JP2018124765A - 診療情報処理システム、及び診療情報処理プログラム - Google Patents

診療情報処理システム、及び診療情報処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、医療従事者が、患者が患った疾患の経過を適切に評価することを可能にする診療情報処理システム及び診療情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る診療情報処理システムは、複数の患者のそれぞれについて、患者が所定の医療機関で最初に診察を受けた初診日及び所定の医療機関における特定の診療科で患者が最初に診察を受けた初回受診日を記憶する記憶部と、初診日から初回受診日までの初回受診期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の初回受診期間における患者数に応じた初回受診期間スコアを算出する算出部と、初回受診期間スコアを参照して、任意の患者が特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、患者の診療実績データを分析するための診療情報処理システム、及び診療情報処理プログラムに関する。
従来、特定の疾患によって入院中の患者が、同じ疾患における典型的な治療経過を辿らない場合、医師等の医療従事者は、当該典型的な経過を辿っていない患者に対して、治療の見直しの検討、又は、慎重な経過観察等を行う必要があった。そのため、医療従事者は、現在治療中の患者の治療方針を決定するために、当該患者が非典型的な治療経過を辿っている患者であるか否かを適宜評価する必要があった。近年では、複数の患者の治療の経過に関する情報を格納し、格納した各患者の治療の経過を表示することができるシステムが知られている。
例えば、特許文献1には、患者毎に、傷病名、使用した薬品名、薬品の投与日数及び治癒期間等を記憶し、傷病名及び薬品名等によって検索した結果を表示することができる治癒情報表示システムが記載されている。この治癒情報表示システムは、入力された傷病名及び薬品名によって検索された複数の患者の治癒期間等をグラフ表示することができる。これにより、医療従事者は、主疾患の治療経過が特異な患者を見つけることが可能であった。
特開2014−67321号公報
一般に、医療従事者は、主疾患だけではなく、主疾患の治療中に発症した合併症等の治療経過についても評価を行い、患者の治療方針を決定する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載された従来のシステムは、主疾患に対する治療が実施された期間等の情報等を表示するだけであった。このため、医療従事者は、従来のシステムを用いて、主疾患の治療中に発症した合併症等の治療経過を評価することができなかった。
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、医療従事者が、患者が患った疾患の経過を適切に評価することを可能にする診療情報処理システム及び診療情報処理プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る診療情報処理システムは、複数の患者のそれぞれについて、患者が所定の医療機関で最初に診察を受けた初診日及び所定の医療機関における特定の診療科で患者が最初に診察を受けた初回受診日を記憶する記憶部と、初診日から初回受診日までの初回受診期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の初回受診期間における患者数に応じた初回受診期間スコアを算出する算出部と、初回受診期間スコアを参照して、任意の患者が特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有する。
また、本発明に係る診療情報処理システムにおいて、記憶部は、特定の診療科で患者が最後に診察を受けた最終受診日を更に記憶し、算出部は、更に、初回受診日から最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出し、判定部は、初回受診期間スコア及び受診継続期間スコアが高いほど、高くなるように典型度を算出し、典型度が所定値以下である患者が典型的な経過を辿った患者でないと判定することが好ましい。
本発明に係る診療情報処理システムは、複数の患者のそれぞれについて、所定の医療機関における特定の診療科で患者が最初に診察を受けた初回受診日及び最後に診察を受けた最終受診日を記憶する記憶部と、初回受診日から最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出する算出部と、受診継続期間スコアを参照して、任意の患者が特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部と、を有する。
また、本発明に係る診療情報処理システムにおいて、算出部は、初回受診期間毎の患者数から、初回受診期間を確率変数とする確率密度関数を導出し、任意の患者の初回受診期間に対応した初回受診期間スコアを、初回受診期間の確率密度関数に従って算出することが好ましい。
また、本発明に係る診療情報処理システムにおいて、算出部は、受診継続期間毎の患者数から、受診継続期間を確率変数とする確率密度関数を導出し、任意の患者の受診継続期間に対応した受診継続期間スコアを、受診継続期間の確率密度関数に従って算出することが好ましい。
本発明に係る診療情報処理プログラムは、記憶部を有するコンピュータの診療情報処理プログラムであって、複数の患者のそれぞれについて、患者が所定の医療機関で最初に診察を受けた初診日及び所定の医療機関における特定の診療科で患者が最初に診察を受けた初回受診日を記憶部に記憶し、初診日から初回受診日までの初回受診期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の初回受診期間における患者数に応じた初回受診期間スコアを算出し、初回受診期間スコアを参照して、任意の患者が特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かの経過判定を行い、経過判定の結果を出力する、ことをコンピュータに実行させる。
本発明に係る診療情報処理プログラムは、記憶部を有するコンピュータの診療情報処理プログラムであって、複数の患者のそれぞれについて、所定の医療機関における特定の診療科で患者が最初に診察を受けた初回受診日及び最後に診察を受けた最終受診日を記憶部に記憶し、初回受診日から最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出し、受診継続期間スコアを参照して、任意の患者が特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かの経過判定を行い、経過判定の結果を出力する、ことをコンピュータに実行させる。
本発明に係る診療情報処理システム、及び診療情報処理プログラムによって、医療従事者が、患者が患った疾患の経過を適切に評価することが可能となる。
診療情報処理システムの概略を説明するための模式図である。 診療情報処理システム1の概略構成の一例を示す図である。 (a)は、疾患別患者初診日リストのデータ構造の一例を示す図であり、(b)は、患者別診療科受診履歴のデータ構造の一例を示す図である。 (a)は、患者別受診日リストのデータ構造の一例を示す図であり、(b)は、患者別受診期間リストのデータ構造の一例を示す図である。 受診患者数リストのデータ構造の一例を示す図である。 (a)は、確率密度関数の一例を示す模式図であり、(b)は、発症日スコア関数の一例を示す模式図であり、(c)は、発症日スコアの算出処理の一例を説明するための模式図である。 (a)は、発症日スコアリストのデータ構造の一例を示す図であり、(b)は、治療経過スコアリストのデータ構造の一例を示す図である。 典型度リストのデータ構造の一例を示す図である。 表示装置3に表示される画面の一例を示す図である。 (a)及び(b)は、表示装置3に表示される画面の一例を示す図である。 非典型例判定処理のフローチャートの一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
(診療情報処理システムの概略)
図1は、本実施形態の診療情報処理システムの概略を説明するための模式図である。この診療情報処理システムは、病院で記録された複数の患者の診療実績データを分析するための情報処理装置と、情報処理装置によって分析された結果を、病院内外の医療従事者に対して表示する表示装置とを有する。診療実績データは、例えば、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データであるが、病院等の医療機関で記録された各患者の所定の疾患情報に係る初診日、当該医療機関における各診療科での各患者の初回受診日及び最終受診日を含むデータであれば、どのようなデータでもよい。なお、疾患情報は、疾患名又は疾患を識別するための識別情報等である。疾患情報は、個別の疾患を識別する疾患名又は識別情報に限らず、例えば、類似の又は同質の傷病を総称した傷病分類を識別し得る情報であってもよい。また、初診日は、患者が最初に医療機関で診察を受けた日であり、初回受診日及び最終受診日は、患者が当該医療機関における各診療科で最初に診察を受けた日及び最後に診察を受けた日である。
診療情報処理システムは、複数の患者のそれぞれについて、各患者が最初に特定の医療機関で診察を受けた初診日、特定の医療機関における各診療科で、各患者が最初に診察を受けた初回受診日及び最後に診察を受けた最終受診日を記憶する(図1の(1))。なお、診療情報処理システムは、複数の医療機関のそれぞれにおける、各患者の初診日、初回受診日及び最終受診日を記憶してもよい。また、初回受診日及び最終受診日に係る各診療科は、主疾患を患った患者が合併症等を発症した場合に受診する、当該主疾患に係る診療科とは異なる診療科である。なお、初回受診日及び最終受診日に係る各診療科は、主疾患に係る診療科であってもよい。
患者は、疾患を患うと、病院等の医療機関を訪れて、その疾患に応じた診療科で治療を受けることになる。このため、本実施形態の診療情報処理システムでは、診療科の初回受診日をその疾患の発症日として用いて以下の処理を行う。同様に、最終受診日は、その疾患に対する治療が終了した日若しくは治療が継続中であれば直近の治療が行われた日として、以下の処理に用いられる。また、疾患(主疾患)を治療中に、患者が合併症等の別の疾患を発症すると、その別の疾患に応じた診療科でも治療が行われる。その際、別の疾患の治療を行う診療科が主疾患の治療を行う診療科とは異なる場合がある。その場合、患者は、複数種類の診療科を受診することになる。本実施形態の診療情報処理システムにおいては、診療科毎に初回受診日や最終受診日を処理するため、主疾患に関する発症日や治療終了日だけでなく、前述のような主疾患の治療中に発症した合併症等に関する発症日や治療終了日の情報を処理して評価に用いることができる。
以下、診療情報処理システムによる患者の非典型例判定処理について説明をする。なお、患者の非典型例判定処理は、各診療科における主疾患に係る疾患情報毎に実行される。すなわち、以下の非典型例判定処理は、各疾患情報に係る疾患を主疾患とする患者についての診療実績データを処理対象とする。
まず、診療情報処理システムは、診療科毎に、各患者の初診日から初回受診日までの日数を初回受診日数(初回受診期間)として算出し、各患者の初回受診日から最終受診日までの日数を受診期間日数(受診継続期間)として算出する。診療科毎の初回受診期間は、合併症等も含んだ疾患毎の初診日からの発症タイミングを表す。また、診療科毎の受診継続期間は、合併症等を含んだ疾患毎の治療に要した期間を表す。次に、診療情報処理システムは、算出した全ての患者の初回受診日数に基づいて初回受診日数毎の患者数を算出し、算出した全ての患者の受診期間日数に基づいて受診期間日数毎の患者数を算出する。
次に、診療情報処理システムは、初回受診日数毎の患者数に基づいて初回受診日数の確率密度関数を算出し、受診期間日数毎の患者数に基づいて受診期間日数の確率密度関数を算出する(図1の(2))。例えば、診察情報処理システムは、初回受診日数毎に、各初回受診日数の患者数を、各受診診療科における全ての患者数で除算した確率を算出し、次に、算出した初回受診日数毎の確率に基づいて初回受診日数を確率変数とする確率密度関数を算出する。なお、初回受診日数の確率密度関数は、第1統計データの一例である。また、診察情報処理システムは、受診期間日数毎に、各受診期間日数の患者数を、各受診診療科における全ての患者数で除算した確率を算出し、次に、算出した各受診期間日数の確率に基づいて受診期間日数を確率変数とする確率密度関数を算出する。なお、受診期間日数の確率密度関数は、第2統計データの一例である。
次に、診療情報処理システムは、初回受診日数の確率密度関数に基づいて各患者の初回受診日数に対する発症日スコアを算出し(図1の(3))、受診期間日数の確率密度関数に基づいて各患者の受診期間日数に対する治療経過スコアを算出する(図1の(4))。
なお、発症日スコアは、初回受診期間スコアの一例であり、発症日スコアに係る診療科について、患者が初診日から当該診療科を最初に受診するまでの日数(初回受診日数)が典型的か否かを示す指標である。すなわち、疾患の発症タイミング(又は発症経過)が典型的か否かを示す指標である。また、治療経過スコアは、受診継続期間スコアの一例であり、治療経過スコアに係る診療科について、患者が初回受診日から最後(又は直近)に受診するまでの日数(受診期間日数)が典型的か否かを示す指標である。すなわち、疾患の治療に要した期間(又は治療経過)が典型的か否かを示す指標である。
そして、診療情報処理システムは、疾患情報毎に算出した発症日スコアと治療経過スコアとに基づいて、各患者が、当該疾患情報における疾患の典型的な発症経過及び/又は治療経過を辿った患者であるか否かを判定し(図1の(5))、判定された各患者の判定結果を表示装置に出力する。例えば、診療情報処理システムは、患者について算出した診療科毎の典型度のうち、全ての診療科で、発症日スコアと治療経過スコアとの平均値のスコア(典型度)が所定値以上である患者は、当該疾患情報における疾患の典型的な発症経過及び/又は治療経過を辿った患者であると判定する。また、診療情報処理システムは、患者について算出した診療科毎の典型度のうち、いずれかの診療科で、発症日スコアと治療経過スコアとの平均値のスコア(典型度)が所定値未満である患者は、当該疾患情報における疾患の非典型的な発症経過及び/又は治療経過を辿った患者であると判定する。以降、疾患の「発症経過及び/又は治療経過」を、疾患の「経過」と称する場合がある。
なお、診療情報処理システムは、発症日スコア及び治療経過スコアのいずれか一方を用いて、各患者が当該疾患情報における疾患の典型的な経過を辿った患者であるか否かを判定してもよい。この場合、診療情報処理システムは、初回受診日数の算出又は受診期間日数の算出を実行し、初回受診日数毎の患者数の算出又は受診期間日数毎の患者数の算出を実行し、初回受診日数の確率密度関数の算出又は受診期間日数の確率密度関数の算出を実行し、発症日スコアの算出又は治療経過スコアの算出を実行する。
上述のとおり、診療情報処理システムは、各診療科について、各患者の初回受診日及び最終受診日に基づいて、各患者が当該疾患情報における疾患の典型的な経過を辿った患者であるか否かを判定できるため、医療従事者は、主疾患及び主疾患に関連する合併症等の経過を適切に評価することが可能となる。
具体的には、発症日スコアが低い場合、その患者は、一般的な患者と比べて発症タイミングが特殊な患者である可能性が高いため、注目する必要がある。また、治療経過スコアが低い場合、その患者は、一般的な患者と比べて治療に要した期間が特殊な患者であり、治療経過が思わしくなく長引いていたり又は何らかの理由で治療が早期に終了した患者である可能性が高いため、注目する必要がある。本発明に係る診療情報処理システムによれば、主疾患や合併症等の主疾患以外の疾患において、このような患者を容易に把握することができるため、患者に対する治療方針の決定に役立てることができる。
(診療情報処理システム1の概略構成)
図2は、診療情報処理システム1の概略構成の一例を示す図である。
診療情報処理システム1は、情報処理装置2及び表示装置3を有する。情報処理装置2及び表示装置3は、有線又は無線の通信ネットワーク4で接続され、相互に各種の情報を送受信する。情報処理装置2は、診療実績データ等に基づいて、所定の主疾患を患った各患者における合併症等の他の疾患について、典型的な経過を辿っていたか否かを判定し、判定結果を表示装置3に出力する。診療情報処理システム1の表示装置3は、情報処理装置2から取得した判定結果を表示出力する。なお、表示装置3は、表示部の一例である。なお、情報処理装置2及び表示装置3は、同一の装置として構成されてもよい。例えば、情報処理装置2が表示装置3の機能を備えるように構成してもよい。
以下、診療情報処理システム1を構成する情報処理装置2及び表示装置3について詳細に説明する。
(情報処理装置2)
情報処理装置2は、診療実績データに基づく各種データ等を記憶し、記憶された各種データに基づいて、各患者が患った主疾患及びその合併症等の他の疾患について、典型的な経過を辿っていたか否かを示す典型度を算出する。そして、情報処理装置2は、算出された典型度に基づく各患者の判定結果を表示装置3に出力する。そのために、情報処理装置2は、記憶部21、情報処理部22、第1通信部23を備える。
なお、本実施形態では、情報処理装置2として、コンピュータ、サーバ等を想定するが、本発明はこれに限定されるものではない。情報処理装置2は、本発明が適用可能であればよく、例えば、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)や携帯情報端末(Personal Digital Assistant, PDA)、タブレット端末、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC等でもよい。
(記憶部21)
記憶部21は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ装置、又は、ハードディスク、光ディスク等を備える。情報処理部22での処理に用いられるプログラム、データ、パラメータ等を記憶する。なお、プログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部21にインストールされてもよい。また、記憶部21は、データとして、後述する疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212等を記憶する。
また、記憶部21は、情報処理部22によって生成された各種データ(後述する患者別受診日リスト213、患者別受診期間リスト214、受診患者数リスト215、発症日スコアリスト216、治療経過スコアリスト217、典型度リスト218等)を記憶する。なお、記憶部21は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
なお、情報処理装置2とは異なる一又は複数の記憶装置が、記憶部21に記憶された各種データを記憶してもよい。この場合、診療情報処理システム1を構成する情報処理装置2及び表示装置3は、各種データを記憶装置と送受信する。
以下、図3(a)及び(b)を参照して、疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212について説明する。なお、疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212は、医療機関で記憶された診療実績データから予め生成されたデータである。診療実績データは、例えば、直近の所定期間(例えば、1年間)において一又は複数の医療機関に入院した患者に係る診療実績データである。以降、疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212を、診療実績データと称する場合がある。
(疾患別患者初診日リスト211)
図3(a)に示されるとおり、疾患別患者初診日リスト211には、複数の疾患情報のそれぞれに関連付けて、各患者の患者IDと各患者の初診日とが記憶されている。なお、疾患別患者初診日リスト211において記憶される疾患情報は、入院又は通院の要因となった主疾患に係る疾患情報である。また、患者IDは、各患者を互いに識別するための識別情報等である。
(患者別診療科受診履歴212)
図3(b)に示されるとおり、患者別診療科受診履歴212には、複数の患者のそれぞれに関連付けて、各患者の患者IDと、各患者の受診日及び受診診療科とが記憶される。なお、患者別診療科受診履歴212に記憶される各患者の受診日及び受診診療科には、各患者の主疾患における受診日及び受診診療科の他、各患者の主疾患以外の疾患(副疾患、合併症等)における受診日及び受診診療科が含まれる。
図2に戻り、情報処理装置2の情報処理部22について説明する。
(情報処理部22)
情報処理部22は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。情報処理部22は、情報処理装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。情報処理部22は、記憶部21に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。
情報処理部22は、少なくとも分析対象抽出部221、受診履歴集計部222、発症日スコア算出部223、治療経過スコア算出部224、典型例判定部225及びデータ出力処理部226を備える。これらの各部は、情報処理部22が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして情報処理装置2に実装されてもよい。以下、図2〜8を参照して、情報処理部22が備える各部について説明する。
(分析対象抽出部221)
分析対象抽出部221は、記憶部21に記憶された診療実績データ(疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212)を参照し、情報処理部22において実行される各処理の対象となる分析対象の抽出処理を実行する。
まず、分析対象抽出部221は、疾患別患者初診日リスト211に含まれる疾患情報から、所定の主疾患に係る疾患情報を分析対象疾患として選択する。次に、分析対象抽出部221は、疾患別患者初診日リスト211を参照して、分析対象疾患に関連付けられた全ての患者の患者IDを、分析対象患者群として抽出する。なお、分析対象抽出部221は、分析対象疾患に関連付けられた全ての患者の患者IDのうちの一部を、分析対象患者群として抽出してもよい。
次に、分析対象抽出部221は、疾患別患者初診日リスト211の中から、分析対象患者群として抽出された各患者IDに関連付けられた初診日を抽出する。次に、分析対象抽出部221は、患者別診療科受診履歴212の中から、分析対象患者群として抽出された各患者IDに関連付けられた受診日及び受診診療科を抽出する。
このように、分析対象抽出部221は、分析対象患者群として抽出された各患者IDと、各患者IDに関連付けられた初診日、各受診日及び受診診療科とを、分析対象として抽出する。
分析対象抽出部221は、上述した分析対象の抽出処理を、疾患別患者初診日リスト211に記載された全ての疾患情報について繰り返して実行する。なお、分析対象抽出部221は、医療従事者等の評価者等が情報処理装置2の操作部(図示せず)を操作することによって任意に入力された所定の疾患に係る疾患情報に対してのみ、上述した分析対象の抽出処理を実行してもよい。
(受診履歴集計部222)
受診履歴集計部222は、記憶部21に記憶された診療実績データを参照し、分析対象患者群として抽出された各患者IDによって識別される各患者の初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数等を集計する集計処理を実行する。なお、集計処理は、分析対象疾患毎に実行される。以下、集計処理について説明する。
まず、受診履歴集計部222は、分析対象抽出部221によって抽出された分析対象を参照して、各患者IDに関連付けられた受診診療科毎に、最初の受診日を初回受診日として特定し、且つ、最後の受診日を最終受診日として特定する。次に、受診履歴集計部222は、分析対象抽出部221によって抽出された分析対象を参照して、各患者IDに関連付けられた初診日を特定する。そして、受診履歴集計部222は、特定した初診日、初回受診日及び最終受診日について、患者別受診日リスト213を生成し、記憶部21に記憶する。
(患者別受診日リスト213)
図4(a)は、患者別受診日リスト213のデータ構造の一例を示す図である。図4(a)に示すように、患者別受診日リスト213には、患者ID毎に、各患者IDによって識別される各患者の初診日、並びに、各受診診療科の初回受診日及び最終受診日が設定される。
図4(a)に示される例では、患者ID「00001」における初診日として「2014年11月14日」が設定されている。患者ID「00001」における受診診療科として「診療科A」のみが設定されている。患者ID「00001」における「診療科A」について、初回受診日として「2014年11月14日」が設定され、且つ、最終受診日として「2016年10月14日」が設定されている。
また、患者ID「00002」における初診日として「2014年3月31日」が設定されている。患者ID「00002」における受診診療科として「診療科A」及び「診療科B」が設定されている。患者ID「00002」における「診療科A」について、初回受診日として「2014年11月14日」が設定され、且つ、最終受診日として「2016年10月14日」が設定されている。また、患者ID「00002」における「診療科B」について、初回受診日として「2014年7月9日」が設定され、且つ、最終受診日として「2015年5月5日」が設定されている。以降、各患者IDにおける、初診日、並びに、各受診診療科の初回受診日及び最終受診日が設定される。
再び、受診履歴集計部222の説明に戻る。
受診履歴集計部222は、患者別受診日リスト213を参照して、各患者IDに関連付けられた受診診療科毎に、初診日から初回受診日までの日数を初回受診日数として集計し、初診日から最終受診日までの日数を最終受診日数として集計する。また、受診履歴集計部222は、集計した初回受診日数と最終受診日数との差分日数(又は、初回受診日から最終受診日までの日数)を、受診期間日数として集計する。そして、受診履歴集計部222は、集計した初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数について、患者別受診期間リスト214を生成し、記憶部21に記憶する。
(患者別受診期間リスト214)
図4(b)は、患者別受診期間リスト214のデータ構造の一例を示す図である。図4(b)に示すように、患者別受診期間リスト214には、患者ID毎に、各患者IDによって識別される各患者が受診した受診診療科、並びに、各受診診療科の初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数が設定される。
図4(b)に示される例では、患者ID「00001」における受診診療科として「診療科A」のみが設定されている。そして、患者ID「00001」における「診療科A」について、初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数として、それぞれ「0日」、「700日」及び「700日」が設定されている。
また、患者ID「00002」における受診診療科として「診療科A」及び「診療科B」が設定されている。患者ID「00002」における「診療科A」について、初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数として、それぞれ「0日」、「800日」及び「800日」が設定されている。患者ID「00002」における「診療科B」について、初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数として、それぞれ「100日」、「400日」及び「300日」が設定されている。以降、各患者IDにおける、受診診療科、各受診診療科の初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数が設定される。
再び、受診履歴集計部222の説明に戻る。
受診履歴集計部222は、患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214を参照し、患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214に記憶された全ての種類の受診診療科を抽出する。例えば、受診履歴集計部222は、患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214から、全ての受診診療科を抽出する。なお、受診履歴集計部222は、抽出した同一の受診診療科が複数存在する場合、同一の受診診療科を重複して抽出せずに、受診診療科の種類を抽出する。
次に、受診履歴集計部222は、患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214を参照し、抽出した全ての種類の受診診療科のそれぞれに関連付けられた、患者IDの数を受診患者数として集計する。次に、受診履歴集計部222は、集計した各種類の受診診療科の受診患者数のうち、最も多い受診患者数を特定する。次に、受診履歴集計部222は、集計した各種類の受診診療科における受診患者数を、特定した最も多い受診患者数で除算した値を、受診患者比として算出する。そして、受診履歴集計部222は、各種類の受診診療科における受診患者数及び受診患者比について、受診患者数リスト215を生成し、記憶部21に記憶する。
(受診患者数リスト215)
図5は、受診患者数リスト215のデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、受診患者数リスト215には、各受診診療科に関連付けて、各受診診療科の受診患者数及び受診患者比が設定される。
図5に示される例では、受診診療科「診療科A」について、受診患者数「200人」が設定されている。この例では、集計した各種類の受診診療科の受診患者数のうち、最も多い数の受診患者数は「200人」である。よって、受診診療科「診療科A」について、受診患者数「200人」を、最も多い数の受診患者数「200人」で除算した受診患者比「1」が設定されている。
また、受診診療科「診療科B」について、受診患者数「120人」が設定され、受診患者比「0.6」(受診患者数「120人」を、最も多い数の受診患者数「200人」で除算した受診患者比)が設定されている。以降、受診診療科について、受診患者数及び受診患者比が設定される。
(発症日スコア算出部223)
発症日スコア算出部223は、患者別受診期間リスト214の初回受診日数に基づいて、患者ID毎に、各受診診療科の発症日スコアを算出する。なお、発症日スコアの算出処理は、分析対象疾患毎に実行される。以下、発症日スコアの算出処理について説明する。
まず、発症日スコア算出部223は、患者別受診期間リスト214を参照し、各患者IDにおける受診診療科毎に、記憶された全ての初回受診日数を抽出する。次に、発症日スコア算出部223は、抽出した全ての初回受診日数のうち、各受診診療科において出現した各初回受診日数を特定する。例えば、発症日スコア算出部223は、受診診療科「診療科A」において出現した初回受診日数として「0日」、「15日」、等を特定する。また、発症日スコア算出部223は、「診療科A」以外の受診診療科についても初回受診日数を特定する。
次に、発症日スコア算出部223は、各受診診療科の初回受診日数毎の患者数を算出する。例えば、発症日スコア算出部223は、受診診療科「診療科A」の初回受診日数が、「0日」である患者数、「15日」である患者数、等をそれぞれ算出する。また、発症日スコア算出部223は、「診療科A」以外の受診診療科についても、初回受診日数毎の患者数を算出する。
次に、発症日スコア算出部223は、受診診療科毎に初回受診日数の確率密度関数の算出処理を実行する。以下、確率密度関数の算出処理について説明する。
確率密度関数の算出処理では、まず、発症日スコア算出部223は、初回受診日数毎に、各初回受診日数の患者数を全ての患者数(受診患者数リスト215の各受診診療科における最大の患者数)で除算した値を、発症確率として算出する。次に、発症日スコア算出部223は、算出した各受診期間日数の発症確率に基づいて、受診期間日数を確率変数とする確率密度関数を算出する。なお、確率密度関数の算出は、公知のカーネル密度推定等の手法を用いて実行される。また、確率密度関数の算出方法は前述の方法に限らない。例えば、初回受診日数が所定の確率分布(例えば、ポアソン分布等)に従って出現すると仮定して、この所定の確率分布のパラメータを診療実績データから推定することによって確率密度分布を算出してもよい。
図6(a)は、確率密度関数の一例を示す模式図である。図6(a)に示すように、確率密度関数は、連続確率分布で示され、確率密度関数の全ての範囲を積分すると和は1となる。
次に、発症日スコア算出部223は、受診診療科毎に、初回受診日数の確率密度関数に対応する発症日スコア関数の導出処理を実行する。以下、発症日スコア関数の導出処理について説明する。
発症日スコア関数の導出処理では、まず、発症日スコア算出部223は、初回受診日数の確率密度関数の最大値を算出する。次に、発症日スコア算出部223は、記憶部21に記憶された受診患者数リスト215から当該確率密度関数に係る受診診療科に関連付けられた受診患者比を抽出する。次に、発症日スコア算出部223は、抽出した受診患者比を算出した最大値で除算した係数を算出する。そして、発症日スコア算出部223は、初回受診日数の確率密度関数に、算出した係数を乗算することで発症日スコア関数を導出する。これにより、初回受診日数の確率密度関数が、受診患者比を最大値とする発症日スコア関数に変換される。
図6(b)は、発症日スコア関数の一例を示す模式図である。図6(b)に示すように、発症日スコア関数は、確率密度関数と類似した形状の連続確率分布で示され、発症日スコア関数の最大値は受診患者比となる。
次に、発症日スコア算出部223は、受診診療科毎に算出された発症日スコア関数に基づいて発症日スコア算出処理を実行する。以下、図6(c)の模式図を参照して、発症日スコア算出処理について説明する。
発症日スコア算出処理では、まず、発症日スコア算出部223は、発症日スコア関数の平均値t2及び標準偏差uを算出する。次に、発症日スコア算出部223は、平均値t2から標準偏差uを減算した値をt1とし、平均値t2に標準偏差uを加算した値をt3とする。そして、発症日スコア算出部223は、初回受診日数がt1未満である第1初回受診区間、初回受診日数がt1以上t3以下である第2初回受診区間、初回受診日数がt3より大きい第3初回受診区間を設定する。
次に、発症日スコア算出部223は、初回受診日数がt1、t2及びt3である場合における発症日スコア関数の値s1、s2及びs3を算出する。次に、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が、第1初回受診区間、第2初回受診区間及び第3初回受診区間のいずれに含まれるかを判定する。
次に、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が第1初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを値s1とする。また、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が第2初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを値s2とする。また、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が第3初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを値s3とする。
そして、発症日スコア算出部223は、受診診療科毎に、各患者IDにおける初回受診日数及び発症日スコアを含む発症日スコアリスト216を生成し、記憶部21に記憶する。
なお、発症日スコア算出部223は、初回受診日数の各区間を算出するために、平均値に代えて中央値を採用してもよい。また、発症日スコア算出部223は、患者が受診していない診療科についても、発症日スコアを算出してもよい。この場合、受診していない診療科における患者の発症日スコアを、「1」から患者受診比を減算した値とする。このように、受診診療科毎に算出された各患者IDにおける発症日スコアは、各患者IDによって識別される患者が当該受診診療科を受診していたか否かに関わらず算出されてもよい。なお、発症日スコアが算出される受診診療科は、分析対象患者群に含まれる患者IDにおける患者のいずれかが受診した受診診療科である。
また、初回受診日数の区間の数は、3つに限らない。例えば、発症日スコア算出部223は、平均値をt3とし、平均値t3から標準偏差uの2倍を減算した値をt1とし、平均値t3から標準偏差uを減算した値をt2とし、平均値t3に標準偏差uを加算した値をt4とし、平均値t3に標準偏差uの2倍を加算した値をt5とする。次に、発症日スコア算出部223は、初回受診日数がt1未満である第1初回受診区間、初回受診日数がt1以上t2未満である第2初回受診区間、初回受診日数がt2以上t4未満である第3初回受診区間、初回受診日数がt4以上t5未満である第4初回受診区間、初回受診日数がt5以上である第5初回受診区間を設定してもよい。この場合、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が第1初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを、初回受診日数がt1である場合における発症日スコア関数の値s1とし、各患者における初回受診日数が第2初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを、初回受診日数がt2である場合における発症日スコア関数の値s2とする。また、発症日スコア算出部223は、各患者における初回受診日数が第3初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを、初回受診日数がt3である場合における発症日スコア関数の値s3とし、各患者における初回受診日数が第4初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを、初回受診日数がt4である場合における発症日スコア関数の値s4とし、各患者における初回受診日数が第5初回受診区間に含まれる場合は、各患者の発症日スコアを、初回受診日数がt5である場合における発症日スコア関数の値s5とする。
なお、発症日スコア算出部223は、初回受診日数に対応する発症日スコア関数の値を発症日スコアとしてもよい。
(発症日スコアリスト216)
図7(a)は、発症日スコアリスト216のデータ構造の一例を示す図である。図7(a)に示すように、発症日スコアリスト216には、受診診療科毎に、各患者IDにおける初回受診日数及び発症日スコアが設定される。
図7(a)に示される例では、受診診療科「診療科B」について、患者ID「00001」における初回受診日数及び発症日スコアとして、それぞれ「NA」及び「0.4」が設定されている。なお、「NA」は、患者IDによって識別される患者が受診していない診療科であることを示す継続記号等である。また、当該受診診療科「診療科B」の患者受診比が「0.6」であるため、患者ID「00001」における発症日スコアとして、「1−0.6」の計算式により、0.4が算出される。また、患者ID「00002」における初回受診日数及び発症日スコアとして、それぞれ「100日」及び「0.6」が設定されている。以降、各患者IDにおける初回受診日数及び発症日スコアが設定される。
(治療経過スコア算出部224)
治療経過スコア算出部224は、患者別受診期間リスト214の受診期間日数に基づいて、患者ID毎に、各受診診療科の治療経過スコアを算出する。なお、治療経過スコアの算出処理は、分析対象疾患毎に実行される。以下、治療経過スコアの算出処理について説明する。
まず、治療経過スコア算出部224は、患者別受診期間リスト214を参照し、各患者IDにおける受診診療科毎に記憶された全ての受診期間日数を抽出する。次に、治療経過スコア算出部224は、抽出した全ての受診期間日数のうち、各受診診療科において出現した各受診期間日数を特定する。例えば、治療経過スコア算出部224は、受診診療科「診療科A」において出現した受診期間日数として「700日」、「800日」、「885日」、「750日」、等を特定する。また、治療経過スコア算出部224は、「診療科A」以外の受診診療科についても受診期間日数を特定する。
次に、治療経過スコア算出部224は、各受診診療科の受診期間日数毎の患者数を算出する。例えば、治療経過スコア算出部224は、受診診療科「診療科A」の受診期間日数が、「700日」である患者数、「800日」である患者数、「885日」である患者数、「750日」である患者数、等をそれぞれ算出する。また、治療経過スコア算出部224は、「診療科A」以外の受診診療科についても、受診期間日数毎の患者数を算出する。
次に、治療経過スコア算出部224は、受診診療科毎に受診期間日数の確率密度関数の算出処理を実行する。以下、確率密度関数の算出処理について説明する。
確率密度関数の算出処理では、まず、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数毎に、各受診期間日数の患者数を全ての患者数(受診患者数リスト215の各受診診療科における最大の患者数)で除算した値を、期間確率として算出する。次に、治療経過スコア算出部224は、算出した各受診期間日数の期間確率に基づいて、受診期間日数を確率変数とする確率密度関数を算出する。なお、確率密度関数の算出は、公知のカーネル密度推定等の手法を用いて実行される。また、確率密度関数の算出方法は前述の方法に限らない。例えば、受診期間日数が所定の確率分布(例えば、ポアソン分布等)に従って出現すると仮定して、この所定の確率分布のパラメータを診療実績データから推定することによって確率密度分布を算出してもよい。
なお、確率密度関数は、図6(a)に示す確率密度関数と同様に、連続確率分布で示され、確率密度関数の全ての範囲を積分すると和は1となる。
次に、治療経過スコア算出部224は、受診診療科毎に、受診期間日数の確率密度関数に対応する治療経過スコア関数の導出処理を実行する。以下、治療経過スコア関数の導出処理について説明する。
治療経過スコア関数の導出処理では、まず、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数の確率密度関数の最大値を算出する。次に、治療経過スコア算出部224は、記憶部21に記憶された受診患者数リスト215から当該確率密度関数に係る受診診療科に関連付けられた受診患者比を抽出する。次に、治療経過スコア算出部224は、抽出した受診患者比を算出した最大値で除算した係数を算出する。そして、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数の確率密度関数に、算出した係数を乗算することで治療経過スコア関数を導出する。これにより、受診期間日数の確率密度関数が、受診患者比を最大値とする治療経過スコア関数に変換される。
なお、治療経過スコア関数は、図6(b)に示す発症日スコア関数と同様に、確率密度関数と類似した形状の連続確率分布で示され、治療経過スコア関数の最大値は受診患者比となる。
次に、治療経過スコア算出部224は、受診診療科毎に算出された治療経過スコア関数に基づいて治療経過スコア算出処理を実行する。以下、図6(c)の模式図を参照して、治療経過スコア算出処理について説明する。
治療経過スコア算出処理では、まず、治療経過スコア算出部224は、治療経過スコア関数の平均値t2及び標準偏差uを算出する。次に、治療経過スコア算出部224は、平均値t2から標準偏差uを減算した値をt1とし、平均値t2に標準偏差uを加算した値をt3とする。そして、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数の区間として、受診期間日数がt1未満である第1受診期間区間、受診期間日数がt1以上t3以下である第2受診期間区間、受診期間日数がt3より大きい第3受診期間区間を設定する。
次に、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数がt1、t2及びt3である場合における治療経過スコア関数の値s1、s2及びs3を算出する。次に、治療経過スコア算出部224は、各患者における受診期間日数が、第1受診期間区間、第2受診期間区間及び第3受診期間区間のいずれに含まれるかを判定する。
次に、治療経過スコア算出部224は、各患者における受診期間日数が第1受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを値s1とする。また、治療経過スコア算出部224、各患者における受診期間日数が第2受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを値s2とする。また、治療経過スコア算出部224は、各患者における受診期間日数が第3受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを値s3とする。
そして、治療経過スコア算出部224は、受診診療科毎に、各患者IDにおける受診期間日数及び治療経過スコアを含む治療経過スコアリスト217を生成し、記憶部21に記憶する。
なお、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数の区間を算出するために、平均値に代えて中央値を採用してもよい。また、治療経過スコア算出部224は、患者が受診していない診療科についても、治療経過スコアを算出してもよい。この場合、受診していない診療科における患者の治療経過スコアを、「1」から患者受診比を減算した値とする。このように、受診診療科毎に算出された各患者IDにおける治療経過スコアは、各患者IDによって識別される患者が当該受診診療科を受診していたか否かに関わらず算出されてもよい。なお、治療経過スコアが算出される受診診療科は、分析対象患者群に含まれる患者IDにおける患者のいずれかが受診した受診診療科である。
また、受診期間日数の区間の数は、3つに限らない。例えば、治療経過スコア算出部224は、平均値をt3とし、平均値t3から標準偏差uの2倍を減算した値をt1とし、平均値t3から標準偏差uを減算した値をt2とし、平均値t3に標準偏差uを加算した値をt4とし、平均値t3に標準偏差uの2倍を加算した値をt5とする、次に、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数の区間として、受診期間日数がt1未満である第1受診期間区間、受診期間日数がt1以上t2未満である第2受診期間区間、受診期間日数がt2以上t4未満である第3受診期間区間、受診期間日数がt4以上t5未満である第4受診期間区間、受診期間日数がt5以上である第5受診期間区間を設定してもよい。この場合、治療経過スコア算出部224は、各患者における受診期間日数が第1受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを、受診期間日数がt1である場合における治療経過スコア関数の値s1とし、各患者における受診期間日数が第2受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを、受診期間日数がt1である場合における治療経過スコア関数の値s2とする。また、治療経過スコア算出部224は、各患者における受診期間日数が第3受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを、受診期間日数がt1である場合における治療経過スコア関数の値s3と各患者における受診期間日数が第4受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを、受診期間日数がt1である場合における治療経過スコア関数の値s4とし、各患者における受診期間日数が第5受診期間区間に含まれる場合は、各患者の治療経過スコアを、受診期間日数がt1である場合における治療経過スコア関数の値s5とする。
なお、治療経過スコア算出部224は、受診期間日数に対応する治療経過スコア関数の値を治療経過スコアとしてもよい。
(治療経過スコアリスト217)
図7(b)は、治療経過スコアリスト217のデータ構造の一例を示す図である。図7(b)に示すように、治療経過スコアリスト217には、受診診療科毎に、各患者IDにおける受診期間日数及び治療経過スコアが設定される。
図7(b)に示される例では、受診診療科「診療科A」について、患者ID「00001」における受診期間日数及び治療経過スコアとして、それぞれ「700日」及び「1.0」が設定されている。また、患者ID「00002」における受診期間日数及び治療経過スコアとして、それぞれ「800日」及び「1.0」が設定されている。以降、各患者IDにおける受診期間日数及び治療経過スコアが設定される。
(典型例判定部225)
典型例判定部225は、発症日スコアリスト216の発症日スコア及び治療経過スコアリスト217の治療経過スコアに基づいて、受診診療科毎の各患者IDにおける典型度を算出する。なお、典型度の算出処理は、分析対象疾患毎に実行される。以下、典型度の算出処理について説明する。
まず、典型例判定部225は、発症日スコアリスト216から、受診診療科毎に、各患者ID及び各患者IDにおける発症日スコアを抽出する。次に、典型例判定部225は、治療経過スコアリスト217から、受診診療科毎に、各患者ID及び各患者IDにおける治療経過スコアを抽出する。次に、典型例判定部225は、受診診療科毎に、抽出された各患者IDにおける発症日スコアと治療経過スコアとの平均値を算出し、算出された平均値を、抽出された各患者IDにおける典型度として設定する。次に、典型例判定部225は、受診診療科毎に各患者IDにおける典型度が、所定値以下であるか否か判定し、いずれかの受診診療科において、所定値以下である典型度の各患者IDに対して、判定結果として非典型を示す情報を関連付ける。そして、典型例判定部225は、受診診療科毎に、各患者IDにおける発症日スコア、治療経過スコア、典型度及び判定結果について、典型度リスト218を生成し、記憶部21に記憶する。なお、非典型とする条件は、いずれか1つの受診診療科で典型度が所定値以下となった患者だけに限らない。例えば、全ての受診診療科で典型度が所定値以下となった場合に、非典型であるとしてもよい。
なお、典型例判定部225は、各患者IDにおける発症日スコア及び治療経過スコアの少なくとも一方に重み付けをして平均値を算出し、算出された平均値を、各患者IDにおける典型度として設定してもよい。また、典型例判定部225は、各患者IDにおける発症日スコアに治療経過スコアを乗算した値を、各患者IDにおける典型度として設定してもよい。
判定結果を求めるために使用した所定値は、医療従事者等が情報処理装置2の操作部(図示せず)を操作することによって任意に入力された値(経験値等)でもよい。もしくは、典型例判定部225は、典型度リスト218に含まれる全ての典型度の平均値及び標準偏差を算出し、算出した平均値から標準偏差を減算した値を所定値として設定してもよい。
また、典型例判定部225は、発症日スコア及び治療経過スコアのいずれか一方を典型度として用いてもよい。または、発症日スコア及び治療経過スコアの両者をそれぞれ典型度として用いて、いずれかの典型度が所定値(例えば、「0.5」)以下となった場合に、当該典型度の各患者IDに対して、判定結果として非典型を示す情報を関連付けてもよい。
(典型度リスト218)
図8は、典型度リスト218のデータ構造の一例を示す図である。図8に示すように、典型度リスト218には、受診診療科毎に、各患者IDにおける発症日スコア、治療経過スコア、典型度及び判定結果が設定される。
図8に示される例では、受診診療科「診療科A」について、患者ID「00001」における発症日スコア、治療経過スコア及び典型度として、それぞれ「1.0」、「1.0」及び「1.0」が設定されている。なお、患者ID「00001」における典型度が、所定値(例えば「0.5」)より大きいため、患者ID「00001」における判定結果には、非典型を示す情報は記憶されない。以降、受診診療科「診療科A」について、各患者IDにおける発症日スコア、治療経過スコア、典型度及び判定結果が設定される。
また、受診診療科「診療科B」について、患者ID「00001」における発症日スコア、治療経過スコア及び典型度として、それぞれ「0.4」、「0.4」及び「0.4」が設定されている。患者ID「00001」における典型度が、所定値(例えば「0.5」)以下であるため、患者ID「00001」における判定結果として、非典型を示す情報が関連付けられる。以降、受診診療科「診療科B」について、各患者IDにおける発症日スコア、治療経過スコア、典型度及び判定結果が設定される。また、「診療科A」及び「診療科B」以外の受診診療科についても、各患者IDにおける発症日スコア、治療経過スコア、典型度及び判定結果が設定される。
図8の典型度リスト218に示されるように、典型度は、発症日スコア及び治療経過スコアに応じた値である。すなわち、典型度は、発症日スコアが高いほど、高い値であり、且つ、治療経過スコアが高いほど、高い値が算出される。
初回受診日数及び受診期間日数の算出に用いられる初診日、初回受診日及び最終受診日は、患者毎に様々な要因で変動が生じる情報である。例えば、外来の場合、患者が病院等の医療期間を訪れるタイミングは、患者の予定若しくは都合、又は医療機関の営業日等によって変動する。また、入院の場合でも、患者が入院するタイミングは、医療機関又は患者の都合等よって変動する。上述のとおり、診療情報処理システム1は、初回受診日数及び受診期間日数を複数の期間に区分して、期間毎に発症日スコア及び治療経過スコアを算出するようにしたため、初診日、初回受診日及び最終受診日の変動の要因を排除した典型度を算出することができる。
図2に戻り、情報処理部22のデータ出力処理部226について説明する。なお、データ出力処理部226は、出力部の一例である。
(データ出力処理部226)
情報処理部22のデータ出力処理部226は、記憶部21に記憶された典型度リスト218に含まれる各種情報を、出力情報として表示装置3に出力し、出力情報を取得した表示装置3は、出力情報に基づく表示処理を実行する。なお、出力情報には、当該出力情報を生成するために用いられた分析対象疾患が関連付けられてもよい。また、データ出力処理部226は、出力結果に、発症日スコア関数及び治療経過スコア関数を含めてもよい。また、データ出力処理部226は、出力結果に、患者別受診期間リスト214に含まれる各患者IDにおける受診診療科毎の初回受診日数及び受診期間日数を含めてもよい。
また、データ出力処理部226は、典型例判定部225によって生成された典型度リスト218に含まれる各種情報を、判定結果に応じて区別してから出力してもよい。例えば、データ出力処理部226は、判定結果として非典型を示す情報が関連付けられた各種情報のみを出力情報として出力してもよい。
(第1通信部23)
情報処理装置2の第1通信部23は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)の通信インターフェース、USB(Universal Serial Bus)等と接続するためのインターフェース、所定の周波数帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース等である。情報処理装置2は、第1通信部23を介して表示装置3と接続され、第1通信部23は、情報処理部22から供給されたデータを表示装置3に出力する。
(表示装置3)
表示装置3は、第2通信部31、表示出力処理部32及びモニタ部33等を備える。表示装置3は、医療機関内外の医療従事者が所在する部屋に設置され、医療従事者は、表示装置3に表示された各種情報を確認して、受診診療科毎に、各受診診療科における典型的な疾患の経過を辿っている患者や、非典型的な疾患の経過を辿っている患者を把握する。
第2通信部31は、有線又は無線のLANの通信インターフェース、USB等と接続するためのインターフェース、所定の周波数帯を感受帯域とするアンテナを含む、通信インターフェース等である。第2通信部31は、情報処理装置2から取得したデータを表示出力処理部32に供給する。
表示出力処理部32は、第2通信部31を介して情報処理装置2から取得したデータを取得し、取得したデータに基づいて描画データを作成する。そして、表示出力処理部32は、作成した描画データをモニタ部33に出力する。
モニタ部33は、動画像、静止画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、又は、タッチパネル式の表示デバイス等である。モニタ部33は、表示出力処理部32から供給された描画データに応じた動画像又は静止画像等を表示する。
表示装置3の表示出力処理部32は、情報処理装置2から出力された出力情報を、第2通信部31を介して取得し、取得した出力情報をモニタ部33に表示する。以下、図9及び図10を参照し、表示装置3によって表示される画面の例について説明する。
図9は、表示装置3のモニタ部33に表示される出力画面800の表示例である。出力画面800には、受診診療科枠801、患者ID枠802、発症日スコア関数枠803、初回受診日数枠804、発症日スコア枠805、治療経過スコア関数枠806、受診期間日数枠807、治療経過スコア枠808、典型度枠809及び判定結果枠810等が表示される。
受診診療科枠801は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科を表示するための表示枠である。患者ID枠802は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDを表示するための表示枠である。
発症日スコア関数枠803は、受診診療科毎に導出された発症日スコア関数を示す模式図形を表示するための矩形枠である。発症日スコア関数枠803には、少なくとも、出力情報として出力された発症日スコア関数を示す曲線と、当該発症日スコア関数の平均値を含む区間(例えば、第2初回受診区間)を示す領域とが表示される。なお、発症日スコア関数枠803の水平方向の一辺が初回受診日数を表す。例えば、発症日スコア関数枠803の水平方向の一辺の長さが初回受診日数の0日〜200日に対応する場合、その一辺の左端が0日に対応し、右端が200日に対応する。
初回受診日数枠804は、各受診診療科における患者ID毎に設けられた矩形枠であり、発症日スコア関数枠803の下側に、水平方向において発症日スコア関数枠803と同じ位置に設けられる。発症日スコア関数枠803と同様に、初回受診日数枠804の水平方向の一辺は初回受診日数を表す。初回受診日数枠804には、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの初回受診日数が点線で表示され、点線の右端点に「○」印又は「×」印等が表示される。例えば、患者IDの初回受診日数が、発症日スコア関数の平均値を含む区間内である場合、点線の右端点は「○」印で表示され、患者IDの初回受診日数が、発症日スコア関数の平均値を含む区間外である場合、点線の右端点は「×」印で表示される。
発症日スコア枠805は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの発症日スコアを表示するための表示枠である。
治療経過スコア関数枠806は、受診診療科毎に導出された治療経過スコア関数を示す模式図形を表示するための矩形枠である。治療経過スコア関数枠806には、少なくとも、出力情報として出力された治療経過スコア関数を示す曲線と、当該治療経過スコア関数の平均値を含む区間(例えば、第2受診期間区間)を示す領域とが表示される。なお、治療経過スコア関数枠806の水平方向の一辺が受診期間日数を表す。例えば、治療経過スコア関数枠806の水平方向の一辺の長さが、受診期間日数の300日〜1000日に対応する場合、その一辺の左端が300日に対応し、右端が1000日に対応する。
受診期間日数枠807は、各受診診療科における患者ID毎に設けられた矩形枠であり、治療経過スコア関数枠806の下側に、水平方向において治療経過スコア関数枠806と同じ位置に設けられる。治療経過スコア関数枠806と同様に、受診期間日数枠807の水平方向の一辺は受診期間日数を表す。受診期間日数枠807には、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの受診期間日数が直線で表示され、直線の右端点に「○」印又は「×」印等で表示される。例えば、患者IDの受診期間日数が、治療経過スコア関数の平均値を含む区間内である場合、直線の右端点は「○」印で表示され、患者IDの受診期間日数が、治療経過スコア関数の平均値を含む区間外である場合、直線の右端点は「×」印で表示される。
治療経過スコア枠808は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの治療経過日スコアを表示するための表示枠である。典型度枠809は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの典型度を表示するための表示枠である。なお、各患者IDの典型度は、非典型であると判定された場合は、強調表示される。判定結果枠810は、出力情報として出力された典型度リスト218の各受診診療科における各患者IDの判定結果を表示するための表示枠である。
このように、表示装置3の表示出力処理部32は、情報処理装置2から出力された出力情報を、出力画面800に示すようにモニタ部33に表示する。これにより、医療従事者等の評価者は、受診診療科毎に、各患者の初回受診日数及び受診期間日数を容易に比較することができ、単に典型度が表示されるよりも、患者の典型度を直感的に把握することが可能になる。
なお、表示装置3は、受診期間日数枠807に、受診診療科毎に導出された治療経過スコア関数を示すヒートマップを重畳表示し、且つ、受診期間日数枠807に、受診診療科毎に導出された治療経過スコア関数を示すヒートマップを表示してもよい。
図10(a)は、表示装置3のモニタ部33に表示される出力画面900の表示例である。出力画面900には、受診診療科枠901、患者ID枠902、初回受診日数枠903、発症日スコアヒートマップ904、発症日スコア枠905、受診期間日数枠906、治療経過スコアヒートマップ907、治療経過スコア枠908等が表示される。
受診診療科枠901、患者ID枠902、初回受診日数枠903、発症日スコア枠905、受診期間日数枠906、治療経過スコア枠908は、図9に示す受診診療科枠801、患者ID枠802、初回受診日数枠804、発症日スコア枠805、受診期間日数枠807、治療経過スコア枠808と同様であるため、詳細な説明を省略する。
発症日スコアヒートマップ904は、初回受診日数枠903の水平方向の一辺に対応する初回受診日数の発症日スコアの値が高いほど濃い色で表示される。すなわち、発症日スコアヒートマップ904は、図9に示す発症日スコア関数枠803の発症日スコア関数の高さ(発症日スコア関数の値)に応じた濃さで表示される。
治療経過スコアヒートマップ907は、受診期間日数枠906の水平方向の一辺に対応する受診期間日数の治療経過スコアの値が高いほど濃い色で表示される。すなわち、治療経過スコアヒートマップ907は、図9に示す治療経過スコア関数枠806の治療経過スコア関数の高さ(治療経過スコア関数の値)に応じた濃さで表示される。
また、表示装置3は、受診診療科毎に、初診日からの経過日数を確率変数とした、受診期間の確率密度関数を示すヒートマップを表示してもよい。すなわち、当該ヒートマップは、初診日からの経過日数において、各診療受診科の治療を受けている患者の数が多いほど濃い色が表示される。図10(b)は、表示装置3のモニタ部33に表示される出力画面910の表示例である。出力画面910には、患者ID枠911、受診期間枠912及び受診期間ヒートマップ913等が表示される。なお、患者ID枠911は、図9に示す患者ID枠802と同一である。
受診期間枠912は、患者ID毎に設けられた矩形枠であり、受診期間枠912の水平方向の一辺が初診日からの経過日数を表す。例えば、受診期間枠912の水平方向の一辺の長さが、初診日からの経過日数の0日〜1000日に対応する場合、その一辺の左端が0日に対応し、右端が1000日に対応する。
受診期間ヒートマップ913は、受診期間枠912の水平方向の一辺に対応する経過日数における患者数が多いほど濃い色で表示され、当該経過日数における患者数が少ないほど薄い色で表示される。以下、受診期間ヒートマップ913の生成方法の一例について説明する。まず、受診期間日数t2の確率密度関数(0≦t2≦T2(T2は、受診期間日数の最大値))に基づいて、受診期間日数の累積分布関数(受診期間日数t2と、確率密度関数における受診期間日数t2までの積分値との関数)が導出される。次に、1から累積分布関数を減算した関数(受診期間日数t2と「1−(累積分布関数で示される累積確率)」の値との関数)が退院関数として導出される。そして、初回受診日数t1の確率密度関数における確率Pt1(0≦t1≦T1(T1は、初回受診日数の最大値))を、退院関数に積算した関数(t1≦t≦(t1+T2))が、t1に応じて所定数導出される。そして、所定数の関数を累積したものが、初診日からの経過日数t(0≦t≦(T1+T2))における受診患者の受診期間の確率密度関数として導出される。なお、受診期間の確率密度関数の導出方法は、上述の方法に限らず、診療実績データ(疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212)に基づいて初診日からの経過日数毎に計数された患者数によって、受診期間の確率密度関数が導出されてもよい。
図11は、非典型例判定処理のフローチャートの一例を示す図である。
まず、受診履歴集計部222は、記憶部21に記憶された診療実績データ(疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212)を参照し、所定の分析対象疾患における分析対象患者群の各患者IDによって識別される各患者の初回受診日数、最終受診日数及び受診期間日数等を集計する集計処理を実行する(ステップS101)。受診履歴集計部222は、集計処理の結果に基づいて患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214を作成する。
次に、受診履歴集計部222は、患者別受診日リスト213又は患者別受診期間リスト214を参照し、全ての種類の受診診療科のそれぞれに関連付けられた、患者IDの数を受診患者数及び受診患者比を算出する(ステップS102)。
次に、発症日スコア算出部223は、記憶部21に記憶された患者別受診期間リスト214の初回受診日数と、算出された受診患者比とに基づいて、各受診診療科の発症日スコア関数を導出する(ステップS103)。
次に、発症日スコア算出部223は、記憶部21に記憶された患者別受診期間リスト214の初回受診日数と、導出された発症日スコア関数とに基づいて、患者ID毎に、各受診診療科の発症日スコアを算出する(ステップS104)。発症日スコア算出部223は、算出された発症日スコアを含む発症日スコアリスト216を作成する。
次に、治療経過スコア算出部224は、記憶部21に記憶された患者別受診期間リスト214の受診期間日数と、算出された受診患者比とに基づいて、各受診診療科の治療経過スコア関数を導出する(ステップS105)。
次に、治療経過スコア算出部224は、記憶部21に記憶された患者別受診期間リスト214の受診期間日数と、導出された治療経過スコア関数とに基づいて、患者ID毎に、各受診診療科の治療経過スコアを算出する(ステップS106)。治療経過スコア算出部224は、算出された治療経過スコアを含む治療経過スコアリスト217を作成する。
次に、典型例判定部225は、発症日スコアリスト216の発症日スコア及び治療経過スコアリスト217の治療経過スコアに基づいて、受診診療科毎の各患者IDにおける典型度を算出する(ステップS107)。
次に、典型例判定部225は、受診診療科毎の各患者IDにおける典型度が、所定値以下であるか否か判定し、所定値以下である典型度の各患者IDに対して、判定結果として非典型を示す情報を関連付ける。(ステップS108)。典型例判定部225は、算出された典型度及び判定結果を含む典型度リスト218を作成する。
次に、データ出力処理部226は、記憶部21に記憶された診療実績データ(疾患別患者初診日リスト211及び患者別診療科受診履歴212)を参照し、分析対象疾患として特定していない疾患が存在するか否かを判定する(ステップS109)。そして、データ出力処理部226は、分析対象疾患として特定していない疾患が存在すると判定した場合(ステップS109−Yes)、ステップS101に処理を戻し、分析対象疾患として特定していない疾患が存在しないと判定した場合(ステップS109−No)、注目度算出処理の一連のステップを終了する。
(データ出力処理部226による動作)
情報処理部22のデータ出力処理部226は、第1通信部23を介して、表示装置3から、出力情報の取得要求を受け取ると、記憶部21に記憶された典型度リスト218を記憶部21から読み出して、取得要求を出力した装置に、読み出した典型度リスト218を出力情報として出力する。なお、取得要求に疾患情報が含まれている場合、データ出力処理部226は、当該疾患情報に係る典型度リスト218のみを出力情報として出力してもよい。また、データ出力処理部226は、記憶部21から典型度リスト218を読み出したのち、典型度に応じて典型度リスト218を取捨選択してから、表示装置3に出力してもよい。
(表示装置3の動作)
医療従事者等の評価者が、表示装置3を操作して情報処理装置2に出力情報の取得要求を出力すると、表示装置3は、情報処理装置2から出力情報を取得する。このとき、評価者が、表示装置3を操作して、評価を行いたい対象(例えば、疾患情報)を選択すると、情報処理装置2に対して疾患情報を含む取得要求を出力し、表示装置3は、情報処理装置2から出力された疾患情報に対応する出力情報を取得する。表示装置3は、出力情報を取得すると、典型度に応じた表示を行う。
なお、表示装置3は、情報処理装置2から全ての疾患の出力情報を取得してから、表示する対象を選択し、選択された対象のみを表示してもよい。
なお、記憶部21に代えて、情報処理装置2とは異なる一又は複数の記憶装置を設けてもよい。この場合、表示装置3は、一又は複数の記憶憶装置から算出結果を取得する。
上述のとおり、診療情報処理システム1は、初回受診スコア及び/又は受診継続期間スコアに基づいて、所定の患者が、各受診診療科における疾患の典型的な発症経過及び/又は治療過程を辿った否かの経過判定を行う。これにより、医療従事者が、患者が患った疾患の経過を適切に評価することが可能となり、治療方針の決定に役立てることができる。
また、医療従事者が、主疾患の治療中に発症した合併症等の治療経過を評価するためには、主疾患を患った患者の中で、合併症等を患った複数の患者の治療経過に関する情報を用いる必要がある。しかしながら、一般に診療実績データには、発症日又は治療終了日等の情報に係る疾患が、合併症等であるか否かについては記録されていない。しかし、診療情報処理システム1は、診療科の初回受診日や最終受診日を発症日や治療終了日として用いて、発症経過や治療経過が典型的か否かを示す典型度を算出し、当該典型度を用いて評価を行うことで、主疾患だけでなく合併症等についても治療経過や発症経過を評価することができる。具体的には、診療情報処理システム1は、主疾患における合併症等の罹患期間が他の患者よりも長い患者(治療経過が思わしくない患者や主疾患と同じ診療科で合併症の治療を行ったため治療に時間を要している患者)、他の患者よりも短い患者(治療経過が良い若しくは何らかの理由で治療が終了した患者)又はその発症タイミングが他の患者と比べて特殊な患者(発症が早い若しくは遅い患者、又は、他の患者では発症しない合併症が発生した患者、若しくは、他の患者では発症する合併症が発生しない患者)を抽出することが可能となる。
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
1 診療情報処理システム
2 情報処理装置
21 記憶部
211 疾患別患者初診日リスト
212 患者別診療科受診履歴
213 患者別受診日リスト
214 患者別受診期間リスト
215 受診患者数リスト
216 発症日スコアリスト
217 治療経過スコアリスト
218 典型度リスト
22 情報処理部
221 分析対象抽出部
222 受診履歴集計部
223 発症日スコア算出部
224 治療経過スコア算出部
225 典型例判定部
226 データ出力処理部
23 第1通信部
3 表示装置
31 第2通信部
32 表示出力処理部
33 モニタ部
4 通信ネットワーク

Claims (7)

  1. 複数の患者のそれぞれについて、前記患者が所定の医療機関で最初に診察を受けた初診日及び前記所定の医療機関における特定の診療科で前記患者が最初に診察を受けた初回受診日を記憶する記憶部と、
    前記初診日から前記初回受診日までの初回受診期間毎に患者数を集計し、前記患者毎に当該患者の初回受診期間における患者数に応じた初回受診期間スコアを算出する算出部と、
    前記初回受診期間スコアを参照して、任意の前記患者が前記特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かを判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を出力する出力部と、を有する
    ことを特徴とした診療情報処理システム。
  2. 前記記憶部は、前記特定の診療科で前記患者が最後に診察を受けた最終受診日を更に記憶し、
    前記算出部は、更に、前記初回受診日から前記最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、前記患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出し、
    前記判定部は、前記初回受診期間スコア及び前記受診継続期間スコアが高いほど、高くなるように典型度を算出し、前記典型度が所定値以下である患者が典型的な経過を辿った患者でないと判定する、請求項1に記載の診療情報処理システム。
  3. 複数の患者のそれぞれについて、所定の医療機関における特定の診療科で前記患者が最初に診察を受けた初回受診日及び最後に診察を受けた最終受診日を記憶する記憶部と、
    前記初回受診日から前記最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、前記患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出する算出部と、
    前記受診継続期間スコアを参照して、任意の前記患者が前記特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かを判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を出力する出力部と、を有する
    ことを特徴とした診療情報処理システム。
  4. 前記算出部は、前記初回受診期間毎の患者数から、前記初回受診期間を確率変数とする確率密度関数を導出し、任意の前記患者の初回受診期間に対応した前記初回受診期間スコアを、前記初回受診期間の確率密度関数に従って算出する、請求項1又は2に記載の診療情報処理システム。
  5. 前記算出部は、前記受診継続期間毎の患者数から、前記受診継続期間を確率変数とする確率密度関数を導出し、任意の前記患者の受診継続期間に対応した前記受診継続期間スコアを、前記受診継続期間の確率密度関数に従って算出する、請求項2又は3に記載の診療情報処理システム。
  6. 記憶部を有するコンピュータの診療情報処理プログラムであって、
    複数の患者のそれぞれについて、前記患者が所定の医療機関で最初に診察を受けた初診日及び前記所定の医療機関における特定の診療科で前記患者が最初に診察を受けた初回受診日を前記記憶部に記憶し、
    前記初診日から前記初回受診日までの初回受診期間毎に患者数を集計し、前記患者毎に当該患者の初回受診期間における患者数に応じた初回受診期間スコアを算出し、
    前記初回受診期間スコアを参照して、任意の前記患者が前記特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かの経過判定を行い、
    前記経過判定の結果を出力する、
    ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする診療情報処理プログラム。
  7. 記憶部を有するコンピュータの診療情報処理プログラムであって、
    複数の患者のそれぞれについて、所定の医療機関における特定の診療科で前記患者が最初に診察を受けた初回受診日及び最後に診察を受けた最終受診日を前記記憶部に記憶し、
    前記初回受診日から前記最終受診日までの受診継続期間毎に患者数を集計し、前記患者毎に当該患者の受診継続期間における患者数に応じた受診継続期間スコアを算出し、
    前記受診継続期間スコアを参照して、任意の前記患者が前記特定の診療科における疾患の典型的な経過を辿ったか否かの経過判定を行い、
    前記経過判定の結果を出力する、
    ことを前記コンピュータに実行させることを特徴とする診療情報処理プログラム。
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