JP2018108077A - 遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キット - Google Patents

遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キット Download PDF

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Abstract

【課題】赤色蛍光タンパク質用の遺伝子発現制御方法を提供する。
【解決手段】
単量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させる。また、赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号2の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させる。また、赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳されたN末断片と翻訳されたC末断片とを結合させ、遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットに関する。
生体内の特定の細胞において遺伝子発現を制御することができれば、その細胞の生理機能を明らかにすることに役立ち、各種病態の治療につながる。
このため、特定の細胞において、Creリコンビナーゼ等の核酸組換え酵素を発現させる遺伝子改変(トランスジェニック)動物や、核酸組換え酵素依存的に遺伝子発現を誘導する各種ベクターが開発されている。
一方、特定の細胞を可視化するために、特定の細胞に選択的に蛍光タンパク質を発現させるトランスジェニック動物も数多く作成されている。
ここで、特許文献1及び非特許文献1を参照すると、緑色蛍光タンパク質(GFP)に選択的に結合する抗体様分子であるナノボディを結合ドメインとして備えたCreリコンビナーゼのN末断片のフュージョンタンパク質と、GFPの結合ドメインとして同一の抗体様分子を備えたC末断片のフュージョンタンパク質とを用いる遺伝子制御方法が記載されている。
特許文献1及び非特許文献1の技術(以下、「従来技術1」と称する。)では、GFPの発現している細胞でのみ、Creリコンビナーゼの活性を発揮させることができる。つまり、従来技術1では、特定の細胞に選択的に蛍光タンパク質を発現させる既存のトランスジェニック動物を利用して、目的とする遺伝子の発現制御を行うことが可能となる。
米国特許出願公開第2015/0096066号明細書
Tang,J他、「Cell type−specific manipulation with GFP−dependent Cre recombinase.」、Nat Neurosci、2015年、18号、p.1334−1341 Fridy,P.C.他、「A robust pipeline for rapid production of versatile nanobody repertoires.」、Nat Methods、2014年、11号、p.1253−1260 Brauchle,M他、「Protein interference applications in cellular and developmental biology using DARPins that recognize GFP and mCherry」、Bioi Open、2014年、3号、p.1252−1261 Niopek,D他、「Optogenetic control of nuclear protein export.」、Nat Commun.、2016年、Feb 8;7:10624.、doi: 10.1038/ncomms10624. Kredel,S他、「mRuby, a bright monomeric red fluorescent protein for labeling of subcellular structures.」、PLoS One 4、2009年、e4391
しかしながら、従来技術1のCreのN末断片及びC末断片のフュージョンタンパク質は、オワンクラゲに由来するGFPの改変体であるCFP、YFPといった蛍光タンパク質には結合するものの、サンゴ(Discosoma sp.)に由来するdsRedや、その改変体であるmCherry、mRFP1、tdTomatoといった赤色蛍光タンパク質には結合しなかった。
このため、従来技術1では赤色蛍光タンパク質を標的とした遺伝子発現誘導のような遺伝子発現制御方法を実現できなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、単量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、前記赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号2の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、前記赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳された前記N末断片と翻訳された前記C末断片とを結合させ、前記遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記配列番号1及び前記配列番号2の塩基配列は、コドン最適化されたことを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記単量体の赤色蛍光タンパク質は、サンゴ(Discosoma sp.)由来のmCherry又はmRFP1であることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、多量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、前記配列番号3の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、前記赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳された前記N末断片と翻訳された前記C末断片とを結合させ、前記遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記配列番号3の塩基配列は、コドン最適化されたことを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記多量体の赤色蛍光タンパク質は、サンゴ(Discosoma sp.)由来のtdTomatoであることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記遺伝子発現制御タンパク質は、部位特異的DNA組換え酵素であることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御方法は、前記赤色蛍光タンパク質及び/又は前記遺伝子発現制御タンパク質は、細胞内局在性を変化可能に構成され、前記細胞内局在性の変化により、前記遺伝子発現制御タンパク質の活性を変化させることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御キットは、配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、配列番号2の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含むことを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御キットは、配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、前記配列番号3の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含むことを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御キットは、発現させたい遺伝子の配列を前記遺伝子発現制御タンパク質による標的配列に対応して備えた塩基配列を含むヌクレチオドを更に備えることを特徴とする。
本発明の遺伝子発現制御キットは、それぞれの前記ヌクレチオドは、アデノ随伴ウィルスベクターであることを特徴とする。
本発明によれば、単量体の赤色蛍光タンパク質に最適化された結合分子をコードする配列番号1及び配列番号2の塩基配列を含むヌクレチオドを翻訳させて用いることで、赤色蛍光タンパク質を標的とした遺伝子発現誘導を行う遺伝子発現制御方法を実現することができる。
本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法の概念図である。 本発明の実施例1に係るベクターN−Cre−MBP6の構造図である。 本発明の実施例1に係るベクターC−Cre−MBP1の構造図である。 本発明の実施例1に係るベクターN−Cre−MBP8の構造図である。 本発明の実施例1に係るベクターC−Cre−MBP8の構造図である。 本発明の実施例1に係る赤色蛍光タンパク質に対するMBPの機能的なペアのスクリーニングを行うためのルシフェラーゼ・アッセイの結果を示すグラフ及びヒートマップである。 本発明の実施例1に係るCre−DORのルシフェラーゼ・アッセイの結果を示すグラフ及び写真である。 本発明の実施例1に係るCre−DOTのルシフェラーゼ・アッセイの結果を示すグラフ及び写真である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOMの機能確認において、野生型マウスの大脳皮質M1領域に4種類のウイルスを注入する際の模式図である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOMの機能確認におけるCre−DOMの作用機序を示す模式図である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOMの機能確認におけるウイルス注入部位及び投射先でのpalGFP発現の写真である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOMの機能確認におけるpalGFP発現の定量化データを示すグラフである。 本発明の実施例2に係るGRPRニューロン特異的にmRFP1を発現するトランスジェニックラット脳内でのCre−DOMの機能確認の模式図である。 本発明の実施例2に係るトランスジェニックラット脳内でのCre−DOM機能確認の写真である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOTの機能確認において、野生型マウスの大脳皮質M1領域に4種類のウイルスを注入する際の模式図である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOTの機能確認におけるCre−DOTの作用機序を示す模式図である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOTの機能確認におけるM1皮質でのpalGFP発現の写真である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOTが標的として認識しないmRubyを用いた対照実験の模式図である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのmRubyを用いた対照実験におけるM1皮質及び脳梁のpalGFP発現の写真である。 本発明の実施例2に係るマウス脳内でのCre−DOTの機能確認における。 本発明の実施例2に係るCre−DORの細胞内局在変化による機能変化確認におけるシグナル配列を示す図である。 図8Aのシグナル配列付加によるmCherry、tdTomatoの細胞内局在変化を示す写真である。 図8Bのそれぞれに対してCre−DORを機能させたときのCre活性の変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る青色光を用いたCre−DORの活性調節において、光駆動性ドメイン(LEXY)を用いたRFPの核外移行の概念図である。 本発明の実施例2に係る青色光を用いたCre−DOMの活性調節におけるmCherryの青色光照射による核外移行の写真である。 図9Bの青色光照射によるCre−DOMの活性変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る青色光を用いたCre−DOTの活性調節におけるtdTomatoの青色光照射による核外移行の写真である。 図9Dの青色光照射によるCre−DOTの活性変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る薬剤を用いたCre−DORの活性調節において、Dex添加によるRFPの核内移行の概念図である。 本発明の実施例2に係る薬剤を用いたCre−DOMの活性調節における、Dex添加によるmCherryの核内移行の写真である。 図10BのDex添加によるCre−DOMの活性変化を示すグラフである。 本発明の実施例2に係る薬剤を用いたCre−DOTの活性調節において、Dex添加によるtdTomatoの核内移行の写真である。 図10DのDex添加によるCre−DOTの活性変化を示すグラフである。
<実施の形態>
上述したように、従来技術1のCre−DOG(Cre recombinase dependenton GFP)では、赤色蛍光タンパクには対応できなかった。すなわち、GFP用のナノボディを備えたCreリコンビナーゼのN末断片及びC末断片では、サンゴ由来の赤色蛍光タンパク質に結合しないため用いることができなかった。
このため、本発明者らは、標的タンパク質に対する選択的結合ドメインに対して改良を加えることで、赤色蛍光タンパク質依存的な遺伝子発現誘導を達成することを着想して、鋭意実験を繰り返し、本発明を完成させるに至った。
図1を参照して具体例について説明すると、本発明者らは、ナノボディ又はDARPinを、赤色蛍光タンパク(RFP)を認識する結合ドメインとして利用することを考えた。本実施形態のナノボディは、ラクダ科動物重鎖のみ抗体に由来する、非常にサイズが小さく、結合ドメインとして利用可能なタンパク質(ペプチド)である。また、DARPin(Designed Ankyrin Repeat Protein)は、抗体を模した人工分子のペプチドであり、アンキリンリピートの組み合わせで多様な結合性を示す。
図1(a)に示すように、CreリコンビナーゼがN末端及びC末端の断片に分割され、それぞれが標的(ターゲット)タンパク質用の特定のナノボディ又はDARPinの結合分子により結合される。また、標的タンパク質であるRFPが存在すると、分割されたN末端とC末端が結合し、Creリコンビナーゼの酵素活性を機能させる。つまり、本実施形態においては、CreリコンビナーゼのN末断片(以下、「N−Cre」という。)又はC末断片(以下、「C−Cre」という。)は、mCherryを結合するナノボディ又はDARPinを介して結合される。すなわち、N−Cre及びC−Creと、RFPとの結合により、機能するCreリコンビナーゼへの再結合が生じる。本発明者らは、このようにして機能する、RFP依存のCreリコンビナーゼ(Cre−dependent on RFP、以下「Cre−DOR」という。)を作成した。
具体的には、本発明者らは、非特許文献2に記載された、赤色蛍光タンパクであるmCherryに特異的に結合するナノボディ(6種類)と、非特許文献3に記載されたmCherryに特異的に結合するDARPin(2種類)とを、分子量やその結合特性から有望であると判断した。本発明者らは、これら6種類のナノボディ及び2種類のDARPinについて、MBP1〜8(mCherry Binding Protain)と命名した。
以下、選択されたナノボディをMBP1〜MBP6、DARPinをMBP7、MBP8と表記する。
ここで、非特許文献2及び非特許文献3で述べられているように、MBP1〜8の元になった配列単独での詳細な結合特性は調べられていた。しかしながら、融合タンパク質の結合モジュールとして用いた場合には、結合特性の高いMBPどうしのペアが必ずしも高い組換え活性をもたらすとは限らないことが容易に想定される。これは、CreのN末断片とC末断片が再会合する効率については、赤色蛍光タンパク質に対するMBPそれぞれの結合部位の位置関係やMBPどうしに働くタンパク質間相互作用等の複雑な要因が影響するためである。つまり、従来、通常のCreリコンビナーゼを分割したN末断片、C末断片の結合配列として、このような配列が使用可能であるかは分かっていなかった。
図1(b)に、各Cre−DORコンストラクトの概要を示す。本発明者らは、これらの6+2=8種類の結合分子について、CreのN末断片又はC末断片を含むフュージョンタンパク質をコードするベクターを作成した。この際、各MBPのDNA塩基配列はオリジナルの配列からコドン最適化された。本発明者らは、これらフュージョンタンパク質8種類×8種類=64通りからなる結合分子の全ての組み合わせについて、標的タンパク質となる各赤色蛍光タンパク質との結合性を調べた。そして、実験の末、最適な組み合わせのペアを特定するに至った。
具体的には、本発明者らは赤色蛍光タンパク質、mCherry、mRFP1、及びtdTomatoをそれぞれ発現させた際の機能性をみる実験を鋭意行った。これらの赤色蛍光タンパク質は、すべて同じ野生型dsRedタンパク質に由来している。
図1(c)に示すように、mCherryとmRFP1は単量体であるが、tdTomatoは2つのサブユニットがタンデムに並んだ二量体である。また、4量体のDsRedも存在する。
本発明者らは、これらの単量体であるmCherry及びmRFP1と、二量体であるtdTomatoとで、MBP1〜MBP8について、異なる最適なペアを取得した。
ここで、以下、単量体であるmCherry、mRFP1に対してよく機能するペアを用いたものを以下、Cre recombinase dependent on monomeric RFPs、「Cre−DOM」と表記する。
また、多量体であるtdTomatoに対してよく機能するペアを用いたものを、以下、Cre dependent on tdTomato、「Cre−DOT」と表記する。
以下、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットについて具体的且つ詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法は、単量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列表記載の配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列表記載の配列番号2の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳されたN末断片と翻訳されたC末断片とを結合させ、遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることを特徴とする。
具体的には、本実施形態の遺伝子発現方法は、例えば、単量体である赤色蛍光タンパク質、サンゴ(Discosoma sp.)由来のmCherry又はmRFP1に対して、機能する結合ドメインを備えた結合分子のペアとして、上述のナノボディMBP6をコードする配列番号1の塩基配列と、遺伝子発現制御タンパク質としてCreリコンビナーゼのN末断片をコードするベクター等のベクターを翻訳させる。また、例えば、ナノボディMBP1をコードする配列番号2の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むベクターを翻訳させる。この上で、例えば、mCherry又はmRFP1に、それぞれの結合分子であるMBP6及びMBP1が結合することで、翻訳されたN末断片と翻訳されたC末断片とを結合させ、機能するCreリコンビナーゼとして活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることができる。
また、本発明の実施の形態に係る配列番号1及び配列番号2の塩基配列は、コドン最適化されたことを特徴とする。
具体的には、配列番号1及び配列番号2の塩基配列は、例えば、トランスジェニック生物のコドンに合わせて最適化することが可能である。たとえば、本実施形態では、哺乳類の翻訳のコドンとなるよう最適化している。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法は、多量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列表記載の配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列表記載の配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳されたN末断片と翻訳されたC末断片とを結合させ、遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることを特徴とする。
具体的には、本実施形態の遺伝子発現方法は、例えば、二量体であるサンゴ(Discosoma sp.)由来のtdTomatoに対して、機能する結合ドメインを備えた結合分子のペアとして、上述のDARPin MBP8コードする配列表記載の配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質としてCreリコンビナーゼのN末断片をコードする塩基配列とを含むベクターを翻訳させる。また、例えば、DARPin MBP8をコードする配列番号3の塩基配列とCreリコンビナーゼのC末断片をコードする塩基配列とを含むベクターを翻訳させる。また、例えば、tdTomatoに、結合分子であるMBP8が結合することで、翻訳されたN末断片と翻訳されたC末断片とを結合させ、機能するCreリコンビナーゼとして活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させることを特徴とする。
また、本発明者らは、それぞれの配列は哺乳類細胞での発現を高めるため塩基配列にコドン最適化を行った。
具体的には、配列番号3の塩基配列についても、トランスジェニック生物のコドンに合わせて最適化することが可能である。たとえば、本実施形態においては哺乳類の翻訳のコドンとなるよう最適化している。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法は、遺伝子発現制御タンパク質は、部位特異的DNA組換え酵素であることを特徴とする。
具体的には、本実施形態の遺伝子発現制御タンパク質として、例えば、部位特異的DNA組換え酵素である、Creリコンビナーゼ等を用いることが可能である。このうち、Creリコンビナーゼは、DNA組換え酵素で、34塩基対のloxP配列のペアを認識して組換えを起こす。このloxP配列には方向性があり、2つのloxPが同じ向きであればその間の配列が環状DNAとして切り出される。逆向きであれば、その間の配列の向きが入れかわる。また、loxP配列にはlox2272等の変異体があり、loxP−loxP、lox2272−lox2272はそれぞれ特異的に組換えを起こす。一方、loxP−lox2272間では組換えを起こすことはないといった特長がある。
なお、本実施形態の部位特異的DNA組換え酵素として、Creリコンビナーゼの他にも、再結合によって組換え活性を復活させることが可能なものであれば用いることが可能である。たとえば、FLPリコンビナーゼのような酵素において、再結合によって組換え活性を復活させるような分割方法があれば適用可能である。
また、本実施形態の遺伝子発現制御タンパク質として、部位特異的DNA組換え酵素以外にも、生理活性を保つ分割方法が存在する各種酵素や毒性タンパク質等を用いることも可能である。たとえば、ルシフェラーゼには、このような分割方法が存在するため、適用可能である。また、プロテアーゼ、β−ラクタマーゼ、リコンビナーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素、チミジンキナーゼ、又はコリスミ酸ムターゼ等についても、生理活性を保つ分割方法があれば、適用可能である。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法は、赤色蛍光タンパク質及び/又は遺伝子発現制御タンパク質は、細胞内局在性を変化可能に構成され、細胞内局在性の変化により、遺伝子発現制御タンパク質の活性を変化させることを特徴とする。
具体的には、後述の実施例2に示すように、本実施形態のCre−DORは、標的RFPの核局在化(図8A〜図8C)に依存して機能する。具体的には、Cre−DORは、RFPが核内に細胞内局在して作用した場合には活性が高くなる。逆に、Cre−DORは、RFPが核外(サイトゾル)の細胞質内や細胞膜等の原形質膜に細胞内局在して作用した場合には活性が低くなる。このため、各種、核受容体等の細胞内局在性の移行方式を使用して、Cre−DORの活性を変化させることが可能である。特に、図8Cで示すように、RFPが膜に集中する場合、Cre−DOR活性は最小となる。
本実施形態では、細胞内局在性を変化可能にする移行方式として、RFPに細胞内局在を移動させるペプチドを付加してもよい。また、本実施形態のCre−DORを含む遺伝子発現制御タンパク質自体に、細胞内局在を移動させるペプチドを付加してもよい。この細胞内局在の移動は、RFP又は遺伝子発現制御タンパク質に付加されたペプチドに対応して、細胞内の細胞周期、分化、シグナル応答等の各種状態変化により行われてもよい。
また、RFP及び/又は遺伝子発現制御タンパク質について、光照射、薬剤付与、イオン濃度の変化、磁気や電場の変化等により、細胞内局在を選択的に変化させるような化学的な修飾を行ってもよい。この光照射としては、例えば、非特許文献4に記載のLEXYドメインをRFP又は遺伝子発現制御タンパク質に付加し、青色光を照射して細胞内局在を変化させてもよい。LEXYドメインは、光誘起により核外移行させるように付加されるペプチドとなる。また、薬剤による細胞内局在の変化として、例えば、グルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor、GR)をRFP又は遺伝子発現制御タンパク質に付加してもよい。この場合、薬剤として、GRのリガンドであるDexamethasone(Dex)を付与することで、GRを含むタンパク質を核内移行させることが可能となる。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットは、配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、配列番号2の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含むことを特徴とする。
具体的には、Cre−DOM用の遺伝子発現制御キットとして、例えば、N−CreとMBP6とを含むベクターであるN−Cre−MBP6(第一ベクター)と、C−CreとMBP1とを含むベクターであるC−Cre−MBP1(第二ベクター)を用いることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットは、配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含むことを特徴とする。
具体的には、Cre−DOT用の遺伝子発現制御キットとして、例えば、N−CreとMBP8とを含むベクターであるN−Cre−MBP8(第一ベクター)、C−CreとMBP8とを含むベクターであるC−Cre−MBP8(第二ベクター)を用いることが可能である。
本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットは、発現させたい遺伝子の配列を遺伝子発現制御タンパク質による標的配列に対応して備えた塩基配列を含むヌクレチオドを更に備えることを特徴とする。
具体的には、本実施形態のCre−DOM又はCre−DOT用に、例えば、Creリコンビナーゼの標的配列であるloxP内にプロモータと目的遺伝子を逆向きに配置し(不活性型)、Creの存在下で不可逆的に組換えを起こして活性化するFLEXスイッチを構成するようなベクター(第三ベクター)を用いて、遺伝子発現制御をみることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットは、動物生体内への応用に関して、例えば、CreリコンビナーゼのN末断片と赤色蛍光タンパク質に対する結合分子とをコードする遺伝子を発現する第一ベクター、CreリコンビナーゼのC末断片と赤色蛍光タンパク質に対する結合分子とをコードする遺伝子を発現する第二ベクター、及び発現させたい遺伝子をCreリコンビナーゼによる発現スイッチ内に備えた第三ベクターとして提供されてもよい。
目的とする赤色蛍光タンパク質を発現する細胞に、これら3種類のベクターを投与することで、遺伝子発現調整キットによる遺伝子発現制御を実現することが可能となる。
なお、これら第一ベクター、第二ベクター、及び第三ベクターは、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットにのみ用いられる、いわゆる「のみ品」であることが当業者に理解される。
また、上述の第一ベクター、第二ベクター、及び第三ベクターは、必ずしも別々のベクターとして提供されなくてもよい。たとえば、第一ベクター及び第二ベクターについて、N−Cre−MBPとC−Cre−MBPとを、自己開裂する2Aペプチド(self−cleavage 2A peptide)で連結することで、一つのベクターとしてまとめることも可能である。
本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御キットは、それぞれのヌクレチオドは、アデノ随伴ウィルスベクターを含むことを特徴とする。
具体的には、本実施形態の各ヌクレチオドは、例えば、高効率のアデノ随伴ウィルスベクターにより提供することが可能である。なお、アデノ随伴ウィルスベクターに限らず、各種のベクターを用いてコンストラクトしてもよい。この各種のベクターは、ウィルスベクター以外のベクターであってもよい。また、ベクターは、エレクトロポレーション及びナノ粒子を用いたような任意の手法を介して細胞に導入することが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットの目的とする動物は、赤色蛍光タンパク質を発現するように遺伝子改変されたトランスジェニック生物である。この生物は、動物、植物、及び菌類等であってもよい。
このうち、トランスジェニック動物は、ショウジョウバエやイセエビやイカ等の無脊椎動物、ゼブラフィッシュ等の魚類、は虫類、及び哺乳類を含む。トランスジェニック哺乳類は、トランスジェニックげっ歯類、例えば、マウス、ラット、フェレット、モルモット、又はウサギ、トランスジェニックイヌ、トランスジェニックネコ、トランスジェニックヒツジ、トランスジェニックブタ、トランスジェニックウシ、トランスジェニックウマ、又は非ヒューマンのトランスジェニック霊長類であってもよい。
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることが可能である。
従来から、特定の細胞の正確な機能を理解するために、生きている動物中での遺伝子発現の選択的調節が必要とされていた。また、遺伝学的にコード化された蛍光タンパク質は特定の種類の細胞を生体内で観察するために広く使用されていた。また、従来から、非常に多くの蛍光タンパク質が知られていた。しかし、それらの大半は、Aequorea victoria種のクラゲ由来のGFP、又はDiscosoma sp.種のサンゴ由来のDsRedの変異体であった。
また、従来技術1のように、GFP依存転写調節因子及びGFP依存Creリコンビナーゼが報告されている。しかしながら、これらの適用は、緑色蛍光タンパク質とその変異体に制限されていた。GFPのアミノ酸配列及びタンパク質構造のために、GFPの変異体の蛍光タンパク質は抗体の結合性が類似しているものの、赤色蛍光タンパクはアミノ酸配列や抗体の結合性がGFPとは大きく異なっていたためである。
これに対して、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットにおいては、標的タンパク質への結合タンパク質モチーフとしてナノボディとDARPinを使用して、機能するRFP依存CreリコンビナーゼであるCre−DOR及びCre−DOTを提供することができた。本実施形態のCre−DOR及びCre−DOTは、標的タンパク質であるRFPに対して高度な活性があり、他のタンパク質や薬剤についてのリーク活性が非常に低かった。よって、後述する実施例で示すように、赤色蛍光タンパク質を発現する培養細胞において、目的とする遺伝子発現制御を行うことが可能である。
また、本実施形態では、細胞を発現するRFP中で遺伝子発現を選択的に調整するために既存のRFPトランスジェニック系統を利用する新方式を提供する。
上述の、赤色蛍光タンパク質(mRFP、mCherry、及びdTomato)は、生きた動物の特定の種類の細胞をマークするために広く用いられている。多くの遺伝子組み換えRFP株がマウス、ラット、又はより大きな動物について生成されている。また、植物では、葉緑素からの自己蛍光を回避することができるので、赤色蛍光タンパク質は有用である。
また、Creリコンビナーゼ及びCre依存の遺伝子改変手段は急速に普及しているものの、新しい遺伝子組み換え動物株の作成には、現在でも多大な時間が必要である。
これに対して、本実施形態のCre依存遺伝子発現制御方法を光遺伝学的又は薬理遺伝学的に用いることで、既存のRFP発現株を利用することができる。Creトランスジェニック系統の代用品として、これらを使用することができるだけでなく、RFP発現細胞をマークするユニークな方法を提供することができる。
近年、ヒト以外のトランスジェニックの霊長類も徐々に増加している。ゲノム編集及び他の遺伝学的技術も急速に発展しているが、1つの新しいトランスジェニック霊長類の系統を確立するのには、まだ非常に多くの時間を要していた。
これに対して、本実施形態の遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットは、同じトランスジェニック株を異なる目的に利用する効率的な方法を提供することができる。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットは、コドン最適化された場合、脊椎動物を対象としている。脊椎動物は特に限定されるものではなく、例えば、ヒト、家畜動物種、野生動物を含む。また、家畜動物種としては、実験動物であるマウス、ラット、ハムスター等の齧歯類も含む。
このため、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法は、ヒトの治療の他に、動物の治療、家畜の発育増進等の対象とすることができる。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットは、生体内の特定細胞において遺伝子発現の制御が可能となり、細胞の生理機能を明らかにすることに役立つだけでなく、ひいては病態の制御につながる可能性がある。
たとえば、RFP蛍光タンパク質を発現させた各種疾病の細胞における遺伝子発現制御は、新たな治療法の開発につながる可能性がある。
また、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットにおいては、上述のように、ナノボディとDARPinを使用して、Cre−DORを作成した。この際、単量体mCherry及び二量体のtdTomatoの間で、効率的で機能的なMBP1〜MBP8のペアが異なっていることを見いだし、Cre−DOM及びCre−DOTとして確立するに至った。
ここで、Cre−DOMはCreリコンビナーゼのN末断片に付加する結合ドメインとして配列1のナノボディ、CreリコンビナーゼのC末断片に付加する結合ドメインとして配列2のナノボディを用いる。一方で、Cre−DOTは配列3から構成されるDARPinをN末、C末断片ともに結合ドメインとして用いる。つまり、Cre−DOTは配列3から構成されるDARPinをN末、C末断片ともに結合ドメインとして用いる。
また、Cre−DOMは、mCherry及びmRFP1を標的としてCreリコンビナーゼ活性を発揮するが、tdTomatoを標的としては機能しない。一方で、Cre−DOTはtdTomatoを標的としてCreリコンビナーゼ活性を発揮するが、mCherry、mRFP1を標的としては機能しない。
このようなMBP1〜8のペアの機能特性は、mCherry、mRFP1、tdTomato、及びDsRedの間のオリゴマー化の違いを反映すると考えられる。
当業者において、同じMBP1〜8のペアでは1つの認識部位が構築されないために働かないと仮定することは合理的である。実際に、同じMBPペアの標的としてmCherry又はmRFP1を使用した時、本発明者らはルシフェラーゼ活性が低いことを見いだした。
しかしながら、本発明者らは、同じMBPペアであるN−Cre−MBP8及びC−Cre−MBP8の組み合わせが、tdTomatoに対しては非常に機能的なペアであるという予期しない効果を見いだした。tdTomatoは二量体タンパク質であるので、同じ認識部位が、1つの二量体中の2つの場所に露出されるため、これを認識することが推定される。つまり、Cre−DOTにおいて、N末、C末ともに同一の結合分子を採用する構成は、標的タンパク質がtdTomatoのように同一の結合部位が複数露出する可能既のある多量体である場合においてのみ適用可能であり、従来技術1では想定していなかった。
これらの特徴は、単量体タンパク質のオリゴマー化状態を検知するために利用することが考えられる。また、単量体から二量体への凝集を契機とするCreリコンビナーゼの活性スイッチングの開発につながる可能性がある。
さらに、Cre−DOM及びCre−DOTの異なる機能特性により、蛍光タンパク質の単量体及び二量体の状態の状態変化を起こすことで、Creリコンビナーゼ活性を切り換えることが可能となる。
たとえば、従来、蛍光タンパク質のオリゴマー化状態を照射する光の周波数で変換することが可能な蛍光タンパクであるDronpaが報告されている。Dronpaもそのオリジナルの四量体タンパク質に由来するので、mCherryを使用して、同様のシステムを確立することが考えられる。これにより、Creリコンビナーゼ活性の光惹起によるスイッチングを達成することが可能となる。
また、本実施形態において、標的タンパク質への選択的結合を利用する機能的な分子を構築するために、DARPinを使用することができるという、当業者に予期しない効果を示した。
また、本実施形態の遺伝子発現調整方法は、AAV(アデノウィルス随伴)ベクターを使用して、本発明者らは、生体内で特定の遺伝子の選択的遺伝子発現を行うことが可能となる。
このように、生体内での特定の遺伝子の選択的発現制御を行うことで、例えば、脳の神経細胞のつながりを明らかにするコネクトミクス研究、細胞、組織移植治療の発展に貢献することができる。また、赤色蛍光タンパク質を部位特異的に発現させた動物を用いて遺伝子制御を行うことにより、ガン等の病気の新たな治療法につながる可能性がある。
なお、上述の実施の形態においては、標的タンパク質として同一の赤色蛍光タンパク質を用いる例について記載した。しかしながら、N−Cre及びC−Creにおいて、別々の標的タンパク質の結合分子の塩基配列を用いることも可能である。すなわち、一つの特定のナノボディ又はDARPinのような他の結合分子を作成した場合、内因性タンパク質発現において、興味のある複数の遺伝子の誘導を行うことも可能である。
たとえば、従来、GFP依存Flp組換え酵素が報告されている。これに対して、1つの個体の中の2種類の細胞を操作するためにGFP依存Flpと、Cre−DOR又はCre−DOTを同時に使用することが可能である。たとえば、プロトカドヘリン(Ptcd)は発生の際、及び大人の脳でさえ動的な発現パターンを示す。Cre−DOT及びPtcd−tdTomatoマウスにおいて、特定の時点で、1つの特定のPtcdを発現又は発現しないニューロンをトレースすることが可能である。
また、本実施形態のCre−DOM及びCre−DOTは、非特許文献5に記載された、サンゴイソギンチャク(Entacmaea quadricolor)由来の単量体の赤色蛍光タンパクであるmRubyを標的としては機能しない。これに対して、上述のような結合分子であるナノボディとDARPinの配列の一部変更や選択により、Cre−DOM及びCre−DOTと同様のmRuby依存Creリコンビナーゼを作成することも可能である。これにより、本実施形態に係るRFPとして、mRubyを標的とするように構成することも可能である。また、上述のようなmRubyの単量体及び多量体の状態の状態変化によるスイッチング等も可能であると考えられる。なお、このように構成しない場合には、mRubyは、本実施形態の標的とする単量体の赤色蛍光タンパク質から除かれてもよい。
また、膜から移動するタンパク質を標的タンパク質として、遺伝子発現制御タンパク質を機能させることも可能である。この標的タンパク質として、例えば、Notchシグナル系を用いることが可能である。Notchシグナルでは、Notchドメインの細胞間の領域(NICD)が、単一の膜貫通受容体タンパク質を構成しており、これが開裂され、核内へ移動される。また、アルツハイマー病の原因となるアミロイド・ベータタンパク質を標的タンパク質とすることも可能である。アミロイド・ベータは、γ−セクレターゼによってアミロイド前駆タンパク質が分割されることに由来して、生成される。別の分割断片、APP細胞内ドメイン(APP intracellular domain、AICD)も核内に移行して、関連する遺伝子の発現を引き起こす。これらの特異的な結合を示すタンパク質は、シグナルがオンとなる細胞の特定遺伝子操作のため、同様に、標的タンパク質としてもよい。
なお、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットは、他の組成物等と併用することも可能である。また、他の組成物と同時に本発明の組成物を投与してもよく、また間隔を空けて投与してもよいが、その投与順序は特に問わない。
以下で、本発明の実施の形態に係る遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットについて、具体的な実験を基にして、実施例としてさらに具体的に説明する。しかしながら、この実施例は一例にすぎず、これに限定されるものではない。
〔材料及び手法〕
(DNA構築)
mCherryナノボディ(MBP1〜6)のアミノ酸配列は、非特許文献3に述べられていたLaM1〜6の配列を参考にして作成された。
mCherry DARPin(MBP7、MBP8)のDNA塩基配列は、非特許文献5に述べられていた2m22、3m160の配列を参考にして作成された。
これらのDNA塩基配列については、コドン最適化された上で合成され、pAAV−EF1aN−CretrcintG(Addgene ID:69570)又はpAAV−EF1aC−CreintG(Addgene ID:69571)中へ挿入された。
図2A、図2B、図2C、図2Dに、これらのCre−DORの各コンストラクトのうち、N−CreとMBP6とを含むN−Cre−MBP6(pAAV−EF1a−N−Cre−MBP6−WPRE)、C−CreとMBP1とを含むC−Cre−MBP1(pAAV−EF1a−C−Cre−MBP1−WPRE)、N−CreとMBP8とを含むN−Cre−MBP8(pAAV−EF1a−N−Cre−MBP8−WPRE)、C−CreとMBP8とを含むC−Cre−MBP8(pAAV−EF1a−C−Cre−MBP8−WPRE)のベクターのプラズミドのコンストラクトの構造を示す。
(in vitroルシフェラーゼ・アッセイ)
EF1aドリブンのRFP(mCherry、mRFP1、tdTomato)をコード化するプラズミド及びCreN末断片キメラ及びC末断片キメラのプラズミドが、FLEXスイッチを構成するpAAV−CAG−FLEX−NanoLucをコードするプラズミドと共に、HEK293細胞の中へのリン酸カルシウムによってトランスフェクトされた。この際、DNA量の合計100〜200ngが、96穴プレートの単一のウェルへトランスフェクトされた。
細胞はトランスフェクション時に80〜100%コンフルーエントだった。細胞は24〜48時間後に、Nano−Gloルシフェラーゼ・アッセイシステム(Promega製)に供された。
トランスフェクションは、すべて1:1:1(RFP:N−CretrcintG:C−CreintG)のプラズミド・モル比で行われた。
本発明者らは、ルミネセンス(蛍光)を検知するためにSpark10Mマルチモード・マイクロプレート・リーダ(TECAN製)を使用した。
(AAVプロダクション及びインジェクション)
AAVベクターはAAVヘルパーフリー・システム(アジレント・テクノロジーズ社、サンタクルーズ、CA、アメリカ)を使用して、作成され、公表された方法に基づいて精製された。簡潔にいうと、HEK293細胞は、標準のリン酸カルシウム法を使用し、pHelper、pAAV−RC(セロタイプDJ、セルBiolabs社、サンディエゴ(CA)、アメリカから購入された)と、発現が必要な遺伝子を含むAAVベクター・プラズミドでトランスフェクトされた。3日後に、トランスフェクト細胞は、aCSF(人工脳脊髄液、124mM NaCl、3mM KCl、26mM NaHCO3、2mM CaCl2、1mM MgSO4、1.25mM KH2PO4、及び10mMグルコース)に集められサスペンドされた。4回の結氷融解サイクルの後、細胞溶解物は、45°Cでbenzonaseヌクレアーゼ(メルク、ダルムシュタット、ドイツ)で15分反応された後、2回、10分間、16,000gで遠心分離された。上澄は、ウイルス含んでいる溶液として使用された。精製されたウイルスの力価(タイター)を測定するために、上澄がaCSFに溶かされた。
ウイルスのタイターを測定するディジタルPCRは、TaqMan MGBプローブを使用して次のプライマーペアにより行なわれた:ウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント(WPRE)、5'−VIC−CTGCTTTAATGCCTTTGTAT−MGB−3'、フォーワード:5'−TGCTCCTTTTACGCTATGTGGATA−3'、リバース:5'−CATAAAGAGACAGCAACCAGGATTT−3'。ヒト成長ホルモンpolyA:5'−FAMCACAATCTTGGCTCACTG−MGB−3'、フォーワード:5'−GGGTCTATTGGGAACCAAGCT−3'、リバース:5'−GGCTGAGGCAGGAGAATCG−3'。また、AAVベクターは、実験の日まで、小さなアリコートとして−80°Cで保存された。
〔結果〕
(RFP依存Creリコンビナーゼをデザインするための効率的なMBPペアのスクリーニング)
図3〜図5によると、本発明者らは、活性のあるCreリコンビナーゼへ結合する最適なMBPペアを選択するために生体外(in vitro)のリポーター・アッセイを行なった。
図3は、Cre−DORに効率的なMBPペアをスクリーニングするためのルシフェラーゼ・アッセイの結果を示す。図3の(a)はmCherry、(b)はmRFP1、(c)はtdTomato、(d)はRFPなし(No RFPs)のコントロールについての結果である。左側のグラフは、横軸が各N−Cre−MBP1〜8とC−Cre−MBP1〜8とのペア、縦軸が相対発光強度(RLU)を示す。このRLUが、各RFPとMBP1〜MBP8との結合性を示している。各RFPにおいて、右側の写真は、蛍光の強度を示す「ヒートマップ」であり、右側のバーに黒(Low)〜白(High)の相対強度を示す。このヒートマップは、右側の濃度のバーで示されるような相対強度で描画される。また、従来技術1のCre−DOGに関するデータを、濃度のバー右側にライン位置として示した。
図3によると、mCherry及びmRFP1のヒートマップは類似した。本発明者らは、Cre−DOMとして、N−Cre−MBP6及びC−Cre−MBP1のペアを、最良のペアとして選択した。また、N−Cre−MBP1及びC−Cre−MBP1のペア、又はN−Cre−MBP2及びC−Cre−MBP2といった同じMBPを採用したペアは、弱いリポーター活性を呈した。
他方では、tdTomatoのヒートマップは、mCherry及びmRFP1のそれとは非常に異なっていた。最良のペアは、N−Cre−MBP8及びC−Cre−MBP8のペアだった。このため、Cre−DOTとして、N−Cre−MBP8及びC−Cre−MBP8ペアを選択した。
(in vitro Cre−DOM及びCre−DOTのリコンビナーゼ活性の特性) 次に、図4〜図5を参照して、選択されたそれぞれのN−Cre−MBP及びC−Cre−MBPの機能特性を、ルシフェラーゼ・アッセイで確認した実験の結果について説明する。
図4は、Cre−DOMとして選択されたN−Cre−MBP6及びC−Cre−MBP1のルシフェラーゼ・アッセイの結果を示す。
図4(a)の横軸は、mCherry、N−Cre−MBP6、及びC−Cre−MBP1をそれぞれ加えた(+)、又は、加えなかった(−)かについてを示し、縦軸は相対発光強度(RLU)を示す。図4(b)は、横軸は、各RFP、EGFPのコントロール、RFPなしのコントロールを示し、縦軸は、RLUを示す。図4(c)は、N−Cre−MBP6及びC−Cre−MBP1の存在下において、核染色剤として一般的に用いられるHoechst 33342の薬剤を加えたコントロール、FLEXスイッチを備えたhrGFPのベクター、FLEXスイッチを備えたRFPsのベクター(mCherry、mRFP1、tdTomato、dsRedの混合物)を、それぞれ、mCherry、mRFP1、及びコントロールのRFPなし(No RFPs)を加えた上で蛍光をみた写真である。
図5は、Cre−DOTとして選択されたN−Cre−MBP8及びC−Cre−MBP8のルシフェラーゼ・アッセイの結果を示す。図5(a)の横軸は、mCherry、N−Cre−MBP8、及びC−Cre−MBP8をそれぞれ加えた(+)、又は、加えなかった(−)かについてを示し、RLUを示す。図5(b)は、横軸は、各RFP、EGFPのコントロール、RFPなしのコントロールを示し、縦軸は、RLUを示す。図5(c)は、N−Cre−MBP8及びC−Cre−MBP8の存在下において、Hoechst 33342の薬剤のコントロール、FLEXスイッチを備えたhrGFPのベクター、FLEXスイッチを備えたRFPsのベクターを、それぞれ、tdTomatoに加えた、又はコントロールのNo RFPsで蛍光をみた写真である。
図4、図5によれば、各ペア及び標的タンパク質の全てが揃わないとHEK293細胞のFLEXスイッチは誘導されないことが示された。
また、標的タンパク質、N−Cre−MBP又はC−Cre−MBPの除去は、リポーター活性を損失させた。
具体的には、図4によれば、Cre−DOMとして選択されたCreリコンビナーゼのN−末断片又はC−末断片は、mCherry、mRFP1のナノボディに結合されることが分かった。すなわち、N−Cre及びC−Creと単量体のRFPとの結合により、機能するCreリコンビナーゼへの再結合が生じていた。
同様に、図5によれば、Cre−DOTとして選択されたCreリコンビナーゼのN−末断片又はC−末断片も、tdTomatoのDARPinに結合された。
すなわち、N−Cre及びC−Creと二量体のRFPとの結合により、機能するCreリコンビナーゼへの再結合が生じていた。
結果として、本実施例のベクターにより、赤色蛍光タンパク質を発現する培養細胞において、目的とする遺伝子発現制御を行うことに成功した。
また、Cre−DOMはmCherry及びmRFP1を標的としてCreリコンビナーゼ活性を発揮するが、tdTomatoを標的としては機能しなかった。
一方で、Cre−DOTはtdTomatoを標的としてCreリコンビナーゼ活性を発揮するが、mCherry、mRFP1を標的としては機能しなかった。
〔材料及び手法〕
(動物)
動物に関する実験手順はすべて、自治医科大学の動物実験委員会、及び岡山大学の動物実験委員会によって承認された。オスのC57BL/6Jマウスは、日本チャールス・リバー株式会社(神奈川、日本)から購入された。また、GRPR−mRFP1トランスジェニックラットは、坂本浩隆博士によって作出された(未発表)。GRPR−mRFP1トランスジェニックラットは、GRPRニューロン特異的にmRFP1を発現する。このGRPRニューロンは、ガストリン放出ペプチド受容体(gastrin−releasing peptide receptor:GRPR)を発現する特定のニューロンである。
これらのマウス及びラットは、厳密に12時間の明/暗サイクル(光期間は07:30〜19:30、暗期間は19:30〜7:30)、室温(22±2℃)及び湿度(55±15%)に厳密に保たれた。食料と水は適宜摂取可能にされた。
(光照射と薬剤投与)
光照射により惹起されたCre−DOM、Cre−DOTの活性調節の確認のため、青色光と、後述するLEXYドメインとを用いたアッセイを行った。LED平面パネルライト(TH2−100X100BL;CCS社、京都、日本)を用いて、一様な青色光照射(465nm、3.7W/m2)を照射した。
薬剤を用いたCre−DOM、Cre−DOTの活性調節の確認には、後述するDexを用いた。Dexは、メルク(ダルムシュタット、ドイツ)から購入された。Dexは、1mMストック用液からエタノールに溶かされ、プラスミド・トランスフェクション直後に、培地により1μMに薄められた。
(DNAコンストラクション)
Cre−DORのin vivo(生体内)での働きを確認するため、N−Cre−MBP、C−Cre−MBP、FLEX−palGFP、及び標的RFPをコード化するAAVベクターを生成した。ここで、palGFPは、膜移行性GFP(membrane−bound GFP)の一例であり、palmitoylationシグナルがタグ付けされたGFPである。palGFPをコードするベクターは、タカヒロ・ヨシダ博士(京都大学)の好意により提供された。palGFPにより、ニューロンの神経繊維が効果的にトレースされた。これらのAAVベクターは、上述の実施例1と同様に、pAAV−EF1a−N−CretrcintG(Addgene ID:69570)又はpAAV−EF1a−C−CreintG(Addgene ID:69571)を用いてコンストラクトした。
また、各RFPについて、細胞内局在化シグナルを付加したベクターも作成した。これらの細胞内局在化シグナル用のペプチドのアミノ酸配列は、従来の配列(CAAX motif、NES、及びNLS)を用いた。また、各RFPについて、選択的な細胞内局在の移行を行わせるため、LEXYドメイン及びGR(グルココルチコイド受容体)のペプチドのアミノ酸配列を付加したベクターも作成した。
(定位的AAV注入)
定位的AAV注入手術は、定位固定装置を使用して、アバチン(200mg/kg体重)によって麻酔下で注射された。AAVベクター(Cre−DOM C57BL/6Jマウス用アッセイ:各1×1012vg/ml、500nl。Cre−DOM GRPR−mRFP1ラット用アッセイ:各3×1011vg/ml、3μl。Cre−DOTアッセイ:各4×1011vg/ml、500nl)が、10週のC57BL/6Jマウスの右半球M1皮質(ブレグマから前方に0.7mm、右側に1.7mm、腹側から0.8mm)、又はGRPR−mRFP1ラットの右半球視索前野(ブレグマから後方に0.8mm、右側に0.3mm、腹側に8.0mm)に注射された。
(免疫組織化学及び蛍光顕微鏡法)
ウイルス注射の4週間後、アバチンによりマウスを麻酔し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒド、続いて、ヘパリン処理生理食塩水(20U/ml)で経心灌流した。脳は摘出され、4%パラホルムアルデヒド溶液中にて、オーバーナイトで後固定され、沈降するまで0.1Mリン酸緩衝液中の30%ショ糖溶液に移された。クライオスタット(CryoStar NX70、Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、アメリカ合衆国)を用いて一連の40μm切片を得た。脳切片は蛍光顕微鏡(IX73、オリンパス、東京、日本)でマウントされ試験された。
(統計解析)
統計解析は、ウィンドウズ(登録商標)用のGraphPadプリズム6(GraphPadソフトウェア、サンディエゴ、CA、アメリカ合衆国)を使用して行われた。スチューデントt検定によって、平均とSEMがシンプルに比較された。また、平均とSEMの多重比較は、一元配置ANOVA分析に続いてTukey検定によって行われた。0.05未満の確率(P値)は、これらの研究において重要であると考慮された。
〔結果〕
(マウス脳内でのCre−DOMの機能確認)
図6A〜図6Fによると、本発明者らは、Cre−DORのin vivo(生体内)での働きを確認するため、まず、単量体型RFP依存的Cre(Cre−DOM)のマウス脳内での機能確認のアッセイを行った。この際、N−Cre−MBP、C−Cre−MBP、FLEX−palGFP、及び標的RFPをコード化するAAVベクターを用いた。また、M1皮質錐状体細胞からの延伸する軸索を観察した。
図6Aは、本実施例の機能確認における、野生型マウスの大脳皮質M1領域に4種類のウイルスベクターを注入する模式図を示す。本アッセイでは、4種類のウイルスが、皮質のM1領域に同時に注入された。右枠内が注入部位(M1)、左枠内がM1領域の神経細胞がその軸索を延ばす脳梁(corpus callosum、cc)を示す。M1領域に存在する錐体細胞は脳梁を通って反対側のM1領域に軸索を伸ばしていることが知られている。
図6Bは、Cre−DOMの作用機序について説明する概念図である。mRFP1により活性化されたCre−DOMによって、palGFPに特異的な発現が引き起こされる。
図6Cは、ウイルス注入部位、及び当該注入部位の投射先でのpalGFP発現の確認を行った結果である。具体的には、図6Cは、ベクターの注入から4週間後における、注入されたマウスのM1皮質及び脳梁の蛍光画像を示す。アローヘッドは、palGFPとmRFP1の共同局在化を示す。図内のスケールバーは50μmを示す。標的のmRFP1を発現するベクターをCre−DOMベクターに注入したところ、注入されたマウスは、M1皮質の中でリポーターpalGFPの明瞭な発現を示した。
図6Dは、図6CのGFP発現の定量化データである。具体的には、対側性の脳梁の軸索密度の定量分析を行った(それぞれ、n=4、3)。この結果、Cre−DOM+mRFP1とCre−DOM+mRubyマウスの間で、有意差を示した。データは、平均±SEMを示す。統計解析として、スチューデントのt検定を行った(「**」は、P<0.01)。これらのpalGFP発現は、Cre−DOMベクター及びmRuby発現ベクターを注入したマウスでは、観察されなかった。
次に、本発明者らは、GRPRニューロン特異的にmRFP1を発現するGRPR−mRFP1トランスジェニックラットにおいて、mRFP1を発現するニューロンの選択的遺伝子発現を確認した。
図6Eは、mRFP1を発現するニューロンの選択的遺伝子発現での機能確認模式図の模式図である。このアッセイでは、mRFP1を発現するGRPR−mRFP1トランスジェニックラットの視床下部の視索前野(preoptic area、POA)に3種類のウイルスベクターが注入される。
図6Fは、GRPR−mRFP1トランスジェニックラット脳内でのCre−DOM機能確認のアッセイの写真である。本発明者らがCreDOMベクターをPOVに注入した際、注入されたラットはmRFP1を発現するニューロン中でhrGFPの選択的遺伝子発現を示した。
(マウス脳内でのCre−DOTの機能確認)
さらに、本発明者らは、二量体型RFP依存的Cre(Cre−DOT)の生体内での選択的遺伝子発現を確認するため、マウス脳内での機能確認アッセイを行った。
本発明者らは、標的としてnls−tdTomatoを発現するベクターをCre−DOTベクターに注入した。nls−tdTomatoは、核移行シグナル(NLS)が付加された核内移行型のtdTomatoである。tdTomatoは非常に強い蛍光強度をもつため、本アッセイにおいては、漏れ緑色蛍光による誤り検知の可能性を除外するために、nls−tdTomatoを使用した。
図7Aは、野生型のマウスにtdTomatoを注入して、Cre−DOTのアッセイを行う模式図である。4種類のウイルスがM1皮質に注入される。これは、図6Aと同様である。
図7Bは、tdTomatoによって活性化されたCre−DOTによって、palGFPに特異的な発現が引き起こされる概念図である。これも、図6Bと同様である。
図7Cは、野生型マウスの大脳皮質M1領域及び脳梁の蛍光画像である。本発明者らは、対側性の脳梁を通過する軸索を観察した。M1領域の錐体ニューロンは、脳梁まで軸索を伸張している。図内のスケールバーは、50μmを示す。ベクターを注入されたマウスは、M1皮質の中でリポーターpalGFPの明瞭な発現を示した。
図7Dは、Cre−DOTが標的として認識しない単量体のmRubyを用いた比較例の対照実験の模式図である。4種類のウイルスが、C57BL/6JマウスのM1皮質に注入される。
図7Eは、図7Dの対照実験のM1皮質及び対側性の脳梁の蛍光画像である。スケールバーは、50μmである。図7Cと比較すると、palGFPは、殆ど観察されないことを確認した。
図7Fは、反対側の脳梁における軸索密度の定量分析(各n=3)を示す。統計解析はスチューデントのt検定により行った。各グラフは平均±SEMを表わす。また、統計解析はスチューデントのt検定(「***」は、P<0.001を示す)により行った。この軸索の定量分析によれば、Cre−DOT+nls−tdTomatoと、Cre−DOT+mRubyマウスとでは、明確な差を示した。
(Cre−DORの細胞内局在変化による機能変化確認)
Creリコンビナーゼは、細胞の核内で活性を生じる。また、上述したように、標的RFPの特異的結合が、再結合したCreリコンビナーゼを安定させる。このため、標的RFPの細胞内局在変化はCre−DORリコンビナーゼの活性に影響する場合がある。この仮説を調べるために、本発明者らは、いくつかの細胞内局在化シグナルのペプチドを付加したmRFP1及びtdTomatoを作成し、標的RFPの細胞内局在変化によるCre−DOM、Cre−DOTの機能変化について調べた。
図8は、mCherry,tdTomatoに付加した細胞内局在化シグナルのペプチドのアミノ酸配列の模式図である。CAAXは膜移行シグナル、NESは核外移行シグナル、NLSは核内移行シグナルをそれぞれ示す。
図8Bは、図8Aのシグナル配列付加によるmCherry、tdTomatoの細胞内局在変化を示す蛍光画像である。スケールバーは、50μmを示す。これらの細胞内局在化シグナルを付与することで、明確な細胞内局在変化が観察された。
図8Cは、細胞内局在性の異なるRFPによる、Cre−DOM又はCre−DOTのルシフェラーゼ・アッセイの結果である。つまり、各グラフは、図8Bのそれぞれに対して、Cre−DOM、Cre−DOTを機能させたときのCre活性の変化を示す。また、各グラフは、平均±SEMを示す。これらのRFP変異体を標的として、Cre−DOM又はCre−DOTについてルシフェラーゼ・アッセイを行った結果、標的RFPの細胞内局在変化により、明確な有意差を生じた。つまり、これらのルシフェラーゼ・アッセイの定量分析によれば、標的RFPの膜、核外、核内の細胞内局在の違いにより、リコンビナーゼ活性が著しく異なっていた。
(青色光を用いたCre−DOM、Cre−DOTの活性調節)
上述のRFPの細胞内局在変化アッセイの結果は、標的RFPの細胞内局在変化を変化させることができれば、Cre−DOR活性を制御することができることを示唆する。この仮説を確認するため、本発明者らは、光駆動性ドメインを用いたCre−DOM、Cre−DOTの活性調節を確認した。本実施例では、光駆動性ドメインの一例であるLEXYドメインを用いた。また、本アッセイでは、NLS及びLEXYドメインを付与したnls−tdTomato−LEXY及びnls−tdTomato−LEXYのベクターを作成して用いた。
図9Aは、LEXYドメインを用いたRFPの核外移行の概念図を示す。LEXYドメインは、エンバク(Avena sativa)の青色光受容体タンパク質フォトトロピン(Phototropin)1(AsLOV2)由来の遺伝子改変LOV2ドメインからなる。このLOV2ドメインでは、AsLOV2のC末のJαヘリックスが、NESのモチーフに変更されている。このNESは、暗所ではAsLOV2の中心部にしっかりとパックされ、不活性である。また、青色光が照射されると、Jαヘリックスの変性が惹起され、NESが露出される。これにより、標的のRFPが核外に移行される。
図9Bは、青色光照射(460nm、3.7W/m2)有り(Blue Ligt)、又は照射無し(No Light)の状態における、nls−mCherry−LEXYと、核マーカーであるヒストン(Histone 2B)の蛍光画像を示す。スケールバーは、50μmである。nls−mCherry−LEXYは、暗所で核内に細胞内局在した。これに対して、青色光照射により、核外への細胞内局在化が引き起こされた。
図9Cは、Cre−DOMの活性変化を示すグラフである。具体的には、nls−mCherry−LEXYを標的とするCre−DOM活性のルシフェラーゼ・アッセイの定量分析の結果を示す。各グラフは、青色光照射無し(No BL)、有り(BL)おける、平均±SEMを示す(各n=24及び12)。統計解析は、スチューデントのt検定により行った(「***」は、P<0.001を示す)。結果として、青色光照射により、Cre−DOMの活性が、有意に強く抑制された。
図9Dは、青色光照射(460nm、3.7W/m2)有り(Blue Ligt)、又は照射無し(No Light)の状態における、nls−tdTomato−LEXYの蛍光画像を示す。スケールバーは、50μmである。このnls−tdTomato−LEXYも、暗所で核内に細胞内局在した。しかし、青色光照射により、核外への局在化が引き起こされた。
図9Eは、Cre−DOTの活性変化を示すグラフである。具体的には、nls−tdTomato−LEXYを標的とするCre−DOT活性のルシフェラーゼ・アッセイの定量分析の結果を示す。各グラフは、青色光照射の青色光照射無し(No BL)、有り(BL)における、平均±SEMを示す(各n=24及び12)。統計解析はスチューデントのt検定により行った(「***」は、P<0.001を示す)。結果として、青色光照射により、Cre−DOTの活性も強く抑制された。
これらの定量分析により、青色光有り(BL(+))、無し(BL)において、リコンビナーゼ活性が著しく異なることを確認した。
(薬剤を用いたCre−DOM、Cre−DOTの活性調節)
次に、本発明者らは、化学的なリガンドとなるような薬剤を用いて、Cre−DOR活性をコントロール可能であることを確認した。具体的には、本発明者らは、RFPのリガンドに引き起こされた核局在化を達成する一例として、核内受容体であるGRと、このリガンドであるDexを用いた。ここでは、GRドメインを付与したmCherry−GR及びtdTomato−GRのベクターを作成して用いた。
図10Aは、GRとDex添加によるmCherry、tdTomatoの核内移行を示す概念図である。GRは核内受容体の一種であり、リガンドDexを受け取ると、その細胞内局在化を変更させ、核内移行させる。
図10Bは、Dex(1μM、1時間)の投与の有り(+Dex)、無し(No Dex)に対する、mCherry−GRの蛍光画像を示す。スケールバーは、50μmである。ヒストン(Histone 2B)は、核内マーカーである。mCherry−GRは、リガンドであるDexが投与されていない(無し)の場合、核外の細胞質に集中することを示した。対照的に、Dexが投与されている(有り)の場合、mCherry−GRは、核への細胞内局在化の移動が引き起こされた。
図10Cは、Dex投与によるCre−DOMの活性変化を示す。具体的には、mCherry−GRを標的として、Dex投与無し(Dex(−))、投与有り(Dex(+))なしのCre−DOM活性のルシフェラーゼ・アッセイの結果(各n=12)を示すグラフである。各グラフは、平均±SEMを表わす。統計解析はスチューデントのt検定により行った(「***」は、P<0.001)。結果として、DexがCre−DOM活性を有意に強く増加させたことを示した。
図10Dは、Dex(1μM、1時間)の投与の有り(+Dex)、無し(No Dex)に対する、tdTomato−GRの蛍光画像を示す。スケールバーは、50μmである。tdTomato−GRも、Dexが投与されていない(無し)の場合、核外の細胞質に集中した。対照的に、Dexが投与されている(有り)の場合、tdTomato−GRも、核への細胞内局在化の移動が引き起こされた。
図10Eは、Dex投与によるCre−DOTの活性変化を示すグラフである。具体的には、tdTomato−GRを標的として、Dex投与無し(Dex(−))、投与有り(Dex(+))なしのCre−DOT活性のルシフェラーゼ・アッセイの結果(各n=12)を示すグラフである。各グラフは、平均±SEMを表わす。統計解析はスチューデントのt検定により行った(「***」は、P<0.001)。結果として、DexがCre−DOT活性も、有意に強く増加させたことを示した。
これらの定量分析により、mCherry−GR又はtdTomato−GRを標的とした際のリコンビナーゼ活性が、Dexの投与の有無で有意に異なることを確認した。
(結論)
本実施例において、本発明者らは、結合蛋白質モチーフとしてナノボディとDARPinを標的タンパク質に使用することにより、RFP(Cre−DOR)に依存する機能的なCreリコンビナーゼを生成した。これらのCre−DORは、単量体及び二量体のRFP依存のCreであるCre−DOM及びCre−DOTから構成される。
本発明者らは、生体内で、Cre−DOM及びCre−DOTが標的の単量体/二量体のRFPにおいて活性があることを確認し、標的RFPなしの際の活性が非常に低くなる(低リーク)ことを確認した。
また、本実施例において、RFPを発現するトランスジェニック動物の有用性も証明された。加えて、本発明者らは、Cre−DORの活性が、標的RFPの細胞内局在変化によって影響を受けることを確認した。
また、本発明者らは、AsLOV2ドメイン及びグルココルチコイド受容体による細胞内局在の移動により、Cre−DOR活性の光惹起及び薬剤投与によるコントロールを実現できた。
また、本実施例により、細胞を発現するRFPの中で遺伝子発現を選択的に調整するために、既存のRFPトランスジェニック系統を利用する新規方式について、マウスとラットの生体内実験で実証した。本実施例によれば、特に動物の中で同じトランスジェニック系統を異なる目的に使用する、効率的な方法を提供することを示した。また、本実施例により、Creのトランスジェニック系統の代用品として使用できるだけでなく、RFPを発現する細胞をマークするユニークな方法を提供することができる。
また、本発明者らは、Cre−DORが標的RFPタンパク質の核局在化に依存することを明らかにした。特に、標的RFPが原形質膜(図8C)に集中する場合、Cre−DOR活性は最小となっていた。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明によれば、赤色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニック生物について、新規の遺伝子発現制御方法及び遺伝子発現制御キットを提供でき、産業上利用可能である。

Claims (12)

  1. 単量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、
    前記赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号2の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、
    前記赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳された前記N末断片と翻訳された前記C末断片とを結合させ、前記遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させる
    ことを特徴とする遺伝子発現制御方法。
  2. 前記配列番号1及び前記配列番号2の塩基配列は、コドン最適化された
    ことを特徴とする請求項1に記載の遺伝子発現制御方法。
  3. 前記単量体の赤色蛍光タンパク質は、
    サンゴ(Discosoma sp.)由来のmCherry又はmRFP1である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遺伝子発現制御方法。
  4. 多量体の赤色蛍光タンパク質に対する結合分子をコードする配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、
    前記配列番号3の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドを翻訳させ、
    前記赤色蛍光タンパク質にそれぞれの結合分子が結合することで、翻訳された前記N末断片と翻訳された前記C末断片とを結合させ、前記遺伝子発現制御タンパク質を活性化させて、目的の遺伝子の発現を制御させる
    ことを特徴とする遺伝子発現制御方法。
  5. 前記配列番号3の塩基配列は、コドン最適化された
    ことを特徴とする請求項4に記載の遺伝子発現制御方法。
  6. 前記多量体の赤色蛍光タンパク質は、
    サンゴ(Discosoma sp.)由来のtdTomatoである
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の遺伝子発現制御方法。
  7. 前記遺伝子発現制御タンパク質は、
    部位特異的DNA組換え酵素である
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の遺伝子発現制御方法。
  8. 前記赤色蛍光タンパク質及び/又は前記遺伝子発現制御タンパク質は、
    細胞内局在性を変化可能に構成され、
    前記細胞内局在性の変化により、前記遺伝子発現制御タンパク質の活性を変化させる
    ことを特徴とする1乃至7のいずれか1項に記載の遺伝子発現制御方法。
  9. 配列番号1の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、
    配列番号2の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含む
    ことを特徴とする遺伝子発現制御キット。
  10. 配列番号3の塩基配列と遺伝子発現制御タンパク質のN末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドと、
    前記配列番号3の塩基配列と前記遺伝子発現制御タンパク質のC末断片をコードする塩基配列とを含むヌクレチオドとを含む
    ことを特徴とする遺伝子発現制御キット。
  11. 発現させたい遺伝子の配列を前記遺伝子発現制御タンパク質による標的配列に対応して備えた塩基配列を含むヌクレチオドを更に備える
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の遺伝子発現制御キット。
  12. それぞれの前記ヌクレチオドは、アデノ随伴ウィルスベクターである
    ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の遺伝子発現制御キット。
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