合のみをDC出力異常としてもよいし、下側レンジを持続した場合のみをDC出力異常としてもよい。
(変形例5)
実施の形態では、オーディオIC150はDC異常検出時に自己停止したがその限りではなく、異常検出時の保護処理を、外部のコントローラ(プロセッサ)に委ねてもよい。
100…オーディオ回路、110…PWM信号生成回路、112…オーバーサンプリング回路、114…ΔΣ変調器、116…PWM変換回路、120…パルス幅測定回路、122…パルス幅カウンタ、130…異常判定回路、132…カウンタコントローラ、134…異常検出カウンタ、136…レジスタ、150…オーディオIC、152…オーディオインタフェース回路、154…DSP、156…ハイパスフィルタ、158…インタフェース回路、160…レジスタ、200…オーディオシステム、202…D級アンプ、204…フィルタ、206…電気音響変換素子、210…音源、212…プロセッサ、230…パワー出力段、240…スピーカ、500…車載オーディオシステム、502…音源、504…オーディオ信号処理回路、600…ディスプレイ装置、602…ディスプレイパネル、604…オーディオ信号処理回路、700…小型端末、702…ディスプレイ、704…オーディオ信号処理回路、706…ヘッドホン端子、800…オーディオコンポーネント装置、804…オーディオ信号処理回路。

Claims (14)

  1. デジタルオーディオ信号をパルス幅変調(PWM)信号に変換するPWM信号生成回路と、
    前記PWM信号のパルス幅を測定するパルス幅測定回路と、
    測定された前記パルス幅が、デューティ比50%に対応するパルス幅を含むセンターレンジと隣接する第1レンジに含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定する異常判定回路と、
    を備えることを特徴とするオーディオ回路。
  2. 前記異常判定回路はさらに、測定された前記パルス幅が、前記センターレンジに対して前記第1レンジと反対側に隣接する第2レンジに含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定することを特徴とする請求項1に記載のオーディオ回路。
  3. 前記パルス幅測定回路は、前記PWM信号の前記パルス幅をクロック信号を利用してカウントするパルス幅カウンタを含み、
    前記PWM信号の周期ごとに、測定されたパルス幅が前記第1レンジを維持したときカウントを進め、それ以外のときにリセットされる異常検出カウンタと、
    を含み、前記異常判定回路は、前記異常検出カウンタのカウント値が所定値に達すると、前記異常状態と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のオーディオ回路。
  4. 前記クロック信号は、前記PWM信号生成回路に使用されるクロックと共通であることを特徴とする請求項3に記載のオーディオ回路。
  5. 前記センターレンジの上限および下限は、外部から設定可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のオーディオ回路。
  6. 前記判定時間は、外部から設定可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオーディオ回路。
  7. 前記PWM信号生成回路は、
    前記デジタルオーディオ信号をオーバーサンプリングするオーバーサンプリング回路と、
    前記オーバーサンプリング回路の出力をΔΣ変調するΔΣ変調器と、
    前記ΔΣ変調器の出力を前記PWM信号に変換するPWM変換回路と、
    を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオーディオ回路。
  8. 前記PWM信号生成回路の前段に設けられたハイパスフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のオーディオ回路。
  9. 前記異常状態と判定されると、動作を停止することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のオーディオ回路。
  10. 前記異常状態と判定されると、異常状態を示す信号を外部に出力することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のオーディオ回路。
  11. ひとつの基板に一体集積化されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のオーディオ回路。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載のオーディオ回路を備えることを特徴とする電子機器。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載のオーディオ回路を備えることを特徴とする車載オーディオシステム。
  14. デジタルオーディオ信号をパルス幅変調(PWM)信号に変換するステップと、
    前記PWM信号のパルス幅を測定するステップと、
    測定された前記パルス幅が、デューティ比50%に対応するパルス幅を含むセンターレンジと隣接するレンジに含まれる状態が所定の判定時間持続すると異常状態と判定するステップと、
    を備えることを特徴とする異常検出方法。
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