JP2018121936A - マーカーを備えた生体吸収性ステント及びその製造方法 - Google Patents

マーカーを備えた生体吸収性ステント及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マーカーを備えた生体吸収性ステントおよびその製造方法の提供。【解決手段】(1)生体吸収性金属からなるステント骨格と、前記骨格の任意の個所に設けられた凹部内に収容された造影性を有する金属箔と、からなり、前記金属箔が収容された凹部が前記生体吸収性金属により塞がれて形成された蓋部を備えた、ステント。(2)生体吸収性金属からなるステント骨格表面の所定の個所に、(a)造影性を有する金属箔を載せ、圧子で前記金属箔を押しつけて、前記ステント骨格に凹部を形成するとともに、押し付けられた前記金属箔を前記凹部に収容するか、または、(b)圧子を押し付けて、凹部を形成するとともに、形成された凹部に前記金属箔を収容し、前記金属箔が収容された凹部を前記生体吸収性金属により塞いで蓋部を形成することからなる、ステントの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、人体内にステントを留置する過程で、例えばX線撮影装置等を含む認識手段によって体内におけるステントの位置を認識するためのマーカーを備えた生体吸収性ステント及びその製造方法に関する。
従来、患者への侵襲が低いため、狭心症や心筋梗塞などは冠動脈の狭窄部に対する経皮経管的冠状動脈形成術(PTCA)等により、大腿動脈や頚動脈の虚血性疾患などは狭窄部に対する経皮経管的血管形成術(PTA)等により、治療が行われている。これらの治療法は拡張した血管が再狭窄または閉塞するのを防止するため、金属製のステントを留置して血管の開存性を確保する治療が行われている。ステントは、一般的には1本の金属パイプから切り出されたものや、金属線からなるメッシュ状、コイル状等のものがあるが、いずれも縮径可能な管状構造を有し、縮径状態でカテーテルにより血管内に挿入され、狭窄部において血管内腔を機械的に支持するよう拡径され留置されるものである。また、X線透視下でステントの位置を良好に確認できるように、ステントの両端部にX線不透過性金属材料がマーカーとして設置されているものもある。
従来のステント骨格へのマーカーの取り付けはステント骨格に設けられた孔(ハウジング)の中にX線不透過性材料からなる小さなマーカーをはめ込んで孔の中に固定している(例えば、特許文献1および特許文献2)。しかし、上記特許文献に記載されたステントは、マーカーが配置されたハウジングのカテーテルへの干渉のため、ステントをカテーテル内に収納する際およびカテーテルから放出する際の抵抗が大きく、円滑に作業することが困難であるという問題を有している。そして、この問題は、ステントの径(外径および内径)が小さく、かつ、ステントの形状が複雑かつ精密になるほど顕著になる。かかる問題はステントの軸方向と直交する周方向に関する開口部の長さを特定の長さとすることにより解決することができる(例えば、特許文献3)。
特開2008−086464 特開2003−334256 特開2012−200510
しかし、上述の提案に基づくマーカー搭載ステントは、いずれもステント骨格(チタン・ニッケル合金等)に設けられた孔(ハウジング)の中にX線不透過性材料(タンタル等)からなる小さなマーカーを充填固定しており、ステント表面にはX線不透過性材料が露出している。
ステントを構成する金属材料として、一般的に使用されるステンレス鋼(例えば、SS316L)、コバルト系合金、ニッケル−チタン系合金などはX線不透過性であり、マーカーの設置は必ずしも必要でないが、純マグネシウムやマグネシウム合金のように生体吸収性金属はX線不透過性ではなく、X線透過性であることから血管内におけるステントの位置確認のためのマーカーの設置が必須である。X線不透過性マーカーとしては、一般的にX線不透過性の高い金や白金が使用されている。
ところで、金属はそれぞれ固有の電位を持つ。種類の異なる金属を接触させて、電解質溶液に浸漬すると、両者の電位が異なるため、卑な金属(イオン化傾向の大きい金属)と貴な金属(イオン化傾向の小さい金属)との間に電位差(ガルバニック電位)が生じ、電池(局部電池、ガルバニック電池)が形成され、電流が流れ(局部電流)、ガルバニック腐食が生じる。
このようなマーカー搭載構造を純マグネシウム、マグネシウム合金等の生体吸収性金属からなるステントにそのまま適用すると、生体吸収性金属である純マグネシウムやマグネシウム合金は、従来用いられているステント骨格を形成する金属よりもイオン化傾向の高い金属であり、また、一方、X線不透過性材料として選択される金属、特に、生体に対して為害性がない金箔、白金箔はイオン化傾向の最も低い金属であり、両者間に、イオン化傾向の大きな差異が生じているので、ガルバニック腐食が発生して、卑な方の金属(マグネシウム)が溶出する。このため、ステントを長期間生体内に留置すると、血液などの体液中でステントとして機能が要求される時期に、金属が溶出するという問題があることに本発明者らは気が付き、この問題を発明が解決すべき課題として設定した。
本発明者らは、上記問題を解決するため鋭意検討した結果、X線不透過性マーカーとして、厚みの薄い金属箔を利用することに着目し、これをステント骨格の適宜の個所に形成した孔(ハウジング)の中に収容するとともに、孔の中に収容された金属箔の上部の空洞を前記生体吸収性金属で塞ぐことにより、ガルバニック腐食の発生を避けながら、ステントの位置を確認することが可能になることを認め、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明第1の構成は、生体管腔内に留置されるステントであって、
生体管腔内で拡張可能であり、筒状に形成された、生体吸収性金属からなるステント骨格と、 前記ステント骨格の任意の個所に設けられた凹部内に収容された造影性を有する金属箔と、からなり、
前記金属箔が収容された凹部が前記生体吸収性金属により塞がれて形成された蓋部を備えた、ステントである。
本発明において、生体管腔は、例えば、血管、胆管、気管、食道、尿道などを含む。また、本発明において、造影性を有するマーカーは例えばX線造影性のマーカー、超音波造影性のマーカーが挙げられ、好ましくは、X線造影性マーカーである。
前記ステントにおいて、前記蓋部の表面が前記ステント骨格表面と一体化されるように平滑化されてなることが好ましい。
前記ステントにおいて、X線または超音波造影性の金属箔としては、金、白金、イリジウムなどの金属からなる金属箔が挙げられる。なかでも、前記金属箔が金箔であることが好ましい。
前記生体吸収性金属としては、生体管腔内で一部または全てがイオン化されるような金属が好ましく、より具体的には、生体管腔内でイオン化して分解される金属マグネシウム又はマグネシウム合金等が好ましい。
また、本発明第2の構成は、生体管腔内に留置されるステントの製造方法であって、生体管腔内で拡張可能であり、筒状に形成された、生体吸収性金属からなるステント骨格表面の所定の個所に、(a)造影性金属箔を載せ、圧子で前記金属箔を押しつけて、前記ステント骨格に凹部を形成するとともに、押し付けられた前記金属箔を前記凹部に収容するか、(b)圧子を押し付けて、凹部を形成すし、形成された凹部に金属箔を収容し、
前記金属箔が収容された凹部を前記生体吸収性金属により塞いで蓋部を形成することからなる、ステントの製造方法である。
前記のステントの製造方法において、塞がれた蓋部を研磨することにより平滑化して、前記ステント骨格の表面と一体化することが好ましい。
前記のステントの製造方法において、形成された前記凹部と金属箔又は蓋部を、接着又は溶着により固定してもよい。
前記のステントの製造方法において、筒状の前記ステント骨格の筒内に金属支持体を挿入し、前記金属支持体が挿入されたステント骨格の所定の個所に圧子により凹部を形成することが好ましい。金属支持体としては、金属管、金属棒を含む。
前記のステントの製造方法において、前記凹部が形成された以降の任意の段階で、前記金属支持体を筒内から除去することが好ましい。
前記のステントの製造方法において、前記金属支持体がタングステン棒又は超硬合金棒であることが好ましい。
本発明第1の構成に係るステントでは、造影性に乏しい生体吸収性金属からなるステント骨格内に埋め込まれたマーカー(X線不透過性または超音波反射性)により、ステントの位置を正確に把握することができる。しかも、マーカーがステント骨格内に埋め込まれ、表面に露出していないため、生体内で、生体吸収性金属と造影性マーカー(金属性マーカー)との接触がないことから、ガルバニック腐食を防ぐことができる。
本発明第2の構成に係るステントの製造方法によれば、生体吸収性金属からなるステント骨格表面の所定の箇所に、(a)金属箔を載せ、圧子により凹部を形成しつつ金属箔を圧入する、または(b)圧子により凹部を形成後、形成された凹部に金属箔を収容するので、ステント形状を維持しながら、ステントの所望の位置にマーカーを配置することができる。また、所定の個所に金属箔を圧入後、凹部内の金属箔上部を生体吸収性金属で塞いで、ガルバニック腐食を防ぐことができる。これにより、ガルバニック腐食によるマーカー材料の早期脱落のリスクを回避することが可能である。
マーカーが搭載されたステント形状の一例を示す平面図。 マーカーが搭載された部分のステント形状の一例を示す平面図。 ステント骨格にマーカー材料が圧入された凹部形状の一例を示す断面図。 圧子の一例を示す図である。 圧子でマーカー(金箔)を加圧している段階の一態様を示す写真。 ステント骨格にマーカー(金箔)を挿入した段階の一態様を示す写真。 マーカー(金箔)を挿入(図6)後、その上にキャップを形成した一態様を示す写真。 キャップ形成(図7)後にキャップ部分をスポット溶接で封入した一態様を示す写真。 スポット溶接(図8)後に溶接部分のバリ取りを行った一態様を示す写真。 マーカーが搭載された部分のステント形状の一例を示す写真。 マーカーが搭載される部分のステント形状の一例を示す写真。
本発明に係るマーカーを備えた生体吸収性ステントについて、ステント骨格形状としては特に限定されることなく、種々の形状のものが使用可能である。ここでは、図面に示した実施例を用いて説明する。図1は、本発明の実施例のマーカーを備えた生体吸収性ステントの平面図である。図2は、図1に示したステントにおけるマーカーを搭載した部分の拡大図である。図3は、マーカーが搭載される個所の態様(凹部部分の表面を塞ぐ前)を示す断面図である。
(ステントの骨格形状)
図1に示されるように、ステント1は、複数の第1セル2を周方向に連結した第1セル群3からなる第1管状ユニットと、複数の第2セル群2’を周方向に連結した第2セル群3’からなる第2管状ユニットとを、隣接する管状ユニット3,3’同士の相対するセルの一部が連結部4,4’で連結され、連結部4,4’を中心にして第1セルと第2セルとが左右対称の形状をしている。この連結部によって複数の管状ユニット3,3’が連結されて管状体が形成されている。管状ユニット3,3’は該管状ユニットの内部より半径方向に伸長可能である。
図1に例示したステント骨格1において、各管状ユニット3,3’を構成するセル2,2’の連結部4,4’は、ステント骨格1の周方向に少なくとも1個形成される必要がある。ステントの直径により周方向に配置されるセル数は異なるので、セル数に応じて連結部の数は選択されるが、通常、ステントの直径3〜9mm、セル数6〜10個の場合の連結部の数は2〜3個であることが好ましい。
セルの全部が連結部4,4‘で連結される態様(全リンク型)もあるが、隣接する環状ユニット3,3’同士の相対するセルの一部が連結部4、4’で連結され、残りのセル2,2’は連結されることなく、非連結部を形成している態様(部分リンク型)が好ましく用いられる。
この非連結部の存在により、ステント全体がより柔軟となり、分岐した血管へのデリバリー性が向上するとともに、連結部を形成する弧の部分への応力が分散されるため、連結部が隙間なく配置されたステント(全リンク型)よりも耐久性が向上する。
本発明において、連結部4,4’は、セル2,2’の円弧部5,5’同士を連結するよりも、図1および図2に示すように、応力の集中しない直線部6,6’同士を連結する方が望ましい。
(マーカーの位置)
マーカーは、ステント骨格のいずれかの箇所、例えば、セルの直線部6,6’に設けてもよく、また、図1および図2に示すように直線部6,6’のほぼ中央部付近同士を連結して形成された連結部4に挿入してもよいが、これに限定されない。好ましくは、図2に示すように、連結部4の中央に位置する部分7である。
(生体吸収性金属)
本発明において、ステント骨格を形成する生体吸収性金属としては、体内で分解・吸収される金属、例えば、純マグネシウム、マグネシウム合金などが挙げられる。純マグネシウムやマグネシウム合金は主成分のマグネシウムが軽元素であるため、X線造影性に乏しいという問題点を有しており、このため、ステントを体内に挿入する際に、体内における位置確認のために、X線造影性を有するマーカーを、純マグネシウムやマグネシウム合金層内に挿入して、X線造影性を付与する必要がある。
マグネシウム合金としては、マグネシウムを主成分(例えば、90重量%以上、好ましくは、93重量%以上、さらに好ましくは、95重量%以上含む)として、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn,Ca、Al、Li、CaおよびMn等の生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するもの、好ましくは、Zn,Zr,MnまたはCaからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するものが好ましい。
(ステント骨格形状の製造)
ステント骨格形状は、純マグネシウムまたはマグネシウム合金(例えば、マグネシウムを主成分として、亜鉛、ジルコニウム、マンガン、カルシウムを含む)などの生体吸収性金属パイプから、レーザ加工法で製造される。まず、設計されたステントの形状データを基に、CAMを用いてレーザ加工法におけるツールパスを作製するが、ステントの形状設計段階において、マーカーを搭載する箇所は、マーカーを圧入しやすいように広がった形状にするのが好ましい(図2)。ツールパスは、レーザカット後にステント形状が維持できていること、また切屑が残留しないことなどを考慮しながら設定する。次に、金属製薄膜肉チューブに対してレーザ加工を行う。レーザ切断加工によって網目形状が形成されたステント骨格を作製し、これを用いて、以下に記載する製造方法によりマーカーの搭載を行う。生体吸収性金属から形成されたステント骨格では、セルの幅は0.03〜0.18mmであることが好ましく、厚みは0.12〜0.20mmであることが好ましい。
(マーカーの挿入)
ステント骨格の適当な個所へのマーカーの挿入は、一例として、下記のようにして行うことができる。
(a)管状に形成されたステント骨格を作製するにあたり、予めマーカーを収容する部位を、図2に示すように広がり部7(例えば、広がり部の最大幅:200〜600μm;広がり部でない連結部の幅:30〜180μm)を有する形状にする。
(b)管状に形成されたステント骨格の筒内部に、金属支持体(例えば、タングステン棒)を挿入して、ステント骨格を補強して、後述の圧子による金属箔の圧入を行いやすくする。
(c)ステント骨格の任意の箇所〔好ましくは、応力のかからないセル直線部6の表面または連結部4の表面(好ましくは、連結部の中央付近)〕に広がり部7を形成して、そこに金属箔を配置して、公称径3.0mmのステント骨格の場合、圧子(例えば、超鋼合金製、圧子先端径:0.10〜0.25mm)を、圧子荷重(例えば5〜70N)で金属箔に押し込むことにより、100〜250μm径の圧痕(凹状体)を形成するとともに、前記金属箔はこの凹状体の中に圧入される。
圧子の形状の一例を図4に示す。この圧子を用いて金属箔9をステント骨格1に圧入している態様の一例を図5に示す。図5には、ステント骨格を補強するために、タングステン棒が筒状のステント骨格内に挿入されていることが示されている。圧子荷重として、使用材料の降伏応力の10倍程度の圧力を加えるのが好ましい。このようにして凹状体8内に金属箔からなるマーカー(直径:100〜250μm、厚み:0.06〜0.1mm)が挿入される(図6)。
マーカー(金属箔)の挿入は、例えば、ステント骨格を形成する150μm厚みのマグネシウム合金板に、圧子により例えば、深さ125μmの凹状体を形成し(図6)、100μm厚みの金属箔9(好ましくは、金箔)を挿入し(図6)、その上に、ステント骨格と同質の材料により凹部形状に合わせて作製した蓋部10を設置し(図7)、金属箔を封入する。
(d)金属箔9が挿入された凹状体は、図3および図6に示すように上部に空隙があり、この空隙に、前記ステント骨格形成金属(マグネシウム合金等)と実質的に同質の材料で凹部に挿入可能な形状に形成された蓋部10を圧入して、凹部を充填する(図7)。マーカーの上に形成される金属層の厚み(蓋部の厚み)は、例えば、10〜50μmである。その後、さらに電解研磨されて仕上げられる。
(e)前記蓋部の圧入は、蓋部を挿入後、スポット溶接によりマグネシウム合金層(スポット溶接部11)を形成して(図8)、金属箔を封入しても良い。
金属箔を完全に封入した後、周囲からはみ出した溶接部11のバリ取りを行って、バリ取りを行った部位12(図9)は、さらに電解研磨されて仕上げられる。
(f)圧子で押し付ける前に、ステント骨格筒内に挿入された金属支持体(タングステン棒)は、圧子で凹部を形成後、適当な段階(好ましくは、蓋部圧入後あるいはスポット溶接後またはバリ取り後)において取り除かれる。
上記の操作により、金属箔9上の上部空間の凹部にマグネシウム合金層を形成して、凹状体の上部を塞ぐことにより、マグネシウム合金(卑金属)と金属箔(金:貴金属)との異種金属間で起こるガルバニック腐食(マグネシウム合金の溶出)を防ぐことができる。金属箔9上の凹部を塞ぐマグネシウム合金層は、ステント骨格を形成するマグネシウム合金層と完全同一の組成でなくてもよい。
凹状体の形状は、円形だけでなく、長方形、楕円形、ひし形等であってもよい。
また、金属箔上の凹部に、適当な厚みの蓋部を圧入して、ステント骨格表面とほぼ同一平面を形成することができれば、スポット溶接・バリ取りを省くことも可能である。
本発明の好ましい態様では、マーカーを、応力を受けにくい直線部とか、連結部に形成することにより、マーカー挿入部の破損を防ぎながら、血管内におけるステントの位置確認、ステントの拡大状況の把握を行うことができる。
図10は、セル直線部にマーカー13が挿入された態様を示している。また、図11は、セル連結中央部にマーカーが挿入されるように、広がり部14が形成された態様を示している。
上記の方法においては、ステント骨格の所望の個所に金箔を置いて、これを圧子で押し込むことにより、ステント骨格に凹部を形成しつつ、金属箔の挿入を行ったが、この方法に限定されない。
上記の方法に代わる方法として、まず、ステント骨格の所定の個所に圧子により凹部を形成し、形成された凹部に所定の大きさの金属箔を収容し、その上にステント骨格金属を載せて、凹部を塞いでもよい。
また、形成された凹部へ金属箔又は蓋部を挿入するに際して、適当な接着剤により凹部との接着を行ってもよく、また、形成された凹部に金属箔又は蓋部を溶着により固定してもよい。
本発明により、ステント骨格を形成する金属とは異なる、X線造影性金属(金箔)を用いながら、腐食の問題を発生させることなく、ステントの位置確認、およびステントの拡張状態を把握することができる。ステント骨格に形成されるマーカーは、ステント先端、後端または中央部に、少なくとも1個挿入される必要があるが、数が多い方がステントの位置確認だけでなく、ステントの拡張状態の確認も可能になるため好ましい。ステント1個当たりのマーカーの数としては、2〜12個が好ましい。
ステント骨格におけるマーカーの位置としては、図10、図11のように、クリンプ時および拡張時の変形に影響を与えない場所への設置が好ましい。
(電解研磨)
マーカー挿入後、電解研磨を用いて表面を光沢に仕上げをして、ステント骨格のエッジ部、マーカー挿入箇所を滑らかな形状に仕上げる。電解研磨では、電解液中にステントと電極となる金属板を浸漬し、2つの金属間は直流電源を介して接続される。ステント側を陽極、金属板側を陰極として、電圧を印加することによって陽極側であるステントを溶解させて、研磨効果を得て、ステント骨格を形成する。
(生分解性ポリマー層形成)
さらに、電解研磨後のステント骨格の上に、必要に応じて生分解性ポリマーを被覆してもよい。生分解性ポリマーとしては、ポリ‐L‐乳酸(PLLA)、ポリ‐D,L‐乳酸(PDLLA)、ポリ(乳酸-グリコール酸)(PLGA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸-ε-カプロラクトン(PLCL)、ポリ(グリコール酸-ε-カプロラクトン)(PGCL)、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ(グリコール酸−トリメチレンカーボネート)、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。
(薬剤)
生分解性ポリマー層には、薬剤を含有してもよく、薬剤としては、例えば、血管内膜肥厚抑制剤(シロリムス、エベロリムス、バイオリムスA9、ゾダロリムス、パクリタキセル等)が挙げられる。
(ステントの使用)
マーカーを備えた筒状ステントは、該筒状ステントの内部にバルーンが取り付けられて、生体管腔(血管等)内に挿入され、所定の位置に到達することを、X線検査装置を用いてマーカーの位置を確認しながら、ステントが所定の位置にたどり着くように導かれる。
本発明により、X線造影性の低い生体吸収性金属からなる生体吸収性ステントに、X線撮影装置により体内における位置を認識できるマーカーを備え、かつ、ガルバニック腐食が防がれる生体吸収性ステントが得られる。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲および精神から逸脱することなく多様な修正、付加、および置換ができることが理解可能であろう。
1 ステント骨格
2、2’ セル
3、3’ セル群
4 連結部(マーカー挿入)
4’ 連結部(マーカーなし)
5,5’ 円弧部
6,6’ 直線部
7 広がり部
8 凹状体
9 金属箔
10 蓋部
11 スポット溶接部
12 バリ取り部位
13 マーカー挿入部位
14 マーカーが挿入される広がり部
C1 ステントの中心線

Claims (11)

  1. 生体管腔内に留置されるステントであって、
    生体管腔内で拡張可能であり、筒状に形成された、生体吸収性金属からなるステント骨格と、 前記ステント骨格の任意の個所に設けられた凹部内に収容された造影性を有する金属箔と、からなり、
    前記金属箔が収容された凹部が前記生体吸収性金属により塞がれて形成された蓋部を備えた、ステント。
  2. 請求項1に記載のステントにおいて、前記蓋部が前記ステント骨格表面と一体化されるように平滑化されてなる、ステント。
  3. 請求項1または2に記載のステントにおいて、前記金属箔がX線造影性の金属箔であるステント。
  4. 請求項3に記載のステントにおいて、前記金属箔が金箔又は白金箔であるステント。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のステントにおいて、前記生体吸収性金属が純マグネシウムまたはマグネシウム合金であるステント。
  6. 生体管腔内に留置されるステントの製造方法であって、
    生体管腔内で拡張可能であり、筒状に形成された、生体吸収性金属からなるステント骨格表面の所定の個所に、(a)造影性を有する金属箔を載せ、圧子で前記金属箔を押しつけて、前記ステント骨格に凹部を形成するとともに、押し付けられた前記金属箔を前記凹部に収容するか、または、(b)圧子を押し付けて、凹部を形成するとともに、形成された凹部に金属箔を収容し、
    前記金属箔が収容された凹部を前記生体吸収性金属により塞いで蓋部を形成することからなる、ステントの製造方法。
  7. 請求項6において、前記蓋部の表面を研磨することにより平滑化して、前記ステント骨格の表面と一体化する、ステントの製造方法。
  8. 請求項6または7に記載のステントの製造方法において、前記凹部と金属箔又は蓋部を接着又は溶着により固定する、ステントの製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載のステントの製造方法において、
    筒状に形成された前記ステント骨格の筒内に金属支持体を挿入し、前記金属支持体が挿入されたステント骨格表面の所定の個所に圧子により凹部を形成するステントの製造方法。
  10. 請求項9に記載のステントの製造方法において、
    前記凹部形成以降の任意の段階で、前記金属支持体を筒内から除去するステントの製造方法。
  11. 請求項9または10に記載のステントの製造方法において、
    前記金属支持体がタングステン棒又は超硬合金棒である、ステントの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115177411A (zh) * 2022-07-22 2022-10-14 启晨(上海)医疗器械有限公司 支气管活瓣

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