以下、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。なお、複数の図面において対応する要素には同一の符号を付す。
上述のように、近年、無線LANアクセスポイントは様々なところで利用されている。ユーザは、例えば、無線通信装置を自宅や外出先で無線LANアクセスポイントに接続することで、ネットワークと通信することができる。なお、以下では、無線LANアクセスポイントをアクセスポイントと呼ぶことがある。
無線通信装置には、例えば、アクセスポイントとの接続の可否を判定するための電波強度の接続閾値と、確立した接続を切断するか否かを判定するための切断閾値とが設定されている。この接続閾値と切断閾値は、例えば、無線通信装置とアクセスポンイトとの間の通信に安定した通信が求められる場合には、アクセスポイントと接続し難い値に設定することができる。具体的には、例えば、接続閾値を高くして接続し難く、また、切断閾値も高くすることで切断し易くする。一方、例えば、アクセスポイントにできるだけ接続して通信したいと望まれる場合には、接続閾値と切断閾値は、無線LANアクセスポイントと接続し易い値に設定することができる。具体的には、例えば、接続閾値を低くして接続し易く、また、切断閾値も低くすることで切断し難くする。しかしながら、通信の接続閾値と切断閾値を、例えば、接続し易い閾値に設定しても、接続し難い閾値に設定しても、無線通信装置の通信の利便性が低下することがある。
図1は、無線通信装置100の通信の利便性が低下する状況を例示する図である。図1(a)は、接続閾値と切断閾値とに接続し易い値を設定した場合に、無線通信装置100の通信の利便性が低下する状況を例示する図である。例えば、電車で駅を通過する際、無線通信装置100の接続閾値と切断閾値とが接続し易い値に設定されていると、電波が弱く回線品質が悪くても駅に設置されたアクセスポイント101を検出して通信をセルラー回線から無線LANに切り替えてしまうことがある。この時、無線通信装置100のユーザがウェブページにアクセスしていると、ウェブページの表示に時間がかかったり、アクセスポイント101の認証ページにリダイレクトされるなどしてホームページを表示できなくなったりしてしまうことがある。この場合に、例えば、無線通信装置100の接続閾値と切断閾値とを接続し難い値を設定すると、回線品質の悪いアクセスポイント101に接続してしまうことを抑えることができる。
しかしながら、アクセスポイント101との通信の接続閾値と切断閾値とを接続し難い値に設定した場合にも、無線通信装置100の通信の利便性が低下することがある。図1(b)は、接続閾値と切断閾値とに接続し難い値を設定した場合に、無線通信装置の通信の利便性が低下する状況を例示する図である。例えば、ユーザが自宅やカフェなど特定の位置に滞在し続け、アクセスポイント101を利用し続けることが可能な場合など、少々の繋がり難くてもアクセスポイント101に接続し続けた方が望ましい状況がある。例えば、図1(b)では、ユーザは自宅でアクセスポイント101に接続して、インターネットにアクセスしようとしている。しかしながら、この場合に、接続閾値と切断閾値とに接続し難い値を設定していると、離れた部屋では回線品質の低下により通信を切断してしまい、セルラー回線で通信してしまうことがある。その結果、例えば、ユーザが無線LANで通信するためにアクセスポイント101の近くの部屋で無線通信装置100を利用しなければならなくなることがある。或いは、ユーザがセルラー回線での通信を抑えたいにも関わらず、無線通信装置100がセルラー回線で通信してしまうことがある。この場合に、例えば、接続閾値と切断閾値とに接続し易い値を設定すると、回線品質が悪い場合でもアクセスポイント101に接続し続けることができる。その結果、例えば、離れた部屋でも通信できたり、又は、無線LANに優先して接続してセルラー回線でのパケットの通信量を節約したりすることができる。
この様に、例えば、アクセスポイント101との通信の接続閾値と切断閾値とを接続し易い値を設定しても、接続し難い値に設定しても、無線通信装置100の通信の利便性が低下してしまうことがある。そこで、以下で述べる実施形態では、アクセスポイント101との接続閾値と切断閾値を、アクセスポイント101との過去の通信実績に基づいて変更する。例えば、無線通信装置100は、アクセスポイント101と接続した際に、接続回数や通信量を記録することで、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101を学習する。そして、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101に対しては接続し易い閾値を設定する。一方、それ以外のアクセスポイント101には接続し難い閾値を設定する。それにより、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101に無線通信装置100は優先して接続することができ、また、普段利用していないアクセスポイント101への接続を抑制することができる。従って、無線通信装置の通信の利便性を向上させることができる。以下、実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図2は、実施形態に係る無線通信装置100の機能ブロック構成を例示する図である。無線通信装置100は、例えば、制御部201、記憶部202、アクセスポイント(AP)通信部203、セルラー通信部204、及びセンサ205を含んでいる。制御部201は、例えば変更部211、及び更新部212などとして動作してよい。無線通信装置100の記憶部202は、例えば、後述する判定情報300及び通信実績情報500などの情報を記憶している。AP通信部203は、制御部201の指示に従って、アクセスポイント101に接続し通信する。また、セルラー通信部204は、制御部201の指示に従って、セルラー回線に接続し通信する。センサ205は、例えば、加速度センサやGPS(global positioning system)センサなどの無線通信装置100の移動を検出できるセンサであってよい。これらの各部の詳細及び記憶部202に記憶されている情報の詳細については後述する。
図3は、実施形態に係る判定情報300を例示する図である。判定情報300は、例えば、接続回数閾値と、通信量閾値と、電波強度閾値とを含む。接続回数閾値は、例えば、アクセスポイント101との接続回数に対して設定された閾値である。例えば、無線通信装置100の制御部201は、アクセスポイント101との接続回数が接続回数閾値を超えたか否かに基づいて、アクセスポイント101との接続の可否を判定するための電波強度の閾値を設定してよい。なお、接続回数閾値は、例えば、アクセスポイント101との接続回数が接続回数閾値を超えた場合、そのアクセスポイント101をユーザがよく利用していると判定できる所定回数に設定されてよい。
通信量閾値は、例えば、アクセスポイント101との間の通信量に対して設定された閾値である。通信量は、例えば、パケット数であってよい。例えば、無線通信装置100の制御部201は、アクセスポイント101との接続の可否を判定するための電波強度の閾値を設定してよい。なお、通信量閾値は、例えば、アクセスポイント101とのデータの通信量が通信量閾値を超えた場合、そのアクセスポイント101をユーザがよく利用していると判定できる所定量に設定されてよい。
また、電波強度閾値は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)閾値であってよく、接続し易い閾値としての第1の設定と、第1の設定よりも接続し難い閾値である第2の設定とを含む。第1の設定と第2の設定にはそれぞれ、例えば、アクセスポイント101への接続の可否を判定するための電波強度の閾値である接続閾値と、アクセスポイントとの接続を切断するときの電波強度の閾値である切断閾値とが登録されている。
図3では、第1の設定に対する第1の接続閾値と第1の切断閾値に、接続し易い閾値として、−100dbmが設定された例が示されている。なお、第1の接続閾値と第1の切断閾値とは、異なる値に設定されてもよい。また、第2の設定には、接続し難い閾値として、例えば、第1の接続閾値よりも高い値の第2の接続閾値と、第1の切断閾値よりも高い値の第2の切断閾値とが登録されていてよい。例えば、図3では、第2の接続閾値と第2の切断閾値に、−90dbmが設定された例が示されている。なお、第2の接続閾値と第2の切断閾値とは、異なる値に設定されてもよい。
そして、例えば、アクセスポイント101からの電波強度が、接続閾値を上回った場合、制御部201は、そのアクセスポイント101を接続可能なアクセスポイント101と判定してよい。また、例えば、アクセスポイント101との通信中に、アクセスポイント101からの電波強度が切断閾値を下回った場合、制御部201は、アクセスポイント101との通信を切断してよい。そして、第1の設定の第1の接続閾値は、第2の設定の第2の接続閾値よりも低い値であるため、制御部201は、第1の設定では、電波強度が第2の接続閾値よりも低い値でも無線通信装置100を接続可能なアクセスポイント101と判定する。また同様に、第1の設定の第1の切断閾値は、第2の設定の第2の切断閾値よりも低い値であるため、制御部201は、第1の設定では、第2の切断閾値よりも低い値となっても切断せずに接続し続ける。
なお、図4は、RSSIの値を例示する図である。例えば、アクセスポイント101から受信した電波のRSSIの値が、−80dbm以上であれば場合、アクセスポイント101からの電波強度が強く、良好に通信可能である。また、−80dbmから−90dbmまでの範囲でもパケットロスなどは生じにくく、通信に支障は生じにくい。一方、例えば、アクセスポイント101から受信した電波のRSSIの値が、−90dbmから−100dbmの範囲である場合、アクセスポイント101からの電波強度が弱く、パケットロスなどが発生する頻度が増加するが、通信は可能である。そのため、電波強度の閾値がRSSI閾値である場合、第1の接続閾値及び第1の切断閾値は、例えば、−90dbmから−100dbmの範囲の値に設定されてよい。また、第2の接続閾値及び第2の切断閾値は、例えば、−80dbmから−90dbmの範囲の値に設定されてよい。
図5は、実施形態に係る通信実績情報500を例示する図である。通信実績情報500には、例えば、過去に接続したことのあるアクセスポイント101との間の過去の通信の実績についての情報を含むエントリが登録されている。エントリは、例えば、識別情報、接続回数、通信量を含む。識別情報は、例えば、エントリと対応するアクセスポイント101を識別するための情報である。識別情報は、例えば、エントリと対応するアクセスポイント101のMAC(Media Access Control address)アドレスであってよい。接続回数は、例えば、エントリの識別情報で識別されるアクセスポイント101に過去に接続した回数である。通信量は、例えば、エントリの識別情報で識別されるアクセスポイント101との通信で伝送したデータの通信量を表す情報であってよい。例えば、通信量は、エントリの識別情報で識別されるアクセスポイント101との間で伝送した累計のパケット数であってよい。
続いて、実施形態に係るアクセスポイント101への接続処理を説明する。図6A〜図6Cは、実施形態に係るアクセスポイント101への接続処理の動作フローを例示する図である。制御部201は、例えば、無線通信装置100が起動すると図6A〜図6Cのアクセスポイント101への接続処理を開始してよい。
ステップ601(以降、ステップを“S”と記載し、例えば、S601と表記する)において制御部201は、記憶部202に記憶されている無線通信設定を参照し、無線通信設定がユーザによりON(オン)に設定されているか否かを判定する。無線通信設定は、例えば、ユーザが無線通信の利用を許可するか否かが設定される情報であってよく、OFF(オフ)に設定されている場合(S601がNO)、制御部201はS601の処理を繰り返す。一方、無線通信設定がONに設定されている場合(S601がYES)、フローはS602に進む。
S602において制御部201は、受信可能な電波を拾い、近隣に存在するアクセスポイント101をサーチする。S603において制御部201がアクセスポイント101を検出しない場合(S603がNO)、フローはS601に戻る。一方、S603において制御部201がアクセスポイント101を検出した場合(S603がYES)、フローはS604に進む。
S604において制御部201は、検出したアクセスポイント101に番号を割り当てる。なお、ここでは、N個のアクセスポイント101が検出されたものとする。S605において制御部201は、N番目のアクセスポイント101を接続の可否を判定する判定対象のアクセスポイント101として、そのアクセスポイント101から識別情報(例えば、MACアドレス)を取得する。S606において制御部201は、閾値設定処理を実行する。
図7は、閾値設定処理を例示する図である。制御部201は、例えば、図6AのS606に進むと、図7の閾値設定処理を開始してよい。
S701において制御部201は、S605で取得したアクセスポイント識別情報と対応するエントリの接続回数を通信実績情報500から取得する。S702において制御部201は、取得した接続回数が判定情報300の接続回数閾値よりも大きいか否かを判定する。接続回数が接続回数閾値よりも大きい場合(S702がYES)、フローはS703に進む。なお、接続回数が接続回数閾値よりも大きい場合は、判定対象のアクセスポイント101との間の通信に関する学習が十分に成されていることを表している。
S703において制御部201は、S605で取得した識別情報と対応するエントリの通信量を通信実績情報500から取得する。S704において制御部201は、取得した通信量が判定情報300の通信量閾値よりも多いか否かを判定する。取得した通信量が通信量閾値以下である場合(S704がNO)、判定対象のアクセスポイント101との間でデータがそれほど伝送されていないことを表しており、この場合、フローはS706に進む。
S706において制御部201は、判定対象のアクセスポイント101に対する電波強度の接続閾値と切断閾値を第2の設定(接続し難い設定)の第2の接続閾値と第2の切断閾値にそれぞれ設定し、本動作フローは終了し、フローは図6BのS607に進む。即ち、制御部201は、接続回数閾値を超える回数で接続したことのあるアクセスポイント101であれば、十分に通信実績の学習が済んでおり、また、その通信量が通信量閾値以下であれば、あまり通信をしていないアクセスポイント101であると判定できる。そのため、制御部201は、電波強度の閾値を第2の設定に設定し、通信が安定しない状況では、接続しないように制御することができる。
一方、S702で接続回数が接続回数閾値以下である場合(S702がNO)、フローはS705に進む。接続回数が接続回数閾値以下である場合、例えば、判定対象のアクセスポイント101に、まだあまり接続したことがなく、判定対象のアクセスポイント101との間での通信実績の学習が十分ではないことを表している。この場合、S705において制御部201は、電波強度の閾値を第1の設定(接続し易い設定)に設定し、本動作フローは終了し、フローは図6BのS607に進む。
なお、図7の動作フローでは、接続回数が接続回数閾値以下である場合に用いる電波強度の閾値として第1の設定(接続し易い設定)を用いている。それにより、例えば、ユーザが自宅などに設置されたアクセスポイント101に優先して接続したいと望んでいる場合に、アクセスポイント101からの電波強度が低かったとしても、そのアクセスポイント101に優先して接続し続けることができる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、接続回数が接続回数閾値以下である場合に、フローをS706に進めて、電波強度の閾値を第2の設定(接続し難い設定)に設定してもよい。それにより、例えば、駅などを通過する際に、駅に設置されたアクセスポイント101からの回線品質の悪い電波を検出して接続してしまうことを抑制でき、ユーザはセルラー回線で快適に通信を継続することができる。
また、S704において、取得した通信量が通信量閾値よりも多い場合(S704がYES)、判定対象のアクセスポイント101との間での通信実績の学習が十分実施されており、また、データが通信量閾値よりも多く伝送されていることを表している。この場合、判定対象のアクセスポイント101は、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101であると考えられ、フローはS705に進み、制御部201は、電波強度の閾値を第1の設定(接続し易い設定)に設定する。制御部201が電波強度の閾値を設定すると、本動作フローは終了し、フローは図6BのS607に進む。
続いて、図6BのS607において制御部201は、判定対象のアクセスポイント101からの電波強度が、図7の動作フローで設定した接続閾値以上か否かを判定する。判定対象のアクセスポイント101からの電波強度が接続閾値以上である場合(S607がYES)、フローはS608に進み、制御部201は、判定対象のアクセスポイント101に対する電波強度フラグをOKに設定する。一方、判定対象のアクセスポイント101からの電波強度が接続閾値未満である場合(S607がNO)、フローはS609に進み、制御部201は、判定対象のアクセスポイント101に対する電波強度フラグをNGに設定する。なお、電波強度フラグは、例えば、接続可能な電波強度を示すアクセスポイント101か否かを示す情報であり、接続可能な電波強度を示すアクセスポイント101にはOKが、それ以外のアクセスポイント101にはNGが設定されてよい。
S610において制御部201は、Nの値を1減算する。S611において制御部201は、N=0か否かを判定する。N=0でない場合(S611がNO)、検出された全てのアクセスポイント101に対して処理を実行し終わっていないため、フローはS605に戻り、S610で減算された次のNの値と対応するアクセスポイント101に対して処理を実行する。一方、N=0の場合(S611がYES)、検出された全てのアクセスポイント101に対して処理を実行し終わっているため、フローはS612に進む。
S612において制御部201は、S608で電波強度フラグにOKを設定したアクセスポイント101の識別情報を登録したリストを生成する。
S613において制御部201は、通信実績情報500に登録されている過去に接続したことのあるアクセスポイント101が、リストに含まれているか否かを判定する。過去に接続したことのあるアクセスポイント101がリストに含まれている場合(S613がYES)、フローはS614に進み、制御部201は、接続したことのあるアクセスポイント101を選択する。一方、過去に接続したことのあるアクセスポイント101がリストに含まれていない場合(S613がNO)、フローはS615に進む。S615において制御部201は、例えば、リストを無線通信装置100が備える表示装置の表示画面に表示し、ユーザからのアクセスポイント101の指定を受け付ける。そして、制御部201は、ユーザに指定されたアクセスポイント101を選択する。
図6CのS616において制御部201は、選択されたアクセスポイント101に接続する。S617において制御部201は、学習データ蓄積開始処理を実行する。
図8は、実施形態に係る学習データ蓄積開始処理の動作フローを例示する図である。制御部201は、例えば、図6CのS617に進むと、図8の学習データ蓄積開始処理を開始してよい。
S801において制御部201は、接続したアクセスポイント101と対応する接続回数を通信実績情報500から取得し、取得した接続回数に1加算する。S802において制御部201は、接続したアクセスポイント101との間で通信される通信量(例えば、パケット数)の蓄積を開始し、本動作フローは終了し、フローは図6CのS618に進む。
S618において制御部201は、ユーザにより無線通信設定がOFFに設定されたか否かを判定する。無線通信設定がOFFに設定されている場合(S618がYES)、フローはS619に進む。S619において制御部201は、学習データ蓄積終了処理を実行する。
図9は、学習データ蓄積終了処理の動作フローを例示する図である。制御部201は、例えば、図6CのS619、又は後述するS621に進むと、図9の学習データ蓄積終了処理を開始してよい。
S901において制御部201は、接続したアクセスポイント101の識別情報を含む通信実績情報500のエントリの接続回数を、S801で取得した接続回数に更新する。S902において制御部201は、S802で蓄積を開始してからS902の処理を実行するまでの間に通信された通信量を用いて、接続したアクセスポイント101の識別情報を含む通信実績情報500のエントリの通信量を更新する。なお、通信実績情報500のエントリの通信量は、例えば、接続したアクセスポイント101との間で過去に通信された累計のパケット数であってよい。S902において通信量を更新すると、本動作フローは終了し、フローは図6AのS601に戻る。
また、図6CのS618において無線通信設定がONのままである場合(S618がNO)、フローはS620に進む。S620において制御部201は、接続したアクセスポイント101からの電波の電波強度が図7の動作フローで設定された切断閾値未満か否かを判定する。接続したアクセスポイント101からの電波の電波強度が切断閾値未満で無い場合(S620がNO)、フローはS618に戻り、制御部201はアクセスポイント101との接続を継続する。一方、接続したアクセスポイント101からの電波の電波強度が切断閾値未満である場合(S620がYES)、フローはS621に進む。
S621において制御部201は、上述の図9の学習データ蓄積終了処理を実行し、接続したアクセスポイント101と対応する通信実績情報500のエントリを更新して、フローはS602に戻る。
以上で述べた様に、実施形態によれば制御部201は、アクセスポイント101と過去に接続した接続回数が接続回数閾値よりも大きい場合、そのアクセスポイントとの間で過去に通信したデータの通信量が通信量閾値よりも多いか否かを判定する。そして、制御部201は、アクセスポイント101との間で過去に通信したデータの通信量が通信量閾値よりも多い場合、アクセスポイント101との接続の可否を判定するための電波強度の接続閾値を接続し易い第1の接続閾値に設定する。一方、制御部201は、アクセスポイント101との間で過去に通信したデータの通信量が所定量以下である場合、電波強度の接続閾値を第1の設定よりも大きい第2の閾値に設定する。そのため、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101には、多少回線品質が悪かったとしても接続して、セルラー回線で伝送するデータを抑えることが可能になる。一方で、普段あまり利用していないアクセスポイント101との通信は、回線品質が良い状況でしか接続しないように制御することができる。それにより、電車で駅を通過する際などに、駅に設置されたアクセスポイント101からの回線品質の悪い電波を検出して接続してしまうことを抑制できる。従って、無線通信装置100の通信の利便性を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、アクセスポイント101との接続を切断するか否かを判定するための切断閾値も、同様に、そのアクセスポイント101との通信実績に応じて接続し易い設定である第1の切断閾値か、接続し難い設定である第2の切断閾値に変更する。そのため、ユーザが普段利用しているアクセスポイント101との通信は切断し難く、また、あまり利用していないアクセスポイント101との通信は切断し易くすることができる。従って、無線通信装置100の通信の利便性を向上させることができる。
また、上述の実施形態では制御部201は、アクセスポイント101との間で実施した通信の情報に基づいて、通信実績情報を更新する。例えば、制御部201は、アクセスポイント101と通信を実施すると、通信したアクセスポイント101と対応する通信実績情報500のエントリの接続回数と通信量を更新する。そのため、制御部201は、アクセスポイント101とのこれまでの通信実績に基づいてアクセスポイント101に対する電波強度閾値を設定することができる。
なお、上述の図7のS701〜S706までの処理において、制御部201は、例えば、変更部211として動作する。また、上述の図6CのS617〜S621までの処理において制御部201は、例えば、更新部212として動作する。
<第2の実施形態>
なお、第1の実施形態では閾値設定処理において、接続回数と、通信量とを用いて接続閾値及び切断閾値を設定する場合が例示される。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、別の実施形態では、接続回数、又は通信量の一方を用いて接続閾値及び切断閾値が設定されてもよい。第2の実施形態では、接続回数を用いて接続閾値及び切断閾値を設定する場合を例示する。
図10は、図7の閾値設定処理の代わりに実行される第2の実施形態に係る閾値設定処理の動作フローを例示する図である。なお、図7の閾値設定処理以外の処理については、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に実行されてよい。例えば、制御部201は、図6AのS606に進むと、図10の第2の実施形態に係る閾値設定処理の動作フローを開始してよい。
また、S1001、S1003、及びS1004の処理は、例えば、S701、S705及びS706とそれぞれ対応していてよい。例えば、制御部201は、S1001、S1003、及びS1004の処理において、S701、S705及びS706とそれぞれ同様の処理を実行してよい。
S1001において制御部201が、S605で取得した識別情報と対応するエントリの接続回数を通信実績情報500から取得すると、フローはS1002に進む。S1002において制御部201は、接続回数が判定情報300の接続回数閾値よりも大きいか否かを判定する。接続回数が接続回数閾値以下である場合(S1002がNO)、フローはS1004に進み、制御部201は、電波強度の接続閾値と切断閾値とを第2の設定(接続し難い)に設定し、本動作フローは終了し、フローは図6BのS607に進む。一方、接続回数が接続回数閾値よりも大きい場合(S1002がYES)、フローはS1003に進み、制御部201は、電波強度の接続閾値と切断閾値とを第1の設定(接続し易い)に設定し、本動作フローは終了し、フローは図6BのS607に進む。
例えば、以上で述べた様に、制御部201は、接続回数に基づいて無線通信の接続閾値と切断閾値とを設定してもよい。例えば、接続回数が接続回数閾値よりも大きい場合、ユーザが過去に何度も利用しているアクセスポイント101であることが推定される。そのため、この場合、制御部201は、無線通信の接続閾値と切断閾値とを接続し易い第1の設定に設定する。それにより、制御部201、回線品質が多少悪くても、できるだけそのアクセスポイント101を用いて通信することが可能である。一方、例えば、接続回数が接続回数閾値以下である場合、ユーザが過去にあまり利用していないアクセスポイント101であるため、無線通信の接続閾値と切断閾値とを接続し難い第2の設定に設定する。それにより、制御部201は、回線品質が悪い状態であまり利用していないアクセスポイント101に接続してしまうことを抑制することができる。
なお、更に別の実施形態では、制御部201は、S1001において判定対象のアクセスポイント101との過去の通信量を取得してもよい。そして、S1002において制御部201は、通信量が、判定情報300の通信量閾値よりも大きければ、YESと判定し、S1003の処理を実行してよい。即ち、過去に伝送された通信量が多い場合には、ユーザがデータの伝送に利用しているアクセスポイント101であることが推定される。そのため、制御部201は、無線通信の接続閾値と切断閾値とを接続し易い第1の設定に設定して、回線品質が多少悪くても、できるだけそのアクセスポイント101で通信するように制御してよい。一方、制御部201は、通信量が、判定情報300の通信量閾値以下であればNOと判定し、S1004の処理を実行してよい。即ち、例えば、過去に伝送された通信量が少ない場合には、ユーザが過去にあまり利用していないアクセスポイント101であることが推定される。そのため、回線品質が悪い状態でアクセスポイント101に接続してしまうことが無いように、制御部201は、無線通信の接続閾値と切断閾値とを接続し難い第2の設定に設定する。そして、この様に、過去の接続実績に基づいて、無線通信の接続閾値と切断閾値とを変更することで、無線通信装置100の利便性を高めることができる。
なお、上述の図10のS1001〜S1004までの処理において、制御部201は、例えば、変更部211として動作する。
<第3の実施形態>
また、実施形態に係る閾値設定処理における電波強度の閾値の設定に移動情報を利用することもできる。第3の実施形態では閾値設定処理において移動情報を利用する場合を例示する。
図11は、図7の閾値設定処理の代わりに実行される第3の実施形態に係る閾値設定処理の動作フローを例示する図である。なお、図11の閾値設定処理以外の処理については、第3の実施形態においても第1の実施形態と同様に実行されてよい。例えば、制御部201は、図6AのS606に進むと、図11の第3の実施形態に係る閾値設定処理の動作フローを開始してよい。
なお、S1101〜S1104、S1107、及びS1108の処理は、例えば、S701〜S706の処理とそれぞれ対応していてよい。例えば、制御部201は、S1101〜S1104、S1107、及びS1108の処理において、S701〜S706とそれぞれ同様の処理を実行してよい。
S1104において制御部201は、取得した通信量が判定情報300の通信量閾値よりも多いか否かを判定する。取得した通信量が通信量閾値以下である場合(S1104がNO)、フローはS1108に進む。一方、取得した通信量が通信量閾値よりも多い場合(S1104がYES)、フローはS1105に進む。
S1105において制御部201は、移動情報を取得する。移動情報は例えば、無線通信装置100に備えられたセンサ205で検出された無線通信装置100の移動に関する情報であってよい。例えば、センサ205が、加速度センサである場合には、制御部201は加速度の情報を取得してよい。また、センサが、GPSセンサである場合には、制御部201は経緯度などの位置の情報を取得してよい。
S1106において制御部201は、移動情報が静止を示すか否かを判定する。例えば、制御部201は、所定期間において加速度センサで検出された加速度の平均値が、所定の値以下である場合に、静止と判定してよく、S1106においてYESと判定してよい。また、例えば、制御部201は、所定期間においてGPSセンサで検出された位置の移動量が、所定の距離以下である場合に、静止と判定してよく、S1106においてYESと判定してよい。また、静止でない場合、制御部201はS1106においてNOと判定してよい。このように、制御部201は、例えば、センサ205で取得された移動に関する情報が、所定の許容範囲内であれば、無線通信装置100が静止していると判定してよい。
図11の動作フローによれば、制御部201は、判定対象のアクセスポイント101と接続回数閾値よりも多い回数で接続したことがあり、通信量閾値よりも大きいデータを通信していたとしても、位置が移動していれば、第2の接続し難い値を用いる。そのため、第3の実施形態では、第1の実施形態が奏する効果に加えて、例えば、ユーザがカフェの前を自動車で移動して通過する場合に、カフェに設置されたよく使うアクセスポイント101に接続してしまうことを抑制できる。或いは、ユーザが電車で最寄りの駅を通過する際に、駅に設置されたよく使うアクセスポイント101に接続してしまうことを抑制できる。
なお、上述の図11のS1101〜S1108までの処理において、制御部201は、例えば、変更部211として動作する。
以上において、いくつかの実施形態を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の動作フローは例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。可能な場合には、動作フローは、処理の順番を変更して実行されてもよく、別に更なる処理を含んでもよく、又は、一部の処理が省略されてもよい。例えば、図8のS801とS802の処理、及び図9のS901とS902の処理は順序を入れ替えて実行されてもよい。
また、上述の実施形態では第1の設定と第2の設定とのうちから、電波強度の閾値を選択する場合を例示したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、状況に応じて更なる電波強度の閾値の設定を含んでいてもよい。例えば、第1の実施形態において、アクセスポイント101との接続回数が接続回数閾値を超えるまでは、第1の設定及び第2の設定と異なる第3の設定に電波強度の閾値が設定されてもよい。
また、上述の実施形態では、通信量閾値は、通信量の累計に対して設定された値とする例を述べたが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、通信量閾値は、通信量の累計の代わりに、過去のアクセスポイント101との間の通信で伝送された通信量の平均値に対して設定された値であってもよい。
また、上述の通信実績情報500は、エントリの登録数が所定の数に制限されていてもよい。その場合には、例えば、新たなアクセスポイント101の情報が検出されると、接続回数が多い方から順に順位をつけ、下位のエントリが新たなアクセスポイント101のエントリと入れ替えられてもよい。また、接続回数が等しい場合には、通信量が多い方から順に順位がつけられてもよい。
また、上述の実施形態では、例えば、第1の設定から第2の設定に電波強度の閾値が変更される場合、接続閾値と切断閾値との両方が変更される場合を例示している。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、接続閾値と切断閾値とのいずれか一方が変更されるように実施形態を実施してもよい。即ち、例えば、第1の設定と、第2の設定とで、接続閾値は異なる値に設定し、一方、切断閾値は共通する値に設定してもよい。
図12は、実施形態に係る無線通信装置100を実現するためのハードウェア構成を例示する図である。図12の無線通信装置100を実現するためのハードウェア構成は、例えば、プロセッサ1201、メモリ1202、無線LAN制御IC(Integrated Circuit)1203、ヒューマンセントリックIC1204、及びタッチパネル1205を含む。また、図12の無線通信装置100を実現するためのハードウェア構成は、例えば、撮像装置1206、音響装置1207、近距離無線通信装置1208、及びセルラー無線制御IC1209を含む。プロセッサ1201は、例えば、メモリ1202、無線LAN制御IC1203、ヒューマンセントリックIC1204、及びタッチパネル1205と、バス1210を介して互いに接続されている。また、プロセッサ1201は、例えば、撮像装置1206、音響装置1207、近距離無線通信装置1208、及びセルラー無線制御IC1209とバス1210を介して互いに接続されている。
プロセッサ1201は、メモリ1202を利用して例えば上述の動作フローの手順を記述したプログラムを実行することにより、上述した制御部201の一部または全部の機能を提供する。また、記憶部202は、例えばメモリ1202であってよい。無線通信装置100のプロセッサ1201は、例えば、メモリ1202に格納されているプログラムを読み出して実行することで、変更部211及び更新部212として動作する。メモリ1202には、例えば、判定情報300及び通信実績情報500が格納されていてよい。
メモリ1202は、例えば半導体メモリであり、RAM領域及びROM領域を含んでいてよい。なお、RAMは、Random Access Memoryの略称である。また、ROMは、Read Only Memoryの略称である。
無線LAN制御IC1203は、例えば、プロセッサ1201の指示に従ってアンテナを介してアクセスポイント101と通信する。上述のAP通信部203は、例えば、無線LAN制御IC1203である。ヒューマンセントリックIC1204には、各種センサ接続されていてよい。例えば、ヒューマンセントリックIC1204には、加速度センサ1211、近接センサ1212、及び地磁気センサ1213が接続されていてよい。加速度センサ1211は、例えば、無線通信装置100の加速度を計測する。近接センサ1212は、例えば、無線通信装置100への物体の近接を検知する。地磁気センサは、例えば、地磁気を検出する。ヒューマンセントリックIC1204は、例えば、これらのセンサで検出された検出値を、プロセッサ1201で利用可能な値に変換し、プロセッサ1201に提供する。上述のセンサ205は、例えば、加速度センサ1211、近接センサ1212、及び地磁気センサ1213などと接続されたヒューマンセントリックIC1204であってよい。
タッチパネル1205は、例えば、プロセッサ1201の指示に従って表示画面に画像を表示する。また、タッチパネル1205は、例えば、ユーザからの入力を受け付け、プロセッサ1201に通知する。撮像装置1206は、例えば、カメラなどのデバイスであり、画像を撮像してプロセッサ1201に出力する。音響装置1207は、例えば、マイク及びスピーカなどの装置であってよく、プロセッサ1201の指示に従って音を出力したり、外部からの音の入力を受け付けたりする。
近距離無線通信装置1208は、例えば、NFC(Near Field Communication)、赤外線通信装置、FM(Frequency Modulation)トランスミッタなどの近距離の無線通信を実行する装置であってよい。セルラー無線制御ICは、例えば、プロセッサ1201の指示に従ってアンテナを介してセルラー回線網と通信する。
また、実施形態に係る各プログラムは、例えば、下記の形態で無線通信装置100に提供される。
(1)メモリ1202に予めインストールされている。
(2)プログラムサーバなどのサーバからネットワークを介して提供される。
なお、図12を参照して述べた無線通信装置100を実現するためのハードウェア構成は、例示であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述の制御部201の一部または全部の機能がFPGA及びSoCなどによるハードウェアとして実装されてもよい。なお、FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。SoCは、System-on-a-chipの略称である。
以上において、いくつかの実施形態が説明される。しかしながら、実施形態は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述の実施形態の各種変形形態及び代替形態を包含するものとして理解されるべきである。例えば、各種実施形態は、その趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できることが理解されよう。また、前述した実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の実施形態が実施され得ることが理解されよう。更には、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して又は置換して、或いは実施形態に示される構成要素にいくつかの構成要素を追加して種々の実施形態が実施され得ることが当業者には理解されよう。