JP2018123219A - 発光材料 - Google Patents

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ホム ナト ルイテル
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Shintaro Mizuno
真太郎 水野
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康彦 竹田
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Abstract

【課題】Tmを含み、かつ、高効率のアップコンバージョン発光を示す新規な発光材料を提供すること。
【解決手段】発光材料は、CaTi1-δ3-γ(但し、−0.2≦δ≦0.2、γは電気的中性が保たれる値。)で表される組成を持つ酸化物からなる母材と、前記母材に共添加されたTm及びNiとを備えている。発光材料は、前記母材に添加された、Li、Na、及びKからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素Mをさらに備えていても良い。また、発光材料は、前記母材に添加された、Nb、Ta、及びWからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素Zをさらに備えていても良い。
【選択図】図5

Description

本発明は、発光材料に関し、さらに詳しくは、アップコンバージョン発光が可能な発光材料に関する。
光電変換素子とは、光量子のエネルギーを何らかの物理現象を介して電気エネルギーに変換(光電変換)することが可能な素子をいう。太陽電池は、光電変換素子の一種であり、太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
太陽電池には、太陽光を吸収してキャリアを生成させる半導体材料が用いられる。太陽光のスペクトルは、紫外線から赤外線までの広い波長範囲(約0.3μm〜約3.0μm)まで分布する。一方、半導体材料に太陽光が照射された場合、半導体材料の光吸収端よりも長波長の光は、吸収されないので光電変換に寄与しない。そのため、高い光電変換効率を得るためには、長波長の光を利用するのが好ましい。
長波長の光を利用する技術の1つに、アップコンバージョン発光の利用がある。アップコンバージョン発光とは、長波長の光子2個を短波長の光子1個に変換する技術をいう。例えば、GaAs、アモルファスSi、Cu2ZnSnS4、CdTe、色素増感、有機の各種太陽電池の場合、光吸収端は約0.9μmである。これよりも長波長の光を短波長の光に変換する材料としては、例えば、Yb、Er共添加材料、及びTm添加材料が知られている。また、これら希土類元素の吸収帯域幅は狭いので、これと増感材とを組み合わせて吸収帯域を広げる試みも知られている。
Yb、Er共添加材料は、アップコンバージョン発光を示すが、波長0.95〜1μmの狭い範囲の光しか利用されない。一方、Yb、Er共添加材料に対して増感材として機能するものには、色素及びCrが知られている。
例えば、非特許文献1には、Yb、Er共添加材料と色素とを組み合わせた複合材料が開示されている。
同文献には、
(a)Yb、Er共添加材料は、Ybが約970nmの光を吸収し、500〜685nmの光を発光するアップコンバージョン発光を示す点、並びに、
(b)Yb、Er共添加材料と色素とを組み合わせると、Ybが約970nmの光を吸収することに加えて、色素が約800nmの光を吸収し、これによってアップコンバージョン発光の強度が増加する点
が記載されている(図1参照)。
また、非特許文献2には、Yb、Er、Cr共添加材料が開示されている。
同文献には、Yb、Er、Cr共添加材料は、約620nmの光を吸収し、548nmの光を発光するアップコンバージョン発光を示す点が記載されている。図2参照。なお、図2中、x=Cr、y=Yb、z=Erである。
しかし、これらが作用する波長範囲は、それぞれ、0.7〜0.85μm、及び0.6〜0.66μmである。そのため、これらの材料を光吸収端が約0.9μmの太陽電池に適用しても、変換効率の向上には寄与しない。
一方、Tm添加材料は、波長1.1〜1.3μmの狭い範囲の光しか吸収されない。また、Tmに対して増感材として機能する材料は知られていない。
W. Zou, et al., Nature Photon, 6, 560(2012) Ye, et al., Opt. Express 4, 638(2014)
本発明が解決しようとする課題は、Tmを含み、かつ、高効率のアップコンバージョン発光を示す新規な発光材料を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、光吸収端が約0.9μmである太陽電池の変換効率を向上させることが可能な新規な発光材料を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る発光材料は、
次の(1)式で表される組成を持つ酸化物からなる母材と、
前記母材に共添加されたTm及びNiと
を備えている。
CaTi1-δ3-γ ・・・(1)
但し、−0.2≦δ≦0.2、γは電気的中性が保たれる値。
Tmを含む酸化物に所定の波長の光を照射すると、アップコンバージョン発光を起こす。しかし、Tmイオンは、吸収波長範囲が狭い。
これに対し、CaTi1-δ3-γにTm及びNiを共添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Tmイオンが吸収できない波長範囲の光をNiイオンが吸収し、そのエネルギーによりTmイオンが励起されるためと考えられる。
さらに、Niイオンは、波長0.95〜1.5μmの光を吸収する。そのため、本発明に係る発光材料を光吸収端が約0.9μmである太陽電池に適用すると、変換効率が向上する。
Yb、Erナノ粒子/色素複合材料の500〜685nmアップコンバージョン発光の励起スペクトル(黒丸)である(非特許文献1より引用)。 Yb、Er、Cr共添加材料の550nmアップコンバージョン発光の励起スペクトル(黒丸)である(非特許文献2より引用)。 CaTi1-δ3-γに添加されたNi2+及びTm3+のエネルギー準位とアップコンバージョン発光機構の模式図である。
Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)の吸収スペクトルである。 Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)のアップコンバージョン発光スペクトル(図5(A):1.18μm励起、図5(B):1.06μm励起)である。 Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)のアップコンバージョン発光強度の励起光依存性を示す図である。
Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0〜0.15、y=0.002)のアップコンバージョン発光(1.06μm励起)のTm添加濃度依存性を示す図である。 Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0〜0.15、y=0.002)のアップコンバージョン発光(1.18μm励起)のTm添加濃度依存性を示す図である。 Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0〜0.005)のアップコンバージョン発光(1.06μm励起)のNi添加濃度依存性を示す図である。 Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0.002)の吸収スペクトルとアップコンバージョン(UC)感度スペクトルである。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 発光材料]
本発明に係る発光材料は、
所定の組成を持つ酸化物からなる母材と、
前記母材に共添加されたTm及びNiと
を備えている。
[1.1. 母材]
本発明において、発光材料の母材は、次の(1)式で表される組成を持つ酸化物からなる。酸化物に添加されるTmイオンは、アップコンバージョン発光の発光中心となる。Tmを含む酸化物は、発光波長が約0.8μmであるので、光吸収端が約0.9μmである太陽電池と組み合わせて用いる発光材料として好適である。
CaTi1-δ3-γ ・・・(1)
但し、−0.2≦δ≦0.2、γは電気的中性が保たれる値。
(1)式中、δは、Ti量の化学量論組成からのずれを表す。CaTiO3は、仕込み組成を変えることにより、Ti量を化学量論組成より多くし、あるいは、少なくすることができる。しかしながら、Ti量が過剰になると、発光強度が著しく低下する。従って、δは、−0.2以上である必要がある。δは、好ましくは、0以上、さらに好ましくは、0.05以上である。
一方、Ti欠損量が過剰になると、かえって発光強度が低下する。従って、δは0.2以下である必要がある。δは、好ましくは、0.15以下である。
(1)式中、γは、母材の電気的中性が保たれる値を表す。γは、極端な還元雰囲気下で材料合成を行わない限り、酸化物に含まれるカチオンの価数と比率でほぼ決まる。
母材のγは、形式的には、γ=2δと表せる。母材に後述する元素が添加された場合も同様であり、γは、形式的にはカチオンの価数と比率で決まる。しかし、実際には、酸素空孔の形成等により、理論値より若干増減することがある。
[1.2. Tm]
本発明において、母材には、Tmが添加される。(1)式で表される酸化物において、Tmは、後述する1価の金属元素M(Li、Na、K)と共に、Caサイトを占有する。Caサイトに占めるTmの割合は、特に限定されるものではなく、母材の組成、並びに、他の添加元素の種類及び量に応じて最適な割合を選択するのが好ましい。
一般に、(1)式で表される酸化物において、Caサイトに占めるTmの割合(Tm/(Ca+Tm+M)比)が大きいほど、発光効率が高くなる。このような効果を得るためには、Tm/(Ca+Tm+M)比は、0超である必要がある。Tm/(Ca+Tm+M)比は、好ましくは、0.03以上である。
一方、Caサイトに占めるTmの割合が過剰になると、かえって発光効率が低下する。従って、Tm/(Ca+Tm+M)比は、0.15以下が好ましい。Tm/(Ca+Tm+M)比は、さらに好ましくは、0.12以下である。
[1.2. Ni]
本発明において、母材には、Tmに加えて、Niがさらに添加される。Niは、増感材としての作用、すなわち、Tmイオンが吸収できない波長の光を吸収し、そのエネルギーによりTmイオンを励起する作用があると考えられている。
(1)式で表される酸化物において、Niは、Tiサイトを占有する。Tiサイトに占めるNiの割合は、特に限定されるものではなく、母材の組成、並びに、他の添加元素の種類及び量に応じて最適な割合を選択するのが好ましい。
後述するように、母材には、Er、1価の金属元素M、及びNiに加えて、元素Z(=Nb、Ta、及びWからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素)が添加される場合がある。これらの内、Ni及び元素Zは、いずれもTiサイトを占有する。
一般に、(1)式で表される酸化物において、Tiサイトに占めるNiの割合(=Ni/(Ni+Z+Ti)比)が大きくなるほど、発光効率が高くなる。このような効果を得るためには、Ni/(Ni+Z+Ti)比は、0超である必要がある。Ni/(Ni+Z+Ti)比は、好ましくは、0.001以上である。
一方、Tiサイトに占めるNiの割合が過剰になると、かえって発光効率が低下する。従って、Ni/(Ni+Z+Ti)比は、0.005以下が好ましい。Ni/(Ni+Z+Ti)比は、さらに好ましくは、0.004以下である。
[1.3. 1価の金属元素M]
本発明において、母材には、Tm及びNiに加えて、1価の金属元素Mがさらに添加されていても良い。(1)式で表される酸化物において、1価の金属元素Mは、上述したTmと共に、Caサイトを占有する。1価の金属元素Mとしては、例えば、Li、Na、Kなどがある。
Caサイトを占有する2価のCaイオンを3価のTmイオンで置換すると、母材内における電荷バランスが崩れる。1価の金属元素Mは、この電荷バランスの崩れを補償するために添加される。そのため、Tmのモル数に対する1価の金属元素Mのモル数の比(=M/Tm比)は、発光効率に影響を与える。
一般に、M/Tm比が小さくなるほど、発光効率が低下する。従って、M/Tm比は、0.5以上が好ましい。M/Tm比は、さらに好ましくは、0.7以上である。
一方、M/Tm比が過剰になると、かえって発光効率が低下する。従って、M/Tm比は、1.5以下が好ましい。M/Tm比は、さらに好ましくは、1.3以下である。
[1.5. その他の添加元素]
発光材料は、Tm、1価の金属元素M、及びNi以外の添加元素を含んでいても良い。その他の添加元素は、
(a)Tmイオンによるアップコンバージョン発光を助長する元素、
(b)アップコンバージョン発光に関与しない元素、
(c)アップコンバージョン発光を阻害する元素
に大別される。
これらの内、アップコンバージョン発光を阻害する添加元素は、少ないほど良い。
アップコンバージョン発光を助長する元素としては、Nb、Ta、及びWからなる群から選ばれるいずれか1以上の元素Zなどがある。
これらの元素Zは、いずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
(1)式で表される酸化物において、元素Zは、いずれもTiサイトを占有する。
元素Zは、Tiサイトに添加されるNiが2価のイオンとなったNi2+を安定化させる作用(Niが3価のイオンとなるのを妨げる作用)、及び、0.98μm発光の再吸収を抑制する作用がある。
元素Zは、Ni添加による電荷バランスの崩れを補償する作用もあるため、その最適値はNi量に依存する。一般に、(1)式で表される酸化物において、Niのモル数に対する元素Zのモル数の比(=Z/Ni比)の最適値からのずれが大きくなると、発光効率が低下する。最適なZ/Ni比は、Ti欠損量δに依存する。
例えば、−0.2≦δ<0.05の場合、Z/Ni比は、0<Z/Niが好ましい。Z/Ni比は、好ましくは、2≦Z/Ni≦8、さらに好ましくは、3≦Z/Ni≦7、である。
また、0.05≦δ≦0.2である場合、Z/Ni比は、0<Z/Ni≦4が好ましい。Z/Ni比は、さらに好ましくは、1≦Z/Ni≦3、である。
[1.6. 具体例]
発光材料は、次の(2)式で表される組成を持つ酸化物が好ましい。
Ca1-w-xTmwLixTi1-y-z-δNiyz3-γ ・・・(2)
但し、
0<w≦0.15、0<y≦0.005、0.5≦x/w≦1.5、
0<z/y≦4、 0.05≦δ≦0.2、
Zは、Nb、Ta、及びWからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素。
なお、各変数の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
(2)式で表される発光材料は、Ti欠損CaTiO3を母材とする発光材料である。Ti欠損CaTiO3を母材とする発光材料は、化学量論組成のCaTiO3を母材とする発光材料に比べて、高い発光強度を示す。
[2. 発光材料の製造方法]
本発明に係る発光材料は、種々の方法により製造することができる。
発光材料の製造方法としては、例えば、
(a)有機金属化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を混合し、溶媒を揮発させ、固形分を加熱する方法、
(b)目的とする組成となるように配合された酸化物を溶融させ、固化させる方法、
(c)目的とする組成となるように配合された酸化物を加熱し、固相拡散させる方法、
などがある。
[3. 作用]
Tmなどのランタノイド元素を含む酸化物からなる発光材料に所定の波長の光を照射すると、アップコンバージョン発光を起こす。しかし、従来の発光材料は、
(a)アップコンバージョン発光の発光効率自体が相対的に低い、
(b)発光中心に吸収される光の波長範囲が狭い、
という問題がある。
そのため、従来の光電変換素子と従来の発光材料とを単に組み合わせただけでは、高い変換効率は得られない。
例えば、GaAs、アモルファスSi、Cu2ZnSnS4、CdTe、色素増感、有機の各種太陽電池の光吸収端は、約0.9μmである。一方、Tmイオンは、約1.18μmの光を吸収し、約0.8μmの光を発光する(図3参照)。そのため、光吸収端が約0.9μmである太陽電池とTmイオンを含む発光材料とを組み合わせた光電変換システムにおいては、太陽電池が吸収できない光を光電変換に利用することができる。しかし、光吸収端が0.9μmである太陽電池とTmイオンを含む発光材料とを組み合わせたとしても、波長1.18μmの光を除き、波長0.9〜1.5μmの範囲にある光を光電変換に利用することができない。
これに対し、Tmを含む酸化物に、Niを添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Niに増感材としての作用があるためと考えられる。すなわち、Tmイオン(及び、光電変換素子の半導体)が吸収できない光をNiイオンが吸収し、そのエネルギーによりTmイオンが励起されるためと考えられる(図3参照)。
また、このような酸化物にさらにNb、Ta及び/又はWを添加すると、アップコンバージョン発光の発光効率が向上する。これは、Nb等がTiサイトに添加されるNi2+を安定化させ、かつ、0.98μm発光の再吸収を抑制するためと考えられる。
そのため、このような発光材料と光電変換素子とを組み合わせると、システム全体の変換効率が向上する。
(実施例1、比較例1)
[1. 試料の作製]
組成式:Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNby2y3-γで表される粉末を固相反応により作製した。xは、0.1とした。また、yは、0.002(実施例1)、又は0(比較例1)とした。原料として金属酸化物を用い、これらを所定の比率で混合した。次いで、混合粉を大気中において、1300℃で5時間加熱した。
[2. 試験方法及び結果]
[2.1. 吸収スペクトル]
得られた試料の吸収スペクトルを測定した。図4に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)の吸収スペクトルを示す。Tmのみを添加した比較例1は、約1.1〜1.3μmの光を吸収した。一方、Tm及びNiを共添加した実施例1は、0.9〜1.1μm、及び1.3〜1.5μmの波長範囲においても光吸収が生じた。
[2.2. アップコンバージョン発光スペクトル]
得られた試料に波長1.06μm(Niのみに吸収される)、又は1.18μm(Tm、Niの双方に吸収される)の半導体レーザーを照射し、アップコンバージョン発光スペクトルを測定した。図5に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)のアップコンバージョン発光スペクトル(図5(A):1.18μm励起、図5(B):1.06μm励起)を示す。1.18μmの光で励起した場合、Ni添加により、Tmからのアップコンバージョン発光強度が増大した。また、1.06μmの光で励起した場合、Tmには吸収されない励起波長であるにもかかわらず、Tmからのアップコンバージョン発光が観測された。
[2.3. 励起光強度依存性]
図6に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0又は0.002)のアップコンバージョン発光強度の励起光依存性を示す。発光強度が励起光強度の2乗に比例していることから、この発光が2光子過程であることがわかる。また、励起光強度が同一である場合、1.18μm励起の発光強度は、1.06μm励起のそれより大きい。これは、TmとNiを共添加することにより、材料全体が吸収する光子数が増大するためである。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
組成式:Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNby2y3-γで表される粉末を固相反応により作製した。xは、0〜0.15とした。また、yは、0.002とした。以下、実施例1と同様にして試料を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
得られた試料に波長1.06μm、又は1.18μmの半導体レーザーを照射し、アップコンバージョン発光スペクトルを測定した。図7に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0〜0.15、y=0.002)のアップコンバージョン発光(1.06μm励起)のTm添加濃度依存性を示す。図8に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0〜0.15、y=0.002)のアップコンバージョン発光(1.18μm励起)のTm添加濃度依存性を示す。なお、図7(B)及び図8(B)中、「規格化強度」は、PL強度をTm量で除した値(Tm原子1個当たりの強度)を表す。
図7及び図8より、励起光波長によらず、Tm濃度(x)が0.03〜0.12の範囲にある時に、相対的に大きな規格化強度が得られ、xが0.07〜0.10の範囲にある時に、規格化強度が最大になることがわかる。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
組成式:Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNby2y3-γで表される粉末を固相反応により作製した。xは、0.1とした。また、yは、0〜0.005とした。以下、実施例1と同様にして試料を作製した。
[2. 試験方法及び結果]
得られた試料に波長1.06μmの半導体レーザーを照射し、アップコンバージョン発光スペクトルを測定した。図9に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0〜0.005)のアップコンバージョン発光(1.06μm励起)のNi添加濃度依存性を示す。なお、図9(B)中、「規格化強度」は、PL強度をNi量で除した値(Ni原子1個当たりの強度)を表す。
図9より、Ni濃度(y)が0.001〜0.004の範囲内にある時に、相対的に大きな規格化強度が得られ、yが0.0015〜0.003の範囲内にある時に、規格化強度が最大になることがわかる。
図10に、Ca1-2xTmxLixTi0.9-3yNiyNb2y3-γ(x=0.1、y=0.002)の吸収スペクトルとアップコンバージョン(UC)感度スペクトルを示す。「アップコンバージョン感度」とは、発光強度を各波長での励起光吸収強度の2乗で規格化した値である。また、図10中、ハッチングを施した領域は、TmとNiを共添加することによる光の吸収エネルギーの増分(感度の増加)を表す。図10より、励起波長0.95〜1.5μmの範囲でアップコンバージョン発光が観測されていることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る発光材料は、太陽電池(特に、光吸収端が約0.9μmである太陽電池)、光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの光電変換素子に用いることができる。

Claims (4)

  1. 次の(1)式で表される組成を持つ酸化物からなる母材と、
    前記母材に共添加されたTm及びNiと
    を備えた発光材料。
    CaTi1-δ3-γ ・・・(1)
    但し、−0.2≦δ≦0.2、γは電気的中性が保たれる値。
  2. 前記母材に添加された、Li、Na、及びKからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素Mをさらに備えた請求項1に記載の発光材料。
  3. 前記母材に添加された、Nb、Ta、及びWからなる群から選ばれるいずれか1種以上の元素Zをさらに備えた請求項1又は2に記載の発光材料。
  4. 次の(2)式で表される組成を持つ請求項3に記載の発光材料。
    Ca1-w-xTmwLixTi1-y-z-δNiyz3-γ ・・・(2)
    但し、
    0<w≦0.15、0<y≦0.005、0.5≦x/w≦1.5、
    0<z/y≦4、 0.05≦δ≦0.2。
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