JP2018123799A - フリーピストン式発電機の制御装置 - Google Patents

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成晶 後藤
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成晶 後藤
英人 稲垣
Hideto Inagaki
英人 稲垣
智行 秋田
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智行 秋田
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Abstract

【課題】フリーピストン式発電機の電力効率を従来よりも向上可能とする。【解決手段】制御装置18は、膨張行程における第1速度指令値VexpCと、圧縮行程における第2速度指令値VcmpCを設定する。また制御装置18は、始動時にコイル26を励磁させてピストン14の速度を第1及び第2速度指令値VexpC,VcmpCに到達させるモータリングに当たり、ピストン14の上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、ピストン14の往復行程における励磁区間を設定する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁石が組み込まれたピストンが、コイルが設けられたシリンダ内を往復移動することによって発電する、フリーピストン式発電機の制御装置に関する。
従来から、シリンダ内でピストンを往復移動させることによって発電するフリーピストン式発電機が知られている。ピストンはクランク機構に拘束されずにシリンダ内を往復移動可能となっている。
シリンダ内における、ピストン往復移動方向(シリンダの長手方向)に沿った一端には燃焼室が設けられ、他端には空気ばね室が設けられている。燃料と空気の混合気を燃焼室で燃焼させると、燃焼圧によりピストンが燃焼室から空気ばね室側に押し出される。ピストンの移動に伴い空気ばね室は体積が圧縮される。すると、この圧縮に対する反発力が生じて、ピストンは再び燃焼室に戻される。
ピストン外周面には永久磁石が設けられ、シリンダ内周面にはコイルが設けられる。ピストンの往復移動に伴って、永久磁石とコイルとが相対移動する。この際に生じる誘導起電力により、発電が行われる。
特許文献1には、フリーピストン式発電機において、ピストンの挙動を制御する方法が記載されている。これによると、膨張行程における第1速度指令値と、圧縮行程における第2速度指令値が設定される。発電時には、燃焼圧または空気ばねの反発により付勢されるピストンを電気制動により第1及び第2速度指令値まで減速させるように発電量が制御される。また、モータリング時にはコイルを励磁させてピストンの速度を第1及び第2速度指令値に到達させるように送電量が制御される。速度指令値はピストン位置に基づくフィードバックループにより更新される。例えば上死点目標位置と上死点実位置との誤差が生じると、誤差を解消するように速度指令値が変更(更新)される。
特開2016−109123号公報
本発明は、従来よりも上死点目標位置と上死点実位置との誤差を低減可能な、フリーピストン式発電機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、磁石が組み込まれたピストンが、コイルが設けられたシリンダ内を往復移動することによって発電が行われる、フリーピストン式発電機の制御装置に関する。シリンダ内には燃焼室が設けられる。制御装置は、ピストンが燃焼室とは反対側に移動させられる膨張行程における第1速度指令値と、ピストンが燃焼室側に移動させられる圧縮行程における第2速度指令値を設定する。また制御装置は、始動時にコイルを励磁させてピストンの速度を第1及び第2速度指令値に到達させるモータリングに当たり、ピストンの上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、ピストンの往復行程における励磁区間を設定する。
また、上記発明において、制御装置は、ピストンの往復行程における原点と上死点との間の中間点から上死点までの間の領域に、励磁区間の境界を設定してもよい。
また、上記発明において、制御装置には、ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の平均値が、励磁区間別に記憶されてもよい。この場合、制御装置は、誤差の平均値が最小の励磁区間に基づいて、励磁区間の境界を設定してもよい。
また、上記発明において、制御装置には、ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の標準偏差が、励磁区間別に記憶されてもよい。この場合、制御装置は、標準偏差が最小の励磁区間に基づいて、励磁区間の境界を設定してもよい
また、本発明の別態様は、磁石が組み込まれたピストンが、コイルが設けられたシリンダ内を往復移動することによって発電が行われる、フリーピストン式発電機の制御装置に関する。シリンダ内には燃焼室が設けられる。制御装置は、ピストンが燃焼室とは反対側に移動させられる膨張行程における第1速度指令値と、ピストンが燃焼室側に移動させられる圧縮行程における第2速度指令値を設定する。また制御装置は、発電時に、電気制動によりピストンの速度を第1及び第2速度指令値まで減速させるに当たり、ピストンの上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、ピストンの往復行程における電気制動区間を設定する。
また、上記発明において、制御装置は、ピストンの往復行程における原点と上死点との間の中間点から上死点までの間の領域に、電気制動区間の境界を設定してもよい。
また、上記発明において、制御装置には、ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の平均値が、電気制動区間別に記憶されてもよい。この場合、制御装置は、誤差の平均値が最小の電気制動区間に基づいて、電気制動区間の境界を設定してもよい。
また、上記発明において、制御装置には、ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の標準偏差が、電気制動区間別に記憶されてもよい。この場合、制御装置は、標準偏差が最小の電気制動区間に基づいて、電気制動区間の境界を設定してもよい。
後述するように、励磁区間/電気制動区間の変化に応じて、上死点実位置と上死点目標位置との誤差が変化する。本発明によれば、上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるような励磁区間/電気制動区間を設定することで、従来よりも上記誤差を低減可能となる。
本実施形態に係るフリーピストン式発電システムの概要を説明する図である。 スリット列周辺の拡大断面図である。 本実施形態に係る速度制御について説明する図である。 ピストンの往復行程と励磁区間との関係について説明する図である。 励磁区間の調整について説明する図である。 上死点実位置と上死点目標位置との誤差計測の手法について説明する図である。 励磁区間と上死点位置制御誤差との関係について説明する図である。 励磁区間とピストンの速度変化との関係を例示するグラフである。
<全体構成>
図1に、本実施形態に係るフリーピストン式発電システムの概要を示す。フリーピストン式発電システムは、フリーピストン式発電機10とその制御装置18を備える。フリーピストン式発電機10は、シリンダ12、ピストン14、及び検出器16を備える。
シリンダ12内の長手方向一端には燃焼室20が設けられ、他端には空気ばね室22が設けられている。ピストン14はシリンダ12内に配置され、燃焼室20で発生する燃焼圧力と空気ばね室22の圧縮に伴う反発力とで、燃焼室20と空気ばね室22との間を往復移動する。
ピストン14の外周面には永久磁石24が設けられ、またシリンダ12内周面にはコイル26が周方向に沿って巻き回されている。ピストン14の往復移動に伴い、永久磁石24とコイル26とが相対移動する。これにより誘導起電力が生じて発電が行われる。
また、フリーピストン式発電機10の始動時、つまりピストン14を停止状態から往復運動状態にするために、フリーピストン式発電機10を電動機として使用する。この電動機として使用する動作として、本実施形態では、初期化とモータリングが含まれる。初期化は、ピストン14の絶対位置が不明であるときにピストン14を移動させて絶対値の探索を行う動作である。モータリングとは、初期化後にコイル26に励磁電流を流してピストン14を移動させることを指しており、ピストン14の駆動方式としては、燃焼圧力(爆発エネルギ)によりピストン14を移動させるファイアリングと対の関係にある。
制御装置18は、発電時(ファイアリング時)には、燃焼圧力や空気ばね室22の反発力等で付勢されたピストン14を、電気制動によって速度制御することで、ピストン14の挙動を制御する。また始動時及びモータリング時には、コイル26に流す励磁電流を調整して速度制御することで、ピストン14の挙動を制御する。
なお、電気制動とは、発電電力を抵抗器に消費させる発電制動と、発電電力を他の電気機器(蓄電池を含む)に分配する回生制動の両者を含むものとする。本実施形態においては、発電制動と回生制動の少なくとも一方が実施されればよい。
<各構成の詳細>
ピストン14は、シリンダ12内に収容され、当該シリンダ12内を往復移動する。ピストン14とシリンダ12との間にはわずかなクリアランスが設けられており、燃焼室20と空気ばね室22との気体の流通を抑制しつつ、シリンダ12内のピストン14の移動を可能としている。
図1に示す例では、ピストン14は、燃焼室20側が相対的に小径であり、空気ばね室22側が相対的に大径となっている。このようにすることで、ピストン14の空気ばね室22側の受圧面積が、燃焼室20側の受圧面積よりも大きくなり、空気ばね室22の圧力が比較的小さくても、ピストン14を燃焼室20に押し戻すことができる。
また、ピストン14は、大径部(空気ばね室側)の最外周部に、燃焼室20側に突出するような円環部28が形成されている。円環部28はシリンダ12の燃焼室20側に設けられたガイドリング溝30に挿入されるように形成されている。円環部28がガイドリング溝30に挿入された状態でピストン14が往復移動することで、当該往復移動(ストローク)が安定する。
加えて、ピストン14の往復移動を安定させる更なる手段として、ピストン14の小径部の裏側、つまり空気ばね室22側には、軸方向に抉られた止まり穴32が形成されている。止まり穴32にはシリンダ12の空気ばね室22から延びるガイドシャフト34が挿入される。
また、円環部28を含めたピストン14の大径部の外周面、つまりピストン14の最外周面には、永久磁石24が設けられている。永久磁石24はピストン14の全ストロークにおいてコイル26と対面するように配置されていることが好適である。
燃焼室20から相対的に離間した大径部の外周面に永久磁石24を設けることで、燃焼室20からの熱が永久磁石24に伝達しにくくなり、その結果、永久磁石24の高温化に伴う減磁を防ぐことができる。
円環部28を含めたピストン14の大径部の外周面には、永久磁石24の他にも、スリット列35が切られている。図1に示す例では、ピストン14の紙面上下にスリット列35が切られているが、さらに両側面にもスリット列35が切られていてよい。つまりピストン14の外周面には、周廻りに90°間隔でスリット列35が切られていてよい。また、これらスリット列35は、位相をずらすようにして形成されていてよい。例えば隣り合うスリット37,37(図2参照)同士の間隔の4分の1ごとに、各面にスリット列35を切るようにしてもよい。このようにすることで、ピストン14の位置を高精度に検出することが可能となる。
スリット列35の拡大図、すなわち図1の一点鎖線の円で囲った部分の拡大図を図2に示す。スリット列35はピストン14の軸方向に沿ってスリット37を複数切ることで構成される。また、本実施形態では、隣り合うスリット37,37のピッチ(間隔)が、他のピッチとは異なるような特徴部36を設けている。例えば図2では、スリット37,37間のピッチd1とは異なるピッチd2となるような特徴部36を、スリット列35の中央部に設けている。なお、図1では、特徴部36を、紙面上下のスリット列35に設けているが、周廻りに複数形成されたスリット列35のいずれかひとつに、特徴部36を設けるようにしてもよい。
スリット列35は、ピストン14の全ストロークにおいて検出器16と対向するように形成されていてよい。例えばピストン14が上死点(最も燃焼室20側の位置)にいる場合に、スリット列35の紙面最も右側のスリット37が検出器16と対向するようにし、ピストン14が下死点(最も空気ばね室22側)にいる場合に、スリット列35の紙面最も左側のスリット37が検出器16と対向するようにする。加えて、ピストン14がストローク中央、つまり、シリンダ長の中央に位置するときに検出器16と対向するように、特徴部36をピストン14に形成することが好適である。
図1に戻り、シリンダ12は、中空の略筒形状部材である。この中空領域の長手方向の全長、つまりシリンダ長がストローク長となり、その中央位置がストローク中央(原点)となる。また、ストローク長の端部がストローク端部となる。ピストン14の形状に合わせて、シリンダの中空形状は、燃焼室20側が相対的に小径となっており、空気ばね室22側が相対的に大径となっている。
ピストン14の往復移動方向に沿って、言い換えると、シリンダ長方向の一端には燃焼室20が形成され、他端には空気ばね室22が形成されている。燃焼室20は、掃気孔38、排気口40、排気バルブ42、インジェクタ44、及び点火手段46が設けられている。
掃気孔38は、燃焼室20内に新気を導入する。新気の導入に際して、図示しない掃気ポンプを駆動させることによって、外部から掃気孔38に新気を導入するようにしてもよい。掃気孔38は、例えば、シリンダ12の内壁面に開口されていてよく、ピストン14が上死点に位置しているときにはピストン14によって塞がれるとともに、ピストン14が下死点に位置しているときには開放されるような位置に形成されていてよい。
また、排気口40は、燃焼室で新気と燃料との混合気を燃焼させた後の排気を、外部に排出する。また、排気口40が無く、掃気孔38のみで掃気・排気を行うループフロー式であってもよい。
インジェクタ44は、燃料を噴射する噴射手段である。点火手段46は、混合気に点火して燃焼圧力を生じさせる。また、点火手段46の無い、圧縮自着火方式によって燃焼圧力を生じさせてもよい。
空気ばね室22は、ピストン14を燃焼室20側に押し戻す機能を有している。ピストン14が燃焼室20側から空気ばね室22側に移動する際に、空気ばね室22が圧縮される。この圧縮により反発力が生じ、当該反発力により、ピストン14が燃焼室20側に押し戻される。内圧を一定範囲に収めるため、空気ばね室22には、調圧弁48が設けられていてもよい。さらに、調圧弁48に代えて、コンプレッサ等の加圧源を空気ばね室22に接続してもよい。
コイル26は、シリンダ12の内周面に設けられている。コイル26は、ピストン14の全ストロークに亘って、永久磁石24と対向するような位置に設けられていることが好適である。また、コイル26は、外部に設けられたインバータ等の電力変換器(図示せず)に接続される。コイル26で発生した交流電力は電力変換器によって直流電力に変換されてバッテリ等の直流電源に供給される。また、初期化時及びモータリング時には、直流電源から供給された直流電力が電力変換器によって交流電力に変換されてコイル26に供給される。
検出器16は、対向するスリット列35の通過を検出することでピストン14の変位(実位置)を検出する。また、スリット列35の特徴部36を検出する。検出器16は、コイル26とともに、シリンダ12の大径部分の内周面に設けられる。上述したように、検出器16はピストン14の全ストロークに亘って、スリット列35と対向するような位置に設けられていることが好適である。
検出器16は、スリット37の凹凸に応じて2つの値を取るようにしてもよい。例えば、検出器16がスリット37の底面と相対しているときに、検出器16は、検出信号S1Hを出力する。また、スリット37,37間の突出面と相対しているときに、検出器16は、検出信号S1Lを出力する。
検出器16内には、検出信号S1の値をカウントするカウンタが設けられてよい。例えば、検出器16内のハードウェア回路によってカウンタが構成されてよい。検出信号S1の値(H/L)が増加する度にカウンタが増えるように構成されており、このカウンタ値によって、ピストン14の位置が算出できる。また、カウンタ値は、スリット列35の特徴部36を検知したときにはリセットするように設定されていてもよい。このリセット動作により、ピストン14の絶対位置を検出することが可能となる。カウンタ値は制御装置18に送信される。
検出器16は、例えば、渦電流センサ、光学センサ、静電容量センサ等の非接触センサのいずれかから構成されてよい。なお、シリンダ12内は潤滑用のオイル等がシリンダ12の内表面やピストン14の外表面に付着しており、光学的に良好な検出環境を確保することは困難となる場合がある。このような観点から、検出器16として、渦電流センサや静電容量センサを用いることが好適である。
制御装置18は、フリーピストン式発電機10が安定的な発電を行うために、ピストン14の挙動を制御する。また、初期化時及びモータリング時には、フリーピストン式発電機10を電動機として機能させ、ピストン14を移動させる。
制御装置18は、コンピュータから構成されてよく、例えば、演算回路であるCPU、メモリ等の記憶部、及び機器・センサインターフェースが内部バスを介して互いに接続されている。記憶部には、後述する速度制御プログラムや励磁区間/制動区間設定プログラムが記憶されており、CPUが当該プログラムを実行することで、速度制御や励磁区間/制動区間の設定が行われる。
制御装置18は、機器・センサインターフェースを介して、周辺機器との信号授受を行う。具体的には、検出器16からカウンタ値を受信し、また、排気バルブ42、インジェクタ44、及び、点火手段46に対して作動信号を送信する。電気制動を行う際には、フリーピストン式発電機10の発電量を制御する。例えば、発電電力の供給先(電気機器、バッテリ、抵抗器等)を選択する。さらに、モータリング時にはコイル26に供給する励磁電流量を制御する。
制御装置18には、記憶部に記憶された速度制御プログラムや励磁区間/制動区間設定プログラムをCPUが実行することで、複数の機能部が形成される。例えば図1に示すように、制御装置18に、上死点/下死点差異算出部50、速度指令値設定部52、誤差平均値記憶部54、標準偏差記憶部55、及び励磁区間/制動区間設定部56が生成される。これらの機能部は例えばCPUや記憶部等のリソースが割り当てられることで仮想的に生成される。
<速度制御によるピストン制御>
本実施形態に係る制御装置18は、速度制御に基づいてピストン14の挙動を制御する。制御装置18は、ピストン14が空気ばね室22側に移動させられる膨張行程において第1速度指令値を定めるとともに、ピストン14が燃焼室20側に移動させられる圧縮工程において第2速度指令値を定める。
膨張行程及び圧縮過程では、ピストン14の速度がそれぞれ定められた速度指令値となるように速度制御を行う。発電時(ファイアリング時)は、電気制動によって速度制御を行う。すなわち制御装置18は、ピストン14の速度を第1速度指令値VexpC(膨張行程)及び第2速度指令値VcmpC(圧縮行程)まで減速させるように発電量を制御する。始動時(モータリング時)は、励磁電流制御によって速度制御を行う。すなわち制御装置18は、ピストン14の速度を第1速度指令値VexpC(膨張行程)及び第2速度指令値VcmpC(圧縮行程)に到達させるように、コイル26への送電量を制御する。
ピストン14の速度は上死点及び下死点で最低速度0を取り、ストローク中央位置(原点)で最高速度を取る。このような挙動に合わせて、発電制動及び励磁を行う。
発電量とピストン14の制動量、及び、送電量(励磁電流量)とピストン14の推進量との関係は既知であることから、従来のような外乱要素の多いエネルギ収支に基づくピストン制御と比較して、本実施形態に係る速度制御は、ピストン14の挙動をより高精度に制御することが可能となる。
<速度指令波の生成>
上述したように、速度制御においては、ピストン14の速度を、膨張行程では第1速度指令値に制御し、圧縮過程では第2速度指令値とするような制御が行われる。したがって、ピストン14のストロークに応じた速度指令波は、図3下段にて示すように、第1速度指令値VexpCと第2速度指令値VcmpCをピーク値とする矩形波となる。この速度指令波の生成について、以下説明する。
制御装置18の速度指令値設定部52は、第1及び第2速度指令値の設定に当たり、所定の往復周期における、ピストン14の上死点位置と下死点位置とに基づいて、その次の往復周期における第1及び第2速度指令値を設定する。
具体的には、上死点/下死点差異算出部50は、図3に示すように、予め定めた、上死点目標位置及び下死点目標位置と、予め定めた、第1速度指令値VexpC1及び第2速度指令値VcmpC1に基づいて、k−1周期目(図3では1周期目)における、実際の上死点(上死点実位置)と下死点(下死点実位置)との差を求める。上死点目標位置と上死点実位置との差ΔSTDCと、下死点目標位置と下死点実位置との差ΔSBDCが求められると、上死点/下死点差異算出部50は、これらの値を用いて速度指令波の振幅Aと、速度0からのオフセット量Oとを求める。
速度指令値の振幅Aは、下記数式(1)により求めることができる。また、速度指令値のオフセット量Oは、下記数式(2)により求めることができる。数式(1)(2)で求められた振幅A及びオフセット量Oに基づいて、速度指令値設定部52は、k周期目(図3では2周期目)の速度指令波(第1速度指令値VexpC2及び第2速度指令値VcmpC2)を求める。
ここで、数式(1)のkpAは振幅比例項ゲイン、kiAは振幅積分項ゲインを示す。また、数式(2)のkpOはオフセット比例項ゲイン、kiOはオフセット積分項ゲインを示す。
<励磁区間/制動区間の設定>
制御装置18は、第1速度指令値VexpC及び第2速度指令値VcmpCに基づくピストン14の制御に当たり、モータリング時におけるコイル26への励磁区間及び発電時におけるピストン14の電気制動区間を調整する。
図4上段には、ピストン14の往復行程(全ストローク)1周期分が例示されている。横軸は時間、縦軸はピストン14の位置を示す。また図4下段には、ピストン14の往復行程と同期した、速度指令値VexpC,VcmpCの波形が示されている。横軸は時間、縦軸は速度指令値を示す。
本実施形態に係る制御装置18では、ピストン14の往復行程(全ストローク)において、励磁区間(モータリング時)及び電気制動区間(発電時)を任意に変更可能となっている。この変更に際して、本実施形態では、ピストン14の上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、励磁区間(モータリング時)及び電気制動区間(発電時)が設定される。
図5には、モータリング時の励磁区間の例が示されている。例えば励磁区間は固定区間と可変区間に分けられる。固定区間は、例えばピストン14が相対的に高速となる原点の周辺区間であり、例えば原点と下死点目標位置との間の下死点側中間点から、原点と上死点目標位置との間の上死点側中間点までの区間である。励磁区間の可変区間は、例えば下死点側中間点から下死点目標位置までの区間と、上死点側中間点から上死点目標位置までの区間である。可変区間では、下死点側中間点を起点として下死点目標位置側に区間を延伸させることが可能であり、また、上死点側中間点を起点として上死点目標位置側に区間を延伸させることが可能となっている。なお、可変区間の境界から上死点/下死点までの区間は、ピストン14が自由運動する。
なお、図5ではモータリング時の例を示したが、発電時も同様に電気制動区間が設定可能である。すなわち、固定区間は下死点側中間点から上死点側中間点までの区間である。可変区間は、下死点側中間点から下死点目標位置までの区間と、上死点側中間点から上死点目標位置までの区間である。可変区間では、下死点側中間点を起点として下死点目標位置側に区間を延伸させることが可能であり、また、上死点側中間点を起点として上死点目標位置側に区間を延伸させることが可能となっている。なお、可変区間の境界から上死点/下死点までの区間は、ピストン14が自由運動する。
上述した励磁区間/電気制動区間のうち可変区間の設定に際して、ピストン14の上死点実位置と上死点目標位置との誤差を用いる。上死点実位置は検出器16から取得可能である。
励磁区間/制動区間設定部56は、モータリングに際して、励磁区間(の可変区間)を変化させたときの、上死点実位置と上死点目標位置との誤差平均値の変化を参照する。誤差平均値は、所定の励磁区間における上死点実位置と上死点目標位置との誤差をサンプリングし、これを平均化したものが用いられる。この誤差平均値は、誤差平均値記憶部54に、励磁区間別に記憶される。励磁区間別の誤差平均値は、例えば予め実験やシミュレーション等で求めておくこともできる。
なお、誤差のサンプリングに際して、図6に示すように、始動初期の相対的に誤差の大きい領域をサンプリング対象から外してもよい。図6には、ピストン14のサイクル(周期)ごとの、上死点実位置と上死点目標位置との誤差がプロットされている。また、図6には励磁区間の異なる3つの例(励磁区間A〜C)が示されている。このそれぞれのグラフについて、所定の周期目以降から、誤差のサンプリングを行ってもよい。例えば始動初期からk周期目(図6では7周期目)から誤差のサンプリングを行ってもよい。
図7には、励磁区間の終点である励磁境界を変化させたときの、上死点平均誤差の変化が例示されている。横軸は励磁境界の位置を示し、上死点側中間点(0.5)から上死点目標位置(1.0)までの区間が示されている。縦軸は上死点平均誤差を示す。
図7では、励磁境界を1.0(上死点目標位置)としたときの上死点平均誤差については算出していない。これは、1.0の場合、非励磁区間が無くなって従来制御と同じになるからである。
図7のグラフに示されているように、励磁境界が0.5の状態から上死点側に延伸させるほど、上死点平均誤差は低減傾向となるが、この傾向は励磁境界が0.75付近で反転し、以降では上死点側に励磁境界を延伸させるほど上死点平均誤差が増加する。
励磁境界を0.5から0.75付近まで延伸させることで上死点平均誤差が低減する理由として、ピストン14をコントロールする励磁区間の境界(励磁終了位置)から、上死点目標位置までの距離が近づいたことが挙げられる。励磁区間の境界から上死点目標位置までの距離が近づくことで、ピストン14の挙動制御、つまり上死点目標位置にて速度0とする制御の精度が向上する。これにより上死点平均誤差は低減される。
次に、励磁境界を0.75よりも上死点目標位置寄りに延伸させることで上死点平均誤差が増加する理由として、励磁区間の境界が上死点目標位置に寄り過ぎる(近づき過ぎる)ことが挙げられる。図8には、励磁境界を変化させたときの、ピストン14の実速度変化が例示されている。図8上段には、励磁区間が相対的に短い(励磁境界が0.5以上0.75以下の範囲にある)ときの、ピストン14の実速度変化が例示されている。図8下段には、励磁区間が相対的に長い(励磁境界が0.75を超過する範囲にある)ときの、ピストン14の実速度変化が例示されている図8の上段、下段とも、横軸はピストン14の位相を示し、縦軸はピストン14の実速度を示す。
図8下段に示すように、励磁境界を上死点目標位置(1.0)寄りに設定することで、励磁境界から上死点目標位置までの、ピストン14の自由運動行程が短くなる。言い換えると、ピストン14を速度指令値VcmpCに制御する区間から速度0(=上死点目標位置)とするまでの行程が短くなり、上段のグラフと比較して速度変化が大きく(急峻に)なる。速度変化が大きくなることで、波形のずれによる、上死点目標位置から速度=0となる位置までのずれ幅が相対的に大きくなる。つまり相対的に誤差が大きくなる。
励磁区間/制動区間設定部56は、誤差平均値記憶部54から、励磁区間別の上死点平均誤差を呼び出して、当該誤差が最小値(極小値)となる励磁区間に基づいて、ピストン14の往復行程における励磁区間を設定する。
また、上死点平均誤差に加えて、ピストン制御のロバスト性向上を狙って、誤差のばらつきを最小化させてもよい。制御装置18は標準偏差記憶部55を備えており、これに励磁区間別の上死点誤差の標準偏差が記憶されている。上死点誤差の標準偏差σは下記数式(3)のように表される。
数式(3)中、Nはサンプル数、xはサンプル値であって、上死点実位置と上死点目標位置との差分値である。Xaveはサンプルの平均値(つまり上死点平均誤差)である。
励磁区間/制動区間設定部56は、誤差平均値記憶部54を参照して、励磁区間別の上死点平均誤差が最小値を取る励磁区間が複数選択されたとき、または、励磁区間別の上死点平均誤差が最小値から所定の閾値範囲に含まれる励磁区間が複数選択されたときに、標準偏差記憶部55から、選択された各励磁区間に対応する上死点誤差の標準偏差σを呼び出す。さらに励磁区間/制動区間設定部56は、標準偏差σが最小の励磁区間を選択し、これに基づいて、ピストン14の往復行程における励磁区間を設定する。例えば励磁区間別の上死点平均誤差が最小値を取り、かつ、標準偏差σが最小の励磁区間が設定される。
なお、上述の例はモータリング時の上死点誤差に基づく励磁区間の設定例について説明したが、これに加えて下死点誤差に基づく励磁区間を設定してもよい。すなわち、誤差平均値記憶部54にはモータリング時の下死点平均誤差が、励磁区間別に記憶されている。励磁区間/制動区間設定部56は、誤差平均値記憶部54から、励磁区間別の下死点平均誤差を呼び出して、当該誤差が最小値(極小値)となる励磁区間に基づいて、ピストン14の往復行程における励磁区間を設定する。
さらに標準偏差記憶部55には、励磁区間別の下死点誤差の標準偏差が記憶されている。励磁区間別の下死点平均誤差が最小値を取る励磁区間が複数選択されたとき、または、励磁区間別の下死点平均誤差が最小値から所定の閾値範囲に含まれる励磁区間が複数選択されたときに、励磁区間/制動区間設定部56は、標準偏差記憶部55から、選択された各励磁区間に対応する下死点誤差の標準偏差σを呼び出す。さらに励磁区間/制動区間設定部56は、標準偏差σが最小の励磁区間を選択し、これに基づいて、ピストン14の往復行程における励磁区間を設定する。例えば励磁区間別の下死点平均誤差が最小値を取り、かつ、標準偏差σが最小の励磁区間が設定される。
また、誤差平均値記憶部54には、発電時の上死点平均誤差が、電気制動区間別に記憶されている。加えて、発電時の下死点平均誤差も、電気制動区間別に記憶されている。
励磁区間/制動区間設定部56は、誤差平均値記憶部54から、電気制動区間別の上死点平均誤差/下死点平均誤差を呼び出して、当該誤差が最小値(極小値)となる電気制動区間に基づいて、ピストン14の往復行程における電気制動区間を設定する。
さらに標準偏差記憶部55には、電気制動区間別の上死点/下死点誤差の標準偏差が記憶されている。電気制動区間別の上死点/下死点平均誤差が最小値を取る電気制動区間が複数選択されたとき、または、電気制動区間別の上死点/下死点平均誤差が最小値から所定の閾値範囲に含まれる電気制動区間が複数選択されたときに、励磁区間/制動区間設定部56は、標準偏差記憶部55から、選択された各電気制動区間に対応する上死点/下死点誤差の標準偏差σを呼び出す。さらに励磁区間/制動区間設定部56は、標準偏差σが最小の電気制動区間を選択し、これに基づいて、ピストン14の往復行程における電気制動区間を設定する。例えば電気制動区間別の上死点/下死点平均誤差が最小値を取り、かつ、標準偏差σが最小の電気制動区間が設定される。
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、燃焼室20と対向して空気ばね室22を設けていたが、この形態に限らない。要するにピストン14の付勢に抗してピストン14を燃焼室20に押し戻す反発力を生じさせるものであればよい。例えば、空気ばね室22の代わりにばね室を設けてもよい。具体的には、ピストン14のストローク方向に垂直なシリンダ12の内壁に弾性体を設ける。弾性体は、金属や樹脂をばね状(コイルばね、皿ばね)に加工したものであってよい。また、空気ばね室22を構成する空間にゴム等の弾性体を充填してもよい。さらに、空気ばね室22の代わりに磁石室を設けてもよい。例えばピストン14とシリンダ12との互いの対向面に磁石を設け、その反発力を利用する。磁石は永久磁石であっても電磁石であってもよい。ただし、ピストン14に給電手段を設けることが困難な場合は、ピストン14には永久磁石を設けることが好適である。加えて、空気ばね室22に上記のばねや弾性体、及び磁石の少なくとも一つを組み合わせてもよい。また、空気ばね室22の代わりに第2の燃焼室を設けてもよい。
なお、上述した燃焼室20の燃焼圧力に応じたばね係数の調整については、例えばばねや弾性体であればピストン14のストローク方向の位置を可変にする移動手段を設ければよい。また、電磁石であれば電流量を調整すればよい。また、空気ばね室22の代わりに第2の燃焼室を設ける場合には、燃焼室20に噴射する燃料の供給量の変化と協調するようにして、第2の燃焼室に噴射する燃料の供給量を調整すればよい。
10 フリーピストン式発電機、12 シリンダ、14 ピストン、16 検出器、18 制御装置、20 燃焼室、22 空気ばね室、24 永久磁石、26 コイル、50 上死点/下死点差異算出部、52 速度指令値設定部、54 誤差平均値記憶部、55 標準偏差記憶部、56 励磁区間/制動区間設定部。

Claims (8)

  1. 磁石が組み込まれたピストンが、コイルが設けられたシリンダ内を往復移動することによって発電が行われる、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記シリンダ内には燃焼室が設けられ、
    前記制御装置は、
    前記ピストンが前記燃焼室とは反対側に移動させられる膨張行程における第1速度指令値と、前記ピストンが前記燃焼室側に移動させられる圧縮行程における第2速度指令値を設定し、
    始動時に前記コイルを励磁させて前記ピストンの速度を前記第1及び第2速度指令値に到達させるモータリングに当たり、前記ピストンの上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、前記ピストンの往復行程における励磁区間を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置は、前記ピストンの往復行程における原点と上死点との間の中間点から前記上死点までの間の領域に、前記励磁区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  3. 請求項2に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置には、前記ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の平均値が、前記励磁区間別に記憶され、
    前記制御装置は、前記誤差の平均値が最小の前記励磁区間に基づいて、前記励磁区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  4. 請求項3に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置には、前記ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の標準偏差が、前記励磁区間別に記憶され、
    前記制御装置は、前記標準偏差が最小の前記励磁区間に基づいて、前記励磁区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  5. 磁石が組み込まれたピストンが、コイルが設けられたシリンダ内を往復移動することによって発電が行われる、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記シリンダ内には燃焼室が設けられ、
    前記制御装置は、
    前記ピストンが前記燃焼室とは反対側に移動させられる膨張行程における第1速度指令値と、前記ピストンが前記燃焼室側に移動させられる圧縮行程における第2速度指令値を設定し、
    発電時に、電気制動により前記ピストンの速度を前記第1及び第2速度指令値まで減速させるに当たり、前記ピストンの上死点実位置と上死点目標位置との誤差が最小となるように、前記ピストンの往復行程における電気制動区間を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  6. 請求項5に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置は、前記ピストンの往復行程における原点と上死点との間の中間点から前記上死点までの間の領域に、前記電気制動区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  7. 請求項6に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置には、前記ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の平均値が、前記電気制動区間別に記憶され、
    前記制御装置は、前記誤差の平均値が最小の前記電気制動区間に基づいて、前記電気制動区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
  8. 請求項7に記載の、フリーピストン式発電機の制御装置であって、
    前記制御装置には、前記ピストンの往復周期ごとの上死点実位置と上死点目標位置との誤差の標準偏差が、前記電気制動区間別に記憶され、
    前記制御装置は、前記標準偏差が最小の前記電気制動区間に基づいて、前記電気制動区間の境界を設定する、
    フリーピストン式発電機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110454283A (zh) * 2019-07-31 2019-11-15 江苏大学 一种燃气式自由活塞线性发动机
JP2024125136A (ja) * 2023-03-03 2024-09-13 一成 村上 ファラデー発電改良型

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