JP2018110804A - 医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム - Google Patents

医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】流れが比較的遅く、渦が発生し易い被検体の観察部位の血流の推定精度を容易に向上できる医用画像処理装置を提供する。【解決手段】医用画像処理装置は、渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得し、複数の断面形態画像に基づいて、断面形態画像の変形に関する動き情報を取得し、動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得し、断面形態画像に血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成する。血流の状態を示す情報は、断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む。【選択図】図2

Description

本開示は、医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムに関する。
非侵襲で血流を計測する方法として、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴イメージング)装置を用いてPhase Contrast法(以下、単に「PC法」ともいう)で血流速度や時間速度曲線が得られることが知られている。PC法では撮像された2D断面に対して法線方向の流れを取得できる(以下、「2D−PC法」)。さらにPC法では複数の方向の断面を撮像することにより3次元の流れを取得することが出来る(以下、「3D−PC法」)。また、超音波診断装置においてPulse Doppler法を用いて流量を計測することも出来る。
先天的に単心室である患者に対して大静脈と肺動脈を連結するフォンタン手術を行い、フォンタン循環を作成することがある。フォンタン循環においては全身臓器から帰還した静脈血は、心室を経由すること無く肺に供給される(フォンタンルート)。フォンタン術は術後短期間の予後と症状を改善させるが、長期間の経過でその特殊な循環状態に起因する合併症が様々な臓器で発生することがわかってきた。最近では中心静脈圧上昇に伴ううっ血肝、肝線維化、それらの進行による肝硬変や肝細胞癌の発生が予後を左右する重要な因子として注目されている。しかし、それらを予測可能とする血液マーカーやバイオマーカーはない。
寺田理希、竹原康雄、「MR画像による血行動態解析と血流定量法」、INNERVISION、2011年9月26日、p23−p27
2D−PC法においては、流れが揃っている層流は計測できるが、渦(乱流を含む)の計測が難しいという欠点がある。そのために渦と滞留の区別が付かない。また、Velocity Encodingの設定にも結果が左右される。また、断面画像に対して法線方向の流れ成分しか計測できない。また、PC法による画像は機能画像であるので、形態画像を別途撮像する必要があり、場合によっては位置合わせが必要になる。このために、PC法は流れの明白で直進性の高い動脈について、その流量を計測することに用いられてきた。また、改良された3D−PC法であっては、撮像時間が長く、データの解析ソフトウェアは高額で専門的な知識や操作が必要となる。また長時間の撮像となり、呼吸同期など患者の動きを制限して撮像する必要がある。
これらの特徴により、PC法は、流れの比較的遅くかつ、渦の発生しやすい、大静脈、心房、拡張する心室内、フォンタンルート等の流れ評価には適していなかった。
また、Pulse Doppler法は視野制限により右心系や心房など患者の深部の血流評価に限界があった。さらに術者による技術的な差が生じる可能性があった。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、流れが比較的遅く、渦が発生し易い被検体の観察部位の血流の推定精度を容易に向上できる医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを提供する。
本開示の医用画像処理装置は、ポート及びプロセッサを備える。ポートは、渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得する。プロセッサは、複数の断面形態画像に基づいて、断面形態画像の変形に関する動き情報を取得し、動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得し、断面形態画像に血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成する。血流の状態を示す情報は、断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む。
本開示の医用画像処理方法は、医用画像処理装置における医用画像処理方法であって、渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流の領域を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得し、複数の断面形態画像に基づいて、断面形態画像の変形に関する動き情報を取得し、動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得し、断面形態画像に血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成する。血流の状態を示す情報は、断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む。
本開示の医用画像処理プログラムは、医用画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本開示によれば、流れの比較的遅くかつ、渦の発生しやすい、静脈、心房、大動脈瘤、静脈瘤、静脈拡張、シャントの流れを評価できる。特に、フォンタン循環患者におけるフォンタンルートの渦の消失が将来の肝線維化や肝硬変を予測できることを我々は発見している。そのため、本開示は、画期的な低侵襲の画像診断、バイオマーカーとなり得る。また、断面画像に対して断面の面内成分を含む流れが評価できる。また、Gradient Echo法による撮像により取得された画像について流れを評価でき、別途の形態画像の撮像や形態画像との位置合わせが不要となる。また、血流に含まれる渦と層流と滞留を評価できる。また、撮像時間は短時間で済む。
第1の実施形態における医用画像処理装置の構成例を示すブロック図 医用画像処理装置による動作例を示すフローチャート 最大主歪成分に基づく血流の状態を示す情報がマッピングされた画像を模式的に示す図 最大主歪成分が重畳されたMRI画像を模式的に示した模式図 図4のMRI画像の画像例を示す図 フォンタン手術が施されたが、肝臓に疾患を有していない患者(Control)の肝臓を含むMRI画像の画像例を示す図 健常者(Normal)の肝臓を含むMRI画像の画像例を示す図 肝臓癌の人の肝臓を含むMRI画像の画像例を示す図 肝臓が繊維化した人の肝臓を含むMRI画像の第1画像例を示す図 肝臓が繊維化した人の肝臓を含むMRI画像の第2画像例を示す図 従来の2D−PC法による血流計測を説明するための図 第1の実施形態の血流推定を説明するための図
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
血流計測装置は、2D−PC法に従って血流を計測する場合、流れが揃っている層流を計測できるが、渦を計測することが困難である。渦を計測することが困難であることは、血流がない状態と、血流があるが渦あり、血流の少なくとも一部が相殺されて血流がないように見える状態と、を識別困難であるためである。つまり、血流計測装置は、血流が渦であるか滞留であるかの区別が困難である。また、血流計測装置は、血流の速度に応じてMRI装置の傾斜磁場強度を変化させるためのVelocity Encodingパラメータによっても、血流の計測結果が左右される。また、血流計測装置は、MRI装置により撮像された断面画像に対する法線方向の流れ成分以外の流れ成分を計測することが困難である。また、PC法による画像は機能画像であるので、形態画像が別途必要となる。この場合、機能画像の撮像と形態画像の撮像とで、観察部位を撮像するための位置合わせが必要になることもある。
血流測定装置は、3D−PC法に従って血流を計測する場合、心電同期で複数の方向の断面を撮像する必要があるため、MRI装置により画像を撮像するための撮像時間が長くなる。そのため、呼吸にばらつきがある人や不整脈の人がMRI装置により撮像する場合、MRI装置による撮像精度が劣化することがある。また、撮像中の患者の動きに、画質が影響される。また、3D−PC法による血流計測を行う血流計測装置や3D−PC法に用いられる画像を撮像するMRI装置が高額となる。
このため、PC法は、血流が明白(層流)であり、直進性の高い動脈の流量計測に用いられることが多い。一方、PC法は、血流が比較的遅く、かつ、渦が発生しやすい観察部位(例えば、静脈、心房、心尖部、動脈瘤、静脈瘤、血管乖離の偽腔、静脈拡張部)の血流評価には適していない。
ところで、先天的に単心室である患者に対してフォンタン手術が行われ、フォンタン循環が作成されることがある。フォンタン循環では、全身臓器から帰還した静脈血は、心臓を経由すること無く、肺動脈に供給され得る。この場合、帰還した静脈血を直接肺に供給する人工的な経路であるフォンタンルートが作成される。フォンタン循環患者は、術後も経過観察されることが必要である。フォンタンルートにおいて静脈血が滞留し、静脈圧が上昇すると、内臓組織に負担がかかるためである。特に、右室・右房が存在すべき位置やその周辺の静脈圧が上昇し血流が停滞すると、肝臓に負荷がかかり、肝の繊維化、ひいては癌化が報告されている。また、静脈血の滞留は、肺梗塞の原因にもなる。
フォンタンルートは、肺動脈に近い位置で静脈血が通過することから、血流が比較的遅く、又は停滞する傾向にある。そのため、PC法は、フォンタン循環患者におけるフォンタンルートや肺動脈の血流評価には、適していない。
以下、流れが比較的遅く、渦が発生し易い被検体の観察部位の血流の推定精度を向上できる医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラムについて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における医用画像処理装置100の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、ポート110、ユーザインタフェース(UI:User Interface)120、ディスプレイ130、プロセッサ140、及びメモリ150を備える。
医用画像処理装置100には、MRI装置200が接続される。医用画像処理装置100は、MRI装置200から断面画像としてのMRI画像を取得し、取得されたMRI画像に対して処理を行う。医用画像処理装置100は、PC(Personal Computer)とPCに搭載されたソフトウェアにより構成されてもよい。また、医用画像処理装置100はMRI装置200に内蔵されていてもよい。
MRI装置200は、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)現象を利用して、生体内部の情報を画像化することで、画像(MRI画像)を撮像する。MRI装置200の撮像時には、生体に造影剤が投入されてもされなくてよい。生体としては人体等が挙げられる。生体は、被検体の一例である。MRI装置200は、生体における任意の断面を撮像し、断面画像としてのMRI画像を得る。MRI画像は、同じ断面において、時系列に複数撮像されてよい。この断面は、血流を含む生体の部分(例えば、静脈、心房、心尖部、動脈瘤、静脈瘤、血管乖離の偽腔、静脈拡張部、又はフォンタンルート)の少なくとも一部を含む。MRI画像が撮像されることにより、MRI画像における各画素(ピクセル又はボクセル)の画素値(MRI値)が得られる。MRI装置200は、MRI画像を医用画像処理装置100へ、有線回線又は無線回線を介して送信する。
具体的に、MRI装置200は、ガントリ(図示せず)及びコンソール(図示せず)を備える。ガントリは、被検体が載置される載置台、静磁場磁石、傾斜磁場コイル、RF(Radio Frequency)送信コイル、及びRF受信コイルを備える。静磁場磁石は、均一磁場領域を形成する。載置台は、均一磁場領域の中心に配置される。傾斜磁場コイルは、3次元空間の互いに直交する3方向(x方向、y方向、z方向)に傾斜磁場を発生する3対のコイルである。RF送信コイルは、被検体の撮像部位と静磁場磁石との間に配置され、高周波磁場を被検体にパルス照射する。RF受信コイルは、高周波磁場のパルス照射直後に微弱なMR信号を受信する。傾斜磁場は、RF送信やRF受信の際にパルス状に印加されてよい。RF送信コイルとRF受信コイルは、兼用されてよい。
ガントリは、コンソールにより指示された所定のタイミングで撮像することで、MR信号を得る。コンソールは、医用画像処理装置100に接続される。コンソールは、ガントリからMR信号を取得し、MR信号に基づいて断面画像としてのMRI画像を生成する。コンソールは、生成されたMRI画像を、医用画像処理装置100へ送信する。
MRI装置200は、連続的に撮像することで、撮像対象の断面のMRI画像を複数取得し、動画を生成してよい。この動画は、複数の2次元画像による動画でよい。また、MRI装置200は、様々な撮像手法により画像を撮像できる。MRI装置200は、例えば、Gradient Echo法に従って撮像する。Gradient Echo法では、一般的なSpin Echo法と比較して高速撮像が可能であり、複数のフェーズの撮像画像を撮像することに適している。複数のフェーズの撮像画像は、動画として機能してよい。なお、Gradient Echo法には、リワインダー型、スポイラー型、コヒーレント型、非コヒーレント型、その他、改良された方法を含まれる。
MRI装置200は、複数のMRI画像として、時系列で異なるタイミング(複数のフェーズ)で撮像する。MRI画像の撮像間隔は、任意であるが、0.1秒間隔もよいし、他の時間間隔でもよい。各撮像間隔は、等間隔でもよいし、非等間隔でもよい。MRI装置200は、医用画像処理装置100へ、所定数(例えば10枚、20枚)のMRI画像をまとめて送信してもよいし、撮像毎に1枚ずつMRI画像を送信してもよい。
医用画像処理装置100内のポート110は、通信ポートや外部装置接続ポートを含み、MRI画像を取得する。取得されたMRI画像は、直ぐにプロセッサ140に送られて各種処理されてもよいし、メモリ150において保管された後、必要時にプロセッサ140へ送られて各種処理されてもよい。
ポートが取得するMRI画像は、Gradient Echo法に従って撮像された画像でよく、他の撮像方法に従って撮像された形態画像でもよい。例えば、改良された十分に高速なSpin Echo法やFast Spin Echo法で撮像されてもよい。なお、Phase Contrast法に従って撮像された画像は、機能画像であって形態画像では無いと言える。機能画像とは、組織の生理学的な活性などが装置により撮影された画像である。機能画像の例としては、PET(Positron Emission Tomography)装置による画像やMRIによる拡散強調画像があげられる。対して、形態画像は、組織の形態が装置により撮影された画像である。形態画像の例としてはCT装置による画像や、MRI画像によるT1強調画像やT2強調画像、T2*(T2スター)強調画像が挙げられる。
UI120は、タッチパネル、ポインティングデバイス、キーボード、又はマイクロホンを含んでもよい。UI120は、医用画像処理装置100のユーザから、任意の入力操作を受け付ける。ユーザは、医師、放射線技師、又はその他医療従事者(Paramedic Staff)を含んでもよい。
UI120は、MRI画像における関心領域(ROI:Region of Interest)の指定や輝度条件の設定等の操作を受け付ける。関心領域は、組織(例えば、血管、気管支、臓器、骨)の領域を含んでよい。組織は、病変組織、正常組織、臓器、器官、など生体の組織を広く含んでよい。
ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)を含んでもよく、各種情報を表示する。各種情報は、MRI画像、MRI画像に付加や重畳される情報(例えば血流の状態を示す情報)を含む。
メモリ150は、各種ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の一次記憶装置を含む。メモリ150は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)の二次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、USBメモリやSDカードの三次記憶装置を含んでもよい。メモリ150は、各種情報やプログラムを記憶する。各種情報は、ポート110により取得されたMRI画像、プロセッサ140により生成された画像、プロセッサ140により設定された設定情報、を含んでもよい。
プロセッサ140は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。
プロセッサ140は、メモリ150に記憶された医用画像処理プログラムを実行することにより、各種処理や制御を行う。また、プロセッサ140は、医用画像処理装置100の各部を統括する。
プロセッサ140は、取得されたMRI画像において、MRI画像の一部の領域を抽出してよい。この場合、UI120がユーザからの指示を受け付け、指示の情報がプロセッサ140に送られる。プロセッサ140は、指示の情報に基づいて、MRI画像から関心領域を抽出(segment)してもよい。また、ユーザからの詳細な指示により、手動で関心領域を設定(set)してもよい。観察部位が予め定められている場合、プロセッサ140は、ユーザ指示なしでMRI画像から、観察部位を含む関心領域を抽出してもよい。観察部位や関心領域は、血流として流れる血液が通過する領域(例えば血管、心臓、その他の血流を含む臓器)(以下、血流領域とも称する)を含んでよい。血流領域は、例えば、RegionGrow、LevelSet法、GraphCut、DeepLearning、等の既存のセグメンテーション手段で抽出される。以下では主に、MRI画像の一部を抽出せずに、MRI画像全体に対して画像処理することを例示するが、MRI画像の一部(例えば血管領域)が抽出されて画像処理されてもよい。
プロセッサ140は、ポート110やメモリ150から、観察部位の少なくとも一部を含む任意の断面における複数のフェーズのMRI画像を取得する。
プロセッサ140は、MRI画像を複数のフェーズのMRI画像を基に、複数フェーズ間でのMRI画像の変形に対して動き解析を行い、MRI画像における動き情報を取得する。動き解析の具体的手法は、例えば参考特許文献1に記載されている。
(参考特許文献1:米国特許第8311300号明細書)
プロセッサ140は、動き情報として、MRI画像の任意の点の移動量に係る情報や速度に係る情報を取得してよい。プロセッサ140は、参考特許文献1の手法を適用すると、MRI画像を2次元格子node(k,l)に区切り、2次元格子のフェーズtの格子node(k,l,t)における2次元座標を(x,y)とした場合、フェーズtの値を変更して得られる複数のnode(k,l,t)の差分を基に、node(k,l)の格子点に係る移動量の情報を算出してよい。また、プロセッサ140は、移動量の情報を時間微分することで、速度の情報を算出してよい。移動量や速度の情報は、ベクトルで示されてよい。
プロセッサ140がこの2次元格子の動き情報をMRI画像全体の各点に対して補間すると、MRI画像の各点の動き情報が得られる。この所定の点の動き情報を、観察部位を含む領域の各点に対して適用すると、観察部位を含む領域の各点の動き情報が得られる。なお、プロセッサ140は、参考特許文献1の手法に限られず、その他の公知のレジストレーション手法を用いて動き解析を行ってもよい。
動き解析では、医用画像処理装置100は、例えば、生体内の任意の位置がどの位置に移動したかを把握可能である。この場合、医用画像処理装置100は、前後のフェーズのMRI画像における画素値の近い塊の領域を検出して、追跡できる。血流に関しても、画素値の近い塊の領域を1つ以上検出し、この領域の動きを追跡可能である。
プロセッサ140は、動き解析の結果つまり動き情報に基づいて、MRI画像の動きに含まれる歪み量、例えば、最大主歪成分を取得する。この最大主歪成分の取得の具体的手法は、例えば参考非特許文献2に記載されている。
(参考非特許文献1:"The visualization of 3D stress and strain tensor fields"、Burkhard Wuensche、1999年)
プロセッサ140は、参考非特許文献2の手法を適用すると、動き解析により得られる移動前の2点P,Qの位置と移動後の2点P’,Q’の位置とに基づいて、2次元の歪テンソルを算出してよい。歪テンソルは、動き情報で取得された移動量や速度のベクトルの空間微分により取得されてよい。プロセッサ140は、算出された2次元の歪テンソルに係る2つの固有ベクトルv1,v2及び2つの固有値λ1,λ2を算出してよい。固有値λ1,λ2は、行列変換に係る固有値でよい。プロセッサ140は、固有値λ1,λ2のうち最大の固有値を、最大主歪成分の値として取得してよい。
プロセッサ140がこの2点P,Qに基づく最大主歪成分の取得をMRI画像全体における各点に対して補間すると、MRI画像の各点における動きに含まれる最大主歪成分の情報が得られる。この2点P,Qに基づく最大主歪成分の取得を、観察部位を含む領域における各点に対して適用すると、観察部位を含む領域の各点における最大主歪成分の情報が得られる。
プロセッサ140は、取得された最大主歪成分の情報をMRI画像に重畳して、表示画像を生成する。プロセッサ140は、ディスプレイ130に表示画像を表示させる。
次に、医用画像処理装置100による動作例について説明する。
図2は、医用画像処理装置100による動作例を示すフローチャートである。
まず、ポート110は、Gradient Echo法により撮像された複数フェーズのMRI画像を取得する(S11)。
プロセッサ140は、複数フェーズのMRI画像を基に、動き解析を行う(S12)。プロセッサ140は、動き解析の結果に基づいて、最大主歪成分を取得する(S13)。プロセッサ140は、取得された最大主歪成分の値に基づく情報を、MRI画像に重畳して表示画像を生成し、ディスプレイ130に表示画像を表示させる(S14)。最大主歪成分の値は、血流の状態を示す情報の一例である。
S13における最大主歪成分に血流の状態が表れる理由として、以下が考えられる。
血流によって生じるflow−voidのアーチファクトがMRI画像に表れ、MRI画像上のflow−voidの経時的な変化が、動き情報として捕捉される。動き情報として捕捉されるflow−voidは、追跡可能なflow−voidとも言える。よって、医用画像処理装置100は、flow−voidを追跡することで、動き情報に、少なくとも定性的な血流、又は血流の性質が含まれると推定可能である。
flow−voidは、流れのある組織がMRI画像上で無信号となる現象を示し、流速が変化する位置で特に発生する。血液は、細い血管から瘤や肥大血管に流入する位置では、流速が急激に遅くなり、血管の狭窄の位置では、流速が速くなる。また、血管壁に近い程流速が遅くなり、血管の中心部では血流が速くなる。この流速の変化により、追跡可能なflow−voidが発生すると推定され得る。
また、動き情報から導出される最大主歪成分は、MRI画像やMRI画像中の観察部位における変形量が最大である方向を示すと考えられる。そのため、医用画像処理装置100は、最大主歪成分が実際の血流の性質を良好に反映しているものと推定できる。このように、最大主歪成分には、観察部位における血流の様子が表現されていると推定される。
このような最大主歪成分の情報が形態画像としてのMRI画像とともに表示されることで、医用画像処理装置100のユーザは、MRI画像上での血管等の歪み量を認識でき、血流の状態を把握できる。
図3は、最大主歪成分に基づく血流の状態を示す情報がマッピングされた画像を模式的に示す図である。図4は、最大主歪成分が重畳されたMRI画像を模式的に示す模式図である。図5は、図4のMRI画像の画像例を示す図である。図3〜図5では、フォンタン手術が施され、フォンタンルート11が拡張した被検体の図を示している。フォンタンルート11は、肺動脈、静脈、又は右心房心室の少なくとも一部を含んでよい。
図3〜5に係るMRI画像が撮像された被検体は、フォンタン手術が行われ、心臓を介さずに静脈(例えば肝静脈13)と肺動脈とを接続するフォンタンルート11が形成されている。また、フォンタンルート11が膨張していると推測される。
図3には、フォンタンルート11及びその周辺における最大主歪成分に基づく血流の状態を示す情報がマッピングされた画像G11を示す図である。血流の性質には、渦、滞留、及び層流を含んでよい。この血流の性質が、血流の状態を示す情報に反映される。
画像G11における渦部分11aでは、血流が発生しているが、複数(例えば多数)の方向に血流が発生しているため、各血流の少なくとも一部が相殺されて血流の捕捉が困難となり得る。しかし、多くの方向に血流が発生し、血液が流れる血管の壁が押圧されることで、血管に対する圧力の時間変化が大きくなり、血管が大きく変形する。そのため、最大主歪成分の値は大きくなる(高歪み)。血流は、血液の特性(例えば粘度)、血管の形状、血管を取り巻く周辺の臓器の形状、等に影響を受け、血流の進行方向が不定となって渦となる。この渦は、乱流となり得る。渦部分11aでは、血栓が発生し易い。
画像G11における滞留部分11bでは、血流がほとんど発生しておらず、血管に対する圧力もほとんど時間変化せず、血管がほぼ変形しない。そのため、最大主歪成分の値は小さくなる(低歪み)。滞留部分11bでは、血栓が発生し易い。
画像G11における層流部分11cでは、血液が血管に沿って血管内を好適に流れ、血管に対する圧力の時間変化も中程度であり、血管が少し変形する。そのため、最大主歪成分の値は中程度となる(中歪み)。
図4では、MRI画像G12には、フォンタンルート11、大動脈12、肝静脈13、及び肝臓14を含む。図4のMRI画像G12が撮像された被検体は、フォンタン手術が行われ、心臓を介さずに静脈(例えば肝静脈13)と肺動脈とを接続するフォンタンルートが形成されている。肝臓14から流出した血液は、肝静脈13を介して肺動脈に流入する。フォンタン手術が施された被検体では、肺動脈に血圧の小さい静脈からの血液が送り込まれるため、フォンタンルート11内に血液が蓄積される傾向にある。そのため、フォンタンルート11が拡張する傾向にある(図4参照)。拡張したフォンタンルート11内には、渦部分11a,滞留部分11b、及び層流部分11cが含まれ得る。
図5では、図4の渦部分11a,滞留部分11b、及び層流部分11cが、プロセッサ140により色付けされている。図5における目盛バー21は、最大主歪成分の値の大きさの情報を示す。目盛バー21は、値毎に色分けされて表現されてよい。この場合、プロセッサ140は、MRI画像G13の各画素を、各画素における最大主歪成分の大きさに応じて、最大主歪成分の大きさを示す色を決定する。この色は、血流の状態を示す情報の一例である。例えば、最大主歪成分が重畳されたMRI画像G13では、最大主歪成分の値が0〜2.8の間で色を変えて表現されてよい。
最大主歪成分の値が大きい場合(例えば渦部分11a)には、橙〜赤に近い色とされてよい。最大主歪成分の値が小さい場合(例えば滞留部分11b)には、青〜紫に近い色とされてよい。最大主歪成分の値が中程度の場合(例えば層流部分11c)には、緑に近い色とされてよい。
プロセッサ140は、最大主歪成分の値を基に、血流の種別つまり血流の状態を判定してよい。この場合、最大主歪成分の値が2.0以上である場合、血流が渦であると判定してよい。プロセッサ140は、最大主歪成分の値が0.0付近の値である場合、血流が滞留であると判定してよい。プロセッサ140は、最大主歪成分の値が1.0前後(1.0付近)の値である場合、血流が層流であると判定してよい。なお、この最大主歪成分の値は、複数フェーズ間で同一部分が移動していない(変形しない)場合を「1.0」とした比を示している。
次に、最大主歪成分が重畳されたMRI画像を、被検体の症例別に示す。
図6は、フォンタン手術が施された後、肝臓14に疾患を有していない患者(Controlともいう)の肝臓14を含むMRI画像G14の画像例を示す図である。図6では、紫色に近い部分、つまり滞留部分11bが少し確認できるが、渦部分11aは存在していない。図6の滞留部分11bの大きさは許容範囲であり、後述する図7の健康な人においても小さな範囲で確認される。フォンタン手術が行われたフォンタン循環患者については、図6の状態が維持されることが好ましい。
図7は、健常人(Normalともいう)の肝臓14を含むMRI画像G15の画像例を示す図である。図8は、肝臓癌の患者の肝臓14を含むMRI画像G16の画像例を示す図である。図9は、肝臓14が繊維化した患者の肝臓14を含むMRI画像G17の第1画像例を示す図である。図10は、肝臓14が繊維化した患者の肝臓14を含むMRI画像G18の第2画像例を示す図である。図10に示す被検体では、フォンタンルート11が拡張し、血流が停滞していることが容易に理解できる。
このように、Control(図6参照)、Normal(図7参照)、及び症状のある患者(図5,図8〜図10参照)を比較すると、症状のある患者では画像上に渦部分、滞留部分のいずれもが顕著に観察されることから、血流動態に問題が生じていることが見て取れる。
次に、フォンタン手術やフォンタン手術に伴う血流に関して、補足する。
フォンタン手術は、例えば、心室が1つの患者に対して行われ、フォンタンルートが形成される。フォンタンルートでは、動脈を介して巡った血液が、心臓を介さずに肺動脈に送られる。この場合、心臓を介さずに静脈が直接肺静脈に接続されてもよいし、心臓を介さずに静脈と肺動脈とが人工血管を介して接続されてもよい。静脈では血液を輸送する圧力が小さくなる傾向にあるので、静脈から血液が放出されず、静脈内部圧力が蓄積する傾向がある。同様に、心臓に接続されない肺動脈では、血液を輸送する圧力が小さくなる傾向にあるので、肺動脈から血液が放出されず、肺動脈内部の圧力が蓄積する傾向がある。また、肺動脈に接続される静脈が人口血管である場合も同様である。この場合、この静脈や肺動脈に近い肝臓や膵臓から十分に動脈血が排出されずに障害が発生する可能性がある。この圧力の蓄積を抑制して、静脈や肺動脈内を血液が順調に(例えば層流で)流れることが好ましい。
また、フォンタン手術後の患者の血流の観察は、血流推定の一例であり、他の血流を観察してもよい。例えば、医用画像処理装置100は、一般的な静脈を観察部位として、血流推定してもよい。また、血管に瘤や狭窄が存在するような患者においても、医用画像処理装置100による血流推定は有効である。
膨張した血管内には血管径の急激な変化により、血液が淀んで停滞し、又は渦が発生する可能性がある。フォンタン手術により肺動脈に接続された静脈や人工血管の周辺にある肝臓では、フォンタンルートでの血液の停滞、渦等は、大静脈内の血圧の上昇と相関があり、肝臓は下大静脈に直結するためその影響を強く受ける。よって、停滞、渦等は、肝硬変や肝臓の繊維化を誘発し易い。よって、肝硬変や肝臓の繊維化の原因の1つとなる血流の停滞等を発見することは、非常に意味がある。
また、渦が存在する箇所では、血栓が発生し易い。血栓が例えば頭に移動すると、脳梗塞を誘発する可能性がある。フォンタンルートでは、血栓は肺梗塞の原因となる。そのため、医用画像処理装置100により渦の発生する場所を特定可能であることは、非常に意味がある。
また、右房は、静脈を巡って血液が帰還した際に最初に入る場所である。そのため、右房も静脈や人工血管同様に、血液の流れが停滞し易い。医用画像処理装置100によれば、右房における血流の状態も高精度に推定できる。
図11は、従来の2D−PC法による血流計測を説明するための図である。従来の2D−PC法による血流計測を行う血流計測装置は、血管等の短軸方向を断面としてMRI画像を取得する。そして、血流計測装置は、断面画像としてのMRI画像に対する法線方向の流れを、血管の長軸方向の流れとして表現する。また、PC法による画像は機能画像であるので、血流計測装置は、別途形態画像を撮像し、位置合わせを行う必要がある。
これに対し、図12は、本実施形態の血流推定を説明するための図である。医用画像処理装置100は、最大主歪成分に基づく血流の状態を示す情報を重畳したMRI画像を表示する。医用画像処理装置100は、観察すべき血管等の長軸方向を断面としたMRI画像を取得し、MRI画像の面内成分として血流の様子を表現する。よって、ユーザは、医用画像処理装置100により導出されたMRI画像を確認することで、確認すべき血管に沿った血流の様子を理解できるので、断面の法線方向の流れを確認する場合と比較して、直感的に血流を認識できる。
また、医用画像処理装置100は、血流の状態を示す情報により、血流がない状態と、血流があるが渦あり、血流の少なくとも一部が相殺されて血流がないように見える状態と、を識別可能である。そのため、医用画像処理装置100は、流れが比較的遅く且つ渦の発生しやすい、静脈、心房、動脈瘤、静脈瘤、血管乖離の偽腔、静脈拡張、シャント、心耳、等での流れ(血流)を評価できる。特に、医用画像処理装置100は、フォンタン循環患者における肺動脈の流れを好適に評価できる。また、医用画像処理装置100は、断面画像に対して断面の面内成分(断面に平行な面内の成分)を含む流れが評価できる。また、医用画像処理装置100は、Gradient Echo法による撮像により取得された画像について流れを評価でき、別途の形態画像の撮像や形態画像との位置合わせが不要となる。また、医用画像処理装置100は、血流に含まれる渦と層流と滞留とを評価できる。また、血流推定に用いられるMRI画像の撮像時間が、短時間で済む。
以上のように、本実施形態の医用画像処理装置100では、ポート110は、渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得する。プロセッサ140は、複数の断面形態画像に基づいて、断面形態画像の変形に関する動き情報を取得する。プロセッサ140は、動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得する。プロセッサ140は、断面形態画像に血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成する。血流の状態を示す情報は、断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む。時系列に並ぶ複数の画像は、複数のフェーズの画像でよい。断面形態画像は、形態画像の断面を示す断面画像でよい。
これにより、医用画像処理装置100は、複数フェーズの断面画像における変形に関する動き情報を基に血流の状態を示す情報を導出し、定性的に血流の状態(例えば渦、層流、停滞)を推定できる。例えば、歪量が大きい場合には、医用画像処理装置100は、血流が渦(乱流を含む)となる部分を含み、血液や周辺臓器に悪影響があると推測できる。また、歪量が中程度である場合、医用画像処理装置100は、適度な層流であると推測できる。歪量が小さい場合、医用画像処理装置100は、血流がほとんどなく、停滞していると推測できる。そして、医用画像処理装置100は、血流の状態を表示画像により可視化できる。また、医用画像処理装置100は、断面画像の断面が血管に対して長軸方向の面である長軸面であり、この面内の成分を1画像により表現できるため、血管全体の様子を把握し易くできる。このように、医用画像処理装置100は、流れが比較的遅く、渦が発生し易い被検体の観察部位の血流の推定精度を容易に向上できる。
また、プロセッサ140は、断面形態画像に含まれる血流として流れる血液が通過する領域を抽出し、血液が通過する領域における前記血流の状態を示す情報を重畳し、表示画像を生成してよい。
これにより、ユーザは、血管に限って被検体内部の流体を観察できるので、血流を観察し易くなる。また、医用画像処理装置100は、取得されたMRI画像の全体に対して動き解析や最大主歪成分の導出等の画像処理を実施する必要がなくなり、画像処理に係る処理負荷を低減できる。また、医用画像処理装置100は、領域を限定することにより、動き解析を行う範囲を限定でき、動き解析の処理精度の向上が期待できる。
また、断面形態画像は、MRI装置200により撮像されたMRI画像でよい。
これにより、医用画像処理装置100は、非侵襲に血流の状態を観察できる。
また、MRI画像は、Gradient Echo法に従って撮像された画像でよい。
これにより、医用画像処理装置100は、MRI画像を高速に撮像可能であり、フェーズ間隔を短くして任意の断面の動画を取得できる。よって、医用画像処理装置100は、断面画像における短時間での変形を認識し易くなり、動き情報の精度が向上するので、血流の状態の推定精度を向上できる。
また、医用画像処理装置100は、血流観察用に特別に撮像することが不要となる。例えば、心臓周辺のMRI画像が撮像される場合、個別の診断に用いる画像が撮像される前に、位置決め用の画像が撮像される。この際、心臓全体の解剖学的な情報を得るために、Gradient Echo法により2次元のシネ画像が各断面において撮像されることが多い。医用画像処理装置100は、この位置決め用の少なくとも一部に基づいて、血流の状態を推定できる。したがって、医用画像処理装置100は、例えば、過去に蓄積された位置決め用の画像を基に、血流の状態を推定することもできる。
また、血流となって移動する血液が通過する流路の径は、狭窄又は瘤によって変化してよい。
つまり、狭窄又は瘤によって、狭窄又は瘤の前後では層流として流れていた血流が乱され、渦と滞留を生じ、渦と滞留がflow−voidに反映され、動き情報として検出される。したがって、医用画像処理装置100が血流の情報を示す情報を表示によりユーザに提示することで、ユーザは、狭窄又は瘤に含まれる血流、又は血流の性質が観察でき、高精度な診断材料を取得できる。特に、瘤や心耳についてはCT画像では、新しい血液の流入が小さい停滞と、単に血液が存在しない場合の停滞とが区別が付かない。これに対し、医用画像処理装置100は、瘤や心耳における血流、又は血流の性質が観察できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
第1の実施形態では、MRI装置200により画像を撮像し、生体内部の情報を含むMRI画像を生成することを例示したが、他の装置により画像を撮像し、断面画像を生成してもよい。他の装置は、血管造影装置(Angiography装置)又はその他のモダリティ装置を含む。また、PET装置は、他のモダリティ装置と組み合わせて用いられてもよい。例えば、血管造影装置は、造影剤が煙状のテクスチャーとして撮像され、テクスチャーの変化によって流れを見て取ることができる。したがって、血管造影装置は、動き解析によって血流の状態を示す情報が取得可能であるので、上記実施形態を適用可能である。血管造影装置は、川崎病の冠動脈瘤や肺動脈瘤の観察に適している。例えば、医用画像処理装置100は、血管造影装置により撮像された画像を取得し、石灰化の要因の1つである冠動脈流の渦を評価できる。
第1の実施形態では、フォンタンルートの血流推定に用いられることを主に例示したが、その他の血流推定に用いられてもよい。例えば、心房、心耳、動脈瘤、弁逆流、大動脈瘤、深部静脈血栓、肺血栓塞栓症、心尖部血栓などの血流の分析に、第1の実施形態の手法が用いられてよい。即ち、医用画像処理装置100は、狭窄、瘤を含む、血流の流路径が大きく変化する箇所の流れの評価に使用可能である。
第1の実施形態では、医用画像処理装置100は、最大主歪成分の値に応じて、血流の状態(例えば渦、滞留、層流)を推定することを主に例示したが、最大主歪以外のパラメータを用いて血流の状態を推定してもよい。複数のパラメータの組み合わせにより、血流の状態が推定されてもよい。パラメータには、「Displacement」(移動、変位)、「Velocity」(速度)が含まれてよい。「Displacement」は、動き情報に含まれて又は動き情報を基に、取得されてよい。「Velocity」は、動き情報に含まれて又は動き情報を基に、取得されてよい。「Displacement」は、参考特許文献1の動き解析で得られる移動量に相当してよい。「Velocity」は、参考特許文献1の動き解析で得られる速度に相当してよい。よって、この場合、最大主歪成分の導出が省略されてもよい。
第1の実施形態では、医用画像処理装置100は、最大主歪成分により血流の停滞や渦が発生していることを推定することを例示したが、特定の中心点に着目してその中心点を中心とした円周方向または放射方向の歪み量により停滞や渦の発生を推定してもよい。医用画像処理装置100は、前記中心点をユーザが指定するユーザインターフェース(例えばUI120)を有していてもよい。また、医用画像処理装置100は、渦の中心点では移動量や速度が小さく、渦の中心点の周囲では移動量や速度が速いことに着目して、動き情報を基に、前記中心点を特定してもよい。また、医用画像処理装置100は、渦の血流の移動方向が略円形に連なることに着目して、動き情報を基に、特定した前記中心点を中心とする渦であると判別してもよい。また、医用画像処理装置100は、中心を有さない乱流においては血流の移動方向が複数あり、その方向が不定又は不規則であることに着目して、動き情報を基に、乱流と中心の明確な渦とを判別してもよい。
第1の実施形態では、医用画像処理装置100は、血流の渦が発生していることを推定することを例示したが、渦について、特定の中心点に着目してその中心点を中心として旋回する渦を個別に識別してもよい。例えば、医用画像処理装置100は、このような渦の中心点では移動量や速度が小さく、渦の中心点の周囲では移動量や速度が速いことに着目して、動き情報を基に、中心点を中心とする渦であると判別してもよい。また、医用画像処理装置100は、このような渦の場合には移動方向が略円形に連なることに着目して、動き情報を基に、中心点を中心とする渦であると判別してもよい。また、医用画像処理装置100は、中心を有さない乱流においては血流の移動方向が複数あり、その方向が不定又は不規則であることに着目して、動き情報を基に、乱流と中心の明確な渦とを判別してもよい。また、医用画像処理装置100は、中心点をユーザが指定するユーザインターフェース(例えばUI120)を有していてもよい。
第1の実施形態では、撮像されたMRI画像は、MRI装置200から医用画像処理装置100へ送信されることを例示した。この代わりに、MRI画像が一旦蓄積されるように、ネットワーク上のサーバ等へ送信され、サーバ等に保管されてもよい。この場合、必要時に医用画像処理装置100のポート110が、MRI画像を、有線回線又は無線回線を介してサーバ等から取得してもよいし、任意の記憶媒体(不図示)を介して取得してもよい。
第1の実施形態では、撮像されたMRI画像は、MRI装置200から医用画像処理装置100へポート110を経由して送信されることを例示した。これは、実質的にMRI装置200と医用画像処理装置100とを併せて一製品として成立している場合も含まれるものとする。また、医用画像処理装置100がMRI装置200のコンソールとして扱われている場合も含む。
また、上記実施形態では、生体として人体を例示したが、動物の体でもよい。
また、本開示は、医用画像処理装置の動作を規定した医用画像処理方法として表現することも可能である。さらに、本開示は、上記実施形態の医用画像処理装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して医用画像処理装置に供給し、この医用画像処理装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。
本開示は、流れが比較的遅く、渦及び滞留が発生し易い被検体の観察部位の血流の推定精度を容易に向上できる医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び医用画像処理プログラム等に有用である。
100 医用画像処理装置
110 ポート
120 ユーザインタフェース(UI)
130 ディスプレイ
140 プロセッサ
150 メモリ
200 MRI装置
11 フォンタンルート
12 大動脈
13 肝静脈
14 肝臓

Claims (7)

  1. ポート及びプロセッサを備える医用画像処理装置であって、
    前記ポートは、渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得し、
    前記プロセッサは、
    前記複数の断面形態画像に基づいて、前記断面形態画像の変形に関する動き情報を取得し、
    前記動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得し、
    前記断面形態画像に前記血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成し、
    前記血流の状態を示す情報は、前記断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む、
    医用画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の医用画像処理装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記断面形態画像に含まれる前記血流として流れる血液が通過する領域を抽出し、
    前記血液が通過する領域における前記血流の状態を示す情報を重畳し、前記表示画像を生成する、
    医用画像処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の医用画像処理装置であって、
    前記断面形態画像は、MRI装置により撮像されたMRI画像である、
    医用画像処理装置。
  4. 請求項3に記載の医用画像処理装置であって、
    前記MRI画像は、Gradient Echo法に従って撮像された画像である、
    医用画像処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置であって、
    前記血流となって移動する血液が通過する流路の径は、狭窄又は瘤によって変化する、
    医用画像処理装置。
  6. 医用画像処理装置における医用画像処理方法であって、
    渦及び滞留の少なくとも一方を有する血流の領域を含み、時系列に並ぶ複数の断面形態画像を取得し、
    前記複数の前記断面形態画像に基づいて、前記断面形態画像の変形に関する動き情報を取得し、
    前記動き情報における移動量、速度、及び歪み量の少なくとも1つに基づいて、血流の状態を示す情報を取得し、
    前記断面形態画像に前記血流の状態を示す情報を重畳して表示画像を生成し、
    前記血流の状態を示す情報は、前記断面形態画像の断面に平行な面内の成分を有する渦及び滞留の少なくとも1つの情報を含む、
    医用画像処理方法。
  7. 請求項6に記載の医用画像処理方法をコンピュータに実行させるための医用画像処理プログラム。
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