以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16という)とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース18(図2参照)内に配設されたトルクコンバータ20および自動変速機22と、自動変速機22の出力回転部材である変速機出力ギヤ24がリングギヤ26aに連結された差動歯車装置(ディファレンシャルギヤ)26と、差動歯車装置26に連結された一対の車軸28等とを備えている。動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、トルクコンバータ20、自動変速機22、差動歯車装置26、及び車軸28等を順次介して駆動輪14へ伝達される。また、トルクコンバータ20は、エンジン12と自動変速機22との間に設けられている。
エンジン12は、車両10の動力源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。
図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22の一例を説明する骨子図である。なお、トルクコンバータ20や自動変速機22等は、自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸30の軸心(回転中心線)RCに対して略対称的に構成されており、図2ではその軸心RCの下半分が省略されている。
図2および図3に示すように、トルクコンバータ20は、相互に溶接されたフロントカバー(フロントシェル)34およびリヤカバー(リヤシェル)35と、リヤカバー35の内側に固定された複数のポンプ羽根20fとを有し、エンジン12のクランク軸12aと動力伝達可能に連結され、軸心RC回りに回転するように配設されたポンプ翼車(入力部材)20pと、リヤカバー35に対向し、変速機入力軸30に動力伝達可能に連結されたタービン翼車(出力部材)20tとを備えている。トルクコンバータ20は、後述する制御油室(制御室)20d内にロックアップ係合圧PSLUが供給されることによってポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間を直結可能なロックアップクラッチ32を備えている。このように、トルクコンバータ20は、エンジン12と自動変速機22との間の動力伝達経路に設けられた、ロックアップクラッチ32付車両用流体式伝動装置として機能している。また、動力伝達装置16には、ポンプ翼車20pに動力伝達可能に連結された機械式のオイルポンプ33が備えられている。オイルポンプ33は、エンジン12によって回転駆動されることにより、自動変速機22を変速制御したり、ロックアップクラッチ32を係合したり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の油圧を吐出する。
ロックアップクラッチ32は、油圧式多板摩擦クラッチ(湿式多板クラッチ)であり、そのロックアップクラッチ32には、図3に示すように、ポンプ翼車20pと一体的に連結されたフロントカバー34に溶接によって固定された第1環状部材36と、第1環状部材36の外周に形成された外周スプライン歯36aに軸心RC回りに相対回転不能且つ軸心RC方向の移動可能に係合された複数枚(本実施例では3枚)の環状の第1摩擦板38と、トルクコンバータ20内に設けられたダンパ装置40を介して変速機入力軸30およびタービン翼車20tに動力伝達可能に連結された第2環状部材42と、第2環状部材42の内周に形成された内周スプライン歯42aに軸心RC回りに相対回転不能且つ軸心RC方向の移動可能に係合され且つ複数の第1摩擦板38との間に配設された複数枚(本実施例では2枚)の環状の第2摩擦板44と、フロントカバー34の内周部34aに固定され変速機入力軸30のフロントカバー34側の端部を軸心RC回りに回転可能に支持するハブ部材46に、軸心RC方向の移動可能に支持され、フロントカバー34に対向する環状の押圧部材(ロックアップクラッチピストン)48と、ハブ部材46に位置固定で支持され、押圧部材48のフロントカバー34側とは反対側に押圧部材48に対向するように配設された環状の固定部材(部材)50と、押圧部材48を軸心RC方向において固定部材50側に付勢するすなわち押圧部材48を軸心RC方向において第1摩擦板38および第2摩擦板44から離間させる方向に付勢するリターンスプリング52と、が備えられている。なお、固定部材50は、上述したようにハブ部材46に位置固定に支持されているので、図3において、軸心RC方向に移動不能な部材である。
トルクコンバータ20には、図3に示すように、フロントカバー34およびリヤカバー35内に設けられ、オイルポンプ33から出力された作動油が供給される作動油供給ポート20aおよび作動油供給ポート20aから供給された作動油を流出させる作動油流出ポート20bを有する主油室(トルクコンバータ油室)20cが形成されている。また、トルクコンバータ20の主油室20c内には、ロックアップクラッチ32と、ロックアップクラッチ32を係合させるためのすなわちロックアップクラッチ32の第1摩擦材38および第2摩擦材44を押圧する押圧部材48をフロントカバー34側へ付勢するための例えばロックアップ係合圧PSLUが供給される制御油室(制御室)20dと、ロックアップクラッチ32を解放させるためのすなわち押圧部材48をフロントカバー34側とは反対側へ付勢するための後述する例えば第2ライン油圧Psecが供給されるフロント側油室(背圧室)20eと、フロント側油室20eと連通しフロント側油室20eからの作動油で満たされてその作動油を作動油流出ポート20bから流出させるリヤ側油室20gとが設けられている。なお、上記制御油室20dは押圧部材48と固定部材50との間に形成された油密な空間であり、上記フロント側油室20eは押圧部材48とフロントカバー34との間に形成された空間であり、上記リヤ側油室20gは主油室20cにおいて制御油室20dおよびフロント側油室20eを除く空間である。
トルクコンバータ20では、図3に示すように、例えば、制御油室20dに供給される油圧すなわちロックアップオン圧PLupON(kPa)が比較的大きく(フロント側油室20eの油圧すなわちトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)が比較的小さく)なることにより押圧部材48が付勢されて一点鎖線に示すようにフロントカバー34側に移動させられると、すなわち、制御油室20dに供給されるロックアップオン圧PLupONとフロント側油室20eに供給されるトルクコンバータイン圧PTCinとの差圧に基づいて押圧部材48が付勢されて一点鎖線に示すようにフロントカバー34側に移動させられると、押圧部材48によって第1摩擦板38および第2摩擦板44を押圧して第1環状部材36に連結されたポンプ翼車20pと第2環状部材42に連結されたタービン翼車20tとが一体回転する。すなわち、トルクコンバータ20では、ロックアップクラッチ32が係合すると、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとが直結する。また、例えば、制御油室20dのロックアップオン圧PLupON(kPa)が比較的小さく(フロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)が比較的大きく)なることにより押圧部材48が実線に示すように第1摩擦板38から離間した位置に移動させられると、第1環状部材36に連結されたポンプ翼車20pと第2環状部材42に連結されたタービン翼車20tとが相対回転する。すなわち、トルクコンバータ20では、ロックアップクラッチ32が解放すると、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとが解放する。
ロックアップクラッチ32は、制御油室20d内のロックアップオン圧PLupON(kPa)と、フロント側油室20e内のトルクコンバータイン圧PTCin(kPa)および作動油流出ポート20bから出力されるトルクコンバータアウト圧PTCout(kPa)の平均値((PTCin+PTCout)/2)との差圧すなわちロックアップ差圧ΔP(=PLupON−(PTCin+PTCout)/2)に基づいて、伝達トルクが制御される。なお、上記したロックアップ差圧(係合制御圧)ΔP=PLupON−(PTCin+PTCout)/2の式は、予め実験等によって決定された実験式である。また、上記式において、トルクコンバータイン圧PTCinとトルクコンバータアウト圧PTCoutは、エンジン回転数Ne(rpm)、タービン回転数Nt(rpm)、それらの差回転(エンジン回転数−タービン回転数)ΔN(rpm)、第2ライン油圧Psec(kPa)、ATF油温Toil(℃)、エンジントルクTe(Nm)等により変化する。なお、上記トルクコンバータアウト圧PTCoutは、エンジン回転数Ne、タービン回転数Nt、ATF油温Toil等が変化してトルクコンバータ20のリヤ側油室20g内の遠心油圧が変化することによって、変化する。
ロックアップクラッチ32は、電子制御装置(油圧制御装置)56によって油圧制御回路(油圧回路)54を介してロックアップ差圧ΔPが制御されることで、例えば、ロックアップ差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ32が解放される所謂ロックアップ解放状態(ロックアップオフ)と、ロックアップ差圧ΔPが零以上とされてロックアップクラッチ32が滑りを伴って半係合される所謂ロックアップスリップ状態(スリップ状態)と、ロックアップ差圧ΔPが最大値とされてロックアップクラッチ32が完全係合される所謂ロックアップ状態(ロックアップオン)とのうちの何れかの作動状態に切り替えられる。なお、トルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ32がロックアップ状態、ロックアップスリップ状態、ロックアップ解放状態であっても、フロント側油室20eとリヤ側油室20gとが同室すなわちフロント側油室20eとリヤ側油室20gとが常時相互に連通しており、作動油供給ポート20aからリヤ側油室20gへ向かう作動油によってロックアップクラッチ32が常時冷却される。
自動変速機22は、エンジン12から駆動輪14までの動力伝達経路の一部を構成し、複数の油圧式摩擦係合装置(第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2)およびワンウェイクラッチF1が選択的に係合又は解放されることによりギヤ比(変速比)が異なる複数のギヤ段(変速段)が形成される有段式の自動変速機として機能する遊星歯車式多段変速機である。例えば、車両によく用いられる所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う有段変速機である。自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置58と、ラビニヨ型に構成されているシングルピニオン型の第2遊星歯車装置60およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置62とを同軸線上(軸心RC上)に有し、変速機入力軸30の回転を変速して変速機出力ギヤ24から出力する。
第1遊星歯車装置58は、外歯歯車である第1サンギヤSA1と、第1サンギヤSA1と同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤR1と、第1サンギヤSA1および第1リングギヤR1と噛み合う、一対の歯車対からなる第1ピニオンギヤP1と、その第1ピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1とを有している。
第2遊星歯車装置60は、外歯歯車である第2サンギヤSA2と、第2サンギヤSA2と同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤR2と、第2サンギヤSA2および第2リングギヤR2と噛み合う第2ピニオンギヤP2と、その第2ピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持する第2キャリヤCA2とを有している。
第3遊星歯車装置62は、外歯歯車である第3サンギヤSA3と、第3サンギヤSA3と同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤR3と、その第3サンギヤSA3および第3リングギヤR3と噛み合う、一対の歯車対からなる第3ピニオンギヤP3と、その第3ピニオンギヤP3を自転および公転可能に支持する第3キャリヤCA3とを有している。
これら油圧式摩擦係合装置の係合と解放とが制御されることで、図4の係合作動表に示すように、運転者のアクセル操作や車速V等に応じて前進8段、後進1段の各ギヤ段が形成される。図4の「1st」-「8th」は前進ギヤ段としての第1変速段−第8速変速段を意味し、「Rev」は後進ギヤ段としての後進変速段を意味しており、各変速段に対応する自動変速機22のギヤ比γ(=変速機入力軸回転速度Nin/変速機出力ギヤ回転速度Nout)は、第1遊星歯車装置58、第2遊星歯車装置60、及び第3遊星歯車装置62の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)によって適宜定められる。
図5に示すように、油圧制御回路54には、ロックアップコントロールバルブ64と、オイルポンプ33から発生する油圧を元圧としてリリーフ型の第1ライン圧調圧弁67により調圧された第1ライン油圧(ライン圧)PLを、ロックアップ係合圧PSLUに調圧するリニアソレノイドバルブSLUと、第1ライン油圧PLを元圧としてモジュレータ油圧PMODを一定値に調圧するモジュレータバルブ66とが備えられている。なお、上記リニアソレノイドバルブSLUは、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUを制御するロックアップクラッチ制御部として機能している。また、上記油圧制御回路54には、前記油圧式摩擦係合装置の図示しない各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6(図1参照)が備えられており、それらリニアソレノイドバルブSL1〜SL6に例えば第1ライン油圧PLが元圧として供給されている。つまり、上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、自動変速機22の前記油圧式摩擦係合装置(第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2)を選択的に係合又は解放させることにより自動変速機22の変速比を制御する変速制御部として機能している。また、上記油圧制御回路54では、第1ライン油圧PLは、リリーフ型の第1ライン圧調圧弁67によりリニアソレノイドバルブSLTの出力油圧である制御油圧Psltに基づいて調圧されるようになっている。
また、図5に示すように、ロックアップコントロールバルブ64は、ロックアップ係合圧PSLUが所定値を超えるとOFF位置からON位置へ切り換えられる型式の2位置切換弁であって、ON位置では、第1油路L1を閉路し、第2油路L2を第3油路L3へ接続し、第1油路L1を排出油路EXへ接続し、第4油路L4をクーラー68へ接続し、且つ第5油路L5を第6油路L6へ接続する。上記第1油路L1は、トルクコンバータ20の作動油流出ポート20bから出力されたトルクコンバータアウト圧PTCoutが導かれる油路である。上記第2油路L2は、リニアソレノイドバルブSLUによって調圧されたロックアップ係合圧PSLUが導かれる油路である。上記第3油路L3は、トルクコンバータ20の制御油室20dに供給されるロックアップオン圧PLupONが導かれる油路である。上記第4油路L4は、第1ライン圧調圧弁67からリリーフされた油圧を元圧として第2ライン圧調圧弁69により調圧された第2ライン油圧Psecが導かれる油路である。上記第5油路L5は、モジュレータバルブ66によって一定値に調圧されたモジュレータ油圧PMODが導かれる油路である。上記第6油路L6は、トルクコンバータ20のフロント側油室20eに供給されるトルクコンバータイン圧PTCinが導かれる油路である。
また、ロックアップコントロールバルブ64は、図5に示すように、OFF位置では、第1油路L1を第3油路L3へ接続し、第2油路L2を閉路し、第1油路L1をクーラー68へ接続し、第4油路L4を第6油路L6へ接続し、且つ第5油路L5を閉路する。ロックアップコントロールバルブ64は、スプール弁子をOFF位置側へ付勢するスプリング64aと、スプール弁子をON位置側へ付勢するためにロックアップ係合圧PSLUを受け入れる油室64bとを備えている。ロックアップコントロールバルブ64では、ロックアップ係合圧PSLUが比較的小さく設定された所定値より小さい場合には、スプリング64aの付勢力によってスプール弁子がOFF位置に保持される。また、ロックアップコントロールバルブ64では、ロックアップ係合圧PSLUが前記所定値より大きい場合には、スプリング64aの付勢力に抗してスプール弁子がON位置に保持される。なお、図5のロックアップコントロールバルブ64では、実線はスプール弁子がON位置であるときの流路を示し、破線はスプール弁子がOFF位置であるときの流路を示している。
上記のように構成された油圧制御回路54により、ロックアップコントロールバルブ64からトルクコンバータ20における制御油室20dおよびフロント側油室20eへ供給される油圧が切換えられることで、ロックアップクラッチ32の作動状態が切り替えられる。先ず、ロックアップクラッチ32がスリップ状態乃至ロックアップオンとされた場合を説明する。ロックアップコントロールバルブ64において、電子制御装置56から出力される指令信号によって前記所定値より大きくされたロックアップ係合圧PSLUが供給されると、ロックアップコントロールバルブ64がON位置に切り替えられ、ロックアップ係合圧PSLUがトルクコンバータ20の制御油室20dへ供給されると共に、ロックアップコントロールバルブ64に供給されたモジュレータ油圧PMODがトルクコンバータ20のフロント側油室20eへ供給される。すなわち、ロックアップ係合圧PSLUがロックアップオン圧PLupONとして制御油室20dに供給され、モジュレータ油圧PMODがトルクコンバータイン圧PTCinとしてフロント側油室20eに供給される。なお、ロックアップコントロールバルブ64がON位置に切り替えられると、ロックアップオン圧PLupONと、トルクコンバータイン圧PTCinと、トルクコンバータアウト圧PTCoutとの大きさの関係は、ロックアップオン圧PLupON>トルクコンバータイン圧PTCin>トルクコンバータアウト圧PTCoutとなる。これによって、トルクコンバータ20の制御油室20dのロックアップオン圧(係合圧)PLupONがリニアソレノイドバルブSLUにより調圧されることにより、ロックアップ差圧(PLupON−(PTCin+PTCout)/2)ΔPが調圧されて、ロックアップクラッチ32の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオン(完全係合)の範囲で切り替えられる。
次に、ロックアップクラッチ32がロックアップオフとされた場合を説明する。ロックアップコントロールバルブ64において、ロックアップ係合圧PSLUが前記所定値より小さい場合には、ロックアップコントロールバルブ64がスプリング64aの付勢力によりOFF位置に切り替えられ、トルクコンバータ20の作動油流出ポート20bから出力されたトルクコンバータアウト圧PTCoutがトルクコンバータ20の制御油室20dへ供給されると共に、第2ライン油圧Psecがトルクコンバータ20のフロント側油室20eへ供給される。すなわち、トルクコンバータアウト圧PTCoutがロックアップオン圧PLupONとして制御油室20dに供給され、第2ライン油圧Psecがトルクコンバータイン圧PTCinとしてフロント側油室20eに供給される。なお、ロックアップコントロールバルブ64がOFF位置に切り替えられると、上記ロックアップオン圧PLupONと、トルクコンバータイン圧PTCinと、トルクコンバータアウト圧PTCoutとの大きさの関係は、トルクコンバータイン圧PTCin>トルクコンバータアウト圧PTCout>ロックアップオン圧PLupONとなる。これによって、ロックアップクラッチ32の作動状態がロックアップオフに切り替えられる。
図1に戻り、車両10は、例えばロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUすなわちロックアップ差圧ΔPを制御するロックアップ制御と、自動変速機22の変速時の油圧式摩擦係合装置の係合圧を制御する変速制御等とを油圧制御回路54を介して実行する電子制御装置(油圧制御装置)56を備えている。図1は、電子制御装置56の入出力系統を示す図であり、電子制御装置56による制御機能の要部を説明する機能ブロックである。電子制御装置56は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各制御を実行する。
電子制御装置56には、車両10が備える各種センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、スロットル弁開度センサ70により検出されるスロットル弁開度θth(%)を表す信号、車速センサ72により検出される車速V(km/h)を表す信号、エンジン回転センサ74により検出されるエンジン12のエンジン回転数Ne(rpm)を表す信号、タービン回転センサ76により検出されるトルクコンバータ20のタービン翼車20tのタービン回転数Nt(rpm)を表す信号、アクセル操作量センサ78により検出されるアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Acc(%)を表す信号等、が電子制御装置56に入力される。また、電子制御装置56からは、自動変速機22の変速に関する油圧制御の為の変速指示圧Satと、ロックアップクラッチ32の作動状態の切替制御のためのロックアップ指示圧Sl/uと、油圧制御回路54の第1ライン圧PLを制御する為のライン圧指令値Sli等とが、それぞれ出力される。なお、上記変速指示圧Satは、油圧式摩擦係合装置の図示しない各油圧アクチュエータへ供給される各油圧を調圧するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を駆動する為の指示信号であり、油圧制御回路54のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6へ出力される。また、上記ロックアップ指示圧Sl/uは、ロックアップ係合圧PSLUを調圧するリニアソレノイドバルブSLUを駆動する為の指示信号であり、油圧制御回路54のリニアソレノイドバルブSLUへ出力される。また、上記ライン圧指令値Sliは、第1ライン圧PLを調圧するリニアソレノイドバルブSLTを駆動する為の指令信号であり、油圧制御回路54のリニアソレノイドバルブSLTへ出力される。
図1に示す電子制御装置56は、制御機能の要部として、変速制御部80と、ロックアップクラッチ制御部82と、ロックアップクラッチ制御状態判定部84と、ライン圧制御部(ライン圧制御手段)86等とを含んでいる。なお、ロックアップクラッチ制御部82には、完全ロックアップ制御部82aと、ロックアップクラッチ解放制御部82bと、フレックスロックアップ制御部82cとが備えられている。また、ライン圧制御部86には、ライン圧指令値算出部86aが備えられている。
図1に示す変速制御部80は、車速Vおよびスロットル弁開度θth(アクセル開度Acc等も同意)を変数として予め定められた関係(変速マップ、変速線図)に実際の車速Vおよびスロットル弁開度θthを適用することで変速判断を行い、例えば図4に示す係合作動表に従ってその判断した所定の前進ギヤ段が得られるように自動変速機22の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる変速指示圧Satを指示信号として油圧制御回路54へ出力する。この変速指示圧Satに従って、自動変速機22の変速が実行されるように油圧制御回路54に設けられたリニアソレノイドバルブSL1〜SL6が駆動(作動)して、その変速に関与する油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータが作動する。
ロックアップクラッチ制御部82は、ロックアップクラッチ32のロックアップ差圧(PLupON−(PTCin+PTCout)/2)ΔPすなわちロックアップ係合圧(係合制御圧)PSLUのロックアップ指示圧Sl/uを制御するロックアップクラッチ制御を実行する。ロックアップクラッチ制御部82は、車速Vおよびスロットル弁開度θthを変数として、ロックアップオフ領域、フレックスロックアップ領域、完全ロックアップ領域を有する予め定められた関係(例えばロックアップ領域線図)を用いて、実際の車速Vおよびスロットル弁開度θthで表される車両状態が、ロックアップオフ領域、フレックスロックアップ領域、完全ロックアップ領域の何れの領域であるかを判断し、その判断した領域に対応する作動状態にロックアップクラッチ32の作動状態がなるように、指示信号であるロックアップ指示圧Sl/uを制御する。このロックアップ指示圧Sl/uに従って、判断した領域に対応する作動状態にロックアップクラッチ32の作動状態がなるように油圧制御回路54に設けられたリニアソレノイドバルブSLUが駆動(作動)する。
完全ロックアップ制御部82aは、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記完全ロックアップ領域であると判断すると、ロックアップクラッチ32が完全係合するようにロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sl/uが制御される完全ロックアップ制御を実施する。
ロックアップクラッチ解放制御部82bは、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記ロックアップオフ領域であると判断すると、ロックアップクラッチ32が解放するようにロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sl/uを制御するロックアップ解放制御を実施する。
フレックスロックアップ制御部82cは、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図で前記車両状態が前記フレックスロックアップ領域であると判断すると、ロックアップクラッチ32を完全係合させずにトルクコンバータ20においてポンプ翼車20pとタービン翼車20tとを予め設定された目標差回転ΔN*(rpm)にロックアップクラッチ32の実際の実差回転(スリップ回転)ΔN(rpm)が一致するように、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUのロックアップ指示圧Sl/uを調節するフィードバック制御であるフレックスロックアップ制御を実施する。なお、上記実差回転ΔNは、ポンプ翼車20pの回転数すなわちエンジン回転数Ne(rpm)と、タービン翼車20tの回転数すなわちタービン回転数Nt(rpm)との差回転である。
ロックアップクラッチ制御状態判定部84は、ロックアップクラッチ32の制御状態すなわちロックアップクラッチ制御部82で実施中の制御、例えば完全ロックアップ制御、ロックアップ解放制御、加速フレックスロックアップ制御、減速フレックスロックアップ制御等の制御状態を、判定する。例えば、ロックアップクラッチ制御状態判定部84では、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図において前記車両状態が前記完全ロックアップ領域であると判断すると、完全ロックアップ制御が実施中であると判定する。また、ロックアップクラッチ制御状態判定部84では、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図において前記車両状態が前記ロックアップオフ領域であると判断すると、ロックアップ解放制御が実施中であると判定する。また、ロックアップクラッチ制御状態判定部84では、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図おいて前記車両状態が前記フレックスロックアップ領域であり、且つアクセルペダルが踏み込まれていると判断すると、加速フレックスロックアップ制御が実施中であると判定する。また、ロックアップクラッチ制御状態判定部84では、ロックアップクラッチ制御部82での前記ロックアップ領域線図において前記車両状態が前記フレックスロックアップ領域であり、且つアクセルペダルが踏み込まれていないと判断すると、減速フレックスロックアップ制御が実施中であると判定する。
ライン圧制御部86は、後述するライン圧指示値算出部86aで算出されるライン圧指示値Sliに基づいて第1ライン圧PLを制御する。
ライン圧指令値算出部86aは、ロックアップクラッチ制御状態判定部84でロックアップクラッチ制御部82において実施中の制御が判定されると、そのロックアップクラッチ制御状態判定部84で判定された実施中の制御に基づいてライン圧指示値Sliを算出する。
例えば、ライン圧指令値算出部86aは、ロックアップクラッチ制御状態判定部84において完全ロックアップ制御が実施中であると判定されると、ロックアップクラッチ制御状態判定部84で実施中の制御が判定された時におけるエンジン回転数Ne(rpm)および車速V(km/h)から推定されたエンジントルクTeに、第1安全率SF1を乗算した値Aに基づいて第1必要ロックアップクラッチ圧P1n(kPa)を算出し、さらに、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)を算出して、その算出されたそれら第1必要ロックアップクラッチ圧P1n(kPa)とリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)との大きい方の油圧が、第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliが算出される。なお、第1必要ロックアップクラッチ圧P1n(kPa)は、ロックアップクラッチ32の完全係合を維持するために必要且つ十分な油圧であり、例えば、上記推定されたエンジントルクTeに第1安全率SF1を乗算した値Aからマップによって算出された油圧(kPa)に、トルクコンバータ20の機械的構成の諸元であるフロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCinおよびリターンスプリング52の付勢力等(例えば本実施例では250kPa)の諸元油圧B(kPa)が加算された油圧である。また、上記第1安全率SF1は、例えば図6に示すマップによって設定されるものであり、図6のマップでは、上記推定されたエンジントルクTeが大きくなるほど第1安全率SF1が小さく設定され、上記推定されたエンジントルクTeが小さくなるほど第1安全率SF1が大きく設定されるようになっている。なお、リニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)は、例えばエンジントルクTe、自動変速機22で選択されているギヤ段等から、マップ等によって算出される油圧である。
また、ライン圧指令値算出部86aは、ロックアップクラッチ制御状態判定部84において加速フレックスロックアップ制御が実施中であると判定されると、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nに安全率(第2安全率)SFを乗算した油圧PA(kPa)を算出し、さらに、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)を算出して、その算出されたそれら油圧PA(kPa)とリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)との大きい方の油圧が、第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliが算出される。なお、第2必要ロックアップクラッチ圧P2n(kPa)は、前記加速フレックスロックアップ制御を実施するために制御油室20dで必要とされる最大圧Pfmax(kPa)であり、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nには、トルクコンバータ20の機械的構成の諸元であるフロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCinおよびリターンスプリング52の付勢力等(例えば本実施例では250kPa)の諸元油圧B(kPa)が加算されている。すなわち、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nに安全率SFを乗算した油圧PA(P2n×SF)(kPa)は、例えばエンジントルクTe、予め設定された目標差回転ΔN*等からマップ等によって算出されたロックアップクラッチ油圧Plu(kPa)に第2安全率SF2を乗算した油圧(Plu×SF2)に、諸元油圧Bに第3安全率SF3を乗算した油圧(B×SF3)を加算(Plu×SF2+B×SF3)することによって算出される。なお、上記第2安全率SF2および上記第3安全率SF3は、例えば予め実験的に設定された値である。
また、ライン圧指令値算出部86aは、ロックアップクラッチ制御状態判定部84においてロックアップ解放制御が実施中であると判定すなわちロックアップクラッチ32が解放されていると判定されると、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)が第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliを算出する。なお、ライン圧指令値算出部86aでは、ロックアップクラッチ制御状態判定部84で減速フレックスロックアップ制御が実施中であると判定されると、例えば、前回ライン圧指示値算出部86aで算出されたライン圧指示値Sliが算出されるようになっている。
図7は、電子制御装置56において、ロックアップ制御の実施中にライン圧を制御するライン圧制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。
先ず、ロックアップクラッチ制御状態判定部84の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、完全ロックアップ制御が実施中であるか否かが判定される。S1の判定が否定される場合には、ロックアップクラッチ制御状態判定部84の機能に対応するS2が実行されるが、S1の判定が肯定される場合すなわち完全ロックアップ制御が実施中である場合には、ライン圧指令値算出部86aの機能に対応するS3が実行される。S2では、加速フレックスロックアップ制御が実施中であるか否かが判定される。S2の判定が否定される場合には、ロックアップクラッチ制御状態判定部84の機能に対応するS4が実行されるが、S2の判定が肯定される場合すなわち加速フレックスロックアップ制御が実施中である場合には、ライン圧指令値算出部86aの機能に対応するS5が実行される。S4では、ロックアップ解放制御が実施中であるか否かすなわちロックアップクラッチ32が解放されているか否かが判定される。S4の判定が否定される場合には、本ルーチンが終了させられるが、S4の判定が肯定される場合すなわちロックアップクラッチ32が解放されている場合には、ライン圧指令値算出部86aの機能に対応するS6が実行される。
次に、S3では、エンジントルクTeに第1安全率SF1を乗算した値Aに基づいて算出された第1必要ロックアップクラッチ圧P1n(kPa)と、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)との大きい方の油圧が、第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliが算出される。次に、ライン圧制御部86の機能に対応するS7では、S3で算出されたライン圧指令値Sliに基づいて第1ライン圧PLが出力される。
次に、S5では、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nに安全率SFを乗算した油圧PAと、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)との大きい方の油圧が、第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliが算出される。次に、ライン圧制御部86の機能に対応するS8では、S5で算出されたライン圧指令値Sliに基づいて第1ライン圧PLが出力される。
次に、S6では、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要される最大圧Phmax(kPa)が、第1ライン圧PL(kPa)として出力されるようにライン圧指示値Sliが算出される。次に、ライン圧制御部86の機能に対応するS9では、S6で算出されたライン圧指示値Sliに基づいて第1ライン圧PLが出力される。
上述のように、本実施例の車両10の電子制御装置56によれば、自動変速機22の油圧式摩擦係合装置を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6およびロックアップクラッチ32を制御するリニアソレノイドバルブSLUにそれぞれの元圧として供給する第1ライン圧PLを、ライン圧指令値Sliに基づいて制御するライン圧制御部86を備え、ライン圧制御部86は、ロックアップクラッチ32が完全係合するようにそのロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUを制御する完全ロックアップ制御を実施中の場合には、エンジントルクTeに第1安全率SF1を乗算した値Aに基づく第1必要ロックアップクラッチ圧P1nをライン圧指令値Sliとし、ロックアップクラッチ32が予め定められた目標差回転ΔN*でスリップするようにロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUを制御する加速フレックスロックアップ制御を実施中の場合には、前記加速フレックスロックアップ制御で必要とされる油圧である第2必要ロックアップクラッチ圧P2nに安全率SFを乗算した値をライン圧指令値Sliとする。このため、ロックアップクラッチ32のロックアップ係合圧PSLUを制御するロックアップ制御の実施中において、前記完全ロックアップ制御が実施中の場合には、エンジントルクTeに第1安全率SF1を乗算した値に基づく第1必要ロックアップクラッチ圧P1nに基づいて第1ライン圧PLが制御され、前記加速フレックスロックアップ制御が実施中の場合には、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nに安全率SFを乗算した値に基づいて第1ライン圧PLが制御されるので、前記ロックアップ制御の実施中において前記完全ロックアップ制御と前記加速フレックスロックアップ制御とに応じて適切な第1ライン圧PLを設定することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置56によれば、ロックアップクラッチ32が解放されている場合には、自動変速機22で実施されている変速制御を実行するためにリニアソレノイドバルブSL1〜SL6で必要とされる最大圧Phmaxに基づく値をライン圧指令値Sliとする。このため、ロックアップクラッチ32が解放されている場合に、適切な第1ライン圧PLを設定することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置56によれば、トルクコンバータ20は、押圧部材48と、押圧部材48とフロントカバー34との間に形成されたフロント側油室20eと、押圧部材48と軸心RC方向に移動不能な固定部材50との間に形成された制御油室20dとを備え、押圧部材48はフロント側油室20eと制御油室20dとの差圧に基づいて付勢されるものであり、第1必要ロックアップクラッチ圧P1nは、ロックアップクラッチ32の完全係合を維持するために必要且つ十分な油圧であり、フロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCinおよび押圧部材48を解放側位置へ付勢するリターンスプリング52の付勢力が加算されている。このため、押圧部材48とフロント側油室20eと制御油室20dとを備えるトルクコンバータ20において、前記完全ロックアップ制御が実施中の第1ライン圧PLを適切に設定することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置56によれば、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nは、前記加速フレックスロックアップ制御を実施するために制御油室20dで必要とされる最大圧Pfmaxであり、第2必要ロックアップクラッチ圧P2nには、フロント側油室20eのトルクコンバータイン圧PTCinおよび押圧部材48を解放側位置へ付勢するリターンスプリング52の付勢力が加算されている。このため、押圧部材48とフロント側油室20eと制御油室20dとを備えるトルクコンバータ20において、前記加速フレックスロックアップ制御が実施中の第1ライン圧PLを適切に設定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例のトルクコンバータ20は、作動油供給ポート20aと、作動油流出ポート20bと、制御油室20dにロックアップ係合圧PSLUを供給するポートとを有し、押圧部材48がフロント側油室20eと制御油室20dとの差圧に基づいて付勢される3ポート構造であったが、それ以外のトルクコンバータ20例えば、上記押圧部材48がフロント側油室20eと制御油室20dとの差圧に基づいて付勢されない2ポート構造のトルクコンバータでも本発明を適用させることができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。