JP2018125439A - 半導体装置の製造方法、基板冷却方法および基板処理装置 - Google Patents

半導体装置の製造方法、基板冷却方法および基板処理装置 Download PDF

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秀幸 三好
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Satoshi Fujii
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Abstract

【課題】処理枚数の大小にかかわらずに各ウエハに対する処理を適切化する技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室14に搬入する搬入工程と、処理室の基板を処理する処理工程と、処理工程の後に基板保持具を処理室から搬出する搬出工程と、を行う。搬入工程と搬出工程との少なくとも一方では、基板保持具が保持する基板の枚数に応じた速度で基板保持具を移動させる。速度は、実測結果やシミュレーション結果等に基づいて事前に特定されて記憶装置に保持しているものを使用する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置の製造方法、基板冷却方法および基板処理装置に関する。
半導体装置の製造工程で用いられる装置の一例として、いわゆる縦型基板処理装置が知られている。縦型基板処理装置は、多枚数(例えば100〜150枚程度)のウエハをボート(基板保持具)に積載し、そのボートをプロセスチューブ(処理炉)内に搬入した状態で、各ウエハに対する処理を一括して行うように構成されている(例えば特許文献1参照)。
特開2003−109962号公報
近年、縦型基板処理装置に対しては、多枚数ウエハの一括処理のみならず、多品種少量生産にも対応することが求められている。ただし、処理するウエハ枚数の大小によって各ウエハの処理状況にばらつきが生じてしまうことは、場合によって各ウエハに対する処理が不適切なものとなってしまうおそれがあるため、半導体装置の品質や信頼性等を高める上では好ましくない。
本発明は、処理枚数の大小にかかわらずに各ウエハに対する処理の適切化を図ることのできる半導体装置の製造方法、基板冷却方法および基板処理装置を提供する。
本発明の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室に搬入する搬入工程と、前記処理室の前記基板を処理する処理工程と、前記処理工程の後に前記基板保持具を前記処理室から搬出する搬出工程と、を有し、前記搬入工程と前記搬出工程との少なくとも一方では、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を移動させる技術が提供される。
本発明によれば、処理枚数の大小にかかわらずに各ウエハに対する処理の適切化を図ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える予備室の詳細構成例を示す縦断面図である。 本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える処理室の詳細構成例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備えるコントローラの構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える多分割のヒータ部の運用例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る基板処理装置におけるウエハ温度と温度センサによる測定温度との相関関係の一具体例を示す説明図である。
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(1)基板処理装置の全体構成
先ず、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体の概略構成について説明する。
先ず、基板処理装置の1つである縦型炉を具備し、シリコンウエハ等から半導体装置を製造する基板処理装置について、図1に於いて概略を説明する。
基板処理装置1は半導体製造ラインを構成する様に設置され、基板処理装置1への基板の搬送は、カセット等の基板搬送容器に基板(以下、ウエハともいう。)10を収納して行われている。
図1中、符号2は基板処理装置1の前面に設けられた材料搬入出部(カセット授受ステージ)であり、符号3はカセットに装填された材料を一時的に収納する基板搬送容器収納手段(カセット棚)、符号4はカセット授受ステージ2とカセット棚3との間に設けられた1組のカセット搬送手段であり、カセット搬送手段4はカセット授受ステージ2とカセット棚3との間でカセット5を搬送する。
基板処理装置1の後部上方にはヒータユニット(後述する)、ヒータユニット内部に設けられる処理室(後述する)を有する処理炉6が設けられている。処理炉6の下方には昇降機構(昇降手段)であるボートエレベータ7が設けられ、ボート8を搬送する搬送機構として動作する。また、昇降機構7は基板保持具であるボート8を昇降させ、処理炉6にボート8を装入、引出しする。
昇降機構7とカセット棚3との間に基板移載機9が設けられ、基板移載機9はカセット棚3に収納されたカセット5と降下状態の昇降機構7との間で基板10の移載を行う。
人若しくは外部搬送装置によりカセット5がカセット授受ステージ2に投入され、カセット搬送手段4がカセット授受ステージ2のカセット5をカセット棚3に搬送する。カセット棚3は、単にカセット5を一時的に保管するバッファ収納部と基板10の移載に供されるカセット5を収納する移載対象部とを有している。
基板移載機9はカセット棚3の移載対象部のカセット5に対して基板10の移載が可能であり、カセット搬送手段4は、バッファ収納部と移載対象部との間でのカセット5の搬送も行う。すなわち、基板10の移載に供されるカセット5をバッファ収納部から移載対象部に移動し、また移載対象部からバッファ収納部へ搬送する。例えば、1バッチで100枚の基板10をボートに搭載して処理する場合は、25枚の基板10の入ったカセットを4回、バッファ収納部から移載対象部へ搬送する必要がある。
基板移載機9はカセット棚3のカセット5から未処理基板をボート8に移載し、未処理基板はボート8に保持された状態で、昇降機構7により処理室(後述する)に装入される。ボート8が装入された状態では、処理室は気密状態であり、ヒータユニット(後述する)で基板10が加熱され、反応ガスが導入されつつ排気され、所定の処理圧力、処理温度に維持され、レシピに設定されたステップが実行されることで基板10が処理される。
基板10の処理が完了すると、昇降機構7によりボート8が引出され、処理済基板が基板移載機9により、ボート8からカセット棚3に収納されている空のカセット5に移載され、処理済基板を収納するカセット(以下、処理済カセットともいう。)5がカセット搬送手段4によりカセット授受ステージ2に払出され、人または外部搬送装置によりカセット授受ステージ2から処理済カセット5が搬出される。未処理基板を収納するカセット(以下、未処理カセットともいう。)5がバッファ収納部から移載対象部へカセット搬送手段4により搬送される。また、外部搬送装置によりカセット授受ステージ2へ搬入された未処理カセット5をカセット授受ステージ2からカセット棚3のバッファ収納部へ搬送する。
基板処理装置1内で一度に処理可能な基板10の枚数(材料の量)は上限があり、処理する枚数は基板1枚から上限の間で所要枚数が処理される。上限は、ボート8が基板10を保持可能な枚数、例えば数カセット分の基板10である。
1バッチ分の基板10の数が数カセット分に相当する場合、カセット搬送手段4は次バッチ処理準備工程で、処理済カセット5のカセット授受ステージ2への搬送動作、カセット授受ステージ2からの未処理カセット5のバッファ収納部への搬送動作、未処理カセット5をバッファ収納部から移載対象部へ移動する搬送動作をシリーズに順次行う。
カセット5の投入時期(カセット5のカセット授受ステージ2への搬入時期)について、半導体製造ラインが自動化されていない場合は、作業者が基板処理装置1内に空き状態、例えばカセット棚3に空きがあるかどうか、また処理待ち材料発生(処理炉6で基板10が処理されておらず、基板10の装入待ち状態)であるかどうかを監視し、両方が揃った時点で、次処理の準備を開始する。
図2に示す基板処理装置1は、縦型基板処理装置として構成されたものであり、基板としてのウエハ10に対して所定の処理を行う。そのために、基板処理装置1は、ウエハ10を処理する処理室14と、処理前後のウエハ10を一時的に収容する予備室15とを備えており、これらが上下に隣接して設けられている。
(2)予備室の詳細構成
図2に示すように、予備室15は、ウエハ10を保持するボート8を収容可能な空間の一例であり、蓋体18を介して処理室14と気密に連通するように配置されている。ボート8は、複数枚(例えば、50〜150枚程度)のウエハ10を保持する基板保持具として機能するもので、各ウエハ10の中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれを水平に保持するように構成されている。
予備室15には、熱伝導性のよい金属板(例えばアルミニウム板)によって構成された冷却壁23が設けられている。また、冷却壁23には、一端に冷却ガスを供給する為の孔が設けられ、他端に冷却ガスを吸収する開口部が設けられている。そして、予備室15は、冷却壁23によって、ボート8を収容する移載室22と、ボート8を昇降させる昇降機構7を収容する昇降機構室21とに仕切られている。なお、冷却壁23は、冷却機構が内部に埋め込まれている構成としてもよい。
また、昇降機構室21側の冷却壁23の一端には、クーリングユニット28が設けられている。このクーリングユニット28から移載室22に冷却ガスが供給されるように構成されている。処理炉6から搬出されたボート8に載置されたウエハ10は、この冷却ガスにより冷却される。また、冷却ガスは、移載室22内に自然酸化膜の形成を抑制する為、酸素(O)濃度を所定値以下にする必要があるので、窒素(N)ガスなどの不活性ガスが好ましい。
(温度センサ)
図2に示すように、予備室15の冷却壁23の他端には、温度センサ71が設けられている。温度センサ71は、移載室22でボート8に保持されているウエハ10の温度を間接的に測定するためのものである。ここで「間接的に」とは、ウエハ10自体の温度を直接測定するのではなく、ウエハ10自体の温度を推認し得るようにその周囲の温度を測定することを意味する。温度センサ71の設置箇所は、予備室15であれば特に限定されることはないが、ウエハ10からの熱影響を受けやすい適度な位置に設置することが好ましい。具体的には、設置箇所の一例として、ウエハ10を通過した後の不活性ガスが衝突する冷却壁23の他端に温度センサ71を装着することが考えられる。また、温度センサ71の構成自体についても、処理室14で処理されたウエハ10の温度(最も高温になることが想定される温度)を測定可能なものであれば、その測定手法、分解能、測定精度等が特に限定されるものではない。
温度センサ71は、予備室15の外部に設置された温度調節器72と電気的に接続されており、その温度調節器72に対して温度測定結果である検出信号を出力するようになっている。温度調節器72は、温度センサ71から受け取った検出信号に基づき、詳細を後述するように、必要に応じてコントローラ57に対して発報信号を出力するものである。
(3)処理室の詳細構成
次に、基板処理装置1における処理室14の詳細構成について、図3を参照しながら説明する。
(処理室)
予備室15の上方側には、処理室14が設けられている。処理室14は、ウエハ10に対する処理を行うための処理空間を構成するものであり、石英ガラスによって上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成された反応管としてのプロセスチューブ81内に構成されている。つまり、反応管81の筒中空部は、ボート8によって整列した状態に保持された複数枚のウエハ10が搬入される処理室14を実質的に形成している。したがって、反応管81の内径は、取り扱うウエハ10の最大外径よりも大きくなるように設定されている。また、反応管81の下端には炉口部としてのマニホールド86が設けられている。そのため、反応管81の下端には、炉口部86の下端開口を閉塞する蓋体としてのシールキャップ18が、垂直方向下側から当接されるようになっている。
反応管81の下端部の炉口部86には、排気管82が接続されている。炉口部86は、反応管81と同様に円筒形状に設けられている。排気管82は、図示せぬ排気装置に接続されており、処理室14を排気し得るようになっている。
また、反応管81には、ガス導入管83が一体的に構成されている。ガス導入管83は、反応管81の側面に沿って下方側から上方側に敷設されており、ガス導入管83の一端は、反応管81の上端部において処理室14に連通するように接続されている。ガス導入管83の他端は、原料ガス等の処理ガスを供給する処理ガス供給装置および不活性ガス等のキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置(ただし、いずれも不図示)に接続されている。このようなガス導入管83によって反応管81内に導入された処理ガスまたはキャリアガスは、その反応管81内に構成された処理室14を流下して、排気管82によって排気されるようになっている。
(ヒータユニット)
反応管81の外側は、断熱カバー84によって全体的に被覆されている。断熱カバー84の内側には、反応管81内の基板10を加熱するヒータ部(加熱部)としてのヒータユニット85a〜85jが、反応管81の周囲を包囲するように同心円に設備されている。以後、85a〜85jを85と称することがある。
ヒータ部85は、例えば熱源となる電気抵抗体を用いて構成されており、反応管81の長さ方向において複数に細かく分割されて配置されている。本実施形態において、ヒータ部85は、下側から順に、第一ヒータ部85a、第二ヒータ部85b、第三ヒータ部85c・・・第十ヒータ部85jに十分割されている。これらのヒータ部85は、詳細を後述するように、コントローラ57からの指示に従いつつ、図示せぬ温度コントローラによって互いに連携および独立してシーケンス制御されるように構成されている。
ところで、ヒータ部85は、反応管81の内部を加熱する際に、その加熱対象領域を4分割または5分割された複数のゾーンに分割し、それぞれのゾーン毎に温度制御をするようになっている。本実施形態においては、例えば、下側から順に、ロア(L)ゾーン、センタロア(CL)ゾーン、センタアッパ(CU)ゾーン、アッパ(U)ゾーンの4つのゾーンに四分割する。
その一方で、ヒータ部85は、上述したように、第一ヒータ部85a、第二ヒータ部85b、第三ヒータ部85c・・・第十ヒータ部85jに十分割されている。つまり、ヒータ部85は、加熱対象領域の各ゾーンの数よりも多分割に構成されている。
(4)コントローラの構成
次に、基板処理装置1におけるコントローラ57の詳細構成について、図4を参照しながら説明する。
(ハードウエア構成)
コントローラ57は、基板処理装置1を構成する各部の動作を制御する制御部(制御手段)として機能するものであり、コンピュータ装置によって構成されたものである。さらに詳しくは、コントローラ57は、図4(a)に示すように、液晶ディスプレイ等の表示とタッチパネルやキースイッチ等の操作が画面上で行える表示装置58に接続して用いられるもので、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなる演算装置57a、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置57b、外部インタフェース等のデータ入出力部57cといったハードウエア資源を備えて構成されている。これらのうち、記憶装置57bは、内部記録媒体57dを有している。また、データ入出力部57cは、ネットワーク62を介して図示せぬ外部コンピュータに接続されているとともに、副制御部としてのサブコントローラ59と接続されている。なお、コントローラ57は、内部記録媒体57dの代わりに、外部記録媒体57eをデータ入出力部57cに接続して設けてもよく、また、内部記録媒体57dと外部記録媒体57eの両方を用いたものであってもよい。
つまり、コントローラ57は、コンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えて構成されており、演算装置57aが記憶装置57bの内部記録媒体57dに記憶されたプログラムを実行することにより、そのプログラム(ソフトウエア)とハードウエア資源とが協働して、基板処理装置1の各部を動作制御する制御部として機能するようになっている。
このようなコントローラ57は、専用のコンピュータ装置によって構成することが考えられるが、これに限定されることはなく、汎用のコンピュータ装置によって構成されていてもよい。例えば、上述のプログラム等を格納した外部記録媒体(例えば、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)57eを用意し、その外部記録媒体57eを用いて汎用のコンピュータ装置に当該プログラム等をインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ57を構成することができる。また、コンピュータ装置にプログラム等を供給するための方法についても、外部記録媒体57eを介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等のネットワーク62を用い、外部記録媒体57eを介さずにプログラム等を供給するようにしてもよい。なお、内部記録媒体57dや外部記録媒体57e等は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に「記録媒体」ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という文言を用いた場合は、記憶装置57bの内部記録媒体57d単体のみを含む場合、外部記録媒体57e単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、本明細書において、プログラムという文言を用いた場合は、制御プログラム単体のみを含む場合、アプリケーションプログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
コントローラ57における演算装置57aは、データ入出力部57cを介して、図4(b)に示す副制御部59に接続するよう構成されている。具体的には、主制御部としての演算装置57aは、副制御部59に指示し、副制御部59はこの指示に基づいて構成部品の動作を制御することにより、基板処理装置1の全体の動作を制御する。ここで、副制御部59は、処理室14の温度を制御する温度コントローラとしての温度制御部59a、処理室14および予備室15に供給するガスの流量を制御するガス流量コントローラとしてのガス流量制御部59b、処理室14の圧力を制御する圧力コントローラとしての圧力制御部59c、並びに、昇降機構7をはじめとする各種機構部の動作を制御する駆動コントローラとしての駆動制御部59dとして機能する。また、コントローラ57における演算装置57aは、データ入出力部57cを介して、移載室22の温度を制御する温度調節器72とも接続されている。温度調節器72については後述する。
これらの機能を有する副制御部59は、記憶装置57bの内部記録媒体57dに保存されている各種レシピが実行されると、主制御部57aから送信されてくる指示データを参照しつつ、構成部品を動作させて制御処理を行うようになっている。これらの制御部57による制御処理にあたり生成されるデータ(例えば、プロセスデータ)を、記憶装置57bは、保存するよう構成されている。
(5)基板処理工程における基本的なシーケンス例
次に、上述した構成の基板処理装置1を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、ウエハ10をアニールする処理(以下、単にアニールともいう。)のシーケンス例について説明する。
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ10がボート8に装填(ウエハチャージ)されると、ボート8は、昇降機構7によって処理室14に搬入(ボートロード)される。このとき、シールキャップ18は、Oリングを介して処理室14を構成するプロセスチューブ81の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。
(圧力調整および温度調整)
処理室14、すなわち、ウエハ10が存在する空間が所定の圧力(真空度)となるように、排気管82を通じて排気装置によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室14の圧力は、図示せぬ圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づいて、図示せぬAPCバルブがフィードバック制御される。排気装置は、少なくともウエハ10に対する処理が終了するまでの間、常時作動させた状態を維持する。
また、処理室14のウエハ10が所定の温度となるように、ヒータ部85によって加熱される。この際、処理室14が所定の温度分布となるように、図示せぬ温度センサが検出した温度情報に基づき、各ヒータ部85への通電具合がフィードバック制御される。各ヒータ部85による処理室14の加熱は、少なくともウエハ10に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
また、図示せぬ回転機構によるボート8およびウエハ10の回転を開始する。回転機構により、ボート8が回転されることで、ウエハ10が回転される。回転機構によるボート8およびウエハ10の回転は、少なくとも、ウエハ10に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
(アニール処理)
処理室14が所定の圧力および温度になると、その状態を所定に時間維持しつつ所定の処理ガスを供給することで、処理室14のウエハ10をアニールする。
(パージおよび大気圧復帰)
アニール処理が完了した後は、ガス導入管83からNガスを処理室14へ供給し、排気管82から排気する。Nガスは、パージガスとして作用する。これにより、処理室14がパージされる(パージ)。その後、処理室14の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室14の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
昇降機構7によりシールキャップ18が下降され、反応管81の下端に設けられる炉口部86が開口される。そして、処理済のウエハ10が、ボート8に支持された状態で、反応管81の下端側から処理室14の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ10は、ボート8より取出される(ウエハディスチャージ)。
(6)基板処理工程における特徴的な制御処理例
次に、上述した手順の成膜処理の際に、基板処理装置1が行う特徴的な制御処理例について説明する。
(本実施形態の制御処理が必要となる背景)
上述した構成の基板処理装置1は、バッチ処理装置として、例えば100枚〜150枚程度のウエハ10を一度に処理することが可能である。ところが、近年では、基板処理装置1に対しては、多枚数のウエハ10の一括処理のみならず、多品種少量生産にも対応することが求められている。
多品種少量生産に対応しようとすると、ボート8が保持可能な最大枚数に満たない枚数(例えば50枚以下)のウエハ10を処理する必要が生じ得る。その場合には、最大枚数に不足する枚数分のフィルダミーウエハをボート8に保持させることが一般的である。なぜならば、ボート8によるウエハ10の保持枚数の変動により、処理室14の温度分布が変わってしまい、各ウエハ10に対する処理が不適切なものとなってしまうのを回避するためである。
しかしながら、フィルダミーウエハの消費枚数が増加することは好ましくない。フィルダミーウエハの消費枚数の増加は、ウエハ10の処理コスト(半導体装置の製造コスト)の増大やウエハ10の処理効率(半導体装置の生産効率)の低下等を招き得るからである。
そこで、本実施形態において、基板処理装置1のコントローラ57は、フィルダミーウエハを利用しない場合に、ボート8によるウエハ10の保持枚数が変動しても、各ウエハ10に対する処理が不適切なものとなってしまうことがないように、以下に説明するような制御処理を行う。
(駆動制御)
ここで、コントローラ57が行う制御処理の一つとして、駆動制御部59dによる昇降機構7に対する動作制御処理について説明する。
フィルダミーウエハを利用しないと、ボート8によるウエハ保持枚数は、多枚数一括処理の場合と多品種少量生産に対応する場合とで変動する。このような枚数変動があると、保持状態のウエハ10の総重量が変わることから、同一条件で昇降機構7を動作させてもボート8の昇降動作に影響が及ぶ可能性がある。
そこで、コントローラ57は、ボート8の処理室14への搬入と処理室14からの搬出との少なくとも一方、好ましくはこれらの両方に際して、ボート8が保持するウエハ10の枚数に応じた速度で、そのボート8を昇降させるように昇降機構7を制御する。
具体的には、先ず、ボート8が保持するウエハ10の枚数を認識する。ウエハ10の枚数認識は、例えばボート8にウエハ10を搭載する際に用いる基板移載機9の動作を監視することによって行うことができるが、これに限られることはなく、他の手法で行ってもよい。
また、ウエハ10の枚数と昇降機構7がボート8を昇降させる速度との相関関係を示す相関データ(以下、速度相関データともいう。)を取得する。速度相関データは、ボート8が保持するウエハ10の枚数別にそのボート8の昇降に適した速度を規定するデータであり、実測結果やシミュレーション結果等に基づいて事前に特定されて記憶装置57bに保持されているものとする。速度相関データの取得は、記憶装置57bにアクセスすることによって行うことができる。
そして、コントローラ57は、ボート8が保持するウエハ10の枚数を認識し、かつ、記憶装置57bから速度相関データを取得したら、その速度相関データの内容に基づいて、ボート8が保持するウエハ10の枚数に応じて、その枚数に適した態様で昇降動作を行うように、ボート8を昇降させる速度を決定する。ウエハ10の保持枚数に適した態様の昇降動作としては、以下のようなものが挙げられる。
コントローラ57は、例えば、ボート8が保持するウエハ10の枚数によらずに(すなわち、ボート8がどのような枚数のウエハ10を保持している場合であっても)、そのボート8の昇降が一定速度を維持しつつ行われるように、昇降機構7におけるモータ35の駆動力を調整して、その昇降機構7にボート8を昇降させる。このようにコントローラ57がボート8を昇降させる速度を決定して、その昇降機構7に対する動作制御を行えば、多枚数一括処理の場合と多品種少量生産に対応する場合とのいずれであっても、処理室14へのウエハ10の搬入や処理室14からのウエハ10の搬出等が、略同一条件で行われるようになる。したがって、多枚数一括処理の場合であるか、または多品種少量生産に対応する場合であるかにかかわらず、各ウエハ10に対する処理状況にばらつきが生じてしまうのを抑制することができる。
また、コントローラ57は、例えば、ウエハ10の枚数が多いほど低速で昇降させ、ウエハ10の枚数が少ないほど高速で昇降させるように、昇降機構7によるボート8の昇降速度を決定して、その昇降機構7に対する動作制御を行う。このようにすれば、ウエハ10の枚数の相違に起因する慣性力の差が昇降動作に及ぶのを抑制して、その昇降動作の信頼性向上を図ることができ、また昇降機構7のモータ35に過負荷が及ぶのを抑制することができる。
また、コントローラ57は、例えば、ウエハ10の枚数が多いほど高速で昇降させ、ウエハ10の枚数が少ないほど低速で昇降させるように、昇降機構7によるボート8の昇降速度を決定して、その昇降機構7に対する動作制御を行う。このようにすれば、基板処理装置1においてウエハ10を処理する際の効率向上が図れるようになる。例えば、ウエハ10の枚数が多い場合に、ボート8へのウエハ10の搭載等に時間を要しても、ボート8の昇降を高速化することで補えるからである。
(加熱制御)
続いて、コントローラ57が行う制御処理の他の一つとして、温度制御部59aによるヒータ部85の加熱制御処理について説明する。
上述したように、本実施形態においては、成膜処理を行うためにプロセスチューブ81の内部を加熱する際には、その加熱対象領域をLゾーン、CLゾーン、CUゾーン、Uゾーンに四分割し、各ゾーンにおけるウエハ10が所定温度を維持するように、それぞれのゾーン毎に温度制御をする。このようなゾーン毎の温度制御をする場合、フィルダミーウエハを利用せずに多品種少量生産に対応しようとすると、ボート8によるウエハ保持枚数の変動に伴って、各ゾーンのゾーン長を変更する必要が生じる。
そのために、本実施形態においては、ヒータ部85が加熱対象領域の各ゾーンの数よりも多分割に構成されている。そして、コントローラ57は、ボート8に保持されるウエハ10の枚数に応じて、多分割された各ヒータ部85がUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンのそれぞれに割り当てられるように、各ヒータ部85に対する通電制御を行う。なお、ボート8におけるウエハ10の保持枚数の認識は、上述した駆動制御の場合と同様にして行えばよい。
ウエハ10の保持枚数に応じた各ヒータ部85の割り当て態様としては、以下のようなものが挙げられる。
図5は、多分割されたヒータ部の運用例を示す模式図である。
例えば、最大枚数である150枚のウエハ10をボート8が保持する場合(以下、150枚処理またはラージバッチ処理ともいう。)には、図5(a)に示すように、第一ヒータ部85aをLゾーン、第二ヒータ部85b〜第四ヒータ部85dをCLゾーン、第五ヒータ部85e〜第七ヒータ部85gをCUゾーン、第八ヒータ部85h〜第十ヒータ部85jをUゾーンに割り当てる。そして、同一ゾーンに割り当てたものを直列接続または並列接続で通電して運用する。
また、例えば、多品種少量生産に対応すべく50枚のウエハ10をボート8が保持する場合(以下、50枚処理またはミニバッチ処理ともいう。)には、図5(b)に示すように、第一ヒータ部85aをLゾーン、第二ヒータ部85bおよび第三ヒータ部85cをCLゾーン、第四ヒータ部85dおよび第五ヒータ部85eをCUゾーン、第六ヒータ部85fおよび第七ヒータ部85gをUゾーンに割り当てる。そして、同一ゾーンに割り当てたものを直列接続または並列接続で通電して運用する。なお、このとき、第八ヒータ部85h〜第十ヒータ部85jについては、非加熱の未使用ゾーンとされる。つまり、多分割に構成された各ヒータ部85は、ボート8に保持されるウエハ10の枚数に応じて、Lゾーン〜Uゾーンのいずれにも割り当てられない部分を有することになる。
以上のように、コントローラ57は、温度制御部59aによる各ヒータ部85への通電制御を通じて、ボート8に保持されるウエハ10の枚数に応じて各ゾーンのゾーン長を変更するように、多分割に構成された各ヒータ部85を運用する。
このような運用にあたり、各ゾーンのうちの特定ゾーンに割り当てられる各ヒータ部85の部分は、ボート8に保持されるウエハ10の枚数にかかわらずに、同一部分としてもよい。具体的には、Lゾーンについては、150枚処理と50枚処理のいずれの場合であっても、ボート8によるウエハ10の保持枚数にかかわらずに、常に第一ヒータ部85aを割り当てるように運用することが考えられる。
本実施形態における加熱制御によれば、各ヒータ部85への通電制御により各ゾーンのゾーン長を適宜変更し得るようになる。そのため、例えばラージバッチ処理とミニバッチ処理のいずれにも対応する場合であっても、ハードウエア的なヒータ交換作業を要することなく、それぞれの場合に容易に対応することが可能となる。
また、例えば、ラージバッチ処理に対応する場合であっても、ミニバッチ処理に対応する場合であっても、ボート8によるウエハ10の保持枚数に応じて各ゾーンのゾーン長が適切に設定されることになるので、いずれの場合においても処理室14の温度分布を同等なものとすることができる。つまり、フィルダミーウエハを利用しなくても、ラージバッチ処理であるかミニバッチ処理であるかにかかわらず、各ウエハ10に対する処理状況にばらつきが生じてしまうのを抑制することができる。
また、ミニバッチ処理に対応する場合には、フィルダミーウエハが不要となることで、ボート8へのウエハ移載時間を短縮することができ、短納期生産の要求に応える上で好適なものとなる。
さらに、ミニバッチ処理に対応する場合には、Lゾーン〜Uゾーンの各ゾーンと非加熱の未使用ゾーンとが併存することになるので、未使用ゾーンの分だけ各ヒータ部85による消費電力の軽減が期待できる。
(冷却制御)
続いて、コントローラ57が行う制御処理のさらに他の一つとして、ボート8を処理室14から搬出した場合に、そのボート8に保持されているウエハ10に対して、駆動制御部59dが温度センサ71を用いて行う冷却制御処理について説明する。
ヒータ部85の加熱を経て処理室14でウエハ10への成膜処理を行った後は、そのウエハ10を保持するボート8を処理室14から搬出し、予備室15でウエハ10の冷却を行う。このとき、噴射孔45から予備室15に不活性ガスを噴射供給することで、ウエハ10の冷却が促進されることになる。
ところで、予備室15でのウエハ冷却時間は、従来の運用では、ボート8に保持されるウエハ10の枚数にかかわらずに、時間を変えることなく初期の条件で設定された同一時間に固定されていることが一般的である。ただし、フィルダミーウエハを利用することなく多品種少量生産に対応する場合には、多枚数一括処理の場合とはウエハ保持枚数が異なり、これにより熱容量も変動する。そのため、いずれの場合にも固定的な冷却時間を一律に適用することは、必ずしも適切ではない。
そこで、本実施形態においては、予備室15でのウエハ10の冷却にあたり、温度センサ71を用いて以下のような冷却制御を行う。
具体的には、先ず、ボート8に保持されているウエハ10の実際の温度と、そのウエハ10の温度を間接的に測定する温度センサ71による測定温度とにつき、これらの相関関係を示す相関データ(以下、温度相関データともいう。)を取得する。ウエハ10自体の温度を直接測定することは非常に困難である。そこで、ウエハ10の実際の温度と温度センサ71による測定温度との相関関係を示す温度相関データを事前に用意しておく。
図6は、ウエハ温度と温度センサによる測定温度との相関関係の一具体例を示す説明図である。
ウエハ温度とセンサ測定温度との相関関係は、実測結果やシミュレーション結果等に基づいて、事前に特定しておくものとする。例えば、ダミーウエハを用いて処理室14から出てきたウエハ温度を測定するとともに、その温度と間接的に測定する温度センサ71の測定結果を確認することで、これらの相関関係を特定することができる。
ダミーウエハを用いて行うウエハ温度とセンサ測定温度との相関関係の特定は、ウエハ保持枚数や昇降機構7の動作速度等の条件を適宜変更しつつ、複数の条件で行う。条件(特に、ウエハ保持枚数)が変われば、その影響で相関関係も変わり得るからである。
そして、ウエハ温度とセンサ測定温度との相関関係を特定したら、その特定結果を温度相関データとして例えば記憶装置57bに保存しておく。複数の条件で相関関係を特定すれば、温度相関データは、各条件に対応して(具体的には、例えばウエハ保持枚数別に)個別に存在するといったこともあり得る。なお、温度相関データの保存箇所は、記憶装置57bではなく、温度センサ71からの検出信号を受け取る温度調節器72であってもよい。記憶装置57bまたは温度調節器72に温度相関データを保存しておけば、そこにアクセスすることによって、必要となる温度相関データを取得することができる。
温度相関データの取得は、例えばボート8に保持されるウエハ10の枚数に応じて行うことができる。ボート8におけるウエハ10の保持枚数の認識は、上述した駆動制御の場合と同様にして行えばよい。つまり、温度相関データの取得にあたっては、冷却しようとするウエハ10の保持枚数の認識した上で、そのウエハ保持枚数の認識結果に応じた温度相関データを選択し、その選択した温度相関データを取得対象とすることもできる。
温度相関データの取得後は、その温度相関データに基づいて、温度調節器72の発報温度を設定する。発報温度は、ウエハ10が必要十分に冷却されたか否かを判断するための基準となる温度である。例えば、ウエハ10を図示せぬカセット5に回収した際に、ウエハ10の熱でカセット5が溶ける等の事象が生じなければ、そのウエハ10は必要十分に冷却されていると推認できる。このようなウエハ温度は、カセット5の仕様(例えば形成材料の耐熱温度)を基に予め規定することが可能である。発報温度は、温度相関データ上において、このようなウエハ温度と対応関係にあるセンサ測定温度に相当するものである。
発報温度の設定後に、処理室14からボート8が搬出され、そのボート8に保持されたウエハ10の冷却が開始されると、温度調節器72は、温度センサ71による測定温度をモニターする。そして、温度センサ71による測定温度が設定された発報温度まで降下したら、温度調節器72がコントローラ57に対して発報信号(発報温度まで降下した旨の信号)を出力する。なお、温度センサ71による測定温度に基づき温度調節器72がクーリングユニット28から供給される冷却ガスの流量を制御するようにしてもよい。
コントローラ57は、温度調節器72からの発報信号を受け取ると、ボート8に保持されたウエハ10が必要十分に冷却されたと判断できることから、ボート8からのウエハ10の取り出しを許可して次のステップへ進む。具体的には、ボート8からのウエハ10の取り出しを行うように、駆動制御部59dが基板移載機9に動作指示を与える。
以上のように、本実施形態における冷却制御によれば、温度センサ71による測定温度をモニターしてウエハ10の冷却時間の終了を検知するので、過冷却や冷却不足等が生じるのを未然に回避することができる。つまり、過冷却の回避により、冷却時間を無駄に費やしてしまうことがないので、半導体装置の製造TAT(ターンアラウンド・タイム)を改善することができる。また、冷却不足の回避により、冷却不足のまま次ステップを実行してしまうことがないので、半導体装置の製品不良を防止することができる。
また、温度センサ71による測定結果を利用することで、ウエハ10の冷却時間を可変的にすることができる。そのため、例えば、ラージバッチ処理に対応する場合であっても、ミニバッチ処理に対応する場合であっても、それぞれに適した冷却時間を適用することが可能となる。
また、温度センサ71による測定結果の利用にあたって、温度相関データを用いることで、温度センサ71がウエハ10の温度を間接的に測定するものであっても、ウエハ10自体の温度を適切に判断し得るようになる。
しかも、ウエハ保持枚数等の条件について、様々な条件に応じた温度相関データを用意しておけば、どのような条件の場合であっても、ウエハ温度とセンサ測定温度との相関関係を適切に把握できる。そのため、その把握結果に応じて発報温度を適宜設定することで、冷却制御の更なる最適化(時間短縮等)が実現可能となる。
(7)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態においては、処理室14への搬入時と処理室14からの搬出時との少なくとも一方に際して、ウエハ10の保持枚数に応じた速度でボート8を昇降させるように駆動制御を行う。そのため、例えば、ラージバッチ処理に対応する場合であっても、またフィルダミーウエハを利用せずにミニバッチ処理に対応する場合であっても、それぞれの場合に適した態様でボート8を昇降させ得るようになり、その結果として処理枚数の大小にかかわらずに各ウエハ10に対する処理の適切化を図ることが可能となる。
(b)本実施形態においては、温度センサ71による測定結果を利用して冷却制御を行うので、過冷却や冷却不足等が生じるのを未然に回避することができ、その結果として半導体装置の製造TATの改善や製品不良防止等が図れるようになる。しかも、温度センサ71による測定結果の利用にあたり、温度相関データを用いているので、ウエハ温度とセンサ測定温度との関係を適切に把握でき、温度センサ71を利用した冷却制御処理の適切化を図ることが可能となる。
(c)本実施形態においては、速度相関データを事前に用意しておき、その速度相関データに基づいてボート8の昇降速度を決定する。そのため、その速度決定を迅速かつ確実に行えるようになり、またその決定結果がウエハ10の保持枚数に応じて適切に決定されたものとすることができる。
(d)本実施形態においては、温度相関データについてウエハ保持枚数に応じたものを用意しておくので、ウエハ保持枚数によってウエハ温度とセンサ測定温度との関係に変動が生じる場合であっても、その変動に適切に対応することができる。つまり、様々な条件に応じた温度相関データを個別に用意しておくことで、温度センサ71を利用した冷却制御処理の更なる適切化が図れるようになる。
(e)本実施形態においては、予備室15にて、ボート8に保持されているウエハ10に対して不活性ガスを吹き付ける。これにより、処理室14からの搬出されたボート8に保持されているウエハ10の冷却が促進されることになる。
(f)本実施形態においては、各ゾーン(例えば、Uゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)の数よりも多分割に構成されたヒータ部85を用いて、処理室14のウエハ10を所定の処理温度まで加熱する際の加熱制御を行う。そのため、各ヒータ部85への通電制御により各ゾーンのゾーン長を適宜変更し得るようになり、例えばラージバッチ処理とミニバッチ処理のいずれにも対応する場合であっても、ハードウエア的なヒータ交換作業を要することなく、それぞれの場合に容易に対応することが可能となる。
(g)本実施形態においては、ボート8に保持されるウエハ10の枚数に応じて、多分割されたヒータ部85をUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンのそれぞれに割り当てる。つまり、例えばラージバッチ処理とミニバッチ処理のいずれに対応する場合であっても、加熱対象領域がUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーンのゾーン毎に加熱制御されることになる。したがって、フィルダミーウエハを利用しなくても、ラージバッチ処理であるかミニバッチ処理であるかにかかわらず、それぞれの場合で同様な温度分布を実現することができ、各ウエハ10に対する処理状況にばらつきが生じてしまうのを抑制することができる。
(h)本実施形態においては、ボート8を昇降させる際の駆動制御にあたり、ウエハ保持枚数によらずに(すなわち、ボート8がどのような枚数のウエハ10を保持している場合であっても)、そのボート8の昇降が一定速度を維持するような駆動制御を行う。そのため、ウエハ保持枚数によらずに処理室14に対するウエハ10の搬入出が略同一条件で行われるようになり、例えばラージバッチ処理に対応する場合であるか、フィルダミーウエハを利用せずにミニバッチ処理に対応する場合であるかにかかわらず、各ウエハ10に対する処理状況にばらつきが生じてしまうのを抑制することができる。
<他の実施形態>
以上に、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、基板処理装置1が行う処理としてアニール処理を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、本発明は、上述した実施形態で例に挙げたアニール処理の他に、酸化処理や拡散処理等にも適用できる。
また、例えば、上述した実施形態では、基板処理装置1が半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程に用いられる例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、本発明は、ウエハ10を処理する半導体製造装置としてだけではなく、例えばLCD(Liquid Crystal Display)装置で用いられるようなガラス基板を処理する装置にも適用できる。
また、例えば、上述した実施形態では、基板処理装置1が備える予備室15が処理室14の下方側に設けられた空間である場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、予備室15は、ボート8の昇降時に処理室14を大気に開放しないようにする、いわゆるロードロック機能を備えたものであってもよく、その場合でも全く同様に本発明を適用することが可能である。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室に搬入する搬入工程と、前記処理室の前記基板を処理する処理工程と、前記処理工程の後に前記基板保持具を前記処理室から搬出する搬出工程と、を有し、
前記搬入工程と前記搬出工程との少なくとも一方では、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を移動させる
半導体装置の製造方法が提供される。
[付記2]
本発明の他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室に搬入して前記処理室で前記基板を処理した後、前記処理室から搬出した前記基板保持具が保持する前記基板を冷却する基板冷却方法であって、
前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を移動させる
基板冷却方法が提供される。
[付記3]
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具と、
前記基板保持具が保持する前記基板を処理する処理室と、
前記基板保持具を昇降させて前記基板保持具の前記処理室への搬入および前記処理室からの搬出を行う搬送機構と、
前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を搬送させるように前記搬送機構を制御する制御部と、
を備える基板処理装置が提供される。
[付記4]
好ましくは、
前記基板の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサによる測定温度と前記基板の温度との相関関係を示す相関データを保存する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記相関データに基づき、前記温度センサによる測定温度が所定温度に到達すると、前記基板保持具からの前記基板の取り出しを許可するように構成されている
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
[付記5]
好ましくは、
前記基板保持具が保持する前記基板の枚数と前記昇降機構が前記基板保持具を昇降させる速度との相関関係を示す相関データを保存する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記相関データに基づき、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じて前記昇降機構が前記基板保持具を昇降させる速度を決定するように構成されている
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
[付記6]
好ましくは、
前記基板の温度を測定する温度センサと、
前記基板保持具の基板保持枚数に応じた前記温度センサによる測定温度と前記基板の温度の相関関係を示す相関データを保存する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記相関データに基づき、前記温度センサによる測定温度が所定温度に到達すると、前記基板保持具からの前記基板の取り出しを許可するように構成されている
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
[付記7]
好ましくは、
前記処理室の前記基板を複数のゾーンに分割して加熱する加熱部と、
前記複数のゾーンにおける前記基板が所定温度を維持するように前記加熱部を各ゾーン別に制御する温度制御部と、を備え、
前記加熱部は、前記ゾーンの数よりも多分割に構成されている
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
[付記8]
好ましくは、
前記加熱部は、前記基板保持具に保持される前記基板の枚数に応じて、多分割された各部が前記複数のゾーン(具体的にはUゾーン、CUゾーン、CLゾーン、Lゾーン)のそれぞれに割り当てられる
付記7に記載の基板処理装置が提供される。
[付記9]
好ましくは、
前記複数のゾーンのうちの特定ゾーン(具体的にはLゾーン)に割り当てられる前記加熱部の部分は、前記基板保持具に保持される前記基板の枚数にかかわらずに同一部分である
付記8に記載の基板処理装置が提供される。
[付記10]
好ましくは、
多分割に構成された前記加熱部は、前記基板保持具に保持される前記基板の枚数に応じて、前記複数のゾーンに割り当てられない部分を有する
付記7に記載の基板処理装置が提供される。
[付記11]
好ましくは、
前記制御部は、前記昇降機構が前記基板保持具を前記処理室へ搬入している間、前記基板保持具に保持される前記基板の枚数によらずに一定速度を維持するように前記昇降機構を制御する
付記3に記載の基板処理装置が提供される。
[付記12]
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具を昇降機構により処理室に搬入する手順と、
前記処理室の前記基板を処理する手順と、
前記処理室での前記基板の処理後に前記基板保持具を前記昇降機構により前記処理室から搬出する手順と、
前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を昇降させるように前記昇降機構を制御する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
[付記13]
本発明のさらに他の一態様によれば、
複数枚の基板を保持する基板保持具を昇降機構により処理室に搬入する手順と、
前記処理室の前記基板を処理する手順と、
前記処理室での前記基板の処理後に前記基板保持具を前記昇降機構により前記処理室から搬出する手順と、
前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を昇降させるように前記昇降機構を制御する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
1…基板処理装置、10…ウエハ(基板)、8…ボート(基板保持具)、14…処理室、7…昇降機構、57…コントローラ(制御部)、57a…演算装置(主制御部)、57b…記憶装置(記憶部)

Claims (3)

  1. 複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室に搬入する搬入工程と、前記処理室の前記基板を処理する処理工程と、前記処理工程の後に前記基板保持具を前記処理室から搬出する搬出工程と、を有し、
    前記搬入工程と前記搬出工程との少なくとも一方では、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を移動させる
    半導体装置の製造方法。
  2. 複数枚の基板を保持する基板保持具を処理室に搬入して前記処理室で前記基板を処理した後、前記処理室から搬出した前記基板保持具が保持する前記基板を冷却する基板冷却方法であって、
    前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を移動させる
    基板冷却方法。
  3. 複数枚の基板を保持する基板保持具と、
    前記基板保持具が保持する前記基板を処理する処理室と、
    前記基板保持具を昇降させて前記基板保持具の前記処理室への搬入および前記処理室からの搬出を行う搬送機構と、
    前記基板保持具の前記処理室への搬入と前記処理室からの搬出との少なくとも一方に際して、前記基板保持具が保持する前記基板の枚数に応じた速度で前記基板保持具を搬送させるように前記搬送機構を制御する制御部と、
    を備える基板処理装置。
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