JP2018122313A - 複合部材とこれを作製するために用いる接合部材およびこの複合部材からなる切削工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】WC基超硬合金とWC基超硬合金を、接合部材を介して接合した高温接合強度に優れた複合部材および切削工具を提供すること。【解決手段】WC基超硬合金部材同士を、Sn箔(蒸着膜)−Ti箔−Sn箔(蒸着膜)の積層体からなる接合部材を介してPTLP接合させ、反応層、Ti−Sn合金層、Ti−Co合金層を含む接合部を形成した複合部材において、前記反応層は、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなり、前記反応層より接合部の中心側に形成されているTi−Co合金層は、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Coの組成からなり、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に断続的に形成されている65〜85原子%Ti、15〜35原子%SnのTi−Sn合金層を備える複合部材およびこの複合部材からなる切削工具。【選択図】図2
Description
本発明は、接合部の高温接合強度に優れた複合部材に関し、特に、WC基超硬合金とWC基超硬合金とを接合した複合部材とこれを作製するために用いる接合部材、さらには、この複合部材からなる切削工具に関する。
従来から、工具材料としては、WC基超硬合金、TiCN基サーメット、cBN焼結体等が良く知られているが、近年、工具材料を単一素材から形成するのではなく複合部材として工具材料を形成することが提案されている。
例えば、特許文献1には、サーメット焼結体を第1の被接合材1とし、cBN焼結体またはダイヤモンド焼結体を第2の被接合材3とする接合体であって、第1の被接合材および第2の被接合材の間に1000℃未満では液相を生成しない接合材2(例えば、Ti、Co、Ni)を介して接合し、該接合は0.1MPa〜200MPaの圧力で加圧しながら通電加熱することによって行うことが提案されており、これによって得られた接合体は、切削中に、ロウ材が液相を生成する温度を超える高温となっても、接合層の接合強度が低下することがないため、高速切削加工工具やCVDコーティング切削工具として好適であるとされている。
また、特許文献2には、超硬合金焼結体を第1の被接合材1とし、cBN焼結体を第2の被接合材2とする接合体において、第1の被接合材および第2の被接合材の間にはチタン(Ti)を含有する接合材3を介して、少なくとも、第2の被接合材の背面と底面からなる2面で接合し、第2の被接合材と接合材との界面には、厚み10〜300nmの窒化チタン(TiN)化合物層を形成し、また、背面の接合層の厚みを、底面の接合層の厚みよりも薄くすることによって、接合強度が高い切削工具等の接合体を得ることが提案されている。
さらに、特許文献3には、cBNを20〜100質量%含むcBN焼結体と、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoおよびWの炭化物、炭窒化物およびこれらの相互固溶体から成る群より選択された少なくとも1種からなる硬質相:50〜97質量%と、残部として、Co、NiおよびFeから成る群より選択された少なくとも1種を主成分とする結合相:3〜50質量%とからなる硬質合金との複合体において、cBN焼結体と硬質合金との間に接合層を設け、該接合層をセラミックス相と金属相とから構成し、さらに、該接合層の厚さを2〜30μmとすることによって、複合体の接合強度を高めることが提案されている。
前記特許文献1〜3で提案された複合材料あるいはこれからなる切削工具は、通常条件の切削加工では、ある程度の性能を発揮するが、例えば、切れ刃に高負荷が作用し、かつ、高熱発生を伴う高送り、高切り込みの重切削条件では、高温接合強度が十分であるとはいえず、接合部からの破損が発生する問題があった。
そこで、切れ刃に高負荷が作用し、かつ、高熱発生を伴う重切削条件においても、接合部からの破断が生じないような、より高い高温接合強度を備えた接合部を有する複合部材およびこれからなる切削工具が望まれている。
そこで、切れ刃に高負荷が作用し、かつ、高熱発生を伴う重切削条件においても、接合部からの破断が生じないような、より高い高温接合強度を備えた接合部を有する複合部材およびこれからなる切削工具が望まれている。
本発明者らは、前記従来の複合部材およびこれからなる切削工具の問題点を解決すべく、WC基超硬合金とWC基超硬合金からなる複合部材およびこの複合材からなる切削工具、例えば、超高圧高温焼結時にcBN焼結体の焼結と同時にWC基超硬合金(裏打ち材)を接合した複合焼結体からなる切刃部とWC基超硬合金工具基体(台金)とを接合部材を介して接合した切削工具において、その接合部の接合強度を改善する方策について鋭意研究した結果、
一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材を、Ti箔の表面にSn薄膜を蒸着あるいは積層した接合部材を介して接合し、一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材とが接合部によって接合された複合部材において、WC基超硬合金部材に隣接する接合部には、金属W相とTiC相とからなる反応層を形成し、該反応層より接合部の中心側にはTi−Co合金層を形成し、また、前記反応層と前記Ti−Co合金層の間には、Ti−Sn合金層を形成することにより、WC基超硬合金部材と接合部との高温接合強度を向上させた複合部材が得られることを見出した。
一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材を、Ti箔の表面にSn薄膜を蒸着あるいは積層した接合部材を介して接合し、一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材とが接合部によって接合された複合部材において、WC基超硬合金部材に隣接する接合部には、金属W相とTiC相とからなる反応層を形成し、該反応層より接合部の中心側にはTi−Co合金層を形成し、また、前記反応層と前記Ti−Co合金層の間には、Ti−Sn合金層を形成することにより、WC基超硬合金部材と接合部との高温接合強度を向上させた複合部材が得られることを見出した。
そして、切削工具用の材料として、前記複合部材を用いた場合には、切れ刃に高負荷が作用し、かつ、高熱発生を伴う鋼や鋳鉄の重切削加工に供した場合であっても、接合部からの破断が発生することもなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能を発揮することができることを見出したのである。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものであって、
「(1)WC基超硬合金部材同士が接合部を介して接合されている複合部材であって、
(a)前記接合部は、それぞれのWC基超硬合金部材に隣接する反応層と、該反応層より接合部の厚さ方向中心側に形成されているTi−Co合金層と、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に形成されているTi−Sn合金層を含み、
(b)前記反応層は、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなり、
(c)前記Ti−Co合金層は、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Coの組成からなり、
(d)前記Ti−Sn合金層は、65〜85原子%Ti、15〜35原子%Snの組成からなることを特徴とする複合部材。
(2)前記Ti−Sn合金層が、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に断続的に形成されていることを特徴とする(1)に記載の複合部材。
(3)前記WC基超硬合金部材に隣接する前記反応層の厚さは、反応層の平均層厚の±50%以内であるほぼ均一な層厚を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の複合部材。
(4)前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察したとき、前記Ti−Co合金層が占める面積割合は、接合部面積の1〜10面積%であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の複合部材。
(5)前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察し、前記反応層の界面長さと、前記反応層に接する前記Ti−Sn合金層の界面長さを測定したとき、前記反応層の界面長さに対する前記Ti−Sn合金層の界面長さの割合は、10〜50%であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の複合部材。
(6)前記Ti−Sn合金層は、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間で、前記WC基超硬合金部材の表面の凹部を埋めるように断続的に存在していることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の複合部材。
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の複合部材の作製に用いられる接合部材であって、該接合部材は、Ti箔表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなり、かつ、前記積層体における前記Sn箔あるいは前記Sn蒸着膜の層厚は、前記Ti箔の厚さの10%以下であることを特徴とする接合部材。
(8)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の複合部材から構成されていることを特徴とする切削工具。」
を特徴とするものである。
「(1)WC基超硬合金部材同士が接合部を介して接合されている複合部材であって、
(a)前記接合部は、それぞれのWC基超硬合金部材に隣接する反応層と、該反応層より接合部の厚さ方向中心側に形成されているTi−Co合金層と、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に形成されているTi−Sn合金層を含み、
(b)前記反応層は、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなり、
(c)前記Ti−Co合金層は、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Coの組成からなり、
(d)前記Ti−Sn合金層は、65〜85原子%Ti、15〜35原子%Snの組成からなることを特徴とする複合部材。
(2)前記Ti−Sn合金層が、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に断続的に形成されていることを特徴とする(1)に記載の複合部材。
(3)前記WC基超硬合金部材に隣接する前記反応層の厚さは、反応層の平均層厚の±50%以内であるほぼ均一な層厚を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の複合部材。
(4)前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察したとき、前記Ti−Co合金層が占める面積割合は、接合部面積の1〜10面積%であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の複合部材。
(5)前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察し、前記反応層の界面長さと、前記反応層に接する前記Ti−Sn合金層の界面長さを測定したとき、前記反応層の界面長さに対する前記Ti−Sn合金層の界面長さの割合は、10〜50%であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の複合部材。
(6)前記Ti−Sn合金層は、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間で、前記WC基超硬合金部材の表面の凹部を埋めるように断続的に存在していることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の複合部材。
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の複合部材の作製に用いられる接合部材であって、該接合部材は、Ti箔表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなり、かつ、前記積層体における前記Sn箔あるいは前記Sn蒸着膜の層厚は、前記Ti箔の厚さの10%以下であることを特徴とする接合部材。
(8)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の複合部材から構成されていることを特徴とする切削工具。」
を特徴とするものである。
以下に、本発明について、詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の複合部材は、一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材との間に接合部材を配置し(図1(a)参照)、接合部材を介して一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材とを突き合わせ、所定の加圧力を付加した状態で、所定の温度、時間をかけて、WC基超硬合金部材と接合部材とをPTLP(Partial Transient Liquid Phase)接合する(図1(b)参照)ことにより、WC基超硬合金部材同士が接合部を介して接合された本発明の複合部材を作製することができる(図1(c)参照)。
ここで、PTLP接合とは、接合中に接合部材の一部分のみを溶融し、溶融した部材が接合部材の他の部分、もしくは基材中に拡散する。それにより、溶融した部材は高融点の相に変化し、接合完了後は低融点の相は存在せず、接合温度では溶融しない耐熱性の高い接合となることを特徴とする接合法である。
ここで、PTLP接合とは、接合中に接合部材の一部分のみを溶融し、溶融した部材が接合部材の他の部分、もしくは基材中に拡散する。それにより、溶融した部材は高融点の相に変化し、接合完了後は低融点の相は存在せず、接合温度では溶融しない耐熱性の高い接合となることを特徴とする接合法である。
図2は、図1(c)の拡大模式図を示す。
図2において、接合されるWC基超硬合金部材のそれぞれの表面には、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなる反応層がそれぞれのWC基超硬合金部材に隣接して形成される。
また、反応層より接合部の厚さ方向中心側には、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Co(以下、「原子%」を、単に「%」で示す。)の組成からなるTi−Co合金層が形成されている。
さらに、前記反応層と前記Ti−Co合金層の間には、前記反応層と前記Ti−Co合金層の界面に接して、65〜85%Ti、15〜35%Snの組成からなるTi−Sn合金層が断続的に形成されている。
なお、前記Ti−Sn合金層は、反応層と前記Ti−Co合金層の全界面に接して形成される必要はなく、反応層とTi−Co合金層の界面に接して連続的もしくは断続的に形成されていればよい。
図2において、接合されるWC基超硬合金部材のそれぞれの表面には、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなる反応層がそれぞれのWC基超硬合金部材に隣接して形成される。
また、反応層より接合部の厚さ方向中心側には、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Co(以下、「原子%」を、単に「%」で示す。)の組成からなるTi−Co合金層が形成されている。
さらに、前記反応層と前記Ti−Co合金層の間には、前記反応層と前記Ti−Co合金層の界面に接して、65〜85%Ti、15〜35%Snの組成からなるTi−Sn合金層が断続的に形成されている。
なお、前記Ti−Sn合金層は、反応層と前記Ti−Co合金層の全界面に接して形成される必要はなく、反応層とTi−Co合金層の界面に接して連続的もしくは断続的に形成されていればよい。
前記WC基超硬合金部材に隣接する前記反応層は、WC基超硬合金の成分であるWとCがPTLP接合時の拡散によって形成されるものであるが、金属W相は、WC基超硬合金より小さい熱膨張係数を有し、また、TiC相は、WC基超硬合金より大きいが金属Tiよりは小さい熱膨張係数を有するため、前記反応層の見掛け熱膨張係数は、WC基超硬合金と金属Tiとの中間の値となる。
したがって、WC基超硬合金に接してTiC相と金属W相からなる反応層が形成されることによって、熱膨張係数の違いによりWC基超硬合金と接合部との間に発生する接合時の熱応力が緩和され、また、残留応力の形成も抑制される。
したがって、WC基超硬合金に接してTiC相と金属W相からなる反応層が形成されることによって、熱膨張係数の違いによりWC基超硬合金と接合部との間に発生する接合時の熱応力が緩和され、また、残留応力の形成も抑制される。
また、前記反応層の平均層厚は、0.5μm未満では十分な応力緩和を図ることができず、一方、平均層厚が5μmを超えると、反応層の脆性が顕在化し、複合部材の接合部に高負荷が作用した場合にクラックの発生、クラックの進展経路となりやすく、WC基超硬合金と強固な接合状態を維持することができなくなるので、反応層の平均層厚は、0.5〜5μmとする。
反応層の平均層厚は、例えば、次のような方法によって求めることができる。
走査型電子顕微鏡およびオージェ電子分光装置を用いて、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍を縦断面観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定め、界面から界面に垂直な方向に線分を引き、該線分間の間隔を5μmとして20本について線分析を行って反応層の厚さを測定し、これらの測定値の平均値を反応層の平均層厚とする。
また、本発明においては、前記20本の線分について測定した反応層の層厚の各値は、前記で求めた平均層厚の値の±50%以内の値であること、即ち、反応層はほぼ均一な層厚を有することが好ましい。なお、実際の測定においては、20本の線分から得られた層厚の各値について、平均層厚の値を100%として各層厚を百分率で表し、100%から最も離れた値を取る線分の層厚について、その百分率から100を減じ、絶対値を取ることにより、最大変位率を求め、最大変位率が50%以内である場合、任意の箇所の反応層厚さは、平均層厚の±50%以内であるとした。
そして、ほぼ均一な層厚の反応層が形成されている場合には、局所的に薄すぎる、あるいは、局所的に厚すぎる箇所からの破断が生じることがないため、接合部の接合強度の向上が図られる。
反応層の平均層厚は、例えば、次のような方法によって求めることができる。
走査型電子顕微鏡およびオージェ電子分光装置を用いて、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍を縦断面観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定め、界面から界面に垂直な方向に線分を引き、該線分間の間隔を5μmとして20本について線分析を行って反応層の厚さを測定し、これらの測定値の平均値を反応層の平均層厚とする。
また、本発明においては、前記20本の線分について測定した反応層の層厚の各値は、前記で求めた平均層厚の値の±50%以内の値であること、即ち、反応層はほぼ均一な層厚を有することが好ましい。なお、実際の測定においては、20本の線分から得られた層厚の各値について、平均層厚の値を100%として各層厚を百分率で表し、100%から最も離れた値を取る線分の層厚について、その百分率から100を減じ、絶対値を取ることにより、最大変位率を求め、最大変位率が50%以内である場合、任意の箇所の反応層厚さは、平均層厚の±50%以内であるとした。
そして、ほぼ均一な層厚の反応層が形成されている場合には、局所的に薄すぎる、あるいは、局所的に厚すぎる箇所からの破断が生じることがないため、接合部の接合強度の向上が図られる。
WC基超硬合金部材同士が接合されている接合部の、反応層より接合部の厚さ方向中心側には、45〜75%Ti、25〜55%Coの組成からなるTi−Co合金層が形成されている。
前記Ti−Co合金層において、Tiが45%未満でCoが55%を超えると、WC基超硬合金からのCo拡散量が多すぎるため、WC基超硬合金自体の強度が低下しやすくなり、一方、Tiが75%を超えCoが25%未満になると、WC基超硬合金部材と接合部との間の原子拡散が十分でなく、接合部を介したWC基超硬合金同士の強固な接合状態を維持できなくなる。
したがって、接合部の、反応層より接合部の厚さ方向中心側に形成されるTi−Co合金層におけるTi含有量は45〜75%、また、Co含有量は25〜55%とする。
前記Ti−Co合金層において、Tiが45%未満でCoが55%を超えると、WC基超硬合金からのCo拡散量が多すぎるため、WC基超硬合金自体の強度が低下しやすくなり、一方、Tiが75%を超えCoが25%未満になると、WC基超硬合金部材と接合部との間の原子拡散が十分でなく、接合部を介したWC基超硬合金同士の強固な接合状態を維持できなくなる。
したがって、接合部の、反応層より接合部の厚さ方向中心側に形成されるTi−Co合金層におけるTi含有量は45〜75%、また、Co含有量は25〜55%とする。
また、接合部全体に占める前記Ti−Co合金層の面積割合を測定した場合、Ti−Co合金層の面積割合は、1〜10面積%とすることが好ましい。
これは、Ti−Co合金層の面積割合が1%未満ではWC基超硬合金からのCoの拡散が十分でなく、満足な接合強度を発揮することが困難であり、面積割合が10%を超えるとWC基超硬合金からのCo拡散量が多すぎるため、WC基超硬合金自体の強度が低下しやすいためである。
また、Ti−Co合金層の面積割合は、次のようにして求めることができる。
WC基超硬合金部材と接合部との界面を中心として、界面に垂直な方向±50μmの範囲内の接合部の厚さ方向に平行な断面において元素マッピングを行い、WC相、Co相、TiC相、金属W相、(後記する)Ti−Sn合金相およびTi−Co合金相を特定するとともに、WC基超硬合金部材、反応層、(後記する)Ti−Sn合金層およびTi−Co合金層を特定し、元素マッピングの結果から、特定されたTi−Co合金層の縦断面面積が接合部全体の縦断面面積に占める面積割合を求めることができる。
これは、Ti−Co合金層の面積割合が1%未満ではWC基超硬合金からのCoの拡散が十分でなく、満足な接合強度を発揮することが困難であり、面積割合が10%を超えるとWC基超硬合金からのCo拡散量が多すぎるため、WC基超硬合金自体の強度が低下しやすいためである。
また、Ti−Co合金層の面積割合は、次のようにして求めることができる。
WC基超硬合金部材と接合部との界面を中心として、界面に垂直な方向±50μmの範囲内の接合部の厚さ方向に平行な断面において元素マッピングを行い、WC相、Co相、TiC相、金属W相、(後記する)Ti−Sn合金相およびTi−Co合金相を特定するとともに、WC基超硬合金部材、反応層、(後記する)Ti−Sn合金層およびTi−Co合金層を特定し、元素マッピングの結果から、特定されたTi−Co合金層の縦断面面積が接合部全体の縦断面面積に占める面積割合を求めることができる。
図3に示すように、WC基超硬合金部材同士が接合されている接合部の、前記反応層と前記Ti−Co合金層の間には、65〜85%Ti、15〜35%Snの組成からなるTi−Sn合金層が形成されている。
前記Ti−Sn合金層において、Tiが65%未満でSnが35%を超えると、Ti3Snに比べ融点の低いTi6Sn5や金属Snが現れ、高温接合強度が低下し、一方、Tiが85%を超えSnが15%未満になると、Ti中へのSnの固溶によりSnが不足し、結果、基体凹部を埋めるに十分なTi−Sn合金層を形成することが難しくなる。
したがって、接合部の、反応層とTi−Co合金層の間に形成されるTi−Sn合金層におけるTi含有量は65〜85%、また、Sn含有量は15〜35%とする。
前記Ti−Sn合金層において、Tiが65%未満でSnが35%を超えると、Ti3Snに比べ融点の低いTi6Sn5や金属Snが現れ、高温接合強度が低下し、一方、Tiが85%を超えSnが15%未満になると、Ti中へのSnの固溶によりSnが不足し、結果、基体凹部を埋めるに十分なTi−Sn合金層を形成することが難しくなる。
したがって、接合部の、反応層とTi−Co合金層の間に形成されるTi−Sn合金層におけるTi含有量は65〜85%、また、Sn含有量は15〜35%とする。
また、Ti−Sn合金層は、前記反応層を介して、前記WC基超硬合金部材表面の凹部を埋めるように、断続的に存在していることが好ましい。
これは、後記するように、Ti箔の表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔の表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなる接合部材を用いて、PTLP接合した場合に、低融点のSnが溶融し、WC基超硬合金との濡れ性を確保し、強固な接合となるとともに、WC基超硬合金部材表面の凹部を埋めるように、例えば、Ti3SnのようなTi−Sn合金相が形成されるため、WC基超硬合金の表面粗さが粗い場合でも、接合部における空隙の生成が低減され、WC基超硬合金表面との界面長さが増加することによって、強固な接合強度を発揮するからである。
加えて、PTLP接合に際し形成されるTi3Sn合金の融点は1670℃と非常に高いため、形成した複合部材をSnの融点(232℃)以上の温度環境で使用しても、接合部自体が溶融・軟化することはなく、高い高温接合強度を有する。
なお、WC基超硬合金に隣接して形成されている反応層と前記Ti−Sn合金層の接触界面長さの測定は、WC基超硬合金と接合部の界面近傍を、その厚さ方向に平行な断面を観察し、前記反応層の界面長さと、前記反応層に接する前記Ti−Sn合金層の界面長さを測定することによって求めることができるが、前記反応層の界面長さに対する前記Ti−Sn合金層の接触界面長さの割合は、10〜50%であることが好ましい。
これは、接触界面長さの割合が10%未満では、WC基超硬合金表面の凹部を埋める効果が十分に発揮されず、接合界面に空隙を生じ、接合強度が低下しやすく、一方、接触界面長さの割合が50%を超えるとTi−Sn合金層の脆性が顕在化し、界面剥離を生じやすくなるためである。
また、WC基超硬合金部材表面の凹部の測定方法は、まず、WC基超硬合金と反応層の界面を曲線として表し、同曲線の長さ割合が50:50となるように二分する界面におおよそ平行な基準線を引く。同基準線より界面がWC基超硬合金側であれば、その箇所のWC基超硬合金表面は凹部であるとする。また、基準線に垂直な直線を引き、同直線上に凹部およびTi−Sn合金相が共に存在する場合、WC基超硬合金部材表面の凹部上にTi−Sn合金相が形成されているとする。また、同時に前述の反応層とTi−Sn合金層の接触界面長さの割合が10〜50%であり、かつ、2,000倍の断面SEM像において、前記凹部上にTi−Sn合金相が形成されている箇所が3箇所以上ある場合、WC基超硬合金部材表面の凹部を埋めるようにTi−Sn合金相が形成されているとする。
これは、後記するように、Ti箔の表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔の表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなる接合部材を用いて、PTLP接合した場合に、低融点のSnが溶融し、WC基超硬合金との濡れ性を確保し、強固な接合となるとともに、WC基超硬合金部材表面の凹部を埋めるように、例えば、Ti3SnのようなTi−Sn合金相が形成されるため、WC基超硬合金の表面粗さが粗い場合でも、接合部における空隙の生成が低減され、WC基超硬合金表面との界面長さが増加することによって、強固な接合強度を発揮するからである。
加えて、PTLP接合に際し形成されるTi3Sn合金の融点は1670℃と非常に高いため、形成した複合部材をSnの融点(232℃)以上の温度環境で使用しても、接合部自体が溶融・軟化することはなく、高い高温接合強度を有する。
なお、WC基超硬合金に隣接して形成されている反応層と前記Ti−Sn合金層の接触界面長さの測定は、WC基超硬合金と接合部の界面近傍を、その厚さ方向に平行な断面を観察し、前記反応層の界面長さと、前記反応層に接する前記Ti−Sn合金層の界面長さを測定することによって求めることができるが、前記反応層の界面長さに対する前記Ti−Sn合金層の接触界面長さの割合は、10〜50%であることが好ましい。
これは、接触界面長さの割合が10%未満では、WC基超硬合金表面の凹部を埋める効果が十分に発揮されず、接合界面に空隙を生じ、接合強度が低下しやすく、一方、接触界面長さの割合が50%を超えるとTi−Sn合金層の脆性が顕在化し、界面剥離を生じやすくなるためである。
また、WC基超硬合金部材表面の凹部の測定方法は、まず、WC基超硬合金と反応層の界面を曲線として表し、同曲線の長さ割合が50:50となるように二分する界面におおよそ平行な基準線を引く。同基準線より界面がWC基超硬合金側であれば、その箇所のWC基超硬合金表面は凹部であるとする。また、基準線に垂直な直線を引き、同直線上に凹部およびTi−Sn合金相が共に存在する場合、WC基超硬合金部材表面の凹部上にTi−Sn合金相が形成されているとする。また、同時に前述の反応層とTi−Sn合金層の接触界面長さの割合が10〜50%であり、かつ、2,000倍の断面SEM像において、前記凹部上にTi−Sn合金相が形成されている箇所が3箇所以上ある場合、WC基超硬合金部材表面の凹部を埋めるようにTi−Sn合金相が形成されているとする。
前述のごとき構造を有する本発明の複合部材は、WC基超硬合金部材同士を、Ti箔の表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔の表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなる接合部材を介してPTLP接合することによって、反応層、Ti−Sn合金層、Ti−Co合金層を含む接合部を介して接合した複合部材であって、前記構造の接合部が形成されていることによって、高温接合強度に優れた複合部材を得ることができる。
また、上記複合部材から切削工具を構成した場合には、切刃に高負荷が作用する重切削加工に供した場合であっても、接合部からの破断を生じることはなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能が発揮される。
また、上記複合部材から切削工具を構成した場合には、切刃に高負荷が作用する重切削加工に供した場合であっても、接合部からの破断を生じることはなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能が発揮される。
本発明では、特定構造、材質の接合部材を用い、PTLP接合を施すことにより、前記本発明の複合部材を得ることができる。
本発明で使用する接合部材としては、前述したように、Sn箔(蒸着膜)−Ti箔−Sn箔(蒸着膜)の積層体からなる平均層厚1〜100μmの接合部材を用いることができ、Sn箔(蒸着膜)の厚さは、Ti箔の厚さの10%以下とすることが好ましい。
これは、Sn箔(蒸着膜)の厚さが、Ti箔の厚さの10%を超えると、Ti−Sn合金層の接触界面長さの割合が50%を超え、Ti−Sn合金層の脆性により接合強度が低下しやすいという理由による。
また、接合部材全体としての平均組成については、Ti含有量が90%未満になると、接合部自体の強度を確保し得なくなること、一方、Ti含有量が99%を超えると、Sn含有量が少なくなりすぎ、Ti−Sn合金層形成による効果が低減することから、Ti含有量を90〜99%とする。
なお、前記接合部材は、例えば、Ti箔の両面に、所定の厚さのSn箔を積層することによって作製することができ、また、Ti箔の両面に、Snを所定の厚さの蒸着膜として形成することによって作製することができ、その作製手法は、特に限定されるものではない。
本発明で使用する接合部材としては、前述したように、Sn箔(蒸着膜)−Ti箔−Sn箔(蒸着膜)の積層体からなる平均層厚1〜100μmの接合部材を用いることができ、Sn箔(蒸着膜)の厚さは、Ti箔の厚さの10%以下とすることが好ましい。
これは、Sn箔(蒸着膜)の厚さが、Ti箔の厚さの10%を超えると、Ti−Sn合金層の接触界面長さの割合が50%を超え、Ti−Sn合金層の脆性により接合強度が低下しやすいという理由による。
また、接合部材全体としての平均組成については、Ti含有量が90%未満になると、接合部自体の強度を確保し得なくなること、一方、Ti含有量が99%を超えると、Sn含有量が少なくなりすぎ、Ti−Sn合金層形成による効果が低減することから、Ti含有量を90〜99%とする。
なお、前記接合部材は、例えば、Ti箔の両面に、所定の厚さのSn箔を積層することによって作製することができ、また、Ti箔の両面に、Snを所定の厚さの蒸着膜として形成することによって作製することができ、その作製手法は、特に限定されるものではない。
本発明の複合部材は、例えば、以下の方法により、作製することができる。
前記の接合部材を、一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材との間に介在させ、例えば、1×10−1Pa以下の真空中、400〜900℃の範囲内の所定温度に5〜600分間保持し、荷重0.5〜10MPaの条件で加圧し、PTLP接合することによって、前記反応層、Ti−Sn合金層およびTi−Co層を含む接合部を有する複合部材を作製することができる。
PTLP接合においては、WC基超硬合金部材と接合部材の界面に金属W相とTiC相からなる反応層が形成され、また、前記温度範囲でSn箔(薄膜)が溶融し、WC基超硬合金部材の表面に存在する凹部を埋めるように溶融したSnが充填され、WC基超硬合金部材の表面と接合部材の濡れ性を高め、強固に密着することによって、強固な接合を形成する。
さらに、溶融SnはTi箔内部へと拡散し、Sn単体の融点(約232℃)より高融点の合金相(例えば、Ti3Sn相)を形成して凝固することから、Sn単体の融点以上の温度環境で使用しても、接合部が溶融・軟化することはなく、すぐれた高温接合強度を有する複合材料が形成される。
前記の接合部材を、一方のWC基超硬合金部材と他方のWC基超硬合金部材との間に介在させ、例えば、1×10−1Pa以下の真空中、400〜900℃の範囲内の所定温度に5〜600分間保持し、荷重0.5〜10MPaの条件で加圧し、PTLP接合することによって、前記反応層、Ti−Sn合金層およびTi−Co層を含む接合部を有する複合部材を作製することができる。
PTLP接合においては、WC基超硬合金部材と接合部材の界面に金属W相とTiC相からなる反応層が形成され、また、前記温度範囲でSn箔(薄膜)が溶融し、WC基超硬合金部材の表面に存在する凹部を埋めるように溶融したSnが充填され、WC基超硬合金部材の表面と接合部材の濡れ性を高め、強固に密着することによって、強固な接合を形成する。
さらに、溶融SnはTi箔内部へと拡散し、Sn単体の融点(約232℃)より高融点の合金相(例えば、Ti3Sn相)を形成して凝固することから、Sn単体の融点以上の温度環境で使用しても、接合部が溶融・軟化することはなく、すぐれた高温接合強度を有する複合材料が形成される。
前記のPLTP接合により作製した本発明の複合部材は、一方のWC基超硬合金部材を切刃部側とし、他方のWC基超硬合金部材を工具基体とすることにより切削工具を構成することができる。
より具体的にいえば、例えば、複合部材の一方のWC基超硬合金部材を、切刃部側であるcBN焼結体の裏打ち材とし、また、他方のWC基超硬合金部材を工具基体(台金)とすることにより、cBN切削工具を形成することができる。
より具体的にいえば、例えば、複合部材の一方のWC基超硬合金部材を、切刃部側であるcBN焼結体の裏打ち材とし、また、他方のWC基超硬合金部材を工具基体(台金)とすることにより、cBN切削工具を形成することができる。
本発明は、WC基超硬合金部材同士を、Sn箔(蒸着膜)−Ti箔−Sn箔(蒸着膜)の積層体からなる接合部材を介して、PTLP接合により接合して複合部材とし、該接合部に、反応層とTi−Sn合金層とTi−Co合金層とを形成することによって、高温接合強度にすぐれた複合部材を得ることができる。
そして、上記複合部材から構成される切削工具は、切刃に高負荷が作用する重切削加工に供した場合であっても、接合部からの破断を生じることはなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能を発揮するのである。
そして、上記複合部材から構成される切削工具は、切刃に高負荷が作用する重切削加工に供した場合であっても、接合部からの破断を生じることはなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能を発揮するのである。
つぎに、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
なお、以下に説明した実施例は、本発明の一実施態様であって、本発明の具体的な実施の形態は、これに制限されるものではない。
なお、以下に説明した実施例は、本発明の一実施態様であって、本発明の具体的な実施の形態は、これに制限されるものではない。
原料粉末として、いずれも0.5〜1μmの平均粒径を有するWC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3C2粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度1400℃、保持時間1時間の条件で焼結し、表1に示される4種のWC基超硬合金焼結体(以下、単に「超硬合金」という)A−1〜A−4を形成した。
次に、cBN焼結体の原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の平均粒径を有するcBN粉末、TiN粉末、TiCN粉末、TiB2粉末、TiC粉末、AlN粉末、Al2O3粉末を用意し、これら原料粉末を所定の配合組成で配合し、ボールミルで24時間アセトンを用いて湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で直径15mm×厚さ1mmの寸法をもった圧粉体にプレス成形した。
ついで、前記超硬合金A−1〜A−4を、直径15mm×厚さ2mmのサイズの焼結体とし、これを、cBN焼結体の焼結時の裏打ち材とし、裏打ち材上に前記cBN圧粉体を表2に示す組合せで積層し、ついでこの積層体を、超高圧発生装置を用いて、温度:1300℃、圧力:5.5GPa、時間:30分の条件で焼結し、複合焼結体B−1〜B−4を作製した。
複合焼結体B−1〜B−4のcBN焼結体の組成について、cBN焼結体断面研磨面のSEM観察結果の画像分析によりcBNの面積%を容量%として求めた。
cBN以外の成分については、主結合相およびその他の結合相を構成している成分を確認するに止めた。その結果を表2に示す。
ついで、前記超硬合金A−1〜A−4を、直径15mm×厚さ2mmのサイズの焼結体とし、これを、cBN焼結体の焼結時の裏打ち材とし、裏打ち材上に前記cBN圧粉体を表2に示す組合せで積層し、ついでこの積層体を、超高圧発生装置を用いて、温度:1300℃、圧力:5.5GPa、時間:30分の条件で焼結し、複合焼結体B−1〜B−4を作製した。
複合焼結体B−1〜B−4のcBN焼結体の組成について、cBN焼結体断面研磨面のSEM観察結果の画像分析によりcBNの面積%を容量%として求めた。
cBN以外の成分については、主結合相およびその他の結合相を構成している成分を確認するに止めた。その結果を表2に示す。
次に、本発明接合部材1〜6として、表3に示すSn箔−Ti箔−Sn箔からなる積層体C−1〜C−3、および、Sn蒸着膜−Ti箔−Sn蒸着膜からなる積層体C−4〜C−6を用意した。
また、後記する比較例のために、比較例接合部材7〜10として、同じく表3に示すSn箔−Ti箔−Sn箔からなる積層体C−7、C−8、および、Sn蒸着膜−Ti箔−Sn蒸着膜からなる積層体C−9、C−10も用意した。
また、後記する比較例のために、比較例接合部材7〜10として、同じく表3に示すSn箔−Ti箔−Sn箔からなる積層体C−7、C−8、および、Sn蒸着膜−Ti箔−Sn蒸着膜からなる積層体C−9、C−10も用意した。
次いで、超硬合金A−1〜A−4と複合焼結体B−1〜B−4の間に、表3に示す本発明の接合部材を挿入介在させ、表4に示す条件(即ち、1×10−1Pa以下の真空中、400〜900℃の範囲内の所定温度に5〜600分間保持し、0.5〜10MPaの加圧力を付加した条件)で複合焼結体と超硬合金を加圧接合し、表6に示す反応層、Ti−Sn合金層及びTi−Co合金層からなる接合部を有する本発明複合部材1〜10を作製した。
なお、複合焼結体はcBN焼結体が外面、裏打ち材が内面となるように配置、即ち、裏打ち材であるWC基超硬合金と工具基体(台金)であるWC基超硬合金が接合部材を介し接合するように配置した。
また、今回の実施例においては、裏打ち材であるWC基超硬合金と同じ組成のWC基超硬合金を工具基体(台金)であるWC基超硬合金として用いたが、異なる組成のWC基超硬合金を用い接合を行っても問題はない。
図4には、本発明複合部材1の接合部近傍の断面SEM像(倍率:5000倍)を示す。
なお、複合焼結体はcBN焼結体が外面、裏打ち材が内面となるように配置、即ち、裏打ち材であるWC基超硬合金と工具基体(台金)であるWC基超硬合金が接合部材を介し接合するように配置した。
また、今回の実施例においては、裏打ち材であるWC基超硬合金と同じ組成のWC基超硬合金を工具基体(台金)であるWC基超硬合金として用いたが、異なる組成のWC基超硬合金を用い接合を行っても問題はない。
図4には、本発明複合部材1の接合部近傍の断面SEM像(倍率:5000倍)を示す。
比較のために、表3に示される接合部材を用い、これを、超硬合金A−1〜A−4と複合焼結体B−1〜B−4の間に介在挿入し、表5に示す条件で、複合焼結体と超硬合金を加圧接合し、表7に示す接合部を有する比較例複合部材1〜10を作製した。
なお、複合焼結体の接合配置は本発明複合部材と同様とした。
なお、複合焼結体の接合配置は本発明複合部材と同様とした。
ついで、本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10について、WC基超硬合金部材に隣接する反応層、Ti−Sn合金層およびTi−Co合金層の成分組成、平均層厚等を、走査型電子顕微鏡及びオージェ電子分光装置を用いて、次のように測定・算出した。
まず、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍について、接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定めた。
ついで、界面から界面と垂直な方向±50μmにわたって、面状の元素分析を行い、接合部において、金属W相およびTiC相を含有する相を反応層とし、また、Tiを65〜85%およびSnを15〜35%含有する相をTi−Sn合金層とし、さらに、Tiを45〜75%およびCoを25〜55%含有する相をTi−Co合金層とした。特定したTi−Sn合金層およびTi−Co合金層について、10点の点組成分析を行い、10点の測定結果を平均することによりTi−Sn合金層のTi、Sn含有量ならびにTi−Co合金層のTi、Co含有量を算出した。
ついで、上記で特定した反応層について、次の方法で反応層の層厚を測定し、平均層厚を求め、さらに、反応層の界面長さを求めた。
走査型電子顕微鏡およびオージェ電子分光装置を用いて、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍を縦断面観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定め、界面から界面に垂直な方向に線分を引き、該線分間の間隔を5μmとして20本について線分析を行って反応層の厚さを測定し、また、これらの測定値の平均値を反応層の平均層厚として求めた。20本の線分から得られた層厚の各値について、平均層厚の値を100%として各層厚を百分率で表し、100%から最も離れた値を取る線分の層厚について、その百分率から100を減じ、絶対値を取ることにより、平均層厚からの最大変位率を求めた。
また、金属WおよびTiC層からなる反応層と、Ti−Co合金層、更にTi−Sn合金相の三領域が一点で隣接している三重点を特定し、隣り合う三重点間の直線距離を求めた。同直線上にTi−Sn合金相が存在する場合、同直線はTi−Sn合金相の接触界面長さとし、Ti−Sn合金相が存在しない場合には反応層とTi−Co合金相の接触界面長さとした。これら二つの接触界面長さを合計し、反応層の界面長さとし、前記Ti−Sn合金相の接触界面長さとの関係から割合を求めた。測定・算出方法の模式図を図3に示す。なお、Ti−Sn合金相が層状に形成され、三重点が存在しない場合は便宜的に接触界面長さ割合を100%とした。
また、WC基超硬合金と反応層の界面を曲線として表し、同曲線の長さ割合が50:50となるように二分する界面におおよそ平行な基準線を引き、同基準線より界面がWC基超硬合金側であれば、その箇所のWC基超硬合金表面は凹部であるとし、次いで、基準線に垂直な直線を引き、同直線上に凹部およびTi−Sn合金相が共に存在する場合、WC基超硬合金部材表面の凹部上にTi−Sn合金相が形成されているとした。2,000倍の断面SEM像において、前記凹部上にTi−Sn合金相が形成されている箇所の数を求めた。
ついで、接合部全体の縦断面に占める接合部の厚さ方向中央部に位置するTi−Co層の縦断面面積の割合を、前記の面状の元素分析結果から求めた。
同様の測定・算出を複合焼結体と接合部の境界近傍についても実施し、WC基超硬合金部材と接合部の境界近傍と同等であることを確認した。
表6、表7に、その結果を示す。
まず、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍について、接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定めた。
ついで、界面から界面と垂直な方向±50μmにわたって、面状の元素分析を行い、接合部において、金属W相およびTiC相を含有する相を反応層とし、また、Tiを65〜85%およびSnを15〜35%含有する相をTi−Sn合金層とし、さらに、Tiを45〜75%およびCoを25〜55%含有する相をTi−Co合金層とした。特定したTi−Sn合金層およびTi−Co合金層について、10点の点組成分析を行い、10点の測定結果を平均することによりTi−Sn合金層のTi、Sn含有量ならびにTi−Co合金層のTi、Co含有量を算出した。
ついで、上記で特定した反応層について、次の方法で反応層の層厚を測定し、平均層厚を求め、さらに、反応層の界面長さを求めた。
走査型電子顕微鏡およびオージェ電子分光装置を用いて、WC基超硬合金部材と接合部との境界近傍を縦断面観察し、WC基超硬合金部材側からみて、WC結晶粒が観察される臨界位置をWC基超硬合金部材と接合部との界面と定め、界面から界面に垂直な方向に線分を引き、該線分間の間隔を5μmとして20本について線分析を行って反応層の厚さを測定し、また、これらの測定値の平均値を反応層の平均層厚として求めた。20本の線分から得られた層厚の各値について、平均層厚の値を100%として各層厚を百分率で表し、100%から最も離れた値を取る線分の層厚について、その百分率から100を減じ、絶対値を取ることにより、平均層厚からの最大変位率を求めた。
また、金属WおよびTiC層からなる反応層と、Ti−Co合金層、更にTi−Sn合金相の三領域が一点で隣接している三重点を特定し、隣り合う三重点間の直線距離を求めた。同直線上にTi−Sn合金相が存在する場合、同直線はTi−Sn合金相の接触界面長さとし、Ti−Sn合金相が存在しない場合には反応層とTi−Co合金相の接触界面長さとした。これら二つの接触界面長さを合計し、反応層の界面長さとし、前記Ti−Sn合金相の接触界面長さとの関係から割合を求めた。測定・算出方法の模式図を図3に示す。なお、Ti−Sn合金相が層状に形成され、三重点が存在しない場合は便宜的に接触界面長さ割合を100%とした。
また、WC基超硬合金と反応層の界面を曲線として表し、同曲線の長さ割合が50:50となるように二分する界面におおよそ平行な基準線を引き、同基準線より界面がWC基超硬合金側であれば、その箇所のWC基超硬合金表面は凹部であるとし、次いで、基準線に垂直な直線を引き、同直線上に凹部およびTi−Sn合金相が共に存在する場合、WC基超硬合金部材表面の凹部上にTi−Sn合金相が形成されているとした。2,000倍の断面SEM像において、前記凹部上にTi−Sn合金相が形成されている箇所の数を求めた。
ついで、接合部全体の縦断面に占める接合部の厚さ方向中央部に位置するTi−Co層の縦断面面積の割合を、前記の面状の元素分析結果から求めた。
同様の測定・算出を複合焼結体と接合部の境界近傍についても実施し、WC基超硬合金部材と接合部の境界近傍と同等であることを確認した。
表6、表7に、その結果を示す。
次に、本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10から切削工具を作製し、切削加工における破断発生の有無を調査し、これによって本発明複合部材1〜10の特性を評価した。
まず、複合部材からなる切削工具は、以下のように作製した。
前記で作製した複合焼結体B−1〜B−4を、平面形状:開き角80°の一辺が4mmの二等辺三角形×厚さ:2mmの寸法に切断した。続いて、前記超硬合金A−1〜A−4を、平面形状:12.7mmの内接円で開き角80°の菱形×厚さ:4.76mmの寸法の焼結体とし、この焼結体の上下平行面の内、何れかの面の1角を、研削盤を用いて上記複合焼結体の形状に対応した大きさの切欠きを形成した。この切欠きの底面の面積は2.96mm2であり、側面の面積は4.89mm2である。次いで、超硬合金A−1〜A−4と複合焼結体B−1〜B−4の間に、表3に示される接合部材を挿入介在させ、表4に示す条件で複合焼結体とWC基超硬合金を加圧接合し、この複合部材を外周研磨加工後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNGA120408のインサート形状を有する、本発明切削工具1〜10を作製した。
なお、複合焼結体はcBN焼結体が外面、裏打ち材が内面となるよう、即ち、裏打ち材と工具基体(台金)が接合部材を介し接合するように配置した。
また、これら本発明切削工具1〜10の接合部は表6に示す本発明複合部材1〜10と実質的に同様であることを確認した。
同様に、前記で作製した複合焼結体B−1〜B−4と、前記で作製した超硬合金A−1〜A−4の間に、表3に示す接合部材を挿入介在させ、表5に示す条件で加圧接合し、比較例切削工具1〜10を作製した。
また、これら比較例切削工具1〜10の接合部は表7に示す比較例複合部材1〜10と実質的に同様であることを確認した。
まず、複合部材からなる切削工具は、以下のように作製した。
前記で作製した複合焼結体B−1〜B−4を、平面形状:開き角80°の一辺が4mmの二等辺三角形×厚さ:2mmの寸法に切断した。続いて、前記超硬合金A−1〜A−4を、平面形状:12.7mmの内接円で開き角80°の菱形×厚さ:4.76mmの寸法の焼結体とし、この焼結体の上下平行面の内、何れかの面の1角を、研削盤を用いて上記複合焼結体の形状に対応した大きさの切欠きを形成した。この切欠きの底面の面積は2.96mm2であり、側面の面積は4.89mm2である。次いで、超硬合金A−1〜A−4と複合焼結体B−1〜B−4の間に、表3に示される接合部材を挿入介在させ、表4に示す条件で複合焼結体とWC基超硬合金を加圧接合し、この複合部材を外周研磨加工後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNGA120408のインサート形状を有する、本発明切削工具1〜10を作製した。
なお、複合焼結体はcBN焼結体が外面、裏打ち材が内面となるよう、即ち、裏打ち材と工具基体(台金)が接合部材を介し接合するように配置した。
また、これら本発明切削工具1〜10の接合部は表6に示す本発明複合部材1〜10と実質的に同様であることを確認した。
同様に、前記で作製した複合焼結体B−1〜B−4と、前記で作製した超硬合金A−1〜A−4の間に、表3に示す接合部材を挿入介在させ、表5に示す条件で加圧接合し、比較例切削工具1〜10を作製した。
また、これら比較例切削工具1〜10の接合部は表7に示す比較例複合部材1〜10と実質的に同様であることを確認した。
高温せん断強度測定試験:
上記で作製した本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10について、接合部の強度を測定するためにせん断強度測定試験を行った。
試験に使用する試験片は、上記で作製した本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10から、複合焼結体:1.5mm(W)×1.5mm(L)×0.75mm(H)、WC基超硬合金基体(台金):1.5mm(W)×4.5mm(L)×1.5mm(H)のサイズとなるように切り出してせん断強度測定用試験片とした。
試験片の上下面をクランプで把持固定し、1辺が1.5mmの超硬合金からなる角柱状の押圧片を用い、雰囲気温度を600℃として、試験片の上面略中心付近に荷重を加え、試験片が破断する荷重を測定した。
表8に、測定されたせん断強度の値を示す。
上記で作製した本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10について、接合部の強度を測定するためにせん断強度測定試験を行った。
試験に使用する試験片は、上記で作製した本発明複合部材1〜10及び比較例複合部材1〜10から、複合焼結体:1.5mm(W)×1.5mm(L)×0.75mm(H)、WC基超硬合金基体(台金):1.5mm(W)×4.5mm(L)×1.5mm(H)のサイズとなるように切り出してせん断強度測定用試験片とした。
試験片の上下面をクランプで把持固定し、1辺が1.5mmの超硬合金からなる角柱状の押圧片を用い、雰囲気温度を600℃として、試験片の上面略中心付近に荷重を加え、試験片が破断する荷重を測定した。
表8に、測定されたせん断強度の値を示す。
つぎに、前記各種の切削工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明切削工具1〜10、比較例切削工具1〜10について、以下に示す浸炭焼き入れ鋼の乾式高速重切削試験を行い、刃先脱落の有無および破断部の場所を観察した。
被削材:JIS・SCM415(硬さ:58HRc)の丸棒、
切削速度:260 m/min.、
切り込み:0.4 mm、
送り:0.3 mm/rev.、
切削時間:14分、
(通常の切削速度、送りは、それぞれ、150m/min、0.2mm/rev.)、
表8に、切削試験結果を示す。
被削材:JIS・SCM415(硬さ:58HRc)の丸棒、
切削速度:260 m/min.、
切り込み:0.4 mm、
送り:0.3 mm/rev.、
切削時間:14分、
(通常の切削速度、送りは、それぞれ、150m/min、0.2mm/rev.)、
表8に、切削試験結果を示す。
表8に示されるように、本発明複合部材1〜10から構成された本発明切削工具1〜10は、刃先の脱落もなく、長期の使用に亘ってすぐれた切削性能を発揮することから、本発明複合部材の接合部は、すぐれた高温接合強度を有するといえる。
これに対して、比較例複合部材1〜10から構成される比較例切削工具1〜10は、切削中に接合部から刃先脱落が生じ、早期に工具寿命に至ることから、本発明複合部材に比して、接合部の高温接合強度が劣っていることは明らかである。
これに対して、比較例複合部材1〜10から構成される比較例切削工具1〜10は、切削中に接合部から刃先脱落が生じ、早期に工具寿命に至ることから、本発明複合部材に比して、接合部の高温接合強度が劣っていることは明らかである。
なお、本実施例においては、切削工具としてインサートを例にとって説明したが、本発明は、インサートに限られることなく、ドリル、エンドミルなど切刃部と工具本体との接合部をもつすべての切削工具、ビット等の掘削工具に適用可能であることはいうまでもない。
本発明の複合部材は、その接合部の高温接合強度が大であり、この複合部材から作製した切削工具は、各種の鋼や鋳鉄などの高速重切削加工等の高負荷切削加工に使用することができ、しかも、長期に亘って安定した切削性能を発揮するものであるから、切削加工装置の高性能化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
Claims (8)
- WC基超硬合金部材同士が接合部を介して接合されている複合部材であって、
(a)前記接合部は、それぞれのWC基超硬合金部材に隣接する反応層と、該反応層より接合部の厚さ方向中心側に形成されているTi−Co合金層と、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に形成されているTi−Sn合金層を含み、
(b)前記反応層は、0.5〜5μmの平均層厚を有し、かつ、金属W相とTiC相からなり、
(c)前記Ti−Co合金層は、45〜75原子%Ti、25〜55原子%Coの組成からなり、
(d)前記Ti−Sn合金層は、65〜85原子%Ti、15〜35原子%Snの組成からなることを特徴とする複合部材。 - 前記Ti−Sn合金層が、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間に断続的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合部材。
- 前記WC基超硬合金部材に隣接する前記反応層の厚さは、反応層の平均層厚の±50%以内であるほぼ均一な層厚を有することを特徴とする請求項1または2に記載の複合部材。
- 前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察したとき、前記Ti−Co合金層が占める面積割合は、接合部面積の1〜10面積%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記接合部の厚さ方向に平行な縦断面を観察し、前記反応層の界面長さと、前記反応層に接する前記Ti−Sn合金層の界面長さを測定したとき、前記反応層の界面長さに対する前記Ti−Sn合金層の界面長さの割合は、10〜50%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合部材。
- 前記Ti−Sn合金層は、前記反応層と前記Ti−Co合金層との間で、前記WC基超硬合金部材の表面の凹部を埋めるように断続的に存在していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合部材。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合部材の作製に用いられる接合部材であって、該接合部材は、Ti箔表面にSn箔が積層された積層体、あるいは、Ti箔表面にSn蒸着膜が形成された積層体からなり、かつ、前記積層体における前記Sn箔あるいは前記Sn蒸着膜の層厚は、前記Ti箔の厚さの10%以下であることを特徴とする接合部材。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の複合部材から構成されていることを特徴とする切削工具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017014415A JP2018122313A (ja) | 2017-01-30 | 2017-01-30 | 複合部材とこれを作製するために用いる接合部材およびこの複合部材からなる切削工具 |
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