JP2018106204A - 偏光能を示さない領域を有する偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板 - Google Patents
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基材フィルムを構成する樹脂としては、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が好適に用いられ、そのガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)に応じて、適切な樹脂を選択できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、これらの混合物、共重合物などが挙げられる。
また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものなども挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテートが特に好ましい。セルローストリアセテートフィルムは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。
セルローストリアセテートフィルムの市販品の例を挙げると、富士フイルム(株)から販売されている“フジタックTD80”、“フジタックTD80UF”、“フジタックTD80UZ”及び“フジタックTD40UZ”、コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)から販売されている“KC8UX2M”、“KC4UY”及び“KC2UA”など(いずれも商品名)がある。
基材フィルムの表面にプライマー層が形成されてもよい。プライマー層は、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料で形成すればよい。例えば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。
具体的には、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂に添加する架橋剤は、有機系、無機系など公知のものを使用することができる。使用する熱可塑性樹脂に対して、より適切なものを適宜選択すればよい。例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、ジアルデヒド系架橋剤、金属系架橋剤などから、適宜選択すればよい。
偏光子層は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色し、その二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ケン化度(モル%)=〔(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)〕×100。
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムの如き光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。保護フィルムを構成する材料は特に限定されないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースの如き酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートの如きポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など、当分野において従来から広く用いられてきている材料を用いることができる。
次に、本発明に係る偏光性積層フィルムの製造方法について説明する。図1は、この方法の概要を示すフローチャートであり、図2は、本発明に従って、偏光能を示さない領域を有する偏光板を得るまでの好ましい工程の一例を模式的な断面図で示すフローチャートである。本発明の偏光性積層フィルムの製造方法は、このうち、上記基材フィルムにポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程(S10)、得られる積層フィルムを延伸して積層延伸フィルムを得る延伸工程(S20)、得られる積層延伸フィルムにおけるポリビニルアルコール系樹脂層の表面の一部に防染層を形成する防染工程(S30)、及び、二色性色素を含有する染色溶液に上記の防染層が形成された積層延伸フィルムを接触させて、そのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する染色工程(S40)を備える。染色工程(S40)の後、必要に応じて上の防染層を除去する防染層除去工程(S45)が行われる。さらに通常は、架橋処理を施す架橋工程(S50)を経て、偏光子層が形成される。
樹脂層形成工程(S10)では、基材フィルム1の両面にポリビニルアルコール系樹脂層(第一ポリビニルアルコール系樹脂層11と第二ポリビニルアルコール系樹脂層12)を形成することで、基材フィルム1及びポリビニルアルコール系樹脂層11,12からなる両面塗工フィルム17が得られる。
延伸工程(S20)では、樹脂層形成工程(S10)で得られる両面塗工フィルム17を延伸し、両面塗工フィルム17における第一ポリビニルアルコール系樹脂層11及び第二ポリビニルアルコール系樹脂層12をそれぞれ、第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21及び第二遠心ポリビニルアルコール系樹脂層22とする。好ましくは、5倍超かつ17倍以下の延伸倍率となるように一軸延伸する。さらに好ましい一軸延伸倍率は、5倍超かつ8倍以下である。延伸倍率が5倍以下だと、ポリビニルアルコール系樹脂層が十分に配向しないため、結果として、偏光子層の偏光度が十分に高くならない不具合を生じることがある。一方、延伸倍率が17倍を超える場合、延伸時の積層フィルムの破断が生じやすくなるとともに、延伸後の積層フィルムの厚みが必要以上に薄くなり、後工程での加工性やハンドリング性を低下させるおそれがある。
多段で延伸を行う場合、二段目以降の延伸処理は、延伸工程(S20)の中で行ってもよいが、染色工程(S40)や架橋工程(S50)と同時に行ってもよい。このように多段で延伸する場合は、延伸処理の全段を合わせて5倍超の延伸倍率となるように延伸処理を行う。
防染工程(S30)では、延伸工程(S20)で得られる積層延伸フィルム26の延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21の表面の一部に、防染層35を形成する。防染層35を形成するための防染剤は、二色性色素に染まらないものであればよいので、先に記載した二色性色素が吸着しにくい変性率の高いポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン樹脂やアクリル樹脂、紫外線硬化樹脂、パラフィン、フォトレジストなどが使用できる。印刷用インクを用いて柄や文字の印刷により防染層35を形成してもよい。防染層35の形成には、既知のオフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などが適用可能であり、形状に応じて適宜選択すればよい。
染色工程(S40)では、積層延伸フィルム26の両面にある延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21,22を、二色性色素で染色する。二色性色素は、先に説明したとおりである。
必要に応じて防染層除去工程(S45)を設け、防染層35は、そこで洗浄除去することができる。防染層除去工程(S45)は、後述する架橋工程(S50)の前でも後でもよいが、架橋工程(S50)の前に防染層35を除去すれば、染色されていない領域36のポリビニルアルコールも架橋できるため、耐久性の面で好ましい。
染色工程(S40)の後、通常は架橋処理を行う架橋工程(S50)が設けられる。架橋処理は、例えば、架橋剤を含む溶液(架橋溶液)中に、染色後の積層延伸フィルム26を浸漬することにより行われる。架橋剤としては、従来公知の物質を使用することができる。例えば、ホウ酸やホウ砂の如きホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどが挙げられる。これらは、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
この際、防染工程(S30)において形成された防染層35に覆われた部分の延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21は、二色性色素によって染色されないので、透過率が高く、偏光能を示さない領域36となり、かかる領域36を有する両面偏光性積層フィルム38が得られる。
染色工程(S40)の後、あるいは架橋工程(S50)を行った場合はその後、両面偏光性積層フィルム38を洗浄する洗浄工程(S60)を設けることが好ましい。洗浄工程(S60)においては、水による洗浄処理を採用することができる。水洗浄処理は、例えば、イオン交換水や蒸留水などの純水を洗浄液として、これに延伸フィルムを浸漬する方法により行うことができる。水洗浄の温度は、通常3〜50℃、好ましくは4〜20℃の範囲である。
また、洗浄工程の後に、ニップロールやエアナイフなどを用いた水切りの工程を設けてもよい。
乾燥には、任意の適切な方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥など)が採用できる。例えば、加熱乾燥の場合の乾燥温度は、通常20〜95℃であり、乾燥時間は、通常1〜15分間程度である。
保護フィルム貼合工程(S70)では、上の各工程を経て得られる両面偏光性積層フィルム38の一方の面又は両面、すなわち一方の偏光子層の表面又は両方の偏光子層の表面に保護フィルムを貼合する。図2においては、両方の偏光子層31,32の表面に保護フィルム41,42を貼合する方法が模式的に示されている。偏光子層と保護フィルムとの貼合には、粘着剤層や接着剤層を介して両者を貼合する方法が採用できる。保護フィルムとして適した材料は、上述の偏光板の構成において説明したとおりである。
粘着剤層を構成する粘着剤は、通常、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などの架橋剤を加えた組成物からなる。さらに、粘着剤中に微粒子を配合して、光散乱性を示す粘着剤層を形成することもできる。
接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを用いた水系接着剤が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液が好適に用いられる。接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。水系接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などが添加剤として添加されてもよい。このような水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層は、通常1μm よりもはるかに薄く、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。そのため、防染層35の厚み段差を水系接着剤層で埋めることは難しいので、水系接着剤を採用する場合は、防染層除去工程(S45)で防染層35を除去することが望ましい。
ケン化処理は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液にフィルムを浸漬することによって行われる。
保護フィルム貼合工程(S70)で、接着剤層又は粘着剤層を形成するために溶剤を含む溶液を用いた場合には、両面貼合フィルム又は片面貼合フィルムの乾燥を行うために乾燥工程(S75)が設けられる。この乾燥工程(S75)は主に、接着剤層又は粘着剤層を乾燥させる目的で行われ、乾燥条件等は、上記の洗浄工程(S60)で説明した乾燥処理と同じである。特に接着剤層を形成するために、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液などの水系接着剤を用いた場合には、60℃以上の温度で乾燥することが好ましい。
乾燥工程(S75)の後は、両面貼合フィルム又は片面貼合フィルムのうち、偏光子層31と保護フィルム41との積層体又は偏光子層32と保護フィルム42との積層体を基材フィルム1から剥離して、偏光板51,52を得る剥離工程(S80)が行われる。積層体の剥離方法は特に限定されるものでなく、通常の粘着剤付偏光板において行われている剥離フィルム剥離工程と同様の方法が採用できる。乾燥工程(S75)の後、そのまますぐに剥離してもよいし、一度ロール状に巻き取った後、別に剥離工程を設けて剥離してもよい。偏光板51,52は、例えば液晶表示装置における液晶セルの両側に配置して用いられる偏光板のセットとして提供することもできる。片面に保護フィルム41,42が貼合された偏光板51,52は、そのまま用いることもできるし、偏光板51の保護フィルム41が設けられた面と反対側になる偏光子層31の面、また偏光板52の保護フィルム42が設けられた面と反対側になる偏光子層32の面に、それぞれ保護フィルム又は後述する他の光学層を積層して用いることもできる。偏光子層31に、偏光能を示さない領域36が形成されている偏光板51が、本発明で規定する偏光板となる。この偏光板51において、偏光子層31の厚みは10μm 以下となる。またこの偏光板51は、偏光子層31の両面に保護フィルムが設けられた構成とすることもできる。
本発明の方法によって製造される偏光板は、実用に際して他の光学層を積層した偏光板として用いることができる。また、上記保護フィルムがこれらの光学層の機能を有していてもよい。
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
偏光性積層フィルム38又は偏光板51において、防染層35の存在により偏光能を示さないこととなった領域36は、その視感度補正単体透過率が80%を超えることが好ましく、さらには90%以上であることがより好ましく、無色であることが理想である。ただし、デザイン印刷する場合は、当然にある程度の吸収を示すことになる。
単体透過率(λ)=0.5×(Tp(λ)+Tc(λ))。
図2に示すフローチャートのようにして、両面偏光性積層フィルム38から、偏光能を示さない透過率の高い領域を有する偏光板51を作製した。
エチレンユニットを約5%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体〔住友化学
(株)から入手した商品名“住友ノーブレン W151”、融点138℃〕 からなる樹脂層の両面に、プロピレンの単独重合体〔住友化学(株)から入手した商品名“住友ノーブレン FLX80E4”、融点163℃〕からなる樹脂層が配置された3層構造の基材フィルム1を、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルム1の合計厚さは90μm であり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
平均重合度1,100、平均ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコール粉末〔日本合成化学工業(株)から入手した商品名“Z-200”〕 を95℃の熱水に溶解し、濃度3%の水溶液を調製した。得られた3%ポリビニルアルコール水溶液に、水溶性エポキシ樹脂の30%水溶液からなる架橋剤〔田岡化学工業(株)から入手した商品名“スミレーズレジン 650”〕を、ポリビニルアルコールの固形分6部に対して5部の割合で混合し、プライマー溶液を調製した。先に示した基材フィルム1の一方の面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に小径グラビアコーターを用いて、上で調製したプライマー溶液を塗工し、80℃で10分間乾燥して、厚さ0.2μm のプライマー層を形成した。
平均重合度 2,400、平均ケン化度98.0〜99.0モル%のポリビニルアルコール粉末〔(株)クラレから入手した商品名“PVA124”〕を95℃の熱水に溶解し、濃度8%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記基材フィルム1の一方の面に形成されたプライマー層の表面にリップコーターを用いて塗工し、その後連続して、80℃で2分、70℃で2分、及び60℃で4分の乾燥処理を行い、基材フィルム1及び第一ポリビニルアルコール系樹脂層11の2層からなる片面塗工フィルム16を作製した。
両面塗工フィルム17に対し、ロール間縦延伸機を用いて160℃で 5.8倍の自由端縦一軸延伸を行った。延伸後の両面塗工フィルムに存在する二つのポリビニルアルコール系樹脂層の厚さは、それぞれ5μm±0.1μm であった。
得られた積層延伸フィルム26の第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21上に、熱で溶かしたパラフィンを塗布し、直径5mmの円形に硬化させて防染層35を形成した。
延伸し、防染層35を設けた積層延伸フィルム26を、以下に示す組成を有する30℃の染色溶液に140秒間浸漬して染色処理を行った。引き続き、10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した後、以下に示す組成を有する76℃の架橋溶液に600秒間浸漬して架橋処理を行った。
水 100部
ヨウ素 0.35部
ヨウ化カリウム 10部
〈架橋溶液〉
水 100部
ホウ酸 9.5部
ヨウ化カリウム 5部
架橋処理後のフィルムを10℃の純水で4秒間洗浄し、パラフィンを除去した。最後に80℃で300秒間乾燥した。以上の工程により、基材フィルム1の両面に形成されたポリビニルアルコール系樹脂層11,12が偏光子層31,32となった両面偏光性積層フィルム38を得た。
平均重合度 1,800のポリビニルアルコール粉末〔(株)クラレから入手した商品名“KL-318”〕を95℃の熱水に溶解し、濃度3%の水溶液を調製した。得られた3%ポリビニルアルコール水溶液に、先のプライマー層形成工程で用いたのと同じ架橋剤“スミレーズレジン 650”を、ポリビニルアルコールの固形分2部に対して1部の割合で混合し、接着剤溶液とした。先の工程で得られた両面偏光性積層フィルム38の両面に、ここで調製したポリビニルアルコール系接着剤溶液を塗布した後、それぞれの接着剤塗布面に保護フィルム41,42として、トリアセチルセルロースフィルム〔コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)から入手した商品名“KC4UY”〕を貼合し、80℃で5分間乾燥することで、保護フィルム41、偏光子層31、基材フィルム1、偏光子層32及び保護フィルム42の5層からなる両面貼合フィルム46を得た。
両面貼合フィルム46から、偏光子層31及び保護フィルム41の積層体である第一偏光板51を剥離した。残りのフィルム(基材フィルム1、偏光子層32及び保護フィルム42の積層体)から、基材フィルム1を剥離して、偏光子層32及び保護フィルム42の積層体である第二偏光板52を得た。第一偏光板51は、直径5mmの無色透明な円形で偏光能を示さない領域36を有していた。
この例では、光硬化性樹脂組成物の硬化物で防染層35を形成し、その他は実施例1に準じて、偏光能を示さない透過率の高い領域を有する偏光板51を作製した。
以下の各成分を混合し、脱泡して、光硬化性樹脂組成物を液体状態で調製した。
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 20部
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル 5部
トリアリールスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤
2.25部
実施例1の(d)で延伸が施された後の積層延伸フィルム26の第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21上に、直径5mmの円形の穴があいたマスクを載置し、そのマスクを介して、先に調製した光硬化性樹脂組成物を1μm 厚みとなるようにバーコーターを用いて塗工した。その後、マスクをその上に塗工された光硬化性樹脂組成物ごと取り除き、第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21上に、マスクの穴に対応する直径5mmの光硬化性樹脂組成物塗工層のみが存在する状態で、その塗工層を上にして、フュージョンUVシステムズ社製の紫外線ランプ“Dバルブ”が取り付けられたベルトコンベア付き紫外線照射装置に乗せ、積算光量が250mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、光硬化性樹脂組成物を硬化させた。こうして、積層延伸フィルム26の第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21上に、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる直径5mmの円形の防染層35を形成させた。
その後、実施例1の(f)で用いたのと同じ染色溶液に145秒間浸漬し、続いて実施例1の(f)及び(g)と同じ条件で架橋及び水洗を行った。水洗時には、円形の防染層35は除去されない。
環状オレフィン系樹脂からなる厚さ20μm の位相差フィルム〔JSR(株)から入手した商品名“アートンフィルム”、長尺ロール状フィルムの幅方向(TD)に遅相軸があり、Re=115nm、Nz係数=1.4) の片面にコロナ処理を施し、そのコロナ処理面に、先に調製した光硬化性樹脂組成物を硬化後の膜厚が約3μm となるようにバーコーターを用いて塗工した。次にその塗工層側を、上の第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層21上に防染層35が形成された両面偏光性積層フィルム38の両面に貼り合わせた。この状態で上と同じベルトコンベア付き紫外線照射装置に乗せ、紫外線を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させて、保護フィルム41、偏光子層31、基材フィルム1、偏光子層32及び保護フィルム42の5層からなる両面貼合フィルム46を得た。偏光子層31中の防染層35に対応する部分は染色されておらず、偏光能を示さない領域36となっている。
上で得られた両面貼合フィルム46から、偏光子層31及び保護フィルム41の積層体である第一偏光板51を剥離した。残りのフィルム(基材フィルム1、偏光子層32及び保護フィルム42の積層体)から、基材フィルム1を剥離して、偏光子層32及び保護フィルム42の積層体である第二偏光板52を得た。第一偏光板51は、直径5mmの無色透明な円形で偏光能を示さない領域36を有していた。
日本分光(株)製の分光光度計“V7100”を用いて、各実施例で得られた偏光板の偏光性能を測定した。測定にあたり、光は偏光子層側から入射させた。第一偏光板51の防染層35に対応して形成された偏光能を示さない領域36、及びそれ以外の偏光性能を示す領域の視感度補正単体透過率を表1にまとめた。
11……第一ポリビニルアルコール系樹脂層、
12……第二ポリビニルアルコール系樹脂層、
16……片面塗工フィルム、
17……両面塗工フィルム、
21……第一延伸ポリビニルアルコール系樹脂層、
22……第二延伸ポリビニルアルコール系樹脂層、
26……積層延伸フィルム、
31,32……偏光子層、
35……防染層、
36……偏光能を示さない領域、
38……両面偏光性積層フィルム、
41,42……保護フィルム、
46……両面貼合フィルム、
51,52……偏光板、
61……接着剤層、
62……粘着剤層、
70……穴あき偏光板、
72……偏光板に設けられた穴。
Claims (2)
- 基材フィルム及びその基材フィルム上に形成された偏光子層を備える偏光性積層フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る樹脂層形成工程と、
得られる積層フィルムを延伸して積層延伸フィルムを得る延伸工程と、
得られる積層延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層表面の一部に防染層を形成する防染工程と、
二色性色素を含有する染色溶液に前記防染層が形成された積層延伸フィルムを接触させて、前記ポリビニルアルコール系樹脂層を前記二色性色素で染色し、偏光子層を形成する染色工程と
を備えることを特徴とする、偏光能を示さない領域を有する偏光性積層フィルムの製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法によって得られる偏光性積層フィルムから前記基材フィルムが除去され、前記偏光子層の少なくとも一方の面に保護フィルムが貼合されており、前記防染層が形成された領域のポリビニルアルコール系樹脂層は偏光能を示さず、かつ、前記二色性色素で染色されたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子層は10μm 以下の厚みを有することを特徴とする偏光板。
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