JP2018104375A - 皮膚浸透促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、分子量の異なる種々の親水性化合物を用いて、アロエ植物体由来成分の皮膚浸透促進効果について検証し、アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤を提供する。【解決手段】 アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤に関する。
本発明は、アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する組成物に関する。
本発明は、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を配合することを特徴とする、前記化合物の皮膚浸透促進方法に関する。
皮膚は大きく分けて表皮、真皮及び皮下組織からなる。中でも表皮に存在する角質層は体内からの過度な水分蒸散や外界からの異物進入を防ぐ等、バリア機能として重要な役割を果たしている。皮膚の角質層は、一方で、薬剤を経皮投与する際に大きな障壁となる。
これまで、Azone、Azone誘導体、ピロチオデカン等、皮膚の角質層に薬剤を経皮投与する為の皮膚浸透促進剤が開発されている。しかしながら、これら皮膚浸透促進剤は、それ自身が皮膚内に浸透し、角質層構造にダメージを与えて薬物の浸透性を高める作用を有するものが多く、皮膚に対する刺激性や毒性の点で、検討の余地が有る。
また、必要以上に皮膚の角質層のバリア性を緩める事は、有害物質、アレルゲン、病原体等の人体にとって有害な成分を、皮内や血中に取り込むことに繋がり(取り込み易くなり)、この点も検討の余地が有る。
そのため、薬剤を経皮投与する技術においては、特に皮膚の角質層においては、薬剤(必要な成分)を、必要な時にのみ、適切な部位に送達する技術が求められる。
これまでに、アロエベラ等のアロエ植物には皮膚浸透促進作用が報告されている。
アロエ植物は、アフリカを原産とする多肉性植物であり、その品種は世界に300種類以上有るとも言われている。中でも、肉厚な葉を有することを特徴とするアロエベラ(学名:Aloe vera)は、古くから火傷や切り傷等に対する民間療法で用いられている。
また、アロエ植物の外皮を取り除いた半透明なゲル部分は食用に利用されると共に、その搾汁液(「アロエベラ液汁」とも言う)は、保湿剤として皮膚外用剤や化粧品等に広く利用され、安全性の高い成分の代表例である。
Fox等は、抗炎症剤であるケトプロフェンの皮膚浸透性に対して、アロエベラによる効果を検討している。Fox等は、アロエベラのゲル及び葉肉部分が、ケトプロフェンの皮内量や皮膚透過量(皮膚浸透性)を増加させることを報告している(非特許文献1)。
Cole等は、分子量の異なる種々の脂溶性薬物に対して、アロエベラによる効果を検討している。Cole等は、薬物の分子量が大きい程、アロエベラによる浸透促進効果が発揮されることを報告している(非特許文献2)。
しかし、これまでの報告では、分子量500以下の薬物を対象としたり、皮膚への浸透が比較的容易な脂溶性化合物を対象としたりして、その薬物や化合物の皮膚浸透性を評価している。
従って、(i)親水性化合物(水溶性成分、難浸透性成分)や、(ii)分子量が500以上の高分子化合物を対象として、アロエベラ等のアロエ植物体由来成分が発揮する作用は、未だ明らかにされていない。
Lizelle T. Fox, Minja Gerber, Jan L. du Preez, Jeanetta du Plessis and Josias H. Hamman, Journal of Pharmacy and Pharmacology, 67, pp. 96-106 Louise Cole, Charles Heard, International Journal of Pharmaceutics 333 (2007) 10-16
本発明では、分子量の異なる種々の親水性化合物を用いて、アロエ植物体由来成分の皮膚浸透促進効果について検証する。
本発明は、(i)アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤、(ii)アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する組成物、(iii)親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を配合することを特徴とする、前記化合物の皮膚浸透促進方法を提供することを目的とする。
本発明では、分子量の異なる種々の親水性化合物を用いて、アロエ植物体由来成分皮膚浸透促進効果について検証した。
これまで、皮膚浸透促進剤の評価には、動物の摘出皮膚が用いられている。一方、近年、コラーゲン膜上に表皮細胞を培養し再構築された3次元培養ヒト表皮モデルが、代替皮膚として利用される機会が増えてきている。
本発明では、3次元培養ヒト表皮モデルを用いて、アロエ植物体由来成分(例えばアロエベラ液汁等)による、フルオレセインナトリウム(例えば分子量:376)及び蛍光標識ヒアルロン酸(例えば分子量:3,200、5,800、29,000等)の皮膚への浸透性を評価した。
そして、分子量の異なる種々の親水性化合物は、アロエ植物体由来成分の添加によって、皮膚への浸透性が改善することがわかった。特に蛍光標識ヒアルロン酸では、アロエ植物体由来成分を添加しない場合に比べて、アロエ植物体由来成分を添加すると、皮内への浸透量が40倍以上に増加することが明らかとなった。フルオレセインナトリウムに対するアロエ植物体由来成分の浸透促進効果は、皮内浸透量は8.6倍、皮膚透過量は2.9倍に増加することが明らかとなった。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施態様を含むものである。
(I)皮膚浸透促進剤
項1.
アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤。
項2.
前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
項3.
前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
項4.
前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
項5.
前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚浸透促進剤。
(II)組成物
項6.
アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する組成物。
項7.
前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項6に記載の組成物。
項8.
前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項6に記載の組成物。
項9.
前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項6に記載の組成物。
項10.
前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項6〜9のいずれかに記載の組成物。
項11.
親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤である、請求項6〜10のいずれかに記載の組成物。
(III)皮膚浸透促進方法
項12.
親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を配合することを特徴とする、前記化合物の皮膚浸透促進方法。
項13.
前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
項14.
前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
項15.
前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
項16.
前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項12〜15のいずれかに記載の皮膚浸透促進方法。
一般に、分子量:500以上の化合物は皮膚に塗布してもほとんど浸透しないと考えられていた。そして、アロエ植物体による、化合物の皮膚浸透促進効果についても、分子量500付近で減少するものと考えられていた。
しかし、本発明の評価試験の結果、アロエ植物体由来成分(例えばアロエベラ液汁等)による皮膚浸透促進効果は、分子量:500以上の親水性高分子化合物に対しても、適応可能であることが明らかとなった。
本発明による効果は、アロエ植物体由来成分の前処理では大きく減弱することから、アロエ植物体由来成分は皮膚に不可逆的なダメージを与えることなく、共存することで浸透を促進させるものと考えられた。
更に、本発明の活性成分について検討した結果、アロエ植物体由来成分中の低分子量画分に、より活性が認められ、また芳香性成分が活性に寄与するものと考えられた。
これらの結果から、アロエ植物体由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適しているものと考えられた。
本発明において、アロエ植物体由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水化合物や高分子化合物に対して、浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適している。
本発明は、(i)アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤、(ii)アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する組成物、(iii)親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を配合することを特徴とする、前記化合物の皮膚浸透促進方法を提供することができる。
実施例を説明する図である。 実施例を説明する図である。被験者の前腕部において、AVG(アロエベラ液汁)及びフルオレセインナトリウム溶液を、角質層側から添加した。蛍光顕微鏡を用いて、角質層表面(皮膚表面)を観察すると共に、角質層を剥離しその蛍光を観察した。 実施例を説明する図である。
(I)皮膚浸透促進剤及び(II)組成物
本発明の皮膚浸透促進剤は、アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤である。
アロエ由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適している。
(1)アロエ由来成分
アロエとして、特に限定されないが、日本薬局方で、或いは医薬部外品に使用が認められている点、効果の安全性、栽培の容易さ等の点で、アロエベラ(学名:Aloe vera)、キダチアロエ(学名:Aloe arborescens)、アロエ・エルー(学名:Aloe eru)、アロエ・カメロニー(又はアロエ・カメロン)(学名:Aloe cameronii)、アロエ・ケドンゲンシス(学名:Aloe kedongensis)、アロエ・フェロックス(学名:Aloe ferox)、アロエ・アフリカーナ(学名:Aloe africana)、アロエ・アンドンゲンシス(学名:Aloe andongensis)及びアロエ・トーメントーサ(学名:Aloe tomentosa)からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体を用いることが好ましい。
アロエとして、前記種から任意に選択した種間の交配種を使用することも可能であり、例えば交配種としては、キダチアロエとアロエベラとの交配種、アロエ・フェロックスとアロエ・アフリカーナとの交配種等を用いることができる。本発明で使用するアロエは、前記種の改良種を含むものである
アロエとして、特にアロエベラを用いることが好ましい。
アロエ由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適している。
アロエ由来成分は、アロエ植物の全体をそのまま使用しても良い。アロエ由来成分は、アロエの葉の外皮を使用しても良く、葉内部のゼリー質を使用しても良い。これらは、アロエ液汁として用いる。
アロエは、植物体(例えば、葉、茎、根等)の生の状態のもの(未乾燥物)、乾燥させたもの(乾燥物)、又は凍結したもの(凍結物)を用いることができる。また、アロエ植物体の未乾燥物、乾燥物又は凍結物を適切な大きさに細砕し粉末化したものを用いることもできる。
アロエ由来成分は、アロエ植物の全体を使用して、アロエエキスを使用しても良い。アロエの抽出物(エキス)を作製する方法としては、抽出工程及び分離工程を組み合わせる方法、上記方法に更に分画工程を組み合わせる方法等があげられるが、これらに限定されない。
前記特定の種のアロエは、植物由来であり、安全性が高く、そのアロエ液汁は日常的に摂取又は塗布し易いという利点を有する。
(2)親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物であることが好ましい。
親水性化合物は、一般に経皮浸透性の乏しい性質を有する(難浸透性親水化合物)。
前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物であることが好ましい。
前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物であることが好ましい。
アロエ由来成分が浸透促進剤として働くことで、これら経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物は、皮内をターゲットとして、その浸透性が改善される。
親水性化合物
本発明で、アロエ由来成分により、皮膚で浸透が促進される化合物として、親水性化合物が有る。その親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが(以下「logKow」とも記す)負の値を示す化合物であることが好ましい。
親水性化合物のlogKowは、負の値を示し、-0.01程度以下、より好ましくは-0.1程度以下、更に好ましくは-1程度以下である。親水化合物のlogKowは、負の値を示せば良く、その下限値は-20程度である。
高分子化合物
本発明で、アロエ由来成分により、皮膚で浸透が促進される化合物として、高分子化合物が有る。その高分子化合物は、分子量が500程度以上の化合物であることが好ましい。
分子量は、分子式が分かる場合、その原子量を用いて計算から導くことができる。分子式が分からない場合、プルラン(分子量:1,420〜642,000、昭和電工株式会社)等を標準物質として、ゲルろ過クロマトグラフィーにて測定する。
測定には、例えばTSKgel GMPWXLカラム(7.8 mm×30 cm、東ソー株式会社)を2本搭載した GPC system [SD-8022/DP-8020/AS-8020/CO-8020/RI-8020](東ソー株式会社)を利用する。そして、例えば展開溶媒:1 M NaNO3水溶液、流速:1.0 mL/min、カラム温度:40℃、検出:RI検出器、注入量:100μLにて分析する。
分析用の検体は、適宜蒸留水で希釈し、0.5μmフィルターろ過して調製する。
高分子化合物の分子量は、500程度以上であることが好ましく、1000〜100万程度であることがより好ましく、1000〜10万程度であることが更に好ましい。
アロエ由来成分により、皮膚で浸透が促進される化合物
本発明で、アロエ由来成分により、皮膚で浸透が促進される化合物として、logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物であることが好ましい。本発明で、アロエ由来成分により、皮膚で浸透が促進される化合物は、親水性の高分子化合物であることが好ましい。
logK ow の説明
logKowの推定は、化合物内の官能基や分子の基本構造から計算して導く。logKowの推定は、構造式が描ける低分子化合物では算出可能である。
分子量が大きく構造式が描ききれない高分子成分(タンパク質等)や[基本構造]n等の繰り返し構造でしか表記されない成分(ヒアルロン酸やヘパリン類似物質等)では直接算出することができない。そこで、それら化合物では、構成要素でlogKowを算出し、そこから推定値を見積もることが可能である。
ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンの2糖単位の繰り返し構造である。ヒアルロン酸は、2糖単位のlogKow値(-6.68, EPI-Suiteにて算出)から、ヒアルロン酸ナトリウムのlogKow値を<-6.68と推定できる。
ヘパリン類似物質は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンの2糖単位の繰り返し構造が多硫酸化した化合物である。ヘパリン類似物質は、硫酸化された2糖単位のlogKow値(-16.60, EPI-Suiteにて算出)から、<-16.60と推定できる。
タンパク質は、アミノ酸のlogKowに依存すると考えられる。タンパク質は、アミノ酸のlogKowの推定値をEPI-Suiteにて算出し、1型コラーゲンやエラスチン等の美容成分の水溶性レベルを判断した。
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンが直鎖状に交互に繰り返し結合した高分子多糖であり、皮膚や関節、目等に多く存在するグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種である。
その優れた保水作用から、多くの化粧品に保湿剤として配合されている。
しかしヒアルロン酸は分子量が数百万と大きいため、塗布しても皮内へはほとんど浸透せず、その保湿効果は皮膚表面に留まり、水分を抱え込むことで発揮されている。
近年、保湿成分の皮膚への浸透を高めて肌の内側からも保湿するアプローチが検討されており、ヒアルロン酸においては分子量:2,000〜10,000程度に加水分解し、低分子化して肌に浸透させる方法が検討されている。
しかし、一般的に分子量500より大きい成分は皮膚をほとんど浸透・透過しないと考えられており、低分子化した加水分解ヒアルロン酸についてもその浸透性については検討の余地がある。
本発明によれば、アロエ由来成分が浸透促進剤として働くことで、これら経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物は、皮内をターゲットとして、その浸透性が改善される。
(3)アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤
本発明では、アロエ由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適している。
本発明の皮膚浸透促進剤の一態様として、アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する皮膚浸透促進剤(組成物)を挙げることができる。この組成物は、アロエ由来成分を含むことから、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤として機能する。
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)におけるアロエ由来成分の配合割合は、本発明の効果が発揮されることを限度として制限されない。例えば、皮膚浸透促進剤(組成物)中に、アロエ由来成分は1〜100重量%程度、より好ましくは10〜90重量%程度含まれる事が好ましい。
例えば、生のアロエ液汁(そのままの液体)に化合物を溶かし込んで使用する場合、皮膚浸透促進剤(組成物)中に、アロエ由来成分はほぼ100重量%となる。
アロエ由来成分と親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との配合割合
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)において、アロエ由来成分と親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との配合割合は、アロエ由来成分により、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚に対する浸透を促進できる範囲で調整することが好ましい。
アロエ由来成分と親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との配合割合は、アロエ由来成分を1重量部とした場合に、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を0.0001〜100重量部程度配合することが好ましい。つまり、アロエ由来成分:親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物=1:0.0001〜100(重量比)に調整することが好ましい。
例えば、生のアロエ液汁(そのままの液体)100gに0.01gの化合物を溶かし込んで使用する場合、重量比は1:0.0001となる。また、アロエ液汁乾燥物0.1gと化合物10gとを100gの溶媒に溶かし込んで使用する場合、重量比は1:100となる。また、下記実施例では、一例として、生のアロエ液汁1mL(=1g)に対して、化合物500μgを溶解して試験した。これは、生のアロエ液汁100gに対して、化合物0.05gを溶かしたことになる(重量比=生のアロエ液汁1:化合物0.0005)。
アロエ由来成分により、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚に対する浸透を促進できるか否かは、後述する試験例を参考にする。
ヒト表皮モデルを用いて、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物にアロエ由来成分を配合した組成物(併用区)と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物単独(単独区)とで、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚への浸透の程度を測定することで、対比することができる。
本発明の本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)では、アロエ由来成分と親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物との配合割合は、
アロエ由来成分:親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物として、
1:0.0001〜100(重量比)、1:0.0001〜80(重量比)、1:0.0001〜60(重量比)、
1:0.0001〜40(重量比)、1:0.0001〜20(重量比)、1:0.0001〜10(重量比)、
の順に好ましい。
この配合割合で、アロエ由来成分は、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、皮膚に対する浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善に適している。
皮膚浸透促進剤(組成物)の形態
本発明が対象とする皮膚浸透促進剤(組成物)は、少なくともアロエ由来成分、親水性化合物、高分子化合物等を成分として含有し、本発明の効果に基づいて、商品の品質、特に外観の低下が抑制できるという利点が享受できるものであれば良い。その限りにおいて、製剤の形態、使用態様、及び用途を特に限定するものではない。
本発明の本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)(医薬品の形態を含む)は、その形態は特に制限されず、非経口投与形態及び経口投与形態のいずれもが含まれる。
非経口投与形態が好ましく、注射剤、点滴剤、経皮吸収剤等が挙げられる。
経皮吸収剤として、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、噴霧剤、溶液剤、懸濁液剤等の外用製剤とすることができる。また、注射剤とする場合、局所注入、腹腔内投与、選択的静脈注入、静脈注射、皮下注射、臓器灌流液注入等の方法を選択することができる。
本発明の本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)を外用製剤として使用する場合、基剤として、低級アルコール及び水を使用することができる。低級アルコールとしては、メタノール;エタノール;n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール;1,3-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール;ベンジルアルコール等の炭素数1〜7のアルコールを例示することができる。
外用製剤として使用する場合、肌への刺激性軽減という理由から、そのpHが4〜8の範囲にあることが好ましい。pH調整は、塩基性物質又は酸性物質を用いて行うことができる。塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基;トリエタノールアミンやジイソプロパノールアミン等の有機アミン類;アルギニン、リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸等を挙げることができる。また、酸性物質としては、塩酸、硝酸、メタスルホン酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の無機酸及び有機酸を挙げることができる。
外用製剤として使用する場合、他成分として薬効補助剤を配合することも可能である。薬効補助剤としては、カンフル、テレピン油、ハッカ油、メントール及びその誘導体、ユーカリ油、乳酸メンチル等の清涼化剤;ノナン酸バニリルアミド、カプサイシン等の局所刺激剤;グリチルリチン酸等の抗炎症剤;ジフェニルイミダゾール、ジフェンヒドラミン及びその塩、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;酢酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル等の血行促進剤;アルニカチンキ、オウバクエキス、サンシシエキス、セイヨウトチノキエキス、ロートエキス、ベラドンナエキス、トウキエキス、シコンエキス、サンショウエキス、トウガラシエキス等の生薬等が挙げられる。上記の成分の他、適当な併用可能な活性成分、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤等の通常の皮膚外用剤に使用される添加剤を適宜用いることができる。
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)は、外用製剤として調製され、局所的に外用投与することができる。本発明の本発明の本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)の投与量は、対象者の年齢や性別等によって異なり、一律に規定することはできない。
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)は、アロエ由来成分により、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物に対して、皮膚に対する浸透促進剤として働き、皮内をターゲットとした化合物の浸透改善できれば良い。本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)の投与量は、アロエ由来成分の含有量に加えて、対象となる親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の種類によって、適宜調整する。
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)を、化粧品(化粧料)への適用が可能である。化粧品としては、化粧水、ローション等の乳液、クリーム、ジェル等が好ましい。化粧品の剤型として、固形化粧料、液状化粧料、練状化粧料、粉状化粧料、ゼリー状化粧料、ジェル状化粧料、ペースト状化粧料、スプレー型化粧料等の剤型への応用が可能である。
本発明の皮膚浸透促進剤(組成物)では、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤という用途は、アロエ由来成分が親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚に対する浸透を促進するという未知の属性を発見したことにより見いだされたものである。また、その属性により見いだされた用途は、アロエ由来成分を含む組成物について、従来知られている用途とは異なる新たなものである。
(III)皮膚浸透促進方法
本発明の皮膚浸透促進方法は、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を併用することで実施することができる。アロエ由来成分により、経皮浸透性の乏しい親水性化合物や高分子化合物は、皮膚に対して浸透が促進され、皮内をターゲットとして浸透が改善される。
使用するアロエ由来成分及び親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、それらの配合割合は、上記(I)及び(II)に記載した内容を援用することができる。
以下、本発明及びその効果を、試験例及び実施例を用いてより明確に説明する。
但し、本発明はかかる試験例及び実施例になんら制限されるものではない。
<実験方法>
(1)アロエベラ液汁の調製
沖縄県産のアロエベラ葉5検体(M1〜M5、露地栽培品)、及び静岡県産のアロエベラ葉5検体(S〜S5、ハウス栽培品)を入手した(2016年8月〜10月採取)。
夫々葉の表面を洗浄後、外皮を除去して葉肉部を取り出した。これをミキサーにかけてジュース状のアロエベラ液汁を得た。
得られたアロエベラ液汁についてBrix(Brixmeter RA-410、京都電子工業株式会社)及び粘度(ブルックフィールド型回転粘度計LVDV-II+Pro(少量サンプル用アダプター)、ブルックフィールド社)を測定した。
粘度は、温度25℃にて、M1〜M5及びS1は、ローターNo. 18、回転速度60 r/minにて測定した。S2及びS3は、ローターNo. 18、回転速度60 r/minにて測定した。S4及びS5はローターNo. 63、回転速度60 r/minにて測定した。
アロエベラ液汁の分子量分布は、プルラン(分子量:1,420〜642,000、昭和電工株式会社)を標準物質としたゲルろ過クロマトグラフィーにて解析した。測定には、TSKgel GMPWXLカラム(7.8 mm×30 cm、東ソー株式会社)を2本搭載した GPC system [SD-8022/DP-8020/AS-8020/CO-8020/RI-8020](東ソー株式会社)を利用した。そして、展開溶媒:1 M NaNO3水溶液、流速:1.0 mL/min、カラム温度:40℃、検出:RI検出器、注入量:100μLにて分析した。
分析用の検体は、夫々のアロエベラ液汁を蒸留水で5倍希釈後、0.5μmフィルターろ過して調製した。
(2)フルオレセインナトリウムに対する皮膚浸透促進効果の検討
3次元培養ヒト表皮モデルEpisSkinTM (SkinEthic社) を用いて、フルオレセインナトリウム(分子量:376.28、和光純薬工業株式会社)に対する皮膚浸透促進効果を検討した。
EpisSkinTM-Large(表面積1.07 cm2)をキットに付属の維持培地で一晩培養(37℃、5%CO2)した後、レセプター側溶液として培地2 mLを加えた12 wellプレートに移し替えた。次に、蒸留水若しくはアロエベラ液汁(M-2若しくはS-2)を用いて、500 μg/mLに調製したフルオレセインナトリウム溶液を角質層側から150μL添加し、3時間培養(37℃、5%CO2)した。角質層側のフルオレセインナトリウム溶液を取り除いた後、角質層表面を500μLの蒸留水で5回洗浄し、表皮モデルを回収した。
実施例では、生のアロエ液汁1mL(=1g)に対して、化合物500μgを溶解して試験をした。これは、生のアロエ液汁100gに対して、化合物0.05gを溶かしたことになる(重量比=生のアロエ液汁1:化合物0.0005)。
回収した表皮モデルを鋏で細かく刻み、1 mLの蒸留水で3時間振とう抽出した。遠心分離(室温、14000 rpm、10 min)した後、上清中の蛍光強度をEnSightTMマルチプレートリーダー(PerkinElmer社)にて測定(Ex 494 nm/Em 520 nm)し、皮内に浸透したフルオレセイン量を算出した。
培地中の蛍光強度を測定することで、表皮モデルを透過したフルオレセイン量を算出した。
(3)カルセインナトリウムに対する皮膚浸透促進効果の検討
500μg/mLカルセインナトリウム(分子量:666.50)を用いて、EpisSkinTM-Largeに対する浸透性(1〜20時間)を検討した。
蛍光強度は、EnSightTMマルチプレートリーダーにて測定(Ex 494 nm/Em 520 nm)した。
アロエベラ液汁には、防腐性を考慮して、静岡県産のアロエベラ液汁をろ紙(No.2、ADVANTEC社)ろ過後、80℃で30分間加熱殺菌したもの(以下「AVG」と記す)を用いた。
(4)蛍光標識ヒアルロン酸ナトリウムに対する皮膚浸透促進効果の検討
3種類のフルオレセインアミン標識ヒアルロン酸ナトリウム(いずれもPGリサーチ)を用いて、EpisSkinTM-Largeに対する浸透性(3時間)を検討した。
分子量3,200 Da:以下「fHA3.2」と記す。
分子量5,800 Da:以下「fHA5.8」と記す。
分子量29,000 Da:以下「fHA29」と記す。
(5)アロエベラ液汁で前処理した3次元培養ヒト表皮モデルに対する蛍光標識ヒアルロン酸の浸透性評価
予めEpisSkinTM-Largeの角質層側からAVG(アロエベラ液汁)を150μL添加し、1時間培養(37℃、5%CO2)した。AVGを取り除いた後、角質層表面を500μLの蒸留水で5回洗浄した。次に蒸留水を用いて500μg/mLに調製したfHA3.2溶液を角質層側から150μL添加し、1時間培養(37℃、5%CO2)した。その後、前述の方法と同様に操作し、fHA3.2の皮内浸透量を測定した。
比較対象として、AVGの代わりに蒸留水を用いて、予め前処理し、次いで蒸留水若しくはAVGを用いて、500μg/mLに調製したfHA3.2溶液を角質層側から添加したものについても検討した。
(6)アロエベラ液汁中の活性成分の探索
AVG 5 mLを、分子量3,000 排除の限界ろ過膜Amicon Ultra-4(ミリポア社)に供し、高分子AVG(以下AVG-H)及び低分子AVG(以下AVG-L)に分画した。
得られた分画物の全量を5 mLに調整した後、上記(2)と同様の方法で、fHA3.2に対する経皮浸透促進効果を検討した。
アロエベラ葉肉部を低温蒸留して得られるアロエベラ葉水(片倉アグリバイオ社)についても同様に評価した。
<実験結果>
沖縄県産アロエベラ液汁(M1〜M5)のBrixは、0.76±0.02%であった。静岡県産アロエベラ液汁(S1〜S5)のBrixは、0.90±0.08%であった。Brixは、静岡県産でやや高い値を示した。
また、粘度について、静岡県産(S1〜S5)が高い値を示した(表4)。
沖縄県産アロエベラ液汁:13±2 mPa・s
静岡県産アロエベラ液汁:141±106 mPa・s
今回採取した静岡県産のアロエベラは、ハウス内で水やりを極力控えた減水農法で栽培されており、この事で葉肉内の成分含量や粘度が高くなったものと考えられた。
次に、夫々の産地の代表として沖縄県産(M2)及び静岡県産(S2)から調製したアロエベラ液汁について分子量分布を解析した。
共に4つの主要なピークが観察され、ピーク1は分子量100万以上、ピーク2は分子量1,800程度、ピーク3及び4は分子量1,000以下の成分であると算出された(図1:Distribution of molecular weight of Aloe vera gel)。
次に、アロエベラ液汁(M2及びS2)について、フルオレセインナトリウムに対する皮膚浸透促進効果を検討した。
その結果、皮内浸透量及び皮膚透過量はいずれも増加し、沖縄県産(M2)で夫々8.09倍及び2.89倍、静岡県産(S2)で夫々8.59倍及び2.88倍の促進効果が観察された(表5)。
次に、静岡県産アロエベラ液汁をろ過、殺菌し、調製したAVG(アロエベラ液汁)について、カルセインナトリウムに対する皮膚浸透促進効果を検討した。
透過液中のカルセイン量を測定したところ、蒸留水及びAVG共に経時的な増加が確認され、1〜20時間にわたってAVGで高い値を示した(表6)。20時間後の皮内浸透量についても測定した結果、蒸留水では10.87±0.83 μgであり、AVGでは17.48±0.47μgであった。
次に蛍光標識ヒアルロン酸(fHA3.2)の浸透性に対する効果を検討した(表7)。
蒸留水での皮内浸透量は0.18±0.02μgであるのに対し、AVGでは7.64±0.38μgであり、42.9倍の浸透促進効果が確認された。
これに対して、以前から皮膚浸透促進剤として知られているエタノール及びポリエチレングリコール混液を用いた時の皮内浸透量は、各30%濃度において0.25±0.02μg(1.39倍)であった。また、2%シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール水溶液(NeosolueTM-Aqulio、日本精化株式会社)では6.62±0.60μg(38.0倍)であった。この事からAVGは、蛍光標識ヒアルロン酸に対して既存の皮膚浸透促進剤よりも優れた効果を発揮することが明らかとなった。
皮膚透過量については、いずれの検体においても検出感度(0.02μg)以下であり、浸透したfHA3.2は皮膚を透過せず皮内に留まっているものと考えられた。
次に、分子量の大きいfHA5.8及びfHA29に対して、同様に評価した。
その結果、蒸留水での皮内浸透量は、夫々0.04±0.01μg、0.03±0.00μgであるのに対し、AVGでは8.41±0.52μg、4.62±0.14μgであった。これらの蛍光標識ヒアルロン酸に対しても、夫々234.5倍及び161.0倍の浸透促進効果が確認された(表7)。
以上の結果から、アロエベラ液汁(AVG)は、親水性化合物に対して、優れた浸透促進剤として働くことが明らかとなった。
次に、アロエベラ液汁の皮膚浸透促進効果の特徴を明らかにすることを目的に、予め3次元培養ヒト表皮モデルをAVGで前処理した後に、fHA3.2の皮内浸透性を評価した。
促進効果は1.88倍であった。
一方、蒸留水で前処理した後に、AVGをfHA3.2と共存させた時には、10.97倍の浸透促進が認められた(表8)。
AVGの前処理では浸透促進効果は大きく減弱することから、アロエベラ液汁は皮膚に不可逆的なダメージを与えることなく、共存することで浸透を促進させるものと考えられた。
またアロエベラ液汁の分画物について、fHA3.2の浸透性に対する効果を検討した。
低分子画分であるAVG-Lに活性の集約が認められた(表9)。この事からAVG中の分子量:3,000以下の成分が活性に寄与するものと考えられた。
更に、アロエベラ葉肉を低温蒸留して得られるアロエベラ葉水についても検討した。
蒸留水に対して17.04倍の浸透促進が確認された。この事から、芳香性の蒸留成分の一部も活性に寄与することが明らかとなった。
被験者5名の前腕部に、フランツ型拡散セルのドナーチャンバーを両面テープで固定し、蒸留水もしくはAVGを用いて1 mg/mLに調製したフルオレセインナトリウム溶液を角質層側から500μL添加した。
15分間後に角質層側のフルオレセインナトリウム溶液を取り除いた後、角質層表面を1 mLの蒸留水で5回洗浄し、皮膚表面を蛍光顕微鏡にて観察した(図2、表10)。
次にテープストリッピング法(10枚)により角質層を剥離し、テープ上の蛍光を観察した(図3)。
<実験考察>
アロエベラ液汁によって蛍光標識ヒアルロン酸(分子量:3,200〜29,000)の表皮への浸透性が大幅に改善されることを見出した。
このことは、加水分解ヒアルロン酸等をアロエベラと共に塗布する事で、皮内への浸透が高まり、肌の内側と外側の両方から保湿効果が期待できる事を示している。
更にアロエベラ自身も保湿に関与することから、両者に相乗的な保湿効果が期待できる。
本発明により、加水分解ヒアルロン酸等の高分子化合物の経皮浸透性を改善することができた。本発明では、古くから傷や火傷の治療等に利用され、それ自身が優れた保湿剤として働くアロエ(アロエベラ等)由来成分を用いることができる。

Claims (16)

  1. アロエ由来成分を有効成分とする、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤。
  2. 前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
  3. 前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
  4. 前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項1に記載の皮膚浸透促進剤。
  5. 前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚浸透促進剤。
  6. アロエ由来成分と、親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含有する組成物。
  7. 前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項6に記載の組成物。
  10. 前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項6〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物の皮膚浸透促進剤である、請求項6〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物に、アロエ由来成分を配合することを特徴とする、前記化合物の皮膚浸透促進方法。
  13. 前記親水性化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示す化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
  14. 前記高分子化合物は、分子量が500以上の化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
  15. 前記親水性化合物及び高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物は、オクタノール/水分配係数logKowが負の値を示し、分子量が500以上の化合物である、請求項12に記載の皮膚浸透促進方法。
  16. 前記アロエは、アロエベラ、キダチアロエ、アロエ・エルー、アロエ・カメロニー、アロエ・ケドンゲンシス、アロエ・フェロックス、アロエ・アフリカーナ、アロエ・アンドンゲンシス及びアロエ・トーメントーサ、並びにキダチアロエとアロエベラとの交配種からなる群より選択される少なくとも1種のアロエ植物体である、請求項12〜15のいずれかに記載の皮膚浸透促進方法。
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